JP2003146889A - 制酸・緩下用錠剤 - Google Patents

制酸・緩下用錠剤

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JP2003146889A JP2002195343A JP2002195343A JP2003146889A JP 2003146889 A JP2003146889 A JP 2003146889A JP 2002195343 A JP2002195343 A JP 2002195343A JP 2002195343 A JP2002195343 A JP 2002195343A JP 2003146889 A JP2003146889 A JP 2003146889A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化マグネシウム粒子の含有量が高く、崩壊
時間が短く、かつ打錠障害、黒ずみ、打錠斑が実質的に
存在しない制酸・緩下用酸化マグネシウム粒子含有錠剤
を提供する。 【解決手段】 酸化マグネシウム粒子を有効成分とする
錠剤であって、該錠剤は、(i)その中に含まれる酸化
マグネシウム粒子は、レーザー回折散乱法で測定された
平均2次粒子径が0.5〜10μmであり、(ii)その
中に含まれる酸化マグネシウム粒子の含有量が88重量
%以上であり、(iii)黒ずみおよび打錠斑が実質的に
認められず、かつ(iv)崩壊時間が10秒以下である、
ことを特徴とする制酸・緩下用錠剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、胃酸過多もしくは
胃酸分泌亢進症または便秘に用いられる制酸・緩下用錠
剤に関するものであり、より詳しくは、打錠障害、錠剤
の黒ずみおよび打錠斑が実質的に存在せず、酸化マグネ
シウム粒子の含有割合が高くかつ水と共に服用すると口
中で速やかに崩壊するため服用しやすい酸化マグネシウ
ム粒子含有錠剤に関する。さらに詳しくは、錠剤中の酸
化マグネシウム粒子の含有量が88重量%以上で、かつ
崩壊時間が10秒以下である制酸・緩下用酸化マグネシ
ウム粒子含有錠剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の酸化マグネシウム粒子含有錠剤
は、粒状の酸化マグネシウム粒子に賦形剤、結合剤、崩
壊剤および滑沢剤などを配合し、直接打錠法により製し
た錠剤である。酸化マグネシウム粒子は硬いので、打錠
機を摩耗し、錠剤の黒ずみや打錠斑の発生の原因とな
る。
【0003】それを防ぐため、打錠圧を下げて製錠化し
ようとすると、成形性が低下し打錠出来ないという問題
がある。
【0004】また酸化マグネシウム粒子の付着性による
打錠時のスティッキング並びに臼杵の劣化によるキャッ
ピングの打錠障害を惹起する場合があり、酸化マグネシ
ウム粒子の摩耗性により臼杵の耐久性が短く生産コスト
がかかる。
【0005】これらの製錠化に伴う障害を極力防止する
ために、特殊な添加剤を用いて製剤する方法がある。ま
た、硬い粒子を用いた酸化マグネシウム粒子の錠剤は崩
壊時間が遅く、制酸・緩下の効能の発揮も遅くなる。酸
化マグネシウム粒子を高含有量とする場合は、錠剤が速
やかに崩壊しないので崩壊不良になりやすい。それを防
ぐため、多量の崩壊剤を配合しているが、その分、錠剤
中の酸化マグネシウム粒子の含有割合を減少させること
になる。
【0006】従来、酸化マグネシウム粒子含有錠剤を製
剤化する場合、酸化マグネシウム粒子に、結合剤や崩壊
剤などの添加剤を配合して打錠化される(例えば、特開
平9−40561号公報および特開2001−4879
2号公報参照)。
【0007】これら公報によれば、結合剤としてカルボ
キシメチルセルロースナトリウム、低置換度ヒドロキシ
プロピルセルロースおよび結晶セルロースなどが使用さ
れ、これら結合剤は錠剤中1〜10重量%、特に1〜5
重量%含有される。
【0008】また崩壊剤としては、カルボキシメチルセ
ルロースカルシウム、カルメロースおよび低置換度ヒド
