JP2003131060A - 光ファイバ、光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイバの製造方法 - Google Patents

光ファイバ、光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイバの製造方法

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JP2003131060A
JP2003131060A JP2001325245A JP2001325245A JP2003131060A JP 2003131060 A JP2003131060 A JP 2003131060A JP 2001325245 A JP2001325245 A JP 2001325245A JP 2001325245 A JP2001325245 A JP 2001325245A JP 2003131060 A JP2003131060 A JP 2003131060A
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勝也 永山
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  • Optical Fibers, Optical Fiber Cores, And Optical Fiber Bundles (AREA)
  • Manufacture, Treatment Of Glass Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 線引時の張力制御が容易化されて伝送損失を
低減することが可能な光ファイバ、光ファイバ母材の製
造方法、及び光ファイバの製造方法を提供する。 【解決手段】 Fが添加されたコア領域100と、コア
領域100よりも大きい添加量でFが添加されたクラッ
ド領域200のクラッド層201とを備える光ファイバ
を形成する。そして、最外クラッド層となるクラッド層
201の外周を含む外縁部205内において、クラッド
層201内でのFの最小添加量となる所定の添加量まで
Fの添加量が順次減少していくように構成する。このと
き、コア領域100の粘性が小さくなり、また、外縁部
205の粘性が大きくなるので、光ファイバ内に加わる
応力が好適に分散される。これにより、コアへの応力集
中が抑制されて線引時の張力制御が容易化され、伝送損
失が低減される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光を伝送する光フ
ァイバ、光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイバの
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光ファイバを用いた光の伝送において、
光ファイバ内でのレイリー散乱によって生じるレイリー
散乱損失や、光ファイバ内のガラス構造に起因する構造
不整損失などの伝送損失が問題となる。
【0003】これに対し、低伝送損失の光ファイバとし
て、特開昭60−255646号公報に、石英(SiO
2)系のコア領域に屈折率を下げる添加物であるフッ素
(F)が添加された光ファイバが記載されている。F添
加SiO2ガラスは、純SiO2ガラスやGe添加SiO
2ガラスに比べてレイリー散乱係数が小さい。したがっ
て、光が伝送される光ファイバのコア領域をF添加Si
2ガラスとすることで、伝送損失を低減することがで
きる。
【0004】また、文献「坂口、電子情報通信学会論文
誌 2000/1 Vol.J83-C No.1, pp.30-36」に、線引後の光
ファイバの徐冷によって、光ファイバでのレイリー散乱
損失を低減することが記載されている。すなわち、ガラ
ス内でのレイリー散乱強度は材料によって一定に定まる
ものではなく、ガラス内での原子の配列状態の乱雑さを
示す仮想的な温度である仮想温度Tf(Fictive Temper
ature)に依存する。具体的には、ガラス内の仮想温度
Tfが高く(乱雑さが大きく)なると、レイリー散乱強
度は増大する。
【0005】これに対して、光ファイバ母材を加熱線引
するときに、線引炉の後段に加熱炉を設置しておき、線
引後の光ファイバが加熱炉を通過するときに所定の温度
範囲内となるように加熱する。これによって、加熱炉を
用いた加熱で線引後の光ファイバの急激な冷却が防止さ
れ、光ファイバが徐冷される。このとき、原子の再配列
によるガラスの構造緩和によって、光ファイバ内の仮想
温度Tfが低下して、光ファイバ内でのレイリー散乱強
度が抑制される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなレイリー散乱損失の低減効果が得られる製造方法を
用いた場合でも、光ファイバ母材の線引時における張力
制御の条件や、光ファイバ母材でのコア領域及びクラッ
ド領域の構成などにより、コアへの応力集中によって構
造不整損失が増大するなど、全体としての伝送損失が必
ずしも低減されないことを本願発明者は見出した。
【0007】本発明は、以上の問題点を解決するために
なされたものであり、線引時の張力制御が容易化されて
伝送損失を低減することが可能な光ファイバ、光ファイ
バ母材の製造方法、及び光ファイバの製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明による第1の光ファイバは、屈折率を
下げるフッ素が添加されたコア領域と、コア領域の外周
に設けられ、コア領域よりも大きい添加量でフッ素が添
加された1層または複数層のクラッド層を有するクラッ
ド領域と、を備え、1層または複数層のクラッド層のう
ちで最も外側に位置する最外クラッド層は、その外周を
含む外縁部内において、層内でのフッ素の最小添加量と
なる所定の添加量までフッ素の添加量が順次減少してい
くように構成されていることを特徴とする。
【0009】上記した光ファイバにおいては、コア領域
にF(フッ素)を添加している。このように、光ファイ
バのコア領域をF添加SiO2ガラスとすることによ
り、光ファイバ内でのレイリー散乱損失が小さくなり、
伝送損失が低減される。また、F添加SiO2からなる
コア領域では、純SiO2に比べて粘性が小さくなるの
で、光ファイバ内に加わる応力のコアへの集中が抑制さ
れる。また、この粘性の低下によって、コア領域内での
粘性流動による構造緩和が促進される。
【0010】さらに、F(フッ素)が添加されて形成さ
れたクラッド層のうち、最外クラッド層内でのFの添加
量分布について、最外クラッド層の外縁部(外周及びそ
の近傍部分)内で、内側から外側に向かってFの添加量
が徐々に減少していくように最外クラッド層を構成して
いる。このとき、Fの添加量が少ない最外クラッド層の
外縁部において、その粘性が大きくなるので、光ファイ
バ内に加わる応力がこの最外クラッド層の外縁部に分散
されて、コアへの応力集中がさらに抑制される。また、
この応力分散によって、光ファイバの線引時に許容され
る好適な張力値範囲についても、広い数値範囲とするこ
とができる。
【0011】これにより、本発明による光ファイバは、
光ファイバ内に加わる応力がコア領域及びクラッド領域
へと好適に分散されて、線引時における張力制御が容易
化される構成の光ファイバとなる。同時に、コアへの過
度の応力集中などによって生じる伝送損失の増大や伝送
特性の劣化が防止されるとともに、粘性流動による構造
緩和が促進されて、全長にわたって安定した伝送特性を
有する光ファイバが実現される。
【0012】なお、上記したクラッド領域内でのFの添
加量分布については、Fの添加量を減少させる領域が最
外クラッド層の外縁部であるため、コア領域内及びその
近傍のクラッド領域内を伝送される光の伝送特性には影
響を与えることがない。したがって、光ファイバの伝送
特性等を好適に保持しつつ、張力制御の容易化、あるい
はそれによる伝送損失の低減を達成することができる。
【0013】また、クラッド領域は、コア領域の外周に
設けられた内クラッド層と、内クラッド層の外周に設け
られて最外クラッド層となる外クラッド層との2層のク
ラッド層からなるとともに、外クラッド層でのフッ素の
平均添加量が、内クラッド層でのフッ素の平均添加量よ
りも小さいことを特徴とする。
【0014】上記した光ファイバは、伝送される光をコ
ア領域及びその近傍へと効率的に閉じ込めるための、F
の添加量が大きい(比屈折率差が小さい)内クラッド層
と、伝送特性を調整する効果やコアへの応力集中を低減
する効果などを有する、Fの添加量が小さい(比屈折率
差が大きい)外クラッド層との2層構造からなるクラッ
ド領域を備える。このような構成からなる光ファイバに
おいても、最外クラッド層となる外クラッド層の外縁部
でFの添加量を減少させることによって、1層構造のク
ラッド領域を備える光ファイバなどと同様に、光ファイ
バの張力制御を容易化することが可能である。
【0015】また、外クラッド層は、その内周近傍での
フッ素の添加量が層内でのフッ素の最大添加量よりも少
ないことを特徴としても良い。上記した2層構造のクラ
ッド領域の場合、外クラッド層(最外クラッド層)の形
成時に、その内周近傍でFの添加量がやや減少する場合
がある。このような添加量分布となった場合において
も、上記した光ファイバの構成を適用することによっ
て、外縁部への応力分散を実現することができる。
【0016】また、最外クラッド層は、各部における比
屈折率差を純SiO2での屈折率を基準として%で表し
て定義したときに、最小添加量でフッ素が添加された外
縁部内の部位での最大比屈折率差Δnaが、最大添加量
でフッ素が添加された外縁部より内側の部位での最小比
屈折率差Δnbに対して、条件 Δna≧Δnb+0.05% を満たすことを特徴とする。
【0017】このように、最外クラッド層の外縁部で
の、Fの添加量を減少させる減少量を比屈折率差で0.
