JP4645289B2 - 転がり軸受の超音波探傷方法 - Google Patents

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Description

本発明は、転がり軸受の軌道面又は転動面の表面に存在する欠陥の有無を検査する超音波探傷方法に係り、特に短寿命品を検出して、安定的な寿命を保証した高信頼性のある転がり軸受を提供するのに有効な転がり軸受の超音波探傷方法に関する。
転がり軸受は、軸に負荷される荷重を転動体を介して受けながら回転するため、転動体と内外輪との間で、高い接触面圧および繰返しの転動疲労を受けることとなる。したがって、軌道面上および表面直下に欠陥が存在すると、転がり疲れ寿命に大きな影響を及ぼすこととなる。このため、転がり軸受に使用される材料には、完成品の状態で、軌道面の表面および内部に欠陥が存在しないことが望まれる。
また、転がり軸受は、その製造過程の中で旋削時や、研削時の過度な条件での加工により軌道面上に微小な割れが生じることがある。その微小な割れが完成時に残留した場合は、転がり疲労による応力集中により、その部分を起点として早期にはくり生じる原因ともなる。
そこで、従来にあっては、素材の段階では、製鋼メーカーが、超音波探傷により内部きずを検査すると共に、漏洩磁束探傷により表面きずを検査している。
さらに、軸受の製造過程においては、熱処理による不具合を検査する目的で、蛍光磁粉探傷等で表面きずの検査を行っている。なお、次いで研削工程で生じる表面きずや、研削割れなどの表面きずの検査として、磁粉探傷や漏洩磁束検査を行った例がある(特殊鋼(社) 特殊鋼倶楽部 第46巻6号(1997)P5〜P7、P25等を参照)。
ここで、超音波探傷では、ワークと振動子との間に介在させる超音波伝達媒体として、一般的には水系が使用される。これは、油などの媒体に比較して、水系は、音波の伝播性が良く、また、入手のし易さやメンテナンスのし易さなどから選択されるものである。なお、上記製鋼メーカーにおける超音波探傷での媒体は、ほとんど水が使用されている。
また、一般に水系を媒体とする水浸法においては、斜角探傷、表面波探傷といったワークに対し入射角を付けて探傷を行う場合、ワークの中心線に対し探触子を傾け入射させる方法と、ワーク中心線に対し探触子を平行(例えば軸受軸方向)に移動し、ワークを相対的にオフセットさせることで入射角を付ける方法がある。工業製品の検査には、ワークの水平移動のみで実施が可能になるなど設定が容易で、また、両者に検出能力の優位な差がないことなどから、一般的にはオフセット方式が採用されている。
また、転がり軸受の軌道面に超音波探傷を行い軌道面直下の大型非金属介在物や欠陥などを検査する方法としては、特許文献1に記載の超音波探傷方法がある。
特開平11−337530号公報
転がり軸受の寿命は軌道面表面、特に、転がり接触応力が及ぶ範囲までに含まれる欠陥、例えば大型非金属介在物や表面きずなどによって大きく影響を受ける。
従って、転がり軸受の短寿命品を低減するには、最終的な形状に成形される旋削工程以降の工程での検査が望ましい。
しかし、製鋼メーカーのおける素材段階での検査においては、大きな欠陥の削除とともに、例えば材料ロット毎の欠陥の存在する頻度などでの評価、選別となり、軸受個々での保証には限界があった。
また、旋削工程での検査においては、組織状態が焼鈍状態の組織であり、超音波の伝播性と言う意味では、熱処理後の組織状態に比べると劣ることが知られている。さらに、軌道面表面は旋削目の状態のため、研削完了品と比較すると粗く、超音波が乱反射する要因となり、この点からも探傷能力には問題があった。また、軌道面は後に研削にて取り代分だけ除去されるため、欠陥を検出しても研削で除去されてしまい、また逆に研削後、新たに問題となる介在物が内部より問題となる深さまで露出してしまう懸念もあるなどの問題が残っていた。
また、特許文献1には、研削後に軌道面表面の欠陥検出を行うとした、転がり軸受の検査方法としての大型介在物検査方法が開示されている。しかし、これは、超音波伝達媒体に水を使用していることから、媒体としての水に対するワークの出し入れを行う際に気泡が生じてしまい、気泡除去に所定の時間を確保する必要があり、また気泡をきずと誤認識しまうことでより誤検出が多くなり、再検査が必要になるなどコストが高くなる問題点がある。また、気泡を低減するのは、水中の酸素分を減らす脱気設備が必要になるなど設備コストが嵩む。
さらに、上記方法では軸受端部(軌道面の軸方向端部)の探傷に際し、端部から反射したエコーが高い反射強度を発するため(邪魔するため)、軌道面全面の探傷が困難になる問題があった。この問題は、特に、小型の玉軸受形式など軌道面の端部ギリギリまで転動体が通過して接触応力が負荷される場合がある転がり軸受に特に顕著である。
ここで、本願発明者らが研究、評価を行ったところ、対象となるワークが玉軸受の軌道面のように軸方向に凹曲率を有し、また両端部(溝片部)が存在するようなワークの場合、オフセット方式を適用すると端部(溝片部)がノイズ源となり探傷可能な範囲が限定される問題が発生することが判った。玉軸受の場合、ラジアル荷重に加えて、スラスト荷重を受けることも可能であり、このため、玉(転動体)の走行箇所は軌道面の広範囲に及ぶこととなり、検査の箇所が限定されると検査外の位置での欠陥で早期はくりを起こす懸念があるなどの問題があった。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、短寿命品の発生を懸念することない転がり軸受製品を提供するのに有効な超音波探傷方法を提供することを課題としている。