ロキシプロピルセルロースなどが使用され、これら崩壊
剤は錠剤中5〜20重量%、特に5〜10重量%含有さ
れる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、錠剤
中の酸化マグネシウム粒子含有割合が多く、すなわち添
加剤が少なく、崩壊時間が短く、しかも製剤時に打錠機
を摩耗したり、臼や杵に酸化マグネシウム粒子が実質的
に付着せず錠剤化しやすいもので、服用時には飲みやす
い錠剤を提供することにある。
【0010】本発明者らは前記目的を達成するために、
酸化マグネシウム粒子の物性および添加剤について研究
を重ねた。その結果酸化マグネシウム粒子の平均2次粒
子径と添加剤(結合剤、崩壊剤)の種類および添加量
が、酸化マグネシウム錠剤の打錠性と崩壊性に影響する
ことが見出された。
【0011】すなわち、本発明者らの研究によれば、酸
化マグネシウム粒子として特定の形状のものを選択しか
つ添加剤として特定のものを選択して組合せることによ
って、錠剤中に含まれる酸化マグネシウム粒子の含有割
合が高く、崩壊時間が大変短い錠剤が得られること、し
かも打錠時に打錠機を摩耗したり臼や杵に酸化マグネシ
ウム粒子が付着し難く、さらに黒ずみや打錠斑が実質的
に認められない錠剤が得られることを見出し本発明に到
達した。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、酸化マ
グネシウム粒子を有効成分とする錠剤であって、該錠剤
は、(i)その中に含まれる酸化マグネシウム粒子は、
レーザー回折散乱法で測定された平均2次粒子径が0.
5〜10μmであり、(ii)その中に含まれる酸化マグ
ネシウム粒子の含有量が88重量%〜97重量%であ
り、(iii)黒ずみおよび打錠斑が実質的に認められ
ず、かつ(iv)崩壊時間が10秒以下である、ことを特
徴とする制酸・緩下用錠剤が提供される。
【0013】以下、本発明の制酸・緩下用錠剤およびそ
の製造方法についてさらに詳細に説明する。
【0014】本発明における酸化マグネシウム粒子は、
レーザー回折散乱法で測定された平均2次粒子径が0.
5〜10μm、好ましくは1〜7μmである。この粒子
径を有する酸化マグネシウム粒子を使用し、後述する特
定の結合剤と崩壊剤とを組合せることによって、錠剤中
の酸化マグネシウム粒子が88重量%〜97重量%、好
ましくは89重量%〜96重量%、特に好ましくは90
重量%〜95重量%の高含有割合の錠剤が得られる。
【0015】打錠化に供する酸化マグネシウム粒子は、
粉末状でよく、また顆粒状のいずれでもよいが、顆粒状
の方が打錠機の摩耗防止効果に優れ、しかもより高含有
量の錠剤を得ることができる。
【0016】酸化マグネシウム粒子は通常水酸化マグネ
シウム粒子を焼成して得られるが、本発明者らの研究に
よれば、レーザー回折散乱法による平均2次粒子径が1
〜10μmの水酸化マグネシウムを700〜1,000
℃で焼成した酸化マグネシウム粒子を、錠剤にした場
合、従来の酸化マグネシウム粒子のように硬くなく、打
錠機を摩耗しないことも見出した。
【0017】本発明の錠剤に使用される結合剤は結晶セ
ルロース、またはデンプン(例えばトウモロコシデンプ
ン)であり、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウム、
カルメロースカルシウムまたはカルボキシスターチナト
リウムである。これら崩壊剤は2種以上組み合わせても
よい。崩壊剤としては、特にクロスカルメロースナトリ
ウムまたはカルボキシスターチナトリウムは、従来の崩
壊剤と比べて、極めて少量で崩壊するのでその配合量を
減らすことができ、さらに経時的変化が非常に少なく、
安定性に優れた錠剤を得ることができる。最も好ましい
崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。
【0018】前記結合剤は、錠剤中1〜10重量%、好
ましくは1〜8重量%配合され、また崩壊剤は1〜3.
