JP2003139143A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2003139143A
JP2003139143A JP2001335473A JP2001335473A JP2003139143A JP 2003139143 A JP2003139143 A JP 2003139143A JP 2001335473 A JP2001335473 A JP 2001335473A JP 2001335473 A JP2001335473 A JP 2001335473A JP 2003139143 A JP2003139143 A JP 2003139143A
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JP2001335473A
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Akihiro Kiuchi
昭広 木内
Yoichi Matsumoto
洋一 松本
Manabu Ohori
學 大堀
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NSK Ltd
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短寿命品の発生がなく安定的に長寿命が保証
された高信頼性の転がり軸受を提供する。 【解決手段】 内輪1及び外輪2について、軌道面から
最大せん断応力が作用する深さτstの2倍の深さまでの
間の領域内に存在する非金属介在物の最大長さが0.5
mm以下であることを、非破壊検査によって保証した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、短寿命品の発生が
なく安定的に長寿命が保証された高信頼性の転がり軸受
に係り、特に、短寿命品が存在すると人命にかかわるよ
うな自動車用ハブ軸受等に好適な転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】軌道輪の軌道面直下に存在する非金属介
在物が、転がり軸受の転がり疲れ寿命に大きな悪影響を
及ぼすことは良く知られている。そのため、従来、長寿
命化が要求される軸受については、軸受鋼素材中の酸素
含有量を低下させることにより大型介在物の生成確率を
下げて長寿命化を図ってきた。しかし、近年において
は、酸素含有量と寿命との相関が明確ではない場合が出
てきたため、寿命との相関がより明確な清浄度を定量化
する方法が見出され、軸受の長寿命化がなされている。
【0003】例えば、特開平6−145888号公報,
特開平3−56640号公報,特開平5−117804
号公報,特開平6−192790号公報には、鋼材を顕
微鏡観察して、一定面積中に存在するAl2 3 を主体
とする酸化物系介在物やTi系介在物などの硬い介在物
の個数を規定することにより、軸受を長寿命とする技術
が記載されている。これらの方法においては、ある鋼材
ロットのうちの代表サンプルを検査することにより、そ
のロットの鋼材で製造された全ての軸受の寿命を予測し
ている。
【0004】また、軸受の鋼材(素材)は高い清浄度の
ものが求められているので、製鋼メーカーは、圧延後丸
棒などの製品段階において全周及び全断面の超音波探傷
検査を行い、内部欠陥を保証して鋼材を出荷している。
超音波探傷検査の方法としては、例えば、株式会社特殊
鋼倶楽部編の「特殊鋼」(46巻6号第31頁)に記載
されている鋼片の超音波探傷方法などがある。しかしな
がら、上記圧延製品において、超音波探傷検査によって
検出可能な欠陥は、幅が数百μmで長さが数十mmの大
きさのものであった。これは、生産性確保ために高速で
探傷検査を行う必要があることと、探傷検査を行う面が
圧延されたままの状態であるため、表面粗さや内部の結
晶粒が粗く、これらがノイズ源となって高精度の探傷検
査が不可能であったことが理由である。つまり、現状の
技術では、製鋼メーカーにおける製品検査で、幅及び長
さが数百μm程度の大きさの介在物を検出することは困
難であった。
【0005】超音波探傷を利用して小さな介在物を検出
する技術としては、例えば、焦点型探触子を用い20M
Hz以上の高周波により水浸垂直法にて超音波探傷検査
