JP2003146745A - 誘電体磁器 - Google Patents

誘電体磁器

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JP2003146745A
JP2003146745A JP2001352457A JP2001352457A JP2003146745A JP 2003146745 A JP2003146745 A JP 2003146745A JP 2001352457 A JP2001352457 A JP 2001352457A JP 2001352457 A JP2001352457 A JP 2001352457A JP 2003146745 A JP2003146745 A JP 2003146745A
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Japan
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dielectric
crystal phase
perovskite
capacitor
firing
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Application number
JP2001352457A
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English (en)
Inventor
Motohiko Sato
元彦 佐藤
Atsushi Otsuka
淳 大塚
Manabu Sato
学 佐藤
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンデンサをなす電極層に低抵抗率かつ低融
点のCu、Ag、Auなどを用いた場合においても、該
電極層と同時焼成される誘電体層におけるペロブスカイ
ト型酸化物よりなる結晶相の結晶性を向上させるととも
に、高周波信号に適した比誘電率および誘電損失等の誘
電特性を有する誘電体層となる誘電体磁器を提供する。 【解決手段】 配線基板に内蔵させた場合における、積
層型セラミックコンデンサ50は、電極層10と誘電体
層1から構成されるとともに、積層された電極層10
は、交互にビア電極11を介して電気的導通がなされ
る。また、電極層10と誘電体層1は同時焼成される。
このような誘電体層1を、強誘電体となるペロブスカイ
ト型酸化物から構成されるペロブスカイト型結晶相と、
アルカリチタン酸塩から構成される副結晶相とを主に含
有してなり、かつ、1100℃以下の焼成温度にて形成
されてなる誘電体磁器とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、配線基板に内蔵さ
れるセラミックコンデンサもしくは積層型セラミックコ
ンデンサ等のコンデンサにおける誘電体層に適した誘電
体磁器に関し、特に、高周波信号に適した誘電体磁器に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータや無線通信のデジタ
ル回路に代表されるように、情報通信分野におけるIC
の高速化には目覚しいものがある。ところが、このよう
なICの高速化、高密度化は機器誤動作の原因となる高
周波ノイズを増大させ、深刻な問題となっている。この
高周波ノイズは、論理素子の同時スイッチングにより生
じる電源電圧の低下に起因するもので、これを抑制する
ために、電源にエネルギーを供給する役目のコンデン
サ、いわゆるデカップリングコンデンサが用いられてい
る。このデカップリングコンデンサには、大エネルギー
を瞬時に供給できるよう高容量、低インダクタンス特性
が要求される。ここで、インダクタンスはコンデンサの
構造により決定され、一方、容量はコンデンサの構造
(電極面積、積層数、層厚等)と誘電体材料の誘電率と
により決まる。
【0003】一方、デカップリングコンデンサの搭載形
態としては、配線基板上への実装や配線基板内への内蔵
が挙げられる。ここで、例えば、LSIやICあるいは
ディスクリート部品などの半導体素子を搭載したり、あ
るいは基板内部に種々の厚膜印刷素子を作りこんだ配線
基板として、比較的高密度の配線が可能な多層配線基板
