JP2003137924A - 塩化ビニリデン系樹脂スラリーから未反応モノマーを除去及び回収する方法 - Google Patents

塩化ビニリデン系樹脂スラリーから未反応モノマーを除去及び回収する方法

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JP2003137924A
JP2003137924A JP2001339319A JP2001339319A JP2003137924A JP 2003137924 A JP2003137924 A JP 2003137924A JP 2001339319 A JP2001339319 A JP 2001339319A JP 2001339319 A JP2001339319 A JP 2001339319A JP 2003137924 A JP2003137924 A JP 2003137924A
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chloride resin
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Shusaku Shibata
田 修 作 柴
Nobuo Inasaka
坂 伸 夫 稲
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Kureha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩化ビニリデン系樹脂スラリーから未反応モ
ノマーを除去及び回収する方法を提供する。 【解決手段】 水性媒体中で重合して得られた未反応モ
ノマー含有塩化ビニリデン系樹脂スラリーを減圧下に8
0℃以下の温度で水性媒体を沸騰状態にして未反応モノ
マーを気化させて塩化ビニリデン系樹脂スラリーから未
反応モノマーを除去する方法。及び、この除去された未
反応モノマー成分を冷却して水分を分離した後、更に冷
却してガス状の未反応モノマーを液化し回収する塩化ビ
ニリデン系樹脂スラリーから未反応モノマーを回収する
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性媒体中で重合
させて得られる未反応モノマーを含有する塩化ビニリデ
ン系樹脂スラリーから塩化ビニリデン系樹脂の着色等の
品質劣化を防止しながら未反応モノマーを除去する方
法、及び、未反応モノマーを回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塩化ビニル系樹脂スラリーから残
存単量体を分離して除去する方法として、塩化ビニル若
しくは塩化ビニルを主成分とする単量体混合物を水性媒
体中で重合して得られる塩化ビニル系樹脂スラリーを分
離用タンクに配管移送させる途中において、該スラリー
中に水蒸気を吹き込むか又は水蒸気吹き込みと同時に外
部加熱により、スラリーを80〜150℃の温度にまで
急激に加熱し、次いで、該タンク内において80〜10
0℃の温度を維持しながら、スラリーから脱離させる塩
化ビニル系樹脂スラリーから残存単量体を分離し除去す
る方法が特開昭51−135990号公報に提案されて
いる。
【0003】しかし、この塩化ビニル系樹脂スラリーか
ら残存単量体を分離し除去する方法を未反応塩化ビニリ
デンモノマーを含有する塩化ビニリデン系樹脂スラリー
に適用すると、塩化ビニリデン系樹脂は塩化ビニル系樹
脂に比較して熱的安定性が劣るため、80℃以上の温度
で長時間保つことは塩化ビニリデン系樹脂に着色が生じ
る等の品質上好ましくない結果をもたらすとの欠点があ
る。
【0004】また、上記従来の方法を、配管移送中の温
度及び分離タンク内の温度を低くして塩化ビニリデン系
樹脂スラリーに適用すると、塩化ビニリデンモノマーの
沸点31.7℃が塩化ビニルモノマーの沸点−13.8
℃に比べて著しく高いために、未反応モノマーの除去が
極めて困難であることから、スラリー中の未反応モノマ
ーの含有量を1500ppm(樹脂重量換算)程度以下
の低レベルまで低下させることは困難なことであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水性媒体中
で重合させて得られる塩化ビニリデンモノマーを主体と
する未反応モノマーを含有する塩化ビニリデン系樹脂ス
ラリーから塩化ビニリデン系樹脂の着色等の品質劣化を
防止しながら、スラリー中の未反応モノマーの含有量を
