JP2003146747A - 誘電体磁器およびその製造方法 - Google Patents

誘電体磁器およびその製造方法

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JP2003146747A
JP2003146747A JP2001352459A JP2001352459A JP2003146747A JP 2003146747 A JP2003146747 A JP 2003146747A JP 2001352459 A JP2001352459 A JP 2001352459A JP 2001352459 A JP2001352459 A JP 2001352459A JP 2003146747 A JP2003146747 A JP 2003146747A
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dielectric
firing
crystal phase
perovskite
capacitor
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JP2001352459A
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Motohiko Sato
元彦 佐藤
Atsushi Otsuka
淳 大塚
Manabu Sato
学 佐藤
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Niterra Co Ltd
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NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンデンサをなす電極層に低抵抗率かつ低融
点のCu、Ag、Auなどを用いた場合においても、該
電極層と同時焼成される誘電体層におけるペロブスカイ
ト型酸化物よりなる結晶相の結晶性を向上させるととも
に、高周波信号に適した比誘電率および誘電損失等の誘
電特性を有する誘電体層となる誘電体磁器およびその製
造方法を提供する。 【解決手段】 配線基板に内蔵させた場合における、積
層型セラミックコンデンサ50は、電極層10と誘電体
層1から構成されるとともに、積層された電極層10
は、交互にビア電極11を介して電気的導通がなされ
る。また、電極層10と誘電体層1は同時焼成される。
このような誘電体層1を、少なくともBa元素とTi元
素を含む強誘電体となるペロブスカイト型酸化物から構
成されるペロブスカイト型結晶相と、アルカリチタン酸
塩から構成される副結晶相とを主に含有してなり、か
つ、1100℃以下の焼成温度にて形成されてなる誘電
体磁器とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配線基板に内蔵さ
れるセラミックコンデンサもしくは積層型セラミックコ
ンデンサ等のコンデンサにおける誘電体層に適した誘電
体磁器およびその製造方法に関し、特に、高周波信号に
適した誘電体磁器およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータや無線通信のデジタ
ル回路に代表されるように、情報通信分野におけるIC
の高速化には目覚しいものがある。ところが、このよう
なICの高速化、高密度化は機器誤動作の原因となる高
周波ノイズを増大させ、深刻な問題となっている。この
高周波ノイズは、論理素子の同時スイッチングにより生
じる電源電圧の低下に起因するもので、これを抑制する
ために、電源にエネルギーを供給する役目のコンデン
サ、いわゆるデカップリングコンデンサが用いられてい
る。このデカップリングコンデンサには、大エネルギー
を瞬時に供給できるよう高容量、低インダクタンス特性
が要求される。ここで、インダクタンスはコンデンサの
構造により決定され、一方、容量はコンデンサの構造
(電極面積、積層数、層厚等)と誘電体材料の誘電率と
により決まる。
【0003】一方、デカップリングコンデンサの搭載形
