JP2003132882A - リチウム電池用電極材及びこれを用いたリチウム電池 - Google Patents

リチウム電池用電極材及びこれを用いたリチウム電池

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JP2003132882A
JP2003132882A JP2001332424A JP2001332424A JP2003132882A JP 2003132882 A JP2003132882 A JP 2003132882A JP 2001332424 A JP2001332424 A JP 2001332424A JP 2001332424 A JP2001332424 A JP 2001332424A JP 2003132882 A JP2003132882 A JP 2003132882A
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lithium
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Toshihiko Kamimura
俊彦 上村
Hiromitsu Mishima
洋光 三島
Makoto Osaki
誠 大崎
Takashi Maeda
岳志 前田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】活物質の焼結体をリチウム電池の焼結体に用い
た場合、その製造工程において割れ、クラックが発生す
るという課題があった。 【解決手段】活物質の焼結体のヤング率を90〜150
GPa、気孔率を25〜50%とすることにより、活物
質の焼結体が弾性変形をするようになり、応力に対し
て、割れやクラックが発生し難くすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム電池用電
極材とこれを用いたリチウム電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】リチウム電池は高エネルギー密度等の特
長を生かし、携帯電話、ノート型パソコンなどの情報通
信機器に広く用いられている。
【0003】一般的にリチウム電池の電極は、金属箔等
の集電体と、この上に配置される電極材とからなり、電
極材はリチウムイオンの吸蔵放出が可能な活物質と、電
子導電性を補助する導電助剤と、これらの粉体を保形す
る結着剤とから形成されていた。
【0004】リチウムイオンの吸蔵放出が可能な活物質
としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、
ニッケル酸リチウム、二酸化マンガンなどが用いられ、
導電助剤としては、アセチレンブラックやケッチェンブ
ラックなどの炭素材料が用いられ、結着剤としては、ポ
リフッ化ビニリデン、ポリテトラフロロエチレン、ポリ
イミドなどが用いられている。
【0005】このような電極材を製造するには、活物
質、導電助剤、及び結着剤を溶剤と共に混合してスラリ
ー化したものを金属箔等の集電体上に塗布し、溶剤を乾
燥除去して固化させることにより形成するようになって
いた。また、目的に応じてロールプレスなどによる加圧
を行い、活物質の充填率を向上させたり、均一な厚みを
得るなどの工程を付加することもあった。
【0006】ところで、高密度エネルギーのリチウム電
池を得るためには、単位面積当たりの活物質充填率を高
くすることが有効的である。
【0007】しかしながら、従来のリチウム電池に用い
られる電極材中には、充放電反応に直接寄与する活物質
以外に、導電助剤や結着剤を含んでおり、これら導電助
剤と結着剤は、電極材中のかなりのウエイトを占めるた
め、エネルギー密度を高めるには自ずと制限が生じてい
た。
【0008】そこで、これらの課題を解決するものとし
て以下のような電極材が提案されている。
【0009】特開平8−148141号公報には、活物
質にバインダーを添加して作製したスラリーをドクター
ブレード法によりシート化し、これを集電体上に載せて
焼成することにより、集電体上に膜厚が20μm以下で
ある活物質の焼結体からなる電極材を一体的に形成する
ことが提案されており、この電極材によれば、電池容量
を低下させる導電助剤や結着剤を用いる必要がなく、活
物質のみで充分な電子導電性が得られることが開示され
ている。
【0010】WO98/28804号公報には、正極又
は負極の少なくともいずれか一方を構成する電極材を活
物質からなる多孔質体により形成し、多孔質体中の空孔
の平均直径を全体積に対して0.01〜100μmとす
るとともに、空孔の占有率を全体積の15〜60%と
し、かつ空孔間の平均肉厚を40μm以下としたものが
提案されており、この電極材によれば、導電助剤などの
使用を激減又は不要とし、単位重量当たりの電気容量を
大きくできることが開示されている。
【0011】特開2000−12024号公報には、仮
焼によりリチウム遷移金属酸化物からなる活物質の粉末
を製造する工程と、上記活物質の粉末を粉砕して平均粒
径を0.1〜30μmとした後、所定形状に成形する工
程と、さらに焼成によりリチウム遷移金属酸化物からな
る多孔質焼結体を得ることが提案されており、この製造
方法によれば、活物質の密度を高くできるとともに、高
容量を実現できることが開示されている。
【0012】特開平10−144292号公報には、リ
チウムイオンの吸蔵放出が可能な活物質を、リチウムイ
オン伝導性を有する非晶質ガラスにより結着した電極材
が提案されており、この電極材によれば、活物質間のリ
チウムイオンの移動を向上させ、活物質の劣化を抑制
し、充放電サイクル特性等を向上させることができるこ
とが開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、活物質
の焼結体からなる電極材は、無機物で構成されるために
脆性材料特有の素性を示し、わずかな応力で割れやクラ
ックが発生し易いといった課題があった。
【0014】その為、リチウム電池の製造工程におけ
る、チャッキングによる搬送時や、電解質の注入時や含