本発明者らは、転がり軸受の軌道面表面および近傍の大型介在物および表面きずを検査対象として考えた場合、種々の工程の間で最適な検査工程について見出すと共に最適な媒体を見出すことで、本発明に至ったものである。さらに、端部エコーの影響を受けない検査方法を見出し解決することで本発明に到ったものである。
これにより大型介在物を製品個々により検査可能なことから、短寿命品の発生を懸念することない製品を提供することが可能となる。
すなわち、上記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、軌道輪の軌道面又は転動体の転動面の少なくとも一方の面を検査対象面として探傷を行う超音波探傷方法であって、上記検査対象面を仕上げ研した後に、研削工程後の洗浄に用いる洗浄液と同種の灯油その他の液体炭化水素を超音波伝達媒体として超音波探傷を行うことを特徴とするものである。
次に、請求項2に記載した発明は、探傷を行うワークを超音波伝達媒体中に没し測定を開始するまでの時間を1.5秒以上とすることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受の超音波探傷方法である。
また、請求項3に記載した発明は、(ビーム径r/振動子の径R)を0.8以下にすると共に、探触子を、上記検査対象面に沿って軸受の軸方向に移動しながら探傷を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の転がり軸受の超音波探傷方法である。
また、請求項4に記載した発明は、探触子を上記検査対象面の曲面に沿って軸受の軸方向に回転しながら探傷を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の転がり軸受の超音波探傷方法である。
また、請求項5に記載した発明は、軌道輪の軌道面又は転動体の転動面の少なくとも一方の面を検査対象面として探傷を行う超音波探傷方法であって、探触子を上記検査対象面の曲面に沿って軸受の軸方向に回転しながら探傷を行い、その探触子の回転中心軸を下記(a)〜(c)の条件を満たすように設定すると共に、該探触子を、上記検査対象面に立てた法線に対し上記探触子の回転中心軸に沿うように傾けることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の転がり軸受の超音波探傷方法である。
(a)探傷する検査対象面の幅方向での中心点を通る。
(b)探傷する検査対象面に立てた法線に対して垂直である。
(c)検査対象となる軌道輪若しくは転動体の軸に対して垂直な面上にある。
ここで、請求項3はオフセット方式を使用するものであり、請求項4,5は入射角方式を使用するものである。
製造工程の最終工程作業である仕上げ後に超音波探傷を行うことで、表面粗さは最も良好な状態で検査が可能となる。さらに、仕上げ工程では、通常、研削時の潤滑剤として油を使用しているため、研削後の洗浄に、一般的には灯油その他の液体炭化水素系の洗浄剤が用いられている。このため、仕上げの研削工程に続く超音波探傷による検査工程でも、上記洗浄液と同種の、灯油その他の液体炭化水素系の媒体を用いることで、媒体とワークとの親和性は良好となる。このため、超音波伝達媒体へのワークの出し入れ時に気泡等がほとんど発生しないので、脱気装置などの設備が不要となる。また、特殊な操作を行うことなく、ノイズの発生源である気泡が大幅に減少することとなるため、誤検出の不具合がなくなる。
なお、灯油その他の液体炭化水素系の媒体は、水系の媒体と比較すると感度が低下するのではないかと懸念したが、発明者らが、ワークと探触子との斜角探傷時の入射条件によっては、ほとんど水系と変わることなく同等の検出感度で検査可能なことを見出している。
その「斜角探傷時の入射条件」は、入射角15〜30°、好ましくは19〜27°の範囲で、この範囲であれば、媒体として液体炭化水素を使用しても、要求する感度を確保できることを確認している。
また、探触子の先端とワークの探触部との距離は10〜40mmであることが好ましく、20〜30mmであることがより好ましい。
また、超音波探触子は、軌道面に対し一定の角度に傾斜させ、ワークに入射した超音波は屈折し、所定の探査対象範囲を伝播することになるが(本発明の場合は例えば表面下数ミリ程度)、この場合、探触子径と超音波ビームの径の比によっては、探傷範囲が端部(軌道面の軸方向端部)ギリギリを探傷する場合に端部からの反射エコーが障害となり、探傷不可能な領域が生まれることを発明者らは見出した。これに対し、本発明者らは鋭意研究を行った結果、振動子径Rとビーム径rの関係にて(r/R)が0.8以下とすることで端部の影響を受けず、軌道面端部までその他と同じ感度で検査が可能なことを見出したことから、上述の通り、(r/R)≦0.8と規定した。(r/R)は0.8より小さければ特に問題はないが、製品の諸元などから(r/R)の下限値は制限を受ける。
また、上記請求項5に記載の発明は、転がり軸受の軸受軌道面を超音波探傷にて検査する方法において、水浸式の超音波探傷方法を用い、探触子をワークの検査対象面(探傷面)の軌道面に立てた法線に対し円周方向に傾けて入射させることで、対象とするワークの軌道径をφ100mm以下とすることで効果が顕著であることを見出したことから発明したものである。
ここで、転がり軸受のうち、小型の玉軸受形式の軸受については、例えば自動車のハブ軸受として使用されているなど、製造数も多く、さらに信頼性が重要な要素であることから、転動体が走行する軌道面全面について短時間で全数検査を行う方法が望まれる。そして、本発明により、転動面全面を高い精度(感度)で検査を行うことが可能となり、探傷を自動化すれば、高速で精度よく検査することが可能となる。
