JP2002321936A - 光ファイバ及びその製造方法 - Google Patents

光ファイバ及びその製造方法

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JP2002321936A
JP2002321936A JP2001123269A JP2001123269A JP2002321936A JP 2002321936 A JP2002321936 A JP 2002321936A JP 2001123269 A JP2001123269 A JP 2001123269A JP 2001123269 A JP2001123269 A JP 2001123269A JP 2002321936 A JP2002321936 A JP 2002321936A
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optical fiber
heat treatment
glass
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fluorine
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Kazuya Saito
和也 齊藤
Akira Ikushima
明 生嶋
Kaled Jabri
カレッド ジャブリ
Katsuya Nagayama
勝也 永山
Akira Urano
章 浦野
Yuichi Oga
裕一 大賀
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Toyota Gauken
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Toyota Gauken
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    • C03B37/00Manufacture or treatment of flakes, fibres, or filaments from softened glass, minerals, or slags
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    • C03B37/025Manufacture of glass fibres or filaments by drawing or extruding, e.g. direct drawing of molten glass from nozzles; Cooling fins therefor from reheated softened tubes, rods, fibres or filaments, e.g. drawing fibres from preforms
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    • C03B37/02718Thermal treatment of the fibre during the drawing process, e.g. cooling
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
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    • C03B2201/08Doped silica-based glasses doped with boron or fluorine or other refractive index decreasing dopant
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コア領域にフッ素が添加されているととも
に、光の伝送損失が充分に低減された光ファイバ、及び
その製造方法を提供する。 【解決手段】 平均比屈折率差がΔn1のコア領域10
0と、Δn2(Δn2<Δn1)のクラッド領域200と
を備える光ファイバにおいて、コア領域100に条件Δ
1<−0.3%を満たすようにフッ素を添加する。そ
して、光ファイバの製造において、線引された光ファイ
バに対して、線引炉の後段に設けられた熱処理炉を用
い、800℃〜1500℃の温度で0.05秒〜1秒間
の時間とした条件で熱処理を行う。このとき、コア領域
100に対する高濃度でのフッ素の添加により、熱処理
によるガラスの構造緩和が促進され、充分に伝送損失が
低減された光ファイバを効率的に作製することが可能と
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光を伝送する光フ
ァイバ、及び光ファイバの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】光ファイバを用いた光の伝送において、
光ファイバ内での光のレイリー散乱によって生じるレイ
リー散乱損失などの伝送損失が問題となる。これに対し