を行う方法が、最近研究され発表されている(例えば、
特開平11−271282号公報,特開2001−14
1704号公報等)。この方法によれば、数十μmの介
在物を精度よく検出することができる。しかしながら、
これらの例はいずれも小さな介在物を検出するために超
音波の周波数を上げており、また、対象材から代表サン
プルを抜き出し水浸垂直法によって探傷検査を行うもの
である。したがって、製品そのものを検査する思想では
ないため、短寿命品の発生を製品レベルで検出すること
はできなかった。また、探傷法に水浸垂直法を利用する
ため、表面から一定の深さまで間の領域においては、欠
陥の検出が不可能であるという問題があった。
【0006】一方、ハブ軸受はグリースで潤滑され、シ
ールにより外部から異物が混入しないようになっている
が、このような環境下で使用される軸受の場合、転がり
疲労を受けることによって、軌道面上又は軌道面直下
(内部)に存在する大型の非金属介在物を起点として剥
離が生じることが考えられる。ハブ軸受のような、破損
すると事故に結びつき人命にかかわるおそれがあるよう
な部位に使用される軸受においては、破損はもとより剥
離についても、一つの軸受にも発生しないことが重要で
ある。そこで、このような軸受においては、使用される
鋼材の清浄度を向上させるとともに、剥離に直接結びつ
くような表面欠陥を検出する検査を軸受全数に対して行
い、合格したもののみを選別して出荷している。特に、
軸受の軌道面については、主に表面に発生した割れ,キ
ズ,地きず(長く伸びた大型介在物)等を検出する検査
を、磁粉探傷や漏洩磁束を用いた方法により行ってい
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、欠陥や
大型介在物が軌道面表面に露出している場合は検出可能
であるが、軌道面表面に露出せず軌道面直下(内部)に
存在する場合は、これまで検出することが困難であった
ため、検査を行っていなかった。表面に露出しておらず
剥離に結びつくような欠陥で代表的なものとしては、鋼
材中に存在する非金属介在物がある。非金属介在物はあ
る確率で鋼材中に存在するものであるが、大きい物ほど
剥離に対して悪影響を及ぼすため、特に大型介在物の低
減に注目する必要がある。大型介在物の低減については
鋼材の清浄度の向上を図り実施してきたが、その評価手
段は代表サンプルによる評価であるため、軸受全数に対
して大型介在物を保証するものではない。
【0008】また、超音波探傷による全数検査では、生
産上又は技術上の問題から、長さ数十mmの介在物しか
検出できなかった。したがって、これ以下の長さ数mm
程度の介在物については、軸受全数に対する検出,保証
は困難であった。この長さ数mm程度の大型介在物は、
前述した磁粉探傷や漏洩磁束などによる検査ではppm
オーダーではあるが検出されているから、表面直下にお
いても同程度の確率で存在することが予想されるが、介
在物の存在する深さ等により、剥離等に結びつく確率は
さらに低いと考えられる。しかしながら、ハブ軸受等の
ような破損すると人命にかかわるような部位に使用され
る軸受においては、このような懸念のある軸受が一つも
ないことが望まれる。
【0009】したがって、ハブ軸受等のような破損する
と人命にかかわるような部位に使用される軸受において
は、極めて高い信頼性が要求されるので、軌道輪の軌道
面直下に存在する大型介在物を検出する検査を全ての軸
受に対して行い、該検査に合格した剥離等の破損の懸念
のないもののみを選別して出荷する必要があった。一
方、特開平11−337530号公報には、軸受の軌道
面直下の大型非金属介在物を検出する方法が開示されて
いる。この方法は、探傷する範囲(深さ)別に入射角を
限定することにより、軸受全断面に存在する数十〜数百
μm程度の大きさの大型介在物を検出することができ
る。
【0010】また、特開2000−130447公報に
は、鉄鋼用軸受や鉄道車両用軸受に代表されるころ軸受
について、軌道面から最大せん断応力が作用する深さで
ある転動体平均直径の2%の深さまでの間の領域内に存
在する大型介在物の大きさを限定することにより、短寿
命品の発生をなくすことができる旨が記載されている。
しかしながら、上記の公報に記載の技術は、主としてこ
ろ軸受に対して好適であり、玉軸受に対しては必ずしも