浸時、あるいは外装体による封止時等に作用する応力に
よって電極材がすぐに割れたり、クラックが発生し、歩
留まり良くリチウム電池を製造することができなかっ
た。
【0015】特に近年は、さらに高いエネルギー密度の
要求に対し、金属製の外装体に換えてアルミラミネート
フィルム製の外装体が用いられるようになっており、こ
の場合、リチウム電池が受ける応力は内部の電極材に顕
著に伝わり、電極材の割れやクラックが発生し易いもの
であった。
【0016】また、破損することなくリチウム電池内に
組み込めたとしても、衝撃を与えると電極材に割れやク
ラックが発生し、電池機能が低下するといった不都合も
あった。
【0017】このような課題を鑑みた場合、特開平8−
148141に提案されている電極は、活物質の厚みに
対する充放電容量とサイクル特性しか考慮されておら
ず、割れ、クラックを低減するという課題が考慮されて
いない。
【0018】また、WO98/28804号公報と特開
2000−12024公報に提案されている電極は、空
孔の平均直径が0.01〜100μmと規定されてい
る。この電極は多孔質であるために多少の弾性変形をす
ると考えられるが、空孔の平均直径が大きくなるとその
部分が破壊源となり、わずかな応力、衝撃に対して割
れ、クラックが発生するといった課題がある。
【0019】また、特開平10−144292号公報に
提案されている電極は、活物質を、リチウムイオン伝導
性を有する非晶質化合物によって接合したものである
が、活物質と非晶質化合物を加熱急冷させた化合物に、
結着剤と導電剤を混合し、溶媒でスラリー化し、それを
もって電極を形成したものであって、結着剤や導電剤が
含まれており、活物質の充填率を向上させることができ
ないといった課題があった。
【0020】
【課題を解決するための手段】そこで、上記課題に鑑
み、本発明のリチウム電池用電極材は、リチウムイオン
の吸蔵放出が可能な活物質を主体とする焼結体により形
成するとともに、焼結体のヤング率を90〜150GP
aとし、かつ気孔率を25〜50%としたことを特徴と
する。
【0021】また、このような特性を有する焼結体とし
ては、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な活物質を主体
とし、低融点ガラスを0.1〜30.0体積%の範囲で
含有したものを用いることが好ましく、さらに焼結体中
の活物質が平均結晶粒子径1〜5μmの大きな結晶粒子
と、この大きな結晶粒子の隙間に配置される平均結晶粒
子径0.1〜0.7μmの小さな結晶粒子とからものを
用いることが好ましい。
【0022】さらに、活物質とともに添加する低融点ガ
ラスとしてはガラス転移温度が600℃以下であるもの
を用いることが好ましい。
【0023】また、上記特性を有する他の焼結体として
は、実質的に活物質のみからなり、活物質が平均結晶粒
子径1〜5μmの大きな結晶粒子と、この大きな結晶粒
子の隙間に配置される平均結晶粒子径0.1〜0.7μ
mの小さな結晶粒子とから構成したものを用いることが
好ましい。
【0024】さらに、本発明はこれらのリチウム電池用
電極材を、電解質又は電解質を含むセパレータを挟む一
対の電極の少なくとも一方に用いてリチウム電池を形成
したことを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明のリチウム電池用電
極材の実施形態について説明する。
【0026】本発明のリチウム電池用電極材は、リチウ
ムイオンの吸蔵放出が可能な活物質の焼結体からなり、
焼結体のヤング率が90〜150GPaで、かつ気孔率
が25〜50%の範囲にあることを特徴とする。
【0027】リチウムイオンの吸蔵放出が可能な活物質
(以下、単に活物質という)としては、例えば、リチウ
ムコバルト複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、
リチウムニッケル複合酸化物、リチウムチタン複合酸化
物、リチウムコバルトニッケル複合酸化物、リチウムバ
ナジウム複合酸化物、二酸化マンガン、アナターゼ型の
二酸化チタン、五酸化バナジウム、五酸化ニオブ、酸化
タングステンなどを用いることができる。
【0028】上記リチウム複合酸化物のうち、特にLi
1+xMn2-x4(0≦x≦0.2)、LiMn2-yMey
4(Me=Ni、Cr、Cu、Zn、0≦y≦0.
6)、Li4Ti512及びLi4Mn512は、充放電中
の体積変化が小さい活物質であり、本発明に用いる活物
質として好ましい。
【0029】ここで、焼結体のヤング率を90〜150
GPaとしたのは、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な
活物質からなる焼結体は無機物であるため、わずかな応
力で割れやクラックが発生し易く、特にヤング率が15
0GPaより大きくなると、応力が作用しても弾性変形
させることができないため、リチウム電池の製造工程中
に応力が作用したり、あるいはリチウム電池の取り扱い
時に衝撃を与えたりすると電極材に割れやクラックが発
生し易いからであり、逆にヤング率が90GPaより小
さくなると、電極材中の単位体積当たりの活物質の充填
率が小さくなるために、高密度エネルギー化が達成でき
なくなるからである。
【0030】また、焼結体の気孔率を25〜50%とし
たのは、気孔率が25%より小さくなると、焼結体のヤ
ング率を150GPa以下とすることが難しくなり、応
力に対して割れやクラックが発生し易くなるからであ
り、逆に気孔率が50%より大きくなると、電極材中の
活物質の充填率が小さくなり、高密度エネルギー化が達
成できなくなるからである。
【0031】なお、焼結体中の気孔径は0.01〜20
μm以下であることが望ましい。なぜなら、焼結体に2
0μmよりも大きい気孔が存在すると、応力がかかると
気孔径の大きい部分が破壊源となり、上述した範囲のヤ
ング率を得ることができなくなるからであり、また、焼
結体中の気孔径が0.01μmよりも小さくなると、気
孔中に電解質を介在させることが困難となり、電極材か
ら放出又は吸蔵されるリチウムイオンを効率良く移動さ