て、レイリー散乱損失を低減することが可能な光ファイ
バ、あるいはその製造方法が提案されている。
【0003】例えば、文献1「坂口、電子情報通信学会
論文誌 2000/1 Vol.J83-C No.1, pp.30-36」に、線引後
の光ファイバの徐冷によって、光ファイバでのレイリー
散乱損失を低減することが記載されている。すなわち、
ガラス内で生じるレイリー散乱の強度は材料によって一
定に定まるものではなく、ガラス内での原子の配列状態
の乱雑さを示す仮想的な温度である仮想温度Tf(Fict
ive Temperature)に依存する。具体的には、ガラスの
仮想温度Tfが高く(ガラス内での乱雑さが大きく)な
ると、レイリー散乱強度は増大する。
【0004】これに対して、光ファイバ母材を加熱線引
して光ファイバとするときに、線引炉の後段に熱処理炉
を設置しておき、線引後の光ファイバが熱処理炉を通過
するときに所定の温度範囲内となるように加熱する。こ
れによって、線引後の光ファイバの急激な冷却が防止さ
れ、光ファイバが徐冷される。このとき、原子の再配列
によるガラスの構造緩和によって、光ファイバの仮想温
度Tfが低下して、光ファイバ内でのレイリー散乱強度
が抑制される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】長距離での光通信用伝
送路、または短距離での紫外ライトガイドなどに用いら
れる光ファイバとしては、その用途や要求される特性等
に応じて、様々な構成のものが用いられる。そのような
光ファイバの1つとして、石英(SiO2)ガラス系な
どのコア領域に対して、添加物としてフッ素(F)が添
加された光ファイバがある。
【0006】しかしながら、このようにフッ素が添加さ
れたガラスの物性や、光を伝送させるコア領域のガラス
にフッ素を添加した光ファイバの光伝送特性は、特にフ
ッ素が高濃度で添加された場合などについては、従来良
く知られていない。
【0007】例えば、フッ素などの添加物のSiO2
ラスへの添加は、光ファイバの伝送損失に対しても当然
に影響を与える。これに対して、フッ素を添加すること
による伝送損失の変化と、上述した構造緩和によるレイ
リー散乱損失の変化との関係は、あまり調べられておら
ず、このため、コア領域にフッ素が添加された光ファイ
バでの光の伝送損失の低減が充分にはなされていないと
いう問題がある。
【0008】本発明は、以上の問題点を解決するために
なされたものであり、コア領域にフッ素が添加されてい
るとともに、光の伝送損失が充分に低減された光ファイ
バ、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明による光ファイバの製造方法は、
(1)純SiO2での屈折率を基準として%で表して定
義された比屈折率差について、領域内での平均比屈折率
差Δn1が条件 Δn1<−0.3% を満たすようにフッ素が添加されたコア領域と、コア領
域の外周に設けられたクラッド領域とを有する光ファイ
バ母材を形成する母材形成工程と、(2)光ファイバ母
材を線引炉で加熱線引して光ファイバとする線引工程と
を備え、(3)線引工程において、加熱線引された光フ
ァイバに対して線引炉の後段に熱処理炉を設け、熱処理
炉によって、光ファイバを800℃〜1500℃の範囲
内の温度で0.05秒〜1秒間熱処理しつつ線引を行う
ことを特徴とする。
【0010】また、本発明による光ファイバは、純Si
2での屈折率を基準として%で表して定義された比屈
折率差について、領域内での平均比屈折率差Δn1が条
件 Δn1<−0.3% を満たすようにフッ素が添加されたコア領域と、コア領
域の外周に設けられ領域内での平均比屈折率差Δn2
条件 Δn2<Δn1 を満たすクラッド領域とを備えることを特徴とする。
【0011】一般に、光ファイバのコア領域に対して、
そのガラス内にフッ素(F)などの添加物を加えると、
ガラスの粘性低下や拡散増加により、ガラスの密度揺ら
ぎを減少させて仮想温度Tfを低下させることができ、
したがって、光ファイバ内でのレイリー散乱損失の発生
を抑制することが可能となると考えられる。一方で、フ
ッ素の添加により、ガラス内でのフッ素の濃度揺らぎに
よって光が散乱される濃度散乱などによる伝送損失が増
加する。
【0012】これに対して、本願発明者は、後述するよ
うに、コア領域に対して比屈折率差がΔn1<−0.3
%となるように高濃度でフッ素を添加した光ファイバに
おいて、熱処理での構造緩和によってガラスの仮想温度
Tfを低下させて、光の伝送損失を充分に低減すること
が可能であることを見出した。
【0013】特に、上記した光ファイバ、及びその製造
方法によれば、コア領域に対する高濃度でのフッ素の添
加により、光ファイバ内のガラスの熱処理による構造緩
和が促進される。したがって、低伝送損失の光ファイバ
を効率的に作製することが可能となる。
【0014】また、光ファイバについては、クラッド領
域は、平均比屈折率差Δn2が条件 Δn2<−0.6% を満たすようにフッ素が添加されていることが好まし
い。これにより、コア領域とクラッド領域との間の比屈