本発明によれば、短寿命品の発生を懸念することない転がり軸受製品を提供するのに有効な超音波探傷方法を提供できるようになる。
次に、本発明にかかる実施形態について図面を参照しつつ説明する。
まず、本実施形態における超音波探傷の装置構成を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る超音波探傷装置の概要構成図であり、図2及び図3は部分拡大図である。
図1において、符号1は、超音波伝達媒体としての灯油その他の液体炭化水素2が貯留された液槽である。本実施形態では、液体炭化水素2として灯油を使用し、その灯油に防錆剤が添加されている。その液槽1内の下部には、軸受の外輪4と治具3が設置される。その治具3は、その上部に、軸受外輪4を、軸を鉛直方向に向けた状態でめ込み可能なめ込み部3aを有すると共に、上記軸受の軸と同軸の回転軸まわりにモータ5によって回転駆動されるようになっている。そのモータ5は、モータ駆動用制御アンプ6を介して制御装置7によって制御されるようになっており、回転駆動用モータ5の駆動により治具3に設置された外輪4を所定の速度で回転する。
ここで、上記外輪4は、不図示の搬送装置で搬送されて上側から上記治具3のめ込み部3aに嵌め込まれる。図1は、治具3に外輪4を嵌め込んだ状態を示している。また、上記液槽1内の液体炭化水素2の深さは、治具3に外輪4を嵌め込んだ状態で、外輪4が液体炭化水素2に全没するだけの深さとなっている。
また、符号8は超音波探傷用の探触子であって、本実施形態は、指向性が強く軌道面4aの曲率の影響を受けにくい焦点型探触子を用いている。また、前述のように、(ビーム径r/振動子の径)を0.8以下にすることが好ましい。
上記探触子8は、図2のように、L字状の探触子取付け具9に取り付けられ、その探触子取付け具9は、外輪4を跨ぐコ字部材10を介して上下に延びる支持部12に上下方向まわり回転自在に回転機構を介して支持されている。回転機構は、サーボモータ、プーリ、ベルトなどから構成されて、位置合わせ用制御アンプ11を介して制御装置7によって制御されており、上記回転機構の水平に延びる回転軸P周りに上下方向の傾き(θ方向)が調整可能となっている。
また、上記探触子8を支持する支持部12は、直動アクチュエータなどからなる昇降機構を備えて上下方向(Z方向)に移動可能となっている共に、直動アクチュエータなどの横移動機構13、13′で横方向(X方向及びY方向)に移動可能となっている。上記昇降機構12及び横移動機構13、13′は、位置合わせ制御アンプ11を介して制御装置7によって制御されて、探触子8の三次元における位置を調整する。
また、探触子取付け具9は、外輪の軸に垂直な面の中で回転調整機構を有することにより、前述の入射角範囲に調整することができる。
このように、昇降機構12及び横移動機構13、13′によって探触子8の位置が調整されると共に、回転機構によって軌道面4aに対する探触子8が軌道の溝Rの曲面に沿って回転しながら探傷を行うことが可能となる。
これによって、探触子8は、外輪4の軌道面4aに対し所定の入射角度の範囲内で対向配置される。その状態で、上記探触子8は、超音波探傷器14からの電圧信号に応じて超音波パルスを軸受外輪4の軌道面4aに向けて送信すると共にその反射エコーを受信し、これを電圧信号に変換して超音波探傷器14に送信する。
超音波探傷器14は、制御装置7からの指令に基づいて探触子8に電圧信号からなる指令信号を送信するとともに、送信した信号と受信した信号とを基にして得られた探傷情報を制御装置7に送信し、制御装置7がこれを不図示のCRT(ディスプレイ)上等に表示する。
上記構成の超音波探傷装置では、媒体である液体炭化水素2に軸受外輪4が全没されると共に、軸受外輪4の軸が液面に対し垂直状態に配置される。軸受外輪4は仕上げ研磨を施してあることが好ましい。ここで、探触子8から送信される超音波の入射角(軌道面4aに立てた法線に対して軸に垂直な面の方向(軌道面4aの円周方向)に探触子8の回転中心軸に沿うように傾く角度)を15〜30°の間に収まるように、探触子取付け具9の角度を調整する。そして、探触子8を下降させて、探触子8の軸が外輪4の軌道面4aに対向するように調整する。
上記状態で、モータ5を駆動して外輪4を回転させ、外輪4の回転が安定したら、探触子8を軌道面4aの曲面に沿って軸受軸方向に回転機構を介して回転させながら(上下方向に首振り運動をさせながら)探傷を行う。なお、この時、軌道溝Rの中心は、探触子の回転中心の軸Pの上にある。これによって、探傷対象の軌道面4a全面について探傷が行われる。
また、例えば、上記焦点型探触子8としては、例えば周波数5MHz、振動子径6mmの性能のものを使用する。
上記構成では、外輪4は中心軸を中心に軸回転している状態であるので、軌道面4aと探触子8の距離は一定に保持されながら、探触子8と対向する軌道面4aが円周方向に移動する。また、探触子8を上下に首振り運動させることで、軌道面4aの曲面に沿って上下方向(軸受軸方向)に軌道面4aに対する対向する位置が変更される。これによって、軌道面4a全面についての探傷、特に軌道面4aの曲面に沿った軸受軸方向(上下方向)の探傷が行われる。
このとき、外輪4を液体に全没させているので、外輪4が回転することによる大気からの空気の巻き込みを抑えることができる。
さらに、外輪4の軸を液面と垂直状態としていることで外輪4の回転による液体の外乱による影響を小さく抑えている。
