JP3259706B2 - 情報記録再生装置および情報記録再生システム - Google Patents

情報記録再生装置および情報記録再生システム

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JP3259706B2
JP3259706B2 JP02753999A JP2753999A JP3259706B2 JP 3259706 B2 JP3259706 B2 JP 3259706B2 JP 02753999 A JP02753999 A JP 02753999A JP 2753999 A JP2753999 A JP 2753999A JP 3259706 B2 JP3259706 B2 JP 3259706B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学的に情報を記
録再生する方式と、情報を記録再生する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報通信・映像音響の各分野で、
光学的な情報記録再生装置が盛んに開発されている。中
でも、円盤状の基板に凹凸のピット列として情報を記録
し、放射光を微小スポットに集束しすることで再生する
方式の光ディスクは、音響分野でコンパクト・ディスク
(以下、CD)として規格化され広く普及している。こ
の方式の光ディスクは、ピットでの干渉(回折)現象に
起因する反射率の大小を検出することによって再生を行
うもので、現在のCDの規格においては、ピット部と非
ピット部との反射率差は30%程度が期待できる。また
再生信号はピットの有無の2値であり、情報は変調され
ピットの長さあるいはその間隔として表されている。つ
まり、情報は記録媒体の面内方向の寸法として記録され
ているため、記録密度はスポットの大きさ(回折限界)
によって制限されている。
【0003】さらに、上記の放射光の回折現象を用いた
方式に比べ再生感度を著しく向上することを目的として
エバネッセント波と呼ばれる非放射光を利用した情報記
録再生方式が提案されている(例えば、特開平4−14
620号公報)。以下、図面を参照しながら従来の情報
記録再生方式について説明する。
【0004】図14は従来の情報記録再生方式における
再生装置の構成図である。図14において、101は記
録媒体であり、石英の基盤102上に銀を500オング
ストローム蒸着して金属層103を形成し、さらにその
上にアラキジン酸カドミウム塩の単分子膜から成る誘電
体層104を積層したものである。110は石英のプリ
ズム(屈折率1.46)であり、スペーサ105によっ
て上記記録媒体101の表面から所定の距離を隔てた位
置に固定されている。上記プリズム110には、ヘリウ
ム・ネオンのレーザ光源121から光束が入射してお
り、プリズム底面110aに対する入射角θは任意の値
が得られるよう調整される。122は入射光をP偏光と
するための偏光子である。また123は入射光束をプリ
ズム底面110a上に約1μmのスポットに集光するた
めの集光レンズ(開口角70度、NA0.57)であ
る。プリズム底面110aからの反射光は受光レンズ1
24によって、フォトダイオード125に導かれ、その
光量を電気的信号に変換する。
【0005】以下、従来の情報記録再生方法の原理につ
いて説明する。初めに記録過程について説明する。上記
記録媒体101に放射光を照射するとその熱作用によっ
て誘電体層104に孔が生じ金属層103が露出する。
すなわち記録媒体101は誘電体層104の有無という
2値のデータを記録保存することができる。記録すべき
情報は2値データのピット列として表現されている。
【0006】次に再生過程について説明する。図15は
従来の情報記録再生方法の再生原理を示す図である。図
15のグラフの横軸は上記図14における入射角θ、縦
軸はフォトダイオード125の出力を反射率に換算した
ものである。実線はピット部(誘電体層104がある部
分)、破線は非ピット部(金属層103が露出している
部分)の特性を表している。入射角を連続的に変化させ
たとき、ピット部では45.1度、非ピット部では4
5.6度において反射率が急激に減衰する。これは、表
面プラズモン共鳴と呼ばれる現象で、プリズム底面11
0aの外側に発生したエバネッセント波の波数と角周波
数の関係(分散関係)が記録媒体101の金属層103
の表面に生ずる表面プラズモンの分散関係と一致したと
きに表面プラズモンが励起され、入射光のエネルギが共
鳴的に吸収されることで説明される。従って、入射角を
45.1度に固定した状態で入射光を記録媒体101の
面内に走査すると、ピット部で5%、非ピット部で96
%の反射率が得られ、約90%の反射率差でピットの有
無を検出することができる。放射光を利用した記録再生
方法と比較すると、CD等回折現象を用いた方法が約3
0%、媒体の相変化に伴う反射率変化を用いた方法が2
0%以下であるのに対して、エバネッセント波による表
面プラズモン共鳴を利用した方法は90%以上と再生感
度は著しく高い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エバネ
ッセント波を利用した情報記録再生方法は放射光を用い
た方法に比べ再生感度は高いが、上記した従来の情報記
録再生方法では、放射光を用いた方法と同様に記録密度
がピット密度によって制限されるという課題を有してい
た。すなわち、データはピットの有無の2値であり、記
録すべき情報を記録媒体の面内方向の位置情報に変換し
記録しているため記録密度を向上するためにはピット密
度を高くすることが必要となる。ところが、ピット密度
は記録時に形成するピットの大きさと再生時の再生光の
スポット径によって決定されている。CDのようなRO
M媒体を考えれば、記録時のピット径を小さくすること
は可能であるが、再生時のスポット径は光源の波長と集
光レンズのNAによって決定され、スポット径を小さく
するためには、短波長の光源かNAの大きなレンズが必
要となる。これはCD等の放射光を用いた方法が抱えて
る課題と全く同様であり、それらに比べ記録密度を向上
させることは極めて困難である。
【0008】本発明は上記課題に鑑み、従来の方法に比
べ記録密度を格段に向上できる情報記録再生装置および
