JP4002084B2 - 光磁気ヘッド及びそれを用いた光磁気記録装置 - Google Patents

光磁気ヘッド及びそれを用いた光磁気記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高NAの対物レンズを用いて光磁気記録媒体に情報を記録するための光磁気記録装置及びそれに用いられる光磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、マルチメディア化に対応して、大量データを高密度で記録し、かつ高速に記録及び再生することができる光記録媒体が使用されている。この光記録媒体には、コンパクトディスクのようにディスク形成時に情報がディスク上にピットとして予め記録された再生専用媒体、CD−Rのように一度だけ記録を可能とした追記形媒体、及び光磁気記録方式や相変化記録方式を用いて何度でもデータを書換えられる書換え形媒体がある。
【0003】
これら光記録媒体のうち、高転送レートを要求される分野では、主に光磁気記録媒体が用いられている。この光磁気記録媒体を記録及び再生するときには、レーザ光をレンズで回折限界にまで絞り込んで光磁気記録媒体に照射する。このレーザ光照射により光磁気記録媒体上に形成された光スポットのサイズは、レーザ光の波長をλ、レンズの開口数をNAとすると、λ/NA程度となる。
【0004】
より高密度な、すなわちより小さいパターンを記録または再生するためには、より小さいレーザ光スポットが必要となる。光スポットを小さくするためには、上式よりレーザ光波長(λ)を小さくするかあるいはレンズの開口数(NA)を大きくすることが考えられる。レンズの開口数(NA)は、レンズの絞り半角をθとするとNA=sinθとあらわされ、1より小さい値となる。現在市販されている光記録装置において使用されている対物レンズのNAは大きくとも0.6程度である。このようにNAの値が0.6程度に制限されているのは、NAが大きくなるにつれて対物レンズの光軸がディスク面に対して傾いたときに発生するコマ収差および非点収差が大きくなるからである。この問題を解決するためには、光が光磁気記録媒体の光磁気記録層に到達する前に透過するディスクの透明基板の厚みを薄くする必要がある。しかし、基板の厚みを薄くすると基板の剛性の低下からディスクの面振れが大きくなり、基板が対物レンズの光軸に対して傾くために、前述の収差が発生することになる。
【0005】
そこで、光をディスクに照射する際に、ディスクの基板とは反対側、いわゆる膜面側から入射することが考えられている。このように膜面入射方式を採用したとしても、高NAの対物レンズを用いた場合に種々の問題が残っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、光磁気記録装置において、光学系と磁気コイルを一体にした光磁気ヘッドが知られている。このような光磁気ヘッドは高NAのレンズを用いて光磁気記録層に情報を記録するのに有効となる。しかしながら、照射された光が磁気コイルを加熱するために、特に高周波数の変調磁界を印加して記録する際に記録特性を悪化させることになる。特開平11−316986号は、コイル支持部材とコイルとの間に熱伝導膜を備えた光ヘッドを開示している。熱伝導膜はコイル支持部材の熱伝導度よりも少なくとも数倍以上の熱伝導度を有するために、コイルに発生する熱を熱伝導膜を介して対物レンズに効率良く伝播してコイルの温度上昇を抑制することができることが開示されている。しかしながら、対物レンズに熱を伝播させると、レンズの熱膨張によりレンズの光学特性を劣化させるという問題が生じる。
【0007】
また、光磁気ヘッドは、通常、2種類のレンズを組み合わせて対物レンズ系として用いており、高NAのレンズを対物レンズに用いた場合には、それらのレンズの光軸のずれによる波面収差が発生し易くなる。かかる波面収差は、再生信号特性を低下させるため、対物レンズ系の2種類のレンズの光軸を互いに高精度に合わせこむ必要がある。
【0008】
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その第1の目的は、対物レンズの光学特性を阻害することなく、コイルを有効に放熱することができる光磁気ヘッド及びそれを用いた光磁気記録装置を提供することにある。
【0009】
本発明の第2の目的は、光磁気ヘッドにおける対物レンズ系を構成する2つのレンズの光軸を高精度に合わせて収差の発生を有効に防止することができる光磁気ヘッド及びそれを用いた光磁気記録装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様に従えば、情報記録媒体に情報を記録するために用いられる光磁気記録ヘッドであって、
前記情報記録媒体に光を集光するためのレンズと;
互いに平行な第1面及び第2面を有し、第1面上に上記レンズを支持する基板と;
上記基板の第2面上に設けられた磁気コイルと;
上記基板の第2面上に設けられ、上記磁気コイルで発生した熱を放熱するための放熱部材とを備える光磁気ヘッドが提供される。
【0011】
本発明の光磁気ヘッドでは放熱部材が第2面上に設けられているので、磁気コイルが光照射により加熱してもその熱をレンズが設けられている基板の第1面側に逃がすことがない。それゆえ、レンズ、特に0.6≦NAの高NAの対物レンズの熱膨張を防止してレンズの光学特性を良好に維持することができる。一方、第2面上に設けられた放熱部材は、磁気コイル及びその近傍で発生した熱を、光磁気ヘッドと情報記録媒体の間の空間に放熱することができる。特に、情報記録媒体は光磁気ヘッドに対して、通常1m/s以上の線速度で回転移動しているために、放熱部材はこの回転移動により発生する気流により効率良く冷却される。
【0012】
本発明において、放熱部材が、上記レンズの光軸方向において磁気コイルよりも情報記録媒体に近い位置に設けられていること望ましい。特に、放熱部材が、情報記録媒体と対向するように光磁気ヘッド上で露出していると、情報記録媒体の回転移動により発生する気流によって一層有効に冷却される。放熱部材が磁気コイルの外側に設けられていてもよい。
【0013】
本発明において、上記基板はガラス平板にし得る。第1面及び第2面が互いに平行なガラス平板を用いることにより、対物レンズの光射出面が平坦化されている場合には、ガラス基板をレンズの光軸に対して正確に直角に配置することが容易となり、ガラス平板通過後の光路の調整が容易となる。
【0014】
光磁気ヘッドにおいて良好な光ビームを得るためには、レンズと支持基板を接着する際、接着層の厚みを一定に制御する必要がある。レンズと支持基板との間にスペーサとなる支持パッドを設けることによって、接着層厚みを一定に制御することができる。これにより、支持基板をレンズの光軸に対して正確に直角に配置することが容易となり、良好な光ビームが光磁気ディスク上で得られる。支持パッドは金属で構成することが好ましい。金属にすることにより、コイルの端子をメッキする工程で同時に支持パッドを形成できるからである。また、パッドを接着剤を用いて接着するとき、接着剤はディスク基板表面(第2面)とレンズ光射出側端面と間の部分(光透過部)に充填しても良く、この場合、接着剤はレンズ及び基板の屈折率に近い屈折率を有するものを選択するのが望ましい。この部分に接着剤を充填せずに空隙を形成する場合には、レンズ光射出側端面と基板の第1面にはガラスと空隙との間で発生する光の界面反射を防止するために反射防止膜を形成し得る。
【0015】
上記基板の第2面に突出部または保護パッドを設けてもよい。ディスク上にゴミが付着していても、突出部または保護パッドにより磁気コイル及び磁気コイルの中央に設けられた光透過部が保護され、耐久性の高い光磁気ヘッドを提供することができる。保護パッドは種々の樹脂材料から形成し得る。
【0016】
突出部の表面に酸化シリコンや窒化シリコン、ジルコニア、ダイヤモンドライクカーボンなどの保護膜を形成することによりさらに耐久性に優れた光磁気ヘッドを提供できる。
【0017】
本発明の光磁気ヘッドにおいて、上記レンズより上記支持基板が基板面方向において大きな面積を有することが望ましい。このようにすると、基板の第1面からコイルの端子を取り出すことが可能であり、ディスク面と近接する基板の第2面からコイルの端子がはみ出すことがない。また、上記コイルは光軸方向に2層以上積層され得る。コイルを2層以上積層させるには、例えば、同一面(層)上で螺旋状コイルを外側から内側に向かって形成した後(第1層形成)、内周端を光軸方向の上方(又は下方)に折り曲げて延在させ、さらに外周方向に折り曲げて螺旋状に延在させればよい(第2層形成)。そして、コイルの第2層の外周端を基板に予め形成したスルーホールを通じて基板の第1面に引出すことができる。