せることができなくなり、リチウム電池の内部抵抗が上
昇するからである。
【0032】ところで、本発明のリチウム電池用電極材
を製造するには、一般的なセラミックスと同様の成形方
法及び焼成方法を用いることができ、例えば、以下の
(1)〜(3)の方法を用いることができる。活物質に
バインダーや溶剤を加えてスラリーを調整し、このスラ
リーを基材フィルム上に塗布、乾燥させた後、基材フィ
ルムから剥離させて焼結させる方法。活物質を直接もし
くは造粒したものを金型に投入してプレス機で加圧成形
した後、焼結させる方法。活物質を造粒し、ロールプレ
ス機で加圧成形してシート状に加工した後、焼結させる
方法。
【0033】なお、(2)及び(3)の方法における造
粒については、(1)の方法で述べたスラリーから造粒
する湿式造粒であっても溶剤を用いない乾式造粒であっ
ても構わない。また、(2)の方法では必ずしもバイン
ダーを用いる必要はない。
【0034】そして、ヤング率が90〜150GPa
で、かつ気孔率が25〜50%の範囲にある活物質から
なる焼結体を得るには、成形体の活物質充填率及び焼成
温度を制御することにより得ることができる。
【0035】このうち成形体の活物質充填率を制御する
には以下の2つの方法が挙げられる。
【0036】第一の方法は、スラリーを調整して基材フ
ィルムに塗布、乾燥する場合、もしくは、プレス機もし
くはロールプレス機で成形する場合で、活物質と共に混
合するバインダー量を調整することにより可能となる。
即ち、バインダー量を増やすと活物質の充填率を小さく
することができ、バインダー量を減らすと充填率を小さ
くすることができる。ここで、バインダー量の適正な量
は、成形体の体積に対して、15〜50体積%であるこ
とが好ましい。
【0037】成形体の体積に対するバインダー量が15
体積%よりも少ないと、適切な粘性を有するスラリーが
得られず、また、加圧成形時にはバインダーによる粒子
の結着力が低下し、いずれにしても所定の形状を有する
成形体が得られないからであり、また、成形体の体積に
対するバインダー量が50体積%よりも多くなると、焼
成時における成形体の変形量が大きくなるとともに、成
形体の活物質粒子の接触が不足し、焼結性が低下するか
らである。
【0038】より好ましいバインダー量は15〜40体
積%であり、望ましいバインダー量は17〜35体積%
である。
【0039】第二の方法は、バインダーを用いずにプレ
ス機もしくはロールプレス機で成形する場合で、成形体
に加える圧力(成形圧力)によって活物質の充填率を制
御することができる。
【0040】即ち、ある圧力領域においては、活物質の
充填率と成形圧力は比例の関係を示し、成形圧力に応じ
た活物質の充填率を得ることが可能である。また、特定
の圧力以上になると活物質の充填率と成形圧力は比例関
係を示さなくなるが、その関係には履歴性が認められ、
再現することは可能である。
【0041】好ましい成形圧力は40〜400MPaで
ある。成形圧力が40MPaよりも低いと、成形体とし
て保形し難くなるとともに、活物質の充填率が低くなり
過ぎて焼結性が低下するからであり、また、成形圧力が
400MPaよりも高い圧力で成形を試みると、大型の
プレス装置が必要となり現実的でなくなるとともに、成
形体にラミネーションクラックが発生するといった問題
が生じるからである。
【0042】より好ましい成形圧力は55〜300MP
aであり、望ましい成形圧力は60〜200MPaとす
ることが良い。
【0043】なお、成形に用いるバインダーとしては、
ポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹
脂、ブチラール系樹脂などの有機物を用いることがで
き、これらの有機物は単独で使用しても複数種混合して
使用しても差し支えない。
【0044】また、基材フィルムとしては、例えばポリ
エチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレ
ン、テトラフルオロエチレン等の樹脂フィルムを用いる
ことができる。
【0045】次に、成形体の焼成方法としては、大気雰
囲気での焼成が一般的であるが、活物質に含まれる遷移
金属元素の価数を制御するために多少の雰囲気制御を行
っても構わない。さらに、平滑な基板状の形状を得るた
めに加圧焼成を行っても構わない。
【0046】また、焼成温度は500〜1000℃とす
ることが望ましい。この理由としては、本来活物質は粉
体として電極材料に用いられており、適切な結晶構造を
有している必要がある。このような活物質を焼結させる
場合、焼成温度が1000℃よりも高くなると結晶構造
が変化し、活物質として機能しなくなるからであり、逆
に焼成温度が500℃より低くなると、活物質充填率が
小さくなり高密度エネルギー化が達成できなくなるから
である。
【0047】以上のような条件で成形体の活物質充填率
及び焼成温度を制御することにより、ヤング率が90〜
150GPaでかつ気孔率が25〜50%の範囲にある
活物質の焼結体を得ることができ、この焼結体をリチウ
ム電池用電極材として用いることにより電池の製造工程
中に応力が作用したり、電池の取り扱い時に衝撃を与え
たとしても破損することのないものとすることができる
とともに、リチウム電池の歩留りを向上させることがで
きる。
【0048】なお、ヤング率の測定には、JIS R
1602に定義されている方法に従って測定した。
【0049】JIS R 1602には、静的弾性率の
測定方法、動的弾性率の測定方法が明記されているが、
ここでは、静的弾性率の測定方法を採用し、また、静的
弾性率の測定方法には、3点曲げによる測定方法と4点
曲げによる測定方法があるが、本発明では3点曲げによ
る測定方法を採用した。
【0050】ただし、本発明のリチウム電池用電極材を
形成する焼結体は多孔質体であるため、JISで規定さ
れている試験片の上下面の面粗さを1.6Sとすること
ができない。
【0051】その為、試験片の上下面を#1500の研
磨紙で研磨し、さらに#5000のダイヤンモンドペー
ストで仕上げて試験を行うようにした。