5重量%、好ましくは1〜3重量%配合される。
【0019】本発明によれば、崩壊剤の配合量を少なく
することができるので、結果として酸化マグネシウム粒
子の含有割合を高くすることができる。前述したよう
に、前記崩壊剤は経時変化が極めて少なく、錠剤化後も
長時間その崩壊性が低下することなく安定性に優れた錠
剤が提供される。すなわち、後述するように、錠剤後、
40℃の温度かつ75%の相対湿度(RH)の条件下で
6ヶ月間保持した場合でも、錠剤の崩壊時間は10秒以
下の特性を保持している。
【0020】本発明において、酸化マグネシウム粒子単
味では乾式造粒時に高圧力で圧縮しなければ成形されな
い粉末を、前記添加剤(結合剤および崩壊剤)と共に配
合した混合末にすることにより、低圧力で錠剤に成形可
能となった。高圧力で成形した顆粒は堅く、これを用い
て製錠すると錠剤の黒ずみ、打錠斑の発生の他にキャッ
ピングや機械部品の摩耗が激しいが、本発明によれば、
下記の如きこれらを防止できる製錠剤の製造方法が提供
できた。
【0021】また、高圧力で成形した顆粒を用いた錠剤
は崩壊不良となる場合があるが、本発明方法によれば崩
壊時間が短く、また水と共に服用すると口中で速やかに
崩壊し錠剤感のない錠剤を得ることができた。
【0022】すなわち、本発明によれば、 a.(1)レーザー回折散乱法で測定された平均2次粒
子径が0.5〜10μmの酸化マグネシウム粒子88〜
97重量%、(2)結晶セルロースまたはデンプンより
なる結合剤1〜10重量%および(3)クロスカルメロ
ースナトリウム、カルメロースカルシウムおよびカルボ
キシスターチナトリウムよりなる群から選ばれた少なく
とも一種の崩壊剤1〜3.5重量%よりなる混合物を調
製し、 b.該混合物を、造粒して、平均粒径が0.25〜0.
4mmかつ見掛け密度が0.5〜0.7g/mlである
顆粒状粒子を得て、 c.次いでこの顆粒状粒子に、0.2〜2重量%の滑沢
剤を混合して打錠する、ことを特徴とする酸化マグネシ
ウム粒子を有効成分とする錠剤の製造方法が提供され
る。
【0023】次に本発明の錠剤の製造方法について具体
的に説明する。
【0024】先ず、本発明方法は、錠剤化のための原料
混合物を調製する。その原料混合物は、(1)平均2次
粒子径が0.5〜10μm、好ましくは1〜7μmの酸
化マグネシウム粒子88〜97重量%(好ましくは89
〜96重量%)、(2)結晶セルロースまたはデンプン
よりなる結合剤1〜10重量%(好ましくは2〜8重量
%)および(3)クロスカルメロースナトリウムおよび
カルメロースカルシウム、カルボキシスターチナトリウ
ムよりなる群から選ばれた少なくとも一種の崩壊剤1〜
3.5重量%(好ましくは1〜3重量%)の組成を有す
る。
【0025】この原料混合物は、コンテナー型、V型あ
るいはW型などの混合機を用いて混合し、顆粒状粒子に
造粒する。その造粒は低圧力で乾式造粒機を用いて実施
することができる。その顆粒状粒子の造粒はロール成形
型乾式造粒機にて行なうのが好ましく、この場合のロー
ル圧力は3〜12MPaが好ましく、さらに好ましく
は、4〜8MPaである。
【0026】造粒したシート状成形物は、オシレーター
式粉砕機にて顆粒状粒子を得る。オシレーターに装着す
るスクリーンは目開き0.7〜1.2mmが好ましく、
0.8〜1.0mmがより好ましい。
【0027】かくして、平均粒径が0.25〜0.4m
mかつ見掛け密度が0.5〜0.7g/mlの顆粒状粒
子が得られる。またこの粒子は安息角が35〜43°で
あるのが好ましい。このような平均粒径および見掛け密
度を有する顆粒状の酸化マグネシウム粒子を打錠化して
錠剤を得ることにより本発明の目的とする制酸・緩下用
錠剤とすることができる。
【0028】前記顆粒状粒子は、滑沢剤を混合して打錠
機に供給される。使用される滑沢剤としては、例えばス
テアリン酸およびその塩(Na,Mg,Ca塩)等があ
る。好ましくはステアリン酸塩、特にステアリン酸カル
