JP2003151813A - 酸化物磁性材料及びその製造方法 - Google Patents

酸化物磁性材料及びその製造方法

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JP2003151813A
JP2003151813A JP2001351361A JP2001351361A JP2003151813A JP 2003151813 A JP2003151813 A JP 2003151813A JP 2001351361 A JP2001351361 A JP 2001351361A JP 2001351361 A JP2001351361 A JP 2001351361A JP 2003151813 A JP2003151813 A JP 2003151813A
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powder
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Atsushi Sasaki
淳 佐々木
Koichi Kondo
幸一 近藤
Tatsuya Chiba
龍矢 千葉
栄▲吉▼ ▲吉▼田
Eikichi Yoshida
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NEC Tokin Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 組成、製造条件を調節すること、及び粉末の
構造を変えることで、渦電流損失の低減が図れ、高温で
の焼成を必要としない高抵抗比で低損失な酸化物磁性材
料及びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 酸化物磁性材料は、超音波励起フェライ
トめっき法で生成されたNi‐Znフェライト層によっ
て粉末表面を被覆されたMn−Znフェライト粉末であ
る。このMn−Znフェライト粉末は、母材のMn‐Z
nフェライトが主成分組成が52.0〜55.0mol
%のFe、30.0〜45.0mol%のMn
O、balZnOで、さらに添加物としてMoO,Bi
のうち少なくとも一種以上を質量で1%以下(0
を含まず)含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電源用トランス材
料等に用いられる酸化物磁性材料とその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】電気機器の小型化、軽量化に伴いトラン
ス用材料の高周波化、低損失化が求められている。電源
用トランス材料としては、Mn−Znフェライト、Ni
−Znフェライトが用いられている。そのなかでもMn
−ZnフェライトはkHz帯〜MHz帯まで広い周波数
範囲でトランス材料として使用されている。
【0003】フェライトの損失はヒステリシス損失、渦
電流損失、及び残留損失からなる。
【0004】ヒステリシス損失は磁壁の非可逆的運動に
より発生する損失、渦電流損失は電磁誘導により発生す
る損失であることが知られている。
【0005】しかし、残留損失はその発生因子すら解明
されていない。
【0006】ヒステリシス損失は,結晶磁気異方性定
数、及び、結晶組織に依存する。結晶磁気異方性定数
は、主成分組成に依存する。また、結晶組織は焼成条件
に依存する。
【0007】そのため、低損失な磁性材料を作成するた
めには、主成分組成、焼成条件の選定が重要となる。ヒ
ステリシス損失の低減の策として、結晶組織は以下に述
べる(イ)〜(ハ)の条件が適切とされる。
【0008】(イ)粒内の介在物、すなわち、添加材と
して加えている添加物等が轄晶粒内に残存しないこと、
及び、結晶粒内に空孔(ボア)が残存しないこと。
【0009】(ロ)結晶粒径をできるだけ大きくするこ
と。また、結晶粒径分布をシヤープにすること。
【0010】(ハ)組成不均一をなくすこと。なぜなら
ば、組成の不均一性は結晶格子の不均一性を生じ、応力
の原因となることから磁歪を介した異方性の発生原因と
