JP2003149485A - 光ファイバスプライサ - Google Patents

光ファイバスプライサ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 最適接続条件を自動設定可能な光ファイバス
プライサを提供することである。 【解決手段】 第1光ファイバと第2光ファイバを融着
接続する光ファイバスプライサであって、放電手段と、
前記放電手段により清掃放電された後の、融着すべき前
記第1及び第2光ファイバの端部を撮像する互いに直交
するように配置された第1及び第2カメラと、前記第1
及び第2カメラで撮像された画像を画像処理する手段
と、前記画像処理により、前記第1及び第2光ファイバ
の端面の角部の曲率半径を算出する手段とを具備し、算
出した前記角部の曲率半径に基づいて前記第1及び第2
光ファイバの溶け易さを認識させ、融着接続条件を自動
設定するように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバ接続の
ための低損失接続条件を自動的に設定可能な光ファイバ
スプライサに関する。
【0002】光通信装置に使用されている各種光モジュ
ールは、光ファイバを融着接続(以下スプライスと称す
る)して組み立てられた各種の光部品を使用している。
光ファイバのスプライス工程では低損失の接続が求めら
れている。
【0003】
【従来の技術】図1はコア直視型スプライサを示してい
る。コア直視型スプライサの本体2中には放電装置、C
CDカメラ等が収容されている。4は本体2のカバーで
あり、移動ステージ6が挿入されている。
【0004】作業者は、移動ステージ6上に一対の接続
すべき光ファイバ8,10をセットし、光ファイバ8,
10の端部をCCDカメラで撮像し、この撮像された画
像をモニタ12で観察し、画像処理により接続すべき光
ファイバ8,10の先端位置を認識し、移動ステージ6
によって精密調芯を行ない、アーク放電により一対の光
ファイバ8,10の融着接続を行なう。
【0005】図2に示すように、スプライサによる光フ
ァイバの融着接続には、放電時間、放電強度、ファイバ
押し出し前放電時間、放電位置オフセット(接続位置を
放電の中心に合わせるための移動距離)といった接続条
件がある。
【0006】図3は放電位置オフセットの説明図であ
る。破線にあった一対の電極棒14,16を距離Sだけ
移動して、光ファイバ8,10の接続位置を電極棒1
4,16による放電の中心に合わせる。この移動距離S
を放電位置オフセットと称する。
【0007】従来のコア直視型スプライサによる光ファ
イバの融着接続では、作業者が試行錯誤によって、図2
に示す各条件パラメータのうち、放電時間、前放電時
間、押し込み距離、放電強度の各パラメータを、実際の
損失を計測しながら調査し、最適条件(接続損失が最も
小さくなる条件)を設定していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来のように人手によ
ってスプライス最適条件を設定する場合は、各条件パラ
メータの調査毎に最低でも30本以上スプライスを実行
しなければならず、非常に時間がかかるという問題があ
る。1条件設定につき約2〜3日かかる場合もある。
【0009】光モジュールには多種類の光ファイバが使
用されており、同一の条件で低損失な接続を実現するこ
とは不可能である。また、光ファイバのばらつきによっ
ても条件が変化するため、接続損失が大きくなり、光モ
ジュールに不具合が発生する。
【0010】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは、光ファイバ接続の
ための低損失接続条件を自動的に設定可能な光ファイバ
スプライサを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の一側面による
と、第1光ファイバと第2光ファイバを融着接続する光
ファイバスプライサであって、放電手段と、前記放電手
段により清掃放電された後の、融着すべき前記第1及び
第2光ファイバの端部を撮像するカメラと、前記カメラ
で撮像された画像を画像処理する手段と、前記画像処理
により、前記第1及び第2光ファイバの端面の角部の溶
融度を算出する手段とを具備し、算出した前記角部の溶