情報記録再生システムを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の情報記録再生装置は、凹凸のピットを形成す
る記録層を有する媒体であり、かつ磁性体とを有する媒
体に対し、データを記録又は再生する情報記録再生装置
であって、レーザ光源と、前記光源からのレーザ光を基
にエバネッセント光を発生するエバネッセント波発生器
を有し、前記エバネッセント波発生器によって発生され
たエバネッセント波と前記記録層との相互作用の強度に
基づき、前記媒体の凹凸として記録された光記録データ
を再生する光学ヘッドと、前記媒体の磁性体に磁気記録
データを記録又は再生する磁気ヘッドと、前記磁気ヘッ
ドと前記光学ヘッドを制御して、磁気記録データ処理と
光記録データ再生処理を行うコントローラ部と、を有す
るという特徴を備えたものである た、本発明の情報
記録再生システムは、請求項1記載の情報記録再生装置
と、凹凸のピットとして光記録データを有する媒体であ
り、かつ、前記凹凸ピット上に、磁気記録データの記録
が行われる磁性体を配置した記録媒体とを備えたことを
特徴とする。
【0010】本発明の情報記録再生装置は、記録層とそ
れに近接した光ヘッドに励起したエバネッセント波との
相互作用を用いて情報の再生を行うものである。エバネ
ッセント波は非放射光で発生源からおよそ1波長以下の
距離で指数関数的に減衰するため、上記相互作用は光ヘ
ッドと記録層との距離に対して極めて敏感であるという
特徴を有する。そこで記録層にその面外方向の変位とし
て情報を記録すれば、それが高感度で検出されることと
なる。この作用によって、放射光を用いた記録再生方法
では再生感度の観点から困難であった記録層の面外方向
の変位を情報として用いることが可能となる。また、1
つの記録媒体に光記録データであるピットを構成すると
ともに、記録媒体表面を磁性体、あるいは記録媒体表面
を光記録膜としてその下に磁性体を配置し、記録再生ヘ
ッドは磁気ヘッドと光学ヘッドで構成し、光記録データ
をエバネッセント光の光トンネル現象を利用した情報記
録再生方法を用いることによって、再生感度が高くかつ
ロバストな、高密度記録再生装置、ひいては大容量記録
再生装置を実現することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施例につ
いて図面を参照しながら説明する。
【0012】本発明は、従来の情報記録再生方法に比べ
記録密度を格段に向上できる情報記録再生方法を提供す
ることを目的とし、その目的を達成するために、従来技
術に比べ1ピットに記録できる情報量を増加できる情報
記録再生方法と、加えて従来技術に比べピット密度を向
上できる情報再生装置とを提供するものである。
【0013】図1は本発明の第1の実施例における情報
再生装置の構成図である。図1において、1は円盤状の
記録媒体であり、材質はポリカーボネイト樹脂(屈折率
1.59)である。上記記録媒体1の表面には同心円状
の記録トラックが設けられている。各記録トラックには
d0からd3までの4種類の深さの異なるピットが形成
されており、深さはそれぞれd0:0μm(すなわち本
来の媒体表面)、d1:0.05μm、d2:0.11
μm、d3:0.27μmである(図1ではその様子を
模式的に表してある)。上記記録媒体1のピットが形成
されている表層を記録層1bと称する。上記記録媒体1
にはスピンドルモータ(図示せず)によって回転が与え
られている。上記記録層1bに対向する位置には光ヘッ
ド5が配されている。光ヘッド5は、エバネッセント波
発生器10、半導体レーザ21、コリメータ22、入射
光偏向プリズム23、反射光偏向プリズム24、レシー
バレンズ25、フォトダイオード26から構成されてい
る。半導体レーザ21からの放射光(波長780nm)
はコリメータ22によってコリメートされた後、入射光
偏向プリズム23によって偏向され、エバネッセント波
発生器10に入射している。エバネッセント波発生器1
0は直角プリズムの直角を挟む2面に屈折力を有する非
球面を形成したものであり、光学ガラスSF11(屈折
率1.79)で一体成形されている。エバネッセント波
発生器10の上記記録層1bに対向している面を反射面
10a、入射側の非球面を集光レンズ10b、出射側の
非球面を受光レンズ10cと称する。入射した光束は集
光レンズ10bよって開口角70度で集光している。ビ
ームウエストは反射面10aに一致しており、反射面1
0a上では入射角45.0度の平面波となっている。ま
た偏光はP偏光となっている。反射面10aからの反射
光は、受光レンズ10c(開口角70度)、反射光偏向
プリズム24、レシーバレンズ25によってフォトダイ
オード26に導かれている。なお、上記構成要素の内、
エバネッセント波発生器10、入射光偏向プリズム2
3、反射光偏向プリズム24は、動圧ヘッドスライダ
(図示せず)に搭載されており、それらを可動部5aと
総称する。動圧ヘッドスライダは記録トラック幅に比べ
十分大きく、流体潤滑効果により反射面10aから非ト
ラック部分(すなわち本来の媒体表面)までの垂直距離
が常に0.07μmに保たれよう可動部5aは記録媒体
1に追従している。以下その距離を浮上量hと称する。
【0014】以下、本発明第1の実施例における情報記
録再生の動作について説明する。本実施例は、本発明に
おける情報記録再生方法を、同一の情報を多数のユーザ
に供給するいわゆるデリバリー・メディアに適した形と
して実施したものである。
【0015】はじめに、記録過程について説明する。記
録すべき情報を、0から3までの4つの値を用いた時系
列的データに変調する。データ0〜3をピット深さd0
〜d3に対応させ、レーザ・カッティング技術を用いて
原盤を作成する。原盤からスタンパを作り、プラスチッ
ク成形によって記録媒体1を複製する。以上の工程によ
って、元の情報は深さ方向に4つの値を有する変調され
たピット列として記録媒体1上に記録保存される。すな
わち、記録層1bの面外方向の変位も情報として用いて
いるため、従来の2値データのよる記録に比べ、1ピッ
トに記録できる情報量は少なくとも2倍増加している。
【0016】次に、再生過程について図1、図2を用い
て説明する。本実施例における再生過程は、以下に述べ
