JP2003145013A - 塗装用焼付炉 - Google Patents

塗装用焼付炉

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JP2003145013A
JP2003145013A JP2001343725A JP2001343725A JP2003145013A JP 2003145013 A JP2003145013 A JP 2003145013A JP 2001343725 A JP2001343725 A JP 2001343725A JP 2001343725 A JP2001343725 A JP 2001343725A JP 2003145013 A JP2003145013 A JP 2003145013A
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Japan
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furnace body
conveyor
baking
work
furnace
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JP2001343725A
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English (en)
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Tomoya Imai
朋也 今井
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Subaru Corp
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Fuji Heavy Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱容量の異なるワークの混流生産による焼付
け処理を可能にし、かつ設備の稼働効率に優れた塗装用
焼付炉を提供する 【解決手段】 炉体10と、電着工程で塗着されたワー
クWa、Wbを炉体入口11側から炉体出口12側に炉
体10内を搬送する炉体コンベヤ21と、炉体出口分岐
21aで炉体コンベヤ21から分岐して炉体入口分岐2
1bで再び炉体コンベヤ21に環流するループコンベヤ
22とを備え、熱容量の少ないワークwaは炉体コンベ
ヤ21で炉体10内を搬送して焼付け処理を施して次工
程に搬出する一方、熱容量の大きいワークWbは炉体コ
ンベヤ21によって炉体10内を搬送して予備加熱した
後ループコンベヤ22によって炉体入口分岐21bに搬
送して炉体コンベヤ21に環流して炉体10で焼付け処
理して次工程に搬出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワークに塗着され
た塗膜を焼付け処理する塗装用焼付炉に関する。
【0002】
【従来の技術】塗装作業は、例えば電着によりワークに
塗料を塗着する電着工程と、塗着された塗膜を焼付けす
る焼付工程とを有している。
【0003】高品質の塗装製品を得るには電着工程にお
ける塗膜の均一性及び密着性を高めることはもとより、
焼付工程における焼付け温度及び焼付け時間等の焼付け
処理条件を適切に設定することが重要である。図5は、
電着塗装における塗料の焼付け可能範囲となる時間と温
度の相関図の一例であって、斜線で示す五角形のエリア
内が塗膜性能が確保できる焼付け可能範囲である。この
エリア内を逸脱すると電着塗装の所望の塗膜性能を得る
ことができない。
【0004】焼付工程における塗装用焼付炉は、一般に
高温で長時間の焼付け処理を必要とすることから、例え
ば図6に概要を示すようにトンネル型の炉体101及
び、この炉体101の長手方向にワークWを搬送する炉
体コンベヤ111を備え、電着工程で塗着されたワーク
Wを炉体101内を一定の速度で移動させつつ、熱風発
生装置及び送風装置等の加熱手段(図示せず)によって
ワークWを加熱して焼付け処理する構造である。