態としては、配線基板上への実装や配線基板内への内蔵
が挙げられる。ここで、例えば、LSIやICあるいは
ディスクリート部品などの半導体素子を搭載したり、あ
るいは基板内部に種々の厚膜印刷素子を作りこんだ配線
基板として、比較的高密度の配線が可能な多層配線基板
が多用されているが、本明細書においては、多層配線基
板も含め配線基板と総称する。高周波や高速パルスを取
り扱う場合、配線基板に実装される電子部品の動作電源
と電子部品とを繋ぐ配線が余剰のインダクタンスとして
寄与する。配線のインダクタンス成分の増加に伴い、動
作電源電圧の安定供給が困難となり、さらには、配線等
にノイズが重畳されることによる誤動作の発生、電子部
品の動作応答の遅延、または、高周波信号の伝送損失等
の不具合が生じることがある。また、該不具合は、上述
したように、高周波化や、配線の高密度化に伴い、さら
に顕著となる。以上から容易に理解できるように、配線
基板上への実装は近年のICの高速化に対して十分な機
能を果たせなくなりつつあり、高周波用途の配線基板内
にセラミックコンデンサ又は積層型セラミックコンデン
サ(以下、これらをコンデンサと総称する。)をデカッ
プリングコンデンサとして内蔵した配線基板が種々検討
されている。また、コンデンサ等の電子部品をフリップ
チップ型の実装端子を有する電子部品として形成するこ
とで、電子部品と動作電源との配線長を短縮して余剰の
インダクタンス成分を低減して、高周波信号の伝送損失
低減等を図る提案が種々なされている。
【0004】上記コンデンサは、同時焼成される誘電体
層と電極層とから構成される。該コンデンサを高周波信
号に適したものとするには、材料特性面においては、誘
電体層をなす誘電体磁器が、高周波領域でも比誘電率が
高く、かつ誘電損失が低いことが要求され、他方、電極
層は、抵抗率の低い導電材料から形成されることが要求
される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記電
極層を、低抵抗率のCu、Ag、Auの一種以上を導電
材料にて形成する場合、該導電材料の融点が1100℃
以下と低融点のため、電極層と誘電体層とを同時焼成す
るためには、その焼成温度が、少なくとも1100℃以
下の低温焼成でなくてはならない。例えば、BaTiO
に代表される公知の強誘電体であるペロブスカイト型
酸化物(以下、単にペロブスカイト型酸化物とも称す
る)より構成させた組成物を、このような低温焼成条件
にて焼成すると、緻密で均一な結晶性を有する焼結体が
得られない問題がある。該焼結体を誘電体磁器とした場
合、高周波信号に適した所望の比誘電率および誘電損失
等の誘電特性を有さないものとなる。
【0006】誘電体層を構成するペロブスカイト型酸化
物からなる組成物を、強誘電性が抑制されることなく、
1100℃以下の低温焼成によって、電極層とともに同
時焼成するために、ペロブスカイト型酸化物に加えて副
成分を添加させた状態で焼成させる試みが種々なされて
いる。しかし、1100℃以下の低温焼成で、誘電特性
に優れたペロブスカイト型酸化物の結晶相を有する焼結
体つまりは誘電体磁器を得るのは困難である。
【0007】本発明は、かかる問題を考慮してなされた
ものである。すなわち、本発明は、コンデンサをなす電
極層に低抵抗率かつ低融点のCu、Ag、Auなどを用
いた場合においても、該電極層と同時焼成される誘電体
層におけるペロブスカイト型酸化物よりなる結晶相の結
晶性を向上させるとともに、高周波信号に適した比誘電
率および誘電損失等の誘電特性を有する誘電体層となる
誘電体磁器およびその製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用・効果】上記課
題を解決するための本発明の誘電体磁器の製造方法は、
少なくともBa元素とTi元素とを含む強誘電体となる
ペロブスカイト型酸化物から構成されるペロブスカイト
型結晶相と、Li、K、Naから選ばれる少なくとも一
種のアルカリ金属元素をMとする、組成式MTiO
(該Mは前記アルカリ金属元素)で表されるアルカリチ
タン酸塩から構成される副結晶相とを含有する誘電体磁
器の製造方法であって、前記アルカリ金属元素を含む化