ここで、外輪4を液体内に浸漬する際に、空気が巻き込まれて軌道面4aに気泡が付着している可能性がある。これに鑑み、外輪4を浸漬した後に、上記超音波探傷の前若しくは、超音波探傷をしながら、上記軌道面4aに対して液体炭化水素2を噴射して外輪4に付着している気泡を除去するようにしても良い。なお、軸受回転時にも軌道面4aに気泡が付着するおそれがあるので、探傷時に探触子8の前側位置で液体炭化水素2の噴射を行う方が好ましい。噴射圧は、軌道輪に付着した気泡を除去若しくは除去を抑止出来る程度の大きさとする。
なお、液槽内の媒体中にゴミが浮遊する可能性があるので、フィルタ等を設置し、媒体が充満した液槽内を循環させることでゴミを除去し、ノイズの低減を図ることが好ましい。また、ワークである外輪4に付着したゴミについては、上記のように液流を吹き付けて泡などと同様に吹き飛ばすことが好ましい。
また、上記軸受を受ける治具3のめ込み部3aの法線を鉛直上方に設定してあるため、外輪4を上側から上記め込み部3aに嵌め込むだけで、重力と回転軸が同方向になると共に、外輪4の自重によるめ込み部3aの面との間の摩擦抵抗の効果により、治具3を回転する際に、特にチャック等によって外輪4を治具3に固定しなくとも前記治具3と同じ回転数にて外輪4を回転可能となる。また、特開平11−337530号公報に記載のように離間する2つのローラ上に外輪4の軸を水平にして乗せ回転させる場合に比べて、安定的に回転させることができる。そして、チャック等の拘束具を用いないことにより、構造を簡単にすることが出来るばかりか、チャックの把握時間も不要なため、サイクルタイムも短縮することが出来る。もっとも、治具3にチャック等の把握装置を付加することで、更に高速回転することが出来、探傷時間を短縮することも出来る。
ここで、図1に記載される外輪4の場合には、軌道輪が複列であることから、上側の軌道面4aの探傷が完了したら、治具3の回転を停止し、探触子8を上昇させて待避させた後に、図示しない搬送装置にて外輪4を持ち上げて反転し、再度治具3に嵌め置き、測定していない方の軌道面4bについて、上述の同様に探傷を行う。なお、単列の場合には、このような反転作業などは実施しない。
両方の軌道面4a、4bの探傷の結果、検査結果が規格内であった場合には、上記外輪4は、図示しない搬送装置にて良品置き場に置かれるが、規格外であった場合は、保留品置き場に置かれ、後に再測定または廃却等の処置がされる。
上記説明したハブ軸受外輪4は、2つの軌道面4a、4bの軸方向の輪郭曲線が、上下方向にほぼ線対称であることから、片側の軌道面4aを測定後に反転して逆側の軌道面4bを測定することにより、探触子8の軌道面4a、4bの曲面に対する追従機構は単純な構造にすることが出来る。
もっとも、軌道輪の列数に応じて探触子8を2本設置したり、両方の軌道面4a、4bに対応可能な曲面追従機構を持ったりすることで、外輪4を反転せずに探傷させて、探傷の時間をより短縮することも可能である。また、反転後別のステージを設けて別の液槽で探傷すれば、1ステージ当たりの探傷時間を短縮することも出来る。
また、媒体として、灯油以外の液体炭化水素を用いることが出来る。特に炭化水素系洗浄剤を用いることにより、後述のように仕上げ研削の工程と超音波探傷工程との液体を共通化することが出来るので好ましい。
ここで、転がり軸受の長寿命化を図るためには、軌道面表面および転がり応力を受ける範囲である表面近傍に存在する欠陥や、非金属介在物を検査し、排除することが有効である。このため、本発明者らは、軌道面に超音波を傾けて入射させ、表面近傍に音波を屈折させることで、目的の範囲の検査を行う軸受超音波探傷方法を提唱してきた。しかし、その後の研究の結果、特に軌道径の小さな玉軸受形状のものについては、表面近傍に音波を屈折させる方法として、法線に対しオフセットさせる方式(軸受軸方向に移動しながら探傷する方式)では、軌道面両端部からの反射が起因となり、事実上感度の高い検査が不可能な領域がある問題点を見出した。
オフセット方式による表面近傍の検査方法は、曲率の小さなワークに対しても小さな欠陥検出が可能な技術として開示されており、本発明対象の一例である、玉軸受形式の軸受の超音波探傷方法には不適なことは容易に推測出来るものではない。そこで、本発明者は入射方式について種々実験を行った結果、探触子を、ワークの軌道面に立てた法線に対し溝Rに沿って回転する入射角方式を取ることで、オフセット方式では問題となっていたノイズを殆ど発生させることなく、溝片近傍まで高い感度で探傷が可能となることを見出した。さらに、対象となるワークの軌道輪径がφ100mm以下の軸受では、この入射角方式を採用する効果が顕著に現れることも合わせて見出した。
図14にオフセット方式と、中心線に角度を持たせて入射させる入射角方式の概要図を示す。なお、図14ではワーク4として内輪が例示されている。
オフセット方式(図14(b)参照)は中心線に対し探触子8を平行移動させ音波の入射点の接線とのなす角を表面近傍の転がり応力がおよぶ範囲になるように設定する(例えば表面を含み、表面下1mm程度まで)方式である。一方、中心線に対し入射角を設ける方式(図14(c)参照)は、探触子8自体を法線より上記方法と同じ角度に傾け入射する方法である。いずれも探触子8とワーク4の距離は同一とすれば、探傷精度、感度は同一となるのが従来、一般的であった。
しかし、本発明が適用される1例である玉軸受形式の場合、本願発明者がオフセット方式と入射角方式とを比較検証を行ったところ、オフセット方式では、溝端部よりエコーが反射し、中央部近傍以外では検査が困難なことが判った。一方、同一入射角の条件にて入射角方式を検証した結果、端部近傍まで探触子を移動させても、溝端部のエコー反射が少なく、十分高感度で、高精度な探傷が可能であることが判った。