05%以上とすることによって、この外縁部への応力分
散の効果を充分に向上することができる。また、このF
の添加量の減少量については、比屈折率差で0.1%以
上とすることがさらに好ましい。
【0018】また、最外クラッド層は、外縁部内におい
て、外縁部内の外周側の所定範囲で、フッ素の添加量が
最小添加量で略一定となるように構成されていることを
特徴とする。
【0019】このように、外縁部内の外側部分となる外
周近傍に、Fの添加量が最小添加量でほぼ一定となる領
域を設けることによって、その領域内での粘性を大きく
して、外縁部への応力分散をさらに効率的に実現するこ
とが可能となる。
【0020】また、コア領域は、各部における比屈折率
差を純SiO2での屈折率を基準として%で表して定義
したときに、その平均比屈折率差Δn0が、条件 Δn0>−0.3% を満たすことが好ましい。このように、コア領域へのF
の添加量を一定範囲内とすることによって、コア領域及
びクラッド領域にともにFが添加された上記構成の光フ
ァイバを好適かつ容易に製造することができる。
【0021】また、コア領域は、屈折率を上げる添加物
がさらに添加されていることを特徴としても良い。これ
により、コア領域の屈折率を好適な値に調整することが
できる。
【0022】また、コア領域での粘度が、最外クラッド
層の外縁部での粘度よりも小さいことを特徴としても良
い。これにより、光ファイバ内に加わる応力を充分に最
外クラッド層の外縁部へと分散させることができる。た
だし、コア領域での粘度が、最外クラッド層の外縁部で
の粘度と同程度またはそれよりも大きい場合でも、上記
したように最外クラッド層の外縁部への応力分散の効果
が得られる。
【0023】また、本発明による第2の光ファイバは、
屈折率を下げるフッ素が添加されたコア領域と、コア領
域の外周に設けられ、コア領域よりも大きい添加量でフ
ッ素が添加されたクラッド層を含む1層または複数層の
クラッド層を有するクラッド領域と、を備え、クラッド
領域は、コア領域の外周に設けられた内クラッド層と、
内クラッド層の外周に設けられて1層または複数層のク
ラッド層のうちで最も外側に位置する最外クラッド層と
なる外クラッド層との2層のクラッド層からなり、外ク
ラッド層でのフッ素の平均添加量が、内クラッド層での
フッ素の平均添加量よりも小さくなるように構成されて
いることを特徴とする。
【0024】上記した光ファイバにおいては、コア領域
にF(フッ素)を添加している。このように、光ファイ
バのコア領域をF添加SiO2ガラスとすることによ
り、光ファイバ内でのレイリー散乱損失が小さくなり、
伝送損失が低減される。また、F添加SiO2からなる
コア領域では、純SiO2に比べて粘性が小さくなるの
で、光ファイバ内に加わる応力のコアへの集中が抑制さ
れる。また、この粘性の低下によって、コア領域内での
粘性流動による構造緩和が促進される。
【0025】さらに、F(フッ素)が添加されて形成さ
れた2層のクラッド層のうち、最外クラッド層となる外
クラッド層内でのFの添加量について、内クラッド層で
のFの添加量よりも小さい添加量となるようにクラッド
領域を構成している。このとき、Fの添加量が少ない外
クラッド層において、その粘性が大きくなるので、光フ
ァイバ内に加わる応力がこの外クラッド層に分散され
て、コアへの応力集中がさらに抑制される。また、この
応力分散によって、光ファイバの線引時に許容される好
適な張力値範囲についても、広い数値範囲とすることが
できる。
【0026】これにより、本発明による光ファイバは、
光ファイバ内に加わる応力がコア領域及びクラッド領域
へと好適に分散されて、線引時における張力制御が容易
化される構成の光ファイバとなる。同時に、コアへの過
度の応力集中などによって生じる伝送損失の増大や伝送
特性の劣化が防止されるとともに、粘性流動による構造
緩和が促進されて、全長にわたって安定した伝送特性を
有する光ファイバが実現される。
【0027】このような2層のクラッド層を有する場
合、外クラッド層は、純SiO2からなることが好まし
い。これにより、光ファイバ内に加わる応力をクラッド
領域へと充分に分散することができる。
【0028】また、本発明による光ファイバ母材の製造
方法は、(1)屈折率を下げるフッ素が添加されたコア
領域を少なくとも含むコア母材の外周上にガラス微粒子
を堆積させて、コア領域の外周に設けられるクラッド領
域が有する1層または複数層のクラッド層のうちで、最
も外側に位置する最外クラッド層となるガラス微粒子層
を合成する合成工程と、(2)合成されたガラス微粒子
層を加熱脱水する脱水工程と、(3)脱水されたガラス
微粒子層を加熱焼結して最外クラッド層とし、コア領域
と、1層または複数層のクラッド層を有するクラッド領
域と、を備える光ファイバ母材を形成する焼結工程とを
備え、(4)ガラス微粒子層を加熱焼結する前に、ガラ
ス微粒子層にフッ素を添加するとともに、その外周を含
む外縁部から、添加されているフッ素の一部を除去する
ことを特徴とする。
【0029】このような光ファイバ母材の製造方法を用
いて得られた光ファイバ母材を線引することにより、コ
ア領域にFが添加され、また、クラッド領域のクラッド
層のうちで最も外側の最外クラッド層の外縁部内におい
て、層内でのFの最小添加量となる所定の添加量までF
の添加量が順次減少していくように、Fが添加及び除去
された光ファイバを得ることができる。
【0030】具体的には、脱水工程と、焼結工程との間
に、フッ素を所定濃度で含むガス雰囲気中で、ガラス微
粒子層にフッ素を含浸させて添加する含浸工程をさらに
備え、焼結工程において、加熱焼結時のガス雰囲気に含
まれるフッ素の濃度を、含浸時の所定濃度よりも低い濃
度として、ガラス微粒子層の外縁部から、添加されてい
るフッ素の一部を除去する方法がある。
【0031】あるいは、本発明による光ファイバ母材の
製造方法は、(1)屈折率を下げるフッ素が添加された
コア領域を少なくとも含むコア母材の外周上にガラス微
粒子を堆積させて、コア領域の外周に設けられるクラッ
ド領域が有する1層または複数層のクラッド層のうち
で、最も外側に位置する最外クラッド層となるガラス微
粒子層を合成する合成工程と、(2)合成されたガラス
微粒子層を加熱脱水する脱水工程と、(3)脱水された
ガラス微粒子層を加熱焼結して最外クラッド層とし、コ
ア領域と、1層または複数層のクラッド層を有するクラ
ッド領域と、を備える光ファイバ母材を形成する焼結工
程とを備え、(4)合成工程において、フッ素を含む原
料ガスを用いてガラス微粒子層にフッ素を添加するとと
もに、その外周を含む外縁部内においてフッ素の添加量
が順次減少していくように、フッ素を含む原料ガスを調
整してガラス微粒子層の合成を行うことを特徴とする。
【0032】このような光ファイバ母材の製造方法を用
いて得られた光ファイバ母材を線引することによって
も、同様に、コア領域にFが添加され、また、最外クラ
ッド層の外縁部内において、層内でのFの最小添加量と
なる所定の添加量までFの添加量が順次減少していくよ
うに、Fが添加された光ファイバを得ることができる。
【0033】この場合、合成工程において、フッ素の代
わりに塩素を含む原料ガスを用いてガラス微粒子層に塩
素を添加した後、添加された塩素をフッ素に置換する方
法とすることも可能である。
【0034】また、本発明による光ファイバ母材の製造
方法は、屈折率を下げるフッ素が添加されたコア領域の
外周に設けられ、コア領域よりも大きい添加量でフッ素
が添加された内クラッド層に対し、内クラッド層の外周
上に、コア領域の外周に設けられるクラッド領域が有す
る1層または複数層のクラッド層のうちで、最も外側に
位置する最外クラッド層となる外クラッド層を、内クラ
ッド層でのフッ素の平均添加量よりも小さい平均添加量
でフッ素を添加またはフッ素を無添加として形成して、
コア領域と、内クラッド層及び外クラッド層の2層のク
ラッド層からなるクラッド領域とを備える光ファイバ母
材を作製することを特徴とする。
【0035】このような光ファイバ母材の製造方法を用
いて得られた光ファイバ母材を線引することにより、コ
ア領域にFが添加され、また、2層のクラッド層のう
ち、外クラッド層でのFの添加量が内クラッド層での添
加量よりも小さい光ファイバを得ることができる。
【0036】また、本発明による第1の光ファイバの製
造方法は、屈折率を下げるフッ素が添加されたコア領域
と、コア領域の外周に設けられ、コア領域よりも大きい
添加量でフッ素が添加された1層または複数層のクラッ
ド層を有するクラッド領域と、を備え、1層または複数
層のクラッド層のうちで最も外側に位置する最外クラッ
ド層が、その外周を含む外縁部内において、層内でのフ
ッ素の最小添加量となる所定の添加量までフッ素の添加
量が順次減少していくように構成されている光ファイバ
母材を作製するとともに、光ファイバ母材を加熱線引す
るときに、線引炉で線引された光ファイバを、線引炉の
後段に設けられた加熱炉によって所定の温度範囲内の温
度であるように加熱することを特徴とする。
【0037】本発明による第2の光ファイバの製造方法
は、屈折率を下げるフッ素が添加されたコア領域と、コ
ア領域の外周に設けられ、コア領域よりも大きい添加量
でフッ素が添加されたクラッド層を含む1層または複数
層のクラッド層を有するクラッド領域と、を備え、クラ
ッド領域が、コア領域の外周に設けられた内クラッド層
と、内クラッド層の外周に設けられて1層または複数層
のクラッド層のうちで最も外側に位置する最外クラッド
層となる外クラッド層との2層のクラッド層からなり、
外クラッド層でのフッ素の平均添加量が、内クラッド層
でのフッ素の平均添加量よりも小さくなるように構成さ
れている光ファイバ母材を作製するとともに、光ファイ
バ母材を加熱線引するときに、線引炉で線引された光フ
ァイバを、線引炉の後段に設けられた加熱炉によって所
定の温度範囲内の温度であるように加熱することを特徴
とする。
【0038】このように、光ファイバ母材を加熱線引す
るときに、線引炉の後段に設けられた加熱炉を用いて光
ファイバの徐冷を行うことによって、上記した構造によ
る応力集中の抑制及び伝送損失の低減に加えて、光ファ
イバ内の仮想温度Tfを構造緩和によって低くして、レ
イリー散乱損失をさらに低減することができる。
【0039】なお、上記した光ファイバの製造方法にお
いて、線引炉の後段に設けられる加熱炉については、線
引された光ファイバを樹脂によって被覆する樹脂被覆部
がある場合には、線引炉及び樹脂被覆部の間に設けられ
ていることが好ましい。
【0040】また、加熱炉は、線引された光ファイバ
を、光ファイバの温度が800〜1500℃の範囲内の
温度であるように0.05〜5秒間加熱することが好ま
しい。
【0041】このような温度範囲及び加熱時間とするこ
とによって、線引後の光ファイバの徐冷による仮想温度
Tfの低減を好適に実現することができる。また、これ
らの温度範囲などの条件については、線引速度などに応
じて、適宜好適な条件を設定することが好ましい。
【0042】また、光ファイバ母材を加熱線引するとき
に、0.05〜0.20Nの範囲内の張力で光ファイバ
母材の線引を行うことを特徴とする。
【0043】最外クラッド層の外縁部に応力が分散され
る光ファイバ母材(光ファイバ)の構成とするととも
に、線引時の張力が0.05〜0.20Nの好適な張力
値範囲内に保持されるように張力制御を行うことによっ
て、全長にわたって低伝送損失で好適な伝送特性を有す
る光ファイバが得られる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、図面とともに本発明による
光ファイバ、光ファイバ母材の製造方法、及び光ファイ
バの製造方法の好適な実施形態について詳細に説明す