折率差Δn1−Δn2を充分に大きくして、光が良好に伝
送される構成とすることができる。
【0015】また、光ファイバの具体的な構成及び用途
としては、所定の信号光波長範囲内にある信号光をシン
グルモードで伝送することが可能に構成され、光通信用
伝送路として用いられる光ファイバとすることが可能で
ある。
【0016】あるいは、所定の紫外光波長範囲内にある
光を伝送することが可能に構成され、紫外ライトガイド
として用いられる光ファイバとすることが可能である。
なお、所定の紫外光波長範囲内の光とは、例えば、波長
300nm以下の光である。また、好ましくは、波長1
55nm以上300nm以下の光である。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面とともに本発明による
光ファイバ、及びその製造方法の好適な実施形態につい
て詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要
素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。ま
た、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致して
いない。
【0018】ここで、本明細書においては、光ファイバ
などの透明ガラス体での屈折率について、ガラス体内の
各部位における屈折率の値を示す比屈折率差Δnを、純
SiO2(石英)ガラスでの屈折率を基準(純SiO2
ラスでΔn=0)として定義し、純SiO2からの比屈
折率差を%で表すものとする。
【0019】まず、光ファイバの構成について説明す
る。
【0020】図1は、本発明による光ファイバの一実施
形態について、その断面構造、及びファイバ径方向(図
中の線Lで示された方向)の屈折率プロファイルを模式
的に示す図である。なお、図1に屈折率プロファイルと
して示した比屈折率差(%)分布の横軸は、スケールは
異なるが、図中の断面構造に示された線Lに沿った、光
ファイバの中心軸に対して垂直な断面上の各位置に対応
している。
【0021】この光ファイバは、SiO2ガラス系の光
ファイバであり、光ファイバの中心軸を含み軸に沿って
伸びるコア領域100と、コア領域100の外周に設け
られたクラッド領域200とを備えて構成されている。
このような構成において、光ファイバ内を伝送される光
は、コア領域100内、及びクラッド領域200の内周
側でコア領域100近傍の部位内を伝送される。
【0022】コア領域100は、屈折率を下げる添加物
であるフッ素(F)が添加されたSiO2ガラスからな
る。また、SiO2ガラスへのフッ素の添加量について
は、コア領域100内での平均比屈折率差Δn1(Δn1
<0)が条件 Δn1<−0.3% を満たすように、所定の添加量でフッ素が添加されてい
る。
【0023】一方、クラッド領域200は、クラッド領
域200内での平均比屈折率差Δn 2が条件 Δn2<Δn1(<0) を満たすように形成されている。
【0024】具体的には、例えば、クラッド領域200
は、コア領域100と同様に、屈折率を下げる添加物で
あるフッ素(F)が添加されたSiO2ガラスからな
る。また、このようにフッ素を添加した場合における、
SiO2ガラスへのフッ素の添加量については、クラッ
ド領域200内での平均比屈折率差Δn2が上記条件を
満たすように、所定の添加量でフッ素が添加される。
【0025】本実施形態の光ファイバでは、コア領域1
00に対してΔn1<−0.3%となるように、高濃度
でフッ素が添加されている。しかしながら、従来、この
ようにコア領域100に対してフッ素を高濃度で添加し
た場合の光ファイバの特性への影響、例えばフッ素の添
加量を高くすることによる伝送損失の変化などは、充分
には知られていない。
【0026】これに対して、本願発明者は、高濃度でフ
ッ素を添加したガラス体の物性、及びコア領域に対して
高濃度でフッ素を添加した光ファイバの光伝送特性につ
いて実験及び検討を行った。その結果、コア領域100
に対して比屈折率差が上述の条件Δn1<−0.3%を
満たすように高濃度でフッ素を添加した光ファイバにお
いて、熱処理での構造緩和によってガラスの仮想温度T
fを低下させて、光の伝送損失を充分かつ効率的に低減
することが可能であることを見出した。以下、図1に示
した構成を有する光ファイバの製造方法、及び本構成に
おける伝送損失の低減効果等について詳述する。
【0027】図1に示した構成を有する光ファイバの製
造方法について説明する。本発明による光ファイバの製
造方法では、まず、フッ素が添加されたコア領域100
と、コア領域100の外周に設けられたクラッド領域2
00とを有する光ファイバ母材を形成する(母材形成工
程)。
【0028】ここで、コア領域100については、上述
したように、領域内での平均比屈折率差Δn1が条件 Δn1<−0.3% を満たす添加量でフッ素を添加する。また、クラッド領
域200については、領域内での平均比屈折率差Δn2
が条件 Δn2<Δn1<0 を満たす添加量で所定の添加物(例えばフッ素)を添加