この原因を推定すると、まず、図15に示すように、玉軸受形状の軸受を探傷するに当っては、軌道面全面を探傷するためには、入射角方式の場合、探触子軌道面を構成している溝Rの中心と同心円上に移動することで、図16(a)のように、軌道面との距離を常に一定に、円状の軌道面の探傷が同一条件で可能となる。一方、オフセット方式の場合、単純にオフセットしたまま上下軸方向に探触子を移動したままでは、図16(b)のように、溝の中央部と両端部では探触子から入射点までの距離が異なってくる(このことは、竹を斜めにカットした門松の切りロのイメージでわかるように、オフセットした線は楕円状になっており、溝中央部では距離が長くなってしまうためである。)。
このため、オフセット方式で正確に測定するには、まずこの楕円に合わせて、中央部、両端部共に一定の距離になるように軌跡を正確にCAD等で予想して、計測し、探触子の移動を設定することが必要となり、この誤差は特に軌道径の小さなものでは顕著であるため、精度の高い検査が困難となったためと考えられる。
また、正確な位置計測が行えた場合においても、入射角方式は中央部、両端部どこでの入射に対しても軌道溝R中心と同心円上を探触子が移動するため、どの位置でも同一距離であり、また入射点の音波の形状も常に同じである。一方、オフセット方式では、中央部は楕円状であるが、両端部では音波形状がいびつとなり、音の広がりが一様でないことがわかる(図17(b)参照)。これらのことなどから、オフセット方式は一様ではない音波が、軌道面端部に影響を受けベースエコーを上げるため、精度の高い探傷が出来なくなったと考えられる。
そして、最適な入射方式とするために、本実施形態では、探触子8を、ワーク(軌道輪)の軌道面の曲面に沿って軸受の軸方向に回転しながら探傷を行い、その探触子8の回転中心軸を下記(a)〜(c)の条件を満たすように設定すると共に、該探触子8を、上記ワーク4の軌道面に立てた法線に対し上記探触子の回転中心軸に沿うように傾けている。
(a)探傷する軌道溝の中心点を通る。
(b)探傷する軌道面4aに立てた法線に対して垂直である。
(c)検査対象となる軌道輪などのワーク4の軸に対して垂直な面上にある。
なお、炭化水素系洗浄剤としては、合成炭化水素、ナフテン系炭化水素、石油系炭化水素等が例示できる。
ここで、上記実施形態では、探触子を軌道面の曲面に沿って、軸受の軸方向に回転しながら探傷を行う入射方式を例示しているが、ワークが所定径以上、例えば100φ以上の場合には、探触子を軌道面に沿って、軸受の軸方向に移動しながら探傷を行うオフセット方式であっても良い。
また、上記例は、ハブ軸受外輪4の探傷例であるが、軌道面を外周側に一つ持つハブ軸受内輪も、探触子8を外周側の軌道面に沿って探傷することにより、ほぼ同様の方法にて探傷することが出来る。
また、ハブ軸受以外の単列軸受や複列軸受やその他多列軸受の軌道輪にも上記の方法を適用できる。また、転動体の転動面についても同様に探傷することは可能である。例えば、図18に示すような自動調心ころ軸受や、図19に使用例が示されるようなテーパーローラーハブ軸受20の探傷にも適用することはできる。
また、超音波探傷装置は、上記装置構成に限定されるものではなく、他の超音波探傷装置、例えば特開平11−337530号公報に記載されているなどを採用しても良い。
次に、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記第1実施形態と同様な装置等については同一の符号を付して説明する。
生産性の観点からは出来るだけ早く探傷を開始したい一方、没してからの時間が早すぎると、泡やゴミの除去の効果が不足して、泡等に起因する疑似ノイズが多発するなど、生産性からの要求と、ノイズ防止の要求がある。これら要求を満たすための超音波検査方法としては、ワークを媒体中に没し検査を行い、合否判定の後、速やかに搬出すると言う一連の動作の中で、ノイズを最小限に抑える検査法が望まれる。
本発明者らはこれら一連の動作に対し、検査時間の短縮及び検査精度の向上について鋭意研究を行った結果、
(1)転がり軸受の転動軌道面を超音波探傷にて検査する方法において、探傷ワークを媒体中に没し測定を開始するまでの時間を1.5sec以上とすることで問題となる泡ノイズを問題の無い範囲まで除去出来ることを見出した。
また、(2)転がり軸受の転動軌道面を超音波探傷にて検査する方法において、予め測定部以外の箇所で探傷ワークを媒体中に没し、泡を除去した後、探傷位置まで媒体中で移動し、測定を開始する方法とすることで、測定開始時には泡が除去された状態で検査開始が出来るととも、これにより従来の検査サイクルを阻害することなく、事前に泡の除去が可能となり、かつ精細な検査が、高い信頼性を持って行えることを見出した。
本実施形態は、このような点を加味したものである。なお、軸受として複列玉軸受形式のハブIタイプ軸受の内輪をワーク4として例示する。
図20に本実施例に用いた装置概要を示す。この装置では、図示されない搬送装置により、ワーク4は、探傷位置に上面より媒体2中に装入され、回転テーブル(治具3)に設置される。設置されたワーク4は回転テーブル3が回転し、続いて探触子8(超音波探触子)を支持する探傷アーム9がワーク4に近づき、所定の位置に配置後、軸受軌道面4aの曲率に沿って一定の距離を保持したまま、アーム9が軸方向に移動 (回転)しワーク4の回転と相まって、軌道面4a全面の探傷を行なう構成となっている。基本的な装置概要については、上記第1実施形態の装置と同様である。
