JP2003142253A - 有機エレクトロルミネッセンス装置及びその製造方法並びに電子機器 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置及びその製造方法並びに電子機器

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JP2003142253A
JP2003142253A JP2001338041A JP2001338041A JP2003142253A JP 2003142253 A JP2003142253 A JP 2003142253A JP 2001338041 A JP2001338041 A JP 2001338041A JP 2001338041 A JP2001338041 A JP 2001338041A JP 2003142253 A JP2003142253 A JP 2003142253A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ベタ封止された有機ELパネルの劣化を長期間
防止する。 【解決手段】有機EL素子をなす積層体11が形成され
ているガラス基板1上の、基板面内の全周縁部に、カル
シウム(Ca)からなる部材7を形成する。積層体11
の反基板側の面に合成樹脂からなる封止層8を形成す
る。この封止層8は部材7より外側まで形成する。封止
層8の反基板側の面にガラス板9を固定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機エレクトロル
ミネッセンス(以下「EL」と略称する。)装置および
その製造方法並びに電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の有機EL装置は、一対の電極間に
有機発光層(有機材料からなる発光層)を有する積層体
からなる有機EL素子が、ガラス基板等の基板上に形成
されたものである。この有機ELパネルの封止方法とし
ては、凹部を有する金属製等の封止部材でパネルの積
層体を覆い、この封止部材の周縁部と基板とを接着剤で
固定する方法と、積層体の上にエポキシ系の接着剤を
塗布し、その上にガラス板を載せた後、接着剤を硬化さ
せ、その接着剤を封止層として設ける方法と、が挙げら
れる。
【0003】一方、有機EL素子の構造としては、例え
ば、基板がガラス基板等の透明基板であり、基板側の電
極層が透明であり、封止部材が不透明なものが挙げられ
る。この場合には、有機EL素子による発光は基板側に
得られる。また、有機EL素子の構造として、基板側の
電極が不透明であり、封止部材側の電極層が透明である
ものもある。この場合に、有機EL素子による発光は封
止基板側に得られる。さらに、有機EL素子の構造の別
の例としては、基板がガラス基板等の透明基板であり、
両電極層が透明なものが挙げられる。この場合には、有
機EL素子による発光は基板側及び封止部材側に得られ
る。
【0004】ここで、有機EL装置を構成する有機EL
素子は、水分や酸素により劣化することが知られてい
る。上記のの方法においては、凹部内の有機EL素子
に対応する領域にシリカゲル等の乾燥剤を配置し、有機
EL素子に水分が付着するのを防止していた。また、
の方法においては、有機EL素子を接着剤が覆い封止層
の役割を果たしているので、特に乾燥剤等を設けていな
かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たの方法では、乾燥剤が有機EL素子に対応する位置
に設けられた封止方法は、発光した光が乾燥剤で遮られ
てしまうため、封止基板側から光を取り出す構成や、基
板側、封止基板側の両方に光を取り出す構成には、適用
できなかった。また、の方法では、接着剤における外
気と接する部分(端部)から徐々に酸素や水分が入り込
むため、有機EL素子の酸素や水分による劣化を長期間
防止することはできなかった。本発明は、このような従
来技術の問題点に着目してなされたものであり、封止基
板側から光を取り出す場合であっても、有機EL素子の
水分や酸素による劣化をより確実に、長期間防止するこ
とを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に、少