1500ppm(樹脂重量換算)程度以下まで低下させ
ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記問題点
に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、塩化ビニリデン系樹脂
スラリーから未反応モノマーの除去及び回収を、減圧下
に80℃以下の温度で水性媒体を沸騰状態にして未反応
モノマーを気化させることにより、未反応モノマーを塩
化ビニリデン系樹脂スラリーから除去及び回収すること
ができるとの知見に基づき本発明を完成するに至ったも
のである。
【0007】すなわち、本発明の塩化ビニリデン系樹脂
スラリーから未反応モノマーを除去する方法は、塩化ビ
ニリデンモノマー単独、又は、塩化ビニリデンモノマー
及びこれと共重合可能なコモノマーとの混合物を水性媒
体中で重合させて得られる未反応モノマーを含有する塩
化ビニリデン系樹脂スラリーから未反応モノマーを除去
する方法において、前記未反応モノマーを含有する塩化
ビニリデン系樹脂スラリーを減圧下に80℃以下の温度
で水性媒体を沸騰状態にして未反応モノマーを気化させ
ること、を特徴とするものである。
【0008】また、本発明のもう一つの発明である塩化
ビニリデン系樹脂スラリーから未反応の塩化ビニリデン
モノマーを回収する方法は、塩化ビニリデンモノマー単
独、又は、塩化ビニリデンモノマー及びこれと共重合可
能なコモノマーとの混合物を水性媒体中で重合させて得
られる未反応モノマーを含有する塩化ビニリデン系樹脂
スラリーから未反応モノマーを回収する方法において、
前記未反応モノマーを含有する塩化ビニリデン系樹脂ス
ラリーを減圧下に80℃以下の温度で水性媒体を沸騰状
態にして未反応モノマーを気化させ、この気化した未反
応モノマー・スチームの混合物を冷却することにより水
成分を液化して分離した後、ガス状のモノマーを更に冷
却して液化し、未反応モノマーを回収すること、を特徴
とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】[I] 塩化ビニリデン系樹脂スラ
リー (1) 原材料 (a) モノマー 塩化ビニリデン系樹脂の製造に用いられるモノマーとし
ては、塩化ビニリデンモノマー単独、又は、塩化ビニリ
デンモノマー及びこれと共重合可能なコモノマーの混合
物である。
【0010】(b) コモノマー 上記塩化ビニリデンモノマーと共重合可能なコモノマー
としては、塩化ビニル、アクリロニトリル、酢酸ビニ
ル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アルキル
アクリレート、アルキルメタクリレート、アルキルイタ
コネート等を例示できるが、これに限定されるものでは
ない。
【0011】(2) 重 合 上記塩化ビニリデンモノマー、又は、塩化ビニリデンモ
ノマーと共重合可能なコモノマーとの混合物を用いるこ
とにより塩化ビニリデン系樹脂を製造する際に実施され
る重合又は共重合は、水を媒体としてメチルセルロー
ス、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニ
ルアルコール、ポリ酢酸ビニルの部分鹸化物等の懸濁剤
を用いる懸濁重合法により行われる。上記モノマー類を
懸濁重合又は懸濁共重合することにより、本発明の実施
の対象となる未反応モノマーを含有する塩化ビニリデン
系樹脂スラリーが得られる。この未反応モノマーを含有
する塩化ビニリデン系樹脂スラリーは、塩化ビニリデン
系樹脂粒子と液状の未反応モノマーと水性媒体と懸濁剤
等との混合物から構成されている。この重合終了後のス
ラリーは、重合反応混合物であることから、生成した塩
化ビニリデン系樹脂や重合にて使用されたラジカル開始
剤の分解物や、連鎖移動剤、懸濁剤や乳化剤等の分散安
定剤、pH調整剤等が重合水性媒体中に溶解乃至分散さ
れている状態のもので、具体的には、通常、温度が40
〜60℃で、スラリー中の樹脂濃度が30〜50重量
%、未反応モノマー含有量が15〜30重量%(樹脂重
量換算)である。
【0012】(3) モノマーの気化 上記スラリー中の未反応モノマーを除去及び回収するに
は、図1に示すような、未反応モノマーを除去及び回収
装置1が用いられる。先ず、重合容器2にて重合を行っ
た後の未反応モノマーを含有する塩化ビニリデン系樹脂
スラリーをライン8aにより未反応モノマー除去容器4