合物と、Ti元素を含む化合物との混合物を焼成するこ
とにより前記アルカリチタン酸塩を焼成形成する予備焼
成工程と、前記ペロブスカイト型酸化物の原料粉末と、
前記予備焼成工程にて焼成形成したアルカリチタン酸塩
とを有する成型体を作製する成型体作製工程と、該成型
体を、1100℃以下の焼成温度にて焼成するととも
に、前記ペロブスカイト型結晶相および前記副結晶相を
析出させる焼成工程とを含むことを特徴とする。
【0009】本発明の誘電体磁器の製造方法において
は、第一に、予備焼成工程にて、Li、K、Naから選
ばれる少なくとも一種のアルカリ金属元素を含む化合物
と、Ti元素を含む化合物との混合物を焼成させること
により、組成式MTiO(該MはLi、K、Naか
ら選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属元素)で表さ
れるアルカリチタン酸塩を焼成形成させる。その後、少
なくともBa元素とTi元素とを含む強誘電体となるペ
ロブスカイト型酸化物(以下、単にペロブスカイト型酸
化物とも称する)の原料粉末と、予備焼成工程にて焼成
形成させたアルカリチタン酸塩を含む形にて成形体を作
製する。その後、該成形体を1100℃以下の焼成温度
にて焼成させることで、その焼成過程において、ペロブ
スカイト型酸化物から構成されるペロブスカイト型結晶
相に加えて、組成式MTiO(該Mは、Li、K、
Naから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属元素)
で表されるアルカリチタン酸塩から構成される副結晶相
を析出させる。該副結晶相を析出させることにより、ペ
ロブスカイト型結晶相を、1100℃以下の焼成温度に
ても、均一な結晶性を有した形で焼結させることが可能
となるとともに、焼成される誘電体磁器を緻密な焼結体
とすることが可能となる。また、副結晶相を構成するア
ルカリチタン酸塩は、予備焼成工程にて、一度焼成させ
てなる。その結果、その後の焼成工程において、アルカ
リチタン酸塩から構成される副結晶相を、結晶性が安定
した形で焼結させることができ、ひいては、ペロブスカ
イト型結晶相を、均一な結晶性を有した形で焼結させる
ことができる。
【0010】従来、1100℃以下の焼成温度となる低
温焼成で形成された誘電体磁器は、緻密に焼結すること
ができず、また、均一な結晶性を有さないものであっ
た。しかし、上記本発明の誘電体磁器の製造方法を用い
て製造される誘電体磁器は、含有するペロブスカイト型
結晶相の結晶性が均一で、緻密な焼結体とすることがで
きるので、強誘電性に優れたものとなる。その結果、該
誘電体磁器は、高周波信号に適した比誘電率および誘電
損失等の誘電特性に優れたものとなる。
【0011】上記ペロブスカイト型結晶相をなすペロブ
スカイト型酸化物としては、ATiO(A:アルカリ
土類金属元素)の化学式で表され、Aのサイトを、アル
カリ土類金属元素であるBaまたは、Baと、Mg、C
a、Srのうち1種もしくは2種以上とより構成したも
の、さらには、上記ATiOのTiサイトの一部をZ
rもしくはHfで置換したものを挙げることができる。
【0012】さらに、上記ぺロブスカイト型結晶相をな
すぺロブスカイト型酸化物としては、特に、BaTiO
を選択することで、さらに一層、本発明の製造方法に
て製造される誘電体磁器を、高周波信号に適した誘電特
性を有するものとすることができる。なお、ペロブスカ
イト型結晶相中にNb、Co、Mn、Ni、希土類など
の元素を固溶させた場合、誘電率の大きさや温度特性が
変化することが知られており、上記ペロブスカイト型結
晶相に目的に応じてこれらの元素が微量含まれるよう
に、上記成型体作製工程において、ペロブスカイト型酸
化物の原料粉末とともにNb、Co、Mn、Ni、希土
類などの元素を添加させてもよい。また、上記ペロブス
カイト型結晶相を、上記焼成工程にて、さらに緻密に焼
結させるために、上記成型体工程において、Si、B、
Bi、Zn、Cuなどの成分を微量添加させてもよい。
【0013】上述したように、本発明の誘電体磁器の製
造方法においては、1100℃以下の焼成温度となる焼
成工程でのぺロブスカイト型結晶相の焼結性を向上させ