る。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号
を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比
率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0045】ここで、以下において、各部における屈折
率の値を示す比屈折率差は、純SiO2(純石英)での
屈折率を基準(比屈折率差=0)とし、純SiO2から
の屈折率差を%で表して定義するものとする。また、各
領域、各層におけるF(フッ素)の平均添加量または平
均比屈折率差については、それぞれ、その領域内(層
内)で、Fの添加量または比屈折率差を面積によって重
み付けして平均した値によって定義する。
【0046】まず、光ファイバの構成について説明す
る。図1は、本発明による光ファイバの第1の実施形態
について、その断面構造、及びファイバ径方向(図中の
線Lで示された方向)の屈折率プロファイルを模式的に
示す図である。なお、図1に示した屈折率プロファイル
(比屈折率差分布)の横軸は、スケールは異なるが、図
中の断面構造に示された線Lに沿った、光ファイバの中
心軸に対して垂直な断面上の各位置に対応している。
【0047】この光ファイバは、SiO2ガラス(石英
ガラス)系の光ファイバであり、光ファイバの中心軸を
含むコア領域100と、コア領域100の外周に設けら
れたクラッド領域200とを有して構成されている。こ
のような構成において、光ファイバ内を伝送される光
は、コア領域100内、及びクラッド領域200の内周
側でコア領域100近傍の部位内を伝送される。
【0048】コア領域100は、その外周の半径をr0
として形成されている。このコア領域100には、純S
iO2ガラスに屈折率を下げる添加物としてF(フッ
素)が所定量添加されている。これにより、コア領域1
00内の平均比屈折率差は、Δn0(ただし、Δn0
0)となっている。
【0049】一方、クラッド領域200は、本実施形態
においては、単一のクラッド層201を有して構成され
ている。クラッド層201は、その外周の半径をr1
して形成されている。このクラッド層201には、純S
iO2ガラスにF(フッ素)が所定量添加されている。
これにより、クラッド層201内の平均比屈折率差は、
Δn1(ただし、Δn1<0)となっている。また、クラ
ッド層201でのFの平均添加量は、コア領域100で
のFの平均添加量よりも大きくされている。したがっ
て、それぞれの平均比屈折率差Δn0、Δn1は、図1に
示したように、0>Δn0>Δn1の関係を有している。
【0050】また、このクラッド層201は、本実施形
態の構成において、クラッド領域200内で最も外側に
位置する最外クラッド層となっている。そして、その外
周(半径r1の部位)を含む領域であって、半径ra(た
だし、r0<ra<r1)から半径r1までの領域範囲を外
縁部205として、この外縁部205内において、Fの
添加量及び比屈折率差が所定の分布となるように構成さ
れている。
【0051】すなわち、最外クラッド層であるクラッド
層201のうち、外縁部205より内側となる半径r0
からraまでの領域範囲では、クラッド層内でのFの最
大添加量となる略一定の添加量でFが添加されている。
これにより、外縁部205の内側部分は、その比屈折率
差が、層内でのFの最小比屈折率差(Fの最大添加量に
相当し、絶対値は最大)となるΔnbとされている。
【0052】一方、外縁部205では、上記したFの最
大添加量から、層内でのFの最小添加量となる所定の添
加量まで、内側から外側へ向かって添加量が順次減少し
ていくようにFが添加されている。これにより、外縁部
205は、その比屈折率差が、上記した最小比屈折率差
Δnbから、層内での最大比屈折率差(Fの最小添加量
に相当し、絶対値は最小)となるΔnaまで、内側から
外側へ向かって変化していくように構成されている。
【0053】本実施形態の光ファイバにおいては、上述
したように、コア領域100にFを添加している。この
ように、光ファイバのコア領域100をF添加SiO2
ガラスとすることにより、光ファイバ内でのレイリー散
乱損失が小さくなり、伝送損失が低減される。
【0054】また、コア領域の粘性がクラッド領域より
も大きいと、光ファイバ母材の線引時に、光ファイバ内
に発生する応力がコアに集中し、伝送損失が増大する原
因となる。これに対して、F添加SiO2からなるコア
領域100では、純SiO2に比べて粘性が小さくなる
ので、光ファイバ内に加わる応力のコアへの集中が抑制
される。また、この粘性の低下によって、コア領域内で
の粘性流動による構造緩和が促進される。
【0055】さらに、クラッド領域200の最外クラッ
ド層となるクラッド層201内でのFの添加量分布につ
いて、図1に示すように、その外縁部205でFの添加
量が徐々に減少していくように、クラッド層201を構
成している。
【0056】本光ファイバのコア領域100は、F添加
SiO2からなる。このコア領域100では、Fの添加
によって上述のように粘性が小さくされているものの、
その添加量などから、クラッド領域200に比べればコ
ア領域100が大きい粘性を有する構成となっている。
したがって、その外周に設けられるクラッド層201
を、ほぼ一定の添加量でFが添加された通常の構成とす
ると、コアへの過度の応力集中を生じる場合がある。
【0057】これに対して、上記のようにクラッド層2
01の外縁部205においてFの添加量を減少させるこ
とによって、外縁部205の粘性が大きくなり、応力が
この外縁部205へと分散して、コアへの応力集中がさ
らに抑制される。すなわち、コア領域100へのFの添
加による効果と、クラッド層201の外縁部205にお
けるFの添加量分布による効果とを合わせることによっ
て、光ファイバ内に加わる応力がコア領域100及びク
ラッド領域200へと好適に分散されて、コアへの応力
集中が抑制される。
【0058】これにより、光ファイバの線引時において
許容される好適な張力値範囲がより広い数値範囲とな
り、線引時の張力制御が容易化される。また、コアへの
過度の応力集中や、不充分な張力制御などによって生じ
る伝送損失の増大や伝送特性の劣化が防止されるととも
に、コア領域内でのガラスの粘性流動による構造緩和が
促進される。以上より、全長にわたって好適かつ安定し
た伝送特性を有する光ファイバが実現される。
【0059】ここで、コア領域100へのFの添加量に
ついては、コア領域100の平均比屈折率差Δn0が、
条件 Δn0>−0.3% を満たすことが好ましい。これは、コア領域100への
Fの添加量を、Δn0=−0.3%となる添加量よりも
小さくすることに相当する。
【0060】このように、コア領域100へのFの添加
量を一定範囲内とすることによって、コア領域100及
びクラッド領域200にともにFが添加された上記構成
の光ファイバを好適かつ容易に製造することができる。
また、クラッド領域200へのFの添加量については、
クラッド領域200の平均比屈折率差Δn1が、条件 Δn1>−0.6% を満たすことが好ましい。
【0061】また、このコア領域100には、屈折率を
上げる添加物をさらに添加しても良い。これにより、コ
ア領域100の屈折率を好適な値に調整することができ
る。屈折率を上げる添加物としては、例えば、Ge(ゲ
ルマニウム)やCl(塩素)などがある。また、コア領
域100内の屈折率分布については、コア領域100内
で略一定の屈折率分布としても良いし、あるいは、グレ
ーデッド型などの屈折率分布であっても良い。
【0062】また、上記のようにコア領域100に対し
てFとともにGe、Clなどを共添加した場合には、ク
ラッド領域200へのFの添加量について、クラッド領
域200の平均比屈折率差Δn1が、条件 Δn1>−0.5% をさらに満たすことが好ましい。
【0063】また、外縁部205より内側の部位での最
小比屈折率差Δnbと、外縁部205の外周近傍での最
大比屈折率差Δnaとについて、比屈折率差ΔnaがΔn
bよりも0.05%以上高くされている(Δna≧Δnb
+0.05%)ことが好ましい。あるいはさらに、0.
1%以上高くされている(Δna≧Δnb+0.1%)こ
とが好ましい。
【0064】このように、クラッド層201の外縁部2
05での、Fの添加量を減少させる減少量を比屈折率差
で0.05%以上、あるいはさらに0.1%以上とする
ことによって、外縁部205の外周近傍での粘性をコア
領域100の粘性と同等程度とすることが可能となるな
ど、外縁部205への応力分散の効果を充分に向上する
ことができる。この場合、例えば、外縁部205の外周
近傍でのFの添加量をほぼ0まで減少させて、Δna
0としても良い。
【0065】あるいはさらに、コア領域100での粘度
が、最外クラッド層であるクラッド層201の外縁部2
05での粘度よりも小さい構成としても良い。これによ
り、光ファイバ内に加わる応力を充分にクラッド層20
1の外縁部205へと分散させることができる。
【0066】このような構成は、最外クラッド層の外縁
部でのFの添加量を、コア領域へのFの添加量よりも小
さい添加量まで減少させて、Δna>Δn0とすることに
相当する。ただし、コア領域での粘度が、最外クラッド
の外縁部での粘度と同程度またはそれよりも大きい構成
としても良い。このような場合でも、最外クラッド層の
外縁部でFの添加量を減少させる上記構成により、最外
クラッド層の外縁部への応力分散の効果が得られる。
【0067】また、コアへの応力集中の抑制、あるいは
それによる製造時(線引時)の張力制御の容易化などに
よる伝送損失の低減については、具体的には、レイリー
散乱係数Aが0.79dB/km・μm4以下、また
は、波長1.00μmでの伝送損失α1.00が0.80d
B/km以下とすることが好ましい。
【0068】レイリー散乱係数A及び伝送損失α
1.00は、通常の構成を有する純SiO2コアの光ファイ
バでは、それぞれおよそ0.85dB/km・μm4
0.86dB/kmの値(基準値)である。これに対し
て、本実施形態の光ファイバによれば、レイリー散乱係
数Aまたは伝送損失α1.00を、これらの基準値からそれ
ぞれ約7%低減された上記の数値範囲とすることが可能
である。
【0069】なお、このようなレイリー散乱係数Aまた
は伝送損失α1.00の低減は、上記した光ファイバの構
成、あるいはさらにレイリー散乱損失などによる伝送損
失を低減可能な製造方法との組合せなどによって実現さ
れる。製造方法による伝送損失の低減については、後述
する。
【0070】ここで、レイリー散乱係数Aについて説明
しておく。レイリー散乱係数Aは、光ファイバの伝送損
失に含まれるレイリー散乱損失の指標となる量である。
光ファイバでの波長λにおける伝送損失αλ(dB/k
m)は、レイリー散乱損失と、それ以外の構造不整損失
などの伝送損失成分により、一般に次式 αλ=A/λ4+B+C(λ) で表される。このうち、第1項A/λ4(dB/km)
がレイリー散乱損失を示しており、その係数Aがレイリ
ー散乱係数(dB/km・μm4)である。上式より、
レイリー散乱損失はレイリー散乱係数Aに比例してお
り、したがって、レイリー散乱損失の低減の指標として
レイリー散乱係数Aを用いることができる。なお、この
レイリー散乱係数Aについては、上式より、伝送損失の
波長依存性のデータ(例えば1/λ4プロットでの傾
き)から求めることができる。
【0071】また、本発明の光ファイバの伝送損失につ
いては、上記した条件では波長1.00μmでの伝送損
失α1.00に対して数値範囲を与えている。これは、1.
00μmでの伝送損失の値が、光伝送に用いられる1.