【0005】このような炉体101を用いて、例えば板
厚が異なる鋼板によって構成されたワークWaとワーク
Wbを焼付け処理する場合には、板厚が薄い鋼板(例え
ば板厚1.6mm)によって構成されたワークWaの熱
容量に対して、板厚が厚い鋼板(例えば板厚9mm)に
よって構成されたワークWbの熱容量が大きく、ワーク
Waの焼付け処理条件に設定された炉体101を使用す
ると、ワークWaの温度は速やかに上昇して所定の焼付
け温度に達するが、熱容量の大きいワークWbの温度は
緩慢に立ち上がりかつ焼付け温度に達せず十分な焼付け
処理が得られないおそれがある。一方、ワークWbの焼
付け処理条件に設定された炉体101を使用すると、ワ
ークWbの焼付け処理は良好に得られるものの、熱容量
の小さなワークWaがオーバーベイキングとなることが
懸念される。
【0006】このため、炉体101による熱容量の小さ
なワークWaの焼付け処理が全て完了した後に、炉体1
01のワークWbの焼付け温度に変更し、或いは炉体コ
ンベヤ111による搬送速度を減速した後に、熱容量の
大きなワークWbの焼付け処理を開始する方法がある。
しかし、炉体101内の温度上昇は緩慢であり、ワーク
Wbの焼付け処理温度に上昇させるには多くの時間を要
し迅速に対応するのが不可能であり、生産性の低下を招
く要因となる。一方、炉体コンベヤ111による搬送速
度の減速は稼働効率の低下を招くことになる。
【0007】よって、熱容量の異なるワークWaとWb
の焼付け処理条件に応じて臨機応変に変更することは困
難であり生産性の低下を招き、かつ設備の稼働効率の低
下を招く要因となる。
【0008】このため、板厚が異なる鋼材によって構成
された熱容量の大きなワークWaと熱容量の小さなワー
クWbを単一の炉体で焼付け処理する混流生産は困難で
あり、各々専用の炉体によって乾燥焼付け処理を行うの
が一般的である。
【0009】しかし、上記熱容量の異なるワークWaと
Wbの各焼付け処理条件に設定された各々の炉体を併設
することから多くの設備コストの増大を招き、かつ設備
管理が煩雑になると共に、設備の稼働効率の低下が懸念
される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】この対策として、図7
に参考図を示すように熱容量の小さなワークWaの焼付
け処理条件に設定された既設の炉体101に、炉体10
2を延設させて炉体101と102によって熱容量が大
きなワークWbの焼付け処理条件に適した炉体103を
設置すると共に、既設の炉体コンベヤ111に炉体コン
ベヤ112を追加して炉体コンベヤ113を設置する。
【0011】そして、熱容量の小さなワークWaを焼付
け処理する際には、炉体101のみの作動により、ま
た、熱容量の大きなワークWbを処理する際には炉体1
01と102が共に作動するように切換える方法が考え
られる。
【0012】しかし、既設の炉体101に炉体102を
延設することから炉体103の熱負荷が大きくなり、か
つ炉体コンベヤ112の追加による多大な設備コスト及
びランニングコストの増加を招くと共に、占有設置スペ
ースの増大を要する。また、熱負荷の増大に伴い排出す
る二酸化炭素量の増加が懸念される。更に、炉体102
の作動及び停止の切換えによる炉体103の焼付け温度
の上昇及び降下は緩慢であり、ワークWa及びWbの各
焼付け処理条件に変更するには多くの時間を要し迅速に
対応するのが不可能で、臨機応変に変更することが困難
であり、熱容量の異なるワークWa及びWbの効率的な
混流生産は達成できない。
【0013】また、図8に参考図を示すように小さな熱
容量のワークWaの焼付け処理条件に設定された炉体1
01に、熱容量の大きな熱容量のワークWbの焼付け処
理条件に設定された炉体104を併設すると共に、既存
の炉体コンベヤ111から炉体104のための炉体コン
ベヤ114を分岐し、かつ炉体104の下流側に炉体コ
ンベヤ114から炉体コンベヤ111にワークWbを移
載するトラバーサー116を配置して、再び炉体コンベ
ヤ111に合流させる方法もある。
【0014】しかし、既設の炉体101に炉体104を
併設させることから熱負荷が大きくなり、かつ炉体コン