が多用されているが、本明細書においては、多層配線基
板も含め配線基板と総称する。高周波や高速パルスを取
り扱う場合、配線基板に実装される電子部品の動作電源
と電子部品とを繋ぐ配線が余剰のインダクタンスとして
寄与する。配線のインダクタンス成分の増加に伴い、動
作電源電圧の安定供給が困難となり、さらには、配線等
にノイズが重畳されることによる誤動作の発生、電子部
品の動作応答の遅延、または、高周波信号の伝送損失等
の不具合が生じることがある。また、該不具合は、上述
したように、高周波化や、配線の高密度化に伴い、さら
に顕著となる。以上から容易に理解できるように、配線
基板上への実装は近年のICの高速化に対して十分な機
能を果たせなくなりつつあり、高周波用途の配線基板内
にセラミックコンデンサ又は積層型セラミックコンデン
サ(以下、これらをコンデンサと総称する。)をデカッ
プリングコンデンサとして内蔵した配線基板が種々検討
されている。また、コンデンサ等の電子部品をフリップ
チップ型の実装端子を有する電子部品として形成するこ
とで、電子部品と動作電源との配線長を短縮して余剰の
インダクタンス成分を低減して、高周波信号の伝送損失
低減等を図る提案が種々なされている。
【0004】上記コンデンサは、同時焼成される誘電体
層と電極層とから構成される。該コンデンサを高周波信
号に適したものとするには、材料特性面においては、誘
電体層をなす誘電体磁器が、高周波領域でも比誘電率が
高く、かつ誘電損失が低いことが要求され、他方、電極
層は、抵抗率の低い導電材料から形成されることが要求
される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記電
極層を、低抵抗率のCu、Ag、Auの一種以上を導電
材料にて形成する場合、該導電材料の融点が1100℃
以下と低融点のため、電極層と誘電体層とを同時焼成す
るためには、その焼成温度が、少なくとも1100℃以
下の低温焼成でなくてはならない。例えば、BaTiO
に代表される公知の強誘電体であるペロブスカイト型
酸化物(以下、単にペロブスカイト型酸化物とも称す
る)より構成させた組成物を、このような低温焼成条件
にて焼成すると、緻密で均一な結晶性を有する焼結体が
得られない問題がある。該焼結体を誘電体磁器とした場
合、高周波信号に適した所望の比誘電率および誘電損失
等の誘電特性を有さないものとなる。
【0006】誘電体層を構成するペロブスカイト型酸化
物からなる組成物を、強誘電性が抑制されることなく、
1100℃以下の低温焼成によって、電極層とともに同
時焼成するために、ペロブスカイト型酸化物に加えて副
成分を添加させた状態で焼成させる試みが種々なされて
いる。しかし、1100℃以下の低温焼成で、誘電特性
に優れたペロブスカイト型酸化物の結晶相を有する焼結
体つまりは誘電体磁器を得るのは困難である。
【0007】本発明は、かかる問題を考慮してなされた
ものである。すなわち、本発明は、コンデンサをなす電
極層に低抵抗率かつ低融点のCu、Ag、Auなどを用
いた場合においても、該電極層と同時焼成される誘電体
層におけるペロブスカイト型酸化物よりなる結晶相の結
晶性を向上させるとともに、高周波信号に適した比誘電
率および誘電損失等の誘電特性を有する誘電体層となる
誘電体磁器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用・効果】上記課
題を解決するための本発明の誘電体磁器は、強誘電体と
なるペロブスカイト型酸化物から構成されるペロブスカ
イト型結晶相と、アルカリチタン酸塩から構成される副
結晶相とを主に含有してなり、かつ、1100℃以下の
焼成温度にて形成されてなる焼結体であることを特徴と
する。
【0009】本発明の誘電体磁器は、上述した高周波信
号に適したコンデンサの誘電体層に優位に適用させるた
めになされたものである。このようなコンデンサにおい
ては、電極層を低抵抗率のCu、Ag、Auといった低
融点の導電材料を用いることが望ましく、電極層と誘電
体層との同時焼成にてコンデンサを形成する際の焼成温
度は、1100℃以下とする必要がある。従来、このよ
うな低温焼成で形成された誘電体磁器は、緻密に焼結す
ることができず、また、均一な結晶性を有さないもので
あった。しかし、本発明の誘電体磁器は、アルカリチタ