るようにアテヌエーテッド・トータル・リフレクション
に起因する上記反射面10aの反射率減衰からピット深
さを検出し、それを元の情報に復調するものである。一
般に、屈折率の大きい媒質と小さい媒質との境界面に対
して光が臨界角以上の角度で入射するとき、全反射が生
じ境界面の反射率は1となる。しかしながら屈折率の小
さい媒質中にもエネルギは存在し、境界面から離れるに
したがって指数関数的に減衰するエバネッセント波と呼
ばれる非放射光として局在する。エバネッセント波の等
価的進入距離は境界面の屈折率差及び入射角に依存する
が、通常1波長以下である。そこで第3の媒質を境界面
に極近接させて配置するとその距離に応じてエネルギが
流入し反射率は減衰する。この現象はアテヌエーテッド
・トータル・リフレクション(あるいはフラストレーテ
ッド・トータル・リフレクション)と呼ばれ、量子的に
は光子のトンネリング現象として説明される。本実施例
は、反射面10aへの入射角が45.0度と臨界角3
4.0度より大きく、かつ記録層1bが反射面10aに
波長以下の距離で近接して配してあるため、上記アテヌ
エーテッド・トータル・リフレクションが生じ、反射面
10aとスポット直下の記録層1b表面との距離(以
下、この距離を隙間sと称する)に応じて反射面10a
の反射率が変化する。図2は、第1の実施例における反
射率と隙間sとの関係を示す図である。隙間sが0μm
すなわちスポット直下において反射面10aと記録媒体
1が接触しているとき反射率は0、また隙間sが0.5
μm以上のとき反射率はほぼ1で全反射とみなせる。そ
の間で反射率は隙間sに対して単調増加する。したがっ
て、反射率を検出すれば、そのときの隙間sを一意的に
決定することができる。いま、隙間sは浮上量hとスポ
ット直下のピットの深さとの和である。深さd0〜d3
の各ピットに対する反射率は、d0:20%、d1:5
5%、d3:70%、d4:95%である。したがっ
て、各ピットは反射率25%の差で判別される。記録媒
体1の回転に伴って、フォトダイオード26から4値に
振幅変調された時系列的信号が得られ、それを復調し元
の情報を再生する。
【0017】以上のように本実施例によると、記録媒体
表面の面外方向の変位を用いて情報を記録し、アテヌエ
ーテッド・トータル・リフレクションという現象を用い
て情報を高感度で再生するという情報記録再生方法によ
って、従来例に比べ1ピットに記録できる情報量を少な
くとも2倍増加することができる。また、本実施例では
4種類ピット深さを用いたが、8種類ピット深さを用い
たとき反射率の差10%で各ピットが識別された。この
場合、従来例に比べ1ピットに記録できる情報を少なく
とも3倍増加することができる。すなわち、本発明は、
エバネッセント波と記録媒体の相互作用が隙間に対して
極めて敏感であるという特性に着眼することによって、
記録媒体表面の面外方向の変位をも情報として用いるも
のである。従って、記録媒体の面内方向の位置のみを情
報とする従来の情報記録再生方法に比べて、記録密度を
格段に向上することができる。
【0018】次に本実施例において、従来例に比べピッ
ト密度が向上される動作について説明する。本実施例の
ピット密度は上記した再生装置のスポット径によって制
限されている点においては従来例と同様である。しかし
ながら本実施例は従来例においては困難であった波長以
下のスポット径を実現することによってピット密度を向
上するものである。一般に、スポット直径2wは次式の
ように、光源波長λと集光レンズの開口数NAにより決
定される。
【0019】 2w=k・λ/NA (1) ここで、kはレンズの形状や入射光の強度分布によって
決まる定数であり、ここではk=0.8を採用する。式
(1)より、光源波長が一定のとき、NAが大きいほど
小さなスポットを形成することが可能である。開口数N
Aは、集光レンズの開口角の半角αと、集光レンズと物
体の間の媒体の屈折率nによって次式で定義される。
【0020】 NA=n・sinα (2) 従来例においては、集光レンズが空気中に存在するため
n=1であり、NAは空気中の開口角によって一意的に
決定さる。前述のように、従来例の開口角2αは70度
で式(2)よりNA=0.57となる。スポット径2w
は式(1)より、1.4λである。従来例の構成におい
て波長に対するスポット径を小さくするためには、開口
角2αを大きくするしかないが、幾何学的制約からNA
は0.7が限界となる。またsinα≦1より、理論的
にNAは決して1を超えることはない。しかしながら、
本実施例の構成においては、反射面10aから集光レン
ズ10bまでの間をn=1.79の媒質で満たしている
ため、式(2)より従来例と同一の開口角70度であっ
てもNA=1.03という従来例では実現不可能であっ
た大きな値が得らる。式(1)より、2w=0.78λ
で光源波長以下の微細なスポット径が形成されている。
ピット密度はスポット直径の2乗に反比例するため、本
実施例は従来例に比べ3.3倍のピット密度が実現され
ている。
【0021】以上のように本実施例によると、反射面1
0aから集光レンズ10bの間を空気より大きい屈折率
を有する媒質で満たすという構成によって、従来の技術
では実現できなかった大きな値の開口数NAを実現する
ことか可能となり、ピット密度を飛躍的に増大すること
ができる。すなわち本発明においては、開口数NAは開
口角2αに制限されておらず、より屈折率の大きな材料
を用いることによってさらに大きなNAを得ることがで
きる。例えばジルコニア(n=2.20)を用いればN
A=1.26となり、2w=0.63λの微細なスポッ
トを得ることができる。なお、本実施例においては、集
光作用を1つの非球面によって実現しているが、本発明
はそれに限定されるものでなく、複数の曲面を用いて集
光する場合でも最終曲面から反射面までが空気より大き
い屈折率の媒質で満たされていればよい。また本実施例
においては、屈折力を有する面と反射面とを一体で同時
に成形する方法で製造しているので、焦点と反射面とを
金型の精度で正確に一致させることができる。従って信
頼性が向上するとともに、光路調整、光軸調整等が不要
となり組立時の工数を大幅に削減することができる。た
だし、本発明の光ヘッドでピット密度が向上できる効果
は製造方法によって限定されるものではなく、例えば別