シウムおよびステアリン酸マグネシウムであるが、最も
有効なものは、ステアリン酸カルシウムである。これら
滑沢剤は、多すぎると崩壊遅延となり、少なすぎると
杵、臼にくっつく。従って、滑沢剤の添加量は0.2〜
2重量%が好ましく、さらに好ましくは、0.8〜1.2
重量%である。
【0029】本発明方法によれば、顆粒状粒子を製錠化
する際に0.10mm以下の微粉の含有割合が20重量
%以下、好ましくは10重量%以下であることが望まし
い。製錠操作により微粉を取り除くことなく製錠するこ
とも可能である。打錠圧は一錠当りのパンチ圧として5
〜12kNが好ましく、6〜10kNがより好ましい。
杵の形状はR面の他、隅角R、隅角平面、隅丸平面等の
いずれであってもよい。
【0030】本発明方法により製錠した錠剤は、打錠障
害、黒ずみ、打錠斑が生じることなく、高含有割合で酸
化マグネシウム粒子を配合させることができ、また、水
と共に服用すると口中で速やかに崩壊するために飲みや
すい錠剤となる。
【0031】また本発明の錠剤は、安定性に優れ、後述
する加速試験の結果、6ヶ月後であっても崩壊性は変わ
らず10秒以下を保持していた。
【0032】本発明の錠剤の大きさおよび形状は、通常
の経口用の錠剤と特に変わるものではない。直径は5〜
12mm、好ましくは6〜10mm、特に好ましくは6
〜9mmが適当である。また厚みは2〜6mm、好まし
くは2〜5mm、特に好ましくは2.5〜4.5mmが
適当である。さらに一錠当りの重量は100〜1,00
0mg、好ましくは150〜800mg、最も好ましく
は200〜600mgが望ましい。
【0033】本発明の錠剤は、制酸あるいは緩下用のた
めに経口投与される。その投与量は目的あるいは病状に
よって左右される。標準的には成人1人当り、1日2g
が投与される。この2gは、通常平均的には6〜8錠に
相当し、1日に1回〜3回に分けて投与することができ
る。
【0034】ここで、「黒ずみ」とは酸化マグネシウム
粒子の摩耗性に起因する機械接粒部との摩耗により生じ
る錠剤の黒色をいい、黒味を帯びるかまたは黒色の点、
線または面が観察されたものをいう。
【0035】ここで、「打錠障害」とは酸化マグネシウ
ム粒子の付着性による杵への粉末が付着するスティッキ
ングおよび酸化マグネシウム粒子の摩耗性による臼杵の
劣化もしくは酸化マグネシウム粒子の結合力が弱いこと
で生じるキャッピングが観察されたものをいう。
【0036】ここで「打錠斑」とは錠剤の表面に斑点状
に粒子が残ることをいい、粒子が硬いために圧縮されに
くいことに起因する現象である。
【0037】
【実施例】以下実施例および比較例を掲げて、本発明を
より具体的に説明する。%は全て重量%を意味する。
【0038】錠剤硬度、崩壊試験、摩損度、顆粒の粒度
分布、顆粒の平均粒子径、安息角、見かけ密度、摩耗
性、錠剤の安定性、口中での崩壊性、溶出試験、緩下作
用の動物試験は、以下に記載する測定法によって測定さ
れた値を意味する。
【0039】(a)錠剤硬度 Schleuniger錠剤硬度計6D型を用いて、錠
剤硬度を測定する。錠剤10個の平均値および標準偏差
を求める。
【0040】(b)崩壊試験 日本薬局方第14局一般試験法の崩壊試験に準じ試験液
は水を用いた。
【0041】(c)摩損度 第13改正日本薬局方第二追補−参考情報による。
【0042】(d)平均2次粒子径(酸化マグネシウム
粒子および水酸化マグネシウム粒子) 乾燥した100mlビーカーに試料0.7gを入れ、分
散媒の0.2%ヘキサメタ燐酸ソーダ水溶液70mlを
加え、超音波ホモジナイザー(日本精機、US−30
0)で前処理し、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置
(日機装(株)、マイクロトラック)により粒度分布を
測定した。小さい粒子からの積算で50%の点の粒径値
を平均2次粒子径とした。