55μm帯などに比べて大きく、1〜10km程度の比
較的短い光ファイバサンプルで、充分な精度で評価でき
るためである。
【0072】また、波長1.00μmでの伝送損失α
1.00と、波長1.55μmでの伝送損失α1.55とは一定
の関係を有して対応しており、伝送損失α1.00が低減さ
れることにより、伝送損失α1.55についても、同様にそ
の低減を確認することができる。具体的には、伝送損失
α1.00及びα1.55は、上式よりそれぞれ α1.00=A+B+C(1.00) α1.55=A×0.17325+B+C(1.55) となり、その関係は、 α1.00=α1.55+A×0.82675+C(1.00)
−C(1.55) となる。
【0073】図2は、本発明による光ファイバの第2の
実施形態について、その断面構造、及びファイバ径方向
の屈折率プロファイルを模式的に示す図である。
【0074】この光ファイバは、第1の実施形態と同様
に、SiO2ガラス(石英ガラス)系の光ファイバであ
り、光ファイバの中心軸を含むコア領域100と、コア
領域100の外周に設けられたクラッド領域200とを
有して構成されている。このうち、コア領域100の構
成については、図1に示した光ファイバにおけるコア領
域100とほぼ同様である。
【0075】一方、クラッド領域200は、本実施形態
においては、コア領域100の外周に設けられた内クラ
ッド層201と、内クラッド層201の外周にさらに設
けられた外クラッド層202との2層のクラッド層を有
して構成されている。
【0076】内クラッド層201は、その外周の半径を
1として形成されている。この内クラッド層201に
は、純SiO2ガラスに屈折率を下げる添加物としてF
(フッ素)が所定量添加されている。これにより、内ク
ラッド層201内の平均比屈折率差は、Δn1(ただ
し、Δn1<0)となっている。
【0077】また、外クラッド層202は、その外周の
半径をr2として形成されている。この外クラッド層2
02には、純SiO2ガラスにF(フッ素)が所定量添
加されている。これにより、外クラッド層202内の平
均比屈折率差は、Δn2(ただし、Δn2<0)となって
いる。ただし、外クラッド層202でのFの平均添加量
は、内クラッド層201でのFの平均添加量よりも小さ
くされている。また、内クラッド層201及び外クラッ
ド層202でのFの平均添加量は、それぞれコア領域1
00でのFの平均添加量よりも大きくされている。した
がって、コア領域100、内クラッド層201、及び外
クラッド層202の平均比屈折率差Δn0、Δn1、Δn
2は、図2に示したように、0>Δn0>Δn2>Δn1
関係を有している。
【0078】また、この外クラッド層202は、本実施
形態の構成において、クラッド領域200内で最も外側
に位置する最外クラッド層となっている。そして、その
外周を含む領域であって、半径ra(ただし、r1<ra
<r2)から半径r2までの領域範囲を外縁部205とし
て、外縁部205内において、Fの添加量及び比屈折率
差が所定の分布となるように構成されている。
【0079】すなわち、最外クラッド層である外クラッ
ド層202のうち、外縁部205より内側となる半径r
1からraまでの領域範囲では、層内でのFの最大添加量
となる略一定の添加量でFが添加されている。これによ
り、外縁部205の内側部分は、その比屈折率差が、層
内での最小比屈折率差となるΔnbとされている。
【0080】一方、外縁部205では、上記したFの最
大添加量から、層内でのFの最小添加量となる所定の添
加量まで、内側から外側へ向かって添加量が順次減少し
ていくようにFが添加されている。これにより、外縁部
205は、その比屈折率差が、上記した最小比屈折率差
Δnbから、層内での最大比屈折率差となるΔnaまで、
内側から外側へ向かって変化していくように構成されて
いる。
【0081】本実施形態の光ファイバにおいても、第1
の実施形態と同様に、コア領域100にFが添加され、
また、クラッド領域200の最外クラッド層となる外ク
ラッド層202内の外縁部205で、Fの添加量が徐々
に減少するFの添加量分布となっている。したがって、
コア領域100の粘性が小さくなるとともに、外縁部2
05の粘性が大きくなるので、光ファイバ内に加わる応
力がコア領域100及びクラッド領域200へと好適に
分散されて、コアへの応力集中が抑制される。
【0082】これにより、光ファイバの線引時において
許容される好適な張力値範囲がより広い数値範囲とな
り、線引時の張力制御が容易化される。また、コアへの
過度の応力集中や、不充分な張力制御などによって生じ
る伝送損失の増大や伝送特性の劣化が防止されるととも
に、コア領域内でのガラスの粘性流動による構造緩和が
促進される。以上より、全長にわたって好適かつ安定し
た伝送特性を有する光ファイバが実現される。
【0083】また、本実施形態の光ファイバは、第1の
実施形態の光ファイバでのクラッド領域200が単一の
クラッド層201から構成されているのに対して、Fの
添加量が大きい(比屈折率差が小さい)内クラッド層2
01と、Fの添加量が小さい(比屈折率差が大きい)外
クラッド層202との2層のクラッド層を有してクラッ
ド領域200が構成されている。
【0084】このような2層構造のクラッド領域200
によれば、コア領域100の外周に位置する内クラッド
層201によって、伝送される光をコア領域100及び
その近傍へと効率的に閉じ込めることができる。また、
外クラッド層202は、光ファイバの伝送特性を調整す
る効果、及びコアへの応力集中を低減する効果などを有
する。そして、この外クラッド層202及びその内部で
の外縁部205の構成によって、コア領域100への応
力集中を確実に抑制することができる。
【0085】次に、光ファイバ母材及び光ファイバの製
造方法について説明する。図3は、上記した構成を有す
る光ファイバ母材及び光ファイバが得られる光ファイバ
の製造方法の例を、光ファイバ母材の製造方法を含めて
概略的に示すフローチャートである。
【0086】図3に示した製造方法においては、第1及
び第2の実施形態の光ファイバにおいてその構成例を示
したように、コア領域にFが添加されるとともに、最外
クラッド層の外縁部内において、最外クラッド層内での
Fの最小添加量となる所定の添加量までFの添加量が順
次減少(比屈折率差が順次増大)していく構成を有する
光ファイバ母材を作製する(ステップS100:ステッ
プS101〜S106を含む)。そして、得られた光フ
ァイバ母材を加熱線引して(S107)、図1及び図2
に示したような構成を有する光ファイバを得る(S10
8)。
【0087】最初に、光ファイバ母材の作製(S10
0)について説明する。まず、所定の添加量でFが添加
されたコア領域を少なくとも含むコア母材を作製する
(S101)。コア母材としては、通常のコア母材を用
いることができ、例えば、コア領域、あるいはさらにク
ラッド領域の一部が形成された母材を所定の長さに延伸
したものを用いることができる。また、コア領域につい
ては、例えば、FとともにGe、Clなどの屈折率を上
げる添加物が共添加された構成としても良い。
【0088】ここで、コア母材(コア延伸体)にクラッ
ド領域の一部を形成する場合には、図1のように1層の
クラッド層201を有する構成では、その一部をコア母
材で形成する方法がある。ただし、この場合、少なくと
も外縁部205を含む領域範囲はコア母材に含まれない
ようにする必要がある。また、図2のように2層のクラ
ッド層201、202を有する構成では、内クラッド層
201をコア母材で形成する方法がある。なお、コア母
材に形成されるクラッド領域の一部については、後述す
る最外クラッド層と同様に合成、脱水、焼結によって形
成しても良いし、あるいは、ロッドインコラプス法を用
いても良い。
【0089】このようなコア母材に対して、VAD法ま
たはOVD法などの合成方法を用いて、その外周上にガ
ラス微粒子層を合成する(S102、合成工程)。具体
的には、所定のガス組成からなる原料ガスが供給されて
いるガラス合成用バーナからの火炎によってガラス微粒
子を生成し、コア母材の外周上にこのガラス微粒子を堆
積させて、ガラス微粒子層を合成する。このガラス微粒
子層は、加熱焼結後に最外クラッド層(あるいは、その
外縁部を少なくとも含む最外クラッド層の外側の所定部
分)となる層である。
【0090】続いて、合成されたガラス微粒子層を加熱
脱水し(S103、脱水工程)、さらに、脱水されたガ
ラス微粒子層を加熱焼結して(S105、焼結工程)、
ガラス微粒子層から最外クラッド層が形成された光ファ
イバ母材を作製する(S106)。
【0091】なお、必要があれば、脱水工程(S10
3)と焼結工程(S105)との間の工程において、ガ
ラス微粒子層にFを含浸させて添加しても良い(S10
4、含浸工程)。含浸工程においては、焼結炉中の雰囲
気を、Fを所定濃度で含むガス雰囲気とし、このガス雰
囲気中でガラス微粒子層にFを含浸させて添加する。
【0092】このような光ファイバ母材の製造方法にお
いて、図1及び図2に示したように、ガラス微粒子層
(最外クラッド層)の外縁部で添加量が徐々に減少する
構成のFの添加量分布を得る方法としては、例えば、ガ
ラス微粒子層を加熱焼結する前に、ガラス微粒子層にF
を添加するとともに、その添加後に、ガラス微粒子層の
外周を含む外縁部(最外クラッド層の外縁部に相当)か
ら、添加されているFの一部を除去する方法がある。
【0093】具体的には、例えば、コア母材の外周上
に、SiO2からなるガラス微粒子層をジャケット層と
して合成(スス付け、合成工程)する。そして、SiC
4雰囲気・1200℃加熱で脱水(脱水工程)した
後、SiF4雰囲気・1200℃加熱でガラス微粒子層
にFを含浸させて添加する(含浸工程)。
【0094】続いて、このガラス微粒子層(ガラス微粒
子体)を1500℃加熱で焼結する(焼結工程)が、こ
こで、加熱焼結時のガス雰囲気からF(SiF4)を除
くか、あるいは含浸時の濃度よりも低い濃度(例えば微
量な濃度)としておく。このとき、上記したガス雰囲気
と接しているガラス微粒子層(最外クラッド層)の外縁
部から、添加されているFの一部が加熱焼結中に除去さ
れて、外縁部においてFの添加量が徐々に減少する構成
の添加量分布が形成される。
【0095】このように、Fを添加した後に外縁部のF
の一部を除去する方法によれば、上記した例のように加
熱焼結時にFの除去を行うことができるなど、新たな工
程を追加せずに、外縁部においてFの添加量が徐々に減
少する添加量分布を得ることができる。したがって、製
造コストを高くすることなく、上述した構成の光ファイ
バを得ることができる。
【0096】なお、このような方法は、Fの添加方法に
よらず、例えばFの含浸を行わずにガラス微粒子層の合
成時にFを添加した場合にも、同様に適用することが可
能である。また、Fの除去については、焼結工程で行う
方法に限らず、脱水工程、含浸工程、及び焼結工程のそ
れぞれでの設定温度やガス組成、ガス流量、処理時間な
どの組合せを利用して、様々な方法でFの除去を実現す
ることができる。また、それらの諸条件の設定によっ
て、Fの除去量や添加量分布の減少の傾き等についても
調整することができる。
【0097】また、上記のように、脱水工程と焼結工程
との間の工程においてガラス微粒子層にFを含浸させる
場合、Fの添加量は経験的にSiF4ガスの流量の1/
4乗に比例する。したがって、例えば、比屈折率差Δn
で−0.3%のFの添加量を2倍の−0.6%にするに
は、約16倍の流量でSiF4ガスを供給する必要があ
る。この場合、光ファイバの製造コストが高くなり、製
造に必要なガス供給系や排ガス処理系などの設備も大型
化する。また、SiF4ガスの流量を増大していくと、
ガラス微粒子層へのFの添加量がある程度で飽和するよ
うな場合も考えられる。
【0098】このため、光ファイバのコア領域及びクラ
ッド領域それぞれでのFの平均添加量及び添加量分布に
ついては、このような製造上の条件をも考慮して、好適
な添加量に設定することが好ましい。具体的には、例え
ばコア領域へのFの添加量については、上述したよう
に、条件 Δn0>−0.3% を満たす添加量でFを添加することが好ましい。
【0099】また、同様にガラス微粒子層(最外クラッ
ド層)の外縁部で添加量が徐々に減少するFの添加量分
布を得る方法として、Fの添加後に除去するのではな
く、ガラス微粒子層へのFの添加時に、添加するFの添
加量を徐々に減少させる方法も可能である。
【0100】具体的には、例えば、コア母材の外周上に
ガラス微粒子層をジャケット層として合成(合成工程)
するときに、ガラス合成用バーナにFを含む原料ガスを
供給して、堆積されるガラス微粒子にFを添加する。こ
のとき、供給される原料ガスに含まれるFの量を、ガラ
ス微粒子が堆積されるにしたがって減少させていけば、
外縁部においてFの添加量が徐々に減少する構成の添加
量分布を形成することができる。
【0101】また、ガラス微粒子層の合成時にClを添
加した後、ClをFに置換することも可能である。この
場合には、同様に原料ガスに含まれるClの量を減少さ
せていけば良い。
【0102】次に、作製された光ファイバ母材の加熱線
引(図3のステップS107)について説明する。図4
は、本発明による光ファイバの製造方法、及び光ファイ