加工した部材を接着等で組み立てることによって製造し
ても同様の効果が得られる。さらに本発明の光ヘッド
は、エバネッセント波を用いて記録媒体の幾何学的形状
あるいはその光学的特性を変化させることによって情報
の記録を行う情報記録装置、及びエバネッセント波を用
いて記録媒体に幾何学的形状あるいはその光学的特性と
して記録された情報を再生する情報再生装置のうち、放
射光を反射面上に集束しエバネッセント波を発生させる
構成のもの全てに適用できるものである。
【0022】以上のように本実施例によれば、1ピット
に記録できる情報量を向上することができ、加えてピッ
ト密度を向上することができるために、従来例に比べ記
録密度を格段に向上することができる。
【0023】以下、本発明第2の実施例について図面を
参照しながら説明する。
【0024】本発明の目的は、第1の実施例と同様に従
来の情報記録再生方法に比べ記録密度を格段に向上でき
る情報記録再生方法を提供すること、さらに信頼性に優
れた情報再生装置を提供すること、加えて情報記録時の
加工公差を広くできる記録媒体を提供することである。
【0025】図3は本発明の第2の実施例における情報
再生装置の構成図である。図3において、1は円盤状の
記録媒体であり、ポリカーボネイト樹脂の基板1aの上
に金から成る記録層1bを積層したものである。上記記
録媒体1の表面には同心円状の記録トラックが設けられ
ている。各記録トラックにはd0からd3までの4種類
の深さの異なるピットが形成されており、深さはそれぞ
れd0:0μm(すなわち本来の媒体表面)、d1:
0.13μm、d2:0.26μm、d3:0.53μ
mである(図3ではその様子を模式的に表してある)。
上記記録層1bに対向する位置には光ヘッド5が配され
ている。光ヘッド5は、光学ガラスBK7からなるエバ
ネッセント波発生器10を備えており、上記エバネッセ
ント波発生器10には反射面10aに対して入射角4
4.0度で光束が入射している。また、上記反射面10
aと上記記録層1b上の非トラック部分(すなわち本来
の表面)までの垂直距離は常に0.81μmに保たれて
いる(第1の実施例と同様にその距離を浮上量hと称す
る)。上述した記録媒体1の構成、エバネッセント波発
生器10の材質及び反射面10aへの入射角、浮上量を
除いて、本発明第2の実施例の構成は前述した第1の実
施例と同様でありここでの説明は割愛する。
【0026】以下、本発明第2の実施例における情報記
録再生の動作について説明する。
【0027】はじめに、記録過程について説明する。前
述した第1の実施例と同様の過程で基板1aに4つの値
をもつ変調されたピット列を形成する。次にその表面に
金をスパッタし記録層1bを形成する。以上の操作によ
って記録すべき情報は、記録層1bの面外方向の変位に
変調され記録保存される。第1の実施例と同様、従来の
2値データのよる記録に比べ、1ピットに記録できる情
報量は少なくとも2倍増加している。
【0028】次に、再生過程について図3および図4を
用いて説明する。図4は、第2の実施例における反射率
と隙間sとの関係を示す図である。反射率は隙間sが
0.67μmのとき0となる。これは表面プラズモン共
鳴という現象で、反射面10aの外側に発生したエバネ
ッセント波の波数と角周波数の関係(分散関係)が記録
層1bの表面に生ずる表面プラズモンの分散関係と一致
したときに、入射光のエネルギが共鳴的に吸収されるこ
とで説明される。光の角周波数は常に保存されるため、
本実施例はエバネッセント波の波数が所望の値となる入
射角を選択することによって分散関係を一致させてい
る。任意の金属に表面プラズモン共鳴を起こすために
は、波数と隙間の2つを所定の値とすることが必要であ
り、本実施例の構成における入射角44.0度、隙間
0.67μmは、記録層1bの金に対してその条件を満
足するものである。換言れば、入射角あるいは隙間が上
記条件から変化すれば、それが反射率に敏感に反映され
ることとなり、図4の特性は表面プラズモン共鳴の隙間
に対する依存性が反射率変化となって表われたものであ
る。本実施例はこの表面プラズモン共鳴の隙間に対する
依存性を利用し、反射率を測定することで隙間量を検出
するものである。ここで、隙間sは浮上量hとスポット
直下のピットの深さとの和である。図4より、深さd0
〜d3の各ピットに対する反射率は、d0:15%、d
1:40%、d3:65%、d4:90%である。した
がって、反射率25%の差で各ピットが判別される。記
録媒体1の回転に伴って、フォトダイオード26から4
値に振幅変調された時系列的信号が得られ、それを復調
し元の情報を再生する。
【0029】以上のように本実施例によると、1ピット
に記録できる情報量は従来例に比べ少なくとも2倍増加
することができる。また本実施例では4種類ピット深さ
を用いたが、8種類ピット深さを用いたとき反射率差1
2.5%で各ピットが識別された。この場合、従来例に
比べ1ピットに記録できる情報量を少なくとも3倍増加
することができる。すなわち本実施例は、表面プラズモ
ン共鳴を用いて記録層に記録された情報を再生するとい
う点においては従来方法と同様であるが、本発明は表面
プラズモン共鳴が隙間に対して極めて敏感であるという
特性に着眼することによって、記録層の面外方向の変位
をも情報として用いるものである。従って、従来の方法
が記録媒体の面内方向の位置のみを情報としていたのに
対して、本発明の情報記録再生方法は加えて面外方向の
変位も情報としている用いているため記録密度を格段に
向上することができる。
【0030】また、前述した第1の実施例の記録媒体は
記録層に誘電体を用いていたのに対して、本実施例の記
録媒体は記録層に金属を用いているため、図2、図4か
ら明らかなように、記録媒体と光ヘッドの距離を第1の
実施例に比べ広くすることができる。従って、記録媒体
と光ヘッドとの衝突の危険性を回避することが容易とな
り、信頼性を大幅に向上することができる。加えて、各
ピットの深さの差も広くすることができるため、記録過
程におけるピット深さ公差を広くできるという効果を有
する。なお、本実施例の記録媒体は記録層として金を用
いたが、本発明はそれに限定されるものでなく、その他
の金属を用いたものであってもよく、さらに複素誘電率
の実部が負の値をもつ材料であれば磁性体、非磁性体を