【0052】また、気孔率の測定には、アルキメデス法
を用いた。アルキメデス法は、十分に乾燥した活物質の
焼結体の重量をW1活物質の焼結体を水中にて煮沸もし
くは、真空脱泡した後、25℃の水中で測定した重量を
W2活物質の焼結体を水中から取り出した後、表面の付
着水のみを除去した後に測定した重量をW3として (W3−W1)÷(W3−W2)×100 の式で求められる。
【0053】なお、リチウム電池用電極材は薄いため、
これを用いてJISによるヤング率や気孔率の測定を行
うことは難しい。その為、測定にあたっては電極材と同
材質のバルク体を用意し、各試験に適した大きさの試験
片を切り出したものを用いて測定すれば良い。
【0054】次に、本発明のリチウム電池用電極材の他
の実施形態について説明する。
【0055】本発明のリチウム電池用電極材の他の実施
形態は、前述した活物質からなる焼結体中に低融点ガラ
スを0.1〜30.0体積%の範囲で含有したものであ
る。
【0056】このように活物質の焼結体に低融点ガラス
を含有させると、焼成温度の制御が容易になり、所定の
ヤング率と気孔率を再現性良く得ることができる。
【0057】即ち、活物質のみで焼結体を作製する場
合、活物質の種類、粒径等を考慮して焼成温度を決定す
る必要があるが、低融点ガラスを用いる場合は、そのガ
ラス転移温度を持って焼成温度を決定すれば良く、活物
質の種類、粒径等によるパラメータを考慮する必要がな
くなる。また、低い温度で焼成することが可能となるた
め製造コストを下げることもできる。
【0058】ところで、活物質の焼結体中に含有される
低融点ガラスの含有率を0.1〜30.0体積%とした
のは、焼結体の体積に対する低融点ガラスの量が0.1
体積%より少なくなると、電極材中のガラス成分が少な
くなり、ガラス転移温度のみで焼成温度を決定すること
が難しくなり、所定のヤング率と気孔率を持った活物質
からなる焼結体を再現性良く得ることが難しくなるから
であり、逆に焼結体の体積に対する低融点ガラスの量が
30.0体積%を越えると、電極材中のガラス成分が多
くなり過ぎ、高密度エネルギーの電極材が得られなくな
るからである。好ましくは焼結体の体積に対する低融点
ガラスの量を0.5〜20.0体積%とすることが良
く、望ましくは焼結体の体積に対する低融点ガラスの量
を1.0〜10.0体積%とすることが良い。
【0059】また、低融点ガラスのガラス転移温度は6
00℃以下であることが好ましく、このような活物質に
低融点ガラスを添加した焼結体を得る場合、焼成は添加
する低融点ガラスのガラス転移温度より100〜300
℃ほど高い温度で焼成することが良い。
【0060】なぜなら、低融点ガラスのガラス転移温度
が600℃より高くなると、焼成温度を1000℃近く
に設定する必要があり、この場合、ガラスと活物質が反
応して電極材として機能しなくなる可能性があるからで
ある。好ましくは、ガラス転移温度が570℃以下であ
る低融点ガラスを用いることが良く、望ましくはガラス
転移温度が550℃以下である低融点ガラスを用いるこ
とが良い。
【0061】なお、本発明に用いる低融点ガラスとして
は、リン酸塩ガラスやホウ酸塩ガラスを中心とした多成
分系酸化物ガラスを挙げることができる。また、アルカ
リ金属元素の添加は体積抵抗値を低減でき、特にリチウ
ムを添加した場合にはリチウムイオン伝導性が期待され
るので好ましい。さらに、V、Fe、Ti、Co、Mn
などの遷移金属元素の添加はガラスに電子導電性を付与
することができるので好ましい。
【0062】リン酸ガラスとしては、P25が50重量
%から80重量%、B23が5重量%から30重量%、
Li2Oが5重量%から15重量%、その他の成分とし
て、Al23が0.5重量%から15重量%、ZnOが
1.0重量%以上10重量%含まれるものが選択され
る。なお、P25以外の成分は必ず含まれる必要はな
い。
【0063】ホウ酸塩ガラスとしては、B23が30重
量%から50重量%、ZnOが10重量%から50重量
%、SiO2が2重量%から20重量%、Li2Oが5重
量%から15重量%、その他の成分として、Al23
2重量%から15重量%、Bi23が3重量%から20
重量%含まれるものが選択される。なお、B23以外の
成分は必ず含まれる必要はない。
【0064】また、低融点ガラスを含有した活物質の焼
結体を得る場合、出発原料として用いる活物質の平均結
晶粒径は0.1〜10μmとすることが好ましい。なぜ
なら、活物質の平均結晶粒径が10μmを超えると焼結
性が低下し、強度が下がるからであり、活物質の平均結
晶粒径が0.1μm未満となると製作が難しいからであ
る。なお、成形体の製作性を考慮すれば活物質の平均結
晶粒径は0.3〜10μmとすることが良い。
【0065】さらに焼結体中の活物質を大きな結晶粒子
と、この大きな結晶粒子の隙間に配置される小さな結晶
粒子とから構成し、大きな結晶粒子の平均結晶粒径を1
〜5μmとするとともに、小さな結晶粒子の平均粒径を
0.1〜0.7μmとしても良く、このような構造とす
ることで活物質粒子同士の接触点を増加させることがで
きるとともに、活物質粒子のネック部に存在するガラス
成分を均一に分散させることができ、気孔径のバラツキ
が少なく、かつ所定のヤング率と気孔率を有する活物質
の焼結体を再現性良く得ることができる。
【0066】ここで、大きな粒径を有する活物質の平均
結晶粒径を1〜5μmとしたのは、平均結晶粒径が5μ
mよりも大きくなると、焼結性が低下するとともに、粒
子間の結合力が低下することにより強度が劣化するから
であり、また、平均結晶粒径が1μm未満となると、小
さな粒径を有する活物質との平均結晶粒径の差が小さく
なり、活物質粒子同士の接触点を多く保つことができな
くなるからである。
【0067】また、小さな粒径を有する活物質の平均結
晶粒径を0.1〜0.7μmとしたのは、平均結晶粒径
が0.1μmよりも小さくなると、結晶粒子が形成する
隙間が狭くなり、電解質を介在させることが難しくな
り、電極材から放出又は吸蔵されるリチウムイオンを効
率良く移動させることができなくなり、電池としての内
部抵抗が上昇するからであり、逆に平均結晶粒径が0.
