JP2003159605A

JP2003159605A - 裏座ぐり加工工具

Info

Publication number: JP2003159605A
Application number: JP2001355744A
Authority: JP
Inventors: Tsutomu Nagano; 勉長野
Original assignee: Toshiba Corp
Current assignee: Toshiba Corp
Priority date: 2001-11-21
Filing date: 2001-11-21
Publication date: 2003-06-03

Abstract

(57)【要約】【課題】ワークの裏面側において切削工具を面倒な操作
を伴わず、極短時間のうちに決められた位置に設定で
き、設定のために無駄な時間を費やすことのない裏座ぐ
り加工工具を提供する。【解決手段】裏座ぐり加工工具は一端にスロットを有す
る、断面円形のシャンク１と、このシャンク１のスロッ
トに回転可能に装着され、シートを有する回転ヘッド２
と、この回転ヘッド２のシートに設けられ、切れ刃５を
有するチップ４とを備える。裏座ぐり加工時、ワークＷ
の裏面側にきり孔Ｈを通して回転ヘッド２を送る間、シ
ャンク１および回転ヘッド２を一直線状に保ち、裏座ぐ
り加工にあたり、回転ヘッド２をシャンク１の軸心に対
して約９０度回転させてチップ４の切れ刃５をワークＷ
の加工面と対面させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はワークの裏面側で切
削工具の設定を素早く行い、効率よく裏座ぐり加工を施
すための裏座ぐり加工工具に関する。

【０００２】

【従来の技術】ワークの裏面にきり孔と同心の座ぐり加
工を施すのにワークの表側から裏側に通す座ぐり棒が利
用される。切削工具はこの座ぐり棒の裏面側に臨ませた
先端に座ぐり棒の軸心と垂直に向けられ、切れ刃が座ぐ
り棒から飛び出すように設定され、ワークの裏面にきり
孔と同心の座面を加工することが可能である。切れ刃が
座ぐり棒から飛び出すように設定されるので、裏側まで
通した座ぐり棒の出し入れには支障が生じる。このた
め、切削工具については裏面での加工を終えたならば、
その時点で座ぐり棒から取り外し、別のきり孔の裏座ぐ
り加工を行うには再度きり孔を通して裏面側まで座ぐり
棒を送って、改めて切削工具を座ぐり棒に取り付けなけ
ればならない。

【０００３】座ぐり棒を使用する裏座ぐり工具の一例を
図４に示す。図示しない加工機の主軸から延びる座ぐり
棒２１はワークＷのきり穴Ｈよりも僅かに小さい直径を
有し、その先端はワークＷの裏面にある。この座ぐり棒
２１の先端に座ぐり棒２１の軸心とほぼ９０度の角度を
保って角孔２２が穿たれ、そこにバイト２３のシャンク
２４が挿入されている。バイト２３はシャンク２４の先
端部分に切れ刃２５を備える。また、バイト２３はシャ
ンク２４を締め付けるボルト２６によって固定される。
加工における切れ刃２５の位置は座ぐり棒２１の角孔２
２に挿入したシャンク２４の出し入れで自由に変えるこ
とができる。

【０００４】裏座ぐり加工では図示しない加工機の主軸
の回転で座ぐり棒２１が回転する。バイト２３の切れ刃
２５をワークＷに切り込み、きり穴Ｈと同心の平らな座
面を削成する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記の裏座ぐり加工に
おいてはきり孔Ｈでの加工が完了したとき、座ぐり棒２
１をそのきり孔Ｈから抜くのにその都度バイト２３を座
ぐり棒２１から取り外さなければならない。このため、
次のきり孔Ｈで裏座ぐり加工を続けるには切れ刃２５の
位置をきり孔Ｈの座面半径に合わせるためにシャンク２
４を出し入れしながら、バイト２３の位置を設定し直す
必要がある。

【０００６】しかしながら、ワークＷの裏面におけるこ
うした切削工具の出し入れを伴う設定のやり直しはワー
クＷの形状によっては裏面側に作業者の手が自由に届か
ないなどの不便な作業を強いられ、多くの時間を費やさ
ねばならない。このような繰り返し行わねばならない切
削工具の位置設定によりワークＷのきり孔Ｈの数が多く
なればなる程、それに費やす無駄な時間が増すことにな
り、一段と加工時間が長引いてしまう。