ベヤ114及びトラバーサー116の追加に伴って多大
な設備コスト及びランニングコストの増加を招くと共
に、占有設置スペースが増大し、かつ排出する二酸化炭
素量の増加が懸念される。
【0015】また、ワークWa及びWbの処理量の割合
が変化する場合でも常に両炉体101及び104を作動
させて待機させておく必要があり、多大なランニングコ
ストを要する。
【0016】従って、かかる点に鑑みなされた本発明の
目的は、熱容量の異なるワークの混流生産による焼付け
処理を可能にすると共に、設備の稼働効率に優れ設備コ
スト及びランニングコストの低減が期待できる塗装用焼
付炉を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する請求
項1に記載の発明は、電着工程で塗着された熱容量の異
なるワークを焼付け処理する塗装用焼付炉において、炉
体と、電着工程で塗着されたワークを炉体入口の上流側
から炉体出口の下流側に上記炉体内を搬送する炉体コン
ベヤと、上記炉体出口の下流側に位置する炉体出口分岐
で上記炉体コンベヤから分岐して炉体入口の上流側に位
置する炉体入口分岐で再び炉体コンベヤに環流するルー
プコンベヤとを備え、熱容量の少ないワークは炉体コン
ベヤで炉体内を搬送して焼付け処理する一方、熱容量の
大きいワークは炉体コンベヤによって炉体内を搬送して
予備加熱した後炉体出口分岐からループコンベヤによっ
て炉体入口分岐に搬送すると共に、再び炉体コンベヤに
移載して上記炉体で焼付け処理することを特徴とする。
【0018】請求項1の発明によると、熱容量の小さな
ワークにあっては、ワークを炉体コンベヤによる一度の
炉体内の搬送によって焼付け処理し、熱容量が大きく炉
体による温度上昇が緩慢なワークは炉体コンベヤによっ
て炉体内を搬送して予め予備加熱温度まで上昇させ、再
びループコンベヤによって炉体出口分岐から炉体入口分
岐に戻し、再び炉体コンベヤによって炉体内を搬送して
焼付けることによって、熱容量の異なるワークの効率的
な混流生産が可能になり、生産性効率の向上が得られて
ランニングコストの低減が期待できる。
【0019】また、既設の炉体にループコンベヤ等を追
加的に配設する比較的簡単な変更によって塗装用焼付炉
が構成され、設備コストの増加を抑制することができ
る。更に、炉体の熱負荷の増大が回避されて二酸化炭素
量の排出量を抑制することができる。
【0020】請求項2に記載の発明は、請求項1の塗装
用焼付炉において、上記ループコンベヤは、上記炉体に
沿って略平行配置されたことを特徴とする。
【0021】請求項2の発明によると、ループコンベヤ
を炉体に沿って略平行配置することによって、塗装用焼
付炉の大型化が抑制されて塗装用焼付炉の占有設置スペ
ースの増大が抑制できる。
【0022】請求項3に記載の発明は、請求項1または
2の塗装用焼付炉において、上記ループコンベヤは、保
温ケーシングの内部に配置されたことを特徴とする。
【0023】請求項3の発明によると、ループコンベヤ
を保温ケーシング内に配置することから、ループコンベ
ヤによって炉体出口分岐から炉体入口へ搬送されるワー
クの温度低下が有効的に抑制される。
【0024】請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の
いずれかに記載の塗装用焼付炉において、更に、ワーク
の炉体内を搬送する回数を表示する焼付け回数表示手段
と、該焼付け回数表示手段の表示を検知する判断手段
と、該判断手段の検知に基づいてワークの搬路を炉体コ
ンベヤ或いはループコンベヤに切り換える搬路切換手段
とを有する搬路制御手段を備えたことを特徴とする。
【0025】請求項4の発明によると、ワークが炉体内
を搬送する必要回数を表示する焼付け回数表示手段を判
断手段で検知し、その検知に基づいて搬路切換手段によ
りワークの搬路を切換ることによって有効的にワークを
炉体コンベヤ或いはループコンベヤに切り換えて搬送す
ることができる。
【0026】請求項5に記載の発明は、請求項4の塗装
用焼付炉において、上記各ワークは各々搬送装置に各々
搭載されて上記炉体コンベヤ及びループコンベヤによっ