好適とは言えない。その理由を詳述すると、玉軸受
は、軌道面と転動体とが点接触となるので、線接触とな
るころ軸受に比べて一般に面圧が大きくなる、玉軸受
は、軌道輪のメタルフローと転動体との接触角度が一般
に大きくなるので、接触角度が平行に近いころ軸受と比
べて寿命が短くなりやすい、玉軸受は、エンドフロー
が軌道面に露出しているので、その影響が避けられな
い、等である。
【0011】よって、玉軸受において短寿命品の発生を
なくすためには、大型介在物の検出を行う領域は特開2
000−130447公報に記載のものでは不十分であ
り、検査対象領域(軌道面からの深さ)を大きくして、
より深い位置まで鋼の清浄度を保証する必要がある。そ
こで、本発明は、このような従来技術が有する問題点を
解決し、短寿命品の発生がなく安定的に長寿命が保証さ
れた高信頼性の転がり軸受を提供することを課題とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発
明に係る請求項1の転がり軸受は、内輪と、外輪と、前
記内輪と前記外輪との間に転動自在に配設された複数の
転動体と、を備える転がり軸受において、前記内輪及び
前記外輪の少なくとも一方は、軌道面から最大せん断応
力が作用する深さの2倍の深さまでの間の領域内に存在
する非金属介在物の最大長さが0.5mm以下であるこ
とが、非破壊検査によって保証されていることを特徴と
する。
【0013】また、本発明に係る請求項2の転がり軸受
は、請求項1の転がり軸受において、前記非金属介在物
の最大平方根長さが0.2mm以下であることが、非破
壊検査によって保証されていることを特徴とする。この
ような構成の転がり軸受は、非破壊検査によって軌道面
下の深い位置まで清浄度が保証されているので、短寿命
品の発生がなく、安定的に長寿命が保証される。よっ
て、ハブ軸受等のように、破損すると人命にかかわるよ
うな部位に使用され、極めて高い信頼性が要求される軸
受に好適である。清浄度が保証されている範囲が前記領
域よりも小さいと、すなわち、最大せん断応力が作用す
る深さの2倍の深さよりも浅い位置までしか清浄度が保
証されていないと、短寿命品が発生するおそれが出てく
る。
【0014】また、前記非金属介在物の大きさは、最大
長さが0.5mm以下である必要がある。0.5mm超
過の非金属介在物が存在すると、転がり軸受の寿命が不
十分となるおそれがある。さらに、前記非金属介在物の
大きさは、最大長さが0.5mm以下で且つ最大平方根
長さが0.2mm以下であることが好ましい。そうすれ
ば、転がり軸受がより長寿命となる。最大平方根長さが
0.2mm超過の非金属介在物が存在すると、転がり軸
受の寿命が不十分となるおそれがある。
【0015】なお、本発明における平方根長さとは、非
金属介在物の形状が立方体状,直方体状である場合は、
その最大辺長さと最小辺長さとの積の平方根を意味し、
非金属介在物の形状が球状,楕円球状,粒状である場合
は、その最大径と最小径との積の平方根を意味する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明に係る転がり軸受の実施の
形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、
本発明に係る転がり軸受の一実施形態である玉軸受の構
成を示す部分縦断面図である。この玉軸受(呼び番号6
206)は、内輪1と、外輪2と、該両輪1,2の間に
転動自在に配設された複数の玉3と、を備えており、自
動車用ハブ軸受等に好適である。
【0017】内輪1及び外輪2は鋼材(S53C又はS
UJ2)で構成されており、後述するような熱処理が施
され研削された後に、超音波探傷法により軌道面直下に
存在する非金属介在物の検査が行われたものである。こ
こで、軌道輪の熱処理方法について説明する、内輪1及
び外輪2がS53Cで構成されている場合は、内輪1及
び外輪2の軌道面、シャフトに接する内輪1の内径面、
及びハウジングに接する外輪2の外径面に、図2の
(a)に示すような高周波焼入れと大気焼戻しを施し、
前記各面に硬化処理を行った。
【0018】また、内輪1及び外輪2がSUJ2で構成
されている場合は、内輪1及び外輪2に、図2の(b)
に示すような光輝焼入れと大気焼戻しを行った。いずれ
の場合も、内輪1及び外輪2の表面硬さはHRC60.