【0018】
上記基板の第2面と上記コイルとの間に、光透過用の開口部が形成された第1軟磁性層が設けても良い。軟磁性層はコイル中心の光透過部を除く支持基板面のほぼ全面に形成し得る。軟磁性層を設けることによりコイルに発生した熱が軟磁性層を通じて拡散し易くなる。また、軟磁性層はコイルで発生する磁界を増大させる役割も果たす。さらに、第1軟磁性層に加えて、コイルのディスク側に、光透過用の開口部が形成された第2軟磁性層を設け得る。
【0019】
第1及び第2軟磁性層を設ける場合には、第2軟磁性層の光透過用の開口部の面積をA、第1軟磁性層の光透過用の開口部の面積をBとした時にAがBより大きいことが好ましい。AがBとほぼ同じであると、コイルの近傍での磁界が大きくなり、コイルの中心位置、すなわち、ディスク上の光スポット中心において磁界があまり大きくならない。これに対して、AをBより大きくすることで、コイルの中心位置まで磁界を強くすることが可能となる。しかし、AをBより極端に大きくすると、上記効果が薄れる。このため、1.2≦A/B≦3.2が特に好ましい。
【0020】
軟磁性層はコイルを覆うように長方形状にすることが好ましい。これはコイルのディスク面あるいはその反対面に形成する軟磁性層の透磁率の制御を容易にするためである。または、軟磁性層を複数に分割して短冊状にしても同様の効果が得られる。
【0021】
本発明の第2の態様に従えば、情報記録媒体に情報を記録するための光磁気記録装置であって、
光源と;
光源からの光を上記情報記録媒体に照射して情報を記録するための光磁気ヘッドと;
上記情報記録媒体からの戻る光を検出する検出系と;を備え、
上記光磁気ヘッドが、
前記情報記録媒体に光を集光するためのレンズと;
互いに平行な第1面及び第2面を有し、第1面上に上記レンズを支持する基板と;
上記基板の第2面上に設けられた磁気コイルと;
上記基板の第2面上に設けられ、上記磁気コイルで発生した熱を放熱するための放熱部材とを備える光磁気記録装置が提供される。
【0022】
本発明の光磁気記録装置は、フォーカスサーボとトラッキングサーボを同時に行う2次元アクチュエータを備えることが望ましい。この場合、2次元アクチュエータに磁気コイルが設けられた基板を設置することが好ましい。この構造にすることにより、ディスクの面振れ、偏心に追従してレンズを移動させて光ビームの集光位置を変えた場合でも、光ビームが集光している記録膜に安定に磁界が印加できる。レンズの開口数(NA)は0.7〜0.95にし得る。なお、超高密度記録のために、NAが1以上の固体イマージョンレンズを用い得る。
【0023】
上記光磁気ヘッドは浮上スライダ上に装着して、浮上型ヘッドとすることができる。この場合、スライダの表面に浮上用の溝を形成し得る。
【0024】
情報記録媒体としては、例えば、トラックピッチが0.9μm以下のランド記録もしくはグルーブ記録が行えるように、ランドもしくはグルーブを設けた基板上に、少なくとも反射膜、記録層、透明誘電体層を、この順に積層した光磁気記録媒体を用い得る。なお、本明細書において用語「光磁気記録装置」とは、記録のみならず再生機能をも有する装置を意図している。
【0025】
本発明の第3の態様に従えば、情報記録媒体に情報を記録するために用いられる光磁気記録ヘッドであって、
上記情報記録媒体に光を集光するための共通の光軸を有する第1レンズ及び第2レンズと;
第1レンズを保持する第1レンズホルダと;
第2レンズを保持する第2レンズホルダと;
第1レンズホルダと第2レンズホルダ間に設けられ、第1レンズの光軸に垂直な方向に第1レンズホルダを第2レンズホルダに対して相対移動するための第1アクチュエータと;
第1面及び第2面を有し、第1面上に第1レンズホルダ及び第2レンズホルダが配置される基板と;
上記基板の第2面上に設けられた磁気コイルと;を備える光磁気ヘッドが提供される。
【0026】
上記光磁気ヘッドでは、第1アクチュエータにより第1レンズホルダを第2レンズホルダに対して相対移動して第1レンズと第2レンズの光軸を正確に合わせ込むことができる。それゆえ、高NAのレンズを第2レンズに用いても波面収差の発生を防止することができる。第1レンズと第2レンズの光軸のずれは、第1アクチュエータにより第1レンズホルダを第2レンズホルダに対して相対移動しながら、情報記録媒体からの再生信号を検出することによって検出することができる。
【0027】
上記光磁気ヘッドがピックアップ型のヘッドの場合は、さらに、上記光軸方向に第1レンズホルダを第2レンズホルダに対して相対移動するための第2アクチュエータを備えるのが好ましい。
【0028】
また、上記基板の第2面に保護パッドを設け得る。この場合、保護パッドが少なくとも上記基板の第2面の4つのコーナーを覆っていることが好ましい。保護パッドは、基板の第2面の外周部の全体を覆っていても良く、また、四隅だけに孤立したパッドを設けても良い。パッドは、基板の第2面に貼り付けてもよく、あるいは基板にはめ込んでも良い。
【0029】
保護パッドの材料として、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアリレート、ナイロン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルアミド、フェノール樹脂、パーフロロポリエチレンなどのフッ素樹脂等が挙げられる。
【0030】
本発明の第4の態様に従えば、情報記録媒体に情報を記録するための光磁気記録装置であって、
光源と;
上記光源からの光を上記情報記録媒体に照射して情報を記録するための光磁気ヘッドと;
上記情報記録媒体から戻る光を検出する検出系と;を備え、
上記光磁気ヘッドが、
上記情報記録媒体に光を集光するための第1レンズ及び第2レンズと;
第1レンズを保持する第1レンズホルダと;
第2レンズを保持する第2レンズホルダと;
第1レンズホルダと第2レンズホルダ間に設けられ、上記光軸に垂直な方向に第1レンズホルダを第2レンズホルダに対して相対移動するための第1アクチュエータと;
第1面及び第2面を有し、第1面上に第2レンズを支持する基板と;
上記基板の第2面上に設けられた磁気コイルと;を備える光磁気記録装置が提供される。上記光磁気記録装置は、さらに、第1レンズホルダを第2レンズホルダに対して上記光軸方向に相対移動するための第2アクチュエータを備え得る。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0032】
実施例1
図1に示したように、本発明に従う光磁気ヘッド100は、その下方に配置された光磁気ディスク5に光照射しつつ磁界を印加することによって情報を記録するために用いられ、2枚の組合せレンズ1,2で構成された対物レンズ系と、レンズ1を保持するレンズホルダ7b及びレンズ2を保持するレンズホルダ7aと、磁気コイル4を有するコイル支持基板3とを含む。
【0033】
基板3のディスク側の面3aには後に詳述する磁気コイル4が埋設されている。基板3のレンズ側の面3bにはレンズ支持用パッド8を介してレンズ2が配置されている。レンズ2は、レンズ2はその光射出部、すなわち、基板3の面3bと対向する面2aは平面であり、面2aの反対側は凸球面となるように加工されている。レンズ2は、円筒状のレンズホルダ7a(ホルダ外枠)の底面に形成された開口部内に保持されている。
【0034】
レンズ1は、両面が凸球面であり、外周部に平坦部が形成された凸レンズであり、レンズの平坦部が円筒状のレンズホルダ7b(ホルダ内枠)の上端で保持されている。レンズホルダ7bは、底面に開口部を有し、この開口部はレンズ2へ入射する光を通過させる。レンズホルダ7bの外径はレンズホルダ7aの内径とほぼ等しく、レンズホルダ7bをレンズホルダ7aに嵌合させることによりそれらのレンズホルダに保持されたレンズ1,2の光軸が精密に位置合わせされている。これらのレンズ1,2から構成される対物レンズ系のNAは0.85である。
【0035】
レンズホルダ7aと基板3との間の空間は、レンズ2の光射出部2aを除いて、接着剤6が充填されている。また、レンズ2とレンズホルダ7bの下端に形成された開口部との間にもまた接着剤6が充填されている。さらに、レンズ1の平坦部はレンズホルダ7aの上端近傍に接着剤6で固定されている。