【0043】(e)顆粒の粒度分布 装置 :エンデコッツ製オクタゴン 使用ふるい:710、500、355、180、15
0、106μm 試験条件 :振動強度5、飾時間5分、接続10秒、停
止2秒 試料約30mLをふるいおよび受器を重ね合わせた容器
の上段のふるいにいれ、上ぶたをした後、装置にセット
する。上記の条件で試験した後、各々のふるいおよび受
器の残留物の重量を量る。(0.01g単位まで)
【0044】(f)顆粒の平均粒子径 上記粒度分布の大きい粒子から積算し50重量%積算値
の粒子の粒径を平均粒子径とした。
【0045】(g)安息角 装置 :筒井理化学器械株式会社製 電磁振動式安息
角測定器 AOR−57形 測定用円板を水平になるようセットする。(高さは約7
cm) 電源スイッチを入れる。試料が円板の中心に落下するよ
うに調整し、振動調節ダイヤルを調整して試料を速やか
に落下させて山を形成する。その際最初は多量に流す。
試料が円板上からこぼれ始めたら、山の傾斜のうち、下
方2/3の部分にスケールのガイドラインを合わす。指
針の目盛を読み、測定値とする。
【0046】(h)見かけ密度 試料をJIS K5101見掛け比容静置法で使用する
容量30mlの受器にロートを用いて山盛りになるまで
静かに入れる。直線のヘラで山盛りを削り取る。受器の
内容物の質量を0.01gの単位まで量る。
【0047】見掛け密度(g/mL)=F/30 F:受器内の試料の質量(g) 30:受器の容量(mL)
【0048】(i)摩耗性 肉眼にて錠剤の黒ずみ並びに打錠斑を観察した。
【0049】(j)錠剤の安定性 錠剤を、ポリ塩化ビニルの4層構造のシート(上からポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリプロピレンお
よびポリ塩化ビニルの4層)へ充填した後、アルミ泊で
ピロー包装し、加速試験(40℃、相対湿度75%)を
6ヶ月間実施し、崩壊性についての安定性に及ぼす影響
を調べた。その結果を表2に示した。
【0050】(k)口中での崩壊性 錠剤を、12名の健常人を対象に、口中での崩壊試験を
実施した。一口の水を口に含み、錠剤を1錠口に入れ、
錠剤感が無くなる時間を測定した。その結果を表3に示
した。
【0051】(l)溶出試験 日本薬局方第14局収載の溶出試験法第2方のパドル法
(試験液:日本薬局方崩壊試験法の第1液、液温度:3
7℃、回転数:50rpm、測定時間:60分)にて、
上記実施例1および3の本発明酸化マグネシウム錠の溶
出試験を実施した。その結果を表4に示した。
【0052】(m)緩下作用の動物試験 マウスを用いた緩下作用試験を実施した。 (被験物質の調製)実施例1および実施例3の錠剤を粉
砕し、これを0.5%CMCに懸濁させて被験物質を調
製した。 (使用動物)4週齢のICR系雄性マウス(SPF)を
入荷時に健康状態を肉眼的に確認し、入荷後1週間の馴
化期間をおいて、その間一般状況の観察を行い、順調に
発育したものを5週齢で使用した。 (群構成表)表5に動物試験での群構成等を示した。
【0053】(試験方法)試験前日の12:00−1
7:00の間絶食し、その後固形餌を与えた。試験当日
はバットに吸水紙を敷いた個別金網ゲージにマウスを一
匹ずつ入れ、投与前に30分間観察した。被験物質をデ
ィスポーザブル注射筒および経口ゾンデを用いて強制経
口投与し、投与後1時間毎に12時間観察し、最後に2
4時間の排泄便の状態(軟便〜下痢発現時間および軟便
〜下痢を呈した個体数)を計測した。なお、餌および水
は実験期間中も継続して与えた。結果を表6に示した。
【0054】 実施例1 処方例1 酸化マグネシウム粒子 330mg (88%) 結晶セルロース 23mg (6.1%) トウモロコシデンプン 7mg (1.9%) クロスカルメロースナトリウム 11mg (2.9%) ステアリン酸カルシウム 4mg (1.1%) 1錠 375mg
【0055】(製造方法)平均2次粒子径が6.50μ