なるためである。等があげられる。
【0011】渦電流損失は、材料の比抵抗に依存する。
比抵抗は微量添加物、及び、焼成条件に依存する。その
ため、低損失な磁性材料を作成するためには、Si
、CaOに代表される微量添加物、焼成条件の選定
が重要となる。渦電流損失の低減の策として、以下に述
べる条件(a)〜(c)が適切とされる。
【0012】(a)SiO、CaOに加えNb
、ZrO等の第三添加物を添加することによ
り、高比抵抗化を図る。
【0013】(b)結晶粒界の十分な酸化が高比抵抗化
を実現する。結晶粒界は焼成の冷却過程で形成される。
先に述べた添加物は焼成の昇温、保持過程において、結
晶粒内に固溶している。それが、冷却過程において、結
晶粒界に析出することにより形成される。それゆえ、冷
却時の酸素分圧の管理は特に重要となる。
【0014】(c)結晶粒径を小さくする。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】前述したヒステリシス
損失を低減するためには、結晶粒径を大きくする必要が
ある。しかしながら、結晶粒径を大きくすると、粒界の
比表面積が小さくなることより、バルクの比抵抗が下が
る。比抵抗が下がると渦電流損失が増大する。よって、
結晶粒径は、ヒステリシス損失と渦電流損失のバランス
をとるように決定される。
【0016】また、渦電流損失はバルクの比抵抗に依存
する。そのため、微量添加物を添加することにより、比
抵抗を高くしている。しかしながら、SiO、CaO
に代表される添加物は結晶粒の成長を抑制させる働きを
持つ。よって、所定の綿晶粒径、比抵抗を得るため微量
添加物量はヒステリシス損失、渦電流損失のバランスを
とるように決定される。
【0017】また、添加物は適量を添加しないと、異常
粒成長を助長する。異常粒の発現は、比抵抗の減少、結
晶粒径分布をブロードにすることにより、渦電流損失、
ヒステリシス損失いずれも増大させる効果がある。よっ
て、添加物の種類、量の制御は量産上重要な要素となっ
ている。
【0018】前述したように、ヒステリシス損失の低減
のためには、結晶粒径を大きくする必要がある。轄晶粒
径を大きくするためには、焼成温度を高くすることが効
果的である。しかしながら、焼成温度を高くしすぎる
と、コア表面から、ZnOが揮発する。ZnOの揮発は
組成の不均一性を生じ、結晶格子の不ぞろいを生むこと
より、応力を発生し、ヒステリシス損失の増大を生む。
よって、結晶組織を大きくすることと、脱ZnOを生じ
ない焼成温度が決定される。
【0019】以上述べたように、各損失を低減する要
因、方策については、既知であるものの、すべての損失
を低減する万能の策はない。よって、従来の紛体粉末冶
金法では個々の損失のバランスが最適となる材料設計を
行わざるを得ない。
【0020】そこで、本発明の一技術的課題は、組成、
製造条件を調節することで、低損失な酸化物磁性材料を
提供することにある。
【0021】また、本発明のもう一つの技術的課題は、
粉末の構造を変えることで、渦電流損失の低減が図れる
低損失な酸化物磁性材料とその製造方法とを提供するこ
とにある。
【0022】また、本発明では、高温での焼成を必要と
せず、高抵抗比で低損失な酸化物磁性材料及びその製造
方法を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々の検
討を行った結果、超音波励起フェライトめっき法によっ
て生成された、粉末表面がNi−Znフェライト層で被
覆されたMn−Znフェライト粉末を300〜500℃
の熱間圧縮成形することより、低損失な酸化物磁性材料
が得られることを見出した。
【0024】即ち、本発明によれば、超音波励起フェラ
イトめっき法で生成されたNi‐Znフェライト層によ
って粉末表面を被覆されたMn−Znフェライト粉末に
おいて、母材のMn‐Znフェライトが主成分組成が5
2.0〜55.0mol%のFe、30.0〜4
5.0mol%のMnO、balZnOで、さらに添加
物としてMoO,Biのうち少なくとも一種以上
を質量で1%以下(0を含まず)含有することを特徴と