ン酸塩からなる副結晶相を含有することで、1100℃
以下の低温焼成にて緻密に形成させることができる。そ
のため、誘電体磁器におけるペロブスカイト型結晶相
は、その結晶性が均一なものとなる。
【0010】上記したように、本発明における誘電体磁
器は、含有するペロブスカイト型結晶相の結晶性が均一
で、緻密な焼結体とすることができるので、強誘電性に
優れたものとなる。その結果、本発明の誘電体磁器は、
高周波信号に適した比誘電率および誘電損失等の誘電特
性に優れたものとなる。
【0011】上記ペロブスカイト型結晶相をなすペロブ
スカイト型酸化物としては、ATiO(A:アルカリ
土類金属元素)の化学式で表され、Aのサイトを、アル
カリ土類金属元素であるBaまたは、Baと、Mg、C
a、Srのうち1種もしくは2種以上とより構成したも
の、さらには、上記ATiOのTiサイトの一部をZ
rもしくはHfで置換したもの、または、PbTiO
もしくは、PbTiO とPbZrOとの固溶体であ
るPZT、もしくは、KNbOなどを挙げることがで
きる。
【0012】上記ペロブスカイト型酸化物としては、ア
ルカリチタン酸塩との同時焼結性がよく、かつ室温付近
で高周波領域における誘電率が高いことが望まれる。そ
のために、上記ペロブスカイト型酸化物として、Ba元
素とTi元素とを主としてなるものを選択することで、
さらに、本発明の誘電体磁器は、高周波信号に適した誘
電特性を有するものとなる。また、Ba元素とTi元素
とを主としてなるペロブスカイト型酸化物においても、
特に、BaTiOを選択することで、さらに一層、本
発明の誘電体磁器は、高周波信号に適した誘電特性を有
するものとなる。なお、これらのペロブスカイト型結晶
相中にNb、Co、Mn、Ni、希土類などの元素を固
溶させることで、誘電率の大きさや温度特性が変化する
ことが知られており、上記ペロブスカイト型結晶相には
目的に応じてこれらの元素が微量含まれてもよい。
【0013】本発明の誘電体磁器を構成するペロブスカ
イト型酸化物について上述してきたが、本発明の誘電体
磁器を構成する上記アルカリチタン酸塩は、化学式(M
O)(TiO)で表記されるもので、Mは、L
i、K、Naから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金
属元素であり、xおよびyは、整数である。
【0014】上記した本発明の誘電体磁器が含有する副
結晶相を構成するアルカリチタン酸塩(MO)(T
iOにおいては、特に、分子量が小さいほど、ペ
ロブスカイト結晶相同士の相境界に、副結晶相として緻
密で均一に形成されやすい。また、ペロブスカイト型結
晶相をTi元素から主に構成した場合、ペロブスカイト
型結晶相に配置されるべきTi元素が、アルカリチタン
酸塩に取り込まれることによりペロブスカイト型結晶相
に発生する空格子点等の結晶欠陥を抑制することが可能
となる。そこで、本発明の誘電体磁器が含有する副結晶
相を構成するアルカリチタン酸塩として、MTiO
を選択することで、さらに、誘電体磁器が含有するペロ
ブスカイト型結晶相は、緻密で均一な結晶性を有するも
のとなる。
【0015】上記アルカリチタン酸塩の効果の一つは、
上記のようにペロブスカイト型結晶相の焼結性の向上で
あるが、さらに緻密化を促進させるためにSi、B、B
i、Zn、Cuなどの成分を微量添加させた状態で焼結
体を焼成させても構わない。
【0016】ここまでに、本発明の誘電体磁器が含有す
るペロブスカイト型結晶相およびアルカリチタン酸塩か
らなる副結晶相の構成要素について述べてきた。該構成
要素とすることで、1100℃以下にて焼成される本発
明の誘電体磁器の、1MHz以上の高周波領域における
比誘電率を1000以上とすることが可能となる。
【0017】また、さらに、本発明の誘電体磁器におけ
る、1GHzにおける比誘電率をεr(1GHz)、1
MHzにおける比誘電率をεr(1MHz)とし、比誘
電率の周波数に対する変化率(%)を((εr(1MH
z)―εr(1GHz))/εr(1MHz))×10
0)と定義するとき、該変化率を17%以下とすること
が可能となる。
【0018】上記のような比誘電率および、周波数に対
する変化率を有する本発明の誘電体磁器は、高周波信号
に適した高比誘電率となるばかりではなく、高周波信号
がある幅をもった場合においても、その比誘電率の変化