mの酸化マグネシウム粒子39.6kg、結晶セルロー
ス2.76kg、トウモロコシデンプン0.84kg、ク
ロスカルメロースナトリウム1.32kgをコンテナー
型混合機にて混合後、ロール成形型乾式造粒機にてロー
ル圧力5MPaで造粒した成形物をオシレーター式粉砕
機にて顆粒を製した。本顆粒40.81kgとステアリ
ン酸カルシウム0.44kgをコンテナー型混合機にて
混合し打錠用顆粒と成し、直径9mm、13R杵を36
本装着したロータリー型打錠機にて、打錠圧9kNで製
錠し、1錠当たり重量375mg、厚み4.8mmの酸
化マグネシウム錠剤を得た。錠剤硬度、崩壊時間、摩損
度は表1に示す。
【0056】顆粒の粒度分布は0.81mmのスクリー
ン使用時、0.71〜0.81mmが1.4%、0.50〜
0.71mmが27.3%、0.355〜0.50mmが2
0.6%、0.18〜0.355mmが32.3%、0.1
5〜0.18mmが7.8%、0.106〜0.15mmが
7.1%、0.106mm以下が3.4%、平均粒子径0.
349mm、安息角38°、見掛け密度0.60g/m
Lであった。
【0057】 実施例2 (処方例2) 酸化マグネシウム粒子 330mg(91.7%) 結晶セルロース 11mg (3.1%) トウモロコシデンプン 7mg (1.9%) クロスカルメロースナトリウム 8mg (2.2%) ステアリン酸カルシウム 4mg (1.1%) 1錠 360mg
【0058】(製造方法)平均2次粒子径が6.5μm
の酸化マグネシウム39.6kg、結晶セルロース1.3
2kg、トウモロコシデンプン0.84kg、クロスカ
ルメロースナトリウム0.96kgをコンテナー型混合
機にて混合後、ロール成形型乾式造粒機にてロール圧力
6MPaで造粒した成形物をオシレーター式粉砕機にて
顆粒を製した。本顆粒39.16kgとステアリン酸カ
ルシウム0.44kgをコンテナー型混合機にて混合し
打錠用顆粒と成し、直径9mm、13R杵を36本装着
したロータリー型打錠機にて、打錠圧8.5kNで製錠
し、1錠当り重量360mg、厚み4.4mmの酸化マ
グネシウム錠剤を得た。錠剤硬度、崩壊時間、摩損度は
表1に示す。
【0059】顆粒の粒度分布は0.81mmのスクリー
ン使用時、0.71〜0.81mmが0.1%、0.50〜
0.71mmが12.6%、0.355〜0.50mmが2
2.3%、0.18〜0.355mmが33.6%、0.1
5〜0.18mmが7.6%、0.106〜0.15mmが
11.8%、0.106mm以下が12.0%、平均粒子
径0.262mm、安息角40°、見掛け密度0.65g
/mLであった。
【0060】 実施例3 処方例3 酸化マグネシウム粒子 255mg (89.5%) 結晶セルロース 15mg (5.3%) トウモロコシデンプン 5mg (1.8%) クロスカルメロースナトリウム 7mg (2.5%) ステアリン酸カルシウム 3mg (1.1%) 1錠 285mg
【0061】(製造方法)平均2次粒子径が6.5μm
の酸化マグネシウム粒子38.25kg、結晶セルロー
ス2.25kg、トウモロコシデンプン0.75kg、ク
ロスカルメロースナトリウム1.05kgをコンテナー
型混合機にて混合後、直径8mm、12R杵を36本装
着したロータリー型打錠機にて、打錠圧7.5kNで製
錠し、1錠当たり重量285mg、厚み4.5mmの本
発明酸化マグネシウム錠剤を得た。錠剤硬度、崩壊時
間、摩損度は表1に示す。
【0062】実施例4 平均2次粒子径が3.6μmの酸化マグネシウム粒子を
用いた以外は実施例1と同じ処方で、同じ工程および装
置を使って、酸化マグネシウム錠剤を得た。錠剤硬度、
崩壊時間、摩損度は表1に示す。
【0063】顆粒の粒度分布は0.81mmのスクリー
ン使用時、0.71〜0.81mmが0.8%、0.5
0〜0.71mmが33.9%、0.355〜0.50
mmが18.7%、0.18〜0.355mmが18.