て搬送され、上記焼付け回数表示手段は、上記搬送装置
に配設されて起立姿勢と横臥姿勢に回動可能な可倒式ス
トライカーで、上記判断手段は、上記ストライカーの起
立姿勢或いは横臥姿勢を検知する光電スイッチであり、
上記光電スイッチの出力に基づいて上記搬路切換手段に
より上記搬路切換を制御することを特徴とする。
【0027】請求項5に記載の発明によると、焼付け回
数表示手段を可倒式ストライカーによって、また判断手
段をストライカーの起立姿勢或いは横臥姿勢を検知する
光電スイッチによって各々形成することによって、搬路
制御手段を容易に構成することができる。
【0028】請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の
いずれかの塗装用焼付炉において、上記炉体コンベヤ
は、上記電着工程でワークを搬送する電着ラインコンベ
ヤからワークが移載され、上記電着ラインコンベヤの搬
送速度をX、炉体コンベヤの搬送速度をY、熱容量の大
きなワークと熱容量の小さいワークの生産比率を各々a
%及びb%とすると次式、 Y=(b/(a+b))/X (ただし、a+b=1
00%) に設定されたことを特徴とする。
【0029】請求項6の発明によると、電着ラインコン
ベヤの速度と、電着ラインコンベヤからのワークに加え
ループコンベヤからのワークを搬送する炉体コンベヤの
速度を上記のように設定することによって、電着ライン
コンベヤから搬入されるワークと、炉体コンベヤから次
の工程に搬出されるワークの均衡が得られ、熱容量の大
きなワークと熱容量の小さいワークの混流生産が効率的
に達成できる。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明による塗装用焼付炉の実施
の形態を図1乃至図4を参照して説明する。なお、板厚
が比較的薄い鋼板によって構成された熱容量が小さいワ
ークWaと、板厚が比較的厚い鋼板によって構成された
熱容量が大きいワークWbを混流して焼付け処理する場
合を例に説明する。
【0031】図1は、電着工程で塗着されたワークWa
及びWbの塗膜を、焼付工程において焼付けする塗装用
焼付炉1の概要を示す説明図である。
【0032】塗装用焼付炉1は、炉体10と、電着工程
の前処理電着ラインでワークWa及びWbを搬送する電
着ラインコンベヤ3から搬入されるワークWa、Wbを
炉体10の炉体入口11の上流側から炉体出口12の下
流側に一定速度で搬送する炉体コンベヤ21と、炉体1
0の炉体出口12の下流側近傍に位置する炉体出口分岐
21aで炉体コンベヤ21から分岐して炉体入口11の
上流側近傍に位置の炉体入口分岐21bで再び炉体コン
ベヤ21と合流するループコンベヤ22と、ループコン
ベヤ22を収容して保温するトンネル型の保温ケーシン
グ15を有している。
【0033】炉体10は、熱発生装置や送風装置等の加
熱手段を備え、炉体コンベヤ21によって炉体入口11
側から炉体10内を長手方向に沿って炉体出口12側に
搬送されるワークWa及びWbに塗着された塗膜を加熱
して焼付けするトンネル型の炉体であって、熱容量が小
さなワークWaを炉体入口11から炉体出口12に搬送
する間に所定の焼付け温度に加熱しかつ所定の焼付け時
間が確保できる焼付け処理条件に設定されている。
【0034】炉体コンベヤ21は、例えばワークWa、
Wb等を搭載する台車或いはハンガ等の搬送装置31を
有し、かつこの搬送装置31に設けられて炉体10内を
搬送する必要回数を表示する焼付け回数表示手段、炉体
出口分岐21aの上流側に配置されて焼付け回数表示手
段を検知判別する判別手段、及び搬路切換手段等からな
る搬路制御手段32を備えている。
【0035】焼付け回数表示手段は、例えば図2に要部
を斜視図を示すように、搬送装置31に設けられて実線
で示す起立姿勢と破線で示す横臥姿勢に切り換えられる
可倒式のストライカー33であって、起立姿勢で炉体1
0内を2回搬送することが必要であることを表示し、横
臥姿勢で炉体10内を1回搬送することが必要であるこ
とを表示する。
【0036】判別手段は、起立姿勢或いは横臥姿勢のス
トライカー33、本実施の形態では起立姿勢のストライ