率を抑制することが可能であり、種々の高周波信号に対
応可能なものとなる。なお、本明細書における高周波と
は、1MHz以上3GHz以下のものを指す。
【0019】次に本発明の誘電体磁器は、上記ペロブス
カイト型結晶相および上記副結晶相以外に、BaTi
12およびBaTiOから選ばれる少なくとも
1種から構成される第三結晶相を含有してなることを特
徴とする。このような、第三結晶相が、誘電体磁器に含
有されることで、ペロブスカイト型結晶相を、1100
℃以下で、さらに焼成温度を下げた場合においても、緻
密に焼結させることが可能となる。
【0020】上述してきた本発明の誘電体磁器を、コン
デンサを構成する誘電体層に適用することで、該誘電体
層は、高誘電率等の高周波信号に適した誘電特性を有す
ることとなる。また、本発明の誘電体磁器は、1100
℃以下の焼成温度にて焼成可能であるので、コンデンサ
を構成する電極層を低抵抗率のCu、Ag等の導電材料
を用いることが可能である。その結果、このようなコン
デンサは、さらに、高周波信号に適したものとなる。
【0021】上記コンデンサを構成する電極層としての
低抵抗率の導電材料としては、銀系(銀単体、銀−金属
酸化物(マンガン、バナジウム、ビスマス、アルミニウ
ム、ケイ素、銅等の酸化物)、銀−ガラス添加、銀−パ
ラジウム、銀−白金、銀−ロジウム等)、金系(金単
体、金−金属酸化物、金−パラジウム、金−白金、金−
ロジウム等)、銅系(銅単体、銅−金属酸化物、銅−パ
ラジウム、銅−白金、銅−ロジウム等)等を用いること
が可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の誘電体磁器が適用
される実施形態を図面を用いて説明する。図1は、配線
基板に内蔵される公知の積層型セラミックコンデンサ5
0(以下、単にコンデンサ50と称する)のみを示した
一実施形態の概略断面図である。該コンデンサ50は、
電極層10と誘電体層1から構成されるとともに、積層
された電極層10は、交互にビア電極11を介して電気
的導通がなされる。このようなコンデンサ50は、配線
基板において高周波信号に対応したものとして内蔵され
てなる。高周波信号に対応したコンデンサ50とするた
めには、その誘電体層1が、高周波領域において比誘電
率が高く、かつ誘電損失が低いことが要求され、かつ電
極層10およびビア電極11が低抵抗率であることが要
求される。しかし、従来、電極層10およびビア電極1
1に低抵抗率のCuやAgを主とする導電材料を用いる
場合、該導電材料が1100℃以下の低融点であるため
に、電極層10、ビア電極11と誘電体層1を、110
0℃以下の低温焼成にて同時焼成させ、かつ誘電体層1
の高周波領域における比誘電率を高く(1000以上)
することは困難であった。そこで、本発明の誘電体磁器
を誘電体層1とすることで、図1に示すようなコンデン
サ50は、電極層10、ビア電極11および誘電体層1
とを1100℃以下の焼成温度にて同時焼成すことで形
成可能であり、かつ高周波信号に適した誘電特性および
電気特性を有するものとなる。また、図1以外のコンデ
ンサ50以外として、図2に示すようなセラミックコン
デンサ51(以下、単にコンデンサ51と称する)の誘
電体層1にも本発明の誘電体磁器は優位に適用される。
【0023】図1および図2に示す、誘電体層1に本発
明の誘電体磁器を適用したコンデンサ50およびコンデ
ンサ51は、配線基板と同時焼成にて形成させること
で、コンデンサ内蔵配線基板としてもよいし、コンデン
サ50およびコンデンサ51自体を電子部品として、配
線基板に内蔵させコンデンサ内蔵配線基板を形成しても
よい。このようなコンデンサ内蔵配線基板の母体である
配線基板は公知のものに適用可能である。また、配線基
板に半導体素子等の電子部品を実装させたものや、半導
体素子、光半導体素子等の電子部品を収容させたパッケ
ージ基板としての配線基板にも適用可能である。
【0024】図3は、公知の面実装型セラミックコンデ
ンサを示す概略断面図である。該面実装型セラミックコ
ンデンサ40は、誘電体層1と配線層6とが交互に積層
されるとともに、誘電体層1を隔てて対向する配線層6
が、誘電体層1を貫くビア電極11、11’により電気
的に接続された構造を有する。配線層6は、誘電体層1