2%、0.15〜0.18mmが3.0%、0.106
〜0.15mmが5.5%、0.106mm以下が1
9.8%、平均粒子径0.378mm、安息角41°、
見掛け密度0.67g/mlであった。
【0064】 比較例1(粒状の酸化マグネシウム粒子を用いた直接打錠法) 処方例4 酸化マグネシウム粒子 330mg (89.9%) 結晶セルロース 18mg (4.9%) クロスカルメロースナトリウム 15mg (4.1%) ステアリン酸カルシウム 4mg (1.1%) 1錠 367mg
【0065】(製造方法)平均2次粒子径が6.5μm
の酸化マグネシウム粒子33.0kg、結晶セルロース
1.8kg、クロスカルメロースナトリウム1.5kgを
コンテナー型混合機にて混合後、ステアリン酸カルシウ
ム0.4kgをさらに添加し、同機で混合し打錠用顆粒
とした。これを直径9mm、13R杵を36本装着した
ロータリー型打錠機にて、打錠圧9kNで製錠し、1錠
当たり重量367mg、厚み4.1mmの酸化マグネシ
ウム錠剤を製した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】比較例1の、酸化マグネシウム粒子を用い
た直接打錠法による錠剤は、加速試験の結果、経時的崩
壊性に影響が見られ、著しく崩壊時間が遅延した。
【0070】実施例1および3は、口中での崩壊試験の
結果は崩壊試験法の結果とほぼ同一であり、水と共に服
用すると10秒以内で錠剤感が無くなるため、飲みやす
い錠剤である。本発明の錠剤は、嚥下困難な患者でも服
用しやすい優れた錠剤である。
【0071】
【表4】
【0072】実施例1および3の錠剤は、いずれも15
分で85%以上の溶出を示した。
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】被験物質は実施例1および実施例3共に投
与後9時間までに軟便排泄が全例で認められ、軟便排泄
発現効果のピークは3−5時間であった。一方、対照群
では実験観察中、全例で軟便の発現は認められず、実施
例1および実施例3の本発明の錠剤は緩下効果を呈し
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 1/10 A61P 1/10 (72)発明者 山尾繁生 香川県高松市屋島西町305 協和化学工業 株式会社製剤事業部内 (72)発明者 馬場秀明 香川県高松市屋島西町305 協和化学工業 株式会社製剤事業部内 (72)発明者 堀江史郎 香川県高松市屋島西町305 協和化学工業 株式会社製剤事業部内 (72)発明者 安倍洋子 香川県高松市屋島西町305 協和化学工業 株式会社製剤事業部内 (72)発明者 祖父江久惠 香川県高松市屋島西町305 協和化学工業 株式会社製剤事業部内 Fターム(参考) 4C076 AA36 CC16 DD41 EE31 EE32B EE38 4C086 AA01 AA02 HA04 MA03 MA05 MA35 MA52 NA20 ZA69 ZA72

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化マグネシウム粒子を有効成分とする
    錠剤であって、該錠剤は、(i)その中に含まれる酸化
    マグネシウム粒子は、レーザー回折散乱法で測定された
    平均2次粒子径が0.5〜10μmであり、(ii)その
    中に含まれる酸化マグネシウム粒子の含有割合が88重
    量%〜97重量%以上であり、(iii)黒ずみおよび打
    錠斑が実質的に認められず、かつ(iv)崩壊時間が10