する。
【0029】このとき、光ファイバ母材は、図1に示し
た光ファイバと同様の屈折率プロファイルを有する透明
ガラス母材となる。そして、この光ファイバ母材を線引
炉で加熱線引する(線引工程)。これにより、図1に示
した構成を有する光ファイバが得られる。特に、線引工
程において、加熱線引された光ファイバに対して所定の
条件で熱処理を行うことによって、低伝送損失での光の
伝送が可能な光ファイバを作製することが可能である。
【0030】図2は、本発明による光ファイバの製造方
法において用いられる線引装置の一実施形態を概略的に
示す構成図である。
【0031】図2に示す線引装置1は、石英ガラス系な
どの光ファイバを線引するための線引装置であって、線
引炉11、熱処理炉21、及び樹脂硬化部31を備えて
構成されている。これらの線引炉11、熱処理炉21、
及び樹脂硬化部31は、光ファイバ母材2を線引する方
向(図2における上下方向)にこの順で設置されてい
る。
【0032】まず、母材供給装置(図示していない)に
保持された、上記した構成の光ファイバ母材2を線引炉
11に供給する。そして、線引炉11内のヒータ12で
光ファイバ母材2の下端を加熱して軟化させ、線引して
光ファイバ3とする。線引炉11の炉心管13には、不
活性ガス供給部14からの不活性ガス供給通路15が接
続されており、線引炉11の炉心管13内が不活性ガス
雰囲気となるように構成されている。
【0033】加熱線引された光ファイバ3は炉心管13
内にて、所定の温度まで不活性ガスにより冷却される。
その後、光ファイバ3は、炉心管13の下部から線引炉
11外に出され、線引炉11と熱処理炉21との間にて
空冷される。不活性ガスとしては、例えばN2ガスを用
いることができる。N2ガス及び空気の熱伝導係数λ
(T=300K)は、いずれも約26mW/(m・K)
である。
【0034】次に、空冷された光ファイバ3を、線引炉
11の後段であって線引炉11と樹脂硬化部31との間
の所定位置、好ましくは線引炉11の直後の位置、に設
けられた熱処理炉21に送る。そして、光ファイバ3の
所定区間をヒータ22で加熱して、所定の冷却速度にて
徐冷されるように熱処理を行う。具体的には、線引炉1
1で加熱線引された光ファイバ3に対して、熱処理炉2
1によって、光ファイバ3を800℃〜1500℃の範
囲内の温度で0.05秒〜1秒間熱処理しつつ線引を行
う。
【0035】熱処理炉21の炉心管23には、N2ガス
供給部24からのN2ガス供給通路25が接続されてお
り、熱処理炉21の炉心管23内がN2ガス雰囲気とな
るように構成されている。N2ガスを用いる代わりに、
空気あるいはArなどの分子量の比較的大きいガス等を
用いることも可能である。ただし、カーボンヒータを用
いる場合には、不活性ガスを用いる必要がある。
【0036】熱処理炉21を出た光ファイバ3は、外径
測定手段としての外径測定器41により外径がオンライ
ン測定される。その後、光ファイバ3に、コーティング
ダイス51によりUV樹脂52が塗布される。塗布され
たUV樹脂52は、樹脂硬化部31のUVランプ32に
より硬化されて、光ファイバ素線4が形成される。そし
て、光ファイバ素線4は、ガイドローラ61を経て、ド
ラム42により巻き取られる。
【0037】光ファイバ素線4を巻き取るドラム42
は、回転駆動軸45によって支持されている。また、こ
の回転駆動軸45の端部は駆動モータ43に接続されて
おり、駆動モータ43によってドラム42が回転駆動さ
れる。また、本実施形態では、この駆動モータ43に対
して、外径測定器41による外径の測定値がフィードバ
ックされて、ドラム42による光ファイバ素線4の巻き
取りが制御されている。
【0038】具体的には、外径測定器41からの出力信
号は、光ファイバ素線4の巻き取りを制御する制御手段
である制御ユニット44に送られる。そして、制御ユニ
ット44は、光ファイバ3の外径があらかじめ設定され
た外径値となるように回転速度を求め、ドラム42を回
転駆動する駆動モータ43、あるいは駆動モータ用のド
ライバを制御する。これにより、制御ユニット44から
指示された回転速度で、ドラム42によって光ファイバ
素線4が巻き取られる。
【0039】上記した光ファイバ及びその製造方法で
は、線引炉11の後段に設けられた熱処理炉21を用
い、800℃〜1500℃の熱処理温度で0.05秒〜
1秒間の熱処理時間とした条件で熱処理を行い、線引後
の光ファイバを徐冷している。このとき、原子の再配列
によるガラスの構造緩和によって、光ファイバの仮想温
度Tfが低下して、光ファイバ内でのレイリー散乱強度
が抑制される。
【0040】特に、上記した光ファイバの構成によれ
ば、コア領域100に対する高濃度でのフッ素の添加に
より、熱処理によるガラスの構造緩和が促進される。し
たがって、高濃度F添加SiO2コアを有する光ファイ
バでは、F添加なしの純SiO2コアを有する光ファイ
バなどに比べて、熱処理による仮想温度Tfの低下の効
果を、上記した熱処理条件に示すように短時間で得るこ
とが可能となり、充分に伝送損失が低減された光ファイ