バの製造に用いられる線引装置の一実施形態を概略的に
示す構成図である。
【0103】図4に示す線引装置1は、石英ガラス系光
ファイバを線引するための線引装置であって、線引炉1
1、徐冷用の加熱炉21及び樹脂硬化部31を有して構
成されている。これらの線引炉11、加熱炉21及び樹
脂硬化部31は、光ファイバ母材2を線引する方向(図
4における上下方向)に、線引炉11、加熱炉21、樹
脂硬化部31の順で設置されている。
【0104】まず、母材供給装置(図示していない)に
保持された光ファイバ母材2を線引炉11に供給し、線
引炉11内のヒータ12で光ファイバ母材2の下端を加
熱して軟化させ、光ファイバ3を線引する。線引炉11
の炉心管13には、不活性ガス供給部14からの不活性
ガス供給通路15が接続されており、線引炉11の炉心
管13内が不活性ガス雰囲気となるように構成されてい
る。
【0105】ここで、母材供給装置から供給される光フ
ァイバ母材2については、上述したように、コア領域に
Fが添加され、また、最外クラッド層の外縁部内におい
て、最外クラッド層内でのFの最小添加量となる所定の
添加量までFの添加量が順次減少していく構成に作製さ
れたものを用いている。
【0106】加熱線引された光ファイバ3は炉心管13
内にて、1700℃程度にまで不活性ガスにより急激に
冷却される。その後、光ファイバ3は、炉心管13の下
部から線引炉11外に出され、線引炉11と加熱炉21
との間にて空冷される。不活性ガスとしては、例えばN
2ガスを用いることができ、このN2ガスの熱伝導係数λ
(T=300K)は26mW/(m・K)である。ま
た、空気の熱伝導係数λ(T=300K)は26mW/
(m・K)である。
【0107】次に、空冷された光ファイバ3を、線引炉
11の後段であって、線引炉11と樹脂硬化部31との
間に設けられた徐冷用の加熱炉21に送る。そして、光
ファイバ3の所定区間を所定の温度範囲内の温度である
ように加熱して、所定の冷却速度にて徐冷する。加熱炉
21による加熱条件については、加熱炉21は、線引さ
れた光ファイバ3を、光ファイバ3の温度が800〜1
500℃の範囲内の温度であるように0.05〜5秒間
加熱することが好ましい。
【0108】この加熱炉21は、その中を光ファイバ3
が通る炉心管23を有する。この炉心管23は、光ファ
イバ母材2の線引方向(図4における上下方向)での全
長L2(m)が、 L2≧V/8 を満足するように設定するのが好ましい。ここで、Vは
線引速度(m/s)である。
【0109】また、加熱炉21は、炉心管23の位置
が、炉心管23に入る直前の光ファイバ3の温度(入線
温度)が1000〜1800℃の範囲となる位置に設定
されており、線引炉11に対して、 L1≦0.2×V を満足するように設けられるのが好ましい。ここで、L
1は線引炉11のヒータ12の下端から炉心管23の上
端までの距離(m)、Vは線引速度(m/s)である。
また、加熱炉21のヒータ22の温度は、炉中心(光フ
ァイバ3が通る部分)の温度が800〜1500℃の範
囲内の温度、特に、1200〜1400℃の範囲内の温
度となるように設定されている。
【0110】上述した加熱炉21(炉心管23)の位置
及び長さの設定により、徐冷用の加熱炉21において、
加熱線引された光ファイバ3が、その温度が800〜1
500℃の範囲内の温度であるように加熱される。特
に、光ファイバ3の温度が800〜1500℃となる部
分のうち、光ファイバ3の温度差が50℃以上となる区
間、例えば、光ファイバ3の温度が1200〜1400
℃となる部分(温度差が200℃となる区間)が100
0℃/秒以下の冷却速度で徐冷されることになる。
【0111】なお、炉中心の温度を800〜1500℃
の範囲内の温度に設定することにより、加熱線引された
光ファイバ3において温度が800〜1500℃となる
部分のうち、光ファイバ3の温度差が50℃以上となる
区間が1000℃/秒以下の冷却速度で徐冷されること
になる。
【0112】加熱炉21の炉心管23には、N2ガス供
給部24からのN2ガス供給通路25が接続されてお
り、加熱炉21の炉心管23内がN2ガス雰囲気となる
ように構成されている。N2ガスを用いる代わりに、空
気あるいはArなどの分子量の比較的大きいガス等を用
いることも可能である。ただし、カーボンヒータを用い
る場合には、不活性ガスを用いる必要がある。
【0113】加熱炉21を出た光ファイバ3は、外径測
定手段としての外径測定器41により外径がオンライン
測定され、その測定値がドラム42を回転駆動する駆動
モータ43にフィードバックされて外径が一定となるよ
うに制御される。外径測定器41からの出力信号は、制
御手段としての制御ユニット44に送られ、光ファイバ
3の外径が予め設定された所定値となるように、ドラム
42(駆動モータ43)の回転速度を演算により求め
る。
【0114】制御ユニット44からは、演算により求め
たドラム42(駆動モータ43)の回転速度を示す出力
信号が駆動モータ用ドライバ(図示していない)に出力
され、この駆動モータ用ドライバは制御ユニット44か
らの出力信号に基づいて、駆動モータ43の回転速度を
制御する。
【0115】その後、光ファイバ3に、コーティングダ
イス51によりUV樹脂52が塗布される。塗布された
UV樹脂52は、樹脂硬化部31のUVランプ32によ
り硬化されて、光ファイバ素線4が形成される。そし
て、光ファイバ素線4は、ガイドローラ61を経て、ド
ラム42により巻き取られる。ドラム42は、回転駆動
軸45に支持されており、この回転駆動軸45の端部は
駆動モータ43に接続されている。
【0116】ここで、本実施形態においては、コーティ
ングダイス51及び樹脂硬化部31によって、光ファイ
バを樹脂によって被覆する樹脂被覆部が構成されてい
る。この樹脂被覆部としては、上記した構成に限らず、
熱硬化樹脂を塗布し、加熱炉により硬化させるように構
成してもよい。
【0117】なお、線引炉11の炉心管13には、上記
したように不活性ガス供給部14からの不活性ガス供給
通路15が接続されており、線引炉11の炉心管13内
が不活性ガス雰囲気となるように構成されているが、不
活性ガス供給部14としてN 2ガス供給部を設け、炉心
管13内にN2ガスを供給してN2ガス雰囲気となるよう
に構成してもよい。
【0118】線引速度が低速、例えば100m/min
の場合には、光ファイバ3がHeガス雰囲気では線引炉
11(炉心管13)内で1000℃以下まで冷却されて
しまうことがあるため、この場合、炉心管13内をN2
ガス雰囲気として、線引炉11(炉心管13)出口での
光ファイバ3の温度を1000℃以上とすることが好ま
しい。また、Heガス供給部とN2ガス供給部とを設
け、線引速度に対応して、炉心管13内にHeガスまた
はN2ガスを供給するように構成してもよい。実際に
は、一旦冷却後の再加熱により800〜1500℃とし
ても、構造緩和は可能である。ただし、この場合には、
再加熱するのにヒータ長のロスが出ることとなる。
【0119】上記した光ファイバの製造方法において
は、光ファイバ母材2として、コア領域にFが添加され
るとともに、最外クラッド層の外縁部においてFの添加
量が順次減少していく構成に作製された光ファイバ母材
を用いている。このような構成の光ファイバ母材及び光
ファイバによれば、コア領域での粘性の低下と、最外ク
ラッド層の外縁部での粘性の増大とによって、コア領域
及びクラッド領域へと応力が分散し、コアへの応力集中
が抑制される。
【0120】このとき、線引炉11での加熱線引に対す
る張力制御において、好適な光ファイバを得るために許
容される張力値範囲が広くなり、張力制御が容易化され
る。また、線引後に得られる光ファイバについても、そ
の伝送損失や伝送特性の優れた(例えば低伝送損失の)
光ファイバとすることが可能となる。
【0121】すなわち、線引時の張力が好適な張力値範
囲から逸脱すると、低張力では構造不整損失が増大し、
逆に高張力ではレイリー散乱損失が増大するなど、光フ
ァイバの伝送損失が増大する原因となる。これに対し
て、上記のように張力制御が容易化された製造方法によ
れば、伝送損失の張力依存性が小さくなるので、張力変
化による伝送損失の増大や、伝送損失以外の伝送特性な
どの劣化が抑制される。また、張力制御に対して高精度
が必要とされなくなるので、製造工程が簡単化されると
ともに、その製造歩留りも向上される。なお、好適な張
力値範囲としては、張力が0.05〜0.20N(5〜
20gw)の範囲内となるように張力制御を行うことが
好ましい。
【0122】なお、最外クラッド層の外縁部におけるF
の添加量分布については、Fの添加量を減少させる領域
が最外クラッド層の外縁部であるため、コア領域及びそ
の近傍を伝送される光の伝送特性には影響を与えること
がない。したがって、光ファイバの伝送特性等を好適に
保持しつつ、張力制御の容易化を達成することができ
る。
【0123】また、図4に示した製造方法及び線引装置
1においては、光ファイバ母材2の線引後に、線引炉1
1の後段に設けられた徐冷用の加熱炉21を用いて、光
ファイバ3を徐冷することとしている。これにより、光
ファイバ内に粘性流動によるガラスの構造緩和を発生さ
せることによって仮想温度Tfを低くして、レイリー散
乱損失を低減することができる。
【0124】このように、レイリー散乱損失の低減効果
を有する製造方法を適用した場合でも、全体の伝送損失
としては、必ずしも伝送損失が低減されない。これは、
レイリー散乱損失が低減される一方で、コアへの過度の
応力集中によって構造不整損失などの他の伝送損失成分
が増大してしまい、全体として伝送損失の低減効果が得
られないためと考えられる。また、構造不整損失などの
発生を抑制しようとすると、逆にレイリー散乱損失の低
減効果を充分に得られないこととなる。
【0125】これに対して、コア領域にFが添加され、
また、最外クラッド層の外縁部でFの添加量が減少する
上記の構成による光ファイバ母材及び光ファイバを適用
することにより、レイリー散乱損失を低減(例えば、レ
イリー散乱係数Aが0.79dB/km・μm4以下)
すると同時に、コアへの応力集中による構造不整損失な
どの発生をも抑制して、全体として低伝送損失(例え
ば、波長1.00μmでの伝送損失α1.00が0.80d
B/km以下)の光ファイバを実現することが可能とな
る。
【0126】また、コア領域がF添加SiO2ガラスか
らなる構成では、Fの添加によってコア領域の粘度が大
きく低下するので、粘性流動によるガラスの構造緩和が
進みやすい(文献「K.Shiraki et al., Electronics Le
tters, Vol.29 No.14, pp.1263-1264(1993)」参
照)。したがって、線引炉11の後段に設けられた加熱
炉21によって光ファイバを徐冷する製造方法に対し
て、上記構成を有する光ファイバを適用することによっ
て、構造緩和による仮想温度Tfの低下の効果が促進さ
れ、光ファイバでのレイリー散乱損失を効率的に低減す
ることが可能となる。
【0127】また、ガラスの粘度は温度が上昇するとと
もに低下する。このため、光ファイバを徐冷する上述し
た製造方法では、コア領域内などでの粘度が粘性流動を
発生させるために充分な粘度まで低下するように処理温
度を設定して、加熱炉21による光ファイバの加熱を行
う必要がある。
【0128】これに対して、Fの添加によってコア領域
の粘度を低下させた構成の光ファイバによれば、粘性流
動が発生する処理温度が低くなる。したがって、加熱炉
21による光ファイバの加熱温度をより低い温度とする
ことができるので、加熱炉21を用いた光ファイバの徐
冷が容易化される。また、粘性流動による構造緩和が促
進されることによって、徐冷後に得られるガラスの仮想
温度Tfも、処理温度とともに低下するので、レイリー
散乱損失の低減効果が向上される。
【0129】このような徐冷のための加熱処理の条件に
ついては、上述したように、800〜1500℃の範囲
内の加熱温度、0.05〜5秒間の範囲内の加熱時間
で、加熱炉21による光ファイバの加熱を行うことが好
ましい。このような温度範囲及び加熱時間とすることに
よって、線引後の光ファイバの徐冷による仮想温度Tf
の低減を好適に実現することができる。また、これらの
温度範囲などの条件については、線引速度などに応じ
て、適宜好適な条件を設定することが好ましい。
【0130】コア領域へのFの添加による粘性流動の促
進効果について例をあげると、例えば、比屈折率差Δn
で+0.61%の添加量でGeを添加するとともに、−
0.18%の添加量でFを添加したGe、F添加SiO
2ガラスに対して、Fの添加量を−0.7%まで増やし
たGe、F添加SiO2ガラスを考え、両者の粘度を比
較する。このとき、Fの添加量を増やした後者のガラス
では、前者のガラスよりも同一温度での粘度が低下す
る。また、ガラス内での粘性流動が一定の粘度となった
ときに発生するとすれば、上記したように−0.18%
から−0.7%までFの添加量を増やした場合、粘性流
動が発生する処理温度は約130℃低くなる。
【0131】このとき、徐冷による構造緩和後のガラス
の仮想温度Tfが同様に130℃低下すると考えた場
合、仮想温度Tfの低下に伴って、光ファイバ内でのレ
イリー散乱損失は約8%低減される。例えば、波長1.