なくとも第1電極と、発光層と、第2電極と、をこの順
に有する有機エレクトロルミネッセンス装置であって、
前記基板の前記第1電極が形成された面の周縁部に、脱
水剤および/または脱酸素剤を配置してなる有機EL装
置を提供する。なお、基板面の周縁部とは、少なくとも
有機ELパネルの使用領域(有機ELパネルが表示体の
場合は表示領域、光源の場合は光源として使用する領
域)より外側となる領域であって、基板の端部または端
部に近い部分を示す。また、前記封止層を有する構造で
は、例えば封止層の端面位置から数mm以上内側であっ
て前記使用領域より外側となる位置を示す。
【0007】この有機EL装置において、前記脱水剤お
よび/または脱酸素剤は、前記第1電極が形成された領
域の外側に、配置されていてもよい。
【0008】この有機EL装置において、前記第2電極
上に、樹脂からなる封止層と、封止部材とを有してな
り、前記基板と前記封止部材とが、前記封止層を挟持し
ていてもよい。
【0009】前記第2電極及び前記封止部材は透明な材
料からなり、前記発光層から発光された光は前記封止部
材側から出射されてもよい。なお、ここで第2電極は陽
極でも、陰極でもよい。透明な陽極層としては、例え
ば、ITO(In23 −SnO2 )、IDIXO(I
23 −ZnO)が挙げられる。透明な陰極層として
は、例えば、マグネシウム(Mg)と銀(Ag)を共
蒸着して得られた薄膜、リチウム(Li)とアルミニ
ウム(Al)共蒸着して得られた薄膜、仕事関数が小
さい材料からなる第一陰極層(発光層側)と、この層よ
り仕事関数の大きい第二陰極層とからなる二層構造の薄
膜であって、合計厚さが例えば140Å以下のものが挙
げられる。第一陰極層の材料としては、例えばカルシウ
ム(Ca)またはマグネシウム(Mg)を、第二陰極層
の材料としては、例えばアルミニウム(Al)、銀(A
g)、金(Au)、ITO、IDIXOを用いることが
できる。
【0010】この有機EL装置において、前記脱水剤お
よび/または脱酸素剤は、前記第2電極よりも外側に配
置されていてもよい。
【0011】この有機EL装置において、前記脱水剤お
よび/または脱酸素剤は、前記第2電極の一部と接する
ように配置されていてもよい。
【0012】この有機EL装置において、前記脱水剤お
よび/または脱酸素剤は、環状に形成されていてもよ
い。
【0013】この有機EL装置において、前記第2電極
は、前記前記脱水剤および/または脱酸素剤と同一材料
からなる層を含んでもよい。
【0014】本発明の有機EL装置の製造方法は、基板
上に、第1電極を形成する工程と、前記第1電極の上方
に発光層を形成する工程と、前記発光層の上方に第2電
極を形成する工程と、前記基板の前記第1電極が形成さ
れた面の周縁部に、脱水剤および/または脱酸素剤を形
成する工程と、を含む。
【0015】この有機EL装置の製造方法において、前
記脱水剤および/または脱酸素剤は、前記第1電極が形
成された領域の外側に、形成してもよい。この有機EL
装置の製造方法において、前記脱水剤および/または脱
酸素剤を、前記第2電極よりも外側に形成してもよい。
この有機EL装置の製造方法において、前記脱水剤およ
び/または脱酸素剤を、前記第2電極の一部と接するよ
うに形成してもよい。本発明は、基板上に、少なくとも
第1電極と、発光層と、第2電極と、をこの順に有する
有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた電子機器で
あって、前記有機エレクトロルミネッセンス装置は、前
記第1電極が形成された面の周縁部に、脱水剤および/
または脱酸素剤を配置してなる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。図1〜3を用いて本発明の有機ELパネル
(有機EL装置)の第1実施形態について説明する。図
1は、この有機ELパネルの構造を示す図であって、図
3のA−A線断面に対応させた断面図である。図2は、
この有機ELパネルの製造方法の各工程を示す断面図で
ある。図3は、この有機ELパネルの製造過程の一状態
を示す平面図であって、図2(a)の状態を示す。
【0017】この実施形態の有機ELパネルは、有機E
L素子からなる発光部として、デジタル数字を構成する