るために、アルカリチタン酸塩から構成される副結晶相
を析出させている。このような機能を有する副結晶相に
含有されるアルカリ金属元素は、焼成形成される誘電体
磁器における酸化物換算での含有量として、0.1〜1
0質量%の範囲とするのがよい。該含有量が0.1質量
%より小さくなると、焼成工程において、ぺロブスカイ
ト型結晶相を析出させることが困難となり、他方、含有
量が10質量%より大きくなると、焼成形成される誘電
体磁器の高周波領域での比誘電率を抑制することとな
り、さらに大きくなると、ペロブスカイト型結晶相を十
分に析出させることが困難となる。
【0014】上記したアルカリ金属元素の含有量は、上
記予備焼成工程でのアルカリ金属元素を含む化合物の添
加量にて調整できる。
【0015】また、本発明の予備焼成工程および焼成工
程における焼成雰囲気は、特に限定されないが、作業効
率の観点より大気雰囲気で焼成工程を行うのが望まし
い。
【0016】次に、本発明の誘電体磁器の製造方法とし
ては、その焼成工程において、ぺロブスカイト型結晶お
よびアルカリチタン酸塩から構成される副結晶相以外に
BaTi12およびBaTiOから選ばれる
少なくとも1種から構成される第三結晶相を析出させる
ことを特徴とする。
【0017】上記第三結晶相を焼成過程において析出さ
せることで、ぺロブスカイト型結晶相を緻密に焼結させ
るための焼成温度をより低温にすることが可能となる。
また、成型体作製工程において、第三結晶相を構成する
BaTi12およびBa TiOから選ばれる
少なくとも1種の原料粉末を有した形で成型体を作製す
ることで、第三結晶相をより確実に焼成工程において析
出させることができる。
【0018】次に、上記予備焼成工程における、アルカ
リ金属元素を含む化合物としては、炭酸塩、酸化物、水
酸化物、有機酸塩およびハロゲン化物から選ばれる少な
くとも一種を用いることで、予備焼成工程において、組
成式MTiO(該Mはアルカリ金属元素)で表され
るアルカリチタン酸塩を結晶性が安定した状態で焼成さ
せることが可能となる。また、上記予備焼成工程におけ
る、Ti元素を含む化合物としては、酸化物の形態が特
によく、予備焼成工程にて焼成されるアルカリチタン酸
塩のTiサイトにTi元素をより安定的に配置させるこ
とが可能となる。さらに、上記予備焼成工程における焼
成温度は、アルカリ金属元素を含む化合物の種類のより
適宜調整されるが、900℃〜1200℃の焼成温度範
囲とすることで、アルカリチタン酸塩を結晶性が安定し
た状態で焼結させることができる。
【0019】上述してきた本発明の誘電体磁器の製造方
法を用いて製造される誘電体磁器は、1100℃以下の
焼成温度にて焼成されるが、1MHz以上の高周波領域
における比誘電率を1000以上とすることができるま
た、さらに、1GHzにおける比誘電率をεr(1GH
z)、1MHzにおける比誘電率をεr(1MHz)と
し、比誘電率の周波数に対する変化率(%)を((εr
(1MHz)―εr(1GHz))/εr(1MH
z))×100)と定義したとき、該変化率を17%以
下とすることができる。
【0020】上記のような比誘電率および、周波数に対
する変化率を有する誘電体磁器は、高周波信号に適した
高比誘電率となるばかりではなく、高周波信号がある幅
をもった場合においても、その時に発生する比誘電率の
変化率を抑制することが可能であり、種々の高周波信号
に対応可能なものとなる。なお、本明細書における高周
波とは、1MHz以上3GHz以下のものを指す。
【0021】本発明の誘電体磁器の製造方法を用いて製
造される誘電体磁器を、コンデンサを構成する誘電体層
に適用することで、該誘電体層は、高誘電率等の高周波
信号に適した誘電特性を有するとともに、1100℃以
下の焼成温度にて焼成可能である。そのため、コンデン
サを構成する電極層に低抵抗率のCu、Ag等の導電材
料を用いることが可能である。その結果、このようなコ
ンデンサは、さらに、高周波信号に適したものとなる。
【0022】上記コンデンサを構成する電極層としての
低抵抗率の導電材料としては、銀系(銀単体、銀−金属
酸化物(マンガン、バナジウム、ビスマス、アルミニウ
ム、ケイ素、銅等の酸化物)、銀−ガラス添加、銀−パ