【0036】
基板3は透明ガラス製であり、面3aと面3bが高精度に平行になるように研磨加工されている。基板3は、レンズ2の光射出部2aを完全に覆うようにレンズ2の底面積より大きな面積を有している。この図には示してないが、光磁気ヘッド10には、フォーカスサーボとトラッキングサーボを同時に行うアクチュエータが取り付けられる(図22参照)。
【0037】
レンズホルダ7a、7bは、以下の理由からレンズ材料と同等の熱膨張率を有する材料で構成するのが望ましい。本発明では放熱部材を基板面のディスク側に配置させることに、磁気コイルに通電することによりまた光照射により磁気コイルで発生した熱をレンズに伝播することを抑制している。それでも、レンズへの光照射により発生した熱などでレンズ1,2及びレンズホルダ7a,7bの温度が上昇する。レンズホルダ7a、7bとレンズ1,2との熱膨張率がほぼ同じであれば、レンズ1、2に発生する熱応力を最小にして、レンズの光学特性を悪化を防止することができる。レンズの材質に熱膨張率が小さいBK7等の硬質ガラスを用いた場合は、レンズホルダ7a,7bの材料として、下記の表1に示すような、コパール、42アロイ、41アロイ等が良い。一方、レンズ1,2に熱膨張率の大きい硬質ガラス、例えばソーダガラス等を用いた場合は、表1に示したような426アロイ、476アロイ、50アロイ等が望ましい。表中に各材料の成分及び熱膨張率を記載した。
【0038】
【表1】
Figure 0004002084
【0039】
次に、磁気コイル4が設けられている基板(以下、磁気コイル基板90ともいう)の底面及び断面を図2〜4を用いて説明する。図2のA−A’線の断面図である図3に示したように、基板3はT字型の断面形状を有するガラス基板である。基板3のディスク側の面3aから突出した部分50は、レンズ2から射出した光が光磁気ディスク5に向かうための光透過部として機能する。突出部50(光透過部)の外側であって、基板3のディスク側の面3a上には軟磁性層13aが形成されている。軟磁性層13aは、図2に示したように突出部50を取り巻くように環状に形成されている。軟磁性層13aはコイルで発生する磁界を強くするとともに磁気異方性を制御することができ、またコイル4で発生した熱の拡散を促進する。
【0040】
コイルで発生する磁界が高周波になると、軟磁性層には渦電流が流れてしまい、磁界が低下してしまう恐れがある。このため、図示していないものの、軟磁性層13aは2μm程度の軟磁性層を数nmの厚みの絶縁層を介して積層した構造になっており、この構造により渦電流の発生を防止することができる。この例では、軟磁性層はパーマロイで形成されており、絶縁層は酸化ケイ素で形成されている。軟磁性層及び絶縁層はスパッタリングにより形成し得る。
【0041】
軟磁性層13aの下方には、絶縁層として機能するレジスト14を介して螺旋状の磁気コイル15が光透過部50を周回するように形成されている。磁気コイル15の外周端15aは基板3に形成されたスルーホール11を貫通して基板の面3bに設けられたリード用端子18と連結されている。磁気コイル15の内周端15bは下方に延在して方向転換して基板3の外周に向かい上方に折れ曲がって基板3に形成されたスルーホール11を貫通して基板の面3bに設けられたリード用端子18と連結されている。磁気コイルの最大消費電力は0.05W以上である。図2のB−B’線の断面図である図4から分るように、磁気コイル15の外側には、レジスト14の薄膜を介してヒートシンク層80が設けられている。ヒートシンク層80は磁気コイル15を取り巻くように且つ基板3のほぼ全面を覆うように形成されている。ヒートシンク層80は磁気コイル15で発生した熱を受け取り基板3の外側、特に、ディスク5と基板3の間の空間に逃がす働きをする。ヒートシンク層80を用いて、ヒートシンク層80とディスクとの間に発生する静電容量を測定して、ディスクとコイルの間隔を求めることもできる。ディスクとコイルの間隔は、光磁気ヘッドのディスク上での浮上量を制御するために用いられる。ヒートシンク層80は、スルーホールを通って基板3の上面3b上に形成されたリード用端子18と連結されている。磁気コイル15のさらに下方にはレジスト14を介して第2の軟磁性層13bが形成されている。そして、基板の下端部には軟磁性層13bを覆うように保護層17が形成されている。基板3の面3b上にはレンズ2を支持するための支持パッド8が形成されている。
【0042】
リード用端子18には、磁気コイル15に電流を供給するための図示しない磁界印加用電源(磁界制御部)が接続される。光磁気ヘッドの動作時には、図示しないレーザ光源からの光がレンズ1,2で集光されて光照射部50を通過して光磁気ディスク5上に照射される。光照射時に、記録信号に応じた極性の電流が磁気コイルに流され、磁気コイルから所望の極性の磁界が光磁気ディスクに印加される。こうして磁界変調方式により情報が光磁気ディスクに記録される。
【0043】
図2〜4に示した構造を有する磁気コイル15を備える基板3の製造プロセスを図5及び6を用いて説明する。最初に、図5(a)に示したように、透明な正方形状のガラス基板70に、磁気コイル基板90が形成される複数の正方形状の領域70aを区画する。ガラス基板70は、屈折率が均一であり、温度変化に伴う屈折率変化が少なく、しかも熱膨張が小さい材料が望ましく、石英系のガラスであるBK7を用いた。各区画領域70aに、断面図5(b)に示したようにガラス基板70を貫通する4つのスルーホール11をエキシマレーザを用いて形成する。この基板の厚みが高精度に均一化されるように研磨剤で両面研磨して厚みを0.300mmとした後、図5(c)及び図6(a)に示したように4つのスルーホールの中央部であって光透過部(50)になる部分にCr(またはTi)のマスク部82を形成した。このマスク部82を含む基板の断面図を図6(a)に示す。なお、図6のプロセスステップ(a)〜(h)は説明を簡単にするために区画領域70aの一つだけに対する処理を示している。このマスク部82はフォトマスクを用いたフォトリソグラフィーにより形成し得る。次いで、図6(b)に示すように、エッチングしてコイル部分を20μmを除去した。エッチングには反応性ガスによるイオンエッチングを用いた。その後、マスク部82を、反応性ガスを変えてイオンエッチングすることにより除去した。
【0044】
次いで、図6(c)に示すように、パーマロイからなる軟磁性層13aを、ガラス基板3のエッチング処理した面上にスパッタリングにより形成した。この際、軟磁性層13aは、パーマロイ2μmを酸化ケイ素層(中間絶縁層)2nmを介して4層積層した(不図示)。パーマロイはスパッタリングにより形成した。次に、形成された軟磁性層13a上にレジスト14を1μm塗布し、硬化させた。
【0045】
次いで、さらにレジスト14を塗布して、コイルパターン及びヒートシンク層に相当するマスクパターンを用いて塗布したレジスト14を感光させ、現像してコイル15及びヒートシンク層80になる部分のレジストを取り除いた。そして、レジストが除去された部分に、めっきで銅を5μmを厚みで充填した。こうして、図6(d)に示すようにレジスト14中に銅のコイル15a(コイル上層)及びヒートシンク層80を形成した。コイルの内径は120μm、外径は520μm、巻き数は20.5ターンとした。
【0046】
さらに、図7(e)に示すように、絶縁層となるレジスト14をコイル15を覆うように塗布して平滑化した。レジストの厚みは、コイル形成部上で1μmとした。次に、コイル15の端部をスルーホール11を通して配線するために、図6(d)に示した処理と同様の処理でコイル延在部15b(コイル下層)を作製した。このコイル延在部15bは、コイル15aの内側部から下方に延在して後、折り曲がってコイルの外周部に向かって延在し、折り曲がってスルーホール11に向かうように形成した(図7(f))。
【0047】
次に、図7(g)に示したように、絶縁層となるレジスト14を塗布して平滑化した。この時、レジストの厚みはコイル形成部で1μmであった。次いで、第2の軟磁性層13bを形成する。軟磁性層13bは軟磁性層13aをガラス基板3に形成したときと同様に、パーマロイ2μmをそれぞれ中間絶縁層2nmを介して4層に積層した。ディスク側の軟磁性層13bは、内周がコイル15やレンズ側の軟磁性層13aより大きく、内径部(開口部)の面積が軟磁性層13aの内径部の面積の2倍となるようにした。