する酸化物磁性材料が得られる。
【0025】また、本発明によれば、前記酸化物磁性材
料において、前記母材のMn−Znフェライトの平均粉
末粒径が10μm以上であることを特徴とする酸化物磁
性材料が得られる。
【0026】また、本発明によれば、前記酸化物磁性材
料において、前記酸化物磁性材料の温間圧縮成形後の比
抵抗が500Ωcm以上であることを特徴とする酸化物
磁性材料が得られる。
【0027】また、本発明によれば、前記酸化物磁性材
料を製造する方法であって、Mn−Znフェライト粉末
を水溶液中に分散する粉末分散工程と、水溶液中に分散
されたMn‐Znフェライトの表面をフェライトめっき
によりNi−Znフェライト層で被覆するフェライト被
覆工程と、Ni−Znフェライト層で被覆されたMn−
Znフェライト粉末を300℃〜500℃の温度下で圧
縮成形する成形工程とを含むことを特徴とする酸化物磁
性材料の製造方法が得られる。
【0028】
【発明の実施の形態】さらに、本発明について詳細に説
明する。
【0029】本発明においては、酸化物磁性材料は、超
音波励起フェライトめっき法で生成されたNi‐Znフ
ェライト層によって粉末表面を被覆されたMn−Znフ
ェライト粉末であって、母材のMn‐Znフェライトが
主成分組成が52.0〜55.0mol%のFe
、30.0〜45.0mol%のMnO、bal
ZnOで、さらに添加物としてMoO,Biのう
ち少なくとも一種以上を質量で1%以下(0を含まず)
含有するものである。
【0030】この際、母材のMn−Znフェライトの主
成分組成が52.0〜55.0mol%のFe
30.0〜45.0mol%のMnO、balZnOか
らなり、母材のMn−Znフェライトの平均粉末粒径が
10μm以上、得られた熱処理後のバルクの比抵抗が5
00Ωcm以上となることが必要である。
【0031】さらに,母材の主成分組成に対してMn
O,Biのうち,少なくとも一種以上を1wt%
以下(0を含まず)添加することで低損失化が計れる。
【0032】先に述べたように、従来の紛体粉末冶金法
では、すべての損失を低減する策はない。
【0033】しかしながら、本発明においては、それぞ
れの損失を同時に低減することが可能であり、その結
果、電源用低損失磁性材料が得られるものである。
【0034】本発明の酸化物磁性材料は、複合磁性材料
からなる。この複合磁性材料においては、Ni−Znフ
ェライトが均一かつ強固に被覆されたMn−Znフェラ
イト粉末が圧縮成形されているので、個々の母材である
Mn−Znフェライト粒子間には、高比抵抗のNi−Z
nフェライトが存在するため、絶縁性を高める役割を果
たす。
【0035】尚、本明細書において、バルクの比抵抗を
500Ωcm以上としているが、Mn−Znフェライト
粉末にめっきする量を変えることにより、バルクの比抵
抗は任意に制御できる。
【0036】また、従来の紛体粉末冶金法では、添加物
を投入し、焼成の保持冷却過程において、析出すること
により、ガラス層の粒界層が形成されるが、その厚みを
変化させることは、困難であった。
【0037】しかしながら、本発明によれば、めっき量
を変化させることによりバルクの比抵抗をいとも簡単に
制御することが可能となる。
【0038】加えて、このフェライトのめっき層は磁性
層であるため、母材のMn−Znフェライト粒子同士を
磁気的に結合する役割を果たす。本発明品のめっき層は
磁性層であるがゆえに、本発明品は従来のMn−Znフ
ェライトと比較して高飽和密度となる。
【0039】本発明の製造工程では、300℃〜500
℃の圧縮成形の工程を必要とする。
【0040】Mn−Znフェライトは焼成工程を必要と
する。通常1200℃〜1400℃の温度で焼成され
る。従来において、このような高い温度で焼成する原因
は、次の理由による。
【0041】(i)粉砕粉末がμmオーダーの大きさで
あり、緻密化及び結晶粒成長にある程度の高温焼成が必
要である。
【0042】(ii)粒界層の形成物質であるSi
、CaOが融解するのにある程度の焼成温度が必要
である。
【0043】本発明品のめっきされたNi−Znフェラ
イト粉末はnmオーダーであり、低温で十分に緻密化が
