JP2003138440A - ポリプロピレン系複合繊維 - Google Patents

ポリプロピレン系複合繊維

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JP2003138440A
JP2003138440A JP2001333876A JP2001333876A JP2003138440A JP 2003138440 A JP2003138440 A JP 2003138440A JP 2001333876 A JP2001333876 A JP 2001333876A JP 2001333876 A JP2001333876 A JP 2001333876A JP 2003138440 A JP2003138440 A JP 2003138440A
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fiber
polypropylene
propylene
temperature
fibers
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JP2001333876A
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Junichi Nishimura
淳一 西村
Toru Matsumura
徹 松村
Kenji Kobayashi
賢治 小林
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Japan Polychem Corp
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Japan Polychem Corp
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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常のポリプロピレンフィラメント糸と同等
の強伸度を有し、かつ良好な混繊状態のポリプロピレン
系異収縮混繊糸を提供。 【解決手段】 プロピレン系重合体からなる第1繊維
と、メタロセン触媒によって重合されMFRが1〜10
0g/10分、Q値が2.0〜4.0、Tmが110〜
140℃、T80−T20が10℃以下、TREF測定
時の0℃可溶分量が3重量%以下、α−オレフィン含有
量が1〜18モル%のプロピレン・α−オレフィンラン
ダム共重合体からなる第2繊維とからなる異種混繊繊維
であって、第1繊維と第2繊維との融点差が20℃以上
であることを特徴とするプロピレン系複合繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレン系
複合繊維に関し、特に嵩高性に優れる異種混繊のポリプ
ロピレン系複合繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、異収縮混繊の複合繊維は、嵩
高性を有する繊維として用いられている。この異収縮混
繊糸を得る方法として、高収縮繊維糸と低収縮繊維糸を
引き揃えエアー加工する方法がある。一方、少量のエチ
レンを含むエチレンプロピレンランダムコポリマーから
なる繊維が高収縮性を示すことは、特開平5−4410
8号公報等に開示されているが、エチレンプロピレンラ
ンダムコポリマー繊維自体は、短繊維或いはその紡績糸
であり、他繊維との複合化も混紡に限られ、低収縮繊維
糸と引き揃えエアー交絡加工しても良好な異収縮混繊糸
とはならない。
【0003】また、特開平8−113837号公報に
は、一方の成分としてMFRが5〜30g/10分のエ
チレンプロピレンランダムコポリマーからなる延伸フィ
ラメントを用いる技術が開示されているが、ここで用い
られているエチレンプロピレンランダムコポリマーは、
低融点成分や溶媒で溶出される成分が多く含まれている
ため、溶融紡糸時に固化が非常に遅く、紡糸ノズル下で
溶融繊維同士の融着が顕著に起こり、生産性に支障を来
たすといった問題がある。また、繊維化後、編地にした
場合にこれらの成分は、編地表面のぬめりやベタツキの
原因ともなり、好適な材料ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題点に鑑み、通常のポリプロピレンフィラメント糸と
同等の強伸度を有し、かつ良好な混繊状態のポリプロピ
レン系異収縮混繊糸を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹脂
とメタロセン触媒で重合した特定のプロピレン・α−オ
レフィンランダム共重合体とを、同一紡糸ノズルにて溶
融紡糸し、延伸することにより良好な混繊状態のポリプ
ロピレン系異収縮混繊糸が得られ、さらに、熱処理して
後者の繊維を収縮させることにより、前者の繊維にルー
プを形成させ、嵩高性に優れると同時に、ぬめり、ベタ
ツキ性が改善された繊維が得られることを見出して本発
明を完成させた。
【0006】すなわち、本発明の第1の発明によれば、
プロピレン系重合体からなる第1繊維と、メタロセン触
媒によって重合され下記特性(1)〜(6)を有するプ
ロピレン・α−オレフィンランダム共重合体からなる第
2繊維からなる異種混繊繊維であって、第1繊維と第2
繊維の融点差が20℃以上であることを特徴とするポリ
プロピレン系複合繊維が提供される。 特性(1):MFRが1〜100g/10分 特性(2):Q値が2.0〜4.0 特性(3):Tmが110〜140℃ 特性(4):T80−T20が10℃以下 特性(5):TREF測定時の0℃可溶分量が3重量%
以下 特性(6):α−オレフィン含有量が1〜18モル% (但し、MFRはJIS−K6921による230℃、
21.18Nでのメルトフローレート、Q値はGPCに
より測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnと
の比(Mw/Mn)、Tmは示差走査熱量計(DSC)
によって得られる融解曲線のピーク温度、T80は温度
上昇溶離分別(TREF)によって得られる積分溶出曲
線において80重量%が溶出する温度、T20は20重
量%が溶出する温度をそれぞれ示す。)
【0007】また、本発明の第2の発明によれば、第1
繊維と第2繊維が撚糸された異種混繊繊維である第1の
発明に記載のポリプロピレン系複合繊維が提供される。
【0008】また、本発明の第3の発明によれば、特性
(4):T80−T20が2〜8℃である第1又は2の
発明に記載のポリプロピレン系複合繊維が提供される。
【0009】また、本発明の第4の発明によれば、プロ
ピレン・α−オレフィンランダム共重合体のα−オレフ
ィンがエチレンであり、その含有量が1〜12モル%で
ある第1〜3の発明に記載のポリプロピレン系複合繊維
が提供される。
【0010】また、本発明の第5の発明によれば、プロ
ピレン・α−オレフィンランダム共重合体からなる第2
繊維の120℃における熱収縮率が、40%以上である
ことを特徴とする第1〜4のいずれかの発明に記載のポ
リプロピレン系複合繊維が提供される。
【0011】また、本発明の第6の発明によれば、ポリ
プロピレン系複合繊維が、偏心芯鞘型またはサイドバイ
サイド型複合繊維であることを特徴とする第1〜5のい
ずれかの発明に記載のポリプロピレン系複合繊維が提供
される。
【0012】また、本発明の第7の発明によれば、第1
〜6のいずれかの発明に記載のポリプロピレン系複合繊
維を用いた衣料品が提供される。
【0013】また、本発明の第8の発明によれば、第1
〜6のいずれかの発明に記載のポリプロピレン系複合繊
維を用いたファブリックまたはカーペットが提供され
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリプロピレン系複合繊維の第2繊維として用
いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、
メタロセン触媒を使用して共重合したものである。メタ
ロセン触媒は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の
周期律表第4〜6族遷移金属と、シクロペンタジエニル
基あるいはシクロペンタジエニル誘導体基との錯体を使
用した触媒である。
【0015】メタロセン触媒において、シクロペンタジ
エニル誘導体基としては、ペンタメチルシクロペンタジ
エニル等のアルキル置換体基、あるいは2以上の置換基
が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成した
基を使用することができ、代表的にはインデニル基、フ
ルオレニル基、アズレニル基、あるいはこれらの部分水
素添加物を挙げることができる。また、複数のシクロペ
ンタジエニル基がアルキレン基、シリレン基、ゲルミレ
ン基等で結合したものも好ましく用いられる。
【0016】メタロセン錯体として、具体的には次の化
合物を好ましく挙げることができる。 (1)メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニ
ウムジクロリド、(2)メチレン(シクロペンタジエニ
ル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコ
ニウムジクロリド、(3)イソプロピリデン(シクロペ
ンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、(4)エチレン(シクロ
ペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)
ジルコニウムジクロリド、(5)メチレンビス(インデ
ニル)ジルコニウムジクロリド、(6)エチレンビス
(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、
(7)エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、(8)エチレン(シクロ
ペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロ
リド、(9)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニ
ル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウ
ムジクロリド、(10)ジメチルシリレンビス(インデ
ニル)ジルコニウムジクロリド、(11)ジメチルシリ
レンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)
ジルコニウムジクロリド、(12)ジメチルシリレン
(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウ
ムジクロリド、(13)ジメチルシリレン(シクロペン
タジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウ
ムジクロリド、(14)メチルフェニルシリレンビス
[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]
ジルコニウムジクロリド、(15)ジメチルシリレンビ
ス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]
ジルコニウムジクロリド、(16)ジメチルシリレンビ
ス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニ
ウムジクロリド、(17)ジメチルシリレンビス[1−
(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−ア
ズレニル)]ジルコニウムジクロリド、(18)ジメチ
ルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロ
フェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロ
リド、(19)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチ
ル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウム
ジクロリド、(20)ジフェニルシリレンビス[1−
(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−ア
ズレニル)]ジルコニウムジクロリド、(21)ジメチ
ルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルイ
ンデニル))]ジルコニウムジクロリド、(22)ジメ
チルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニル
インデニル))]ジルコニウムジクロリド、(23)ジ
メチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル
−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、(2
4)ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウ
ムジクロリド、(25)ジメチルゲルミレン(シクロペ
ンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリ
ド。
【0017】また、チタニウム化合物、ハフニウム化合
物などの他の第4、5、6族遷移金属化合物についても
上記と同様の化合物が挙げられる。本発明の触媒成分お
よび触媒については、これらの化合物を併用してもよ
い。
【0018】また、これらの化合物のクロリドの一方あ
るいは両方が臭素、ヨウ素、水素、メチルフェニル、ベ
ンジル、アルコキシ、ジメチルアミド、ジエチルアミド
等に代わった化合物も例示することができる。さらに、
上記のジルコニウムの代わりに、チタン、ハフニウム等
に代わった化合物も例示することができる。
【0019】助触媒としては、アルミニウムオキシ化合
物、メタロセン化合物と反応してメタロセン化合物成分
をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物もし
くはルイス酸、固体酸、あるいは、イオン交換性層状珪
酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が
用いられる。また、必要に応じてこれら化合物と共に有
機アルミニウム化合物を添加することができる。
【0020】アルミニウムオキシ化合物としては、メチ
ルアルモキサン、エチルアルモキサン、プロピルアルモ
キサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサ
ン、メチルエチルアルモキサン、メチルブチルアルモキ
サン、メチルイソブチルアルモキサン等が例示される。
また、トリアルキルアルミニウムとアルキルボロン酸と
の反応物を使用することもできる。例えば、トリメチル
アルミニウムとメチルボロン酸の2:1の反応物、トリ
イソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1反応
物、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニ
ウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物、トリエチル
アルミニウムとブチルボロン酸の2:1反応物などであ
る。
【0021】イオン交換性層状珪酸塩としては、モンモ
リロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナ
イト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、
ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バー
ミキュライト族、雲母族などの珪酸酸塩が用いられる。
これらのケイ酸塩は化学処理を施したものであることが
好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不
純物を除去する表面処理と層状ケイ酸塩の結晶構造、化
学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることがで
きる。具体的には、(イ)酸処理、(ロ)アルカリ処
理、(ハ)塩類処理、(ニ)有機物処理等が挙げられ
る。これらの処理は、表面の不純物を取り除く、層間の
陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mg等
の陽イオンを溶出させ、その結果、イオン複合体、分子
複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離、固
体酸性度等を変えることができる。これらの処理は単独
で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよ
い。
【0022】また、必要に応じてこれら化合物と共にト
リエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、
ジエチルアルミニウムクロリド等の有機アルミニウム化
合物が使用してもよい。
【0023】本発明においては、上記メタロセン触媒を
使用してプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体
を得る。α−オレフィンとしては、プロピレンを除く炭
素数2〜20のα−オレフィンがあげられ、例えばエチ
レン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチル−1−ブ
テン、ヘキセン−1、3−メチル−1−ペンテン、4−
メチル−1−ペンテン、ヘプテン−1、オクテン−1、
ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1、テトラデセン
−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセ
ン−1等を例示できる。プロピレンと共重合されるα−
オレフィンは一種類でも二種類以上併用してもよい。こ
のうちエチレン、ブテン−1が好適であり、特にエチレ
ンが好適である。
【0024】重合法としては、これらの触媒の存在下、
不活性溶媒を用いたスラリー法、実質的に溶媒を用いな
い気相法や溶液法、あるいは重合モノマーを溶媒とする
バルク重合法等が挙げられる。
【0025】本発明で用いるプロピレン・α−オレフィ
ンランダム共重合体は、前述のメタロセン触媒で重合さ
れた共重合体であって、次の特性(1)〜(6)を有し
ている必要がある。以下、各特性について説明する。
【0026】(1):MFR MFRは、JIS−K6921による230℃、21.