カー33を検出する光電スイッチ34によって構成さ
れ、光電スイッチ34が起立姿勢のストライカー33を
検出したか否か、即ち、炉体10内の2回搬送を表示す
る起立姿勢のストライカー33を検出したときの光電ス
イッチ34の出力が例えばハイ(H)レベル、ストライ
カー33が炉体10内の1回搬送を表示する横臥姿勢で
ストライカー33を検出していないときの光電スイッチ
34の出力をロー(L)レベルとすると、光電スイッチ
34の出力がHレベルかLレベルかによって、Hレベル
のときはストライカー33が起立姿勢にあると判定し、
Lレベルのときは横臥姿勢にあると判断する。なお、起
立姿勢のストライカー33を検出した後光電スイッチ3
4の出力はLレベルに切り換えられる。
【0037】光電スイッチ34がLレベルのときは、搬
送路切換手段35は引き続き炉体コンベヤ21により搬
送装置31を搬送して次の工程に搬出し、一方Hレベル
のときは炉体コンベヤ21の炉体出口分岐21bからル
ープコンベヤ22に搬送装置31を誘導する。
【0038】ループコンベヤ22は、炉体10に沿って
略平行に配設されて高速で搬送装置31を炉体出口分岐
21aから炉体入口分岐21bに搬送するコンベヤであ
って、その途中に表示手段切換手段が配置され、2回搬
送を表示する起立姿勢にあるストライカー33を搬送装
置31がループコンベヤ22を移動の途中で1回を表示
する横臥姿勢に切り換える。ループコンベヤ22を炉体
10と平行に配設してループコンベヤ22の短縮を図る
と共に、塗装用焼付炉1のコンパクト化を図り占有設置
スペースの増大が抑制される。
【0039】そして、炉体入口分岐21bで電着ライン
コンベヤ3から搬入される搬送装置31とループコンベ
ヤ22の在席状況を確認して、ループコンベヤ22から
搬送装置31が炉体コンベヤ21に移載させて環流させ
る。
【0040】保温ケーシング15は、炉体10の炉体出
口12の下流に位置する炉体出口分岐21aから炉体入
口分岐21bの近傍に亘ってループコンベヤ22を覆っ
て収容するトンネル型であって、炉体10に配置された
加熱手段からの熱風を供給して保温ケーシング21の内
部を所定の温度に維持し、保温ケーシング15内を搬送
されるワークの温度低下を抑制している。
【0041】次に、このように構成された塗装用焼付炉
1の作用について説明する。
【0042】ここで、電着ラインコンベヤ3によって炉
体コンベヤ21に搬入されるワークWaを搭載する搬送
装置31のストライカー33は1回の搬送を表示する横
臥姿勢に維持される一方、ワークWbを搭載する搬送装
置31のストライカー33は2回の搬送を表示する起立
状態に維持されている。
【0043】そして、電着工程で塗着されたワークW
a、Wbを搭載した各搬送装置31が混流状態で順次電
着ラインコンベヤ3から炉体コンベヤ21に搬入され
る。例えば、熱容量が小さいワークWaが搭載された搬
送装置31は、炉体コンベヤ21によって炉体入口11
から炉体10内に搬入され、炉体10内を一定速度で搬
送されて炉体出口12側に搬出される。ここで、炉体1
0は、予め、熱容量が小さいワークWaの焼付け処理条
件に設定されていることから、炉体入口11から炉体出
口12まで搬送される間に所定の焼付け温度に加熱さ
れ、かつ焼付け時間が得られる。即ち、例えば図3に示
しように炉体10内を移動する間にワークWaの温度が
速やかに上昇して焼付け温度Tに達し、所定の焼付け時
間BTを満たし、オーバーベイキングや焼付不完全のな
い高品質の焼付けが得られる。
【0044】焼付けが完了したワークWaを搭載した搬
送装置31は、ストライカー33が1回の搬送を表示す
る横臥姿勢に維持されており、光電スイッチ34により
検出されることなく、光電スイッチ34の出力がLレベ
ルに維持されて炉体コンベヤ21により次の工程に搬出
される。
【0045】一方、熱容量が大きなワークWbが搭載さ
れた搬送装置31は、炉体コンベヤ21によって炉体入
口11から炉体10内に搬入され、炉体10内を一定速
度で搬送されて炉体出口12側に搬出される。ここで、
炉体10は、小さい熱容量のワークWaに適した焼付け
条件に調整されていることから、熱容量の大きいワーク