問わず全てに適用できるものである。また、記録層の上
に保護層を設けたものであってもよく、その場合記録層
と保護層との界面に発生する表面プラズモンと分散関係
が一致するエバネッセント波を発生させるよう屈折率、
入射角等を選択すればよい。
【0031】また、第1の実施例、第2の実施例におい
て、臨界角以上の入射角で反射面に放射光を入射させる
方法で発生させたエバネッセント波を用いているが、本
発明の情報記録再生方法はそれに限定されるものではな
く、例えば波長以下の径のアパーチャを通過させる方
法、周期的な構造をもつ部材に放射光を反射あるいは透
過させる方法等によって発生させたエバネッセント波を
用いてもよく、エバネッセント波と記録層との相互作用
を用いるもの全てに適用されるものである。また、エバ
ネッセント波と記録層との相互作用の強度変化から記録
層の面外方向の位置情報を検出する方法を用いたが、相
互作用が一定となるように、エバネッセント波の励起源
あるいは記録媒体の位置を制御し、その制御量から記録
層の面外方向の位置情報を検出する方法であってもよ
い。
【0032】以下本発明の第3の実施例の情報記録再生
装置について、図面を参照しながら説明する。
【0033】本発明の目的は、磁気記録と光記録の両方
を兼ね備えて記録密度を向上することによって、高密度
記録再生装置、ひいては大容量記録再生装置を実現する
ことである。
【0034】図5は本発明の第3の実施例における情報
記録再生装置の構成を示す全体図である。
【0035】図5において、1は記録媒体であるディス
ク、1aは磁性体、1bは凹凸ディスク基板、2は記録
再生ヘッド、4は磁気ヘッド、5は光学ヘッド、10は
エバネッセント波発生器、10aは反射面であるプリズ
ム底面、10bは集光レンズ、10cは受光レンズ、1
0dはプリズム、21はレーザ光源、22はコリメー
タ、23は入射光偏光子、24は反射光偏光子、25は
レシーバレンズ、26は反射率変化を検出するフォトダ
イオード、6はヘッド支持機構部、7は位置決め機構
部、8は回転機構部、9はコントローラ部、9−1aは
磁気記録データ処理部、9−1bは光記録データ再生処
理部、9−7は位置決め制御部、9−8は回転制御部で
ある。
【0036】以上のように構成された情報記録再生装置
について、以下図5〜図9を用いてその構成を説明す
る。
【0037】図6において、ディスク1は、凹凸のピッ
トである光記録データ30bを有するポリカーボネイト
樹脂の凹凸ディスク基板1b上に、磁気記録データ30
aの記録再生消去が行われる厚さ20nmの磁性体1aが配
置された構成である。
【0038】凹凸のピットである光記録データピット3
0bは、図5における光学ヘッド5によって再生され
る。以下、その過程を説明する。
【0039】図7において、レーザ光源21より出力さ
れたレーザ光の入射光27は、偏光子23によってp偏
光成分にされ、集光レンズ10bによってプリズム10
dの底面10aで、通常、全反射する入射角45degの
条件で入射され、プリズム底面10dに絞られる。そし
て、全反射した反射光28の光量を、フォトダイオード
26で検出する。ここで、プリズム10d、プリズム底
面10a、集光レンズ10b、受光レンズ10cがエバ
ネッセント波発生器を構成する。
【0040】プリズム底面10aとディスク1との隙間
11は、レーザ光の波長以下であり、このとき、光記録
データピット30bの凹部分と凸部分では、隙間11は
異なる。
【0041】図8は、隙間11(隙間11/レーザ光の
波長)と反射率(反射光28/入射光27)の関係を示
している。媒体表面が磁性体コバルトガンマ酸化鉄の場
合のである。隙間11が入射光27の波長以下である場
合、プリズム底面10aの外側に発生したエバネッセン
ト波が、光トンネル現象により、隙間11の大きさに応
じてディスク1側へ吸収され、反射率が変化している。
【0042】今、波長をλで表し、光記録データピット
30bの深さをCDと同様に0.25λ、ピット30b
の凹部分の隙間11aを0.4λ、ピット30bの凸部
分の隙間11bを0.15λとすると、図8より、反射
率は隙間11aの場合で0.54、隙間11bの場合で
0.1となり、反射率差44%となる。
【0043】また、光記録データピット30bの深さを
0.75λ、ピット30bの凹部分の隙間11aを0.8
5λ、ピット30bの凸部分の隙間11bを0.1λと
すると、図8より、反射率は隙間11aの場合で0.9
4、隙間11bの場合で0.04となり、反射率差90
%となる。
【0044】よって、反射率差30%である従来コンパ
クトディスク(以下、CDと称する。)と比較して、再
生感度を向上することができる。
【0045】さらに、図7において、ディスク表面は磁
性体であり、従来磁気ディスク装置同様、磁気ヘッド4
による磁気誘導、電磁誘導によって、磁気記録データ3
0aの記録再生消去が可能である。
【0046】以上のように、従来のCDと同様なピット
を有するディスク表面に磁性体をスパッタし、エバネッ
セント波の光トンネル現象を利用した情報記録再生方法
で光記録データを再生し、磁気記録データを磁気誘導、
電磁誘導によって記録再生消去することにより、CDと
比較した場合、磁気記録データ分の大容量化とともに、
再生感度の向上が可能であり、光記録データの高密度記
録が可能である。
【0047】また、従来の磁気ディスク装置と比較した
場合、光記録データ分の大容量化とともに、光記録デー
タを記録再生ヘッドのトラッキングサーボ信号とするこ
とによって、磁気記録データの記録再生時においてもト
ラッキングサーボが可能であり、高トラック密度化、ひ
いては高密度記録が可能である。
【0048】さらに、図9は、従来のエバネッセント波
による表面プラズモン共鳴を利用した情報記録再生方法
を用いた場合の従来の隙間11(隙間11/レーザ光の
波長)と反射率(反射光28/入射光27)の関係を示
している。図9のように光記録再生に従来のエバネッセ
ント波による表面プラズモン共鳴を利用した情報記録再
生方法を用いても、再生感度が高いという同様の効果が
得られる。ただし、表面プラズモンを用いた従来例で
は、磁気記録データと光記録データピットを同一ディス
ク上に記録するためには、表面プラズモン励起という条
件から複素誘電率の実部が負であり、複素屈折率の虚部