(以下「スラリー貯槽」と呼ぶことがある。)に移送し
て未反応モノマーの除去及び回収を実施するか、或い
は、重合終了後の重合容器2をそのまま未反応モノマー
除去容器4として使用することにより未反応モノマーの
除去及び回収を実施する。前者のスラリーを未反応モノ
マー除去容器4に移送して未反応モノマーを気化させる
方法が重合容器2を効率的に使用できるので経済的に好
ましいことから、以下の説明にはスラリーを未反応モノ
マー除去容器4に移送して未反応モノマーを気化させる
方法について詳細に説明するが、後者の重合容器2をそ
のまま未反応モノマー除去容器4として使用する方法も
ほぼ同様にして実施することができる。
【0013】(a) スチームの混合(予熱) 上記スラリーを未反応モノマー除去容器4に移送して未
反応モノマーを気化させる方法における重合終了後のス
ラリーをライン8aの移送配管を通して未反応モノマー
除去容器4に移送する場合には、ライン8aの移送配管
中でスチーム9をスチーム混合機3によりスラリーと混
合して急速にスラリー温度を70〜100℃にまで昇温
させて予熱することが好ましい。しかし、塩化ビニリデ
ン系樹脂は高温にて長時間保持すると、樹脂の着色等の
品質が低下するので、配管移送中の温度は70〜100
℃、好ましくは80〜90℃に設定するのが良い。そし
て、上記昇温されたスラリーはできるだけ短時間に未反
応モノマー除去容器4内に移送する。この様に昇温され
たスラリーは、予め減圧にしておいた未反応モノマー除
去容器4に移送されると、スラリー中の低沸点物である
未反応モノマーの一部が気化し除去されると共に、スラ
リーより気化熱を奪っても低温になり難いので、未反応
モノマー除去容器4における未反応モノマー除去処理に
対する負荷を減少させることができる。
【0014】(b) 減 圧(沸騰) 重合容器2からのスラリーの移送が完了したら、未反応
モノマー除去容器4のスラリー中の水性媒体が一般に6
0〜80℃、好ましくは65〜75℃の温度で沸騰する
ように減圧下に維持しながら、固体のポリマー中に含有
されている未反応モノマーをスラリーの液中に移行し易
くしたり、スラリーの液中に存在する未反応モノマーを
気化させ易くする。具体的には、移送完了後の未反応モ
ノマー除去容器4中のスラリーの温度が、未反応モノマ
ー除去処理にて維持する目標温度よりも高い場合には、
未反応モノマー除去容器4を減圧にし、スラリー中の未
反応モノマーを気化させ、未反応モノマーの気化熱によ
りスラリー温度を低下させる。スラリー温度が該目標温
度にまで到達したら、未反応モノマー除去容器4の底部
の外部加熱又はスラリー中へのスチームの直接吹き込み
或いは両者の併用等によりスラリーを加熱する。スラリ
ーの加熱及び未反応モノマー除去容器4内の減圧度を調
整して、スラリー温度を目標温度に維持しながら、スラ
リー中の水性媒体を沸騰状態に保持しながら未反応モノ
マーを気化させて、未反応モノマーを除去する。「スラ
リー中の水性媒体を沸騰状態に保持しながら」とは、具
体的には、該スラリーの温度に相当する水の蒸気圧より
若干低い圧力にして未反応モノマー除去容器内の圧力を
保つことを意味する。
【0015】また、移送完了後の未反応モノマー除去容
器4中のスラリーの温度が未反応モノマー除去処理で維
持する目標温度より低い場合は、未反応モノマー除去容
器4の底部のスチーム供給口4aよりスチーム11を吹
き込んだり、未反応モノマー除去容器4を外部加熱によ
り加熱することによりスラリー温度を上昇させ、該目標
温度に到達したら、未反応モノマー除去容器4を減圧に
し、スラリーの加熱及び未反応モノマー除去容器4内の
減圧度を調整し、スラリー温度を目標温度に維持しなが
らスラリー中の未反応モノマーを気化し沸騰させ、未反
応モノマーを除去する。未反応モノマー除去容器4では
攪拌機を用いたり、スチームをバブリングすることによ
りスラリーを攪拌することが好ましい。
【0016】処理温度 スラリーからの未反応モノマーの除去処理の温度は、除
去処理操作中一定温度である必要はなく、スラリーを沸
騰状態にすることが重要である。また、沸騰状態は必ず
しも処理中連続していなくとも良く、断続的に行われ沸
騰状態の合計時間が処理の総時間の80%以上、好まし
くは90%であれば良い。スラリーからの未反応モノマ
ーの除去処理は、スラリー温度制御目標値を60〜80
℃、好ましくは65〜75℃の範囲内に設定し、該温度
±5℃程度にスラリー温度を維持し、水性媒体を沸騰さ
