JP2003157594A - 光磁気記録媒体およびその再生方法 - Google Patents
光磁気記録媒体およびその再生方法Info
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Abstract
を消失するエネルギー値よりも低いエネルギー値におい
て再生が不可能となり、記録層の記録マークの消失を未
然に防ぐことができる光磁気記録媒体およびその再生方
法を提供する。 【解決手段】垂直磁化の向きの記録マークとして情報を
記録する磁性層である記録層10と、記録層10の上層
に形成され、記録層10と交換結合する磁性層である再
生調整層11と、再生調整層11の上層に形成され、再
生調整層11と交換結合する磁性層である切断層12
と、切断層12の上層に形成され、切断層12と交換結
合し、記録マークを再生する磁性層である再生層13と
を有し、再生層13は再生調整層11よりも磁壁抗磁力
が小さく磁壁移動度が大きい磁性層であり、再生調整層
11の記録マークが消失する温度は、記録層10の記録
マークが消失する温度より低い構成とする。
Description
または再生を行う光磁気ディスクなどの光磁気記録媒体
およびその再生方法に関する。
をデジタルに記録する技術の発展に伴い、大容量のデー
タが取り扱われるようになり、従来より広く一般的に利
用されてきたフロッピー(登録商標)ディスク装置など
の磁気ディスク装置に変わって、さらに記録密度を高め
ることができる光磁気記録を利用した光磁気ディスク装
置などの光ディスク装置が普及してきている。
る光磁気ディスク装置においてデータを記録する方法と
しては、光磁気ディスク上のデータを記録する位置にレ
ーザ光を照射して、その位置の磁性体材料(記録層を含
む光磁気記録積層体)の温度をキュリー温度まで上昇さ
せ、その位置に記録されているデータに対応する保磁力
を解消し、さらに、その位置(温度がキュリー温度にな
っている位置)に、新たに記録するデータに対応する磁
界を印加して、データを記録する。
データを再生する方法としては、レーザ光を光磁気記録
積層体に照射したときの反射光の偏光角が反射面の磁化
の状態で変化する現象(カー効果)を利用して、データ
の再生を行う。
のレーザ光のスポット径に依存し、レーザ光のスポット
径が小さいほど記録密度を高めることが可能となる。レ
ーザ光のスポット径はλ/NA(λ:レーザ光の波長、
NA:対物レンズの開口数)に比例する。したがって、
光磁気記録媒体の記録密度を高めるにはレーザ光を短波
長化し、NAを高くする必要がある。
を高めることなく光磁気記録媒体の記録密度を向上させ
る方法が、特開平6−290496号公報に記載されて
いる。これはDWDD(Domain Wall Di
splacement Detection)と呼ばれ
る記録再生方法である。
ある。ディスク基板1に、誘電膜2を介して、光磁気記
録積層体3が形成されており、保護層4で保護されてい
る。光磁気記録積層体3は、記録層10、切断層12お
よび再生層13の3層の磁性層からなる構成である。
の記録および再生方法を説明するための模式図である。
上記のように、光磁気記録積層体3は3層の磁性層が積
層されて形成されており、垂直磁化の向きにより情報を
記録する磁性層である記録層10と、記録層10の上層
に形成され、記録層10と交換結合する磁性層である切
断層12と、切断層12の上層に形成され、切断層12
と交換結合し、記録層10よりも磁壁抗磁力が小さく磁
壁移動度が大きい磁性層である再生層(移動層)13と
を有する。
に再生用のレーザ光Lが照射されたときの光磁気記録積
層体3の温度プロファイルを示す。レーザ光Lの強度プ
ロファイルに応じて、光磁気記録積層体3の温度は1つ
のピーク位置を形成して上昇する。このとき、光磁気記
録積層体3(光磁気ディスク本体)は図6(a)の矢印
D M の方向に移動しており、光磁気記録積層体3におけ
る熱伝導速度が光磁気記録積層体3の移動速度よりも遅
いので、温度プロファイルのピーク位置は、再生用のレ
ーザ光Lのスポットから矢印DM の方向にずれた位置と
なる。
記録層10のキュリー温度TC10 、切断層12のキュリ
ー温度TC12 、再生層13のキュリー温度TC13 につい
て、記録層10のキュリー温度TC10 と再生層13のキ
ュリー温度TC13 は、切断層12のキュリー温度TC12
よりも高く設定されている。従って、図6(b)の温度
プロファイルにおいて、切断層12のキュリー温度T
C12 よりも高温となった領域で、切断層12と記録層1
0との交換結合および切断層12と再生層13との交換