が金属と同等な値である磁性材料を用い、それに表面プ
ラズモンを励起する条件でレーザをエバネッセント波発
生器に入射したとき、同様の効果が得られる。。
【0049】エバネッセント波の光トンネル現象を用い
た本実施例と、光記録再生に従来のエバネッセント波に
よる表面プラズモン共鳴を利用した情報記録再生方法と
を比較した場合の効果としては、レーザ光入射角度に対
する再生感度のロバスト性があげられる。
【0050】図8は第3の実施例の媒体表面がコバルト
ガンマ酸化鉄の場合の入射角度と反射率の関係を示して
いるが、10%程度の隙間変化や、±2deg程度の入
射角度変化があっても、再生感度は45%程度を保つこ
とができる。
【0051】しかし、図9は従来例の媒体表面が金の場
合の入射角度と反射率の関係を示しているが、隙間変化
に対しては同等の特性を有しているが、±2deg程度
の入射角度変化があれば、再生感度は20%以下とな
る。
【0052】以上のように第3の実施例によれば、1つ
のディスクに光記録データであるピットを構成するとと
もに、ディスク表面を磁性体とし、記録再生ヘッドヘッ
ドは磁気ヘッドと光学ヘッドで構成し、光記録データを
エバネッセント光のトンネル効果を利用した情報記録再
生方法を用いて再生することによって、再生感度が高く
かつロバストな高密度記録再生装置、ひいては大容量記
録再生装置を実現することができる。
【0053】なお、第3の実施例では、凹凸の光記録デ
ータピットを、ディスク基板のポリカーボネイト樹脂上
に形成し、その上に磁性体をスパッタしてディスクを形
成しているが、図10のように、ピットのない平面ディ
スク基板上に、磁性体を配置し、磁性体上にプレスなど
で凹凸の光記録データピットを形成しても、同様の効果
がえられる。
【0054】以下本発明の第4の実施例の情報記録再生
装置について、図面を参照しながら説明する。
【0055】本発明の目的は、磁気記録と光記録の両方
を兼ね備えて記録密度を向上することによって、高密度
記録再生装置、ひいては大容量記録再生装置を実現する
ことである。
【0056】図11は本発明の第4の実施例における情
報記録再生装置の構成を示す全体図である。
【0057】図11において、1は記録媒体であるディ
スク、1aは磁性体、2は記録再生ヘッド、4は磁気ヘ
ッド、5は光学ヘッド、10はエバネッセント波発生
器、10aは反射面であるプリズム底面、10bは集光
レンズ、10cは受光レンズ、10dはプリズム、21
はレーザ光源、22はコリメータ、23は入射光偏光
子、24は反射光偏光子、25はレシーバレンズ、26
は反射率変化を検出するフォトダイオード、6はヘッド
支持機構部、7は位置決め機構部、8は回転機構部、9
はコントローラ部、9−1aは磁気記録データ処理部、
9−7は位置決め制御部、9−8は回転制御部で、以上
は図5の構成と同じものである。
【0058】図5と異なるのは、ディスク1に平面ディ
スク基板1cと、光記録膜1dとを設けた点と、コント
ローラ部9に光記録データ記録再生処理部9−1b−2
を設けた点である。
【0059】以上のように構成された情報記録再生装置
について、以下図8、図9と図11〜図13を用いてそ
の構成を説明する。
【0060】図12において、ディスク1は、平面ディ
スク基板1c上に、磁気記録データ30aの記録再生消
去を行われる磁性体が配置され、さらにその上に、透磁
率がほぼ1である、厚さ0.25λである穴形成型追記
型光ディスク用の光記録膜1dが配置された構成であ
る。
【0061】凹凸の光記録データピット30bは、図1
1における光学ヘッド5によって記録再生される。以
下、その過程を説明する。
【0062】はじめに、光記録データピット10bの記
録過程を説明する。
【0063】図13において、レーザ光源21より出力
されたレーザ光の入射光27は、偏光子23によってp
偏光成分にされ、集光レンズ10bによってプリズム1
0dの底面10aで、通常、全反射する入射角45deg
の条件で入射され、プリズム底面10aに絞られる。ま
た、光記録データ記録再生処理部9−1b−2により、
レーザ光源21の出力は10mWに設定される。
【0064】図8は、隙間11と反射率(反射光28/
入射光27)の関係を示している。隙間11が入射光2
7の波長以下である場合、プリズム底面10aの外側に
発生したエバネッセント波が、光トンネル現象により、
隙間11の大きさに応じてディスク1側へ吸収され、反
射率が変化している。
【0065】今、隙間11を0.15λとすると入射光
27の90%がディスク1側へ吸収され、その熱によ
り、光記録膜1dに穴を形成し、光記録データピット3
0bを形成する。
【0066】次に、光記録データピット30bの再生過
程を説明する。
【0067】再生は、光記録データ記録再生処理部7−
1b−2により、レーザ光源21の出力は1mWに設定
され、全反射した反射光28の光量を、フォトダイオー
ド26で検出する。
【0068】プリズム底面10aとディスク1との隙間
11は、レーザ光の波長以下であり、このとき、光記録
データピット30bの凹部分と凸部分では、隙間11は
異なる。
【0069】今、光記録データピット30bの深さは光
記録膜3dの厚さ0.25λで、ピット30bの凹部分
の隙間11aを0.4λ、ピット30bの凸部分の隙間
11bを0.15λとすると、図8より、反射率は隙間
11aの場合で0.54、隙間11bの場合で0.1とな
り、従来コンパクトディスク(以下、CDと称する。)
と比較して、再生感度を向上することができる。
【0070】さらに、図13において、光記録膜1dの
下は磁性体であり、従来磁気ディスク装置同様、磁気ヘ
ッド4による磁気誘導、電磁誘導によって、磁気記録デ
ータ30aの記録再生消去が可能である。
【0071】以上のように、従来のCDと同様なピット
を有するディスク表面に磁性体をスパッタし、エバネッ
セント波の光トンネル現象を利用した情報記録再生方法
で光記録データを記録再生し、磁気記録データを磁気誘
導、電磁誘導によって記録再生消去することにより、C
Dと比較した場合、磁気記録データ分の大容量化ととも
に、再生感度の向上が可能であり、光記録データの高密
度記録が可能である。
【0072】また、従来の磁気ディスク装置と比較した
場合、光記録データ分の大容量化とともに、光記録デー