【0048】
次に、図7(h)に示したように、保護膜17として、窒化ケイ素100nmとダイヤモンドライクカーボン20nmをこの順でレジスト14及び軟磁性層13bが露出している面に形成した。
【0049】
次に、基板のレンズ側の面に、リード用端子18とレンズ支持パッド8を、所定のレジストパターン内に3μmの銅層及び1μmの金層をそれぞれメッキで形成した後、レジスト膜をアッシング除去することで形成した(図3参照)。レンズ支持パッド8は、図8に示しようように環状に形成されている。最後に、基板70を区画領域ごとにダイサーで切断して、複数の磁気コイル基板90を得た。
【0050】
こうして得られた磁気コイル基板90に、図1に示すように、レンズ1,2をそれぞれレンズホルダ7a及び7bに組み込まれた状態で取り付けた。この際、光透過部50に対する光路調整を行いつつレンズホルダ7aを基板3に対して位置決めし、レンズホルダ7aの外周側よりレンズホルダ7aと基板3との間に接着剤6を充填した。接着剤として、ロックタイト(Loctite)社製ポリウレタン系接着剤3951を用いた。ここで、レンズ接着用パッド8はレンズとコイル用ガラス基板の空隙を一定に保つとともに、レンズ2の光射出部に接着剤が流れ込むのを防止している。レンズの光射出部2aおよび基板3の面3bには反射防止膜を形成してもよい。
【0051】
実施例2
本発明の光磁気ヘッドの実施例2を図面を用いて説明する。この実施例では、レンズ支持パッド8’を、図9に示すような4つの分離した環状部とした以外は、実施例1と同様にして、磁気コイル基板を形成した。図10に示すように、光磁気ヘッド102には、基板3上にレンズ1,2がレンズホルダ7a、7bを介して組み付けられている。この例でも、レンズ2はレンズ支持パッド8’を介することによってレンズ2と基板3との間隔を制御しつつ基板3上に載置されている。レンズ支持パッド8’は4つの分離した環状部であるので、レンズホルダ7aの底部と基板面3bとの間に接着剤6を充填すると、接着剤6はレンズ2の光射出部2aの下方の空間にも流れ込む。ここで、レンズ2、基板3、接着剤6の屈折率はほぼ同一のものを使用しているので、それらの間を光が伝播するときの光の屈折が防止されている。好ましくはレンズ2、基板3及び接着剤6の屈折率の差は10%以下とよい。本例ではレンズ及び基板は石英(BK7:n=1.512)で形成されており、接着剤は熱硬化性接着剤である二液性エポキシ−EMI社製光学用接着剤OPTOCAST3601(n=1.53)を用いた。
【0052】
[光磁気ディスクの製造]
本発明の光磁気ヘッドで情報を記録再生するために以下のようにして図13に示した断面構造を有する光磁気ディスクを作製した。トラックピッチ0.6μmのランド記録再生用基板21を、予め溝とピットを形成したスタンパを備えた射出成形金型にポリカーボネート樹脂を充填することにより成形した。基板サイズは、直径130mm、厚さ1.8mm、センターホール径15mmとした。ランドの幅は0.4μm、溝深さは60nmとした。この基板にインライン式DCマグネトロンスパッタ装置を用いて、反射層22としてAu層を50nmの厚みで、記録再生層23としてTbFeCo合金層を20nmの厚みで、透明誘電体層24として窒化シリコン層を60nmの厚みでそれぞれ形成した。次いで、窒化シリコン層の上に紫外線硬化樹脂層25を5μmの厚みでスピンコートで形成し、最後に潤滑剤層として、両末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル潤滑剤を平均膜厚1nmでスピンコートして形成した。各層の成膜条件は以下の通りである。窒化シリコン層は、シリコンターゲットをAr−N混合ガス (混合比2:1)を用いて、流量130sccm(真空度2.0Pa)、投入パワー2kWでスパッタして成膜した。Au層はAuターゲットを、Arガスを用いて流量80sccm(真空度1.2Pa)、投入パワー2kWでスパッタして成膜した。TbFeCo合金層は、Tb23Fe67Co10(原子%)合金ターゲットを、Arガスを用いて流量100sccm(真空度1.5Pa)、投入パワー500Wの条件でスパッタして成膜した。
【0053】
この光磁気ディスクを、実施例1および実施例2で作製した光磁気ヘッドを備えたドライブに組み込み、所定のテスト信号を記録してエラーレートを測定した。トラッキングは、Push−Pull方式を用いた。ディスク回転数は毎分3600回転とした。
【0054】
まず、図1に示したように基板3中に設けた磁気コイル15からの磁界を測定するため、光変調記録方式で使用される大型のコイルを、磁気コイル15に対して、ディスクを挟んで磁気コイル15と対向する位置に設置し、この大型コイルから発生する磁界をガウスメータで測定した。これは、磁気コイル15が超小型であるために、発生する磁界を直接測定するのが困難であり、大型コイルで発生する磁界をバイアス磁界として印加するためである。次にディスクをドライブに取り付けて回転させ、フォーカスサーボ及びトラッキングサーボかけながらレーザパワーを調節してディスクにテスト信号を記録した。この時、大型コイルで印加したバイアス磁界と、磁気コイル15で発生する磁界とがバランスして光磁気信号が0となるバイアス磁界を求めて、本発明のコイルで発生する磁界を求めた。コイル15に流れる電流を調整して、光磁気ヘッドの磁気コイルから発生する磁界を150(Oe)に調整した。ディスクとコイル保護膜17との間隔は10μmとした。
【0055】
このドライブを用いて、最適記録パワーでエラーレートを測定したところ、マーク長350nmのマークで1×10−4以下であり、再生チャンネルが十分に動作するレベルであることが分かった。なお、データ変調方式は1−7(PRクラス1)を用いた。このマーク長でゾーンCAV方式を用いれば、ディスク片面で約15Gbitの記憶容量を達成できることが分かる。
【0056】
ここで、レンズ側に形成した軟磁性層13aとディスク側に形成した軟磁性層13bの開口部の面積比が、磁気コイル15から発生する磁界に対してどのように影響するかを調べるために、ディスク側に形成した軟磁性層13bの開口部の面積を種々の値に変更して、発生した磁界の大きさを測定した。結果を図14に示す。図中、横軸はディスク側に形成した軟磁性層13bの開口部の面積Aと、レンズ側に形成した軟磁性層13aの開口部の面積Bとの比A/Bを示す。縦軸は、異なる上記面積比のディスクについて同一電流で磁界を測定して、最大測定磁界(最適面積比)で各ディスクの発生磁界を規格化した値を示す。1.2≦A/B≦3.1の範囲で、最大測定磁界(最適面積比)の90%以上の磁界が発生していることがわかる。それゆえ、A/Bは1.2から3.2程度にするのが好ましい。
【0057】
実施例1及び2で作製した光磁気ヘッドは、図12に示すようなエアスライダ31に搭載して浮上型ヘッドとしてもちいることができる。この場合、フォーカスサーボ系を用いずに、ディスクとレンズを安定に近接させることが可能となる。エアスライダは図示しないアームを介してロータリアクチュエータに接続される。光磁気ヘッドにレーザ光を送る光学系はアームの先端に取り付けることができる。光磁気記録信号およびトラッキングに必要な信号は、例えば、アームの根元に取り付けた検出部で検出することができる。検出系は、知られた光磁気記録装置と同様のものを使用することができる。
【0058】
実施例3
この実施例では、図3に示した磁気コイル基板90に突起部50を残さなかった以外は、実施例1と同様にして磁気コイル基板を作製した。磁気コイル基板は、290は、図11に示すようにコイル15の中央に位置する光透過部55にはガラス材料が存在していない。このような構造は、基板3を最初にエッチングすることなく、すなわち、図6のプロセスステップ(a)及び(b)を省略すれば得られる。このように、突起部50を空間にすると、コイル作製プロセスが簡略化され、またコイル形成面に極めて平滑な面が得られることで生産性が向上する。こうして得られた磁気コイル基板290は、実施例1と同様にして対物レンズ系を組み込んで光磁気ヘッドを構成することができる。
【0059】
実施例4