7個のエレメントを備えている。この有機ELパネル
は、必要に応じていずれかのエレメントを発光させるこ
とにより、デジタル数字等を表示する表示体である。ま
た、図3の符号12より内側の範囲がこの有機ELパネ
ルの表示領域に相当する。
【0018】図1および図3に示すように、この実施形
態の有機ELパネルは、透明なガラス基板1と、前記7
個のエレメントに対応する透明な陽極(陽極層)2a〜
2gと、各陽極2a〜2g用の配線3a〜3gと、透明
な陰極層4と、陰極用の端子40と、正孔輸送層5と、
有機発光層6と、カルシウム(Ca)からなる部材7
と、封止層8と、ガラス板(保護用の板材)9とで構成
されている。
【0019】すなわち、この有機ELパネルは透過型の
有機ELパネルであり、有機EL素子をなす積層体(陽
極層2a〜2gと陰極層4との間に正孔輸送層5および
有機発光層6を有する積層体)11がガラス基板1上に
形成され、積層体11の反基板側(基板とは反対側)の
面に合成樹脂からなる封止層8が形成され、封止層8の
反基板側の面にガラス板(保護用の板材)9が固定さ
れ、封止層8内の基板面内の周縁部にカルシウム(C
a)からなる部材7が、積層体11を取り囲むように環
状に形成されている。脱水および/または脱酸素の機能
を有する部材が環状に形成されることによって、外気と
接する部分から侵入する水や酸素を、場所によらず均一
にブロックし、積層体11に悪影響を与えないようにす
ることができる。なお、ここで用いた封止層8は、ガラ
ス基板1とガラス板9とを接着する機能も有している。
【0020】陰極用の端子40は、図3に示すように、
基板面内の周縁部の一箇所に、基板面の端部まで達する
ように、所定幅の帯状に形成されている。また、同図に
示すように、各配線3a〜3gの一端は各陽極2a〜2
gに接続され、全配線3a〜3gの他端は、基板面内の
周縁部の陰極用端子40と並ぶ位置にまとめて、一定間
隔で平行に配置されている。この配線3a〜3gの基板
面内の周縁部(他端部)を、各陽極2a〜2g用の端子
としている。
【0021】図3では、各陽極2a〜2g用の端子をま
とめて符号30で表示している。また、図1および図2
では配線3a〜3gの表示が省略されている。この有機
ELパネルは、各端子30,40が形成されている端部
を残して、ガラス基板1の全面が封止層8およびガラス
板9で覆われている。この有機ELパネルは、この露出
させた陽極用の端子30と陰極用の端子40との間に駆
動回路からの配線を接続して使用される。
【0022】ガラス基板1は厚さ0.7mmのソーダガ
ラスからなる。各陽極2a〜2g、各配線3a〜3g、
および陰極用の端子40は、厚さ150nmのITO
(In 23−SnO2 )薄膜からなる。透明な陰極層
4は、マグネシウムと銀との合金薄膜からなる。この陰
極層4は、図3の二点鎖線41で囲われた範囲(表示領
域12を含む範囲)内に形成されている。
【0023】正孔輸送層5は、厚さ50nmのN,N’
−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ビフ
ェニル−4,4’−ジアミン薄膜からなる。有機発光層
6は、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム
錯体からなる厚さ50nmの薄膜である。正孔輸送層5
および有機発光層6は、全陽極2a〜2gを含む中央部
分に形成されている。封止層8は厚さ30μmのエポキ
シ樹脂(合成樹脂)からなる。ガラス板9は厚さ0.1
mmのソーダガラスからなる。
【0024】カルシウム(Ca)からなる部材7は、封
止層8内の基板面内の全周縁部に渡って連続的に、図3
の二点鎖線71,72で囲われた範囲内に形成されてい
る。すなわち、陰極層4の外側(表示領域12の外側)
に、例えば、封止層8の端部から5mmの位置に幅1m
m、厚さ500nmで配置されている。この有機ELパ
ネルは、例えば以下のようにして形成することができ
る。
【0025】先ず、透明なガラス基板1上に、ITO
(In23−SnO2 )薄膜をスパッタリング法によ
り形成し、この薄膜に対してフォトリソグラフィとエッ
チングを行うことにより、基板面内に、陽極(陽極層)
2a〜2gと、各陽極2a〜2g用の配線3a〜3g
と、陰極用の端子40とを形成する。図2(a)および