せ、スラリー中の未反応モノマーが気化するように減圧
度及び加熱度を制御することが好ましい。
【0017】処理圧力 具体的には、スラリー温度制御目標値に相当する水の蒸
気圧±5kPa程度に減圧度を制御し、スラリーの加熱
度により温度及び沸騰状態を制御するようにすることが
好ましい。「沸騰状態にする」とは、具体的には、未反
応モノマー除去容器4内の圧力を該スラリーの温度に相
当する水の蒸気圧より若干低い圧力に保つことを意味す
る。
【0018】処理時間 スラリー温度及び処理時間は、スラリー中の樹脂の変質
や、最終的なスラリー中の未反応モノマーの含有量の許
容値等を勘案して決定する。また、本発明においては、
スラリー中の水を沸騰させながら、樹脂粒子中の未反応
モノマー及び水性媒体中に溶解している未反応モノマー
を除去するため、比較的スラリー中の未反応モノマーの
含有量の低いスラリー(樹脂重量換算で、例えば、1,
500〜8,000ppm程度)からでも効率的に未反
応モノマーを除去することができ、スラリー中の未反応
モノマーを1,500ppm(樹脂重量換算)程度以下
の低レベルまで除去することができる。従って、重合終
了後のスラリーにスチーム吹き込み等の方法で予めスラ
リー中の未反応モノマー含有量をある程度低減させたス
ラリーに好適に適用できる。
【0019】処理条件 また、スラリーを沸騰させながらの未反応モノマーの除
去処理は、処理温度は一般に60〜80℃、好ましくは
65〜75℃、処理圧力が一般に20〜50kPa、特
に25〜40kPa、処理時間は0.5〜3.0時間、
好ましくは0.75〜1.5時間である。処理温度が8
0℃、処理時間が3時間を超えると樹脂の着色等が起こ
り好ましくない。処理温度が60℃未満では、未反応モ
ノマーの除去が十分に行われないこと及びスラリーを沸
騰状態に保つためにかなり低い減圧度が必要でエネルギ
ーコスト上好ましくない。処理圧力が上記50kPa以
上では処理温度が高くなったり、20kPa以下ではエ
ネルギーコスト上から好ましくない。処理時間が0.5
時間未満では未反応モノマーの除去が不十分となる。
【0020】(c) 加 熱 未反応モノマーが気化する際には気化熱を奪うので、ス
ラリーは徐々に温度が低下する。従って、スラリー中の
未反応モノマーを十分に除去・回収するためには加熱が
必要となる。それ故、減圧下でスラリー中の未反応モノ
マーを除去するためにはスラリー貯槽を外部加熱により
加熱するか、スラリーに直接スチームを吹き込みながら
加熱する必要がある。
【0021】外部加熱 前者の外部加熱は、未反応モノマー除去容器4の底部及
び側面部をスチームや温水、或いは、電気炉によって暖
めることにより加熱することができる。
【0022】スチームの混合 後者のスラリー中に直接スチームをバブリングさせて加
熱を行う方法は、水性媒体を沸騰させながら、スラリー
の固体のポリマー中に含有されている未反応モノマーを
スラリーの液中に移行し易くしたり、スラリーの液中に
存在する未反応モノマーの気化を促進させることができ
るので未反応モノマーの除去に好適である。スラリー中
の未反応モノマーは水蒸気と共に真空ポンプ、減圧ポン
プ等の減圧装置10を経て排出ガスとしてライン12を
経て未反応モノマー除去容器4の外に排出される。
【0023】[II] 塩化ビニリデン系樹脂 (1) 塩化ビニリデン系樹脂スラリー 前記未反応モノマー除去容器4においてライン8cによ
り未反応モノマーを分離した塩化ビニリデン系樹脂スラ
リーは、固体状の塩化ビニリデン系樹脂と、液体状の水
性媒体とから基本的に構成されるものである。
【0024】(2) 塩化ビニリデン系樹脂の回収 上記未反応モノマー除去容器4において、未反応モノマ
ーを除去した固相及び液相からなる塩化ビニリデン系樹
脂スラリーは、スラリー貯層4の底部の 固相・液相排
出口4cからライン8fを経て固液分離槽5に移送され
る。そして、この移送された固相及び液相の塩化ビニリ
デン系樹脂スラリーを固液分離槽5でフィルターや網等
の分離具16にて処理し、液体状の水性媒体をライン1
7を介して容易に分離することができるので、ライン1
8より固体状の塩化ビニリデン系樹脂を回収することが
できる。
【0025】[III] 塩化ビニリデンモノマーの回収 (1) スラリーからの分離 未反応モノマーを含有する塩化ビニリデン系樹脂スラリ
ーを上記未反応モノマー除去容器4にて減圧下に水性媒
体を沸騰状態に保持しながら未反応モノマーを気化させ
た未反応モノマーと水との混合物はライン8cにより未