この例では、図15及び16に示したようにコイル支持基板3のディスク側の面3aの外周部に枠状の突起部70を形成した以外は、実施例1と同様にして磁気コイル基板390を製造した。この突起部70は、光透過部の突起部50より高くなるように形成した。この突起部70は、例えば以下のようにして形成し得る。図6(a)及び(b)で示したプロセスステップにおいて基板3の突起部70に相当する外側部にもマスクを設け、反応性エッチングを行う。次いで、得られた突起部70のみにマスクを形成して、突起部50のマスクのみを除去し、さらに反応性イオンエッチングすればよい。突起部70は突起部50より1〜2μm程度突出しているのが好ましい。こうして得られた突起部70は、磁気コイル15を保護するととも、光透過部の近傍に塵、埃などの付着を防止する。
【0060】
さらに、図15に示したように、突起部70上に保護膜9を形成し得る。保護膜9の材料としては、酸化シリコン、窒化シリコン、ジルコニア、ダイヤモンドライクカーボンなどを用いることができる。保護膜の厚さは、0.1〜0.2μmが好適である。
【0061】
こうして得られた磁気コイル基板390に実施例1と同様にして対物レンズ系を組み込んで図16に示したような光磁気ヘッドを構成した。実施例1で作製したのと同じ光磁気ディスクを、この実施例で作製した光磁気ヘッドを備えたドライブに組み込み、所定のテスト信号を記録してエラーレートを測定した。トラッキングは、Push−Pull方式を用いた。ディスク回転数は毎分3600回転とした。コイル15に流れる電流を調整して、ヘッドのコイルから発生される磁界を150(Oe)にした。ディスクとコイル保護膜14との間隔は10μmとした。このドライブを用いて、最適記録パワーでエラーレートを測定したところ、マーク長350nmのマークで1×10−4以下であり、再生チャンネルが十分に動作するレベルであることが分かった。なおデータ変調方式は1−7(PRクラス1)を用いた。このマーク長で、ゾーンCAVを用いれば、ディスク片面で約15Gbitの記憶容量を達成できることが分かる。
【0062】
実施例4で作製した光磁気ヘッドをピックアップ(固定型)として用いた光磁気ディスク記録再生装置および実施例4で作製した光磁気ヘッドを浮上型ヘッドとして用いた光磁気ディスク記録再生装置をそれぞれ用い、実施例1で作製した光磁気ディスクを5.25インチサイズのISOディスクカートリッジに入れ、ディスクの保管および記録再生試験のサイクルを繰り返して耐久性を調べた。この実験は通常の事務所環境(温度約25℃)で行った。比較のため、突起部70の表面に酸化シリコン、窒化シリコン、ジルコニア及びダイヤモンドライクカーボンを保護膜としてつけたもの、保護膜のないものおよび比較のため突起部70(パッド)が形成されていないものを実験した。
【0063】
この結果を表2に示す。耐久性は数箇所の最内周から最外周まで10本のトラックを記録再生して一つトラックのセクターでもエラーレートが30%以上悪化したサイクル数を示す。
【0064】
ピックアップ方式のヘッドでは、ディスクが記録再生装置に入ると、ディスクを5秒間回転した後、一旦回転を停止し、次にディスクの内周でフォーカスサーボを動作させる。その後、再度ディスクを回転させた後、ヘッドを内周から外周まで移動させて数箇所の特定トラックを記録再生するように制御した。フォーカスサーボ動作時にディスクの回転をいったん止め、内周領域をフォーカス動作を開始するのは、ディスクの面振れによってフォーカスサーボが引き込めないのを防止するためであり、また、内周領域の面振れが最も小さいのでフォーカスサーボ動作後ディスクを回転したときにフォーカスサーボが外れることを防止するためでもある。
【0065】
浮上型ヘッドの評価は、ディスクを回転させた後、ランプロード方式でディスク上の外周位置にヘッドをロードし、外周から内周まで移動させて数箇所の特定トラックを記録再生し、次に外周位置にヘッドを移動させアンロードするように制御させることで行った。
【0066】
【表2】
Figure 0004002084
【0067】
表2に示すように突起部70(パッド)を形成することによりドライブの耐久性が向上している。また、突起部70の表面に酸化シリコン、窒化シリコン、ジルコニア、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を保護膜として形成することにより耐久性が一層向上することが分かる。特に、突起部70の表面に酸化シリコンを形成し、その上にダイヤモンドライクカーボン(DLC)を形成すると耐久性が著しく増加する。これは、摩耗が低下し、摩擦係数が低下するためと考えられる。
【0068】
実施例5
実施例5は、実施例4の変形例であり、図17〜20を用いて説明する。本実施例では、実施例4で作製した磁気コイル基板において突起部70の代わりに図17に示したように保護パッド91を設けることにより光磁気ヘッドを作製した。このような磁気コイル基板は、以下のようにして作製することができる。図6(a)及び(b)で示したプロセスステップにおいて基板3の突起部50のみならず、突起部70に相当する外周部にもマスクを設けて反応性エッチングを行う。これにより、突起部70を突起部50と同一の高さに形成することができる。そして、突起部70上に保護パッド91を接着させればよい。保護パッドは、後述する樹脂により形成することができる。保護パッドは、一例として、図18に示すように、基板の矩形の外周部(縁部)全体に設ける額縁型パッド91を用いた。また、別の例として、図20に示すように4隅のみに設けるバンプ型パッド291を用いた。保護パッド91、291は、予め作製した金型を用いて、ポリアセタールまたはポリアリレート樹脂を所定形状に成形して作製した。このパッドをエポキシ系の接着剤で基板の外周部に張り付けて形成した。
【0069】
図18に示したように基板3に張り付ける代わりに、図19に示したように基板3の外周部に嵌め込むようにパッド91を成形してもよい。パッドの高さは、磁気コイルとディスク表面の間隔の略1/5〜1/2とすることが望ましい。1/5未満では、コイルの保護能力が不十分であり、1/2より大きいと磁界コイルチップの取り付け時の傾き精度を維持するのが困難になり、量産性が低下する。
【0070】
上記のようなパッドが形成された光磁気ヘッド(ピックアップ)を用いた光磁気ディスク記録再生装置を用い、光磁気ディスクを5.25インチサイズのISOディスクカートリッジに入れ、ディスクの保管および記録再生試験のサイクルを繰り返して耐久性を調べた。この実験は通常の事務所環境で行い、パッドはポリアセタール製のパッドとポリアリレート製のパッドを用い、パッドの形状として額縁型及びバンプ型について実験した。比較のためパッドが形成してないものも実験した。この結果を下記の表3に示す。耐久性は数箇所の最内周から最外周まで10本のトラックを記録再生して一つトラックのセクターでもエラーレートが30%以上悪化したサイクル数を示す。
【0071】
【表3】
Figure 0004002084
【0072】
表3から分かるように樹脂でコイル保護用パッドを形成することによりドライブの耐久性が向上していることが分かる。保護パッドの材料としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアリレート、ナイロン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルアミド、フェノール樹脂、パーフロロポリエチレンなどのフッ素樹脂等が使用可能である。
【0073】
実施例6
図21に実施例1の変形例を示す。図21に示した磁気コイル基板は、ヒートシンク層800の膜厚が実施例1の場合よりも厚く、ヒートシンク層800の下端がディスク側に一層近い以外は、実施例1と同様にして作製されている。ヒートシンク層800がディスク側に一層接近しているために、磁気コイル15から発生してヒートシンク層に伝播した熱はディスクと基板3との空間に逃げ易くなる。それゆえ、ヒートシンク層の放熱効果が向上される。さらに、ヒートシンク層を下方に延在して保護膜17に接触させてもよく、保護膜17を部分的に設けずにヒートシンク層をディスク側に露出させても良い。こうすることでヒートシンク層の放熱効果を一層向上させることができる。
【0074】
実施例7
この実施例では、図26に示したように、磁気コイル600を楕円形状に形成した以外は、実施例1と同様にして磁気コイル基板を形成し、それを用いて光磁気ヘッドを作製した。楕円形状の磁気コイルは図6の(d)のコイルを形成するステップにおいてフォトマスクとして楕円形の螺旋パターンを用いてフォトレジストを感光することによって容易に形成することができる。
【0075】