タをヘッドのトラッキングサーボ信号とすることによっ
て、磁気記録データの記録再生時においてもトラッキン
グサーボが可能であり、磁気記録データの高トラック密
度化、ひいては高密度記録が可能である。
【0073】さらに、光記録再生に従来のエバネッセン
ト波による表面プラズモン共鳴を利用した情報記録再生
方法を用いても、再生感度が高いという同様の効果が得
られる。ただし、表面プラズモンを用いた従来例では、
磁気記録データと光記録データピットを同一ディスク上
に記録するためには、表面プラズモン励起という条件か
ら複素誘電率の実部が負であり、複素屈折率の虚部が金
属と同等な値である磁性材料を用い、それに表面プラズ
モンを励起する条件でレーザをエバネッセント波発生器
に入射したとき、同様の効果が得られる。
【0074】エバネッセント波の光トンネル現象を用い
た本実施例と、光記録再生に従来のエバネッセント波に
よる表面プラズモン共鳴を利用した情報記録再生方法と
を比較した場合の効果としては、レーザ光入射角度に対
する再生感度のロバスト性があげられる。
【0075】図8は隙間、第3の実施例の入射角度と反
射率の関係を示しているが、10%程度の隙間変化や、
±2deg程度の入射角度変化があっても、再生感度は
45%程度を保つことができる。
【0076】しかし、図9は従来例の入射角度と反射率
の関係を示しているが、隙間変化に対しては同等の特性
を有しているが、±2deg程度の入射角度変化があれ
ば、再生感度は20%以下となる。
【0077】なお、第3、第4の実施例では、ピット深
さを0.25λ、プリズムとディスク間の隙間を0.15
λと0.4λ、あるいはピット深さを0.75λ、プリズ
ムとディスク間の隙間を0.1λと0.85λとしたが、
従来例と比較して再生感度が充分であれば、どのような
ピット深さ、および隙間でも、同様の効果がえられる。
【0078】また、第3、第4の実施例では、偏光成分
をp成分としたが、再生感度が充分であれば、s成分、
あるいは両方の成分があっても、同様の効果がえられ
る。
【0079】さらに、第3、第4の実施例では、入射角
度を45degとしたが、再生感度が充分で、プリズム底
面でエバネッセント波を発生できる、全反射する入射角
度であれば、何度でも、同様の効果がえられる。
【0080】また、第3、第4の実施例では、プリズム
カップラーを用いて、エバネッセント光を発生させてい
るが、エバネッセント波が励起される方法であれば、同
様の効果がえられる。
【0081】また、第3、第4の実施例では、光記録デ
ータピットを有する凹凸のディスク基板をポリカーボネ
イト樹脂としたが、光記録データピットを形成すること
が可能なガラスなどの材料であれば、同様の効果がえら
れる。
【0082】また、第3、第4の実施例では、磁気記録
データを磁気誘導で記録消去し、電磁誘導で再生する
が、磁気記録データを熱磁気効果を利用して記録消去
し、磁気光学効果を利用して再生しても、光記録データ
ピットで凹凸である磁性体表面の反射率再生感度が充分
であれば、同様の効果がえられる。
【0083】また、第3の実施例では、磁性体膜厚を2
0nmとしたが、光記録データをエバネッセント光のトン
ネル効果を利用した情報記録再生方法で再生するとき、
再生感度が充分であれば、磁性体がいかなる膜厚でも、
同様の効果がえられる。
【0084】また、第4の実施例では、光記録膜厚を
0.25λとしたが、光記録データをエバネッセント光
のトンネル効果を利用した情報記録再生方法で再生する
とき、再生感度が充分であれば、光記録膜がいかなる膜
厚でも、同様の効果がえられる。
【0085】また、第3、第4の実施例では、位置決め
機構を直動型としたが、記録再生ヘッドを任意の目標位
置へ、隙間一定で位置決めすることが可能であれば、揺
動型、あるいは回転型でも同様の効果がえられる。
【0086】また、第3、第4の実施例では、位置決め
機構をボイスコイルモータとしたが、記録再生ヘッドを
任意の目標位置へ、隙間一定で位置決めすることが可能
であれば、ステッピングモータ、超音波モータ、あるい
は圧電素子アクチュエータなどでも同様の効果がえられ
る。
【0087】また、第3、第4の実施例では、ディスク
を回転し、記録再生ヘッドを直接、位置決め機構で任意
の目標位置へ移動しているが、記録再生ヘッドを任意の
目標位置へ、隙間一定で位置決めすることが可能であれ
ば、ディスクのみ移動、あるいは記録再生ヘッドのみが
移動、あるいは記録再生ヘッドとディスク側の両方をい
かに相対運動させた場合でも同様の効果がえられる。
【0088】また、第3、第4の実施例では、媒体をデ
ィスクとしたが、光記録データピット層上に磁気記録デ
ータ層を配置した構造となる媒体、あるいは磁性体層が
光記録データピットを有する構造となる媒体、あるいは
媒体基板上に磁性体層が配置され、その上に光記録膜が
配置される構造がであれば、カード、あるいはテープな
どでも同様の効果がえられる。
【0089】また、第4の実施例では、光記録膜を穴形
成型追記型光ディスク用光記録膜としたが、光記録デー
タの再生過程において、反射率再生感度が充分高いので
あれば、相変化型光記録膜などを用いても同様の効果が
えられる。
【0090】また、第3、第4の実施例では、反射率変
化検出部をフォトダイオードとしたが、光電変換可能な
検出手段であれば、同様の効果がえられる。
【0091】また、第3、第4の実施例では、媒体表面
磁性体をコバルトガンマ酸化鉄としたが、バリウムフェ
ライトやアルファ鉄などの磁性体でも同様の効果がえら
れる。
【0092】また、第3、第4の実施例では、表面プラ
ズモン励起のための媒体表面を金としたが、アルミニウ
ムや銀など、複素誘電率の実部が負であるような材料で
あれば、同様の効果がえられる。
【0093】また、第3、第4の実施例では、光記録デ
ータピットはは凹部と凸部で、0と1の2値であるが、
ピット深さが多段階で、面外方向に多値記録された場合
でも、同様の効果がえられる。
【0094】また、第3、第4の実施例では、反射光検
出部であるフォトダイオードは、受光レンズ、反射光偏
光子 レシーバレンズを通過した反射光を検出している
が、プリズムの反射側の面に配置するなどして、直接検
出しても同様の効果がえられる。
【0095】以上のように第3、第4の実施例によれ