融度に基づいて前記第1及び第2光ファイバの溶け易さ
を認識させ、融着接続条件を自動設定することを特徴と
する光ファイバスプライサが提供される。
【0012】本発明の他の側面によると、第1光ファイ
バと第2光ファイバを融着接続する光ファイバスプライ
サであって、放電手段と、前記放電手段により清掃放電
された後の、融着すべき前記第1及び第2光ファイバの
端部を撮像する互いに直交するように配置された第1及
び第2カメラと、前記第1及び第2カメラで撮像された
画像を画像処理する手段と、前記画像処理により、前記
第1及び第2光ファイバの端面の角部の曲率半径を算出
する手段とを具備し、算出した前記角部の曲率半径に基
づいて前記第1及び第2光ファイバの溶け易さを認識さ
せ、融着接続条件を自動設定することを特徴とする光フ
ァイバスプライサが提供される。
【0013】光ファイバのスプライス最適条件に起因す
る大きな項目は、光ファイバの溶け易さと、左右にセッ
トされた光ファイバのコア径(モードフィールド径)、
クラッド径の差(外径差)である。非常に溶け易い光フ
ァイバや、左右光ファイバが大きな外径差を有する場合
には、スプライス最適条件は通常の条件と大きく変わっ
てくる。
【0014】光ファイバのスプライス時には、セットさ
れた光ファイバの表面上の汚れや異物を取り除くため、
軽くアーク放電を行なう。これを清掃放電と呼んでいる
が、このとき、光ファイバの端面の角も取れてフィレッ
ト状になる。
【0015】このフィレット形状は光ファイバの溶け易
さに相関している。本発明は、この端面の角のフィレッ
ト形状を画像処理することによって、角度の溶融度、例
えば角部の曲率半径を算出し、光ファイバの溶け易さを
認識させ、接続条件を最適化する。
【0016】好ましくは、光ファイバスプライサは、画
像処理により、第1及び第2光ファイバのコア径の差及
び外径差を算出する手段と、外径差に応じて放電位置の
自動調整を行なう手段とを更に具備している。
【0017】第1及び第2光ファイバの外径差はCCD
カメラで計測し、放電位置の自動調整手段により放電位
置オフセットを最適化する。
【0018】光ファイバスプライサは更に、コア中心部
と周囲の輝度比を算出する手段を具備しており、第1及
び第2光ファイバのコア径及び算出した輝度比から第1
及び第2光ファイバのモードフィールド径を推定し、モ
ード変換が最適化されるように放電時間を自動設定す
る。
【0019】
【発明の実施の形態】図4は本発明実施形態の構成図を
示している。2は光ファイバスプライサ1の本体であ
り、本体2内には放電装置及びCCDカメラ等が収納さ
れている。本体2のカバー4内には移動ステージ6が摺
動可能に挿入されている。
【0020】接続すべき光ファイバ8,10の一端がカ
バー4内の移動ステージ6上に載置されており、光ファ
イバ8の他端は光源24に、光ファイバ10の他端はパ
ワーモニタ26にそれぞれ接続されている。
【0021】12はコア直視型スプライサ1の画像処理
モニタであり、スプライサ1は制御用パソコン20とR
S232Cシリアルケーブル22で接続されている。
【0022】図5は接続すべき光ファイバ8の概略構成
図を示している。光ファイバ8は直径9μmのコア28
を直径125μmのグラッド30が包囲しており、更に
クラッド30の周囲は樹脂32で被覆されている。
【0023】コア直視型スプライサでは、図6(A)に
示すようにスプライスすべき一対の光ファイバ8,10
がX方向及びY方向のCCDカメラ34,36によって
観察される。図6(B)に示すように、X方向CCDカ
メラ34とY方向CCDカメラ36の光軸は直交してい
る。
【0024】図7は清掃放電後のスプライサのモニタ画
像を示しており、8´,10´はモニタ12上の光ファ
イバ画像を示している。光ファイバ8´,10´のコア
28´は画面上では明るく写り、クラッド30´は暗く
写る。よって、光ファイバのコアとクラッドは画面上の
明暗で認識される。
【0025】本発明では、清掃放電後に図7中のA,
B,R1,R2,P0,P1を計測する。Aはクラッド
径、Bはコア径、R1,R2は光ファイバ端の中心から
クラッド半径部分内側に移動した点から、光ファイバ端
の角へ45度の直線を引いたときの、2つの角部までの
距離を表す。
【0026】P0はコア中心部の輝度、P1はコア周囲