ラジウム、銀−白金、銀−ロジウム等)、金系(金単
体、金−金属酸化物、金−パラジウム、金−白金、金−
ロジウム等)、銅系(銅単体、銅−金属酸化物、銅−パ
ラジウム、銅−白金、銅−ロジウム等)等を用いること
が可能である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の誘電体磁器の製造
方法についての詳細と、該製造方法を用いて製造される
本発明の誘電体磁器が適用される実施形態とについて図
面を併用して説明をおこなう。本発明の誘電体磁器の製
造方法における最大の特徴は、1100℃以下の焼成温
度となる焼成工程にて、組成式MTiO(該Mは前
記アルカリ金属元素)で表されるアルカリチタン酸塩か
ら構成される副結晶相を析出させることで、強誘電体と
なるペロブスカイト型結晶相の結晶性を向上させること
ができる点である。よって、製造される誘電体磁器は、
ペロブスカイト型結晶相とアルカリチタン酸塩から構成
される副結晶相とを含有したものとなる。このような結
晶相を含有する誘電体磁器を製造するための工程の一実
施形態としては、まず、Li、K、Naから選ばれる少
なくとも一種のアルカリ金属元素を含む化合物と、Ti
元素を含む化合物と秤量するとともに混合させて混合物
を作製する。その混合物を、900℃〜1200℃の温
度範囲となる焼成温度にて、焼成することで、組成式M
TiO(該Mはアルカリ金属元素)で表されるアル
カリチタン酸塩を焼成形成させる(予備焼成工程)。そ
の後、少なくともBa元素とTi元素とを含むペロブス
カイト型酸化物の原料粉末と、予備焼成工程にて焼成形
成させたアルカリチタン酸塩とを秤量するとともに混合
させて混合物を作製する。次に、該混合物と分散剤とを
溶剤としてのメチルエチルケトンとトルエン(または、
エタノールとトルエン)に溶解させるとともに、ポット
ミル中で、15時間程度、分散混合させる。その後、該
分散混合させたスラリーに、溶剤としてのメチルエチル
ケトンとトルエン(または、エタノールとトルエン)に
溶解させた樹脂(アクリル系、ブチラール系)等からな
る混合溶液を加えて、さらに、4時間程度混合させてキ
ャスティング用のスラリーを作製する。そして、該スラ
リーを用いてドクターブレード等のシートキャスティン
グ装置を用いて厚さ3〜200μmのシートを作製する
とともに、得られたシートを所定の厚みとなるように積
層し、所定の大きさに切断することで所定の寸法形状を
有する成型体を作製する(成型体作製工程)。該成型体
を1100℃以下の焼成温度にて焼成させるとともに、
その焼成過程においてペロブスカイト型結晶相および副
結晶相を析出させる(焼成工程)。
【0024】上記した製造工程を経て、ペロブスカイト
型結晶相とアルカリチタン酸塩から構成される副結晶相
とを含有した誘電体磁器が製造される。
【0025】上記スラリーを作製するために用いられ
る、樹脂、分散剤および溶剤は、特に限定されないが、
上記したものも含めて、樹脂としては、アクリル系樹脂
(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリt−ブチル
メタクリレート)、セルロースアセテートブチレート、
ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ブチラール系樹
脂(例えば、ポリビニルブチラール)など、分散剤とし
ては、溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、
ジアセトン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、ブロ
ムクロロメタン、エタノール、ブタノール、プロパノー
ル、トルエン、キシレンなど)等を挙げることができ
る。
【0026】また、上記焼成工程における焼成温度は、
使用するペロブスカイト型酸化物等により適宜調整され
るものであるが、1100℃以下、さらには、1000
℃以下とすることが可能である。
【0027】次に、本発明の誘電体磁器の製造方法を用
いて製造された誘電体磁器が適用される実施形態につい
て述べる。図1は、配線基板に内蔵される公知の積層型