結合が切断される。
イルに従った磁壁エネルギー密度σのプロファイルを示
す。再生層13は、記録層10よりも磁壁抗磁力が小さ
く、磁壁移動度が大きい磁性層であることから、上記の
ような磁壁エネルギー密度σの低い領域が生成すると、
図6(a)に示すように、切断層12と記録層10との
交換結合および切断層12と再生層13との交換結合が
切断された領域において、再生層13中の磁壁が再生層
13の磁壁エネルギー密度の安定点に向かい、温度勾配
により駆動力を与えられて、例えば〜20m/秒の速度
で高速に移動する(図中WDで示す)。上記のように再
生層中で磁壁の移動が生じることから、再生層を移動層
と呼ぶこともある。
のスポット中に入ると、その磁壁が磁壁エネルギー密度
の安定点まで逐次移動していく。このため、記録層10
中の記録マークと同じマークとなっている再生層13中
の記録マークが、レーザ光Lのスポット領域内の再生層
13中に広がっていくことになる。磁化の向きが逆転す
る次の記録マークとの境の磁壁がレーザ光Lのスポット
内に入ると、その記録マークが直ちにレーザ光Lのスポ
ット領域内の再生層13中に広がっていく。
で、レーザ光Lのスポット下を磁壁が移動するのに要す
る時間が、レーザ光Lのスポット下を記録層の最短記録
マークが通過するのに要する時間よりも長くならないよ
うに設定する必要がある。
ット内から出ていこうとする磁壁が磁壁エネルギー密度
の安定点に逐次移動する、即ち、スポットの後端側か
ら、記録層10における1つの記録マークがレーザ光L
のスポット領域内の再生層13中に広がっていく現象も
知られている(図6(a)中、WD’で示す)。
を用いた光磁気ディスク装置においてデータを再生する
には、定期的に各エネルギーのレーザ光を光磁気記録層
(積層体)に照射してビットエラーレート(ber:b
it error rate)を測定し、これが最小と
なるレーザ光のエネルギー範囲を探しながら行うが、測
定で得られた適切なエネルギー範囲内であっても、その
上限近傍では見かけ上は問題なく再生できているにもか
かわらず記録層の記録マークが消失してしまうという問
題があった。
の値を選択していても、光ディスク装置内の温度、即
ち、光ディスク媒体の温度が変化すると上記のbeに対
する適切なエネルギー範囲も変化するため、気がつかな
いうちにエネルギー範囲の高エネルギー側になっている
場合も想定され、しかも上述のようにberが悪化しな
いのでそのままのエネルギーで使用してしまい、結果的
にデータを消去してしまうことになる場合もある。
に限らず、記録層と再生層を有し、再生光のエネルギー
が高い場合において記録層の記録マークを消去してしま
う光磁気ディスクに共通の問題となっている。
のであり、従って本発明の目的は、再生光のエネルギー
として記録層の記録マークを消失するエネルギー値より
も低いエネルギー値において再生が不可能となり、記録
層の記録マークの消失を未然に防ぐことができる光磁気
記録媒体およびその再生方法を提供することである。
めに、本発明の光磁気記録媒体は、複数層の磁性層が積
層されている光磁気記録媒体であって、垂直磁化の向き
の記録マークとして情報を記録する磁性層である記録層
と、上記記録層の上層に形成され、上記記録層と交換結
合する磁性層である再生調整層と、上記再生調整層の上
層に形成され、上記再生調整層と交換結合する磁性層で
ある切断層と、上記切断層の上層に形成され、上記切断
層と交換結合し、上記記録マークを再生する磁性層であ
る再生層とを有し、上記再生層は上記再生調整層よりも
磁壁抗磁力が小さく磁壁移動度が大きい磁性層であり、
上記再生調整層の記録マークが消失する温度は、上記記
録層の記録マークが消失する温度より低い。
は、上記切断層のキュリー温度以上となった領域におい
て、上記切断層と上記再生層との交換結合および上記切
断層と上記再生調整層との交換結合が切断され、上記再
生層中の磁壁が当該再生層の温度プロファイルに従った
磁壁エネルギー密度の安定点に向かって移動する。
は、上記再生調整層の記録マークが消失する温度以上と
なった領域において、上記再生層での再生が不可能とな
る。
は、上記再生調整層のキュリー温度は、上記記録層のキ
ュリー温度よりも低い。さらに好適には、上記再生調整
層のキュリー温度は、上記記録層のキュリー温度よりも
10〜60℃低い。
は、上記再生調整層のキュリー温度は、上記記録層のキ
ュリー温度よりも高く、上記再生調整層の記録マークが
消失する温度近傍において、上記再生調整層の保磁力が
上記記録層の保磁力より低い。