可能である。
【0044】また、めっき層が粒界層となるため粒界層
成分を析出させる必要がないことより、高温での焼成が
必要ない。
【0045】さらに、MoO,Biのうち,少な
くとも一種以上を質量で1%(1wt%で示す、以下同
様)以下添加することで、MoO、Biが母材粉
末表面を被覆し、隣接する粉末相互の拡散を活性化し、
Mn‐Znフェライトの粒成長が低温でも促進される。
【0046】よって高温焼成におけるZnOの揮発によ
る組成のズレを防ぐことができる。
【0047】また,高温での焼成を必要としないことよ
り、母材のMn−Znフェライト、めっき材のNi−Z
nフェライト間の組成混入がない。組成の混入がないこ
とより、高比抵抗で、低損失な酸化物磁性材料が得られ
る。
【0048】ここで、本発明において、母材のMn−Z
nフェライトの主成分組成を52.0〜55.0mol
%のFe、35.0〜45.0mol%のMn
O,balZnOとしたのは、Feが52.0m
ol%以下、MnOが45mol%以上であると、結晶
磁気異方性定数が高くなり、ヒステリシス損失の増大に
より損失の劣化を招くためであり、Feが55m
ol%以上、であるとFe2+の増大により、比抵抗が
小さくなり、渦電流損失の増大により損失の劣化を招く
ためであり、MnOが30mol%以下であると、飽和
磁束密度が低くなり、電源用材料として不適当であるた
めである。
【0049】また、本発明において、母材のMn−Zn
フェライトの平均粉末粒径が10μm以上としたのは、
10μmより小さいと、ヒステリシス損失の増大によ
り、損失の劣化を招くためである。添加物MoO、Bi
を1wt%以下としたのは、それ以上の添加で
は、比抵抗の減少による渦電流損失の増大、もしくは異
常粒の発生により損失の劣化を招くためである。バルク
の比抵抗を500Ωcm以上としたのは、500Ωcm
以下であると、渦電流損失の劣化により損失の増大を招
くためである。
【0050】また、本発明において、300℃〜500
℃の温度で圧縮成形するのは、300℃以下であるとメ
ッキ粉末であるNiZnフェライト間の緻密化が進ま
ず、飽和磁束密度が小さくなるためであり、500℃以
上であると、母材のMn−Znフェライトとめっき粉末
のNi−Znフェライトが反応して、磁気特性の劣化を
誘発するためである。
【0051】それでは、本発明の実施の形態について図
面を参照しながら説明する。
【0052】(第1の実施の形態)母材のMn−Znフ
ェライト粉末として、主成分組成53.5mol%のF
、38mol%のMnO、balZnOにさら
にMoO、Biを1.2wt%まで添加してその
影響を調査した。この組成になるように原料を秤量し、
混合し、900℃の窒素雰囲気中予焼した粉末を作成し
た。フェライトめっき方法としては、80℃で母材のM
n−Znフェライト粉末粒子を水に分散し、分散液の温
度を一定に保ちながら、FeCl(12g/l)、N
iCl(4g/l)、ZnCl(0.5g/l)の
反応液にてフェライトめっきを行った。フェライトめっ
きは、超音波ホーンにより超音波を加えることによって
液を激しく運動させながら、亜硝酸ナトリウムNaNO
などの酸化剤を徐々に加えて酸化することによって進
行させ、またpHコントローラにより、NHOHなど
でpHを調整し、ほぼ中性の反応液中に母材のMn−Z
nフェライト粉末を浸漬して行った。このようにして、
母材のMn−Znフェライト粉末粒子は、フェライトめ
っきの反応液によって侵されることなく、表面に0.5
μm厚のフェライトめっきの被覆層を形成することがで
きた。得られた粉末を400℃の温度で圧縮成形するこ
とにより、発明品を得た。
【0053】従来材は、52.5mol%のFe
、35mol%のMnO、残部ZnOとなるよう
に秤量し、添加物として0.01wt%のSiO
0.05wt%のCaOwt%、0.05wt%のNb
を加え、混合し、予焼し、解砕し、造粒し、13
50℃で還元雰囲気中焼成した。
【0054】下記表1にMnO、Bi添加量を変
化させたときのバルクの比抵抗、飽和磁束密度、平均結
晶粒径、100kHz−200mT−100℃における