0〜63.0であった。なお、玉3はSUJ2で構成さ
れており、図2の(b)に示す光輝焼入れと大気焼戻し
が施されている。
【0019】次に、超音波探傷法により行った非金属介
在物の検査の方法について説明する。図3は、超音波探
傷装置の概略図である。超音波伝達媒体としての水が貯
留された水槽11内に、被検体転がり軸受の軸受リング
12(外輪又は内輪)及び超音波探傷用探触子13が、
それぞれ水に浸漬された状態で配置されている。超音波
探傷用探触子13としては、指向性が強く軸受リング1
2の曲率の影響を受けにくい焦点型探触子(振動子径
6.5mm)を用いている。ただし、若干感度は落ちる
ものの探傷範囲が広いフラットタイプの探触子を使用し
ても、同様の結果を得ることができる。
【0020】軸受リング12は、水槽11内に水平方向
に互いに離間配置された二個のプーリ14,14に載置
されており、各プーリ14,14と回転駆動用モータ1
5のモータ軸に固定されたプーリ16とには、ベルト1
7が正三角形状に巻き掛けられている。回転駆動用モー
タ15は、モータ駆動用制御アンプ18を介して制御装
置19によって制御されるようになっており、回転駆動
用モータ15の駆動により各プーリ14,14に載置さ
れた軸受リング12が所定の速度で回転するようになっ
ている。なお、制御装置19は、CRT等の表示手段を
備えたパーソナルコンピュータ等で構成されている。
【0021】超音波探傷用探触子13は、軸受リング1
2の軸方向に沿って移動可能に配置されたリニアガイド
装置20により支持されたXYステージ22に、探触子
取付具23を介して取り付けられており、軸受リング1
2の軌道面に対向配置されている。そして、超音波探傷
用探触子13は、軸受リング12の軌道溝の円弧に沿っ
て軸方向に移動可能とされている。その超音波探傷用探
触子13は、超音波探傷装置24からの電圧信号に応じ
た超音波パルス(周波数10MHz)を、軸受リング1
2の内周面に向けて送信するとともにその反射エコーを
受信し、これを電圧信号に変換して超音波探傷装置24
に送信する。
【0022】超音波探傷装置24は、制御装置19から
の指令に基づいて超音波探傷用探触子13に電圧信号か
らなる指令信号を送信するとともに、送信した信号と受
信した信号とを基にして得られた探傷情報を制御装置1
9に送信し、制御装置19がこれをCRT上に表示す
る。リニアガイド装置20は、リニアガイド用コントロ
ーラ26によって制御される図示しないサーボモータを
介して、超音波探傷用探触子13を軸受リング12の軸
方向に移動させるようになっている。リニアガイド用コ
ントローラ26は、軸受リング12の外周面に設置され
たロータリエンコーダ25により軸受リング12が一回
転(360°)したことが探知されると、制御装置19
からの指令に基づいてサーボモータを制御し、超音波探
傷用探触子13を軸受リング12の軸方向に所定寸法移
動させる。これにより、軸受リング12の全軌道表面の
探傷がなされるようになっている。
【0023】なお、軸受リング12に入射する超音波の
入射角は19°及び27°(屈折角は45°及び90
°)とし、最大せん断応力が作用する深さ(転動体直径
Daの2%の深さ)の2倍の深さまで、十分に探傷でき
る状態で探傷を行った。このようにして探傷検査を行っ
た軌道輪を用いて玉軸受を組み立て、寿命試験を行っ
た。その際には、内輪には欠陥が検出されたものを用
い、外輪には欠陥が検出されなかったもの(介在物の大
きさが本発明の限定範囲内にあるもの)を用いた。つま
り、外輪には短寿命となる要因が少ないものを使用し
て、内輪に存在する介在物によって軸受の寿命が決定す
るような条件で寿命の評価を行っている。よって、後に
示す各表に記載した介在物の大きさ等は、内輪について
示したものである。
【0024】なお、内輪の欠陥については、反射エコー
の範囲(欠陥の大きさ)やビーム路程から、その大きさ
及び存在する深さを特定し、大きさ及び深さにより選別
して寿命試験に供した。この欠陥の大きさ,深さの特定
にあたっては、以下のような手法を用いた。まず、超音
波探傷検査によって欠陥が検出された軌道輪を切断し、
顕微鏡観察によって介在物を見つけ、その大きさ(長
さ)と深さ(位置)とを確認した。そして、超音波探傷
検査により得られていた反射エコーの範囲及び強度と比