バを効率的に作製することができる。
【0041】すなわち、光ファイバの製造効率の点から
言えば、構造緩和のための熱処理炉21を短尺化して線
引装置1の構成を簡単化させ、また、線引速度を高速化
して生産性を向上させることができる。また、光ファイ
バの光伝送特性の点から言えば、構造緩和の効果が大き
くなることにより、極めて伝送損失が低い光ファイバを
得ることができる。具体的な熱処理温度及び熱処理時間
については、上記した熱処理条件の範囲内で、光ファイ
バの製造効率または光伝送特性に対してそれぞれどのよ
うな条件が要求されているかに応じて、好適な条件を選
択して設定することが好ましい。
【0042】ここで、光ファイバのコア領域100の外
周にあるクラッド領域200については、平均比屈折率
差Δn2が条件 Δn2<−0.6% を満たすようにフッ素が添加されていることが好まし
い。これにより、コア領域100とクラッド領域200
との間の比屈折率差Δn1−Δn2を、0.3%以上と充
分に大きくして、光が良好に伝送される構成とすること
ができる。
【0043】以下、比屈折率差Δn1がΔn1<−0.3
%となるようにF(フッ素)が高濃度で添加されたガラ
ス体または光ファイバでの、熱処理による構造緩和と仮
想温度Tfの低下、濃度散乱(濃度揺らぎによる散乱)
の変化、及びそれらを合わせた全体としての伝送損失の
変化について、具体例を示しつつ説明する。
【0044】熱処理(アニール)を行ったときにSiO
2ガラス内で密度揺らぎが減少することによってガラス
の構造緩和が生じると、上述したように、ガラスの仮想
温度Tfが変化する。ここでは、直径10mm、厚さ2
mmの円板形状を有するバルクのガラス体を評価用のガ
ラス体として、熱処理でのガラスの構造緩和による仮想
温度Tfの変化を評価した。
【0045】また、ガラスの仮想温度Tfの導出方法と
しては、ガラスの仮想温度に対して一定の相関を有する
測定量として、SiO2ガラスでのSi−O−Si構造
における赤外線吸収のピーク(2260cm-1付近にあ
る吸収ピーク)の位置を利用した。そして、評価用のガ
ラス体による赤外線吸収を分光計で測定して、その吸収
ピークの位置を求め、得られた吸収ピークの位置からガ
ラス体での仮想温度Tfを評価して導出した。
【0046】ガラスの仮想温度Tfと赤外線吸収ピーク
の位置との相関については、あらかじめ実験的に求めた
相関曲線を用いた。すなわち、仮想温度が既知のガラス
体を用意して、いくつかの仮想温度に対して赤外線吸収
ピークの位置を測定し、それらの測定データから相関曲
線をあらかじめ決定した。なお、仮想温度Tfが既知の
ガラス体としては、ガラス体を一定の加熱温度で数10
時間程度にわたって熱処理すると、仮想温度Tfが加熱
温度と略等しい状態のガラス体が得られるので、そのよ
うなガラス体を用いた。
【0047】図3は、比屈折率差がΔn=0.017%
となる添加量でSiO2ガラスにCl(塩素)を添加し
たガラス体に対して熱処理を行ったときの仮想温度の変
化を示すグラフである。ここで、図3(a)のグラフ
は、熱処理温度(アニール温度)をTa=1100℃と
したときの仮想温度の変化を、図3(b)のグラフは、
熱処理温度をTa=1000℃としたときの仮想温度の
変化をそれぞれ示している。また、これらのグラフにお
いて、横軸は、熱処理開始から経過した熱処理時間t
(分)であり、縦軸は、測定された赤外線吸収ピークの
位置から求められたガラス体の仮想温度Tf(℃)であ
る。
【0048】まず、熱処理温度をTa=1100℃とし
た熱処理では、熱処理開始時のガラスの仮想温度は約1
187℃であったが、熱処理によってガラス体内で構造
緩和が生じて、時間の経過とともに仮想温度が低下して
いる。そして、図3(a)のグラフに示すように、約2
60分を経過したところで、ほぼ熱処理温度Ta程度の
仮想温度Tfとなっている。
【0049】この測定データでの仮想温度Tfの時間変
化に対して、熱処理時間tとガラスの仮想温度Tfとの
相関曲線を求めた(グラフ中の実線)。測定データを解
析した結果によれば、熱処理時間tと仮想温度Tfとの
相関曲線は、ほぼ2つの指数関数の和からなる相関曲線
式 Tf=a1exp(−t/τ1)+a2exp(−t/
τ2)+a3 によって表すことができることがわかった。
【0050】この相関曲線式において、a1は速い指数
関数成分の寄与の大きさを示す係数、τ1は速い成分の
緩和時間(第1緩和時間)、a2は遅い指数関数成分の
寄与の大きさを示す係数、τ2は遅い成分の緩和時間
(第2緩和時間、τ2>τ1)である。また、a3は相関
曲線のオフセット分を示す定数である。Ta=1100
℃での熱処理に対して求められた図3(a)に示す相関
曲線における各パラメータの値を、以下の表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】また、熱処理温度をTa=1000℃とし
た熱処理では、Ta=1100℃とした熱処理の場合と
同様に、熱処理開始時のガラスの仮想温度から、熱処理
によってガラス体内で構造緩和が生じて、時間の経過と
ともに仮想温度が低下している。ただし、その仮想温度