7μmよりも大きくなると、大きな粒径を有する活物質
との平均結晶粒径の差が小さくなり、活物質粒子同士の
接触点を多く保つことができなくなるからである。
【0068】なお、より好ましくは、大きな粒径を有す
る活物質の平均結晶粒径を2〜4μmとするとともに、
小さな粒径を有する活物質の平均結晶粒径を0.3〜
0.7μmとすることが良い。
【0069】なお、このような2種類の粒径範囲を有す
る活物質からなる焼結体を得るには、出発原料として用
いる活物質の粒径は、焼結後の活物質と同じ粒径範囲を
有する二種類の活物質を用いれば良い。即ち、この実施
形態のリチウム電池用電極材は、低融点ガラスを用い、
1000℃よりもかなり低い温度で焼成することができ
るため、焼成時に活物質粒子はネックを形成するもの
の、粒成長までは至らないからである。
【0070】ところで、焼結体中における活物質の平均
結晶粒径の測定は、走査型電子顕微鏡写真にて倍率を1
0000倍として撮影し、この写真上に任意に8cmの
直線を3本引き、この線上にある結晶粒子の数をNとし
て 平均結晶粒径(μm)=80×3÷10000÷N により算出した。
【0071】ただし、走査型電子顕微鏡にて撮影する
際、測定面を傾斜させると、観察する粒子径が大きくな
ることがある。そのため、電子線に対して測定面を垂直
に設定するよう注意が必要である。
【0072】次に、本発明のリチウム電池用電極材のさ
らに他の実施形態について説明する。
【0073】本発明のリチウム電池用電極材の他の実施
形態は、ヤング率が90〜150GPa、気孔率が25
〜50%である焼結体が活物質のみからなり、この活物
質が大きな結晶粒子と、この大きな結晶粒子の隙間に配
置される小さな結晶粒子とから構成され、大きな結晶粒
子の平均結晶粒径が1〜5μmで、かつ小さな結晶粒子
の平均結晶粒径が0.1〜0.7μmであることを特徴
とする。このような構造とすることで上記ヤング率と気
孔率を再現性良く得ることができる。
【0074】即ち、活物質が一種の特定の粒径範囲を有
するものであると、活物質のロット変動により、成形体
の活物質充填率が変動し、焼結体のヤング率や気孔率が
ばらつき易いため、平均結晶粒径だけでは管理すること
が難しいからである。
【0075】そこで、焼結体を活物質だけで形成する場
合、予め大きな結晶粒子と小さな結晶粒子からなる活物
質を用意し、大きな粒径を有する活物質の隙間に小さな
粒径を有する活物質が介在するような構造とすることが
できるため、成形体の活物質充填率を制御し易くなり、
所定のヤング率及び気孔率を持った焼結体を再現性良く
得ることができる。
【0076】また、焼結体中には充放電反応に直接寄与
する活物質以外は実質的に含まれていないことから、高
密度エネルギーの観点からも有利である。
【0077】ここで、大きな粒径を有する活物質の平均
結晶粒径を1〜5μmとしたのは、平均結晶粒径が5μ
mよりも大きくなると、焼結性が低下するとともに、粒
子間の結合力が低下することにより強度が劣化するから
であり、また、平均結晶粒径が1μm未満となると、小
さな粒径を有する活物質との平均結晶粒径の差が小さく
なり、活物質粒子同士の接触点を多く保つことができな
くなるからである。
【0078】また、小さな粒径を有する活物質の平均結
晶粒径を0.1〜0.7μmとしたのは、平均結晶粒径
が0.1μmよりも小さくなると、結晶粒子が形成する
隙間が狭くなり、電解質を介在させることが難しくな
り、電極材から放出又は吸蔵されるリチウムイオンを効
率良く移動させることができなくなり、電池としての内
部抵抗が上昇するからであり、逆に平均結晶粒径が0.
7μmよりも大きくなると、大きな粒径を有する活物質
との平均結晶粒径の差が小さくなり、活物質粒子同士の
接触点を多く保つことができなくなるからである。
【0079】なお、より好ましくは、大きな粒径を有す
る活物質の平均結晶粒径を2〜4μmとするとともに、
小さな粒径を有する活物質の平均結晶粒径を0.3〜
0.7μmとすることが良い。
【0080】また、このような2種類の粒径範囲を有す
る活物質からなる焼結体を得るには、出発原料として、
大きな粒径の活物質の平均粒径を1〜5μmとするとと
もに、小さな粒径の活物質の平均粒径を0.03〜0.