18Nでのメルトフローレートを表わす。本発明で用い
るプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のMF
Rは、1〜100g/10分であり、好ましくは2〜7
0g/10分であり、より好ましくは3〜50g/10
分である。MFRが1g/10分未満の場合、紡糸圧力
が高くなりすぎ、高倍率での延伸が困難となり、繊維径
の不均一などの弊害が生じる。逆に、100g/10分
を超える場合、分子鎖が短いことから繊維強度が低くな
るといった弊害が生じる。ポリマーのMFRを調節する
には、例えば、重合温度、触媒量、分子量調節剤として
の水素の供給量など適宜調節する方法、あるいは重合終
了後に過酸化物添加により調整する方法がある。
【0027】(2):Q値 Q値は、GPCにより測定した重量平均分子量Mwと数
平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)を表す。本発明で
用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の
Q値は、2.0〜4.0であり、好ましくは2.2〜
3.7であり、より好ましくは2.3〜3.5である。
Q値が4.0を超えると、高分子量成分の存在により紡
糸延伸性が損なわれるといった弊害が生じる。逆に、2
未満であると、高分子量成分が少なくなりすぎることに
より、紡糸ノズル直下での溶融繊維の粘性が低くなり、
これに伴う糸揺れが顕著となり、紡糸安定性が損なわれ
好ましくない。プロピレン・α−オレフィンランダム共
重合体のQ値を調整する方法は、好ましくは2種以上の
メタロセン触媒成分の併用した触媒系や2種以上のメタ
ロセン錯体を併用した触媒系を用いて重合する、または
重合時に2段以上の多段重合を行うことによりQ値を広
く制御することができる。逆にQ値を狭く調整するため
には、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を
重合後、有機過酸化物を使用し溶融混練することにより
調整することができる。
【0028】なお、Q値の具体的測定は、次の条件でお
こなう。 装置 :Waters社製HLC/GPC 150C カラム温度:135℃ 溶媒 :o−ジクロロベンゼン 流量 :1.0ml/min カラム :東ソー株式会社製 GMHHR−H(S)HT 60cm×1 注入量 :0.15ml(濾過処理無し) 溶液濃度 :5mg/3.4ml 試料調整 :o−ジクロロベンゼンを用い、5mg/3.4mlの溶液に調整 し140℃で1〜3時間溶解させる。 検量線 :ポリスチレン標準サンプルを使用。 検量線次数:1次 PP分子量:PS×0.639
【0029】(3):Tm 本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共
重合体のTmは、示差走査熱量計(DSC)によって得
られる融解曲線のピーク温度を表し、110〜140℃
であり、好ましくは115〜135℃、より好ましくは
120〜130℃である。Tmが140℃を超える場
合、嵩高性を付与するための熱処理温度を高めに設定す
る必要がある、また高めに設定することにより、もう一
成分繊維の収縮も発生してしまい、好ましい嵩高繊維を
得ることが困難となる。一方、110℃未満である場合
は、紡糸時にノズル直下で溶融繊維が固化しづらくなる
ことから、融着を引き起こし、安定的に繊維を得ること
が困難となってしまう。ポリマーのTmを調節するに
は、通常コモノマー含量を適宜調節する方法とられる。
コモノマーのα−オレフィン含有量が多くなるとTmは
低下する方向となる。
【0030】なお、Tmの具体的測定は、パーキンエル
マー社製の示差走査熱量計(DSC)を用い、サンプル
量10mgを採り、200℃で5分間保持した後、40
℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、更に10℃
/分の昇温速度で融解させたときに描かれる曲線のピー
ク位置を、融解ピーク温度Tm(℃)とする。
【0031】(4):T80−T20 80は温度上昇溶離分離(TREF)によって得られ
る溶出曲線において80重量%が溶出する温度、T20
は20重量%が溶出する温度を表わす。本発明で用いる
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体において
は、T80−T 20を10℃以下であり、好ましくは2
〜9℃であり、より好ましくは2〜8℃である。T80
−T20が10℃を超える場合は、低融点成分が増加す
るため、構成繊維のべたつき、編地とした時の表面のぬ
めり、紡糸性能の低下等の弊害が生じる。ポリマーのT
80−T20が上記のように特定の狭い範囲にあること
は、ポリマーの分子量分布がより均一であることを意味
している。プロピレン・α−オレフィンランダム共重合
体のT80−T20を調整する方法は、2種以上のメタ
ロセン触媒成分の併用した触媒系や2種以上のメタロセ
ン錯体を併用した触媒系を用いて重合することにより、
80−T20を大きく調整することができる。また、
担体にメタロセン触媒成分を担持する際、担持が不均一
である触媒を使用して重合した場合、低分子量成分が増
え、これに伴いT −T20が大きくなってしまう。
したがってメタロセン触媒成分を担体に均一に担持する
技術が重要である。
【0032】ここで、上記温度上昇溶離分別(TRE
F)とは、不活性担体の存在下に一定高温下でポリマー
を完全に溶解させた後に冷却し、該不活性担体表面に薄
いポリマー層を生成させ、次に、温度を連続又は段階的
に昇温して、溶出した成分を回収し、その濃度を連続的
に検出して、その溶出量と溶出温度によって描かれるグ