磁気コイル600を楕円形状に形成したのは以下の理由による。すなわち、光磁気ヘッドを用いて光磁気ディスクに情報を記録または再生する際にディスクのトラッキングを行う必要がある。このトラッキングは、レーザ光源や検出器が設置された固定光学系(図25参照)に設けられたガルバノミラーとヘッドをアームを介して支持するロータリアクチュエータが動作することで行われる。ガルバノミラーで反射された光はヘッドに搭載されたレンズ等の移動光学系に送られる。ここで、トラッキングにおける高速な動作はガルバノミラーの移動により行われるが、ガルバノミラーの移動により光ビームはディスクの進行方向に直交する方向(ディスク半径方向)に振れることになる。この際、磁気コイルを、ディスク半径方向が長軸となる楕円形に成形しておけば、トラッキングの際に光ビームがディスク半径方向に振れても磁気コイルに遮られることなくディスクに照射されることができる。
【0076】
実施例8
この実施例では、図27に示したように、磁気コイルが設けられる基板700を長方形状に形成した以外は、実施例1と同様にして磁気コイル基板を形成し、それを用いて光磁気ヘッドを作製した。ガラス基板700を長方形状にすることにより、磁気コイル一つ当たりが設置される基板面積を小さくして、製造コストを低下することができる。この実施例では、基板700は4.4mm×1.5mmとした。ガラス基板700の両側にはアルミニウム製の保護基板800を設置した。
【0077】
[他の記録媒体への応用]
上記実施例で作製した光磁気ヘッドは、光磁気ヘッドのみならず、相変化記録媒体、特に膜面入射タイプの相変化記録媒体や色素を用いた記録媒体(例えば、CD−R)を記録または再生するために用いることもできる。相変化記録媒体や色素を用いた記録媒体は、記録及び再生のために磁界を印加する必要はないので、磁気コイルを動作させずに光照射の目的で使用することができる。この場合、実施例4で形成した基板上の突起部及び実施例5で形成したパッドは、相変化記録媒体、特に膜面入射タイプの相変化記録媒体や色素を用いた記録媒体(例えば、CD−R)を記録または再生する場合においても有効であることが、実施例4で行った耐久性試験に用いた光磁気ディスクの代わりに相変化記録媒体および色素記録媒体を用いた同様の耐久性試験により明らかとなった。
【0078】
最初に、相変化記録媒体を以下に示す方法で作製した。トラックピッチ0.6μmのランド記録再生用の基板を、予め溝とピットを形成したスタンパを装着した射出成形金型中にポリカーボネート樹脂を充填して成形した。基板サイズは、直径120mm、厚さ1.1mm、センターホール径15mmとした。ランドの幅は0.4μm、溝深さは60nmとした。その上にインライン式マグネトロンスパッタ装置を用いて、反射層としてAgRuAu層を100nmの厚みで、中間層としてZnS−SiO層を20nmの厚みで、記録層としてGeSnSbTe合金層を20nmの厚みで、透明誘電体層としてZnS−SiO層を120nmの厚みでそれぞれ形成した。
【0079】
ZnS−SiO層の上に紫外線硬化樹脂層を5μmスピンコートで形成し、最後に潤滑剤層として、両末端に水酸基を有するパーフルオロポリエーテル潤滑剤を平均膜厚1nmでスピンコートして形成した。各層の成膜条件は以下の通りである。ZnS−SiO層は、(ZnS)80(SiO20(モル%)ターゲットをArガスを用いて、流量130sccm(真空度2.0Pa)、投入パワー1kWでスパッタして成膜した。AgRuAu層はAg98RuAu(at%)ターゲットを、Arガスを用いて、流量80sccm(真空度1.2Pa)、投入パワー2kWでスパッタして成膜した。GeSnSbTe合金層はGe15Sn15Sb15Te55(at%)合金ターゲットを、Arガスを用いて、流量100sccm(真空度1.5Pa)、投入パワー200Wの条件でスパッタして成膜した。
【0080】
相変化媒体をディスクカートリッジに入れ、実施例4と同様にしてディスクの保管および記録再生試験のサイクルを繰り返して耐久性を調べた結果、表2とほぼ同様の結果が得られた。また、基板上に、アゾ系色素を用いた色素層及びAg98RuAu(at%)反射層を用いた色素記録媒体の場合も表2とほぼ同様の結果が得られた。
【0081】
以上のことから、光磁気媒体に限らず、膜面入射型の相変化記録媒体や色素記録媒体においても、突起部70の形成によりドライブの耐久性が向上し、パッド部の表面に酸化シリコンや窒化シリコン、ジルコニア、ダイヤモンドライクカーボンを保護膜として形成することにより、耐久性がさらに向上することが分かった。突起部70の表面に酸化シリコン形成、その上にダイヤモンドライクカーボン形成すると、特に耐久性が増加するのは光磁気の場合と同様であった。
【0082】
なお、上記の実験には実施例で作製した光磁気ヘッドを用いたが、相変化媒体の場合は記録に際して外部磁界が不要なため、磁気コイルがないものを用いることもできる。すなわち、図6に示した磁気コイル基板を形成するプロセスにおいて磁気コイル15を形成するステップ(d)及び(f)を省略するだけでよい。このようなプロセスで図15において磁気コイル15が存在しない磁気コイル基板を容易に作製することができる。この基板を用いて図1、12、17に示しようにヘッドを構成することができ、このようなヘッドは相変化媒体または色素記録媒体を記録及び/または再生するための専用ヘッドとして動作し得る。
【0083】
すなわち、本発明においては、情報記録媒体に情報を記録するために用いられる光ヘッドであって、前記情報記録媒体に光を集光するためのレンズと;互いに平行な第1面及び第2面を有し、第1面上に上記レンズを支持する基板と;上記基板の第2面上に設けられた突出部または保護パッドと;を備える光ヘッドを提供することもできる。保護パッドは前述のような樹脂材料から構成し得る。
【0084】
なお、種々の実験及び検討の結果、光磁気記録媒体および相変化媒体においては、ランドグルーブ記録形式にした場合は、ランドとグルーブの記録特性がそろい易いことから、入射するレーザの偏向方向を溝に対して垂直にした方が望ましく、かつ溝の深さは隣接トラックとのクロストークの観点からλ/(7n)〜λ/(5n)が望ましいことが分かった。また、オングルーブ記録(光入射からみて凸の部分に記録)の場合は、記録パワーマージンが広いこと、トラッキング信号が十分得られることから、入射するレーザの偏光方向は、溝に対して平行が望ましい。溝深さは、λ/(8n)より深いと信号強度が低下してしまい、λ/(16n)より浅いと十分なトラッキング信号が得られないため、λ/(8n)〜λ/(16n)が望ましい。ここで、λは再生のためのレーザの波長、nは保護膜すなわち紫外線硬化樹脂の屈折率である。
【0085】
実施例9
本実施例における、ピックアップ部1000の構造を、図22を用いて説明する。図22に示すように、本ピックアップ部1000はピックアップ本体部101とそれを取り囲むピックアップ支持部103から構成した。
【0086】
ピックアップ本体部101は、主に、後述する外部光学系からの光を集光するための第1レンズ110、第1レンズ110で集光された光のスポット径をさらに微小化するための第2レンズ112、第1レンズ110を固定するためのレンズホルダ114、第2レンズ112を固定するためのレンズホルダ116、第1レンズ110及び第2レンズ112の光軸を調整するための圧電アクチュエータ118、光磁気ディスクに光磁気記録するために用いる磁気コイル120及びその磁気コイル120を光磁気ディスク側に支持するためのコイル支持基板122から構成した。
【0087】
図22に示すように、コイル支持基板122上に第2レンズ112が配置されており、第1レンズ110が第2レンズ112の直上に位置するように配置されている。第1レンズ110は外周部分に平坦面を有し、かつ両面が凸球面を形成する凸レンズであり、第2レンズ112は、外周部にホルダ固定用の平坦面を有し、かつ上面が凸球面に、下面が平坦面になるように形成されたレンズである。第1レンズ110では外部光学系からの光を第2レンズ112に集光し、その集光された光を、さらに光磁気ディスク上に所用のスポット径となるように第2レンズ112で集光する。レンズホルダ114は、底面を有する円筒形であり、レンズホルダ114の上部枠上で第1レンズ110を固定する。また、レンズホルダ114の底面中央部には第2レンズ112への光入射用の開口部が設けてある。レンズホルダ116は、底面を有する円筒形であるが、底面中央部に第2レンズ112を固定するための第2レンズ112と同じ直径の開口部が設けてある。