を介して対向するコンデンサ電極としての電極層10を
含み、該対向する電極層10の一方がビア電極11と、
他方がビア電極11’と電気的に導通される。そして、
ビア電極11とビア電極11’とには、それぞれこれら
に選択的に導通するフリップチップ型の接続端子31
が、面実装型セラミックコンデンサ40の片側の主表面
に形成され、それぞれ表面実装用の金属バンプ32が設
けられている。このような形態をなすコンデンサにおけ
る誘電体層1にも本発明の誘電体磁器は、優位に適用さ
れる。
【0025】上記本発明の誘電体磁器は、強誘電体とな
るペロブスカイト型酸化物のペロブスカイト型結晶相を
主とし、1100℃以下の焼成領域においても、ペロブ
スカイト型結晶相が緻密に均一な結晶性を有する焼結体
となるように、アルカリチタン酸塩からなる副結晶相を
含有してなる。また、該アルカリチタン酸塩におけるア
ルカリ金属元素の誘電体磁器における含有量は、酸化物
換算で0.1〜10質量%の範囲とするのがよい。アル
カリ金属元素の含有量が、酸化物換算で0.1質量%未
満となると、ペロブスカイト型結晶相が1100℃以下
で緻密に焼結せず、他方、10質量%より大きくなる
と、誘電体磁器の高周波領域での比誘電率が低減するか
らである。
【0026】本発明の誘電体磁器の製造方法であるが、
その一例を以下に示す。まず、誘電体磁器を構成する、
ペロブスカイト酸化物の原料粉末と、アルカリチタン酸
塩の原料となるアルカリ金属元素を含有する炭酸塩、酸
化物、水酸化物、有機酸塩およびハロゲン化物のうち一
種と、アルカリチタン酸塩の原料となるチタン酸化物と
を秤量し、これら混合物と分散剤とを溶解したメチルエ
チルケトンとトルエンとの混合溶液(もしくは、エタノ
ールとトルエンとの混合溶液)をポットミル中で、15
時間程度、分散混合させる。次に、該分散混合させたス
ラリーに、樹脂(アクリル系、ブチラール系)を溶解さ
せたメチルエチルケトンとトルエンとの混合溶液(もし
くは、エタノールとトルエンとの混合溶液)を加えてさ
らに、4時間程度混合させてキャスティング用のスラリ
ーを作製する。該スラリーを用いてドクターブレード等
のシートキャスティング装置を用いて厚さ3〜200μ
mのシートを作製する。得られたシートを所定の厚みと
なるように積層するとともに、所定の大きさに切断した
ものを、1100℃以下の焼成温度にて焼成すること
で、本発明の誘電体磁器を得ることができる。
【0027】また、誘電体磁器を構成するペロブスカイ
ト酸化物が、Ba元素およびTi元素を主とする場合
は、該ペロブスカイト酸化物の原料粉末と、アルカリチ
タン酸塩の原料となるアルカリ金属元素を含有する炭酸
塩、酸化物、水酸化物、有機酸塩およびハロゲン化物の
うち一種とを秤量した混合物を用いることもできる。さ
らには、アルカリチタン酸塩を予め焼成形成させた場合
には、秤量したペロブスカイト酸化物の原料粉末と焼成
形成させたアルカリチタン酸塩との混合物を用いること
もできる。
【0028】上記した本発明の誘電体磁器を焼成形成さ
せる過程で用いた、樹脂、分散剤および、混合溶液にお
けるメチルエチルケトン、エタノール、トルエン等は特
に限定されたものでなく、スラリー形成する際に使用さ
れる公知の材料が適用可能である。特に樹脂が、誘電体
磁器を1100℃以下の焼成温度で焼成させる過程で十
分に脱脂されるものであればよい。また、本発明の誘電
体磁器を焼成するための焼成温度は、使用するペロブス
カイト型酸化物により適宜調整されるものであるが、1
100℃以下、さらには、900℃以下とすることが可
能である。
【0029】
【実施例】以下、本発明の効果を確認するために行なっ
た実験結果について説明する。
【0030】(実施例1〜15)市販のBa元素および
Ti元素を主とするABO(A:Baまたは、Baお
よびCa、B:Tiまたは、TiおよびZr)の組成式
で表されるペロブスカイト型酸化物原料と、アルカリチ
タン酸塩の原料となるLiCO、NaCO 、K
COの一種とを用いて、上記製造方法に従い、種々
の構成成分、焼成温度にて誘電体磁器となる焼結体を焼
成形成した。各実施例におけるペロブスカイト型酸化物
の主構成元素と、アルカリチタン酸塩の原料と、およ
び、そのアルカリ金属元素の酸化物換算での焼成形成さ
れる焼結体に対する原料仕込み時の添加量(質量%)