ラフ(溶出曲線)により、ポリマーの組成分布を測定す
る方法である。温度上昇溶離分別(TREF)の測定の
詳細については、Journal of Applie
d Polymer Science第26巻 第42
17〜4231頁(1981年)に記載されており、本
発明においてもこれに従う。
【0033】なお、T80−T20は、具体的には、次
の条件で測定した値である。測定装置は、ダイヤインス
ツルメンツ製CFC T−102Lを使用し、まず、測
定すべきサンプルを溶媒(o−ジクロロベンゼン)を用
い、3mg/mlとなるように、140℃で溶解し、こ
れを測定装置内のサンプルループ内に注入する。以下の
測定は設定条件にしたがって自動的に行われる。サンプ
ルループ内に保持された試料溶液は、溶解温度の差を利
用して分別するTREFカラム(不活性担体であるガラ
スビーズが充填された内径4mm、長さ150mmの装
置付属のステンレス製カラム)に0.4ml注入され
る。次に該サンプルを1℃/分の速度で140℃から0
℃の温度まで冷却させる。TREFカラムが0℃で更に
30分間保持された後、0℃の温度で溶解している成分
2mlが1ml/分の流速でTREFカラムからSEC
カラム(昭和電工製AD806MS 3本)へ注入され
る。SECで分子サイズの分別が行われている間に、T
REFカラムでは次の溶出温度(10℃)に昇温され、
その温度に約30分保持される。SECでの各溶出区分
の測定は39分間隔で行われる。溶出温度は0℃から4
0℃まで10℃毎に、40℃から90℃まで5℃毎に、
90℃から140℃までは4℃毎に階段的に昇温され
る。該SECカラムで分子サイズによって分別された溶
液は装置付属の赤外線分光光度計で検出され、各溶出温
度区分におけるクロマトグラフが得られる。なお、赤外
線分光光度計での検出は検出波数3.42μmにおける
吸光度を使用して行われ、溶液中のポリマー成分量と吸
光度とが比例するものとして以下のデータ処理が行われ
る。各溶出温度区分におけるクロマトグラムは内蔵のデ
ータ処理ソフトにより処理され、各クロマトグラムの面
積を基に、積算が100%となるように規格化された各
溶出温度区分の溶出量が計算される。更に、得られた各
溶出温度区分の溶出量から、積分溶出曲線が作成され
る。0℃可溶分量とは0℃で溶出したポリマー成分の量
(%)を示すものであり、T20とは積算溶出量が20
%となる温度を、T80とは積算溶出量が80%となる
温度を示すものである。
【0034】(5):TREF測定時の0℃可溶分量 本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共
重合体のTREF測定時の0℃可溶分量は、3重量%以
下であり、好ましくは1.0重量%以下であり、更に好
ましくは0.5重量%以下であり、特に好ましくは0.
3重量%以下である。TREF測定時の0℃可溶分量が
3重量%を超える場合は、低融点成分、低分子量成分、
エチレンが非常に多く導入された成分等が増加するた
め、構成繊維のべたつき、編地とした時の表面のぬめ
り、紡糸性能の低下等の弊害が生じるため好ましくな
い。プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のT
REF0℃可溶分の量は、担体にメタロセン触媒成分を
担持する際、担持が不均一である触媒を使用して重合し
た場合、低分子量が増え、これに伴いTREF0℃可溶
分の量が増加してしまう。したがってメタロセン触媒成
分を担体に均一に担持する触媒を使用して重合すること
によりTREF0℃可溶分の量を3重量%以下に調整す
ることができる。
【0035】(6)α−オレフィン含有量 本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共
重合体中のα−オレフィン(コモノマー)含有量は、1
〜18モル%に調節することが必要である。コモノマー
含有量は、好ましくは2.5〜10モル%、より好まし
くは3〜8モル%である。特にコモノマーがエチレンの
場合は、1〜12モル%が好ましい。コモノマー含有量
が上記範囲よりも少量であると、融点が高くなることに
より、嵩高性を付与するための熱処理温度を高めに設定
する必要がある。また高めに設定することにより、もう
一成分繊維の収縮も発生してしまい、好ましい嵩高繊維
を得ることが困難となる。一方、多すぎると融点が低下
しすぎることにより、紡糸時にノズル直下で溶融繊維が
固化しづらくなることから、融着を引き起こし、安定的
に繊維を得ることが困難となってしまう。ポリマー中の
α−オレフィン含有量は重合反応系へ供給するα−オレ
フィンの量を制御することにより容易に調節することが
できる。なお、本発明において、α−オレフィン含有量
は、フーリエ変換赤外分光光度計により定量されるもの
である。
【0036】本発明のプロピレン・α−オレフィンラン
ダム共重合体には、本発明の目的が損なわれない範囲
で、各種添加剤、例えば、耐熱安定剤、酸化防止剤、耐
候安定剤、紫外線吸収剤、結晶造核剤、銅害防止剤、帯
電防止剤、スリップ剤、抗ブロッキング剤、防曇剤、着
色剤、充填剤、エラストマー、石油樹脂などを配合する
ことができる。
【0037】本発明における繊維の成形材料であるポリ
プロピレン樹脂組成物は、上記プロピレン・α−オレフ
ィンランダム共重合体と、必要に応じて、上記の各種添
加剤、さらに他の樹脂成分等をドライブレンドの状態あ
るいは溶融混練機を用いて、好ましくは、180〜30
0℃で加熱溶融混練し、粒状に裁断されたペレットの状
態で提供される。
【0038】本発明の複合繊維における第1繊維のポリ
プロピレン系樹脂成分としては、プロピレン単独重合体
が挙げられる。ポリプロピレン単独重合体は、特に限定