5μmとすれば良い。
【0081】即ち、本発明の電極材を形成する焼結体は
1000℃以下で焼結させるため、焼成過程で、大きい
粒子はネックを形成するのみで、粒成長まで至らない。
これに対し、小さい粒子は表面自由エネルギーが大きい
ために比較的低温で粒成長を起こし、同時に大きい粒子
との間にネックを形成することができ、焼結後の活物質
を、平均結晶粒径が1〜5μmの大きな粒径を有する活
物質と、平均結晶粒径が0.1〜0.7μmの小さな粒
径を有する活物質からなるものとすることができる。
【0082】また、本発明のリチウム電池要電極材の厚
みは30〜200μmとすることが望ましい。即ち、電
極材の厚みが200μmを超えると、電極材内のリチウ
ムイオンの移動距離が長くなり、電池の内部抵抗が高く
なるからであり、逆に、電極材の厚みが30μmよりも
薄くなると、強度が低下し割れやクラックが発生し易く
なるからである。
【0083】なお、電池の内部抵抗を考慮すれば電極材
の厚みは30〜150μmとすることが好ましく、望ま
しくは30〜100μmとすることが良い。
【0084】次に、本発明のリチウム電池用電極材を備
えたリチウム電池について説明する。
【0085】図1は本発明のリチウム電池用電極材を備
えたリチウム電池の一例を示す断面図である。
【0086】1は外装体、2は正極用電極材、3は負極
用電極材、4は電解質又は電解質を含むセパレータ、5
は正極用端子、6は負極用端子である。
【0087】外装体1は気密性を保持できれば材質には
限定されず、例えばアルミラミネートフィルム、ニッケ
ル、アルミニウムなどの金属などを用いることができ
る。
【0088】正極用端子5及び負極用端子6には、アル
ミニウム、ニッケル、SUSなどの金属が用いられる。
ここで、正極用電極材2と正極端子5、負極用電極材3
と負極端子6とは、不図示の集電体を介して接合され
る。集電体としては、例えば、カーボンブラック、グラ
ファイト、金、銀、ニッケル、酸化亜鉛、酸化錫、酸化
アンチモンをドープした酸化錫、酸化インジウム、酸化
錫をドープした酸化インジウム、酸化チタン、チタン酸
カリウムのうちの少なくとも一種類からなる導電性フィ
ラーと、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、シリコン系樹
脂、ポリアミド系樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル
系樹脂、ポリイミド系樹脂のうちの少なくとも一種類の
高分子接着剤とからなる導電性接着剤を用いることがで
きる。
【0089】電解質又は電解質を含むセパレータ4は、
イオン伝導性を有するものであれば液体でも固体でも良
い。電解質には有機溶媒に電解質塩を溶解させた有機電
解液や高分子固体電解質に電解質塩を溶解させ、重合さ
せた高分子固体電解質、または有機電解液と高分子固体
電解質を複合させたゲル電解質、または無機材料からな
る無機固体電解質を用いることができる。
【0090】有機電解液に用いる有機溶媒には例えばエ
チレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレ
ンカーボネート、ジメチルカーボネート、ガンマ−ブチ
ロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、
1,3−ジメトキシプロパン、ジメチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、炭酸
ジメチル、炭酸ジエチル、メチルエチルカーボネートか
ら選ばれる1種もしくは2種以上を混合した溶媒が挙げ
られる。
【0091】電解質塩としては、例えばLiClO4
LiBF4、LiPF6、LiCF3SO3、LiN(CF
3SO2)2、LiN(C25SO2)2などのリチウム塩を
挙げることができる。
【0092】有機電解液を使用するときのセパレータと
しては、例えばポリオレフィン繊維性の不織布やポリオ
レフィン繊維性の微多孔膜を用いることができる。ここ
で、ポリオレフィン繊維としては、ポリプロピレン繊
維、ポリエチレン繊維などを挙げることができる。
【0093】高分子固体電解質としては、例えば、ポリ
エチレンオキシド骨格を持つ高分子やプロピレンオキシ
ド骨格を持つ高分子、またそれらの混合物および共重合
体などが挙げられる。
【0094】無機固体電解質としては、例えば、Li
1.3Al0.3Ti1.7(PO43やLi3 .6Ge0.60.4
4などの結晶質固体電解質、30LiI−41Li2O−
29P 25や40Li2O−35B23−25LiNb
3などの酸化物系非晶質固体電解質、45LiI−3
7Li2S−18P25や1Li3PO4−63Li2S−
36SiS2などの硫化物系非晶質固体電解質などが挙
げられる。
【0095】そして、正極用電極材2及び負極用電極材
3のうち少なくとも一方に本発明のリチウム電池用電極
材であるヤング率が90〜150GPaで、かつ気孔率
が25〜50%である活物質の焼結体を用いたものであ
る。ただし、いずれか一方の電極材2,3にのみ本発明
のリチウム電池用電極材を用いた場合、他方の電極材に