Wbは、例えば図4に示しように温度が緩慢に上昇して
予備加熱されて焼付け温度TよりΔTだけ低い予備加熱
温度T1まで上昇する。
【0046】ワークWbを搭載した搬送装置31が炉体
出口12から炉体出口分岐21bに搬送されると、起立
姿勢のストライカー33が光電スイッチ34により検出
されて、光電スイッチ34の出力がHレベルとなり、搬
送路切換手段35によって搬路が切り換えられて搬送装
置31をループコンベヤ22に誘導する。ループコンベ
ヤ22に誘導された搬送装置31は、ループコンベヤ2
2によって高速で保温ケーシング15内を通過して炉体
入口分岐21aに搬送されると共に、その搬送の途中で
表示手段切換手段によってストライカー33が起立姿勢
から横臥姿勢に切り換えられる。このループコンベヤ2
2による炉体出口分岐21bから炉体入口分岐21aへ
の搬送装置31の移動は高速でかつ保温ケーシング15
により保温されて予備加熱温度T1に予備加熱されたワ
ークWbの温度低下が有効的に抑制される。
【0047】そして、炉体入口分岐21bで電着ライン
コンベヤ3から搬入される搬送装置31とループコンベ
ヤ22の在席状況が確認されてループコンベヤ22から
炉体コンベヤ21に環流され、再び炉体コンベヤ21に
よって炉体入口11から炉体10内に搬入され、炉体1
0内を移動して炉体出口12側に搬出される。ここで、
このワークWbの温度は炉体10によって既に予備加熱
温度T1まで予備加温され、保温ケーシング15によっ
て保温されて所定の温度に維持されていることから、図
4に示しようにワークWbが炉体10内を炉体入口11
から炉体出口12に搬送される間に速やかに焼付け温度
Tにまで上昇し、かつ所定の焼付け時間BTを満たし焼
付不完全のない高品質焼付けが得られる。
【0048】この焼付けが完了したワークWbを搭載し
た搬送装置31のストライカー33は横臥姿勢であり、
炉体出口分岐21bにおいて光電スイッチ34により検
出されることなく、光電スイッチ34の出力がLレベル
に維持されて炉体コンベヤ21により次の工程に搬出さ
れる。
【0049】ここで、炉体コンベヤ21の搬送速度は、
電着ラインコンベヤ3の搬送速度より大きく設定し、ル
ープコンベヤ22から炉体コンベヤ21に移載するに要
する間隙を設定する必要がある。しかし、生産ラインの
ピッチタイムに基づいて炉体コンベヤ21及び電着ライ
ンコンベヤ3の速度を設定することによって生産量の低
下は回避される。
【0050】この熱容量の異なるワークWaとWbの混
流生産にあたり、電着ラインコンベヤ3の搬送速度及び
炉体コンベヤ21の搬送速度の設定は、ワークWaとワ
ークWbの生産比率に応じて設定することで稼働効率が
確保できる。
【0051】ここで、この電着ラインコンベヤ3及び炉
体コンベヤ21の各搬送速度の設定は、電着ラインコン
ベヤ3に搬入されるワークWa及びWbと、炉体コンベ
ヤ21によって次の工程に搬出されるワークWa及びW
bが連動するように制御する。即ち電着ラインコンベヤ
3に1つのワークが搬入された時に、炉体コンベヤ21
によって1つのワークが搬出するように制御する。
【0052】このときの電着ラインコンベヤ3の搬送速
度をX、炉体コンベヤ21の搬送速度をYとし、ワーク
WaとワークWbの生産比率を各々a%、b%とすると
次式のようになる。
【0053】Y=(b/(a+b))/X (ここでa
+b=100%とする)
【0054】この電着ラインコンベヤ3の搬送速度と炉
体コンベヤ21の搬送速度の相対関係を塗装用焼付炉1
の仕様設定時に考慮することにより本実施の形態を効率
的に作動させることができる。この際、炉体コンベヤ2
1の搬送速度に基づいて炉体10の熱発生装置や送風装
置等の加熱手段の設定は、ワークWaを炉体入口11か
ら炉体出口12に搬送する間に所定の焼付け条件が得ら
れるように設定調整する。
【0055】換言すると、電着ラインコンベヤ3の搬送
速度Xと、電着ラインコンベヤ2からのワークWa、W
bに加えループコンベヤ22から環流されるワークWb
を搬送する炉体コンベヤ21の搬送速度Yを上記のよう
に設定することによって、電着ラインコンベヤ3から搬