55μmにおける伝送損失α1. 55が0.17dB/km
の光ファイバで、そのうちの0.145dB/kmの損
失分がレイリー散乱損失によるものとすると、約0.0
12dB/kmの伝送損失の低減効果が得られる。すな
わち、Fの添加量−0.1%あたりで、2.3mdB/
km程度の伝送損失の低減効果が得られる。
【0132】なお、このようにコア領域にFを添加する
ことにより、レイリー散乱による伝送損失は低下する
が、一方でフッ素の濃度ゆらぎが伝送損失に影響する。
したがって、これらの影響を合わせると、Fの添加量が
−0.2%のときに、Fを添加しない場合と比べて密度
ゆらぎの減少による伝送損失の減少が5mdB/km程
度、濃度ゆらぎの増大による伝送損失の増大が+2md
B/km程度で、全体として3mdB/km程度の伝送
損失の低減効果が得られる。
【0133】図5は、本発明による光ファイバの第3の
実施形態について、その断面構造、及びファイバ径方向
の屈折率プロファイルを模式的に示す図である。
【0134】この光ファイバは、第1の実施形態と同様
に、SiO2ガラス(石英ガラス)系の光ファイバであ
り、光ファイバの中心軸を含むコア領域100と、コア
領域100の外周に設けられたクラッド領域200とを
有して構成されている。このうち、コア領域100の構
成については、図1に示した光ファイバにおけるコア領
域100とほぼ同様である。
【0135】一方、クラッド領域200は、本実施形態
においては、コア領域100の外周に設けられた内クラ
ッド層201と、内クラッド層201の外周にさらに設
けられた最外クラッド層である外クラッド層202との
2層のクラッド層を有して構成されている。
【0136】内クラッド層201は、その外周の半径を
1として形成されている。この内クラッド層201に
は、純SiO2ガラスに屈折率を下げる添加物としてF
(フッ素)が所定量添加されている。これにより、内ク
ラッド層201内の平均比屈折率差は、Δn1(ただ
し、Δn1<0)となっている。また、内クラッド層2
01でのFの平均添加量は、コア領域100でのFの平
均添加量よりも大きくされている。したがって、コア領
域100及び内クラッド層201の平均比屈折率差Δn
0、Δn1は、図5に示したように、0>Δn0>Δn1
関係を有している。
【0137】また、外クラッド層202は、その外周の
半径をr2として形成されている。この外クラッド層2
02には、純SiO2ガラスにF(フッ素)が所定量添
加されている。これにより、外クラッド層202内の平
均比屈折率差は、Δn2(ただし、Δn2<0)となって
いる。また、外クラッド層202でのFの平均添加量
は、内クラッド層201でのFの平均添加量よりも小さ
くされている。したがって、内クラッド層201及び外
クラッド層202の平均比屈折率差Δn1、Δn2は、図
5に示したように、0>Δn2>Δn1の関係を有してい
る。
【0138】本実施形態の光ファイバにおいては、第1
の実施形態と同様に、コア領域100にFを添加してい
る。これにより、光ファイバ内でのレイリー散乱損失が
小さくなり、伝送損失が低減される。また、F添加Si
2からなるコア領域100では、純SiO2に比べて粘
性が小さくなるので、光ファイバ内に加わる応力のコア
への集中が抑制される。また、この粘性の低下によっ
て、コア領域内での粘性流動による構造緩和が促進され
る。
【0139】さらに、2層のクラッド層201、202
からなるクラッド領域200の構成について、図5に示
すように、外クラッド層202でのFの添加量が内クラ
ッド層201でのFの添加量よりも小さい添加量となる
ようにクラッド領域200を構成している。
【0140】このような構成とすることによって、外ク
ラッド層202の粘性が大きくなり、応力がこの外クラ
ッド層202へと分散して、コアへの応力集中がさらに
抑制される。すなわち、コア領域100へのFの添加に
よる効果と、外クラッド層202におけるFの添加量を
小さくしたことによる効果とを合わせることによって、
光ファイバ内に加わる応力がコア領域100及びクラッ
ド領域200へと好適に分散されて、コアへの応力集中
が抑制される。
【0141】これにより、光ファイバの線引時において
許容される好適な張力値範囲がより広い数値範囲とな
り、線引時の張力制御が容易化される。また、コアへの
過度の応力集中や、不充分な張力制御などによって生じ
る伝送損失の増大や伝送特性の劣化が防止されるととも
に、コア領域内でのガラスの粘性流動による構造緩和が
促進される。以上より、全長にわたって好適かつ安定し
た伝送特性を有する光ファイバが実現される。
【0142】ここで、コア領域100の平均比屈折率差
Δn0と、外クラッド層202の平均比屈折率差Δn2
の関係については、いずれが大きくても良いが、光ファ
イバでの光の伝送特性や、コアへの応力集中の抑制効果
などを考慮して、それぞれ好適なFの添加量及び平均比
屈折率差に設定することが好ましい。
【0143】また、クラッド領域200を構成する内ク
ラッド層201、外クラッド層202のうち、最外クラ
ッド層である外クラッド層202を純SiO2として形
成して、Δn2=0としても良い。これにより、光ファ
イバ内に加わる応力をクラッド領域200へと充分に分
散することができる。
【0144】なお、本実施形態の光ファイバの製造に用
いられる光ファイバ母材及び光ファイバの製造方法につ
いては、第1及び第2の実施形態に関して上述したもの
と同様の製造方法を適用することが可能である(図3及
び図4参照)。ただし、光ファイバ母材の構成について
は、図5に示した屈折率プロファイルを有する光ファイ
バ母材とする必要がある。
【0145】また、外クラッド層202を純SiO2
とした場合には、光ファイバ母材は、例えば、Fを添加
した内クラッド層201の外周に純SiO2層をVAD
法やOVD法で合成し、それを加熱焼結することによっ
て製造することができる。また、コア領域100と内ク
ラッド層201からなるガラスロッドを外クラッド層2
02となる純シリカパイプに挿入してコラプスしても良
い。
【0146】上記した光ファイバ及びその製造方法につ
いて、具体的な実施例及び比較例を示す。なお、以下の
実施例及び比較例での光ファイバは、いずれも図4に示
した加熱炉21を用いて線引後の光ファイバを徐冷する
製造方法によって作製を行う。また、徐冷用の加熱炉2
1での光ファイバの加熱条件については、加熱温度を約
1300℃、線速25m/分で加熱炉の炉長を約1.5
mとする。このとき、加熱炉21での加熱時間は3.6
秒間である。
【0147】第1の実施例となる光ファイバは、図1に
示した屈折率プロファイルによって作製する。また、各
半径r0、ra、r1は、それぞれ2r0=10μm、2r
a=110μm、2r1=125μmとする。
【0148】また、各領域での屈折率については、コア
領域100には、平均比屈折率差がΔn0=−0.2%
となるようにFを添加する。一方、クラッド領域200
のクラッド層201には、最小比屈折率差がΔnb=−
0.65%、外縁部205での最大比屈折率差がおよそ
Δna=−0.35%となる添加量分布でFを添加す
る。このとき、平均でおよそΔn1=−0.58%程度
となる。
【0149】第2の実施例となる光ファイバは、図2に
示した屈折率プロファイルによって作製する。また、各
半径r0、r1、ra、r2は、それぞれ2r0=10μ
m、2r1=55μm、2ra=110μm、2r2=1
25μmとする。
【0150】また、各領域での屈折率については、コア
領域100には、平均比屈折率差がΔn0=−0.2%
となるようにFを添加する。一方、クラッド領域200
の内クラッド層201には、平均比屈折率差がΔn1
−0.58%となるようにFを添加する。また、外クラ
ッド層202には、最小比屈折率差がΔnb=−0.5
0%、外縁部205での最大比屈折率差がおよそΔna
=−0.35%となる添加量分布でFを添加する。
【0151】第3の実施例となる光ファイバは、図5に
示した屈折率プロファイルによって作製する。また、各
半径r0、r1、r2は、それぞれ2r0=10μm、2r
1=55μm、2r2=125μmとする。
【0152】また、各領域での屈折率については、コア
領域100には、平均比屈折率差がΔn0=−0.2%
となるようにFを添加する。一方、クラッド領域200
の内クラッド層201には、平均比屈折率差がΔn1
−0.58%となるようにFを添加する。また、外クラ
ッド層202には、平均比屈折率差がΔn2=−0.5
0%となるようにFを添加する。
【0153】図6は、光ファイバの比較例について、そ
の屈折率プロファイルを示す図である。本比較例の光フ
ァイバの構成は、Fの添加量が減少する外縁部が形成さ
れていないことを除けば、上記した第1の実施例と同様
であり、コア領域300、及びクラッド領域400のク
ラッド層401の各半径r0、r1は、それぞれ2r0
10μm、2r1=125μmとなっている。
【0154】また、各領域での屈折率については、コア
領域300には、平均比屈折率差がΔn0=−0.2%
となるようにFを添加する。一方、クラッド領域400
のクラッド層401には、平均比屈折率差がΔn1=−
0.65%となるようにFを添加する。
【0155】以上の第1、第2、第3の実施例、及び比
較例について、加熱炉による徐冷ありとする製造方法に
よって線引を行った場合での、伝送損失α1.55の張力依
存性を図7に示す。このグラフより、1層のクラッド層
を有する構成での第1の実施例と比較例、及び2層のク
ラッド層を有する構成での第2の実施例と第3の実施例
とにおける伝送損失α1.55の張力依存性をそれぞれ比較
すると、いずれの場合も、Fの添加量が減少する外縁部
を設けた第1、第2の実施例の場合に、伝送損失の値が
低減されているとともに、その張力依存性も小さくなる
ことがわかる。
【0156】例えば、図7に示した例について、張力
0.10Nでの伝送損失α1.55の値を比較すると、1層
のクラッド層の場合では、比較例が0.163dB/k
mに対して、第1の実施例では0.158dB/kmと
なっている。また、2層のクラッド層の場合では、第3
の実施例が0.157dB/kmに対して、第2の実施
例では0.155dB/kmとなっている。
【0157】また、1層のクラッド層を有する第1の実
施例と、2層のクラッド層を有する第2の実施例とを比
較すると、第2の実施例の方が、伝送損失が低くなる。