されないが、上記プロピレン・α−オレフィンランダム
共重合体との融点差が20℃以上であることが必要であ
る。融点差が20℃未満であると、嵩高性を付与するた
めの熱処理温度の調整が難しくなり、熱処理温度を高め
に設定することとなるる。また熱処理温度を高めに設定
することにより、第1繊維の収縮も発生してしまい、好
ましい嵩高繊維を得ることが困難となる。複合繊維にお
ける第1繊維の割合は、好ましくは30〜70重量%、
さらに好ましくは40〜60重量%であり、第2繊維の
割合は、好ましくは70〜30重量%、さらに好ましく
は60〜40重量%であることが好ましい。それぞれの
繊維の割合が上記範囲外であると、所望の嵩高性が得ら
れにくく好ましくない。
【0039】さらに、第1繊維と第2繊維の熱収縮率に
は、差があることが好ましく、特に第2繊維のプロピレ
ン・α−オレフィンランダム共重合体からの繊維の12
0℃における熱収縮率は、40%以上であることが好ま
しい。120℃における熱収縮率が40%未満の場合、
第1繊維と混繊、熱処理をした際に、第2繊維の収縮が
不足することにより、第1繊維のループの形成が効果的
に行われず、嵩高性を付与することができない。
【0040】本発明の複合繊維は、次の紡糸方法を用い
て成形することができる。ポリプロピレン系樹脂を紡糸
する孔群とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合
体を紡糸する他方の孔群とを有し、2つの孔群が平行に
並び、対向する孔が互い違いに配置されている紡糸ノズ
ル、あるいは、一方の孔群が他方の孔群で分割され交互
に供給ポリマーの異なる孔群が配置された紡糸ノズル、
を用い溶融紡糸する手法を採ることができる。この他、
公知の異種混繊繊維用紡糸ノズルを用いて溶融紡糸する
ことができる。またはポリプロピレン系樹脂とプロピレ
ン・α−オレフィンランダム共重合体とを偏心芯鞘型ま
たはサイドバイサイド型の紡糸ノズルを用い複合繊維を
得る方法を採ることができる。溶融紡糸における各樹脂
の押出温度は、好ましくは220〜240℃であり、両
ポリマーの押出温度を同程度とすることが製糸安定性、
ループ発生抑止の面で好ましい。紡糸速度は、300m
/min以上が好ましい。また、紡糸後、撚糸を加える
ことにより、複合繊維の嵩高性を、一層高めることがで
きる。嵩高性に優れた繊維を得るためには撚糸を施すこ
とが好ましく、撚糸工程は、公知の方法で行うことがで
きる。
【0041】本発明においては、好ましくは溶融紡糸
し、引き取りを行い、必要に応じ撚糸を加え混繊状態の
未延伸糸フィラメントとした後、未延伸糸を、好ましく
は延伸倍率2〜6倍で延伸し、または延伸倍率2〜6倍
で延伸同時エアー加工を行う。延伸は、好ましくは延伸
温度65〜100℃で行い、好ましくは温度90〜13
0℃で熱セットする。延伸倍率が2倍未満では、得られ
る混繊糸の強度が低下し、伸度が増加する。6倍を超え
ると、製糸安定性が低下する。延伸温度が65℃未満で
は、高倍率延伸ができず混繊糸の強度が低下し、製糸安
定性も低下し、100℃を超えると、製糸安定性が低下
する。熱セットは、熱板方式、ローラー方式等任意の方
式が用いられ、熱セット温度が90℃未満では、混繊糸
が室温でも経時的収縮を生じ、130℃を超えると、製
糸安定性が低下する。
【0042】延伸操作により、通常の延伸フィラメント
は、収縮率が20%以下の熱収縮性が付与されるのみで
あるが、本発明のプロピレン・α−オレフィンランダム
共重合体からなる延伸フィラメントには、温度120℃
における収縮率が40%以上の高熱収縮性が付与され、
この高収縮成分の高熱収縮性により高い嵩高性を有する
ポリプロピレン系複合繊維が得られる。プロピレン・α
−オレフィンランダム共重合体からなる繊維の、温度1
20℃における収縮率が40%未満であると、複合繊維
の嵩高性が充分でなく好ましくない。
【0043】本発明によるポリプロピレン系異収縮混繊
糸は、通常のポリプロピレンフィラメント糸と同等の強
度及び伸度を有しながら、高い嵩高性を有するものであ
り、熱処理により高収縮成分のプロピレン・α−オレフ
ィンランダム共重合体の延伸フィラメントが収縮し、他
方のポリプロピレン延伸フィラメントがループとなり嵩
高が発現する。嵩高の発現は、糸の状態でもできるが、
嵩高の発現を、織成または編成し織物または編物とした
後に熱処理を施し、行うこともできる。また、糸の状態
で熱処理前に追撚した後、熱処理すると小さなループが
発現しカバーリング調の糸となる。
【0044】嵩高発現の熱処理には、温度110〜13
0℃の乾熱処理が好ましく適用される。温度が110℃
未満では、収縮率差が小さくなり嵩高性が低くなり、1
30℃を超えると、織編物が硬くなり、風合い的に劣っ
たものとなる。
【0045】本発明のプロピレン系複合繊維は、嵩高性
に優れると同時に、ぬめり、ベタツキ性が改善された繊
維であるので、衣料品、ファブリック又はカーペットに
好適に用いることができる。
【0046】
【実施例】次に本発明を実施例により更に具体的に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り下記の実施例
に限定されるものではない。なお、物性等の測定は下記
の通りである。また、実施例、比較例で用いた樹脂組成
物を構成する樹脂の製造法を重合例に示した。
【0047】(1)MFRの測定法:JIS−K692
1−2附属書に準拠し測定した。(条件:温度/230
℃、荷重21.18N)
【0048】(2)Q値:ゲル・パーミエーションクロ
マトグラフィ(GPC)により測定した重量平均分子量
Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)をQ値と