入されるワークWa、Wbと、炉体コンベヤ21から次
の工程に搬出されるワークWa、Wbの均衡が得られ、
熱容量の小さなワークWaと熱容量の大ききワークWb
の混流生産が効率的に達成できる。
【0056】このように構成された実施の形態による
と、炉体10と、炉体10の炉体入口11側から炉体出
口12側に亘って配設された炉体コンベヤ21と、炉体
出口12よりの下流側の炉体出口分岐21aで炉体コン
ベヤ21から分岐し炉体入口11より上流側の炉体入口
分岐21bで再び炉体コンベヤ21に環流するループコ
ンベヤ22を備え、熱容量の小さなワークWaにあって
は、ワークWaを炉体コンベヤ21により炉体10内を
一度の搬送によってワークWaに焼付け処理する一方、
熱容量の大きなワークWbは炉体コンベヤ21によって
炉体10内を搬送して予め予備加熱温度まで温度を上昇
させ、再びループコンベヤ22によって炉体出口分岐2
1bから炉体入口分岐21bに戻し、炉体コンベヤ21
によって炉体10内を搬送して焼入れすることによっ
て、熱容量の異なるワークWaとワークWbの各焼付け
条件が確保され、混流生産による焼付け処理が可能にな
り、生産性効率の向上が得られてランニングコストの低
減が期待できる。
【0057】また、既存の炉体10にループコンベヤ2
2等を追加的に配設する比較的簡単な変更によって塗装
用焼付炉1が構成され、かつループコンベヤ22を炉体
10に沿って略平行に配設されて塗装用焼付炉1の占有
設置スペースの増大が抑制されることと相俟って設備コ
ストを抑制することができる。更に、炉体10の熱負荷
が抑制された炉体10の使用が可能であり、熱負荷の増
大が回避されて二酸化炭素量の排出量を抑制することが
できる。
【0058】なお、本発明は上記実施の形態に限定され
ることなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可
能である。例えば、上記実施の形態では、熱容量が小さ
いワークWaを搭載する搬送装置31にも可倒式ストラ
イカー33を配設したが、予めワークWa専用の搬送装
置31を使用する際には、ストライカー33の配設を省
略することができる。また、上記実施の形態では熱容量
の大きなワークWbを炉体10によって予備加熱温度ま
で上昇させ、ループコンベヤ22によって炉体10の上
流側に戻して再度炉体10を通過させて焼付け処理をし
たが、更に熱容量の大きなワークに対しては炉体10内
を複数回環流されてワークの温度を上昇させて焼付け処
理を施すことも可能である。この場合、搬路制御手段3
2を適宜変更することによって容易に対処できる。
【0059】また、鋼板の板厚の相違によって熱容量が
異なるワークWa及びWbを焼付け処理する場合を例に
説明したが、形状等によって熱容量の異なるワークの焼
付け処理を施すことも可能であり、更に、搬路制御手段
32を適宜変更することによって熱容量の異なる3種類
以上のワークの焼付け処理を混流生産によって行うこと
もできる。
【0060】
【発明の効果】以上説明した塗装用焼付炉によると、電
着工程で塗着されたワークを上記炉体内を炉体入口の上
流側から炉体出口の下流側に搬送する炉体コンベヤから
炉体出口分岐で分岐し、炉体入口分岐で再び炉体コンベ
ヤに環流するループコンベヤとを備え、熱容量の小さな
ワークにあっては炉体コンベヤにより炉体内を一度の搬
送によってワークに焼付け処理を施す一方、熱容量の大
きなワークは炉体コンベヤによって炉体内を搬送して予
め予備加熱した後、再びループコンベヤによって炉体コ
ンベヤに戻して、炉体コンベヤによって炉体内を搬送し
て焼付けことによって、熱容量の異なるワークの混流生
産による焼付け処理が可能になり、生産性効率の向上が
得られてランニングコストが低減できる。また、既存の
炉体にループコンベヤ等を追加的に配設する比較的簡単
な変更によって塗装用焼付炉が構成され、かつ設備コス
トを抑制することができる。更に、炉体の熱負荷が抑制
された炉体の使用が可能であり、二酸化炭素量の排出量
を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による塗装用焼付炉の実施の形態の概要