セラミックコンデンサ50(以下、単にコンデンサ50
と称する)のみを示した一実施形態の概略断面図であ
る。該コンデンサ50は、電極層10と誘電体層1から
構成されるとともに、積層された電極層10は、交互に
ビア電極11を介して電気的導通がなされる。このよう
なコンデンサ50は、配線基板において高周波信号に対
応したものとして内蔵されてなる。高周波信号に対応し
たコンデンサ50とするためには、その誘電体層1が、
高周波領域において比誘電率が高く、かつ誘電損失が低
いことが要求され、かつ電極層10およびビア電極11
が低抵抗率であることが要求される。しかし、従来、電
極層10およびビア電極11に低抵抗率のCuやAgを
主とする導電材料を用いる場合、該導電材料が1100
℃以下の低融点であるために、電極層10、ビア電極1
1と誘電体層1を、1100℃以下の低温焼成にて同時
焼成させ、かつ誘電体層1の高周波領域における比誘電
率を高く(1000以上)することは困難であった。そ
こで、本発明の誘電体磁器を誘電体層1とすることで、
図1に示すようなコンデンサ50は、電極層10、ビア
電極11および誘電体層1とを1100℃以下の焼成温
度にて同時焼成すことで形成可能であり、かつ高周波信
号に適した誘電特性および電気特性を有するものとな
る。また、図1以外のコンデンサ50以外として、図2
に示すようなセラミックコンデンサ51(以下、単にコ
ンデンサ51と称する)の誘電体層1にも本発明の誘電
体磁器は優位に適用される。
【0028】図1および図2に示す、誘電体層1に本発
明の誘電体磁器を適用したコンデンサ50およびコンデ
ンサ51は、配線基板と同時焼成にて形成させること
で、コンデンサ内蔵配線基板としてもよいし、コンデン
サ50およびコンデンサ51自体を電子部品として、配
線基板に内蔵させコンデンサ内蔵配線基板を形成しても
よい。このようなコンデンサ内蔵配線基板の母体である
配線基板は公知のものに適用可能である。また、配線基
板に半導体素子等の電子部品を実装させたものや、半導
体素子、光半導体素子等の電子部品を収容させたパッケ
ージ基板としての配線基板にも適用可能である。
【0029】図3は、公知の面実装型セラミックコンデ
ンサを示す概略断面図である。該面実装型セラミックコ
ンデンサ40は、誘電体層1と配線層6とが交互に積層
されるとともに、誘電体層1を隔てて対向する配線層6
が、誘電体層1を貫くビア電極11、11’により電気
的に接続された構造を有する。配線層6は、誘電体層1
を介して対向するコンデンサ電極としての電極層10を
含み、該対向する電極層10の一方がビア電極11と、
他方がビア電極11’と電気的に導通される。そして、
ビア電極11とビア電極11’とには、それぞれこれら
に選択的に導通するフリップチップ型の接続端子31
が、面実装型セラミックコンデンサ40の片側の主表面
に形成され、それぞれ表面実装用の金属バンプ32が設
けられている。このような形態をなすコンデンサにおけ
る誘電体層1にも本発明の誘電体磁器は、優位に適用さ
れる。
【0030】
【実施例】以下、本発明の効果を確認するために行なっ
た実験結果について説明する。
【0031】(実施例1〜5)上記した本発明の製造方
法に従い、焼成形成させたアルカリチタン酸塩Li
iO、NaTiO、KTiOの3種類のうち
一種と、ペロブスカイト型酸化物の原料粉末として、市
販のBaTiO原料粉末とを用いて、種々のアルカリ
チタン酸塩、焼成温度にて誘電体磁器を焼成形成した。
各実施例における、ペロブスカイト型酸化物の主構成元
素、用いたアルカリチタン酸塩の種類、およびアルカリ
金属元素の酸化物換算での焼成形成される誘電体磁器に
対する原料仕込み時の添加量(質量%)と、使用した樹
脂および可塑剤と、焼成温度とを表1に示す。なお、表
1中のDOPは、フタル酸ジオクチルである。また、実
施例すべてにおいて、その焼成時間を3時間とし、焼成
雰囲気を大気中とした。
【0032】
【表1】
【0033】(比較例1および2)比較例1では、アル
カリチタン酸塩を用いず、焼成形成される誘電体磁器が
アルカリチタン酸塩から構成される副結晶相を含有しな
いようにした以外は、実施例と同様の製造方法にて誘電