損失(PCV)を示す。MoO、Biの少なくと
も1つ以上が主成分に対し1wt%以下含有している発
明品で結晶粒径が増大し、コアロスが低いのが判る。
【0055】
【表1】
【0056】(第2の実施の形態)母材のMn−Znフ
ェライト粉末として、主成分組成51.9〜55.5m
ol%のFe、29〜46mol%のMnO、b
alZnO、添加物MoO0.5wt%、Bi
0.5wt%を秤量し、混合し、900℃の窒素雰囲気
中予焼した粉末を作成した。フェライトめっき方法とし
ては、80℃で母材のMn−Znフェライト粉末粒子を
水に分散し、分散液の温度を一定に保ちながら、FeC
(12g/l)、NiCl(4g/l)、ZnC
(0.5g/l)の反応液にてフェライトめっきを
行った。フェライトめっきは、超音波ホーンにより超音
波を加えることによって液を激しく運動させながら、亜
硝酸ナトリウムNaNOなどの酸化剤を徐々に加えて
酸化することによって進行させ、またpHコントローラ
により、NHOHなどでpHを調整し、ほぼ中性の反
応液中に母材のMn−Znフェライト粉末を浸漬して行
った。このようにして、母材のMn−Znフェライト粉
末粒子は、フェライトめっきの反応液によって侵される
ことなく、表面に0.5μm厚のフェライトめっきの被
覆層を形成することができた。得られた粉末を400℃
の温度で圧縮成形することにより、発明品を得た。
【0057】従来材は、52.5mol%のFe
、35mol%のMnO、残部ZnOとなるよう
に秤量し、添加物として0.01wt%のSiO
0.05wt%のCaOwt%、0.05wt%のNb
を加え、混合し、予焼し、解砕し、造粒し、13
50℃で還元雰囲気中焼成した。
【0058】下記表2は母材の主成分組成を変化させた
ときのバルクの比抵抗、飽和磁束密度、平均結晶粒径、
100kHz−200mT−100℃における損失(P
CV)を示している。
【0059】
【表2】
【0060】上記表2から、母材の主成分組成が52.
0〜55.0mol%のFe,35.0〜45.
0mol%のMnO,balZnOの範囲で、従来材と
比較して損失が低いことがわかる。
【0061】図1は100kHz−200mTにおけ
る、従来材と発明品4の損失(PCV)の温度特性を示
す。全温度範囲で発明品は損失が小さいことがわかる。
【0062】(第3の実施の形態)母材のMn−Znフ
ェライト粉末として、主成分組成を53.5mol%の
Fe、38mol%のMnO、balZn、添加
物MoO0.5wt%、Bi 0.5wt%を秤
量し、混合し、900℃の窒素雰囲気中予焼した粉末を
作成した。フェライトめっき方法としては、80℃で母
材のMn−Znフェライト粉末粒子を水に分散し、分散
液の温度を一定に保ちながら、FeCl(12g/
l)、NiCl(4g/l)、ZnCl(0.5g
/l)の反応液にてフェライトめっきを行った。フェラ
イトめっきは、超音波ホーンにより超音波を加えること
によって液を激しく運動させながら、亜硝酸ナトリウム
NaNO などの酸化剤を徐々に加えて酸化することに
よって進行させ、またpHコントローラにより、NH
OHなどでpHを調整し、ほぼ中性の反応液中に母材の
Mn−Znフェライト粉末を浸漬して行った。このよう
にして、母材のMn−Znフェライト粉末粒子は、フェ
ライトめっきの反応液によって侵されることなく、表面
に10nm〜2μm厚のフェライトめっきの被覆層を形
成することができた。
【0063】得られた粉末を400℃の温度で圧縮成形
することにより、発明品を得た。
【0064】従来材は、52.5mol%のFe
、35mol%のMnO、残部ZnOとなるよう
に秤量し、添加物として0.01wt%のSiO
0.05wt%のCaOwt%、0.05wt%のNb
を加え、混合し、予焼し、解砕し、造粒し、13
50℃で還元雰囲気中焼成した。
【0065】下記表3は、めっき厚みを変化させたとき
のバルクの比抵抗、飽和磁束密度、平均結晶粒径、10
0kHz−200mT−100℃における損失
(PCV)を示している。下記表3から,5000Ωc
m以上の発明品で損失が小さいことがわかる。
【0066】