部の輝度を表す。左右の光ファイバ8´,10´毎に計
測する。図示された画像はX画面上の画像であり、Y方
向のCCDカメラ36で撮像したY画面上の画像につい
ても同様に計測する。
【0027】X画面上の左(L)右(R)の各パラメー
タを、XLA,XLB,XLR1,XLR2,XLP
0,XLP1,XRA,XRB,XRR1,XRR2,
XRP0,XRP1とする。
【0028】同様に、Y画面上の左(L)右(R)の各
パラメータを、YLA,YLB,YLR1,YLR2,
YLP0,YLP1,YRA,YRB,YRR1,YR
R2,YRP0,YRP1とする。
【0029】左右光ファイバの溶け易さαL,αRは下
記の(1)式で算出する。(1)式はαLの算出である
が、右光ファイバ(αR)も同様である。
【0030】 αL=(√2×XLA−XLR1−XLR2)+(√2×YLA−YLR1− YLR2)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1) 左右光ファイバの外径差βは(2)式で算出する。
【0031】 β=(XLA+YLA)/2−(XRA+YRA)/2・・・・・(2) また、左右光ファイバのモードフィールド径の差は下記
の(3)式で算出する。
【0032】 LP0=(XLP0+YLP0)/2、RP0=(XLP0+YLP0)/2 LP1=(XLP1+YLP1)/2、RP1=(XLP1+YLP1)/2 γL=(XLB+YLB)/(LP1/LP0)1/2 γR=(XRB+YRB)/(RP1/RP0)1/2 γ=|γL−γR|・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3) 本発明では、通常のシングルモード光ファイバの接続条
件の設定値(これを基準値とする)に対し、α,β,γ
及び係数によって、スプライス最適条件をスプライス時
に自動設定する。
【0033】自動設定するパラメータは、放電時間、放
電強度、前放電時間、放電位置オフセットである。
【0034】図8(A)及び図8(B)は光ファイバの
外径差による放電位置オフセットの設定を説明する図で
ある。まず、図8(A)に示すように、光ファイバ3
8,40の外径LA,RAを計測する。これらの外径に
基づいて、外径差RA−LAを計測する。
【0035】計測した外径差に合わせて太い方の光ファ
イバ40に放電中心位置を移動させる。具体的には、一
対の電極棒14,16を距離Sだけ移動させる。この距
離Sを放電位置オフセットと称する。
【0036】通常のシングルモード光ファイバの接続条
件の放電時間をT、放電強度をP、ファイバ押し出し前
放電時間をPT、放電位置オフセットをS(中心からの
距離。右側を正方向とする)とすると、最適条件の計算
式は以下の通りとなる。
【0037】 T´=T×γ×係数1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4) P´=P×1/(αL+αR)×係数2・・・・・・・・・・・・(5) PT´=PT×(αL+αR)×係数3・・・・・・・・・・・・(6) S=β×(αR/αL)×係数4・・・・・・・・・・・・・・・(7) 本発明では、コア径(XLB+YLB)/2、(XRB
+YRB)/2が40μm以上の場合、マルチモード光
ファイバと認識させ、外径による調芯方式を取る。
【0038】本実施形態では、上述した(4)〜(7)
式の各係数は以下のように設定した。
【0039】(1)最適放電時間T´の設定 T´=T×γ×1.2(T´max=10[sec]) (2)最適放電強度P´の設定 αL or αR≦20μm のとき、放電強度は変更
しない 20μm<αL or αR のとき、P´=P×(1
/αL+αR)×40 (3)最適前放電時間PT´の設定 αL or αR≦20μm のとき、放電強度は変更
しない 20μm<αL or αR のとき、PT´=PT×
(1/αL+αR)×20 (4)放電位置オフセットSの設定 S=−β×(αR/αL) (|S|max=10[μ
m]) 図9に本発明の接続条件自動設定スプライスフローを示
す。
【0040】本発明の自動条件設定スプライサでは、従
来のスプライスロスの平均0.05dB、偏差0.01
に対し、スプライスロスの平均0.02dB、偏差0.