と切断層の間に再生調整層を有している。記録層、再生
調整層、切断層、および、再生層は、それぞれ上下に接
する層との間で交換結合しており、再生層において記録
マークを再生する光磁気記録媒体であって、切断層のキ
ュリー温度以上となった領域で、切断層と再生層との交
換結合および切断層と再生調整層との交換結合が切断さ
れ、再生調整層と再生層の交換結合が切断された領域に
おいて、再生層中の磁壁が再生層の温度プロファイルに
従った磁壁エネルギー密度の安定点に向かって移動す
る、DWDD方式の光磁気記録媒体となっている。
再生調整層の記録マークが消失する温度は、記録層の記
録マークが消失する温度より低いことから、再生光のエ
ネルギー値を上げていって光スポット内の媒体の温度が
高くなると、再生調整層の記録マークが記録層よりも先
に消失する。ここで、再生調整層の記録マークが消失す
る温度以上となった領域において、再生調整層の記録マ
ークの消失の結果、再生層におけるデータの再生ができ
なくなる。しかしながら、この再生光のエネルギー値で
は記録層の記録マークは消失してはおらず、記録層の記
録マークの消失を未然に防ぐことができる。
は、記録層の記録マークが消失する温度より低い構成と
するには、再生調整層のキュリー温度が記録層のキュリ
ー温度よりも、例えば10〜60℃低い構成とするか、
あるいは、再生調整層のキュリー温度が記録層のキュリ
ー温度よりも高い場合には、再生調整層の記録マークが
消失する温度近傍において、再生調整層の保磁力が記録
層の保磁力より低い構成とすることで実現できる。
明の光磁気記録媒体は、複数層の磁性層が積層されてい
る光磁気記録媒体であって、垂直磁化の向きの記録マー
クとして情報を記録する磁性層である記録層と、上記記
録層の上層に形成され、上記記録層と交換結合する磁性
層である再生調整層と、上記再生調整層の上層に形成さ
れ、上記再生調整層と交換結合し、上記記録マークを再
生する磁性層である再生層とを有し、上記再生調整層の
記録マークが消失する温度は、上記記録層の記録マーク
が消失する温度より低く、上記再生調整層の記録マーク
が消失する温度以上となった領域において、上記再生層
での再生が不可能となる。
は、上記再生調整層のキュリー温度は、上記記録層のキ
ュリー温度よりも低い。さらに好適には、上記再生調整
層のキュリー温度は、上記記録層のキュリー温度よりも
10〜60℃低い。
は、上記再生調整層のキュリー温度は、上記記録層のキ
ュリー温度よりも高く、上記再生調整層の記録マークが
消失する温度近傍において、上記再生調整層の保磁力が
上記記録層の保磁力より低い。
D方式などの記録層と再生層を有し、再生光のエネルギ
ーが高い場合において記録層の記録マークを消去してし
まう光磁気ディスクにおいても、記録層と再生層の間に
再生調整層を設け、再生調整層の記録マークが消失する
温度以上となった領域において、再生層での再生が不可
能となっている。再生調整層の記録マークが消失する温
度以上となった領域において、再生調整層の記録マーク
の消失の結果、再生層におけるデータの再生ができなく
なるが、この再生光のエネルギー値では記録層の記録マ
ークは消失してはおらず、記録層の記録マークの消失を
未然に防ぐことができる。
明の光磁気記録媒体の再生方法は、複数層の磁性層が積
層されている光磁気記録媒体の再生方法であって、垂直
磁化の向きの記録マークとして情報を記録する磁性層で
ある記録層と、上記記録層の上層に形成され、上記記録
層と交換結合する磁性層である再生調整層と、上記再生
調整層の上層に形成され、上記再生調整層と交換結合す
る磁性層である切断層と、上記切断層の上層に形成さ
れ、上記切断層と交換結合し、上記記録マークを再生す
る磁性層である再生層とを有し、上記再生層は上記再生
調整層よりも磁壁抗磁力が小さく磁壁移動度が大きい磁
性層であり、上記再生調整層の記録マークが消失する温
度は、上記記録層の記録マークが消失する温度より低い
光磁気記録媒体に対して、再生光を照射したときに記録
層が達する温度が、少なくとも上記記録層の記録マーク
が消失する温度以下となるように再生光を照射する。
には、上記再生光として、上記再生調整層の記録マーク
が消失した時点での再生光よりも低エネルギーの再生光
のみを照射する。
明の光磁気記録媒体の再生方法は、複数層の磁性層が積
層されている光磁気記録媒体の再生方法であって、垂直
磁化の向きの記録マークとして情報を記録する磁性層で
ある記録層と、上記記録層の上層に形成され、上記記録
層と交換結合する磁性層である再生調整層と、上記再生
調整層の上層に形成され、上記再生調整層と交換結合