【表3】
【0067】(第4の実施の形態)母材のMn−Znフ
ェライト粉末として、主成分組成を53.5mol%の
Fe、38mol%のMnO、残部ZnO、添加
物MoO 0.5wt%、Bi 0.5wt%を
秤量し、混合し、600℃〜1000℃の窒素雰囲気中
予焼した粉末を作成した。フェライトめっき方法として
は、80℃で母材のMn−Znフェライト粉末粒子を水
に分散し、分散液の温度を一定に保ちながら、FeCl
(12g/l)、NiCl(4g/l)、ZnCl
(0.5g/l)の反応液にてフェライトめっきを行
った。フェライトめっきは、超音波ホーンにより超音波
を加えることによって液を激しく運動させながら、亜硝
酸ナトリウムNaNOなどの酸化剤を徐々に加えて酸
化することによって進行させ、またpHコントローラに
より、NHOHなどでpHを調整し、ほぼ中性の反応
液中に母材のMn−Znフェライト粉末を浸潰して行っ
た。このようにして、母材のMn−Znフェライト粉末
粒子は、フェライトめっきの反応液によって侵されるこ
となく、表面に0.5μm厚のフェライトめっきの被覆
層を形成することができた。得られた粉末を400℃の
温度で圧縮成形することにより、発明品を得た。
【0068】従来材は、52.5mol%のFe
、35mol%のMnO、残部ZnOとなるよう
に秤量し、添加物として0.01wt%のSiO
0.05wt%のCaOwt%、0.05wt%のNb
を加え、混合し、予焼し、解砕し、造粒し、13
50℃で還元雰囲気中焼成した。
【0069】下記表4は、母材の予焼温度を変化させた
ときのバルクの比抵抗、飽和磁束密度、平均結晶粒径、
100kHz−200mT−100℃における損失(P
CV)を示している。
【0070】
【表4】
【0071】上記表4から、母材の平均結晶粒径が10
μm以上の発明品で損失が小さいことがわかる。
【0072】(第5の実施の形態)母材のMn−Znフ
ェライト粉末として、主成分組成を53.5mol%の
Fe、38mol%のMnO、残部ZnO、添加
物MoO 0.5wt%、Bi 0.5wt%を
秤量し、混合し、900℃の窒素雰囲気中予焼した粉末
を作成した。フェライトめっき方法としては、80℃で
母材のMn−Znフェライト粉末粒子を水に分散し、分
散液の温度を一定に保ちながら、FeCl(12g/
l)、NiCl(4g/l)、ZnCl(0.5g
/l)の反応液にてフェライトめっきを行った。フェラ
イトめっきは、超音波ホーンにより超音波を加えること
によって液を激しく運動させながら、亜硝酸ナトリウム
NaNOなどの酸化剤を徐々に加えて酸化することに
よって進行させ、またpHコントローラにより、NH
OHなどでpHを調整し、ほぼ中性の反応液中に母材の
Mn−Znフェライト粉末を浸漬して行った。このよう
にして、母材のMn−Znフェライト粉末粒子は、フェ
ライトめっきの反応液によって侵されることなく、表面
に0.5μm厚のフェライトめっきの被覆層を形成する
ことができた。得られた粉末を200〜600℃の温度
で圧縮成形することにより、発明品を得た。
【0073】比較のための従来材は、52.5mol%
のFe、35mol%のMnO、残部ZnOとな
るように秤量し、添加物として0.01wt%のSiO
、0.05wt%のCaOwt%、0.05wt%の
Nbを加え、混合し、予焼し、解砕し、造粒し、
1350℃で還元雰囲気中焼成した。
【0074】下記表5は圧縮成形時の温度を変化させた
ときのバルクの比抵抗、飽和磁束密度、平均結晶粒径、
100kHz−200mT−100℃における損失(P
CV)を示している。
【0075】
【表5】
【0076】上記表5から、圧縮成形時の温度が300
℃〜500℃の範囲の発明品で損失が小さいことがわか
る。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように、本発明において
は、超音波励起フェライトめっき法によって生成され
た、粉末表面がNi−Znフェライト層で被覆されたM
n−Znフェライト粉末を300℃〜500℃の温度で
圧縮成形することにより、低損失な酸化物磁性材料と、