媒体2中にワーク4が没した際に、多くの泡を持ち込むこととなるが、本発明者らは、ワークが没して後、探を開始するまでの時間と、泡ノイズ検出との関係を調査した結果、浸漬後1.5秒以上待機した後、探傷を開始することで、泡ノイズが探傷結果に影響を及ぼさない程度まで低下することを見出し、このことを実現するために、ワーク4を図21のように浸漬泡除去スペースで媒体中に浸漬させ、先行のワークの探傷中に、液体を吹き付けて泡などを予め除去する。そして、先行のワークの探傷が終了して除去するのに合わせて、泡等を除去したワーク4を探傷スペースに移動して探傷を行う(図21中(1)〜(4)が工程の順番を示す)。これによって短タクトのサイクルで探傷を行うことができる。
その他の構成・効果などについては上記第1実施形態と同様である。
「実施例1」
本実施例は、上述のような超音波探傷装置を使用して、軸受製造工程における仕上げ工程の後に超音波探傷による検査工程を組み入れて、媒体として液体炭化水素を使用した当該超音波探傷検査を行う例である。
本実施例の超音波探傷を行う場合の工程の手順例を図4に示す。
比較のために、丸棒(鍛造)工程の後(矢印A参照)に超音波探傷を行った従来例1、熱処理後(矢印B参照)に超音波探傷を行った従来例2、研削後(矢印C参照)に水系を媒体として超音波探傷を行った従来例3と、本願発明に基づく実施例1とを比較した結果を、表1に示す。
Figure 0004645289
この表1から分かるように、仕上げ後に超音波探傷を行い、その超音波伝達媒体として灯油その他の液体炭化水素2を使用することが、種々の点で優れていることが分かる。

「実施例2」
次に、第2実施例について図面を参照しつつ説明する。
ハブ軸受に代表される玉軸受の探傷可否を評価するために6206からなる内外輪4を製作し、所定の熱処理を施し研削後、内外輪4について超音波探傷に実施した。
また比較例として転動体の走行部分に対して端部まで走行部分がかからない例として円筒ころ軸受NU311の内輪を製作し、所定の熱処理を施し研削後に超音波探傷を行った。
検出する対象の欠陥は、図5に示すような、長さ2mm、深さ0.5mm、幅0.5mmの表面キズを放電加工により軌道面4aの中央位置および端部に導入したものを試験片として検査に使用した。検査試験片の概要図を図6〜図8に示す。
ここで、超音波探傷装置は、上記実施形態で説明した構成からなる。
また、探傷条件を次のように設定した。
探触子8:焦点型探触子、フラット探触子(振動子径6.5mm)
周波数:5MHz
入射角:17〜25°(屈折角:45〜90°)
媒体:白灯油(+防錆油)
また、ビーム径の測定は、図9に示すようにブロック試験片に表面から深さ2mmの位置にφ2mm×20mmの横穴を空けたものを、上記同様の条件において、探触子8の種類およびワークまでの距離を種々変更しながら、ブロック試験片表面より超音波を人工キズと平行な方向に入射させ、きずの左右に移動させ、その際のエコー強度を記録した。
そして、エコー高さピークの半分位置の幅方向の距離をビーム径rと定義した。その考え方を図10に示す。
そして、上記の方法で求めたビーム径rと振動子径Rとの比(r/R)を種々変化させて、図6〜図8に示される6206軸受、内外輪4およびNU311内輪の人工欠陥キズ(中央部きず、端部きず[NU311は端部きずのみ])を評価した。
なお、ビーム径rと振動子径Rとの比(r/R)の変化は焦点型探触子の焦点距離を種々変更した探触子を用い、また、ワークとセンサーとの水距離を変更することで調査した。
その結果を図11および表2に示す。
Figure 0004645289
なお、評価基準としては、端部のエコーが大きくなると図12に示すように表面近傍の位置にノイズ源としてのエコーが高くなる。もしこの部分(表面近傍)に欠陥があったとしてもこのノイズに邪魔されて認識することが出来ない。一方中央位置のきずは、図13に示すようにノイズ源がなくなり欠陥が明確に確認することが出来る。これら、確認出来るか否かの評価法として、きずのエコー(S:シグナル)の強度と、端部エコー(N:ノイズ)の強度との比をとり、一般的に検査機として確認できる比として知られるS/N比が3以上の値を探傷として機能するものを「OK」とした。
上記表2、および図11の結果より、6206の軸受について内輪及び外輪ともに端部に導入したきずは端部エコーの影響を受けノイズ源が高くなる。このため、比較例1、2、5、6はS/N比が3未満となってしまう。一方、振動子径Rとビーム径rの関係にてr/Rのを種々変化させ端部ノイズと端部キズとのS/N比を調査した結果r/Rが0.8以下ではS/N比が3以上となることが判り、従来上記比較例で困難であった端部のきずも、良好に検査可能なことが判る(実施例1〜6)。
また、これらの問題は端部エコーが起因になっているため起こる特有の問題であり、軌道面中央に導入したきずは(r/R)に関わることなく何れもS/N比が3以上で良好に検出することが判る。
また、従来例としてNU311の内輪について同様に中央部分と端部部分(転動体が走行する軌道面の軸方向端部)にきずを導入したものを確認したが、上記軸受は転動体走行部分が端部よりやや離れた位置にあるため、端部エコーの影響を受けていないことが判る。
以上の結果から、転動体が軌道面の軸方向端部ぎりぎりまで走行する可能性のあるような玉軸受形式のような軸受に対して、軌道面全面を良好な感度で検査を行うためには振動子径Rとビーム径rの関係にて(r/R)が0.8以下とすることで可能となり、本発明により、端部につばなどが存在するような円筒、円錐ころ軸受についても軌道面4aの全面の探傷が可能となり、信頼性のある軸受を提供することが可能となる。