の緩和時間(温度の低下速度)は異なり、図3(b)の
グラフに示すように、約2000分を経過したところ
で、ほぼ熱処理温度Ta程度の仮想温度Tfとなってい
る。
【0053】この測定データでの仮想温度の時間変化に
対して、熱処理時間tとガラスの仮想温度Tfとの相関
曲線を、上記した相関曲線式によって求めた(グラフ中
の実線)。Ta=1000℃での熱処理に対して求めら
れた図3(b)に示す相関曲線における各パラメータの
値を、以下の表2に示す。
【0054】
【表2】
【0055】図4は、比屈折率差がΔn=0.08%と
なる添加量でSiO2ガラスにClを添加したガラス体
に対して熱処理を行ったときの仮想温度の変化を示すグ
ラフである。ここで、図4のグラフは、熱処理温度をT
a=1000℃としたときの仮想温度の変化を示してい
る。また、このグラフにおいて、横軸は、熱処理開始か
ら経過した熱処理時間t(分)であり、縦軸は、測定さ
れた赤外線吸収ピークの位置から求められたガラス体の
仮想温度Tf(℃)である。
【0056】比屈折率差Δn=0.08%のガラス体に
対する熱処理では、Δn=0.017%のガラス体に対
する熱処理の場合と同様に、熱処理開始時のガラスの仮
想温度から、熱処理によってガラス体内で構造緩和が生
じて、時間の経過とともに仮想温度が低下している。こ
の熱処理に対して求められた図4に示す相関曲線(グラ
フ中の実線)における各パラメータの値を、以下の表3
に示す。
【0057】
【表3】
【0058】上述した図3及び図4のグラフでは、例と
して、Cl添加SiO2ガラスに対して熱処理を行った
場合のガラスの構造緩和、及びそれによる仮想温度Tf
の低下について示した。これに対して、F添加SiO2
ガラスに熱処理を行った場合も、同様に、熱処理開始時
のガラスの仮想温度から、熱処理によってガラス体内で
構造緩和が生じて、時間の経過とともに仮想温度が低下
する。また、F添加SiO2ガラスでの熱処理時間tと
仮想温度Tfとの相関曲線については、Cl添加SiO
2ガラスに対して用いた2つの指数関数の和からなる上
記の相関曲線式を同様に適用することが可能である。
【0059】図5は、各種のガラス体に対して熱処理を
行ったときの仮想温度の変化における緩和時間τ、及び
その温度依存性を示すグラフである。このグラフにおい
て、横軸は、熱処理温度(熱処理後のガラスの仮想温
度)Tを、10000/T(1/K)によって示してい
る。また、縦軸は、仮想温度Tfの時間変化での緩和時
間τ(上述した第1緩和時間τ1及び第2緩和時間τ2
を、1/τ(1/秒)によって示している。
【0060】図5に示したグラフのうち、グラフA1
2、B1、及びB2は、それぞれCl(塩素)が添加さ
れたSiO2ガラスでの、構造緩和による仮想温度Tf
の変化の緩和時間τを示している。
【0061】グラフA1及びA2は、Δn=0.017%
のCl添加SiO2ガラスに対するものであり、グラフ
1は速い成分の第1緩和時間τ1を、また、グラフA2
は遅い成分の第2緩和時間τ2を示している(図3、表
1及び表2参照)。また、グラフB1及びB2は、Δn=
0.08%のCl添加SiO2ガラスに対するものであ
り、グラフB1は第1緩和時間τ1を、また、グラフB2
は第2緩和時間τ2を示している(図4及び表3参
照)。
【0062】一方、グラフC1、C2、D1、及びD2は、
それぞれ比屈折率差ΔnがΔn<−0.3%となるよう
にF(フッ素)が添加されたSiO2ガラスでの、構造
緩和による仮想温度Tfの変化の緩和時間τを示してい
る。
【0063】グラフC1及びC2は、Δn=−0.4%の
F添加SiO2ガラスに対するものであり、グラフC1
第1緩和時間τ1を、また、グラフC2は第2緩和時間τ
2を示している。また、グラフD1及びD2は、Δn=−
0.7%のF添加SiO2ガラスに対するものであり、
グラフD1は第1緩和時間τ1を、また、グラフD2は第
2緩和時間τ2を示している。
【0064】また、グラフGは、OH基の濃度が11p
pmである純SiO2ガラスでの、構造緩和による仮想
温度Tfの変化の緩和時間τを示している。また、グラ
フHは、OH基の濃度が1200ppmである純SiO
2ガラスでの、構造緩和による仮想温度Tfの変化の緩
和時間τを示している。ただし、これらの純SiO2
ラスでの構造緩和に対しては、熱処理時間tと仮想温度
Tfとの相関曲線として、1つの指数関数のみからなる
相関曲線式を適用している。
【0065】これらのグラフより、F添加SiO2ガラ
スでは、純SiO2ガラス及びCl添加SiO2ガラスに
比べて緩和時間τが小さく、ガラスの構造緩和による仮
想温度Tfの低下速度が速いことがわかる。このこと
は、SiO2ガラスへのフッ素の添加が、ガラスの構造
緩和によるレイリー散乱損失の低減に効果的であること
を示している。
【0066】一方、このようにFなどの添加物を添加し
たガラスにおいては、構造緩和によるレイリー散乱損失
の抑制に加えて、添加物であるFの濃度揺らぎによって
濃度散乱を生じ、それによって伝送損失が増加する可能
性がある。したがって、光ファイバのコア領域にフッ素