し、上記記録マークを再生する磁性層である再生層とを
有し、上記再生調整層の記録マークが消失する温度は、
上記記録層の記録マークが消失する温度より低く、上記
再生調整層の記録マークが消失する温度以上となった領
域において、上記再生層での再生が不可能となる光磁気
記録媒体に対して、再生光を照射したときに記録層が達
する温度が、少なくとも上記記録層の記録マークが消失
する温度以下となるように再生光を照射する。
には、上記再生光として、上記再生調整層の記録マーク
が消失した時点での再生光よりも低エネルギーの再生光
のみを照射する。
光のエネルギー値を上げていって光スポット内の媒体の
温度が高くなると、再生調整層の記録マークが記録層よ
りも先に消失するので、再生調整層の記録マークが消失
した時点で、再生光よりも高エネルギーの再生光の照射
を行わないようにすることができ、記録層の記録マーク
の消失を未然に防ぐことができる。
て図面を用いて詳しく説明する。
クの断面図である。ディスク基板1に、誘電膜2を介し
て、光磁気記録積層体3が形成されており、保護層4で
保護されている。光磁気記録積層体3は、記録層10、
再生調整層11、切断層12および再生層13の4層の
磁性層からなる構成である。上記の記録層10、再生調
整層11、切断層12および再生層13の光磁気記録層
を構成する各磁性層は、それぞれ多層構成とすることが
できる。
の記録および再生方法を説明するための模式図である。
上記のように、光磁気記録積層体3は少なくとも4層の
磁性層が積層されて形成されており、垂直磁化の向きに
より情報を記録する磁性層である記録層10と、記録層
10の上層に形成され、記録層10と交換結合する磁性
層である再生調整層11と、再生調整層11の上層に形
成され、再生調整層11と交換結合する磁性層である切
断層12と、切断層12の上層に形成され、切断層12
と交換結合し、記録層10よりも磁壁抗磁力が小さく磁
壁移動度が大きい磁性層である再生層(移動層)13と
を有する。
に再生用のレーザ光Lが照射されたときの光磁気記録積
層体3の温度プロファイルを示す。レーザ光Lの強度プ
ロファイルに応じて、光磁気記録積層体3の温度は1つ
のピーク位置を形成して上昇する。このとき、光磁気記
録積層体3(光磁気ディスク本体)は図2(a)の矢印
D M の方向に移動しており、光磁気記録積層体3におけ
る熱伝導速度が光磁気記録積層体3の移動速度よりも遅
いので、温度プロファイルのピーク位置は、再生用のレ
ーザ光Lのスポットから矢印DM の方向にずれた位置と
なる。
記録層10のキュリー温度TC10 、再生調整層11のキ
ュリー温度TC11 、切断層12のキュリー温度TC12 、
再生層13のキュリー温度TC13 について、記録層10
のキュリー温度TC10 、再生調整層11のキュリー温度
TC11 と再生層13のキュリー温度TC13 は、切断層1
2のキュリー温度TC12 よりも高く設定されている。従
って、図2(b)の温度プロファイルにおいて、切断層
12のキュリー温度TC12 よりも高温となった領域で、
切断層12と再生調整層11との交換結合および切断層
12と再生層13との交換結合が切断される。
イルに従った磁壁エネルギー密度σのプロファイルを示
す。再生層13は、記録層10よりも磁壁抗磁力が小さ
く、磁壁移動度が大きい磁性層であることから、上記の
ような磁壁エネルギー密度σの低い領域が生成すると、
図2(a)に示すように、切断層12と再生調整層11
との交換結合および切断層12と再生層13との交換結
合が切断された領域において、再生層13中の磁壁が再
生層13の磁壁エネルギー密度の安定点に向かい、温度
勾配により駆動力を与えられて、例えば〜20m/秒の
速度で高速に移動する(図中WDで示す)。
のスポット中に入ると、その磁壁が磁壁エネルギー密度
の安定点まで逐次移動していく。このため、記録層10
中の記録マークと同じマーク、即ち、再生調整層11中
の記録マークと同じマークとなっている再生層13中の
記録マークが、レーザ光Lのスポット領域内の再生層1
3中に広がっていくことになる。磁化の向きが逆転する
次の記録マークとの境の磁壁がレーザ光Lのスポット内
に入ると、その記録マークが直ちにレーザ光Lのスポッ
ト領域内の再生層13中に広がっていく。再生調整層1
1は、記録層10と交換結合している層であるので、上
記により記録層10に記録されたデータを再生すること
ができる。
で、レーザ光Lのスポット下を磁壁が移動するのに要す
る時間が、レーザ光Lのスポット下を記録層の最短記録
マークが通過するのに要する時間よりも長くならないよ
うに設定する必要がある。