図3はこの状態を示す。
【0026】次に、このガラス基板1上の、全陽極2a
〜2gを含む中央部分にのみ、真空蒸着法により正孔輸
送層5を形成する。図2(b)はこの状態を示す。次
に、正孔輸送層5の上面全体にのみ、真空蒸着法により
有機発光層6を形成する。図2(c)はこの状態を示
す。なお、有機発光層等の有機層を高分子材料を用いて
形成する場合には、インクジェット法を用いることが好
ましい。
【0027】次に、このガラス基板1上に、有機発光層
6の上面全体と陰極用の端子40の一部を覆う範囲(図
3の二点鎖線41で囲われた範囲)で、陰極層4とし
て、マグネシウムと銀との合金からなる薄膜を真空共蒸
着法により形成する。これにより、ガラス基板1上に透
過型の有機EL素子をなす積層体11が形成される。図
2(d)はこの状態を示す。
【0028】次に、このガラス基板1上の、陰極層4の
外側となる前述の位置(図3の二点鎖線71,72で囲
われた範囲内)に、部材7としてカルシウム薄膜を、マ
スクを用いた真空蒸着法により形成する。図2(e)は
この状態を示す。有機発光層をはじめとする有機層を高
分子材料で形成した場合、陰極にはカルシウム(例えば
Ca/Au積層膜)を用いることが好ましく、その場
合、この部材7の形成は、陰極層4をなすカルシウム薄
膜の形成と同時に行っても良い。この場合、部材7のカ
ルシウム薄膜は陰極層4のカルシウム薄膜よりも厚く形
成するため、先ず、部材7および陰極層4に対応させた
マスクを用いて成膜を開始し、陰極層4のカルシウム薄
膜の厚さ分の成膜時間が経過した時点でマスクを部材7
用に変え、さらに部材7のカルシウム薄膜の形成を行
う。
【0029】次に、このガラス基板1上の、各端子3
0,40が形成されている端部を除いた範囲(図3の二
点鎖線81で囲われた範囲)に、エポキシ樹脂系の接着
剤を塗布し、その上にガラス板9を載せた状態でこの接
着剤を硬化させる。この工程は、不活性ガス雰囲気下で
行う。また、カルシウムからなる部材7の形成後、エポ
キシ樹脂系接着剤の塗布までの間に、この基板を空気に
触れないようにする必要がある。
【0030】これにより、このガラス基板1上の前記範
囲内に封止層8が形成され、その上にガラス板9が固定
され、各端子30,40の端部が基板面に露出する。図
2(f)はこの状態を示す。この有機ELパネルでは、
封止層8の端面から封止層8内に入った酸素および水分
が部材7に至ると、部材7をなすカルシウムとの化学反
応により、酸素および水は水酸化カルシウムおよび酸化
カルシウムに変化する。すなわち、この部材7は脱酸素
剤且つ脱水剤として作用する。したがって、この有機E
Lパネルによれば、この部材7がないものと比較して、
封止層8内の積層体11(特に陰極層4)が酸素および
水分によって劣化し難くなる。なお、ここでは、脱酸素
剤、脱水剤としてカルシウムを用いたが、水および酸素
と反応して水酸化物および酸化物を生成する材料からな
る部材などの同様の機能を果たすものであれば、これに
限らない。例えば、アルカリ土類金属(Be、Mg、C
a、Sr、Ba等)またはアルカリ金属(Li、Na、
K、Rb、Cs等)が挙げられる。アルカリ土類金属ま
たはアルカリ金属からなる部材を基板上に形成する方法
としては、真空蒸着法、スパッタリング法、またはCV
D法等が挙げられる。または、水や酸素分子を物理的に
取り込む、または吸着させる材料でもよい。例えば、ゼ
オライト構造をとるモレキュラーシーブや、シリカゲル
などがあげられる。なお、この有機ELパネルを腕時計
等の文字盤の上に配置することにより、文字盤による時
刻のアナログ表示と、有機ELパネルによるデジタル数
字等の表示の両方を同じ面内で行うことができる。
【0031】図4〜6は本発明の有機ELパネルの第2
実施形態を示す図である。図4は、この有機ELパネル
の構造を示す図であって、図6のA−A線断面に対応さ
せた断面図である。図5は、この有機ELパネルの製造
方法の各工程を示す断面図である。図6は、この有機E
Lパネルの製造過程の一状態を示す平面図であって、図
5(a)の状態を示す。
【0032】前述の第1実施形態では、カルシウムから
なる部材7を基板面内の陰極層4の外側に設けて、部材
7と陰極層4との間に封止層8を存在させているが、第