【０００７】裏座ぐり加工の効率化を進めるうえで裏座
ぐり加工工具の改良は不可欠で、より望ましい工具が求
められている。

【０００８】そこで、本発明の目的はワークの裏面側に
おいて切削工具を面倒な操作を伴わず、極短時間のうち
に決められた位置に設定でき、設定のために無駄な時間
を費やすことのない裏座ぐり加工工具を提供することに
ある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明に係る裏座ぐり加
工工具は一端にスロットを有する、断面円形のシャンク
と、このシャンクのスロットに回転可能に設けられ、前
縁および側面に開いたシートを有する回転ヘッドと、こ
の回転ヘッドのシートに装着され、切れ刃を有するチッ
プとを備える。このような手段を用いて、裏座ぐり加工
時、ワークの裏面側にきり孔を通して回転ヘッドを送る
間、シャンクおよび回転ヘッドを一直線状に保ち、裏座
ぐり加工にあたり、回転ヘッドをシャンクの軸心に対し
て約９０度回転させてチップの切れ刃をワークの加工面
と対面させるようにしたものである。

【００１０】上記構成からなる本発明においてはワーク
の裏面でフェーシング加工用切削工具を極めて簡単な操
作で素早く適正に設定することができ、設定のために無
駄な時間を費やさないで、直ちに裏座ぐり加工を果たす
ことが可能になる。したがって、加工時間を格段に短縮
することが可能で、これにより、裏座ぐり加工の切削工
具の位置設定に伴う隘路を取り除くことができる。

【００１１】本発明は、望ましくは、シャンクがスロッ
トに連設して刻設されるキーウェイを有し、裏座ぐり加
工中、キーをキーウェイに固定し、回転ヘッドをキーに
当接して加工する。また、本発明は上記キーが平坦な支
持面を備えることができる。このような手段を備えるこ
とにより、裏座ぐり加工中、回転ヘッドの位置決めを果
たすと共に、加工に伴う反力を受け止めることが可能に
なる。

【００１２】さらに、本発明は回転ヘッドがその本体を
シャンクに倣いシャンク本体外径と同等またはそれより
も小さく形成される。このような構成を備えることによ
りワークＷの裏面側に回転ヘッドを送るとき、回転ヘッ
ドがきり孔の内面と干渉して送りにくくなるのを防止す
ることができる。

【００１３】また、本発明は、望ましくは、チップが回
転ヘッドのシートに着脱可能に設けられる。このような
手段を備えることにより切れ刃５の磨耗によってチップ
の交換が必要になった場合でも、その場で、新しいチッ
プと交換することができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態について図
面を参照して説明する。図１において、本発明に係る裏
座ぐり加工工具は断面円形に形成されるシャンク１を備
える。また、一部を切り欠いて断面円形に形成される回
転ヘッド２を備える。このシャンク１および回転ヘッド
２はワークＷの裏面側にきり孔Ｈを通して送るためにそ
れぞれの本体外径がきり孔Ｈの内径よりも僅かに小さく
形成される。この回転ヘッド２は枢軸としてのピン３を
中心として回転可能に構成されている。

【００１５】この回転ヘッド２にはフェーシング加工用
チップ４が装着される。チップ４は、たとえば、超硬合
金からなり、その先端に切れ刃５を有する。このチップ
４は着脱可能であって、たとえば、スクリュー６によっ
て回転ヘッド２に装着される。図１は最も典型的な裏座
ぐり加工を施すときの配置を示し、回転ヘッド２がシャ
ンク１の軸心に対して９０度まで回動したところを表わ
す。この回転位置で切れ刃５はワークＷの加工面に向
き、フェーシング加工が可能である。

【００１６】また、この裏座ぐり加工工具は回転ヘッド
２の位置決めを果たすと共に、加工に伴う反力を受け止
めるための平行キー７を有する。この平行キー７は後記
の回転ヘッド２のキーウェイに装着される。

