JP2003139219A - 合成樹脂歯車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた強度と高い寸法精度を併せ
持つ合成樹脂歯車を射出成形により形成する。 【解決手段】 中心部に形成されたボス、ボスの
外周方向に同心円状に形成されたリム、ボスとリムの間
に一体連結された薄肉状のウェブ、リムの外周部に形成
された歯部を射出成形により一体成形する。前記ウェブ
には、内周方向に形成され前記ボスに連結する厚肉部
と、外周方向に形成され前記リムに連結する薄肉部とを
設ける。前記薄肉部には、前記歯部を構成する各歯のす
べてに対応する位置において放射状にリブを一体形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、合成樹脂歯車、特
に高い寸法精度及び優れた強度を併せ持つ合成樹脂歯車
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、一般に精度の高い合成樹脂歯車を
得るためには、収縮によるヒケを抑えるためにウェブを
薄肉形状にしているが、薄肉形状にすることにより強度
が低下する。そこで、強度が必要な時は、ボスとリムと
の間のウェブ面に放射状に形成されたリブを複数枚配置
させる場合が多い。この形状のものを射出成形した場
合、リブがある部分とリブがない部分とに収縮率の差が
生じ、外周部の真円度や歯車精度を悪化させる問題があ
る。

【０００３】また、歯車の肉厚を増大して強度を増す方
法もあるが、単に肉厚を増大する場合には収縮やヒケが
大きくなり精度が悪くなる。この問題を解消するため、
本出願人は射出圧縮成形により優れた強度と高い寸法精
度を両立させることを特願２００１−２５１１６９で提
案しているが、射出圧縮成形方法は、成形機も金型も特
殊なものが必要となり、製造コストが上昇する問題があ
る。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
に鑑み、収縮によるヒケ及びウェブ面上に放射状に形成
されたリブの有無による収縮率の差によって生じる精度
の悪化を抑えて、高い寸法精度を確保すると同時に優れ
た強度を併せ持つ合成樹脂歯車を射出成形により得るこ
とを課題とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するため、中心部に形成されたボス、ボスの外周方向
に同心円状に形成されたリム、ボスとリムの間に一体連
結された薄肉状のウェブ、リムの外周部に形成された歯
部からなり、これらが射出成形により一体成形された合
成樹脂歯車において、前記ウェブは、内周方向に形成さ
れ前記ボスに連結する厚肉部と、外周方向に形成され前
記リムに連結する薄肉部とを備え、且つ、前記薄肉部に
は、前記歯部を構成する各歯すべてに対応する位置にお
いて放射状にリブが一体形成されている。(請求項１)

【０００６】前記合成樹脂歯車において、前記ウェブの
厚肉部は歯車中心付近のウェブを厚肉に形成することで
強度を増すとともに、リブを歯車中心まで付けるよりも
エジェクタピンやゲートを配置しやすくなり、文字の刻
印等も可能になり、金型加工工数も軽減できる。また、
前記ウェブの薄肉部は歯車のリム付近のウェブを薄肉に
形成することにより、歯の収縮が少なく、高精度の合成
樹脂歯車を得ることができる。また、前記ウェブの薄肉
部に各歯すべてに対応する位置にリブを形成すること
で、リブの有無によって生じる収縮率の差が小さくな
り、高精度の合成樹脂歯車を得ることができる。

【０００７】さらに、前記リブは、外周方向に徐々に厚
肉に形成されている。(請求項２)

【０００８】前記構成によれば、リブを外周方向に徐々
に厚肉に形成することで補強の強度が増し安定した合成
樹脂歯車を得ることができる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施例について説明する。

【００１０】

【実施例】本発明による合成樹脂歯車を外歯歯車に応用
した一実施例について、その平面形状を示す図１及びそ
のＸ−Ｘ矢視断面構造を示す図２を参照して説明する。

【００１１】本実施例における合成樹脂歯車１におい
て、図示しない回転軸がその軸孔に一体的に嵌着される
円筒状のボス２と、このボス２の外周面からその半径方
向に延びる環状のウェブ３と、このウェブ３の外周から
半径方向に広がる環状のリム４とからなり、リム４の外
周面には所定ピッチの複数の歯９から構成される歯部５
が形成されている。さらに、ウェブ３は、内周方向に形
成されるボス２に連結する厚肉部７と外周方向に形成さ
れているリム４に連結する薄肉部８で形成されている。

【００１２】また、ウェブ３の薄肉部８の両面には、歯
部５を構成する各歯９のすべてに対応する位置において
放射状にリブ６、６が形成されている。すなわち、本実
施例では、歯９の数４０に対応して４０本のリブ６で形
成されている。

【００１３】また、リブ６は、外周方向に徐々に厚肉に
形成されている。なお、本実施例では、リブ６が外周方
向に徐々に厚肉に形成されているが、発明はこれに限定
されず、リブ６の肉厚は均一であってもよい。

【００１４】

【発明の効果】本発明によれば、収縮のヒケ及び収縮率
の差における精度の悪化を解消し、且つ、射出圧縮成形
方法のような特別な成形機や金型を使用せずに、高い寸
法精度及び優れた強度を併せ持つ合成樹脂歯車を射出成
形により形成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による合成樹脂歯車を外歯歯車に応用
した一実施例の外観を示す平面図である。

【図２】 図１中のＸ−Ｘ矢視断面図

【符号の説明】

１ 合成樹脂歯車 ２ ボス ３ ウェブ ４ リム ５ 歯部 ６ リブ ７ 厚肉部 ８ 薄肉部 ９ 歯

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 中心部に形成されたボス、ボスの外周方
   向に同心円状に形成されたリム、ボスとリムの間に一体
   連結された薄肉状のウェブ、リムの外周部に形成された
   歯部からなり、これらが射出成形により一体成形された
   合成樹脂歯車において、前記ウェブは、内周方向に形成
   され前記ボスに連結する厚肉部と、外周方向に形成され
   前記リムに連結する薄肉部とを備え、且つ、前記薄肉部
   には、前記歯部を構成する各歯のすべてに対応する位置
   において放射状にリブが一体形成されていることを特徴
   とする合成樹脂歯車。
2. 【請求項２】 前記リブは、外周方向に徐々に厚肉に形
   成されている請求項１に記載の合成樹脂歯車。