01であった。
【0041】上述した実施形態では、制御用パソコン2
0によりデータを処理しているが、ファームウエアとし
てコア直視型スプライサ1に組み込んでも良い。また、
上述した実施形態ではカメラを2台用いたが、1台のカ
メラを互いに光軸が直交するように移動させ、2回撮像
するようにしてもよい。
【0042】本発明は以下の付記を含むものである。
【0043】(付記1) 第1光ファイバと第2光ファ
イバを融着接続する光ファイバスプライサであって、放
電手段と、前記放電手段により清掃放電された後の、融
着すべき前記第1及び第2光ファイバの端部を撮像する
カメラと、前記カメラで撮像された画像を画像処理する
手段と、前記画像処理により、前記第1及び第2光ファ
イバの端面の角部の溶融度を算出する手段とを具備し、
算出した前記角部の溶融度に基づいて前記第1及び第2
光ファイバの溶け易さを認識させ、融着接続条件を自動
設定することを特徴とする光ファイバスプライサ。
【0044】(付記2) 第1光ファイバと第2光ファ
イバを融着接続する光ファイバスプライサであって、放
電手段と、前記放電手段により清掃放電された後の、融
着すべき前記第1及び第2光ファイバの端部を撮像する
互いに直交するように配置された第1及び第2カメラ
と、前記第1及び第2カメラで撮像された画像を画像処
理する手段と、前記画像処理により、前記第1及び第2
光ファイバの端面の角部の曲率半径を算出する手段とを
具備し、算出した前記角部の曲率半径に基づいて前記第
1及び第2光ファイバの溶け易さを認識させ、融着接続
条件を自動設定することを特徴とする光ファイバスプラ
イサ。
【0045】(付記3) 画像処理により、前記第1及
び第2光ファイバのコア径の差及び外径差を算出する手
段と、前記外径差に応じて放電位置の自動調整を行なう
手段とを更に具備したことを特徴とする付記2記載の光
ファイバスプライサ。
【0046】(付記4) 前記第1及び第2光ファイバ
のコアの中心部と周囲の輝度比を算出する手段を更に具
備し、前記第1及び第2光ファイバのコア径及び算出し
た輝度比に基づいて最適放電時間を設定することを特徴
とする付記2記載の光ファイバスプライサ。
【0047】
【発明の効果】本発明によると、スプライス条件を自動
で設定できるため、スプライス条件設定の手間が不要と
なり、スプライスの作業効率が大幅に向上する。また、
光ファイバの溶け易さ、コア径、外径の違いに対応して
低損失スプライス条件を自動的に設定できるため、スプ
ライス品質が向上する。
【0048】さらに、従来光ファイバの種類毎に接続条
件を変更していた作業が不要となり、工数低減と作業者
のミスによるスプライス不良等を回避できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】コア直視型スプライサの概略構成図である。
【図2】スプライス主用条件パラメータを示す図であ
る。
【図3】放電位置オフセットを説明する図である。
【図4】本発明の実施形態構成図である。
【図5】光ファイバの構成を示す図である。
【図6】スプライス時の光ファイバとCCDカメラの位
置関係を示す図である。
【図7】清掃放電後のスプライサのモニタ画像を示す図
である。
【図8】外径差による放電位置オフセットの設定を説明
する図である。
【図9】接続条件自動設定スプライスフローを示す図で
ある。
【符号の説明】
1 コア直視型スプライサ 2 スプライサ本体 6 移動ステージ 8,10 光ファイバ 12 画像処理モニタ 20 制御用パソコン 34 X方向CCDカメラ 36 Y方向CCDカメラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有馬 忠夫 神奈川県川崎市中原区上小田中4丁目1番 1号 富士通株式会社内 Fターム(参考) 2H036 KA04 MA13 MA14 MA16 MA18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1光ファイバと第2光ファイバを融着
    接続する光ファイバスプライサであって、 放電手段と、 前記放電手段により清掃放電された後の、融着すべき前
    記第1及び第2光ファイバの端部を撮像するカメラと、 前記カメラで撮像された画像を画像処理する手段と、 前記画像処理により、前記第1及び第2光ファイバの端
    面の角部の溶融度を算出する手段とを具備し、 算出した前記角部の溶融度に基づいて前記第1及び第2
    光ファイバの溶け易さを認識させ、融着接続条件を自動
    設定することを特徴とする光ファイバスプライサ。
  2. 【請求項2】 第1光ファイバと第2光ファイバを融着
    接続する光ファイバスプライサであって、 放電手段と、 前記放電手段により清掃放電された後の、融着すべき前
    記第1及び第2光ファイバの端部を撮像する互いに直交
    するように配置された第1及び第2カメラと、 前記第1及び第2カメラで撮像された画像を画像処理す
    る手段と、 前記画像処理により、前記第1及び第2光ファイバの端
    面の角部の曲率半径を算出する手段とを具備し、 算出した前記角部の曲率半径に基づいて前記第1及び第
    2光ファイバの溶け易さを認識させ、融着接続条件を自
    動設定することを特徴とする光ファイバスプライサ。
  3. 【請求項3】 画像処理により、前記第1及び第2光フ
    ァイバのコア径の差及び外径差を算出する手段と、 前記外径差に応じて放電位置の自動調整を行なう手段と
    を更に具備したことを特徴とする請求項2記載の光ファ
    イバスプライサ。
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