また、1層のクラッド層を有する比較例と、2層のクラ
ッド層を有する第3の実施例とを比較した場合にも、第
3の実施例の方が、伝送損失が低くなる。これは、2層
のクラッド層のうちで外側の外クラッド層は、内クラッ
ド層よりもFの添加量が少なく、この外クラッド層自体
が、応力分散の機能を有するためである。
【0158】また、張力を0.10Nとした第1、第
2、第3の実施例の光ファイバについて、それぞれレイ
リー散乱係数A及び波長1.00μmでの伝送損失α
1.00の値を求めると、いずれの場合も、レイリー散乱損
失Aが0.79dB/km・μm 4以下、伝送損失α
1.00が0.80dB/km以下である。
【0159】以上より、コア領域にFを添加するととも
に、最外クラッド層の外縁部でFの添加量を減少させる
構成、または、外クラッド層でのFの添加量を小さくす
る構成とすることによって、コアへの応力集中が抑制さ
れる。これにより、線引時における張力制御が容易化さ
れて、全長にわたって伝送損失が安定的に低減される光
ファイバが実現される。
【0160】ここで、上記した実施例におけるコア領域
及びクラッド領域へのFの添加量についてみると、例え
ば2層のクラッド層を有する第2の実施例では、内クラ
ッド層201に対してΔn1=−0.58%となる添加
量でFが添加されている。このFの添加量は、Δn1
−0.6%の条件を満たすものの、やや大きい添加量と
なっている。これに対して、コア領域100にFととも
にGe、Clなどの屈折率を上げる添加物を共添加する
構成とすれば、クラッド領域200へのFの添加量を低
減することができる。
【0161】例えば、第2の実施例に対する一変形例と
して、Δn0=−0.2%となる添加量でFが添加され
たコア領域100に対して、さらに、Δn=+0.08
%となる添加量でClを添加する構成を考える。このと
き、コア領域100の平均比屈折率差は、F及びClの
共添加によってΔn0=−0.12%と0.08%高く
なる。そして、これに合わせて、内クラッド層201に
対するFの添加量をΔn1=−0.50%となる添加量
まで低減することができる。
【0162】このように、内クラッド層201に対する
添加量がΔn1で−0.58%から−0.50%へと低
減されることにより、Fの添加量がSiF4ガスの流量
の1/4乗に比例することを考慮すれば、Fの含浸工程
において供給するSiF4ガスの流量は約半分ですむこ
ととなる。また、この程度の添加量であれば、コア領域
100に添加されたClの濃度揺らぎによるレイリー散
乱損失の増大は、問題とはならない。
【0163】また、第2の実施例に対する他の変形例と
して、Δn0=−0.2%となる添加量でFが添加され
たコア領域100に対して、さらに、Δn=+0.3%
となる添加量でGeを添加する構成を考える。このと
き、コア領域100の平均比屈折率差は、F及びGeの
共添加によってΔn0=+0.1%と+0.3%高くな
る。そして、これに合わせて、内クラッド層201に対
するFの添加量をΔn1=−0.28%となる添加量ま
で低減することができ、Fの含浸工程において供給する
SiF4ガスの流量が低減される。
【0164】ここで、上記した添加量でコア領域100
にGeを添加した場合、Ge添加に伴うレイリー散乱損
失の増大がF添加による損失の低減効果とほぼ相殺し、
純SiO2コアの光ファイバと同程度の伝送損失(例え
ばα1.55で0.170dB/km程度)となる。ただ
し、このような場合でも、コア領域100にFを添加す
るとともに、最外クラッド層の外縁部でFの添加量を減
少させることによるコアへの応力集中の抑制効果、線引
時における張力制御が容易化される効果等は同様に得ら
れる。したがって、このような構成によれば、純SiO
2コアの光ファイバと同等の伝送損失を有する光ファイ
バを、より高い製造効率で低コストに製造することが可
能となる。
【0165】なお、内クラッド層及び外クラッド層の2
層のクラッド層を有するクラッド領域において、外クラ
ッド層の全体でFの添加量を小さくした構成では、外ク
ラッド層への応力分散の効果が得られる一方で、クラッ
ド領域の構成が光ファイバでの光の伝送特性にある程度
の影響を与える場合がある。したがって、このような構
成では、外クラッド層への応力分散の効果と、伝送特性
への影響の効果とを考慮して、外クラッド層へのFの添
加量等を好適に設定することが好ましい。
【0166】一方、最外クラッド層の外縁部においてF
の添加量を減少させる構成では、光ファイバの伝送特性
を劣化させることなく、コアへの応力集中を効率的に抑
制することが可能となる。また、このような構成によれ
ば、製造工程に応力分散のための新たな層を形成するな
どの新たな工程を付加することなく、コアへの応力集中
が抑制される構成の光ファイバ母材及び光ファイバを実
現することが可能である。
【0167】本発明による光ファイバ、光ファイバ母材
の製造方法、及び光ファイバの製造方法は、上記した各
実施形態及び実施例に限られるものではなく、様々な変
形及び構成の変更が可能である。例えば、クラッド領域
の構成については、図1、図2、及び図5に示した構成
例に限らず、様々な構成を用いることができる。
【0168】また、最外クラッド層の外縁部でのFの添
加量分布についても、その製造方法などに応じて、図1
及び図2に示した構成以外の添加量分布としても良い。
例えば、外縁部内の外周側の所定範囲で、Fの添加量が
最小添加量で略一定とし、その内側(外縁部内の内周
側)でFの添加量が変化する構成としても良い。このよ
うに、外縁部内の外側部分となる外周近傍に、Fの添加
量が最小添加量でほぼ一定となる領域を設けることによ
って、その領域内での粘性を大きくして、外縁部への応
力分散をさらに効率的に実現することが可能となる。
【0169】また、外クラッド層などの最外クラッド層
において、その内周近傍でのFの添加量が層内でのFの
最大添加量よりも少ない構成であっても良い。すなわ
ち、最外クラッド層を形成するときに、その内周近傍で
Fの添加量がやや減少する場合がある。このような添加
量分布となった場合においても、上記した光ファイバの
構成を適用することによって、外縁部への応力分散を実
現することができる。
【0170】
【発明の効果】本発明による光ファイバ、光ファイバ母
材の製造方法、及び光ファイバの製造方法は、以上詳細
に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、
コア領域と、コア領域の外周に設けられたクラッド領域
とを備える光ファイバにおいて、コア領域にFを添加
し、クラッド領域の最外クラッド層で、その外縁部内で
Fの添加量が順次減少していく構成の光ファイバによれ
ば、コア領域の粘性が小さくなるとともに、外縁部の粘
性が大きくなる。したがって、光ファイバ内に加わる応
力がコア領域及びクラッド領域へと好適に分散されて、
コアへの応力集中が抑制される。
【0171】また、コア領域と、コア領域の外周に設け
られた内クラッド層及び外クラッド層からなるクラッド
領域とを備える光ファイバにおいて、コア領域にFを添
加し、外クラッド層でのFの添加量を内クラッド層での
Fの添加量よりも小さくした構成の光ファイバによって
も、コア領域の粘性が小さくなるとともに、外クラッド
層の粘性が大きくなる。したがって、光ファイバ内に加
わる応力がコア領域及びクラッド領域へと好適に分散さ
れて、コアへの応力集中が抑制される。
【0172】これにより、光ファイバの線引時において
許容される好適な張力値範囲がより広い数値範囲とな
り、線引時の張力制御が容易化される。また、コアへの
過度の応力集中や、不充分な張力制御などによって生じ
る伝送損失の増大や伝送特性の劣化が防止されるととも
に、粘性流動による構造緩和が促進されて、全長にわた
って安定した伝送特性を有する光ファイバが実現され
る。このように、低伝送損失など優れた伝送特性を有す
る光ファイバによれば、長距離の光伝送システムに適用
したときに、光増幅器などが設置された中継器の数を減
らすことができるなど、効率的な光伝送システムを構築
することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ファイバの第1の実施形態の断面構造及び屈
折率プロファイルを模式的に示す図である。
【図2】光ファイバの第2の実施形態の断面構造及び屈
折率プロファイルを模式的に示す図である。
【図3】光ファイバの製造方法を概略的に示すフローチ
ャートである。
【図4】光ファイバの製造方法、及び光ファイバの製造
に用いられる線引装置の一実施形態を概略的に示す構成
図である。
【図5】光ファイバの第3の実施形態の断面構造及び屈
折率プロファイルを模式的に示す図である。
【図6】光ファイバの比較例での屈折率プロファイルを
示す図である。
【図7】光ファイバにおける伝送損失の張力依存性を示
すグラフである。
【符号の説明】
1…線引装置、11…線引炉、12…ヒータ、13…炉
心管、14…不活性ガス供給部、15…不活性ガス供給
通路、21…加熱炉、22…ヒータ、23…炉心管、2
4…N2ガス供給部、25…N2ガス供給通路、31…樹
脂硬化部、32…UVランプ、41…外径測定器、42
…ドラム、43…駆動モータ、44…制御ユニット、4
5…回転駆動軸、51…コーティングダイス、52…U
V樹脂、61…ガイドローラ、2…光ファイバ母材、3
…光ファイバ、4…光ファイバ素線。100…コア領
域、200…クラッド領域、201…内クラッド層、2
02…外クラッド層、205…外縁部。
フロントページの続き Fターム(参考) 2H050 AB05X AB10X AB10Y AB18X AC34 AC36 4G021 CA13 CA14

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屈折率を下げるフッ素が添加されたコア
    領域と、前記コア領域の外周に設けられ、前記コア領域
    よりも大きい添加量でフッ素が添加された1層または複
    数層のクラッド層を有するクラッド領域と、を備え、 前記1層または複数層のクラッド層のうちで最も外側に
    位置する最外クラッド層は、その外周を含む外縁部内に
    おいて、層内でのフッ素の最小添加量となる所定の添加
    量までフッ素の添加量が順次減少していくように構成さ
    れていることを特徴とする光ファイバ。
  2. 【請求項2】 前記クラッド領域は、前記コア領域の外