【0088】
第1レンズ110を固定したレンズホルダ114は、レンズホルダ116の内側に隙間100μm程度となるように配置される。レンズホルダ114の底面の外周部には、圧電アクチュエータ118が埋設されている。圧電アクチュエータ118は、円周方向にそれぞれ120°の間隔で3個設置されている(図23)。圧電アクチュエータ118は、それぞれレンズホルダ116の底面内壁上に接地されて、レンズホルダ114をレンズホルダ116上に水平に移動可能に支持している。レンズホルダ114をレンズホルダ116に対して水平方向に変位させ、第1レンズ110の光軸を第2レンズ112の光軸AXに合わせることにより、第1レンズ110と第2レンズ112における光軸のズレを補正することができる。これにより、上記2つのレンズの光軸のズレにより発生する波面収差を最小化することが可能となる。尚、本実施例では、圧電アクチュエータ118として、ピエゾアクチュエータを用いた。圧電アクチュエータ118用の配線は、レンズホルダ116の側壁、又は底面に加工した穴部にヨリ対線を通し、それを各圧電アクチュエータ118に半田付けにより固定することで行った。
【0089】
ピックアップ支持部103は、ピックアップ支持部本体150、フォーカシング用アクチュエータ152、及びピックアップ本体部101をピックアップ支持部103に移動可能に支持するための弾性部材158から構成される。フォーカシング用アクチュエータ152は、ピックアップ支持部本体150の上方であってピックアップ本体部101との間に設けられている。本実施例では、フォーカシング用アクチュエータ152は、ピックアップ本体部101のレンズホルダ116の外周壁上方に取り付けられたアクチュエータコイル154、及びアクチュエータ用永久磁石156を備える。ピックアップ本体部101は、板バネ等の弾性部材158を介してピックアップ支持部本体150に支持されているので、フォーカシング用アクチュエータ152による鉛直方向の変位が可能である。これにより、ピックアップ本体部101は、ピックアップ部1000内で鉛直方向における変位の微調整が可能となる。したがって、光磁気ディスクに対するフォーカスの微調整も可能となる。
【0090】
以下に、本実施例に用いたピックアップ部1000の光軸補正方法を、図24を用いて説明する。本光軸ズレの補正は、光磁気ディスク400を用いて、フォーカシング用アクチュエータ152及び圧電アクチュエータ118を調整することで行われる。光磁気ディスク400は、その上面にレンズのNA及び使用するレーザの波長で決まるレーザスポットサイズ程度の径から、そのおよそ10倍程度(線方向)の径を有する長円ピットまでトラッキングをかけられるように形成されている。この光磁気ディスク400を所定の回転数で回転させ、フォーカシング用アクチュエータ152を用いてピックアップ部本体101を鉛直方向(図中、矢印ZD)に変位させながら、ピックアップ部1000によりレーザ光LSを光磁気ディスク400に集光させる。ピットからの反射された光は第2レンズ112、第1レンズ110を透過し、後述する外部光学系の光磁気信号検出器において再生される。このとき、ピックアップ部本体101の変位した位置と再生信号強度からベストフォーカス位置を求める。
【0091】
次いで、様々な大きさのピットから得られた再生信号の中でも、特にサイズの小さいピット(最小ピット)からの出力が大きく、かつ分解能(=最小ピットからの再生信号/最大ピットからの再生信号)も大きくなるよう、圧電アクチュエータ118に駆動電圧をかけてレンズホルダ114をレンズホルダ116に対して水平方向(図中、矢印ZD)を変位させる。最小ピットからの信号及び分解能の両方がほぼ最大となったところが第1レンズ110の光軸が第2レンズ112の光軸AXにほぼ一致していると考えられる。ここで、光磁気ディスク400を取り外し、第1レンズ110と第2レンズ112の相対位置を固定するために、圧電アクチュエータ118に駆動電圧を供給しているヨリ対線を外し、ヨリ対線を通す穴部134からエポキシ接着剤を注入することでレンズホルダ114と116を固定する。尚、上記のような調整を光磁気ディスク400がドライブ内にローディングされたときに行うことも可能である。この場合、光軸ズレを補正するためのピット領域を予めディスク上に形成しておき、この領域における再生信号を利用して、光軸調整を行うこととなる。
【0092】
本発明におけるピックアップ部1000を組み込んだ、光磁気記録装置の光学系全体の具体例を図25に示す。本発明の実施の形態は、図25に示すように、ピックアップ部1000を含む可動光学系200、固定光学系300、光磁気ディスク400、及び磁界制御部500から構成されている。図25中、固定光学系300については通常の光磁気ディスクを記録または再生するためのドライブと同様の光学系を使用することができる。すなわち、半導体レーザのようなレーザ光源302から射出されたレーザ光は、レンズ304、プリズム306、308、ビームスプリッタ310を通過し、ミラー202、204で反射された後、ピックアップ部1000の第1レンズ110に入射し、さらに第2レンズ112で集光されて、光磁気ディスク400の記録層で焦点を結ぶ。このとき、ピックアップ部1000内の磁気コイル120には磁界制御部500から記録信号に応じた電流が供給されることにより、磁気コイル120から記録用磁界が発生する。こうして記録層には、磁界変調方式により記録信号に応じた記録マークが形成される。ここで、記録方式としては磁界変調方式に限らず、光変調方式、または光パルス磁界変調方式でも記録可能である。
【0093】
再生時に、光磁気ディスク400からの反射光は、ミラー204、202で反射された後、ビームスプリッタ310で反射されてビームスプリッタ312で2つのビームスプリッタ314、326に向かう光に分割される。ビームスプリッタ314に入射した反射光はさらにそこで分割されてフォーカシング検出用検出器320とトラッキング信号検出用検出器316にそれぞれ入射する。また、1/2波長板322及びレンズ324を通過してビームスプリッタ326に入射した反射光は、互いに直交する偏光成分の光を検出する光検出器328、330に入射し、カー回転角に応じた再生信号を検出する。
【0094】
以上、本発明の光磁気ヘッド及び光磁気記録装置を実施例により具体的に説明してきたが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではなく、当業者が本発明の特許請求の範囲から想到し得る種々の変形例及び改良例を含み得る。例えば、光磁気ヘッドに搭載された対物レンズ系には種々のレンズを用いることができ、近接場記録を可能にする固体イマージョンレンズをディスク側のレンズとして用いても良い。また、磁気コイル及び基板の形状、寸法及び材料は種々のものを採用してよい。実施例2では、レンズ2の光射出面2aと基板の上面3bとの間に接着剤を充填したが、レンズ2と接着剤の界面での屈折あるいは接着剤と基板3の界面での屈折をより一層防止するために、レンズ2の光射出面2aと基板の上面3bとの間に屈折率マッチング用のオイルを充填してもよい。このオイルの屈折率はレンズ及び基板を構成する材料の屈折率とほぼ同一のものを用い得る。
【0095】
上記実施例1〜8ではエキシマレーザでスルーホール11を形成したが、エキシマレーザに代えてマスクを用いたサンドブラストでスルーホール11を形成しても良い。また、コスト及び量産性の観点からスルーホール11を形成せずに、配線をコイルの端まで形成してコイル作成後に基板の側面に配線パターンを形成してもよい。
【0096】
【発明の効果】
本発明の第1の態様に従う光磁気ヘッドによれば、磁気コイル基板上の磁気コイルが設けられた面、すなわち、光磁気ディスクと対向する側に放熱部材が設けられているので、磁気コイルで発生した熱を有効に光磁気ディスクと磁気コイルとの間の空間に放熱することができる。特に、光磁気ディスクの回転移動により発生する気流を利用して磁気コイルを有効に冷却することができる。特に、高周波信号が記録されるときでも磁気コイルの磁気特性を阻害することはなく、また良好なトラッキングが行われる。それゆえ、本発明の光磁気ヘッド及びそれを搭載した光磁気記録装置は高密度記録に極めて有用である。また、本発明の光磁気ヘッド及びそれを搭載した光磁気記録装置は、製造プロセスが簡単であり、低コストで製造することができる。