した。測定条件は前記のとおりである。 検量線 :表1のポリスチレン標準サンプルを使用し
た。
【0049】
【表1】
【0050】(3)融解ピーク温度(Tm):前述した
方法により測定した。
【0051】(4)温度上昇溶離分別(TREF)によ
る、T80−T20、0℃可溶分量:前記の測定方法で
測定した。
【0052】(5)紡糸延伸性:0.8mmφ×60孔
のノズルを使用し、1時間の溶融紡糸延伸中に糸切れの
発生回数で次の基準で判断した。 ○:糸切れ回数が0〜2回 △:3〜6回 ×:7回以上
【0053】(6)繊度:紡糸延伸後の繊維60フィラ
メントの1mあたりの重量測定を5回行い、その平均か
ら、10000mあたりの重量を求め、繊度(dte
x)とした。
【0054】(7)第2繊維の収縮率:第2繊維に使用
する樹脂のみを、下記条件で溶融紡糸延伸を行い、当該
繊維をオーブンにて120℃、10分の条件で熱収縮率
測定を行った。 紡糸延伸条件 紡糸ノズル:φ0.8mm×40孔 紡糸温度 :230℃ 吐出量 :0.65g/分・孔 第1ロール回転数:200m/分 、温度 :70℃ 第2ロール回転数:600m/分 、温度 :100℃ 第3ロール回転数:800m/分 、温度 :100℃ 第4ロール回転数:800m/分 、温度 :30℃ 巻取り回転数 :800m/分
【0055】(8)編地の触感評価:メリヤス織で次の
基準で評価した。 ○:編地表面にぬめりがなく、さらっとしているもの ×:ぬめり、ベタツキ感のあるもの
【0056】(9)編地の厚み:メリヤス織の編地をマ
イクロメータを使用し厚みを測定した。厚いものほど嵩
高くなっていることを示す。
【0057】重合例1 (1)触媒の調整 3つ口フラスコ(容積1L)中に硫酸で逐次的に処理さ
れたスメクタイト族ケイ酸塩(水沢化学社製ベンクレイ
SL)20g、ヘプタン200mLを仕込み、トリノル
マルオクチルアルミニウム50mmolで処理後ヘプタ
ンで洗浄し、スラリー1とした。また別のフラスコ(容
積200mL)中に、ヘプタン90mL、〔(r)−ジ
クロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル
−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]
ジルコニウム〕0.3mmol、トリイソブチルアルミ
ニウム1.5mmolを仕込みスラリー2とした。スラ
リー2を、上記スラリー1に加えて、室温で60分攪拌
した。その後ヘプタンを210mL追加し、このスラリ
ーを1Lオートクレーブに導入した。オートクレーブの
内部温度を40℃にしたのちプロピレンを10g/時の
速度でフィードし4時間40℃を保ちつつ予備重合、1
時間残重合を、行い予備重合触媒83gを得た。
【0058】(2)プロピレン・α−オレフィンランダ
ム共重合体の製造 内容積270Lの反応器に液状プロピレン、エチレン、
水素、およびトリイソブチルアルミニウム(TIBA)
のヘキサン希釈溶液を連続的に供給し、内温を62℃に
保持した。プロピレンの供給量は、38kg/hrであ
り、エチレンの供給量は1.1kg/hrであり、水素
の供給量は0.11g/hrであり、TIBAの供給量
は18g/hrであった。前記予備重合触媒を流動パラ
フィンによりスラリー状とし、1.15g/hrでフィ
ードした。その結果、11.3kg/hrのプロピレン
・エチレンランダム共重合体Iを得た。得られたプロピ
レン・エチレンランダム共重合体Iは、MFR=9.5
g/10分、エチレン含量=5.0mol%、Tm=1
24.9℃、Q値=2.8であった。
【0059】重合例2 重合例1で調整した固体触媒を用い、エチレンの供給量
を1.6kg/hr、水素の供給量を0.21g/h
r、予備重合触媒を流動パラフィンによりスラリー状と
したフィード量を0.87g/hrに変更した以外は、
重合例1と同様にして重合を行った。その結果、12k
g/hrのプロピレン・エチレンランダム共重合体II
を得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合
体IIは、MFR=10g/10分、エチレン含量=
6.3mol%、Tm=120.4℃、Q値=2.8で
あった。
【0060】重合例3 重合例1で調整した固体触媒を用い、エチレンの供給量
を0.97kg/hr、水素の供給量を0.01g/h
r、予備重合触媒を流動パラフィンによりスラリー状と
したフィード量を3.6g/hrに変更した以外は、重
合例1と同様にして重合を行った。その結果、12.3
kg/hrのプロピレン・エチレンランダム共重合体I
IIを得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共
重合体IIIは、MFR=0.5g/10分、エチレン
含量=4.7mol%、Tm=127℃、Q値=2.7
であった。
【0061】重合体IIIのパウダー100重量部に対
して、結晶造核剤として3−メチルブテン−1重合体の
マスターバッチを0.10重量部、酸化防止剤として
1、3、5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒ
ドロキシ−2、6−キシリル)メチル]−1、3、5−
トリアジン−2、4、6(1H、3H、5H)−トリオ
ン(サイテック製、商品名サイアノックス1790)を
0.04重量部、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフ
ェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカ
ルズ製、商品名イルガホス168)を0.05重量部、