を高濃度で添加する場合、レイリー散乱損失の低減、及
び濃度散乱による伝送損失の増加等を合わせて、伝送損
失が全体として低減されるようにすることが好ましい。
【0067】図6は、Fを添加したSiO2ガラス体で
の濃度ゆらぎ等による散乱の強度を示すグラフである。
このグラフにおいて、横軸は、F添加SiO2ガラスの
比屈折率差Δn(%)を示している。また、縦軸は、ガ
ラス体による光の散乱強度を示している。
【0068】ここでは、Fの添加量を変えてバルクガラ
ス体を数種類作製し、それぞれを同じ仮想温度Tf=9
00℃となるように熱処理して、評価用のガラス体とし
た。そして、それらのガラス体に対して所定波長514
nmの光を照射し、PDまたはフォトマルなどの光検出
器を用いてガラス体からの散乱光を測定して、それぞれ
のガラス体での散乱強度を評価した。
【0069】図6のグラフに示す各比屈折率差での測定
データを比べると、SiO2ガラスに添加するFの添加
量を増やしてフッ素濃度が高くなった場合でも、濃度ゆ
らぎ等による光の散乱強度はあまり増加しないことがわ
かる。すなわち、従来、光ファイバのコア領域へのフッ
素の添加については、濃度ゆらぎなどによる余分な伝送
損失が増大してしまうために、高濃度添加は好ましくな
いとされていた。
【0070】これに対して、上述した測定結果によれ
ば、Fの添加量を高濃度としても濃度ゆらぎの増大量は
小さい。したがって、SiO2ガラスへのFの添加量を
大きくし、熱処理による構造緩和を促進してレイリー散
乱損失を低減することによって、光ファイバでの光の伝
送損失を全体として効率的に抑制することができる。
【0071】比屈折率差がΔn1<−0.3%となるよ
うにFが添加されたコア領域を有する図1に示した構成
の光ファイバについて、熱処理による仮想温度Tfの低
下、及びそれによる伝送損失の低減効果を調べるための
シミュレーション(上記した文献1を参照)を行った。
【0072】具体的には、図2に示した構成の線引装置
1において、線引炉11で加熱線引された光ファイバ3
に対して、後段の熱処理炉21によって所定条件で熱処
理を行うことを想定した。そして、熱処理での構造緩和
による光ファイバ3の仮想温度Tfの低下について調べ
た。
【0073】ここで、熱処理によるガラスの構造緩和に
ついては、2つの指数関数の和からなる上述の相関曲線
式を仮定した。それぞれの指数関数成分(速い成分及び
遅い成分)の緩和時間τ1及びτ2としては、図5に示し
たグラフC1、C2、D1、及びD2からそれぞれ求められ
る値を用いた。また、それぞれの指数関数成分の寄与の
大きさを示す係数a1及びa2としては、以下の図7及び
図8に示すグラフからそれぞれ求められる値を用いた。
【0074】図7は、Δn=−0.4%となる添加量で
Fを添加したSiO2ガラス体に対して熱処理を行った
ときの仮想温度の変化(図5のグラフC1、C2参照)に
おける速い成分の寄与率を示すグラフである。このグラ
フにおいて、横軸は、熱処理温度(熱処理後のガラスの
仮想温度)T(℃)を示している。また、縦軸は、速い
成分及び遅い成分での係数a1、a2から求めた速い成分
の寄与率a1/(a1+a2)を示している。このデータ
では、Δn=−0.4%のF添加SiO2ガラスにおけ
る速い成分の寄与率は、平均で0.406となってい
る。
【0075】図8は、Δn=−0.7%となる添加量で
Fを添加したSiO2ガラス体に対して熱処理を行った
ときの仮想温度の変化(図5のグラフD1、D2参照)に
おける速い成分の寄与率を示すグラフである。このグラ
フにおいて、横軸は、熱処理温度(熱処理後のガラスの
仮想温度)T(℃)を示している。また、縦軸は、速い
成分の寄与率a1/(a1+a2)を示している。このデ
ータでは、Δn=−0.7%のF添加SiO2ガラスに
おける速い成分の寄与率は、平均で0.49となってい
る。
【0076】図5、図7、及び図8に示したグラフから
求められた緩和時間τ1、τ2、係数a1、a2を用い、8
00℃〜1500℃の範囲内で、いくつかの温度Tを熱
処理温度Taとして設定して、光ファイバに対して線引
後に熱処理を行ったときの仮想温度Tfの時間変化をそ
れぞれ求めた。
【0077】図9は、比屈折率差がΔn1=−0.4%
となる添加量でFを添加したコア領域を有する光ファイ
バに対して、1000℃〜1500℃の熱処理温度Ta
で熱処理を行ったときの仮想温度の変化を示すグラフで
ある。このグラフにおいて、横軸は、熱処理時間t
(秒)を、また、縦軸は、ガラスの仮想温度Tf(℃)
を示している。
【0078】この例では、熱処理前の仮想温度Tfが1
700℃のΔn=−0.4%でのF添加ガラスに対し
て、例えば1400℃で0.3秒間熱処理することによ
って、その仮想温度Tfが1400℃まで低下すること
がわかる。これは、レイリー散乱にすると約15%の低
減に相当する。例えば、上記した文献1では、線引時の
線引速度10m/s、熱処理炉の長さ2mの条件で、レ
イリー散乱が約10%低減されている。これに対して、
上記の例では、線引時の線引速度10m/s、熱処理炉
