JP3264868B2 - 光磁気記録媒体、再生方法および再生装置 - Google Patents

光磁気記録媒体、再生方法および再生装置

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JP3264868B2 JP23245797A JP23245797A JP3264868B2 JP 3264868 B2 JP3264868 B2 JP 3264868B2 JP 23245797 A JP23245797 A JP 23245797A JP 23245797 A JP23245797 A JP 23245797A JP 3264868 B2 JP3264868 B2 JP 3264868B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録媒体上に形成
されていた記録マークの磁壁を温度勾配を形成すること
により移動させ、この記録マークを磁気光学効果を利用
して再生するための光磁気記録媒体、この光磁気記録媒
体の再生方法、およびその再生を行なう再生装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、光磁気ディスクの高密度化の技術
として、磁気的な作用を利用した光学的な分解能に依存
しない超解像再生と呼ばれる方法が多く研究されるよう
になってきている。例えば、スポットにより形成される
温度分布の温度勾配を利用して微小な光磁気マークの磁
壁を移動させ十分な信号レベルで信号再生を行う特開平
06−290496号公報のようなものがある。
【0003】特開平06−290496号公報では、以
下のような技術が開示されている。図4に示すように、
波長780nmのレーザーと波長1.3μmのレーザー
からのビームを、記録媒体のトラツク51上に二つのス
ポット、スポット1、スポット2として近接して形成す
る。ここで、前記記録媒体は、図5に模式的断面図とし
て示されるようになっていて、第1の磁性層は周囲温度
近傍の温度において第3の磁性層に比べて相対的に磁壁
抗磁力が小さく磁壁移動度の大きい垂直磁化膜からな
り、第2の磁性層は、第1磁性層及び第3の磁性層より
もキュリー温度の低い磁性層からなり、第3の磁性層
は、垂直磁化膜である。また、その記録媒体ではトラッ
ク間は磁性的に分断されていて磁壁は形成されていな
い。そこで、波長1.3μmのスポット2の作る温度分
布41において、第2の磁性層のキュリー温度近傍Ts
で、第1と第2の磁性層間の交換結合が切断され、第1
の磁性層の磁壁が温度の高い方へ先の温度分布41のピ
ーク温度Tp位置記録まで移動し、マーク61が拡大さ
れる。そして、その拡大された記録マークを近接してあ
る波長780nmのスポットで再生する。こうして、光
学的分解能以下の微小な記録マークを拡大再生を可能と
する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例のような場
合、以下のことが問題となる。すなわち、前記光磁気記
録媒体へのデータの記録は、媒体を移動させながら第3
の磁性層がキュリー温度Tc以上になるような光パワー
を照射して外部磁界を変調する等によりなされる。その
際、キュリー温度領域に対してあるレベルよりもトラッ
ク幅が広いと、記録された結果形成されるマークが以下
のようになる。すなわち、図6で示すように、例えばマ
ーク65の再生時に、一つの磁壁66が完全に第2の磁
性層のキュリー温度Ts領域内に侵入しないうちに、次
の磁壁67の一部が第2の磁性層のキュリー温度Ts領
域内に侵入してくるような形状となる。その結果、再生
時に再生信号が大きく乱れる。
【0005】また、第2の磁性層のキュリー温度領域に
デトラックが生じている場合には、上記現象がさらに顕
著となる。
【0006】本発明の目的は、上記問題に鑑み、最短マ
ーク長の記録データに対して、適正なトラック幅、トラ
ックピッチを有する光磁気記録媒体、この光磁気記録媒
体の再生方法、およびその再生を行なう再生装置を提供
することにある。
【0007】本発明は次のようである。 1.最短マーク長がDである一連の記録マークが形成さ
れ、該記録マークの磁壁をトラックに沿って移動させ、
記録マークを拡大することにより情報を再生する光磁気
記録媒体において、以下の条件 W<2・((2・P・D)1/2−D)、或は W<2・((2・P・D)1/2−0.1P−D) (W:トラック幅、P:トラックピッチ) を満足することを特徴とする光磁気記録媒体。 2.上記光磁気記録媒体から記録情報を再生することを