2実施形態では、カルシウムからなる部材7を陰極層4
の端面と周縁部の上面に接触するように、図6の二点鎖
線71,72で囲われた範囲内に設けてある。すなわ
ち、第2実施形態では、部材7と陰極層4との間に封止
層8が存在しない構成となっている。これ以外の点にお
いて、第2実施形態の有機ELパネルの構成は第1実施
形態と同じである。
【0033】また、この有機ELパネルの製造方法の各
工程も第1実施形態とほぼ同じ方法であり、図5の工程
図は、図5(e)のみが図2(e)と異なる図になって
いる。このカルシウムからなる部材7の形成工程は、例
えばマスクを用いた真空蒸着法により行う。図7〜9は
本発明の有機ELパネルの第3実施形態を示す図であ
る。図7は、この有機ELパネルの構造を示す図であっ
て、図9のA−A線断面に対応させた断面図である。図
8は、この有機ELパネルの製造方法の各工程を示す断
面図である。図9は、この有機ELパネルの製造過程の
一状態を示す平面図であって、図8(a)の状態を示
す。
【0034】この第3実施形態では、カルシウムからな
る部材7の基板側の面以外の面が陰極層4で覆われてい
る。すなわち、部材7が図9の二点鎖線71,72で囲
われた範囲内に設けてあり、部材7の基板面内での外側
の線を示す二点鎖線72よりもさらに外側まで陰極層4
が形成されている。また、部材7と陰極層4との間に封
止層8が存在しない構成となっている。これ以外の点に
おいて、第3実施形態の有機ELパネルの構成は第1実
施形態と同じである。
【0035】第3実施形態の有機ELパネルの製造方法
の各工程は、図8(d)および(e)の工程が図2
(d)および(e)の工程と異なるが、これ以外の工程
は第1実施形態と同じである。すなわち、この実施形態
では、有機発光層6の形成後に図8(d)に示す部材7
の形成工程を行い、その後に図8(e)に示す陰極層4
の形成工程を行う。部材7および陰極層4の形成方法は
第1実施形態と同じ方法で行うことができる。
【0036】図10は本発明の有機ELパネルの第4実
施形態を示す断面図である。この実施形態の有機ELパ
ネルは、カルシウムからなる部材7を陰極層4の周縁部
の上面に接触し、陰極層4の端面には接触しないよう
に、図6の二点鎖線71,41で囲われた範囲内に設け
てある。これ以外の点において、第4実施形態の有機E
Lパネルの構成は第2実施形態と同じである。
【0037】第2〜第4実施形態の有機ELパネルの場
合も、第1実施形態の有機ELパネルと同様に、封止層
8の端面から封止層8内に入った酸素および水分が部材
7に至ると、部材7をなすカルシウムとの化学反応によ
り、酸素および水は水酸化カルシウムおよび酸化カルシ
ウムに変化する。したがって、これらの有機ELパネル
によれば、部材7がないものと比較して、封止層8内の
積層体11(特に陰極層4)が酸素および水分によって
劣化し難くなる。
【0038】また、第2〜第4実施形態の有機ELパネ
ルは、第1実施形態の有機ELパネルと異なり、カルシ
ウムからなる部材7が陰極層4に接触しているため、部
材7が補助陰極として作用する。これにより、電圧印加
時に、陰極面内の端子に近い位置と端子から遠い位置と
で電位差が生じることが防止され、陰極層の面内での電
圧が均一になる効果も有する。
【0039】第1および第2実施形態の有機ELパネル
は、陰極層4の端面より外側に部材7が配置されている
ために、第3および第4実施形態の有機ELパネルより
も、積層体11の酸素および水分による劣化防止効果が
高い。なお、前記各実施形態では、基板面内の全周縁部
に連続的に部材7を形成しているが、周縁部の一部に形
成されていない部分があってもよい。ただし、全周縁部
に形成されている方が脱酸素/脱水性能が高い。また、
全周縁部に連続的でない状態で形成されていてもよい。
また、部材7の大きさ(断面積)が大きい程脱酸素/脱
水性能は高くなる。そのため、部材7の大きさ(断面の
幅や厚さ)を要求される脱酸素/脱水性能に応じて適宜
設定する。
【0040】また、前記各実施形態の有機ELパネルは
透過型の有機ELパネルであるが、本発明は、基板と基
板側の電極層である陽極層とが透明で、基板とは反対側
の電極層である陰極層が不透明な構造であって、発光が
基板側に得られるタイプの有機ELパネルにも好適に適
用できる。本発明が適用されたこのタイプの有機ELパ