【００１７】なお、図に示す符号ｌはシャンク１の軸心
から切れ刃５の先端までの距離を示し、フェーシング加
工で得られる座面半径と等しい値である。裏座ぐり加工
においては加工対象のワークＷによって座面半径が変化
する。これに対応するために、望ましくは、回転ヘッド
２は距離ｌが異なるものを予め何種類か準備しておく。

【００１８】一方、図２および図３にシャンク１および
回転ヘッド２の詳細を示す。図２（ａ）（ｂ）におい
て、シャンク１は断面円形の本体８の一端にから延び
る、回転ヘッド２が嵌合するスロット９を備える。この
スロット９はシャンク１の軸心に沿って形成される。こ
のスロット９を横断する方向にピン３が固く嵌合するピ
ン孔１０を穿っている。また、スロット９に連ねて平行
キー７が嵌合するキーウェイ１１を形成している。

【００１９】さらに、図３（ａ）（ｂ）（ｃ）におい
て、回転ヘッド２は本体１２の円周上の一部を切り欠
き、前縁および側面に開いたシート１３を形成してい
る。このシート１３はチップ４の形に合わせて形成され
る。本体１２のシャンク１との連結部分はシャンク１の
スロット９に倣う平行な２つの面を残すように削成され
る。また、この平行な２面と垂直にピン３が嵌合するピ
ン孔１４を穿っている。このシート１３にはチップ４を
取り付けるためのねじ孔１５を備える。

【００２０】また、図４にシャンク１のキーウェイ１１
に挿入する平行キー７を示す。この平行キー７は、裏座
ぐり加工中、回転ヘッド２の加工面側に向く面と一様に
接するように平担な支持面１６を備える。この支持面１
６は加工中に回転ヘッド２と強く接するので、表面に圧
痕等が生じないように方面が一定の硬さを有する。

【００２１】本実施の形態は上記構成からなるもので、
裏座ぐり加工にあたり、裏座ぐり加工工具の回転ヘッド
２をシャンク１の軸心に沿って正確に一直線状に並ぶよ
うにセットする。この２つの要素が一直線状に並ぶ位置
では回転ヘッド２のすべての部分がシャンク１の外径よ
りも内側にある。この並びを変化させないでワークＷの
きり孔Ｈの中心に加工機（図示せず）の主軸の中心を合
わせながら、シャンク１の中心を心出し、図５に示すよ
うに、きり孔Ｈをガイドとして裏面側に向かって回転ヘ
ッド２を送る。さらに、回転ヘッド２を前進させ、全体
がきり孔Ｈを通り抜けるまで送り、そこで停止させる。

【００２２】このきり孔Ｈを通り抜けた位置で回転ヘッ
ド２をピン３を中心として回転し、シャンク１の軸心に
対して約９０度の角度に合わせる（図１参照）。このと
き、チップ４の切れ刃５はワークＷの加工面に対面す
る。支持面１６を上にして平行キー７を滑らせながらシ
ャンク１のキーウェイ１１に挿入し、回転ヘッド２の加
工面側に向いた面を支持面１６に当てる。

【００２３】次いで、加工機の主軸を回転させながらチ
ップ４の切れ刃５をワークＷに当て、切り込みを与えつ
つ、きり孔Ｈの周囲をフェーシング加工する。これによ
り、きり孔Ｈと同心にある深さを持つ座面を加工するこ
とができる。

【００２４】シャンク１の軸心から切れ刃５の先端まで
の一定した距離ｌ（図１参照）により同じワークＷの幾
つかのきり孔Ｈに対して裏座ぐり加工を続けて行う場合
でも、切れ刃５の位置をきり孔Ｈが変わる度に設定し直
す必要がなくなる。こうして、回転ヘッド２を回すだけ
の極めて簡単な操作でチップ４を素早く適正に設定する
ことが可能になる。

【００２５】さらに、回転ヘッド２の本体１２について
シャンク１の本体８の外径と同じ外径に形成しているの
で、ワークＷの裏面側に回転ヘッド２を送るとき、回転
ヘッド２がきり孔Ｈの内面と干渉して送りにくくなるの
を防止することができる。