再生調整層11の記録マークが消失する温度は、記録層
10の記録マークが消失する温度より低い構成となって
いる。即ち、再生光のエネルギー値を上げていって光ス
ポット内の媒体の温度が高くなると、再生調整層11の
記録マークが記録層10よりも先に消失する。通常、再
生光を照射したときに記録層10が達する温度が、少な
くとも記録層10の記録マークが消失する温度以下とな
るように再生光を照射するが、再生光のエネルギー値を
上げていって光スポット内の媒体の温度が高くなると、
あるエネルギー値において再生調整層11の記録マーク
の消失が生じ、この結果、再生層13におけるデータの
再生ができなくなる。
では記録層10の記録マークは消失してはいない。上記
のように再生層13におけるデータの再生ができなくな
ったと判断した時点で、それよりも高エネルギーの光を
入射させないようにすることで、記録層10の記録マー
クの消失を未然に防ぐことができる。記録層10の記録
マークが消失していなければ、媒体の温度が下がってく
ると再び記録層10と再生調整層11の交換結合が生じ
るので、上記と同様にして再生することが可能となる。
度は、記録層10の記録マークが消失する温度より低い
構成とするには、再生調整層11のキュリー温度TC11
が記録層10のキュリー温度TC10 よりも低い構成とす
ることで実現できる。再生調整層11のキュリー温度T
C11 は、記録層10のキュリー温度TC10 よりも10〜
60℃低い構成とすることが好ましい。
TC11 が記録層10のキュリー温度TC10 よりも高い場
合には、再生調整層11の記録マークが消失する温度近
傍において、再生調整層11の保磁力が記録層10の保
磁力より低い構成とすることで実現できる。
おいて、記録層10、再生調整層11、切断層12およ
び再生層13など、光磁気記録積層体3を構成する各磁
性層は、上記特性を満たす磁性材料を用いることがで
き、例えば、TbFeCo、TbFe、GdFe、Tb
FeCoAl、GdFeCoなどの合金を用いることが
できる。また、ディスク基板1は、光透過性の基板であ
ればよく、例えばポリカーボネートなどの樹脂基板を用
いることができる。誘電膜2は、光ディスクで広く用い
られている、ZnS−SiO2 あるいは窒化シリコンな
どを用いることができる。保護層4は、光ディスクで広
く用いられている、紫外線硬化樹脂あるいはPET(ポ
リエチレンテレフタレート)フイルムと紫外線硬化樹脂
の積層体などを用いることができる。
光のエネルギーとして、記録層の記録マークを消失する
エネルギー値よりも低いエネルギー値において再生が不
可能となるので、記録層の記録マークの消失を未然に防
ぐことができる。
した。即ち、光磁気記録積層体3として、TbFeCo
(TC =280℃)からなる70nmの記録層10、T
bFeCo(TC =250℃)からなる10nmの再生
調整層11、TbFeCoAl(TC =150℃)から
なる10nmの切断層12、GdFeCo(TC =25
0℃)からなる30nmの再生層13を積層して形成し
た。
した。即ち、光磁気記録積層体3として、TbFeCo
(TC =280℃)からなる70nmの記録層10、T
bFeCoAl(TC =150℃)からなる10nmの
切断層12、GdFeCo(TC =250℃)からなる
30nmの再生層13を積層して形成した。
試験 上記の試料A,Bについて、berの値を各再生光のエ
ネルギー(パワーPr)に対して測定した。図3(a)
は試料Aの測定結果を、図3(b)は試料Bの測定結果
を示す。図3(b)中、aはスイープ1回目の測定結
果、bはスイープ1000回後の結果、cはスイープ5
万回後の結果を示す。
ープの回数を重ねるにつれて、高エネルギー側でber
の値が上昇してくる閾値が次第に低下してきており、こ
の領域のエネルギーの光を照射することで記録層の記録
マークが消失してきていることを示している。図3
(a)の試料Aでは、berが最小となるレーザ光のエ
ネルギー範囲(例えば1×10-5以下の範囲)が試料B
よりも狭くなっているものの、上記のようなスイープの
回数を重ねるにつれて、高エネルギー側でberの値が
上昇して、閾値が次第に低下する現象は生じなかった。
度TC10 と再生調整層11のキュリー温度TC11 の差の
10℃あたり0.1mWずつ再生光エネルギーマージン
の上限が低下することがわかる。berが最小となるエ
ネルギー範囲の上限での再生が頻繁に起こるわけではな
いが、少なくともこのエネルギー範囲の上限で数万回の
再生に耐えられる設計とするには、試料Bの高エネルギ