特徴とする再生方法。 3.上記光磁気記録媒体から記録情報を再生することを
特徴とする再生装置。また、本発明光磁気記録媒体に
おいては、少なくとも、情報の再生に寄与し、磁壁が移
動する移動層(第1の磁性層)と、情報に応じた記録磁
区を保持するメモリ層(第3の磁性層)と、前記移動層
とメモリ層の間に配置され、前記両層よりキュリー温度
が低い遮断層(第2の磁性層)とを備えることが好まし
く、前記移動層は隣接するトラック間で互いに磁気的に
分断されていることが好ましい。
【0008】このような構成により、再生時に一つの磁
壁が完全に第2の磁性層のキュリー温度領域内に侵入し
ないうちに、次の磁壁の一部が第2の磁性層のキュリー
温度領域内に侵入してくることを防止する。かかる発明
によれば、光学的分解能以下の微小な記録マークが安定
に再生される光磁気記録媒体が提供可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明について説明する。図1に本発明に係る、データ記録
時の、第3の磁性層のキュリー温度Tcの等温線とトラ
ックの関係の模式図を示す。
【0010】デトラックがない時の第3の磁性層のキュ
リー温度Tcの等温線を等温線3、トラック21の幅を
W、トラックピッチをP、記録時のデトラックをdと
し、その時のキュリー温度Tcの分布を等温線13と
し、所望の記録データマーク31の最短のマーク長をD
とする。ここで、図2に示すように記録に寄与するトラ
ックの移動方向に対して下流側のキュリー温度Tcの等
温線3の形状を円で近似し、その半円を半円3’、デト
ラック時の半円を半円13’とし、その半径をTとす
る。
【0011】さて、従来例の図6にて説明したような問
題を避けるためには、第3の磁性層のキュリー温度Tc
の等温線を極力大きくすればよいことが図4、図6より
分かる。しかし、大きすぎると、記録の際に隣接トラッ
クをも記録(または消去)してしまうことになる。した
がって、クロスイレーズを避けるためには、キュリー温
度Tcの等温線13は隣接トラックの内側になければな
らない。すなわち、図2より、 T<P−W/2−d −(1) ところで、図中幅Sは、キュリー温度Tcの等温線13
のトラック移動方向先端とキュリー温度Tcの等温線1
3がトラック幅Wで切られる両側2ケ所の位置のうち、
トラック方向の間隔の大きい方の値を示している。した
がって、形成されるマーク31の円弧形状は、その幅S
で特徴づけられる。
【0012】ここで、図2において、 T−S=(T2−(W/2+d)21/2 −(2) したがって、(1)、(2)式より S>(P−W/2−d)−(P2−P・W−2・d・P)1/2 −(3) となる。
【0013】ここで、従来例の図5で示されたように、
マークと第2の磁性層のキュリー温度Tsの関係を考え
る。第2の磁性層のキュリー温度Tsは、第3の磁性層
のキュリー温度Tcに比べてかなり低く、また、Tsの
温度分布が隣接トラックにかかってもデータの消去等は
生じない。制限は、読み出しトラックで、第3の磁性層
がキュリー温度Tcに至らないということになる。ま
た、その範囲で高いパワーで再生することにより、信号
レベルが大きくでき、高S/Nが期待できる。したがっ
て、第2の磁性層のキュリー温度Tsの等温線4の形状
はかなり大きな円弧にできる。しかし、マークの円弧に
沿う形状となることはできない。
【0014】よって、少なくとも、所望のマークの最短
長Dは、幅Sに比較して大きいことが最低限の必要条件
となる。すなわち、 D>S −(4) (3)、(4)式より D>(P−W/2−d)−(P2−P・W−2・d・P)1/2 −(5) これをトラック幅Wに対する制限とすると、変形して、 W<2・((2・P・D)1/2−d−D) −(6) ここで、デトラックd=0として W<2・((2・P・D)1/2−D) −(7) したがって、デトラックがほとんど無い場合、(7)式
を満足すればよいこととなる。
【0015】しかしながら、一般には、光磁気記録媒体
に係る装置では、多少のデトラックが考慮しなければな
らない。一般には、デトラックdはトラックピッチの1
/10程度以内である。すると(6)式は W<2・((2・P・D)1/2−0.1・P−D) −(8) となる。したがって、(8)式を満足することが望まし
い。
【0016】(7)、(8)式を満足するようにした結
果として、再生時の、Ts等温線と記録データマークの
関係は図3のようになる。したがって、マーク62の再
生時に、一つの磁壁63が完全に第2の磁性層のキュリ
ー温度Ts領域内に侵入したのち、次の磁壁64の一部