はこれまで使用されている電極材を用いれば良い。
【0096】このように、本発明のリチウム電池用電極
材を用いてリチウム電池を製作すれば、電池の製作工程
中に電極材が破損するようなことがなく、特にアルミラ
ミネートフィルムのような柔らかい外装体1を用いた場
合、電池製作時に作用する応力が正極用電極材2及び負
極用電極材3が直に作用することになるが、本発明のリ
チウム電池用電極材は応力が作用すると弾性変形し、応
力を緩和することができるため、割れやクラックの発生
を低減することができる。
【0097】また、電池製作後、取り扱い時に落とした
りして衝撃等が加わっても割れやクラックを生じること
がなく、電池機能が低減することを防止することができ
る。
【0098】なお、本発明のリチウム電池は一次電池で
あっても二次電池であっても良く、また、電池形状は角
型、円筒型、ボタン型、コイン型、扁平型などに限定さ
れるものではない。
【0099】
【実施例】(実施例1)活物質として平均粒径が0.2
μmと平均粒径が2μmである二種類のリチウムマンガ
ン複合酸化物の粉末を用意し、平均粒径0.2μmの活
物質粒子が40vol%、平均粒径2μmの活物質粒子
が60vol%となるように混合した。
【0100】これらの粉末に、アクリル系バインダー、
分散剤などを添加し、溶剤とともに均一に混練した。そ
の後、溶剤を揮発させた後、得られた混合物をSUS製
のメッシュを通し造粒した。
【0101】そして、得られた造粒粉を5×45mmの
金型に投入し条件を異ならせてプレス成形した成形体を
大気中の雰囲気で3時間、焼成温度を600℃〜800
℃の範囲で異ならせて焼成することにより、ヤング率と
気孔率を異ならせた活物質の焼結体を得た。
【0102】次いで、この焼結体の4面を#600の研
磨紙で荒研磨した後、#1500の研磨紙で研磨をし、
さらに#5000のダイヤモンドペーストで仕上げ研磨
を行ってヤング率測定用の試験片を得た。
【0103】この試験片を用いてJIS R 1602
に準ずる方法でヤング率を測定した。
【0104】また、同じ条件で製作した試験片を用い
て、最大振幅2mm、周波数20Hzの条件で5分間振
動評価を行い、割れやクラックが見られたものを不良と
して評価した。
【0105】結果は表1に示す通りである。
【0106】
【表1】
【0107】表1に示すように、ヤング率が150GP
aを超え、かつ気孔率が25%未満であるものは、焼結
体を弾性変形させることができず、試料の半分近くが不
良となった。
【0108】これに対し、ヤング率が150GPa以下
で、かつ気孔率が25%以上であるものは、不良品の発
生を1/3以下とすることができ、ヤング率を小さくす
ることにより、不良品の発生を抑えられることが判る。
ただし、試料No.7のようにヤング率が90%未満、
気孔率が50%を超えると、活物質の充填率が小さくな
り過ぎ電極材としては使用し難いものであった。
【0109】この結果、活物質の焼結体のヤング率を9
0〜150GPaとし、かつ気孔率を25〜50%とす
ることにより電極材として使用することができ、かつ衝
撃に対する破損を効果的に防止できることが判る。 (実施例2)次に、実施例1で用いたリチウムマンガン
複合酸化物の粉体に、主成分がZnO2であり、副成分
としてB23とLi2OとSiO2が含まれている低融点
ガラス粉末を表2に示す割合で混合した。
【0110】これらの粉末を用いて、実施例1に記載し
た方法で試験片を作製し、ヤング率を測定すると共に、
同一の試験片を用いて気孔率の測定を行った。
【0111】また、同条件で作製した試験片を用いて、
実施例1に記載した方法で振動試験を行った。
【0112】結果は表2に示す通りである。
【0113】
【表2】
【0114】表2より判るように、気孔率が25%以下
である試料No.15は、焼結体を弾性変形させること
ができず、50個の試料のうち22個も不良となった。
【0115】これに対し、ヤング率が90〜150GP
aで、かつ気孔率が25〜50%の範囲にある試料N
o.8〜14は電極材として使用することができ、また
衝撃に対する破損を効果的に防止できた。また、本実験
では、活物質以外に低融点ガラスを混ぜて焼結体を製作
したものであるが、このように低融点ガラスを混ぜるこ
とにより高い気孔率を維持した状態でヤング率を下げら
れることが判る。これは、活物質粒子のネック部に低融
点ガラスが介在し、活物質の焼結体が粒界破壊すること
を遅らせているためと推測される。
【0116】なお、試料No.8はヤング率90〜15
0GPa、気孔率25〜50%を満足しているものの、
低融点ガラスを添加するという観点からすると、ヤング
率のバラツキが大きかった。その為、再現性の良い焼結
体を得るためには、低融点ガラス含有量は、0.1体積
%より多い方が望ましい。
【0117】この結果、低融点ガラスを添加する場合、
その含有率を0.1〜30.0体積%とすることにより
活物質の焼結体のヤング率を90〜150GPaとし、
かつ気孔率を25〜50%とすることができ、衝撃に対
する破損を効果的に防止できることが判る。 (実施例3)平均粒径0.05μm、0.1μm、0.