ネルとしては、例えば以下の〜が挙げられる。
【0041】陰極層4として不透明な金属薄膜(例え
ばカルシウム薄膜10nmとアルミニウム薄膜400n
mの積層膜)を設けた以外は第1〜第4実施形態と同じ
有機ELパネル。陰極層4として不透明な金属薄膜を
備えた積層体11を設け、カルシウム等からなる部材7
を第1〜第4実施形態と同様に設け、封止層8およびガ
ラス板9を設けず、積層体11の上側に閉空間が形成さ
れ且つこの閉空間に部材7が内部に入るように、金属製
または曇りガラス製の容器で基板上が覆われている有機
ELパネル。
【0042】陰極層4として不透明な金属薄膜を備え
た積層体11を設け、カルシウム等からなる部材7を第
1〜第4実施形態と同様に設け、封止層8を設けるがガ
ラス板9は設けず、積層体11の上側に閉空間が形成さ
れ且つこの閉空間に部材7が内部に入るように、金属製
または曇りガラス製の容器で基板上が覆われている有機
ELパネル。
【0043】また、本発明は、図11に示すようなトッ
プエミッション型の有機ELパネルにも適用できる。こ
の有機ELパネルは、駆動方式がアクティブマトリック
ス方式である有機EL素子を画素として備えた表示装置
パネルであるため、各画素用のTFT (Thin Fi
lm Transistor) 15が基板1上に形成さ
れている。各画素毎に、不透明な陽極層2をTFT15
と接続させて形成し、その上に正孔輸送層5、発光層
6、透明な陰極層4を順次形成する。なお、この例では
補助陰極45も形成されている。
【0044】この有機ELパネルは、基板1とは反対側
(つまり、陰極層4側)に発光を得る。そのため、この
有機ELパネルでは、基板1として、シリコンウエハ等
の半導体基板や反射性を有する基板等を用いることがで
きる。また、基板1上のTFT15の上を発光画素領域
とすることができる。その結果、この有機ELパネルで
は、開口率を70%程度まで高くすることができる。こ
れに対して、基板側に発光が得られる従来構造(基板が
透明であり、基板側の電極層が透明であり、基板とは反
対側の電極層が不透明である構造)の有機ELパネルで
は、基板上のTFTの上を発光画素領域とすることがで
きないため、開口率は30%程度であった。したがっ
て、トップエミッション型の有機ELパネルとすること
によって、従来構造の有機ELパネルより輝度を高くす
る、あるいは消費電力を減らすことが可能となる。
【0045】さらに、本発明の有機ELパネルは、例え
ば、モバイル型のパーソナルコンピュータ、携帯電話、
ディジタルスチルカメラ等の各種電子機器に適用するこ
とができる。図12はモバイル型のパーソナルコンピュ
ータの構成を示す斜視図である。図12において、パー
ソナルコンピュータ100は、キーボード102を備え
た本体部104と、本発明の有機EL装置からなる表示
ユニット106とから構成されている。
【0046】図13は、携帯電話の斜視図である。図1
3において、携帯電話200は、複数の操作ボタン20
2の他、受話口204、送話口206と共に、本発明の
有機EL装置からなる表示パネル208を備えている。
図14は、ディジタルスチルカメラ300の構成を示す
斜視図である。なお、外部機器との接続についても簡易
的に示している。通常のカメラは、被写体の光像によっ
てフィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメ
ラ300は、被写体の光像をCCD(Charge coupled d
evice)等の撮像素子により光電変換して撮像信号を生成
するものである。
【0047】ここで、ディジタルスチルカメラ300に
おけるケース302の背面には、本発明の有機EL装置
からなる表示パネル304が設けられ、CCDによる撮
像信号に基づいて、表示を行う構成となっている。この
ため、表示パネル304は、被写体を表示するファイダ
として機能する。また、302の観察側(図においては
裏面側)には、光学レンズやCCD等を含んだ受光ユニ
ット306が設けられている。
【0048】ここで、撮影者が表示パネル304に表示
された被写体像を確認して、シャッタボタン308を押
下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路