が第2の磁性層のキュリー温度Ts領域内に侵入してく
ることになり、安定した再生信号が得られる。
【0017】
【実施例】
実施例1 第1の磁性層としてGdCo層を300オングストロー
ム、第2の磁性層としてDyFe層を100オングスト
ローム、第3の磁性層としてTbFeCo層を400オ
ングストローム、上下に干渉層、保護層としてSiN層
を800オングストロームの膜構成とした光磁気記録媒
体を用意した。この構成の光磁気記録媒体のトラック
幅、トラックピッチ、最短マーク長を表1に示す値に変
えて試験を行った。記録再生装置は、従来例では2光源
であったが、記録再生用と加熱用が同一であっても問題
はなく、本案ではNA=0.55、波長680nmの単
一光源装置である。
【0018】
【表1】 実験に際して、記録は、クロスイレーズが生じない範囲
で、再生は、隣接トラックのデータ破壊が生じない範囲
で、なるべく高いパワーで行った。その結果表1の組み
合わせにおいて、高S/Nな良好な記録再生特性が確認
された。
【0019】本発明は、温度勾配により、磁壁を移動さ
せてマークを拡大させて再生するための光磁気媒体に関
するものであり、図3に示される層構成に限られるもの
ではない。
【0020】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、再
生時に、一つの磁壁が完全に第2の磁性層のキュリー温
度領域内に侵入しなしうちに、次の磁壁の一部が第2の
磁性層のキュリー温度領域内に侵入してくることを防止
するように、最短マーク長とトラックピッチとトラック
幅の関係を設定したので、光学的分解能以下の微小な記
録マークが安定に再生され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る、データ記録時の、第3の磁性層
のキュリー温度Tcの等温線とトラックの関係を示す模
式図である。
【図2】図1における第3の磁性層のキュリー温度Tc
の等温線のトラック移動方向に対して下流側を半円近似
した図である。
【図3】本発明における再生時のTs等温線と記録デー
タマークの関係を示す図である。
【図4】従来例を示す図である。
【図5】従来例、本発明双方に関係する記録媒体の構成
を示す模式的断面図である。
【図6】従来例における再生時のTs等温線と記録デー
タマークの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 再生用スポット 2 加熱用スポット 3 Tc等温線 4 Ts等温線 13 Tc等温線 21 トラック 31 記録マーク 41 温度分布 51、52 トラック 61、62 記録マーク 63、64 磁壁

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最短マーク長がDである一連の記録マー
    クが形成され、該記録マークの磁壁をトラックに沿って
    移動させ、記録マークを拡大することにより情報を再生
    する光磁気記録媒体において、以下の条件 W<2・((2・P・D)1/2−D)、或は W<2・((2・P・D)1/2−0.1P−D) (W:トラック幅、P:トラックピッチ) を満足することを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 少なくとも、情報の再生に寄与し、磁壁
    が移動する移動層と、情報に応じた記録磁区を保持する
    メモリ層と、前記移動層とメモリ層の間に配置され、前
    記両層よりキュリー温度が低い遮断層とを備える請求項
    1記載の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記移動層は隣接するトラック間で互い
    に磁気的に分断されている請求項2記載の光磁気記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか一項記載の光
    磁気記録媒体から記録情報を再生することを特徴とする
    再生方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれか一項記載の光
    磁気記録媒体から記録情報を再生することを特徴とする
    再生装置。
JP23245797A 1997-08-28 1997-08-28 光磁気記録媒体、再生方法および再生装置 Ceased JP3264868B2 (ja)

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