較することにより、介在物の大きさ(長さ)と反射エコ
ーの範囲及び強度との相関関係を求め、この予め得た相
関関係を利用して、超音波探傷検査を行った軌道輪の介
在物の大きさ(長さ)及び深さを特定した。
【0025】次に、上記のようにして得られた玉軸受の
寿命試験の方法について説明する。玉軸受を図4に示す
片もち型寿命試験機に装着し、下記の試験条件で回転さ
せることにより寿命試験を行った。そして、軌道面に剥
離が生じるまでの時間を寿命として評価した。 ラジアル荷重 :13830N 回転軸の回転数:3900rpm 潤滑 :潤滑油VG68 JIS B1518による転がり軸受の計算寿命が12
時間であるため、寿命試験の打ち切り時間は、その約8
倍以上の100時間とした。また、寿命試験で軌道面に
剥離が生じた場合に、欠陥位置と剥離位置との相関を寿
命試験後に検証できるように、超音波探傷検査により発
見された欠陥位置から軸方向に延長した端面に印を付け
ておいた。
【0026】まず、表1に示す実施例1〜4及び比較例
1〜6の軸受の試験結果について説明する。これらは全
て軌道輪がS53Cで構成されており、軌道面には高周
波焼入れによる硬化層が形成されている。そして、前述
したように、内輪の軌道面直下に非金属介在物が存在し
ている。なお、実施例1〜4及び比較例1〜6の内輪に
存在する介在物は、その最大長さは表1に示す通りであ
るが、最小長さはいずれも0.04〜0.06mmの範
囲であった。また、その存在位置は、いずれも今回の寿
命試験の最大せん断応力が作用する深さ(τst)の2倍
の深さより浅い位置であった。
【0027】
【表1】
【0028】表1とその結果をグラフ化した図5とから
分かるように、実施例1〜4は介在物の最大長さが0.
5mm以下であるので、極めて長寿命であった。特に、
実施例2〜4は、計算寿命の8倍以上である100時間
を経過しても剥離が生じなかったので、寿命試験を打ち
切った。よって、介在物の最大長さは0.4mm以下で
あることがより好ましいと言える。これに対して、比較
例1〜6は、介在物の最大長さが0.5mm超過である
ので短寿命となり、最も長い比較例1でも実施例1の1
/6以下であった。
【0029】なお、寿命試験により剥離が生じた実施例
1及び比較例1〜6の剥離位置は、いずれも超音波探傷
検査により欠陥が発見された位置と一致しており、介在
物から剥離が生じたことが確認された。次に、表2に示
す実施例5〜8及び比較例7〜10の軸受の試験結果に
ついて説明する。これらは全て軌道輪がS53Cで構成
されており、軌道面には高周波焼入れによる硬化層が形
成されている。そして、前述したように、内輪の軌道面
直下に非金属介在物が存在している。
【0030】なお、実施例5〜8及び比較例7〜10の
内輪に存在する介在物の存在位置は、いずれも今回の寿
命試験の最大せん断応力が作用する深さ(τst)の2倍
の深さより浅い位置であった。
【0031】
【表2】
【0032】表2とその結果をグラフ化した図6とから
分かるように、実施例5〜8は、介在物の最大長さが
0.5mm以下であり、且つ、平均長さ(最大長さと最
小長さとの積の平方根)が0.2mm以下であるので、
計算寿命の約7倍以上と極めて長寿命であった。特に、
実施例5,7,8は100時間を経過しても剥離が生じ
なかったので、寿命試験を打ち切った。よって、平均長
さは0.16mm以下であることがより好ましいと言え
る。
【0033】これに対して、比較例7〜10は、平均長
さが0.2mm超過であるので短寿命となり、最も長い
比較例8でも実施例6の1/8であった。なお、寿命試
験により剥離が生じた実施例6及び比較例7〜10の剥
離位置は、いずれも超音波探傷検査により欠陥が発見さ
れた位置と一致しており、介在物から剥離が生じたこと
が確認された。次に、表3に示す実施例9〜11及び比
較例11〜14の軸受の試験結果について説明する。こ
れらは軌道輪がS53C又はSUJ2で構成されてお
り、それぞれ前述のような熱処理が施されている。そし
て、前述したように、内輪の軌道面直下に非金属介在物
が存在している。
【0034】
【表3】
【0035】表3から分かるように、実施例9〜11
は、介在物の最大長さが0.5mm以下であり、且つ、
平均長さ(最大長さと最小長さとの積の平方根)が0.