ー側でberの値の変動幅(約0.1mW)から、記録
層10のキュリー温度TC10 と再生調整層11のキュリ
ー温度TC11 の差が10℃以上とすることが好ましい。
TC10 と再生調整層11のキュリー温度TC11 の差を大
きくすると、再生光エネルギーマージンが狭くなりすぎ
てしまう。通常の再生エネルギーマージンとして±10
%程度が必要とされており、上記のように10℃あたり
0.1mWずつマージンが狭くなることを考慮すると、
記録層10のキュリー温度TC10 と再生調整層11のキ
ュリー温度TC11 の差が60℃以下とすることが好まし
い。
り、例えばCAD方式などの超解像方式の光磁気ディス
クである。ディスク基板1に、誘電膜2を介して、光磁
気記録積層体3が形成されており、保護層4で保護され
ている。光磁気記録積層体3は、記録層10、再生調整
層11および再生層13の3層の磁性層からなる構成で
ある。上記の記録層10、再生調整層11および再生層
13の光磁気記録層を構成する各磁性層は、それぞれ多
層構成とすることができる。
くとも3層の磁性層が積層されて形成されており、垂直
磁化の向きにより情報を記録する磁性層である記録層1
0と、記録層10の上層に形成され、記録層10と交換
結合する磁性層である再生調整層11と、再生調整層1
1の上層に形成された磁性層である再生層13とを有す
る。CAD方式の場合、常温での再生層13における磁
化方向は反磁界が交換結合に勝るために面内に揃えられ
ているが、再生光が照射されて閾温度以上の温度となっ
た領域で、交換結合が勝って磁化方向は垂直方向とな
り、上向きか下向きかは再生調整層11の磁化の上下を
反映するようになる。これにより、再生光が照射されて
所定温度以上となった極めて狭い領域のみを再生するこ
とができる。
層11の記録マークが消失する温度は、記録層10の記
録マークが消失する温度より低い構成となっており、さ
らに、再生調整層の記録マークが消失する温度以上とな
った領域において、再生層での再生が不可能となってい
る。即ち、再生光のエネルギー値を上げていって光スポ
ット内の媒体の温度が高くなると、再生調整層11の記
録マークが記録層10よりも先に消失する。通常、再生
光を照射したときに記録層10が達する温度が、少なく
とも記録層10の記録マークが消失する温度以下となる
ように再生光を照射するが、再生光のエネルギー値を上
げていって光スポット内の媒体の温度が高くなると、あ
るエネルギー値において再生調整層11の記録マークの
消失が生じ、この結果、再生層13におけるデータの再
生が不可能となる構成である。
では記録層10の記録マークは消失してはいない。上記
のように再生層13におけるデータの再生ができなくな
ったと判断した時点で、それよりも高エネルギーの光を
入射させないようにすることで、記録層10の記録マー
クの消失を未然に防ぐことができる。記録層10の記録
マークが消失していなければ、媒体の温度が下がってく
ると再び記録層10と再生調整層11の交換結合が生じ
るので、上記と同様にして再生することが可能となる。
度は、記録層10の記録マークが消失する温度より低い
構成とするには、再生調整層11のキュリー温度TC11
が記録層10のキュリー温度TC10 よりも低い構成とす
ることで実現できる。再生調整層11のキュリー温度T
C11 は、記録層10のキュリー温度TC10 よりも10〜
60℃低い構成とすることが好ましい。
TC11 が記録層10のキュリー温度TC10 よりも高い場
合には、再生調整層11の記録マークが消失する温度近
傍において、再生調整層11の保磁力が記録層10の保
磁力より低い構成とすることで実現できる。
おいて、記録層10、再生調整層11、切断層12およ
び再生層13など、光磁気記録積層体3を構成する各磁
性層は、上記特性を満たす磁性材料を用いることがで
き、例えば、TbFeCo、TbFe、GdFe、Tb
FeCoAl、GdFeCoなどの合金を用いることが
できる。また、ディスク基板1は、光透過性の基板であ
ればよく、例えばポリカーボネートなどの樹脂基板を用
いることができる。誘電膜2は、光ディスクで広く用い
られている、ZnS−SiO2 あるいは窒化シリコンな
どを用いることができる。保護層4は、光ディスクで広
く用いられている、紫外線硬化樹脂あるいはPET(ポ
リエチレンテレフタレート)フイルムと紫外線硬化樹脂
の積層体などを用いることができる。
光のエネルギーとして、記録層の記録マークを消失する
エネルギー値よりも低いエネルギー値において再生が不
可能となるので、記録層の記録マークの消失を未然に防
ぐことができる。