基板310のメモリに転送されて格納される。また、こ
のディジタルスチルカメラ300にあっては、ケース3
02の側面にビデオ信号出力端子312と、データ通信
用の入出力端子314とが設けられている。
【0049】そして、図示されているように、ビデオ信
号出力端子312にはテレビモニタ430が、データ通
信用の入出力端子314にはパーソナルコンピュータ4
40が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所
定の操作によって、回路基板310のメモリに格納され
た撮像信号が、テレビモニタ430やパーソナルコンピ
ュータ440に出力される構成となっている。
【0050】なお、本発明の有機EL装置を表示部等と
して適用できる電子機器としては、図12のパーソナル
コンピュータ、図13の携帯電話、および図14のディ
ジタルスチルカメラの他にも、テレビ、ビューファイン
ダ型またはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カー
ナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワー
ドプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、PO
S端末、およびタッチパネルを備えた機器等を挙げるこ
とができる。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の有機EL
装置によれば、陽極層と陰極層との間に有機発光層を有
する積層体からなる有機EL素子が、基板上に形成され
ている有機EL装置において、積層体の劣化を長期間防
止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に相当する有機ELパネ
ルの構造を示す図であって、図3のA−A線断面に対応
させた断面図である。
【図2】図1の有機ELパネルの製造方法の各工程を示
す断面図である。
【図3】図1の有機ELパネルの製造過程の一状態を示
す平面図であって、図2(a)の状態を示す。
【図4】本発明の第2実施形態に相当する有機ELパネ
ルの構造を示す図であって、図6のA−A線断面に対応
させた断面図である。
【図5】図4の有機ELパネルの製造方法の各工程を示
す断面図である。
【図6】図4の有機ELパネルの製造過程の一状態を示
す平面図であって、図5(a)の状態を示す。
【図7】本発明の第3実施形態に相当する有機ELパネ
ルの構造を示す図であって、図9のA−A線断面に対応
させた断面図である。
【図8】図7の有機ELパネルの製造方法の各工程を示
す断面図である。
【図9】図7の有機ELパネルの製造過程の一状態を示
す平面図であって、図8(a)の状態を示す。
【図10】本発明の第4実施形態に相当する有機ELパ
ネルの構造を示す図であって、図6のA−A線断面に対
応させた断面図である。
【図11】トップエミッション型有機ELパネルの構造
を示す断面図である。
【図12】本発明の有機ELパネルを適用した電子機器
の一例に相当するパーソナルコンピュータの構成を示す
斜視図である。
【図13】本発明の有機ELパネルを適用した電子機器
の一例に相当する携帯電話の構成を示す斜視図である。
【図14】本発明の有機ELパネルを適用した電子機器
の一例に相当するディジタルスチルカメラの背面側の構
成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2a〜2g 陽極(陽極層) 3a〜3g 陽極用の配線 4 陰極層 30 陽極端子 40 陰極端子 41 陰極層の形成範囲を示す線 45 補助陰極 5 正孔輸送層 6 有機発光層 7 カルシウムからなる部材 71 部材7の形成範囲を示す線 72 部材7の形成範囲を示す線 8 エポキシ樹脂からなる封止材 81 封止層の形成範囲を示す線 9 保護用のガラス板(板材) 11 積層体 12 表示領域 15 TFT 100 パーソナルコンピュータ 102 キーボード 104 本体部 106 表示ユニット 200 携帯電話 202 操作ボタン 204 受話口 206 送話口 208 表示パネル 300 ディジタルスチルカメラ 302 ケース 304 表示パネル 308 シャッタボタン 310 回路基板 312 ビデオ信号出力端子 314 データ通信用の入出力端子 430 テレビモニタ 440 パーソナルコンピュータ