【００２６】また、回転ヘッド２と接する平行キー７に
より、裏座ぐり加工中、回転ヘッド２の位置は少しも変
化しない。これと同時に、加工に伴う反力は平坦な支持
面１６で受け止めることが可能で、ワークＷにびびり現
象等を生じることなく、フェーシング加工を行うことが
できる。支持面１６は繰り返しの使用に耐えられる高い
硬さを有し、表面に圧痕などを生じない。さらに、チッ
プ４が着脱可能であるので、切れ刃５の磨耗によってチ
ップ４の交換が必要になった場合でも、その場で、新し
いチップと交換することができる。

【００２７】一方、この裏座ぐり加工工具を使用する場
合、一定した値の距離ｌによりきり孔Ｈの座面半径が決
まるので、そのときの半径寸法に応じて幾つかの回転ヘ
ッド２の中から適するものを１つだけ選定する必要があ
る。

【００２８】このように本実施の形態においてはワーク
Ｗの裏面側で回転ヘッド２を９０度回転させるだけで切
削工具を素早く適正に設定することが可能で、設定のた
めに無駄な時間を費やさないで、直ちに裏座繰り加工を
果たすことができる。

【００２９】

【発明の効果】本発明においてはワークの裏面側でフェ
ーシング加工用切削工具を極めて簡単な操作で素早く適
正に設定することができ、設定のために無駄な時間を費
やさないで、直ちに裏座ぐり加工を果たすことが可能に
なる。したがって、本発明によれば、加工時間を格段に
短縮することが可能で、これにより、裏座繰り加工にお
ける切削工具の位置設定に伴う隘路を取り除くことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による裏座ぐり加工工具の一実施の形態
を示す正面図である。

【図２】図１に示されるシャンクの詳細を示すもので、
（ａ）はシャンクの正面図、（ｂ）はシャンクの側面図
である。

【図３】図１に示される回転ヘッドの詳細を示すもの
で、（ａ）は回転ヘッドの上面図、（ｂ）は回転ヘッド
の正面図、（ｃ）は回転ヘッドの側面図である。

【図４】図１に示される平行キーの斜視図である。

【図５】本発明の座ぐり加工工具を一直線の並びを保っ
てワークの裏面に送るときの様子を示す図である。

【図６】従来の裏座ぐり加工工具の一例を示す正面図で
ある。

【符号の説明】

１…シャンク、２…回転ヘッド、３…ピン、４…チッ
プ、５…切れ刃、７…平行キー、９…スロット、１３…
ノッチ、Ｗ…ワーク、Ｈ…きり孔

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】一端にスロットを有する、断面円形のシ
ャンクと、このシャンクの該スロットに回転可能に設け
られ、前縁および側面に開いたシートを有する回転ヘッ
ドと、この回転ヘッドの該シートに装着され、切れ刃を
有するチップとを備え、裏座ぐり加工時、ワークの裏面
側にきり孔を通して前記回転ヘッドを送る間、前記シャ
ンクおよび回転ヘッドを一直線状に保ち、裏座ぐり加工
にあたり、前記回転ヘッドを前記シャンクの軸心に対し
て約９０度回転させて前記チップの該切れ刃をワークの
加工面と対面させるようにした裏座ぐり加工工具。
【請求項２】前記シャンクが該スロットに連設して刻
設されるキーウェイを有し、裏座ぐり加工中、キーを前
記キーウェイに固定し、前記回転ヘッドを前記キーに当
接して加工するようにしたことを特徴とする請求項１に
記載の裏座ぐり加工工具。
【請求項３】前記キーが平坦な支持面を備えることを
特徴とする請求項２に記載の裏座ぐり加工工具。
【請求項４】前記回転ヘッドがその本体を該シャンク
に倣いシャンク本体外径と同等またはそれよりも小さく
形成されることを特徴とする請求項１に記載の裏座ぐり
加工工具。
【請求項５】前記チップが前記回転ヘッドの該シート
に着脱可能に設けられることを特徴とする請求項１に記
載の裏座ぐり加工工具。