    秒以下である、ことを特徴とする制酸・緩下用錠剤。
  2. 【請求項2】 該酸化マグネシウム粒子は、レーザー回
    折散乱法で測定された平均2次粒子径が1〜7μmであ
    る請求項1記載の制酸・緩下用錠剤。
  3. 【請求項3】 該錠剤は、酸化マグネシウム粒子の含有
    割合が89重量%〜96重量%である請求項1記載の制
    酸・緩下用錠剤。
  4. 【請求項4】 該酸化マグネシウム粒子は、レーザー回
    折散乱法で測定された平均2次粒子径が1〜10μmの
    水酸化マグネシウム粒子を700〜1000℃の温度で
    焼成して得られたものである請求項1記載の制酸・緩下
    用錠剤。
  5. 【請求項5】 結合剤として、結晶セルロースまたはデ
    ンプンを1〜10重量%含有する請求項1記載の制酸・
    緩下用錠剤。
  6. 【請求項6】 崩壊剤としてクロスカルメロースナトリ
    ウム、カルメロースカルシウムおよびカルボキシスター
    チナトリウムよりなる群から選ばれた少なくとも一種を
    1〜3.5重量%含有する請求項1記載の制酸・緩下用
    錠剤。
  7. 【請求項7】 崩壊剤としてクロスカルメロースナトリ
    ウムまたはカルボキシスターチナトリウムを1〜3.5
    重量%含有する請求項1記載の制酸・緩下用錠剤。
  8. 【請求項8】 該酸化マグネシウム粒子を、必要によ
    り、結合剤および/または崩壊剤と一緒に4〜8MPa
    の圧力で乾式造粒された顆粒状の酸化マグネシウム粒子
    から形成された請求項1記載の制酸・緩下用錠剤。
  9. 【請求項9】 平均粒子径が0.25〜0.40mmの顆
    粒状の酸化マグネシウム粒子から形成された請求項1記
    載の制酸・緩下用錠剤。
  10. 【請求項10】 見掛け密度が0.50〜0.70g/m
    lの顆粒状の酸化マグネシウム粒子から形成された請求
    項1記載の制酸・緩下用錠剤。
  11. 【請求項11】 安息角が35〜43°の顆粒状の酸化
    マグネシウム粒子から形成された請求項1記載の制酸・
    緩下用錠剤。
  12. 【請求項12】 打錠された後、錠剤を40℃の温度か
    つ75%の相対湿度(RH)条件下で6ヶ月保持した場
    合の錠剤は、その崩壊時間の10秒以下である請求項1
    記載の制酸・緩下用錠剤。
  13. 【請求項13】 a.(1)レーザー回折散乱法で測定
    された平均2次粒子径が0.5〜10μmの酸化マグネ
    シウム粒子88〜97重量%、(2)結晶セルロースま
    たはデンプンよりなる結合剤1〜10重量%および
    (3)クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカ
    ルシウムおよびカルボキシスターチナトリウムよりなる
    群から選ばれた少なくとも一種の崩壊剤1〜3.5重量
    %よりなる混合物を調製し、 b.該混合物を、造粒して、平均粒径が0.25〜0.
    4mmかつ見掛け密度が0.5〜0.7g/mlである
    顆粒状粒子を得て、 c.次いでこの顆粒状粒子に、0.2〜2重量%の滑沢
    剤を混合して打錠する、ことを特徴とする酸化マグネシ
    ウム粒子を有効成分とする錠剤の製造方法。
  14. 【請求項14】 該顆粒状粒子を、一錠当りのパンチ圧
    として5〜12kNの打錠圧で打錠する請求項13記載
    の錠剤の製造方法。
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