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、少なくとも第1電極と、発光層
    と、第2電極と、をこの順に有する有機エレクトロルミ
    ネッセンス装置であって、 前記基板の前記第1電極が形成された面の周縁部に、脱
    水剤および/または脱酸素剤を配置してなる有機エレク
    トロルミネッセンス装置。
  2. 【請求項2】前記脱水剤および/または脱酸素剤は、前
    記第1電極が形成された領域の外側に、配置されてなる
    請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  3. 【請求項3】前記第2電極上に、樹脂からなる封止層
    と、封止部材とを有してなり、 前記基板と前記封止部材とが、前記封止層を挟持してな
    る請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミ
    ネッセンス装置。
  4. 【請求項4】前記第2電極及び前記封止部材は透明な材
    料からなり、前記発光層から発光された光は前記封止部
    材側から出射される請求項3に記載の有機エレクトロル
    ミネッセンス装置。
  5. 【請求項5】前記脱水剤および/または脱酸素剤は、前
    記第2電極よりも外側に配置されてなる請求項1から請
    求項4のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセン
    ス装置。
  6. 【請求項6】前記脱水剤および/または脱酸素剤は、前
    記第2電極の一部と接するように配置されてなる請求項
    1から請求項4のいずれかに記載の有機エレクトロルミ
    ネッセンス装置。
  7. 【請求項7】前記脱水剤および/または脱酸素剤は、環
    状に形成されてなる請求項1から請求項6のいずれかに
    記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  8. 【請求項8】前記第2電極は、前記前記脱水剤および/
    または脱酸素剤と同一材料からなる層を含むこと請求項
    1から請求項7のいずれかに記載の有機エレクトロルミ
    ネッセンス装置。
  9. 【請求項9】基板上に、第1電極を形成する工程と、 前記第1電極の上方に発光層を形成する工程と、 前記発光層の上方に第2電極を形成する工程と、 前記基板の前記第1電極が形成された面の周縁部に、脱
    水剤および/または脱酸素剤を形成する工程と、を含む
    有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
  10. 【請求項10】前記脱水剤および/または脱酸素剤は、
    前記第1電極が形成された領域の外側に、形成する請求
    項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造
    方法。
  11. 【請求項11】前記脱水剤および/または脱酸素剤を、
    前記第2電極よりも外側に形成する請求項9または請求
    項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製
    造方法。
  12. 【請求項12】前記脱水剤および/または脱酸素剤を、
    前記第2電極の一部と接するように形成する請求項9ま
    たは請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス
    装置の製造方法。
  13. 【請求項13】基板上に、少なくとも第1電極と、発光
    層と、第2電極と、をこの順に有する有機エレクトロル
    ミネッセンス装置を備えた電子機器であって、 前記有機エレクトロルミネッセンス装置は、前記第1電
    極が形成された面の周縁部に、脱水剤および/または脱
    酸素剤を配置してなる電子機器。
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