反応モノマー除去容器4の系外に排出されてスラリーか
ら分離される。
【0026】(2) 水成分の回収 上記未反応モノマーと水との混合物はライン8cを経て
減圧冷却器6に導かれ、40℃程度に冷却されて水成分
を液化し、水成分を水成分回収槽7に回収する。
【0027】(3) 未反応モノマーの回収 また、気相状態の未反応モノマーはライン12及び減圧
装置10を経て常圧とした後、ライン13を経て未反応
モノマー冷却器14でマイナス20℃程度に冷却して未
反応モノマーを液化して未反応モノマー回収槽15にて
回収する。
【0028】
【実施例】以下に示す実施例及び比較例により本発明を
具体的に説明する。 (1) 測定方法スラリー中の残存未反応モノマーの含有量の測定 二硫化炭素を30ミリリットル入れたサンプル瓶に、樹
脂を含有するスラリー10ミリリットルを加え、室温で
30分間振盪し、二硫化炭素にスラリー中のモノマーを
移行させる。モノマーを含む二硫化炭素をガスクロマト
グラフ法で分析し二硫化炭素中のモノマー重量を求め
る。サンプル瓶中の液全量をNo.5Aの濾紙で濾過
し、濾別した樹脂を乾燥機中で105℃、60分乾燥
し、樹脂の重量を求める。ガスクロマトグラフ法で求め
たモノマー重量と樹脂の重量から、樹脂重量当たりのモ
ノマー量(ppm)を求め、スラリー中のモノマー量
(樹脂重量換算)とした。
【0029】(2) 実施例及び比較例 実施例1重 合 内容積150リットルのステンレス製重合容器に、懸濁
剤としてメチルセルロース50gを溶解した脱イオン水
60kgを入れ、攪拌下に、塩化ビニリデンモノマー4
1kg、塩化ビニルモノマー9kg及び重合開始剤とし
てのイソプロピルパーオキシジカーボネート100gの
混合物を投入した。この混合物を攪拌しながら45℃ま
で昇温して重合を開始した。その後、55℃まで連続的
に昇温しながら30時間重合を継続し、未反応モノマー
を含む重合体スラリーを得た。
【0030】スチームの混合 次に、重合容器の底部より、未反応モノマー除去容器に
移送する配管の途中にスチーム混合器を設けてスチーム
を混合し、スラリーの温度を80〜90℃に昇温した。
【0031】減 圧 そして、予め5kPaに減圧にしておいた内容積150
リットルの未反応モノマー除去容器にスラリーを移送し
た。スラリーの移送が完了した時、未反応モノマー除去
容器の内圧は300kPaまで上昇した。次にスラリー
貯槽の吸引排気を行いながらスラリーを放冷した。放冷
中はスラリーの沸騰は認められなかった。60分後にス
ラリーの温度が70℃まで低下したところで、スラリー
貯槽の底部よりスチームをスラリー中に直接吹込み、ス
ラリー温度を70℃±5℃に保ち、スラリーが沸騰状態
になるようスチームの吹込み量及び減圧度を調整しなが
ら60分間未反応モノマーの除去を行った。減圧度は2
9〜34kPaであった。吸引排気により未反応モノマ
ー除去容器外に排出された排出ガスを水で冷却し凝縮さ
せ、有機物層と水層に分離し、有機物層(未反応モノマ
ー)を回収した。
【0032】結 果 未反応モノマー除去処理終了後のスラリーのモノマー含
有量は980ppm(樹脂重量換算)であった。未反応
モノマー除去処理終了後のスラリーを脱水、乾燥して得
た塩化ビニリデン系樹脂には着色は認められなかった。
【0033】比較例1 実施例1と同様に重合、スラリー移送を行った。スラリ
ーの移送が完了した後、実施例1と同様に、未反応モノ
マー除去容器の吸引排気を行いスラリーの温度が70℃
まで低下したらスラリー貯槽の底部よりスチームをスラ
リー中に直接吹込み、スラリー温度を70℃±5 ℃に
保った。そして、減圧度を44〜51kPaに調整しな
がら60分間未反応モノマーの除去を行った。この場
合、スラリーの沸騰は認められなかった。吸引排気によ
り未反応モノマー除去容器外に排出された排出ガスを実
施例1と同様に冷却し、未反応モノマーを回収した。未
反応モノマー除去処理終了後のスラリーのモノマー含有
量は4,100ppm(樹脂重量換算)であった。
【0034】比較例2 実施例1と同様に重合、スラリー移送を行った。スラリ
ーの移送が完了した後、実施例1と同様に、未反応モノ
マー除去容器の吸引排気を行いスラリーの温度が70℃
まで低下したら減圧度を29〜34kPaに調整しなが
ら、スチームの吹込みを行うことなく、60分間未反応
モノマーの除去を行った。スラリー貯槽内のスラリー温
度は70℃から徐々に低下し、60分後には59℃であ