その製造方法とを提供することができる。但し、この際
には、母材のMn−Znフェライトの主成分組成が5
2.0〜55.0mol%のFe,350〜45
0mol%のMnO,balZnOからなり、母材のM
n−Znフェライトの平均粉末粒径が10μm以上、得
られた熱処理後のバルクの比抵抗が500Ωcm以上と
なることが必要である。
【0078】また、本発明においては、MoO、Bi
の少なくとも一つ以上を主成分に対して1wt%以
下含有することで、結晶粒成長が促進され、低損失化を
図ることができる酸化物磁性材料とその製造方法とを提
供することができる。
【0079】さらに、本発明において、Ni−Znフェ
ライトが均一かつ強固に被覆されたMn−Znフェライ
ト粉末が圧縮成形されているので、個々の母材であるM
n−Znフェライト粒子間には、高比抵抗のNi−Zn
フェライトが存在するため渦電流損失の低減が図れる酸
化物磁性材料とその製造方法とを提供することができ
る。
【0080】また、本発明においては、めっき層が粒界
層となるため粒界層成分を析出させる必要がないことよ
り、高温での焼成が必要ない酸化物磁性材料の製造方法
を提供することができる。
【0081】また、本発明では、前述したように、高温
での焼成が必要としないことより、母材のMn−Znフ
ェライト、メッキ材のNi−Znフェライト間の組成混
入がない。この組成の混入がないことより、高比抵抗
で、低損失な酸化物磁性材料とその製造方法とを提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】100kHz−200mTにおける、従来材と
発明品13の損失(PCV)の温度特性を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 千葉 龍矢 宮城県仙台市太白区郡山六丁目7番1号 株式会社トーキン内 (72)発明者 ▲吉▼田 栄▲吉▼ 宮城県仙台市太白区郡山六丁目7番1号 株式会社トーキン内 Fターム(参考) 4G018 AA02 AA21 AA23 AA25 AA37 AC01 AC03 AC09 5E041 AB02 BC01 CA02 HB17 NN02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波励起フェライトめっき法で生成さ
    れたNi‐Znフェライト層によって粉末表面を被覆さ
    れたMn−Znフェライト粉末において、母材のMn‐
    Znフェライトが主成分組成が52.0〜55.0mo
    l%のFe、30.0〜45.0mol%のMn
    O、balZnOで、さらに添加物としてMoO,Bi
    のうち少なくとも一種以上を質量で1%以下(0
    を含まず)含有することを特徴とする酸化物磁性材料。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の酸化物磁性材料におい
    て、前記母材のMn−Znフェライトの平均粉末粒径が
    10μm以上であることを特徴とする酸化物磁性材料。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の酸化物磁性材料におい
    て、前記酸化物磁性材料の温間圧縮成形後の比抵抗が5
    00Ωcm以上であることを特徴とする酸化物磁性材
    料。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の酸化物磁性材料を製造す
    る方法であって、Mn−Znフェライト粉末を水溶液中
    に分散する粉末分散工程と、水溶液中に分散されたMn
    ‐Znフェライトの表面をフェライトめっきによりNi
    −Znフェライト層で被覆するフェライト被覆工程と、
    Ni−Znフェライト層で被覆されたMn−Znフェラ
    イト粉末を300℃〜500℃の温度下で圧縮成形する
    成形工程とを含むことを特徴とする酸化物磁性材料の製
    造方法。
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