と、使用した樹脂および可塑剤と、焼成温度とを表1に
示す。なお、表1中のDOPは、フタル酸ジオクチル、
DBPは、フタル酸ジブチル、DOAは、アジピン酸ジ
オクチルである。また、実施例すべてにおいて、その焼
成時間を3時間とし、焼成雰囲気を大気中とした。
【0031】
【表1】
【0032】(比較例1〜4)比較例1、3および4で
は、アルカリチタン酸塩の原料を除き、市販のBa元素
およびTi元素を主とするABO(A:Baまたは、
BaおよびCa、B:Tiまたは、TiおよびZr)の
組成式で表されるペロブスカイト型酸化物原料のみを用
いて、上記製造方法に従い、種々の構成成分、焼成温度
にて誘電体磁器となる焼結体を焼成形成した。また、比
較例2は、アルカリチタン酸塩の原料におけるアルカリ
金属元素の酸化物換算での形成される焼結体に対する原
料仕込み時の添加量(質量%)を、実施例のものより過
度に多くした以外は、実施例と同様の製造方法にて、誘
電体磁器となる焼結体を焼成形成した。各比較例におけ
るペロブスカイト型酸化物の主構成元素、焼成温度等を
表1に示すが、本実施例および比較例においては、誘電
率の温度特性制御などのために、さらに、形成される焼
結体に対する原料仕込み時の酸化物換算で、Nbを1.
4質量%、Coを0.1質量%、Znを0.3質量%、
Siを0.5質量%添加している。
【0033】上記実施例および比較例にて得られた焼結
体に対して、誘電特性評価、および粉末X線回折測定を
行なった。誘電特性評価は、得られら焼結体を、7.5
〜8.0mm×0.5〜2.0mmの表面積となるよう
に成型した後、その両表面にAgからなる導電ペースト
を印刷塗布にて焼き付けることで電極層を形成させ評価
サンプルとするとともに、インピーダンスアナライザー
を用いて、周波数1MHz(アジレントテクノロジー社
製 HP4194A)および1GHz(アジレントテクノロジ
ー社製 HP4287A)、基準温度25℃にて静電容量を測
定した。粉末X線回折測定は、得られた焼結体を粉砕し
たものを用いて測定を行なった。
【0034】上記誘電特性評価にて得られた静電容量お
よび評価サンプルの寸法から見積もられる比誘電率と、
粉末X線回折測定より得られたピークパターンより同定
された、主にペロブスカイト型酸化物により構成される
ペロブスカイト型結晶相以外の、アルカリチタン酸塩に
よる副結晶および、第三結晶相を構成する結晶を表2に
示す。さらに、表2においては、周波数1GHzにおけ
る比誘電率をεr(1GHz)、周波数1MHzにおけ
る比誘電率をεr(1MHz)とし、比誘電率の周波数
に対する変化率(%)を((εr(1MHz)―εr
(1GHz))/εr(1MHz))×100)とした
ときの該変化率(%)と、周波数1MHz、基準温度2
5℃にて得られた誘電損失tanδも合わせて示す。
【0035】
【表2】
【0036】表1および表2により明らかであるが、実
施例において形成させた焼結体は、少なくとも1100
℃以下の焼成温度にて焼成可能であり、かつ、1MHz
以上の高周波領域における比誘電率が1000以上、変
化率が17%以下と、高周波領域における誘電特性に優
れたものであることが確認された。さらに、該変化率の
結果より、実施例において形成された焼結体は、少なく
とも3GHzまでの高周波領域において、その比誘電率
を1000以上に維持できることが分かる。また、実施
例において形成させた焼結体の焼成温度は、正確には9
50℃以下であるので、該焼結体つまりは、本発明の誘
電体磁器をコンデンサの誘電体層に適用した場合、その
電極層をAgより構成させるとともに同時焼成が可能と
なる。実施例と比較例2の結果より、焼結体が含有する
アルカリ金属元素の酸化物換算での含有量を、0.1〜
10質量%の範囲とすることで、焼結体の誘電特性が特
に優れたものとなることを確認した。
【0037】比較例1、3および4の結果より、焼結体
がアルカリチタン酸塩からなる副結晶を有さない場合、
焼成温度は1300℃程度と高温となり、かつ、比誘電
率の変化率の結果より、周波数が高周波化するに従い、
比誘電率が急激に減少することが分かった。
【0038】実施例にて形成した焼結体を粉末X線回折
測定した際に得られる、ペロブスカイト型結晶相に起因
したピークパターンは、ピーク強度および半値幅も狭