った。60分間のモノマー除去処理中最初の10分間は
スラリーが断続的に沸騰するのが認められたが、その後
はスラリーの沸騰は認められなかった。吸引排気により
未反応モノマー除去容器外に排出された排出ガスを実施
例1と同様に冷却し、未反応モノマーを回収した。未反
応モノマー除去処理終了後のスラリーのモノマー含有量
は3,300ppm(樹脂重量換算)であった。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】このような本発明の塩化ビニリデン系樹
脂スラリーから未反応モノマーを除去回収する方法は、
低モノマー含量の塩化ビニリデン系樹脂を製造すること
ができ、また、未反応モノマーが回収できるので環境衛
生上極めて有用な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の塩化ビニリデン系樹脂スラリ
ーから未反応モノマーを除去回収する方法の概略図であ
る。
【符号の説明】
1 塩化ビニリデンモノマーの回収装置 2 重合槽 3 スチーム混合器 4 未反応モノマー除去容器(スラリー貯層) 4a スチーム供給口 4b 気相排気口 4c 固相・液相排出口 4d スラリー相 4e 気相 5 固液分離槽 6 冷却器 6a 冷媒入口 6b 冷媒出口 7 水分離槽 7a 排水ライン 8a,8b,8c,8d,8e,8f ライン 9 スチーム 10 減圧装置 11 スチーム 12 ライン(未反応モノマー) 13 ライン 14 未反応モノマー冷却器 14a 冷媒入口 14b 冷媒出口 15 未反応モノマー回収槽 16 分離具 17 ライン(水性媒体) 18 ライン(塩化ビニリデン系樹脂粒子)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化ビニリデンモノマー単独、又は、塩化
    ビニリデンモノマー及びこれと共重合可能なコモノマー
    との混合物を水性媒体中で重合させて得られる未反応モ
    ノマーを含有する塩化ビニリデン系樹脂スラリーから未
    反応モノマーを除去する方法において、前記未反応モノ
    マーを含有する塩化ビニリデン系樹脂スラリーを減圧下
    に80℃以下の温度で水性媒体を沸騰状態にして未反応
    モノマーを気化させることを特徴とする、塩化ビニリデ
    ン系樹脂スラリーから未反応モノマーを除去する方法。
  2. 【請求項2】水性媒体を沸騰状態に保持するため未反応
    モノマーを含有する塩化ビニリデン系樹脂スラリーにス
    チームを吹き込む、請求項1に記載の塩化ビニリデン系
    樹脂スラリーから未反応モノマーを除去する方法。
  3. 【請求項3】水性媒体の沸騰状態を60〜80℃の温度
    に保持しながら行う、請求項1又は2に記載の塩化ビニ
    リデン系樹脂スラリーから未反応モノマーを除去する方
    法。
  4. 【請求項4】減圧前の未反応モノマーを含有する塩化ビ
    ニリデン系樹脂スラリーにスチームを吹き込んで予熱す
    る、請求項1に記載の塩化ビニリデン系樹脂スラリーか
    ら未反応モノマーを除去する方法。
  5. 【請求項5】未反応の塩化ビニリデンモノマーを含有す
    る塩化ビニリデン系樹脂スラリーが、重合反応終了後の
    樹脂スラリーに未反応モノマー除去処理を施して未反応
    モノマー含有量を低減化させたスラリーである、請求項
    1に記載の塩化ビニリデン系樹脂スラリーから未反応モ
    ノマーを除去する方法。
  6. 【請求項6】塩化ビニリデンモノマー単独、又は、塩化
    ビニリデンモノマー及びこれと共重合可能なコモノマー
    との混合物を水性媒体中で重合させて得られる未反応モ
    ノマーを含有する塩化ビニリデン系樹脂スラリーから未
    反応モノマーを回収する方法において、前記未反応モノ
    マーを含有する塩化ビニリデン系樹脂スラリーを減圧下
    に80℃以下の温度で水性媒体を沸騰状態にして未反応
    モノマーを気化させ、この気化した未反応モノマー・ス
    チームの混合物を冷却することにより水成分を液化して
    分離した後、ガス状のモノマーを更に冷却して液化し、
    未反応モノマーを回収することを特徴とする、塩化ビニ
    リデン系樹脂スラリーから未反応モノマーを回収する方
    法。
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