中和剤としてステアリン酸カルシウム(日東化成工業
製、商品名Ca−St)を0.05重量部、及び2.5
−ジメチル−2.5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキ
サン(日本油脂社製、商品名パーヘキサ25B)0.0
8重量部を溶融、混練、冷却、カットしてMFRが10
g/10分、Q値が1.8のペレット状プロピレン共重
合体組成物IIIを調製した。
【0062】重合例4 内容積200リットルの攪拌式オートクレーブをプロピ
レンで十分に置換した後、脱水・脱酸素処理したn−ヘ
プタン60Lを導入し、ジエチルアルミニウムクロリド
16g、三塩化チタン触媒(エム・アンド・エム社製)
4.1gを50℃でプロピレン雰囲気下で導入した。更
に気相水素濃度を6.0容量%に保ちながら、50℃の
温度で、プロピレン5.7kg/時及びエチレン0.2
8kg/時の速度で4時間フィードした後、更に1時間
重合を継続した。その結果、12kgのプロピレン・エ
チレンランダム共重合体IVを得た。得られたプロピレ
ン・エチレンランダム共重合体IVは、MFR=6.4
g/10分、エチレン含量=5.9mol%、Tm=1
40℃、Q値=4.4であった。
【0063】重合例5 重合例4で調製した固体触媒を用い、水素の供給量を
0.03g/hr、予備重合触媒を流動パラフィンによ
りスラリー状としたフィード量を1.5g/hrに変更
した以外は、重合例5と同様にして、重合を行った。そ
の結果、12.5kg/hrのプロピレン・エチレンラ
ンダム共重合体Vを得た。得られたプロピレン・エチレ
ンランダム共重合体Vは、MFR=6g/10分、エチ
レン含量6.5mol%、Tm=130℃、Q値=4.
5であった。
【0064】重合体例で製造した重合体I〜Vの物性値
をTREFの測定値を含めて表2に示す。表2より明ら
かなように本発明で用いるプロピレン・α−オレフィン
共重合体は、重合体I〜IIであり、重合体組成物II
、重合体IV、Vは範囲外の重合体である。
【0065】
【表2】
【0066】実施例1 表2に示す重合体Iパウダー100重量部に対して、結
晶造核剤として3−メチルブテン重合体のマスターバッ
チを0.10重量部、酸化防止剤として1、3、5−ト
リス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2、
6−キシリル)メチル]−1、3、5−トリアジン−
2、4、6(1H、3H、5H)−トリオン(サイテッ
ク製、商品名サイアノックス1790)を0.04重量
部、トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホス
ファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品
名イルガホス168)を0.05重量部、及び中和剤と
してステアリン酸カルシウム(日東化成工業製、商品名
Ca−St)を0.05重量部配合し、ヘンシェルミキ
サーで500rpm、3分間高速混合した後、φ50m
m単軸押出機(ユニオンプラスチック社製)を使用し、
押出温度230℃の条件で、溶融、混練、冷却、カット
してペレット状のプロピレン共重合体組成物を調製し
た。次に、得られた組成物を第2繊維原料として使用
し、第1繊維原料として、MFR11g/10分、融点
159℃、Q値4.2のホモポリプロピレン(SA3:
日本ポリケム社製)を使用し、複合繊維成形を行った。
紡糸ノズルは、第1繊維、第2繊維用の孔がそれぞれ平
行に配列したもので、φ0.8mm×30孔×2列を使
用した。なお、両繊維比率は第1繊維/第2繊維で50
/50とした。紡糸条件は、以下の通りにして、繊度4
80dtex/60fの異種混繊糸を得た。繊維の評価
結果を表3に示す。
【0067】紡糸延伸条件 紡糸温度 :230℃ 吐出量 :1.6g/分・孔 第1ロール回転数:200m/分 、温度 :70℃ 第2ロール回転数:600m/分 、温度 :100℃ 第3ロール回転数:800m/分 、温度 :100℃ 第4ロール回転数:720m/分 、温度 :120℃ 巻取り回転数 :720m/分
【0068】実施例2 実施例1の重合体Iを重合体IIに代えた以外は、実施
例1におけるプロピレン共重合体組成物の調整と同様に
プロピレン共重合体組成物IIを得た。第2繊維用の樹
脂を共重合体組成物IIとした以外は、実施例1と同様
にして繊度483dtex/60fの異種混繊糸得た。
繊維の評価結果を表3に示す。
【0069】実施例3 サイドバイサイド複合ノズル(φ0.8mm×60孔)
を用い、複合繊維成形を行った。原料樹脂は、ホモポリ
プロピレン(日本ポリケム社製:SA3)と実施例2で
使用した共重合体組成物IIを用い、両成分比は50/
50とした。その外は実施例1と同様にして繊度481
dtex/60fのサイドバイサイド型複合繊維を得
た。繊維の評価結果を表3に示す。
【0070】比較例1 プロピレン共重合体組成物IIIを第2繊維用の原料
とした以外は、実施例1と同様にして紡糸を行ったが、
第2繊維の糸揺れが激しく、ノズル直下で溶融繊維同士
の融着が顕著となり、繊維を得ることができなかった。
繊維の評価結果を表3に示す。
【0071】比較例2 実施例1の重合体Iを重合体IVに代えた以外は、実施
例1におけるプロピレン共重合体組成物の調整と同様に
プロピレン共重合体組成物IVを得た。第2繊維用原料
に共重合体組成物IVを使用した以外は、実施例1と同
様にして繊度481dtex/60fの異種混繊糸を得
た。繊維の評価結果を表3に示す。
【0072】比較例3 実施例1の重合体Iを重合体Vに代えた以外は、実施例
1におけるプロピレン共重合体組成物の調整と同様にプ