3μm、0.7μm、1μm、4μm、5μm、7μm
であるリチウムマンガン複合酸化物の粉末を用意し、粒
径の小さい粒子を40vol%、粒径の大きい粒子を6
0vol%の割合で混合した。
【0118】これらの粉末を用いて、実施例1に記載し
た方法で試験片を作製し、ヤング率を測定すると共に、
同一の試験片を用いて平均粒径の測定を行った。
【0119】また、同条件で作製した試験片を用いて、
実施例1に記載した方法で振動試験を行った。
【0120】結果は表3に示す通りである。
【0121】
【表3】
【0122】表3より判るように、一種類の粒径範囲を
有する活物質を用い、焼結体のヤング率が150GPa
を超えた試料No.21は、焼結体を弾性変形させるこ
とができず、試料の半分が不良となった。
【0123】また、一種類の粒径範囲を有する活物質を
用い、焼結体のヤング率が90GPa未満、気孔率が5
0%を超えている試料No.16は、焼結体の強度が小
さく、試料の半分近くが不良となった。
【0124】これに対し、大きな粒径の活物質の平均結
晶粒子径が1〜5μmで、かつ小さな粒径を有する活物
質の平均結晶粒子径が0.1〜0.7μmの範囲にある
試料No.17〜20は、焼結体のヤング率を90〜1
50GPa、気孔率を25〜50%とすることができ、
50個の試料に対して不良の発生を最も多いものでも1
9個と、20個未満とすることができ、衝撃に対する破
損を防止することができた。 (実施例4)実施例1で用いたリチウムマンガン複合酸
化物の粉体に、主成分がZnO2であり、副成分として
23とLi2OとSiO2が含まれている種々のガラス
転移温度を示す低融点ガラス粉末を7vol%混合し、
これらの粉末を用いて、実施例1に記載した方法で試験
片を作製しヤング率を測定した。
【0125】
【表4】
【0126】表4より判るように、ガラス転移温度が6
00℃より大きい低融点ガラスを用いると、焼成におい
て、活物質と低融点ガラスが反応し、電極として機能し
なくなった。
【0127】これに対し、低融点ガラスのガラス転移温
度が600℃以下、好ましくは570℃以下、望ましく
は550℃以下である低融点ガラスを用いれば、活物質
との反応がなく、また焼成温度を下げることができるた
め、安価に電極材を製造できることが判る。
【0128】
【発明の効果】以上のように、本発明のリチウム電池用
電極材によれば、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な活
物質を主体とする焼結体により形成するとともに、焼結
体のヤング率を90〜150GPaとし、かつ気孔率を
25〜50%としたことによって、応力が加わっても割
れやクラックが発生し難いため、リチウム電池の製造工
程中に応力が作用してもリチウム電池用電極材が破損す
るようなことがないため、リチウム電池を歩留り良く生
産することが可能となる。
【0129】また、本発明のリチウム電池用電極材を用
いてリチウム電池を製作すれば、取り扱い時に衝撃を与
えたとしてもリチウム電池用電極材が破損するようなこ
とがないため、電池特性が劣化せず、信頼性の高いリチ
ウム電池を提供することができる。
【0130】また、上記活物質を主体とする焼結体中に
ガラス転移温度が600℃以下である低融点ガラスを
0.1〜30.0体積%の範囲で含有させるとともに、
さらに焼結体中の活物質を大きな結晶粒子と、この大き
な結晶粒子の隙間に配置される小さな結晶粒子とから構
成し、大きな結晶粒子の平均結晶粒子径を1〜5μmと
するとともに、小さな結晶粒子の平均結晶粒子径を0.
1〜0.7μmとすることにより、所定のヤング率と気
孔率を持った焼結体を再現性良く製造することができ
る。
【0131】また、上記活物質を主体とする焼結体を実
質的に活物質のみから構成するとともに、焼結体中の活
物質を大きな結晶粒子と、この大きな結晶粒子の隙間に
配置される小さな結晶粒子とから構成し、大きな結晶粒
子の平均結晶粒子径を1〜5μmとするとともに、小さ
な結晶粒子の平均結晶粒子径を0.1〜0.7μmとす
ることにより、所定のヤング率と気孔率を持った焼結体
を再現性良く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウム電池用電極材を備えるリチウ
ム電池の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 外装体 2 正極用電極材 3 負極用電極材 4 電解質 5 正極用端子 6 負極用端子
フロントページの続き (72)発明者 前田 岳志 京都府京都市伏見区竹田鳥羽殿町6番地 京セラ株式会社内 Fターム(参考) 5H029 AJ11 AK02 AK03 AK18 AM03 AM04 AM05 AM07 AM11 CJ02 CJ08 DJ08 DJ13 EJ06 HJ00 HJ05 HJ07 HJ09 HJ14 5H050 AA14 BA15 CA02 CA05 CA07 CA08 CA09 CB02 CB03 DA11 EA13 FA09 FA14 GA02 GA03 GA10 HA00 HA05 HA07 HA09 HA14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】リチウムイオンの吸蔵放出が可能な活物質
    を主体とする焼結体からなり、該焼結体のヤング率が9
    0〜150GPaで、かつ気孔率が25〜50%である
    ことを特徴とするリチウム電池用電極材。
  2. 【請求項2】上記焼結体が低融点ガラスを0.1〜3
    0.0体積%含有することを特徴とする請求項1に記載
    のリチウム電池用電極材。
  3. 【請求項3】上記焼結体中の活物質が平均結晶粒子径1
    〜5μmの大きな結晶粒子と、この大きな結晶粒子の隙
    間に配置される平均結晶粒子径0.1〜0.7μmの小
    さな結晶粒子とからなることを特徴とする請求項2に記
    載のリチウム電池用電極材。
  4. 【請求項4】上記低融点ガラスのガラス転移温度が60
    0℃以下であることを特徴とする請求項2又は請求項3
    に記載のリチウム電池用電極材。
  5. 【請求項5】上記焼結体が実質的に活物質のみからな
    り、該活物質は平均結晶粒子径が1〜5μmの大きな結
    晶粒子と、この大きな結晶粒子の隙間に配置される平均
    結晶粒子径が0.1〜0.7μmの小さな結晶粒子とか
    らなることを特徴とする請求項1に記載のリチウム電池
    用電極材。
  6. 【請求項6】請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の
    リチウム電池用電極材を、電解質又は電解質を含むセパ
    レータを挟む一対の電極の少なくとも一方に用いたこと
    を特徴とするリチウム電池。
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