体磁器を焼成形成した。比較例2では、アルカリ金属元
素の酸化物換算での焼成形成される誘電体磁器に対する
原料仕込み時の添加量(質量%)を実施例のものより過
度に多くした以外は、実施例と同様の製造方法にて誘電
体磁器を焼成形成した。各比較例における、用いたアル
カリチタン酸塩の種類、焼成温度等を表1に示すが、本
実施例および比較例においては、誘電率の温度特性制御
などのために、さらに、形成される焼結体に対する原料
仕込み時の酸化物換算で、Nbを1.4質量%、Coを
0.1質量%、Znを0.3質量%、Siを0.5質量
%添加している。
【0034】上記実施例および比較例にて得られた誘電
体磁器に対して、誘電特性評価、および粉末X線回折測
定を行なった。誘電特性評価は、得られた誘電体磁器
を、7.5〜8.0mm×0.5〜2.0mmの表面積
となるように成型した後、その両表面にAgからなる導
電ペーストを印刷塗布にて焼き付けることで電極層を形
成させ評価サンプルとするとともに、インピーダンスア
ナライザーを用いて、周波数1MHz(アジレントテク
ノロジー社製 HP4194A)および1GHz(アジレント
テクノロジー社製 HP4287A)、基準温度25℃にて静
電容量を測定した。粉末X線回折測定は、得られた誘電
体磁器を粉砕したものを用いて測定を行なった。
【0035】上記誘電特性評価にて得られた静電容量お
よび評価サンプルの寸法から見積もられる比誘電率と、
粉末X線回折測定より得られたピークパターンより同定
された、主にペロブスカイト型酸化物(BaTiO
により構成されるペロブスカイト型結晶相以外の、アル
カリチタン酸塩による副結晶および、第三結晶相を構成
する結晶を表2に示す。さらに、表2においては、周波
数1GHzにおける比誘電率をεr(1GHz)、周波
数1MHzにおける比誘電率をεr(1MHz)とし、
比誘電率の周波数に対する変化率(%)を((εr(1
MHz)―εr(1GHz))/εr(1MHz))×
100)としたときの該変化率(%)と、周波数1MH
z、基準温度25℃にて得られた誘電損失tanδも合
わせて示す。
【0036】
【表2】
【0037】表1および表2により明らかであるが、実
施例において形成させた誘電体磁器は、少なくとも11
00℃以下の焼成温度にて焼成可能であり、かつ、1M
Hz以上の高周波領域における比誘電率が1000以
上、変化率が17%以下と、高周波領域における誘電特
性に優れたものであることが確認された。さらに、該変
化率の結果より、実施例において形成された誘電体磁器
は、少なくとも3GHzまでの高周波領域において、そ
の比誘電率を1000以上に維持できることが分かる。
実施例と比較例2の結果より、誘電体磁器が含有するア
ルカリ金属元素の酸化物換算での含有量を、0.1〜1
0質量%の範囲とすることで、1100℃以下の焼成温
度にて焼成形成される誘電体磁器の誘電特性を特に優れ
たものとでることを確認した。
【0038】比較例1の結果より、誘電体磁器がアルカ
リチタン酸塩からなる副結晶を有さない場合、焼成温度
は1250℃と高温となり、かつ、比誘電率の変化率の
結果より、周波数が高周波化するに従い、比誘電率が急
激に減少することが分かった。
【0039】実施例にて焼成形成させた誘電体磁器を粉
末X線回折測定した際に得られる、主にBaTiO
化物から構成されるペロブスカイト型結晶相に起因した
ピークパターンは、ピーク強度および半値幅も狭く、焼
成形成されたペロブスカイト型結晶相が、緻密で均一は
結晶性を有した状態で焼結していることも合わせて確認
した。最後に、焼成温度を820℃にした以外は、実施
例1と同条件にて誘電体磁器を焼成させ、上記同様の誘
電特性評価を行なったが、実施例1と同様の誘電特性を
有することを確認した。このように、第三結晶相とし
て、BaTi12またはBaTiOを形成す
ることで、誘電特性を抑制することなく焼成温度を下げ
ることが可能となる。
【0040】上記実施例および比較例の結果より、本発
明の誘電体磁器の製造方法にて焼成形成された誘電体磁
器は、1100℃以下で焼成可能であり、かつ高周波領
域においても誘電特性に優れたものであることが確認さ