「実施例3」
上記発明を具体的に説明する実施例を以下に示す。
玉軸受の入射方式の違いによる探傷能力を検証するために6206外輪を製作し、所定の熱処理を施し研削後外輪を超音波探傷に供した。
検出する対象の欠陥は、長さ2mm,深さ0.5mm,幅0.5mmの表面キズを放電加工により軌道面の中央位置および端部に導入したものを検査に供した(図22参照)。
超音波探傷は図1に示す構成からなり、探傷条件として、
探触子:焦点型探触子、フラット探触子(振動子径6.5mm)
周波数:5MHz
入射角:17°〜25°(屈折角:45°〜90°)
媒体:白灯油(+防錆油)
水距離:20mm
検査ワークを回転テーブルに配置し、回転を行いながら探触子の配置をオフセット方式、および入射角方式とし、ワークの軌道面に沿って探触子をワーク1周毎に軸方向に0.1mmピッチ移動させ軌道面全面を探傷し、ベースノイズおよび人工欠陥からの反射強度について評価を行った。
評価結果を表3に示す。
Figure 0004645289
表3は、各方式で探傷を行った際、図22のように、上、中、下段位置に形成した人工欠陥の検出について、中段のキズエコーの最大値が80%になるように感度を調整し、その感度での上段キズ、及び下段キズの最大のキズエコー強度と、その際のベースノイズエコーを示した。べ−スエコーとは、きずを検出した位置にてワークを回転した時、キズ部以外で常時表示されるエコーであり、通常状態のエコーを示す。
表3の結果のように、入射角方式は上、中、下段位置の人工欠陥について入射角が17°〜25°の範囲の何れの場合でもキズエコーがそれぞれ80%以上を示し、その際のベースノイズも5%以下と、良好なS/N比が得られた。
一方、オフセット方式では中段キズを80%として検出可能であったが、上下段キズはベースエコー自体が60%を超えてしまい、キズエコーは確認できなかった。ベースエコーが上がった内容を確認するため、軌道面端部近傍にビ二ールテープを張ったところ、中段はベースエコーに変化は見られなかったが、上下段ではベースエコーが100%を越えることが分かった。このことより、オフセット方式で高くなったベースエコーの要因は、軌道面端部の角が超音波エコーとして検出してしまった結果であると推定される。
端部エコーが大きくなると、発生する不具合としては、例えばきずが端部近傍で発見されたとしても、ベースノイズ以下ではきずと端部エコーと区分することができないため、実質の探傷可能範囲が狭まってしまうことが判る(図23参照)。さらに、オフセット方式は、中段キズを同じ感度で校正した場合、十分検出可能なことは判るが、ベースのノイズは入射角方式よりは高くなり、検出能力を上げようとした場合、容易に限界が発生してしまうことが判る。
このことから、中段位置であっても、検出能力としては入射角方式が良い事が判った。
図17に推定される要因モデルが示されるが、オフセット方式は音波の密度が高い領域が広範囲に広げられるため、入射角方式と比較すると同じ感度を得るためには感度を上げる必要があり、必然的にベースノイズが高くなってしまうことが要因であると推定される。
「実施例4」
次に、入射方式の違いと、検査対象となるワークの寸法について説明する実施例を以下に示す。
実施例3と同じ条件で、軸受の軌道径を変えた、上段人工欠陥導入リングを製作し、軌道径と検出能力およびベースノイズの関係について調査を行った。
結果を表4に示す。
Figure 0004645289
ここで、調査は欠陥エコーが80%となる感度に設定し、その際のベースノイズを示した。
この表4から、入射角方式では、軌道径がφ40〜φ140と変化しても、欠陥エコーに対し十分なS/N比が得られることが判る(ベースノイズ5%以下)。
一方、比較例であるオフセット方式では、φ80以下ではベースノイズ(端部エコー)に隠れて欠陥エコーの確認ができず、φ100では欠陥ノイズは80%まで確認できるものの、ベースノイズが60%と高く、欠陥ノイズとの識別が困難なことが判る。もっとも、オフセット方式であってもφ100以上の場合は、ベースノイズが20%以下であり、一般的にS/Nを判定する際必要とされているS/N比3以上となり、実用可能なことが判る。
従って、入射角方式が有効に機能する範囲(オフセット方式に比べ優位な範囲)は素材径としてφ100以下であることが判る。
「実施例5」
ワークを媒体に没して後、探傷を開始するまでの時間と、泡ノイズ検出との関係についての実施例である。
検証に、内輪内径φ48mm、外輪外径φ86mm、幅40mmの複列玉軸受形式のハブIタイプ軸受を用いた。
装置としては、図20に示す装置を使用した。
そして、内輪を搬入装置により媒体中に没し、探傷テーブルに配置した後、探傷を開始するまでの時間を変化させノイズ起因の信号の発生数を調査した。その結果を示す。
その他検査条件を下記に示す。
NG信号の判断は、本例検査ワーク内輪軌道面に、長さ2mm,深さ0.5mm,幅0.5mmの表面キズを放電加工により形成して、マスターを製作した。
次いで、この人工欠陥を次の探傷条件より、信号が50%となる感度に設定後、さらに感度を倍とし、その感度で50%以上有した欠陥をNGとして判定を行った。
探触子他、設備の条件を以下に示す。
探触子:焦点型探触子、フラット探触子(振動子径.5mm)
周波数:5MHz
入射角:17〜25°(屈折角:45〜90゜)
媒体:自灯油(+防錆油)
上記条件にて、円周方向および軸方向共に0.5mmピッチにて探傷検査を行い、50%を超える個数をカウントした。図24にその結果を示す。