い。例えば、第1実施形態はDWDD方式の光磁気ディ
スクについて説明しているが、これに限らず、第2実施
形態のようなCAD方式の光磁気ディスクなどの、記録
層と再生層を有し、再生光のエネルギーが高い場合にお
いて記録層の記録マークを消去してしまう光磁気ディス
クに適用可能である。また、光磁気記録積層体を構成す
る各磁性層のキュリー温度やその材料および膜厚など
は、上記の実施形態で説明したものに限定されず、適宜
選択することが可能である。その他、本発明の要旨を変
更しない範囲で種々の変更をすることができる。
光のエネルギーとして、記録層の記録マークを消失する
エネルギー値よりも低いエネルギー値において再生が不
可能となるので、記録層の記録マークの消失を未然に防
ぐことができる。
によれば、再生光のエネルギー値を上げていって光スポ
ット内の媒体の温度が高くなると、再生調整層の記録マ
ークが記録層よりも先に消失するので、再生調整層の記
録マークが消失した時点で、再生光よりも高エネルギー
の再生光の照射を行わないようにすることができ、記録
層の記録マークの消失を未然に防ぐことができる。
面図である。
体の光磁気記録層の断面図であり、(b)は再生用レー
ザ光が照射されたときの光磁気記録層の温度プロファイ
ルであり、(c)は再生層の磁壁エネルギー密度のプロ
ファイルである。
ト)の再生光エネルギー(パワー)依存性を示す図であ
る。
面図である。
ある。
磁気記録層の断面図であり、(b)は再生用レーザ光が
照射されたときの光磁気記録層の温度プロファイルであ
り、(c)は再生層の磁壁エネルギー密度のプロファイ
ルである。
体、4…保護層、10…記録層、11…再生調整層、1
2…切断層、13…再生層、L…レーザ光、WD…磁壁
移動、DM …光磁気記録積層体の移動方向。
Claims (14)
- 【請求項1】複数層の磁性層が積層されている光磁気記
録媒体であって、 垂直磁化の向きの記録マークとして情報を記録する磁性
層である記録層と、 上記記録層の上層に形成され、上記記録層と交換結合す
る磁性層である再生調整層と、 上記再生調整層の上層に形成され、上記再生調整層と交
換結合する磁性層である切断層と、 上記切断層の上層に形成され、上記切断層と交換結合
し、上記記録マークを再生する磁性層である再生層とを
有し、 上記再生層は上記再生調整層よりも磁壁抗磁力が小さく
磁壁移動度が大きい磁性層であり、 上記再生調整層の記録マークが消失する温度は、上記記
録層の記録マークが消失する温度より低い光磁気記録媒
体。 - 【請求項2】上記切断層のキュリー温度以上となった領
域において、上記切断層と上記再生層との交換結合およ
び上記切断層と上記再生調整層との交換結合が切断さ
れ、上記再生層中の磁壁が当該再生層の温度プロファイ
ルに従った磁壁エネルギー密度の安定点に向かって移動
する請求項1記載の光磁気記録媒体。 - 【請求項3】上記再生調整層の記録マークが消失する温
度以上となった領域において、上記再生層での再生が不
可能となる請求項1記載の光磁気記録媒体。 - 【請求項4】上記再生調整層のキュリー温度は、上記記
録層のキュリー温度よりも低い請求項1記載の光磁気記
録媒体。 - 【請求項5】上記再生調整層のキュリー温度は、上記記
録層のキュリー温度よりも10〜60℃低い請求項4記
載の光磁気記録媒体。 - 【請求項6】上記再生調整層のキュリー温度は、上記記
録層のキュリー温度よりも高く、 上記再生調整層の記録マークが消失する温度近傍におい
て、上記再生調整層の保磁力が上記記録層の保磁力より
低い請求項1記載の光磁気記録媒体。 - 【請求項7】複数層の磁性層が積層されている光磁気記
録媒体であって、 垂直磁化の向きの記録マークとして情報を記録する磁性
層である記録層と、 上記記録層の上層に形成され、上記記録層と交換結合す
る磁性層である再生調整層と、 上記再生調整層の上層に形成され、上記再生調整層と交
換結合し、上記記録マークを再生する磁性層である再生
層とを有し、 上記再生調整層の記録マークが消失する温度は、上記記
録層の記録マークが消失する温度より低く、 上記再生調整層の記録マークが消失する温度以上となっ
た領域において、上記再生層での再生が不可能となる光
磁気記録媒体。 - 【請求項8】上記再生調整層のキュリー温度は、上記記
録層のキュリー温度よりも低い請求項7記載の光磁気記
録媒体。 - 【請求項9】上記再生調整層のキュリー温度は、上記記
録層のキュリー温度よりも10〜60℃低い請求項8記
載の光磁気記録媒体。 - 【請求項10】上記再生調整層のキュリー温度は、上記