    周に設けられた内クラッド層と、前記内クラッド層の外
    周に設けられて前記最外クラッド層となる外クラッド層
    との2層のクラッド層からなるとともに、 前記外クラッド層でのフッ素の平均添加量が、前記内ク
    ラッド層でのフッ素の平均添加量よりも小さいことを特
    徴とする請求項1記載の光ファイバ。
  3. 【請求項3】 前記外クラッド層は、その内周近傍での
    フッ素の添加量が層内でのフッ素の最大添加量よりも少
    ないことを特徴とする請求項2記載の光ファイバ。
  4. 【請求項4】 前記最外クラッド層は、各部における比
    屈折率差を純SiO 2での屈折率を基準として%で表し
    て定義したときに、前記最小添加量でフッ素が添加され
    た前記外縁部内の部位での最大比屈折率差Δnaが、最
    大添加量でフッ素が添加された前記外縁部より内側の部
    位での最小比屈折率差Δnbに対して、条件 Δna≧Δnb+0.05% を満たすことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ。
  5. 【請求項5】 前記最外クラッド層は、前記外縁部内に
    おいて、前記外縁部内の外周側の所定範囲で、フッ素の
    添加量が前記最小添加量で略一定となるように構成され
    ていることを特徴とする請求項1記載の光ファイバ。
  6. 【請求項6】 前記コア領域は、各部における比屈折率
    差を純SiO2での屈折率を基準として%で表して定義
    したときに、その平均比屈折率差Δn0が、条件 Δn0>−0.3% を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項
    記載の光ファイバ。
  7. 【請求項7】 前記コア領域は、屈折率を上げる添加物
    がさらに添加されていることを特徴とする請求項1〜6
    のいずれか一項記載の光ファイバ。
  8. 【請求項8】 前記コア領域での粘度が、前記最外クラ
    ッド層の前記外縁部での粘度よりも小さいことを特徴と
    する請求項1〜7のいずれか一項記載の光ファイバ。
  9. 【請求項9】 屈折率を下げるフッ素が添加されたコア
    領域と、前記コア領域の外周に設けられ、前記コア領域
    よりも大きい添加量でフッ素が添加されたクラッド層を
    含む1層または複数層のクラッド層を有するクラッド領
    域と、を備え、 前記クラッド領域は、前記コア領域の外周に設けられた
    内クラッド層と、前記内クラッド層の外周に設けられて
    前記1層または複数層のクラッド層のうちで最も外側に
    位置する最外クラッド層となる外クラッド層との2層の
    クラッド層からなり、前記外クラッド層でのフッ素の平
    均添加量が、前記内クラッド層でのフッ素の平均添加量
    よりも小さくなるように構成されていることを特徴とす
    る光ファイバ。
  10. 【請求項10】 前記外クラッド層は、純SiO2から
    なることを特徴とする請求項9記載の光ファイバ。
  11. 【請求項11】 屈折率を下げるフッ素が添加されたコ
    ア領域を少なくとも含むコア母材の外周上にガラス微粒
    子を堆積させて、前記コア領域の外周に設けられるクラ
    ッド領域が有する1層または複数層のクラッド層のうち
    で、最も外側に位置する最外クラッド層となるガラス微
    粒子層を合成する合成工程と、 合成された前記ガラス微粒子層を加熱脱水する脱水工程
    と、 脱水された前記ガラス微粒子層を加熱焼結して前記最外
    クラッド層とし、前記コア領域と、前記1層または複数
    層のクラッド層を有するクラッド領域と、を備える光フ
    ァイバ母材を形成する焼結工程とを備え、 前記ガラス微粒子層を加熱焼結する前に、前記ガラス微
    粒子層にフッ素を添加するとともに、その外周を含む外
    縁部から、添加されているフッ素の一部を除去すること
    を特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記脱水工程と、前記焼結工程との間
    に、フッ素を所定濃度で含むガス雰囲気中で、前記ガラ
    ス微粒子層にフッ素を含浸させて添加する含浸工程をさ
    らに備え、 前記焼結工程において、加熱焼結時のガス雰囲気に含ま
    れるフッ素の濃度を、含浸時の前記所定濃度よりも低い
    濃度として、前記ガラス微粒子層の前記外縁部から、添
    加されているフッ素の一部を除去することを特徴とする
    請求項11記載の光ファイバ母材の製造方法。
  13. 【請求項13】 屈折率を下げるフッ素が添加されたコ
    ア領域を少なくとも含むコア母材の外周上にガラス微粒
    子を堆積させて、前記コア領域の外周に設けられるクラ
    ッド領域が有する1層または複数層のクラッド層のうち
    で、最も外側に位置する最外クラッド層となるガラス微
    粒子層を合成する合成工程と、 合成された前記ガラス微粒子層を加熱脱水する脱水工程
    と、 脱水された前記ガラス微粒子層を加熱焼結して前記最外
    クラッド層とし、前記コア領域と、前記1層または複数
    層のクラッド層を有するクラッド領域と、を備える光フ
    ァイバ母材を形成する焼結工程とを備え、 前記合成工程において、フッ素を含む原料ガスを用いて
    前記ガラス微粒子層にフッ素を添加するとともに、その
    外周を含む外縁部内においてフッ素の添加量が順次減少
    していくように、前記フッ素を含む原料ガスを調整して
    前記ガラス微粒子層の合成を行うことを特徴とする光フ
    ァイバ母材の製造方法。
  14. 【請求項14】 屈折率を下げるフッ素が添加されたコ
    ア領域を少なくとも含むコア母材の外周上にガラス微粒
    子を堆積させて、前記コア領域の外周に設けられるクラ
    ッド領域が有する1層または複数層のクラッド層のうち
    で、最も外側に位置する最外クラッド層となるガラス微
    粒子層を合成する合成工程と、 合成された前記ガラス微粒子層を加熱脱水する脱水工程
    と、 脱水された前記ガラス微粒子層を加熱焼結して前記最外
    クラッド層とし、前記コア領域と、前記1層または複数
    層のクラッド層を有するクラッド領域と、を備える光フ
    ァイバ母材を形成する焼結工程とを備え、 前記合成工程において、塩素を含む原料ガスを用いて前
    記ガラス微粒子層に塩素を添加するとともに、その外周
    を含む外縁部内において塩素の添加量が順次減少してい
    くように、前記塩素を含む原料ガスを調整して前記ガラ
    ス微粒子層の合成を行った後、添加された塩素をフッ素
    に置換することを特徴とする光ファイバ母材の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 屈折率を下げるフッ素が添加されたコ
    ア領域の外周に設けられ、前記コア領域よりも大きい添
    加量でフッ素が添加された内クラッド層に対し、前記内
    クラッド層の外周上に、前記コア領域の外周に設けられ
    るクラッド領域が有する1層または複数層のクラッド層
    のうちで、最も外側に位置する最外クラッド層となる外
    クラッド層を、前記内クラッド層でのフッ素の平均添加
    量よりも小さい平均添加量でフッ素を添加またはフッ素
    を無添加として形成して、前記コア領域と、前記内クラ
    ッド層及び前記外クラッド層の2層のクラッド層からな
    る前記クラッド領域とを備える光ファイバ母材を作製す
    ることを特徴とする光ファイバ母材の製造方法。
  16. 【請求項16】 屈折率を下げるフッ素が添加されたコ
    ア領域と、前記コア領域の外周に設けられ、前記コア領
    域よりも大きい添加量でフッ素が添加された1層または
    複数層のクラッド層を有するクラッド領域と、を備え、
    前記1層または複数層のクラッド層のうちで最も外側に
    位置する最外クラッド層が、その外周を含む外縁部内に
    おいて、層内でのフッ素の最小添加量となる所定の添加
    量までフッ素の添加量が順次減少していくように構成さ
    れている光ファイバ母材を作製するとともに、 前記光ファイバ母材を加熱線引するときに、線引炉で線
    引された光ファイバを、前記線引炉の後段に設けられた
    加熱炉によって所定の温度範囲内の温度であるように加
    熱することを特徴とする光ファイバの製造方法。
  17. 【請求項17】 屈折率を下げるフッ素が添加されたコ
    ア領域と、前記コア領域の外周に設けられ、前記コア領
    域よりも大きい添加量でフッ素が添加されたクラッド層
    を含む1層または複数層のクラッド層を有するクラッド
    領域と、を備え、前記クラッド領域が、前記コア領域の
    外周に設けられた内クラッド層と、前記内クラッド層の
    外周に設けられて前記1層または複数層のクラッド層の
    うちで最も外側に位置する最外クラッド層となる外クラ
    ッド層との2層のクラッド層からなり、前記外クラッド
    層でのフッ素の平均添加量が、前記内クラッド層でのフ
    ッ素の平均添加量よりも小さくなるように構成されてい
    る光ファイバ母材を作製するとともに、 前記光ファイバ母材を加熱線引するときに、線引炉で線
    引された光ファイバを、前記線引炉の後段に設けられた
    加熱炉によって所定の温度範囲内の温度であるように加
    熱することを特徴とする光ファイバの製造方法。
  18. 【請求項18】 前記加熱炉は、前記線引された光ファ
    イバを、前記光ファイバの温度が800〜1500℃の
    範囲内の温度であるように0.05〜5秒間加熱するこ
    とを特徴とする請求項16または17記載の光ファイバ
    の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記光ファイバ母材を加熱線引すると
    きに、0.05〜0.20Nの範囲内の張力で前記光フ
    ァイバ母材の線引を行うことを特徴とする請求項16ま
    たは17記載の光ファイバの製造方法。
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