ば、1つの記録媒体に光記録データであるピットを構成
するとともに、記録媒体表面を磁性体、あるいは記録媒
体表面を光記録膜としてその下に磁性体を配置し、記録
再生ヘッドは磁気ヘッドと光学ヘッドで構成し、光記録
データをエバネッセント光の光トンネル現象を利用した
情報記録再生方法を用いることによって、再生感度が高
くかつロバストな、高密度記録再生装置、ひいては大容
量記録再生装置を実現することができる。
【0096】なお、第1〜第4の実施例では、記録媒体
をリジッドディスクとしたが、フレキシブルディスクで
も同様な効果がえられる。
【0097】また、第1〜第4の実施例では、記録媒体
をディスクとしたが、本発明は、記録媒体の形状に依存
するものではなく、テープ、カードでも同様な効果がえ
られる。
【0098】
【発明の効果】以上のように本発明の情報記録再生装置
および情報記録再生システムは、磁気記録、及び情報を
記録媒体の記録層の面外方向の位置情報に変調して記録
する過程と、上記記録層に記録された位置情報を光学的
手段によって検出し元の情報に復調する再生過程を有す
る情報記録再生装置および情報記録再生システムであっ
て、上記光学的手段はエバネッセント波と上記記録層と
の相互作用を用いたものであるという特徴を備えること
によって、従来の情報記録再生方法に比べ記録密度を格
段に向上することができる。また、1つの記録媒体に光
記録データであるピットを構成するとともに、記録媒体
表面を磁性体、あるいは記録媒体表面を光記録膜として
その下に磁性体を配置し、記録再生ヘッドは磁気ヘッド
と光学ヘッドで構成し、光記録データをエバネッセント
光の光トンネル現象を利用した情報記録再生方法を用い
ることによって、再生感度が高くかつロバストな、高密
度記録再生装置、ひいては大容量記録再生装置を実現す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における再生装置の構成
【図2】本発明の第1の実施例における反射率と隙間と
の関係を示す図
【図3】本発明の第2の実施例における再生装置の構成
【図4】本発明の第2の実施例における反射率と隙間と
の関係を示す図
【図5】本発明の第3の実施例における情報記録再生装
置の構成を示す全体図
【図6】本発明の第3の実施例における記録媒体の構成
【図7】本発明の第3の実施例における情報記録再生装
置の再生過程を示す構成図
【図8】本発明の第3の実施例における情報記録再生装
置の再生原理とその光学的特性を示す特性図
【図9】従来の情報記録再生装置の再生原理とその光学
的特性を示す特性図
【図10】本発明の第3の実施例における他の記録媒体
の構成図
【図11】本発明の第4の実施例における情報記録再生
装置の構成を示す全体図
【図12】本発明の第4の実施例における記録媒体のの
構成図
【図13】本発明の第4の実施例における情報記録再生
装置の記録再生過程を示す構成図
【図14】従来の情報記録再生方式における再生装置の
構成図
【図15】従来の情報記録再生方式の再生原理示す図
【符号の説明】
1 記録媒体 1b 記録層 5 光ヘッド 10 エバネッセント波発生器 10a 反射面 10b 集光レンズ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−56748(JP,A) 実開 平2−39321(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 13/04 G11B 7/00 - 7/22

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】凹凸のピットを形成する記録層を有する媒
    体であり、かつ磁性体とを有する媒体に対し、データを
    記録又は再生する情報記録再生装置であって、レーザ光
    源と、 前記光源からのレーザ光を基にエバネッセント光を発生
    するエバネッセント波発生器を有し、前記エバネッセン
    ト波発生器によって発生されたエバネッセント波と前記
    記録層との相互作用の強度に基づき、前記媒体の凹凸と
    して記録された光記録データを再生する光学ヘッドと、 前記媒体の磁性体に磁気記録データを記録又は再生する
    磁気ヘッドと、 前記磁気ヘッドと前記光学ヘッドを制御して、磁気記録
    データ処理と光記録データ再生処理を行うコントローラ
    部と、 を有する情報記録再生装置。
  2. 【請求項2】平面媒体基板と、前記平面媒体基板上に配
    置された磁性体で形成された凹凸のピットとして光記録
    データを記録する媒体を記録再生する請求項1記載の情
    報記録再生装置。
  3. 【請求項3】平面媒体基板と、前記平面媒体基板上に配
    置された磁性体と、前記磁性体上に配置された光記録膜
    で構成された媒体を記録再生するものであって、 前記光学ヘッドは、更に前記光記録膜に凹凸のピットと
    して光記録データを記録し、前記コントローラ部は、更
    に光記録データ記録処理を制御する請求項1記載の情報
    記録再生装置。
  4. 【請求項4】前記光記録データを、磁気記録再生時の位
    置決めに用いる請求項1から3の何れかに記載の情報記
    録再生装置。
  5. 【請求項5】請求項1記載の情報記録再生装置と、凹凸
    のピットとして光記録データを有する媒体であり、か
    つ、前記凹凸ピット上に、磁気記録データの記録が行わ
    れる磁性体を配置した記録媒体とを備えた情報記録再生
    システム。
  6. 【請求項6】請求項1記載の情報記録再生装置と、凹凸
    のピットとして光記録データを有する媒体であり、か
    つ、前記凹凸ピットが磁気記録データの記録が行われる
    磁性体で形成された記録媒体とを備えた情報記録再生シ
    ステム。
  7. 【請求項7】請求項1記載の情報記録再生装置と、磁気
    記録データの記録が行われる磁性体を有する媒体であ
    り、かつ、前記磁性体上に穴形成型追記型光ディスク用
    の光記録膜が配置された記録媒体とを備えた情報記録再
    生システム。
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