記録層のキュリー温度よりも高く、 上記再生調整層の記録マークが消失する温度近傍におい
て、上記再生調整層の保磁力が上記記録層の保磁力より
低い請求項7記載の光磁気記録媒体。 - 【請求項11】複数層の磁性層が積層されている光磁気
記録媒体の再生方法であって、 垂直磁化の向きの記録マークとして情報を記録する磁性
層である記録層と、上記記録層の上層に形成され、上記
記録層と交換結合する磁性層である再生調整層と、上記
再生調整層の上層に形成され、上記再生調整層と交換結
合する磁性層である切断層と、上記切断層の上層に形成
され、上記切断層と交換結合し、上記記録マークを再生
する磁性層である再生層とを有し、上記再生層は上記再
生調整層よりも磁壁抗磁力が小さく磁壁移動度が大きい
磁性層であり、上記再生調整層の記録マークが消失する
温度は、上記記録層の記録マークが消失する温度より低
い光磁気記録媒体に対して、 再生光を照射したときに記録層が達する温度が、少なく
とも上記記録層の記録マークが消失する温度以下となる
ように再生光を照射する光磁気記録媒体の再生方法。 - 【請求項12】上記再生光として、上記再生調整層の記
録マークが消失した時点での再生光よりも低エネルギー
の再生光のみを照射する請求項11に記載の光磁気記録
媒体の再生方法。 - 【請求項13】複数層の磁性層が積層されている光磁気
記録媒体の再生方法であって、 垂直磁化の向きの記録マークとして情報を記録する磁性
層である記録層と、上記記録層の上層に形成され、上記
記録層と交換結合する磁性層である再生調整層と、上記
再生調整層の上層に形成され、上記再生調整層と交換結
合し、上記記録マークを再生する磁性層である再生層と
を有し、上記再生調整層の記録マークが消失する温度
は、上記記録層の記録マークが消失する温度より低く、
上記再生調整層の記録マークが消失する温度以上となっ
た領域において、上記再生層での再生が不可能となる光
磁気記録媒体に対して、 再生光を照射したときに記録層が達する温度が、少なく
とも上記記録層の記録マークが消失する温度以下となる
ように再生光を照射する光磁気記録媒体の再生方法。 - 【請求項14】上記再生光として、上記再生調整層の記
録マークが消失した時点での再生光よりも低エネルギー
の再生光のみを照射する請求項13に記載の光磁気記録
媒体の再生方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001358059A JP2003157594A (ja) | 2001-11-22 | 2001-11-22 | 光磁気記録媒体およびその再生方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001358059A JP2003157594A (ja) | 2001-11-22 | 2001-11-22 | 光磁気記録媒体およびその再生方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003157594A true JP2003157594A (ja) | 2003-05-30 |
JP2003157594A5 JP2003157594A5 (ja) | 2005-06-30 |
Family
ID=19169304
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001358059A Pending JP2003157594A (ja) | 2001-11-22 | 2001-11-22 | 光磁気記録媒体およびその再生方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2003157594A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004090883A1 (ja) * | 2003-04-01 | 2004-10-21 | Fujitsu Limited | 光磁気記録媒体 |
-
2001
- 2001-11-22 JP JP2001358059A patent/JP2003157594A/ja active Pending
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WO2004090883A1 (ja) * | 2003-04-01 | 2004-10-21 | Fujitsu Limited | 光磁気記録媒体 |
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