ロピレン共重合体組成物を得た。該プロピレン共重合体
組成を第2繊維用原料に使用した以外は、実施例1と同
様にして繊度485dtex/60fの異種混繊糸を得
た。繊維の評価結果を表3に示す。
【0073】比較例4 第2繊維用原料に比較例2で調整した重合体IVを使用
した以外は、実施例3と同様にして繊度481dtex
/60fのサイドバイサイド型複合繊維を得た。繊維の
評価結果を表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】表3より明らかなように、本発明の複合繊
維は、紡糸性に優れ、編地した際にはその感触、嵩高性
に優れる(実施例1〜3)。一方、メタロセン触媒で重
合して得られるプロピレン・エチレンランダム共重合体
であっても、メタロセン触媒で重合して得られるプロピ
レン・エチレンランダム共重合体であってもQ値が小さ
過ぎると、糸揺れによる繊維融着が起き紡糸不能であり
(比較例2)、チーグラー系触媒で重合した共重合体を
用いると繊維強度が低く編地の表面べたつきが生じ、嵩
高な繊維が得られないか、紡糸性が悪く溶融断糸が生じ
る(比較例3〜5)。
【0076】
【発明の効果】本発明の複合繊維は、良好な混繊状態の
ポリプロピレン系異収縮混繊糸であり、さらに、熱処理
して後者の繊維を収縮させることにより、嵩高性に優れ
ると同時に、ぬめり、ベタツキ性が改善され、通常のポ
リプロピレンフィラメント糸と同等の強伸度を有する繊
維であるので、衣料品、ファブリック、カーペットに好
適に用いることができる。
フロントページの続き (72)発明者 小林 賢治 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番1号 日 本ポリケム株式会社材料開発センター内 Fターム(参考) 4L035 BB31 DD15 DD17 GG02 MA10 4L036 MA04 MA17 MA24 MA33 MA39 PA01 PA03 PA18 PA21 RA03 UA01 4L041 AA07 BA22 BB08 BC20

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレン系重合体からなる第1繊維
    と、メタロセン触媒によって重合され下記特性(1)〜
    (6)を有するプロピレン・α−オレフィンランダム共
    重合体からなる第2繊維とからなる異種混繊繊維であっ
    て、第1繊維と第2繊維との融点差が20℃以上である
    ことを特徴とするポリプロピレン系複合繊維。 特性(1):MFRが1〜100g/10分 特性(2):Q値が2.0〜4.0 特性(3):Tmが110〜140℃ 特性(4):T80−T20が10℃以下 特性(5):TREF測定時の0℃可溶分量が3重量%
    以下 特性(6):α−オレフィン含有量が1〜18モル% (但し、MFRはJIS−K6921による230℃、
    21.18Nでのメルトフローレート、Q値はGPCに
    より測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnと
    の比(Mw/Mn)、Tmは示差走査熱量計(DSC)
    によって得られる融解曲線のピーク温度、T80は温度
    上昇溶離分別(TREF)によって得られる積分溶出曲
    線において80重量%が溶出する温度、T20は20重
    量%が溶出する温度をそれぞれ示す。)
  2. 【請求項2】 第1繊維と第2繊維が撚糸された異種混
    繊繊維であることを特徴とする請求項1に記載のポリプ
    ロピレン系複合繊維。
  3. 【請求項3】 特性(4):T80−T20が2〜8℃
    である請求項1又は2に記載のポリプロピレン系複合繊
    維。
  4. 【請求項4】 プロピレン・α−オレフィンランダム共
    重合体のα−オレフィンがエチレンであり、その含有量
    が1〜12モル%である請求項1〜3のいずれか1項に
    記載のポリプロピレン系複合繊維。
  5. 【請求項5】 プロピレン・α−オレフィンランダム共
    重合体からなる第2繊維の120℃における熱収縮率
    が、40%以上であることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1項に記載のポリプロピレン系複合繊維。
  6. 【請求項6】 ポリプロピレン系複合繊維が、偏心芯鞘
    型またはサイドバイサイド型複合繊維であることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリプロピ
    レン系複合繊維。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポ
    リプロピレン系複合繊維を用いた衣料品。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポ
    リプロピレン系複合繊維を用いたファブリックまたはカ
    ーペット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102691162A (zh) * 2010-10-15 2012-09-26 Mmi-Ipco有限责任公司 智能感温织物

Cited By (1)

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CN102691162A (zh) * 2010-10-15 2012-09-26 Mmi-Ipco有限责任公司 智能感温织物

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