図24から、泡除去機構を付加していない条件では、1.5秒未満ではNGの数が多く発生しているのに対し、2秒を超えると大幅にNG信号数は減少する。また、ワークを没した後、直ぐにワーク検査面にジェット水流を付加し、持ち込んだ泡の除去を試みたが、付加以前に比べれば良好な値を示したものの、やはり1.5秒未満では多くのNGが存在し、泡ノイズの除去には、何らかの除去機構の付加よりも時間の経過がNG数減少に対し多くの効果があることが判る。
これは、泡の発生原因が、従来から媒体内に存在している酸素や、泡が泡起因となっているのではなく、没した時にワークが持ち込む泡によって生じているものであり、泡を低減させるには、没した後一定の時間が泡除去のため、必要であることを示している。またその時間は本実施例から1.5秒以上必要であることが判る。より好ましくは2.0秒以上である。
「実施例6」
次に、生産ラインタクトを考慮した検査方法について、本発明例を次に示す。
上記実施例5では探傷テーブルで、探傷開始前に泡除去を行う方法であり、この場合、探傷時間にプラスされる形で、泡除去時間が必要となってくる。このため、検査タクト低減のためには、この泡除去の時間が問題となってくる。
そこで、本発明者らは、最低限の検査時間とするべく鋭意研究を行った結果、図21のように、探傷テーブル近傍で、事前に泡除去を目的とした浸漬泡除去スペースを設け、事前にこの位置でワークを没した後、2秒以上をかけて、回転もしくは、ジェット水流を検査面に噴射することで、持ち込み泡を除去し、次いで灯油中に浸漬したまま、探傷テーブルに図示されていないアームで運搬し、探傷テーブルに配置し、回転を開始すると共に、速やかに探傷を開始することとなる。これにより、探傷テーブルでは、探傷のみに専念することができるため、余分な検査時間を必要としなくなり、大幅な検査時間の短縮に寄与するものである。
なお、泡除去については、回転だけでも時間をかけることでジェット水流付加と同等の効果を示し,また、例えば外輪などは軌道面が内径であることから,回転をしなくても、ジェット水流だけで回転の水流を生み出すことで、除去の効果を示すことが判っている。
本発明に基づく実施形態に係る超音波探傷装置の概要構成図である。 図1における部分拡大図である。 図1における部分拡大図である。 軸受製造工程の一例を示す図である。 人工欠陥を示す図である。 検査試験片を示す図である。 検査試験片を示す図である。 検査試験片を示す図である。 ビーム径の特定方法を説明する図である。 ビーム径の特定方法の考え方を説明する図である。 (r/R)とS/N比との関係を示す図である。 端部でのエコー強度を示す図である。 中央でのエコー強度を示す図である。 オフセット方式と入射角方式とを説明する図である。 入射角方式を説明する図である。 入射角方式とオフセット方式との違いを説明する図である。 入射角方式とオフセット方式での音波形状の関係を示す図である。 自動調心ころ軸受の例を示す図である。 テーパーローラーハブ軸受の例を示す図である。 第2実施形態の装置構成を説明する概念図である。 第2実施形態の工程を説明する概念図である。 人工欠陥を示す概念図である。 ベースノイズとキズエコー(欠陥エコー)の関係を示す図である。 探傷開始時間とNG信号を出した数との関係を示す図である。
符号の説明
1 液槽
2 液体炭化水素
3 治具(回転テーブル)
3a め込み部
4 外輪(ワーク)
4a、4b 軌道面
5 モータ
6 モータ駆動用制御アンプ
7 御装置
8 探触子
9 取付け具
10 コ字部材
11 位置合わせ制御アンプ
12 支持部(昇降機構)
13 横移動機構
14 超音波探傷器
P 回転軸

Claims (5)

  1. 軌道輪の軌道面又は転動体の転動面の少なくとも一方の面を検査対象面として探傷を行う超音波探傷方法であって、上記検査対象面を仕上げ研した後に、研削工程後の洗浄に用いる洗浄液と同種の灯油その他の液体炭化水素を超音波伝達媒体として超音波探傷を行うことを特徴とする転がり軸受の超音波探傷方法。
  2. 探傷を行うワークを超音波伝達媒体中に没し測定を開始するまでの時間を1.5秒以上とすることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受の超音波探傷方法。
  3. (ビーム径r/振動子の径R)を0.8以下にすると共に、探触子を、上記検査対象面に沿って軸受の軸方向に移動しながら探傷を行うことを特徴とする請求項1または2に記載転がり軸受の超音波探傷方法。
  4. 探触子を上記検査対象面の曲面に沿って軸受の軸方向に回転しながら探傷を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載転がり軸受の超音波探傷方法。
  5. 軌道輪の軌道面又は転動体の転動面の少なくとも一方の面を検査対象面として探傷を行う超音波探傷方法であって、探触子を上記検査対象面の曲面に沿って軸受の軸方向に回転しながら探傷を行い、その探触子の回転中心軸を下記(a)〜(c)の条件を満たすように設定すると共に、該探触子を、上記検査対象面に立てた法線に対し上記探触子の回転中心軸に沿うように傾けることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の転がり軸受の超音波探傷方法。
    (a)探傷する検査対象面の幅方向での中心点を通る。
    (b)探傷する検査対象面に立てた法線に対して垂直である。
    (c)検査対象となる軌道輪若しくは転動体の軸に対して垂直な面上にある。
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