れた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体磁器の製造方法にて製造される
誘電体磁器が適用される積層型セラミックコンデンサの
一実施形態を示す概略断面図。
【図2】本発明の誘電体磁器の製造方法にて製造される
誘電体磁器が適用されるセラミックコンデンサの一実施
形態を示す概略断面図。
【図3】本発明の誘電体磁器の製造方法にて製造される
誘電体磁器が適用される面実装型コンデンサの一実施形
態を示す概略断面図。
【符号の説明】
1 誘電体磁器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 学 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 Fターム(参考) 4G031 AA01 AA06 AA11 BA09 CA01 CA08 GA04 GA06 GA09 GA11 5E001 AB01 AE02 AE03 AH01 AH09 AJ01 AJ02 5G303 AA01 AB06 AB07 AB15 BA12 CA01 CB03 CB14 CB16 CB20 CB35 DA05 DA06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともBa元素とTi元素とを含む
    強誘電体となるペロブスカイト型酸化物から構成される
    ペロブスカイト型結晶相と、Li、K、Naから選ばれ
    る少なくとも一種のアルカリ金属元素をMとする、組成
    式MTiO(該Mは前記アルカリ金属元素)で表さ
    れるアルカリチタン酸塩から構成される副結晶相とを含
    有する誘電体磁器の製造方法であって、 前記アルカリ金属元素を含む化合物と、Ti元素を含む
    化合物との混合物を焼成することにより前記アルカリチ
    タン酸塩を焼成形成する予備焼成工程と、前記ペロブス
    カイト型酸化物の原料粉末と、前記予備焼成工程により
    焼成形成したアルカリチタン酸塩とを有する成型体を作
    製する成型体作製工程と、 該成型体を、1100℃以下の焼成温度にて焼成すると
    ともに、前記ペロブスカイト型結晶相および前記副結晶
    相を析出させる焼成工程とを含むことを特徴とする誘電
    体磁器の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記焼成工程において、さらに、Ba
    Ti12およびBaTiOから選ばれる少なく
    とも1種から構成される第三結晶相を析出させることを
    特徴とする請求項1記載の誘電体磁器の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記成型体は、前記第三結晶相を構成す
    るBaTi12およびBaTiOから選ばれ
    る少なくとも1種の原料粉末を有してなることを特徴と
    する請求項2に記載の誘電体磁器の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記アルカリ金属元素を含む化合物は、
    炭酸塩、酸化物、水酸化物、有機酸塩およびハロゲン化
    物から選ばれる少なくとも一種を用いることを特徴とす
    る請求項1ないし3のいずれか1項に記載の誘電体磁器
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項に記載
    の誘電体磁器の製造方法により製造される誘電体磁器で
    あって、 1MHz以上の高周波領域における比誘電率が1000
    以上であることを特徴とする誘電体磁器。
  6. 【請求項6】 1GHzにおける比誘電率をεr(1G
    Hz)、1MHzにおける比誘電率をεr(1MHz)
    とし、比誘電率の周波数に対する変化率(%)を((ε
    r(1MHz)―εr(1GHz))/εr(1MH
    z))×100)と定義するとき、該変化率が17%以
    下であることを特徴とする請求項5に記載の誘電体磁
    器。
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