く、焼成形成されたペロブスカイト型結晶相が、緻密で
均一は結晶性を有した状態で焼結していることも合わせ
て確認した。このように、良好な結晶性を有するペロブ
スカイト型結晶相を有する実施例の焼結体においては、
誘電損失も含めて得られた誘電特性の結果から、特にペ
ロブスカイト型結晶相を構成するペロブスカイト型酸化
物として、BaTiOとしたものが、特に誘電特性の
向上には好適であることがわかった。
【0039】最後に、焼成温度を820℃にした以外
は、実施例1と同条件にて焼結体を焼成させ、上記同様
の誘電特性評価を行なったが、実施例1と同様の誘電特
性を有することを確認した。このように、第三結晶相と
して、BaTi12またはBaTiOを形成
することで、誘電特性を抑制することなく焼成温度を下
げることが可能となる。
【0040】上記実施例および比較例の結果より、本発
明の誘電体磁器は、1100℃以下で焼成可能である、
かつ高周波領域においても誘電特性に優れたものである
ことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体磁器が適用される積層型セラミ
ックコンデンサの一実施形態を示す概略断面図。
【図2】本発明の誘電体磁器が適用されるセラミックコ
ンデンサの一実施形態を示す概略断面図。
【図3】本発明の誘電体磁器の製造方法にて製造される
誘電体磁器が適用される面実装型コンデンサの一実施形
態を示す概略断面図。
【符号の説明】
1 誘電体磁器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 学 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 Fターム(参考) 4G031 AA01 AA06 AA11 BA09 CA01 CA08 GA04 GA06 GA11 5E001 AB03 AE02 AE03 AH01 AH09 AJ02 5G303 AA01 AB15 CA01 CA11 CB03 CB14 CB16 CB20 CB35

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強誘電体となるペロブスカイト型酸化物
    から構成されるペロブスカイト型結晶相と、アルカリチ
    タン酸塩から構成される副結晶相とを主に含有してな
    り、かつ、1100℃以下の焼成温度にて形成されてな
    る焼結体であることを特徴とする誘電体磁器。
  2. 【請求項2】 前記ペロブスカイト型酸化物は、Ba元
    素とTi元素とを主としてなることを特徴とする請求項
    1記載の誘電体磁器。
  3. 【請求項3】 前記ペロブスカイト型酸化物が、BaT
    iOであることを特徴とする請求項2に記載の誘電体
    磁器。
  4. 【請求項4】 前記アルカリチタン酸塩が、Li、K、
    Naから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属元素を
    Mとする、MTiO(該Mは前記アルカリ金属元
    素)で表される組成物からなることを特徴とする請求項
    1ないし3のいずれか1項に記載の誘電体磁器。
  5. 【請求項5】 前記焼結体の1MHz以上の高周波領域
    における比誘電率が1000以上であることを特徴とす
    る請求項1ないし5のいずれか1項に記載の誘電体磁
    器。
  6. 【請求項6】 前記焼結体の1GHzにおける比誘電率
    をεr(1GHz)、1MHzにおける比誘電率をεr
    (1MHz)とし、比誘電率の周波数に対する変化率
    (%)を((εr(1MHz)―εr(1GHz))/
    εr(1MHz))×100)と定義するとき、該変化
    率が17%以下であることを特徴とする請求項5に記載
    の誘電体磁器。
  7. 【請求項7】 前記ペロブスカイト型結晶相および前記
    副結晶相以外に、Ba Ti12およびBaTi
    から選ばれる少なくとも1種から構成される第三結
    晶相を含有してなることを特徴とする請求項1ないし6
    のいずれか1項に記載の誘電体磁器。
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