2mm以下であり、しかも、介在物の存在位置がτst
2倍の深さより浅い位置であるので、極めて長寿命であ
り、計算寿命の8倍以上である100時間を経過しても
剥離が生じなかった。これに対して、比較例11,12
は、平均長さは0.2mm超過であるものの、介在物の
存在位置がτstの2倍の深さより深い位置であるため、
100時間を経過しても剥離が生じず長寿命であった。
このことから、介在物の大きさを規定する領域は、軌道
面からτstの2倍の深さまでの間の領域とすることが好
ましいと言える。
【0036】また、比較例13,14は、平均長さは
0.2mm超過であり、しかも、介在物の存在位置がτ
stの2倍の深さより浅い位置であるので短寿命であっ
た。なお、寿命試験により剥離が生じた比較例13,1
4の剥離位置は、いずれも超音波探傷検査により欠陥が
発見された位置と一致しており、介在物から剥離が生じ
たことが確認された。以上説明したように、本実施形態
の玉軸受は、軌道面から最大せん断応力が作用する深さ
の2倍の深さまでの間の領域内に存在する非金属介在物
の最大長さが0.5mm以下であることが、非破壊検査
によって保証されているので、極めて長寿命である。よ
って、ハブ軸受等のように、破損すると人命にかかわる
ような部位に使用され、極めて高い信頼性が要求される
軸受に好適である。
【0037】なお、本実施形態は本発明の一例を示した
ものであって、本発明は本実施形態に限定されるもので
はない。例えば、本実施形態においては、軌道輪を構成
する鋼には、ハブ軸受に一般的に使用されるS53Cの
高周波焼入れ品及びSUJ2のずぶ焼き品を使用した
が、例えば肌焼鋼等の他の軸受鋼を用いても何ら差し支
えない。また、本実施形態においては、転がり軸受とし
て深みぞ玉軸受を例示して説明したが、破損すると人命
にかかわるような部位に使用され高信頼性が要求される
転がり軸受であれば、本発明の転がり軸受は、他の種類
の様々な転がり軸受に適用することができる。例えば、
アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円
すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラ
ジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストこ
ろ軸受等のスラスト形の転がり軸受があげられる。
【0038】
【発明の効果】以上のように、本発明の転がり軸受は、
短寿命品の発生がなく、安定的に長寿命が保証された高
信頼性の転がり軸受である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る転がり軸受の一実施形態である玉
軸受の構成を示す部分縦断面図である。
【図2】軌道輪の熱処理条件を示す図である。
【図3】本発明において使用し得る超音波探傷装置の一
例を示す概略図である。
【図4】寿命試験機の構成を示す図である。
【図5】介在物の最大長さと軸受寿命との相関を示すグ
ラフである。
【図6】介在物の平均長さと軸受寿命との相関を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1 内輪 2 外輪 3 玉 τst 最大せん断応力が作用する深さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大堀 學 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J101 AA02 AA62 BA53 BA54 FA31

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪と
    の間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備える
    転がり軸受において、 前記内輪及び前記外輪の少なくとも一方は、軌道面から
    最大せん断応力が作用する深さの2倍の深さまでの間の
    領域内に存在する非金属介在物の最大長さが0.5mm
    以下であることが、非破壊検査によって保証されている
    ことを特徴とする転がり軸受。
  2. 【請求項2】 前記非金属介在物の最大平方根長さが
    0.2mm以下であることが、非破壊検査によって保証
    されていることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸
    受。
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