【0097】
本発明の第3の態様に従う光磁気ヘッドでは、第1レンズホルダを第2レンズホルダに対してレンズの光軸と直交する方向に相対移動するアクチュエータを備えるので、第1レンズと第2レンズの光軸を正確に合わせ込むことができる。このため、高NAのレンズを第2レンズに用いても波面収差の発生を防止することができる。それゆえ、本発明の光磁気ヘッド及びそれを搭載した光磁気記録装置は高密度記録に極めて有用となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で作製した光磁気ヘッドの構造を示す概略説明図である。
【図2】図2は、図1の光磁気ヘッドの磁気コイル基板の概略的な透視背面図である。
【図3】図3は、図2のA−A’面で切断した磁気コイル基板の概略断面図である。
【図4】図4は、図2のB−B’面で切断した磁気コイル基板の概略断面図である。
【図5】図5は、実施例1の光磁気ヘッドを製造するために用いたガラス基板の加工プロセスを示す図であり、(a)はスルーホールを形成した基板の平面図であり、(b)は(a)の断面図であり、(c)はマスク部を設けた平面図である。
【図6】図6は、実施例1の光磁気ヘッドの磁気コイル基板を製造するためのプロセスステップ(a)〜(d)を示す図である。
【図7】図7は、実施例1の光磁気ヘッドの磁気コイル基板を製造するためのプロセスステップ(e)〜(h)を示す図である。
【図8】図8は、実施例1で作製した光磁気ヘッドにおけるリード用端子とレンズ支持パッドの基板上での配置を示す概念図である。
【図9】図9は、実施例2で作製した光磁気ヘッドにおけるリード用端子とレンズ支持パッドの基板上での配置を示す概念図である。
【図10】図10は、実施例2で作製した光磁気ヘッドの概略構造を示す図である。
【図11】図11は、実施例3で作製した光磁気ヘッドの磁気コイル基板の概略断面図である。
【図12】図12は、エアスライダーに搭載された状態の実施例2の光磁気ヘッドを示す図である。
【図13】図13は、実施例1で作製した光磁気ディスクの概略断面図である。
【図14】図14は、レンズ側に形成した軟磁性層とディスク側に形成した軟磁性層の開口部の面積比A/Bに対する磁気コイル15から発生する磁界の変化を示すグラフである。
【図15】図15は実施例4で作製した、突出部70が形成された磁気コイル基板の概略断面図である。
【図16】図16は、図15に示した磁気コイル基板を組み込んだ光磁気ヘッドの構造を示す概略図である。
【図17】図17は、実施例5において作製した、パッドを備えた磁気コイル基板を有する光磁気ヘッドの概略構造を示す図である。
【図18】図18は、実施例5において作製した光磁気ヘッドの基板に設けられたパッド91の形状を示す図である。
【図19】図19は、実施例5において作製した光磁気ヘッドの基板に設けられたパッドの図17とは別の取り付け形態(嵌め込み型)を示す図である。
【図20】図20は、実施例5において作製した光磁気ヘッドの基板に設けられたバンプ型パッド291を示す図である。
【図21】図21は、実施例6で作製した磁気コイル基板の概略断面図である。
【図22】図22は、実施例9における光磁気ヘッド(ピックアップ部)の概略構造を示す図である。
【図23】図23は、図22の光磁気ヘッドを光軸AXと直交する面で切断した断面図であり、圧電アクチュエータの配置を説明する図である。
【図24】図24は、実施例9におけるピックアップの光軸補正の調整を概念的に説明する図である。
【図25】図25は、実施例9のピックアップを用いた光磁気記録装置の光学系の概略図である。
【図26】図26は、実施例7で作製した楕円形状の磁気コイルパターンを有する磁気コイル基板の概略的な透視背面図である。
【図27】図27は、実施例8で作製した長方形状基板を有する磁気コイル基板の概略的な透視背面図である。
【符号の説明】
1,2 レンズ
3 磁気コイル基板
4,15 磁気コイル
5、400 光磁気ディスク
6 接着剤
7a、7b レンズホルダ
8 レンズ支持パッド
11 スルーホール
13a、13b 軟磁性層
14 レジスト
17 保護膜
21 ディスク基板
22 反射層
23 記録層
24 透明誘電体層
31 浮上スライダ
32 ミラー
80 ヒートシンク層
1000 ピックアップ部
101 ピックアップ本体部
102 ピックアップ支持部
110 第1レンズ
112 第2レンズ
114、116 レンズホルダ
118 圧電アクチュエータ
120 磁気コイル
122 コイル支持基板
130 接着剤
132 レンズ接着用パッド
134 圧電素子の電子供給線の為の穴部
150 ピックアップ支持部本体
152 フォーカシング用アクチュエータ
154 アクチュエータコイル
156 アクチュエータ用永久磁石
158 弾性部材
200 可動光学系
300 固定光学系
302 レーザ光源
304 コリメーターレンズ
306、308 プリズム
310、312、314、326 ビームスプリッタ
316 トラッキング信号検出器
318、324 レンズ
320 フォーカス信号検出器
322 1/2波長板
328、330 光磁気信号検出器
500 磁界制御部

Claims (15)

  1. 情報記録媒体に情報を記録するために用いられるヘッドであって、
    前記情報記録媒体に光を集光するためのレンズと;
    互いに平行な第1面及び第2面を有し、第1面と上記レンズの光射出面とが対向するように第1面上に上記レンズを支持する基板と;
    上記基板の第2面上に設けられた磁気コイルと;
    上記磁気コイルを覆うようにして設けられた絶縁層と;
    上記磁気コイルの情報記録媒体側に設けられ、光透過用の開口部が形成された第2軟磁性層と;
    上記基板の第2面上に設けられ、上記磁気コイルで発生した熱を放熱するための放熱部材とを備え、
    上記放熱部材が、上記レンズの光軸方向において磁気コイルよりも情報記録媒体に近い位置に設けられているヘッド。
  2. 上記基板が、ガラス平板である請求項1に記載のヘッド。
  3. さらに、上記基板の第1面上にレンズを支持する支持パッドが設けられている請求項1に記載のヘッド。
  4. 上記基板の第2面上に、磁気コイルを保護するための突出部が形成されている請求項1に記載のヘッド。
  5. 上記突出部の表面に保護膜が形成されている請求項4に記載のヘッド。
  6. 上記基板の第2面上に、保護パッドが設けられている請求項1に記載のヘッド。
  7. 上記保護パッドが樹脂製である請求項6に記載のヘッド。
  8. 上記レンズより上記基板が基板面方向に大きい請求項1に記載のヘッド。
  9. 上記コイルが2層以上積層されている請求項1に記載のヘッド。
  10. 上記基板の第2面と上記コイルとの間に、光透過用の開口部が形成された第1軟磁性層が設けられている請求項1に記載のヘッド。
  11. 第2軟磁性層の光透過用の開口部の面積が第1軟磁性層の光透過用の開口部の面積よりも大きい請求項10に記載のヘッド。
  12. 情報記録媒体に情報を記録するための記録装置であって、
    光源と;
    光源からの光を上記情報記録媒体に照射して情報を記録するためのヘッドと;
    上記情報記録媒体から戻る光を検出する検出系と;を備え、
    上記ヘッドが、
    上記情報記録媒体に光を集光するためのレンズと;
    互いに平行な第1面及び第2面を有し、第1面と上記レンズの光射出面とが対向するように第1面上に上記レンズを支持する基板と;
    上記基板の第2面上に設けられた磁気コイルと;
    上記磁気コイルを覆うようにして設けられた絶縁層と;
    上記磁気コイルの情報記録媒体側に設けられ、光透過用の開口部が形成された軟磁性層と;
    上記基板の第2面上に設けられ、上記磁気コイルで発生した熱を放熱するための放熱部材とを備え、
    上記放熱部材が、上記レンズの光軸方向において磁気コイルよりも情報記録媒体に近い位置に設けられている記録装置。
  13. さらに、上記基板の第1面上にレンズを支持する支持パッドが設けられている請求項12に記載の記録装置。
  14. 上記基板の第2面上に突出部が形成されている請求項12に記載の記録装置。
  15. 上記基板の第2面に、保護パッドが設けられている請求項12に記載の記録装置。
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