を示す概略説明図である。
【図2】同じく、搬路制御手段の説明図である。
【図3】同じく、塗装用焼付炉におけるワークの温度特
性を説明する図である。
【図4】同じく、塗装用焼付炉におけるワークの温度特
性を説明する図である。
【図5】電着塗装における塗料の焼付け可能範囲を説明
する時間と温度の相関図である。
【図6】従来の塗装用焼付炉の概略説明図である。
【図7】塗装用焼付炉の参考図である。
【図8】塗装用焼付炉の参考図である。
【符号の説明】
1 塗装用焼付炉 3 電着ラインコンベヤ 10 炉体 11 炉体入口 12 炉体出口 15 保温ケーシング 21 炉体コンベヤ 21a 炉体出口分岐 21b 炉体入口分岐 22 ループコンベヤ 31 搬送装置 32 搬路制御手段 33 ストライカー(焼付け回数表示手段) 34 光電スイッチ(判断手段) 35 搬送路切換手段 Wa ワーク(熱容量が小さなワーク) Wb ワーク(熱容量が大きなワーク) T 焼付け温度 BT 焼付け時間 T1 予備加温温度

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電着工程で塗着された熱容量の異なるワ
    ークを焼付け処理する塗装用焼付炉において、 炉体と、 電着工程で塗着されたワークを炉体入口の上流側から炉
    体出口の下流側に上記炉体内を搬送する炉体コンベヤ
    と、 上記炉体出口の下流側に位置する炉体出口分岐で上記炉
    体コンベヤから分岐して炉体入口の上流側に位置する炉
    体入口分岐で再び炉体コンベヤに環流するループコンベ
    ヤとを備え、 熱容量の少ないワークは炉体コンベヤで炉体内を搬送し
    て焼付け処理する一方、熱容量の大きいワークは炉体コ
    ンベヤによって炉体内を搬送して予備加熱した後炉体出
    口分岐からループコンベヤによって炉体入口分岐に搬送
    すると共に、再び炉体コンベヤに移載して上記炉体で焼
    付け処理することを特徴とする塗装用焼付炉。
  2. 【請求項2】 上記ループコンベヤは、上記炉体に沿っ
    て略平行配置されたことを特徴とする請求項1に記載の
    塗装用焼付炉。
  3. 【請求項3】 上記ループコンベヤは、保温ケーシング
    の内部に配置されたことを特徴とする請求項1または2
    に記載の塗装用焼付炉。
  4. 【請求項4】 更に、ワークの炉体内を搬送する回数を
    表示する焼付け回数表示手段と、該焼付け回数表示手段
    の表示を検知する判断手段と、該判断手段の検知に基づ
    いてワークの搬路を炉体コンベヤ或いはループコンベヤ
    に切り換える搬路切換手段とを有する搬路制御手段を備
    えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    塗装用焼付炉。
  5. 【請求項5】 上記各ワークは各々搬送装置に各々搭載
    されて上記炉体コンベヤ及びループコンベヤによって搬
    送され、 上記焼付け回数表示手段は、上記搬送装置に配設されて
    起立姿勢と横臥姿勢に回動可能な可倒式ストライカー
    で、 上記判断手段は、上記ストライカーの起立姿勢或いは横
    臥姿勢を検知する光電スイッチであり、 上記光電スイッチの出力に基づいて上記搬路切換手段に
    より上記搬路切換を制御することを特徴とする請求項4
    に記載の塗装用焼付炉。
  6. 【請求項6】 上記炉体コンベヤは、上記電着工程でワ
    ークを搬送する電着ラインコンベヤからワークが移載さ
    れ、上記電着ラインコンベヤの搬送速度をX、炉体コン
    ベヤの搬送速度をY、熱容量の大きなワークと熱容量の
    小さいワークの生産比率を各々a%及びb%とすると次
    式、 Y=(b/(a+b))/X (ただし、a+b=1
    00%) に設定されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    に記載の塗装用焼付炉。
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