の長さ2mの同様の条件で、1.5倍となる15%のレ
イリー散乱の低減効果が得られる。
【0079】図10は、比屈折率差がΔn1=−0.7
%となる添加量でFを添加したコア領域を有する光ファ
イバに対して、800℃〜1400℃の熱処理温度Ta
で熱処理を行ったときの仮想温度の変化を示すグラフで
ある。このグラフにおいて、横軸は、熱処理時間t
(秒)を、また、縦軸はガラスの仮想温度Tf(℃)を
示している。
【0080】この例では、ガラスの構造緩和による仮想
温度の低下がさらに速くなっており、熱処理前の仮想温
度Tfが1700℃のΔn=−0.7%でのF添加ガラ
スに対して、例えば1200℃で0.15秒間熱処理す
ることによって、その仮想温度Tfが1200℃まで低
下することがわかる。これは、レイリー散乱にすると約
25%の低減に相当する。このようなレイリー散乱の低
減効果は、線引速度10m/sでは、長さ1m程度の熱
処理炉で充分に得られ、熱処理炉の長さが2m〜5m程
度となっている文献1の例に比べて短い熱処理炉で良い
こととなる。
【0081】本発明による光ファイバは、所定の信号光
波長範囲内にある信号光をシングルモードで伝送するこ
とが可能なように構成し、光通信用伝送路のシングルモ
ード光ファイバに適用することが可能である。また、シ
ングルモード光ファイバ以外の光通信用の光ファイバに
も同様に適用することができる。
【0082】あるいは、所定の紫外光波長範囲内にある
光を伝送することを可能に構成し、紫外光用の導波路で
ある紫外ライトガイドとして用いることが可能である。
なお、所定の紫外光波長範囲内の光とは、例えば、波長
300nm以下の光である。また、好ましくは、波長1
55nm以上300nm以下の光である。
【0083】上記した構成の光ファイバは、光通信用の
光ファイバとして使用した場合には、上述したガラスの
構造緩和と仮想温度Tfの低下によりレイリー散乱を2
5%以上低減することが可能であり、極めて低伝送損失
の光伝送路となる。このような伝送損失の低減効果は、
紫外ライトガイドとして用いた場合も同様である。
【0084】さらに、紫外ライトガイドとして使用した
場合には、伝送可能な紫外光の波長領域を短波長側に広
げることが可能という効果が得られる。すなわち、Si
2ガラスにフッ素を添加すると、Si−O−Siの電
子遷移のエネルギーギャップが高くなり、したがって、
より短波長で高いエネルギーの紫外光がガラスを伝送さ
れることとなる。実際に、少なくともFの添加量が比屈
折率差でΔn=−0.7%までの範囲については、Fの
添加量を増やすことによってガラスの紫外光吸収端が短
波長側に移動することを確認している。
【0085】このような紫外ライトガイドでは、紫外光
の光量を多く伝送するためには、可撓性が損なわれない
範囲でコア領域を大きくすることが好ましい。例えば、
直径125μmの光ファイバでは、ファイバ径の約95
%となる直径110μm程度までは、コア領域とするこ
とができる。
【0086】また、同様の目的で、コア領域とクラッド
領域との比屈折率差をできるだけ大きくすることが望ま
しく、1%以上とすることが好ましい。
【0087】本発明による光ファイバ及びその製造方法
は、上記した実施形態及び実施例に限られるものではな
く、様々な変形が可能である。例えば、光ファイバの具
体的な構成については、図1の屈折率プロファイルに示
した構成に限らず、様々な屈折率プロファイルの光ファ
イバを用いて良い。
【0088】また、図2に示した線引装置1は、線引炉
11の後段に熱処理炉21を設けた線引装置1の構成の
一例を示すものであり、線引後の光ファイバに対して熱
処理を行うことが可能であれば、他の構成の線引装置を
用いても良い。
【0089】
【発明の効果】本発明による光ファイバ及びその製造方
法は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得
る。すなわち、比屈折率差でΔn1<−0.3%となる
ようにコア領域にフッ素が添加された光ファイバの構成
とするとともに、線引された光ファイバに対して、線引
炉の後段に設けられた熱処理炉を用い、800℃〜15
00℃の熱処理温度で0.05秒〜1秒間の熱処理時間
とした条件で熱処理を行う光ファイバ及びその製造方法
によれば、原子の再配列によるガラスの構造緩和によっ
て、光ファイバの仮想温度Tfを低下させて、レイリー
散乱損失を含む光ファイバの伝送損失を低減することが
できる。
【0090】特に、上記した構成によれば、コア領域に
対する高濃度でのフッ素の添加によりガラスの構造緩和
が促進されるので、充分に伝送損失が低減された光ファ
イバを効率的に作製することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ファイバの一実施形態の断面構造及び屈折率
プロファイルを模式的に示す図である。
【図2】光ファイバの製造方法において用いられる線引
装置の一実施形態を概略的に示す構成図である。
【図3】Δn=0.017%となる添加量でClを添加
したSiO2ガラス体に対して熱処理を行ったときの仮
想温度の変化を示すグラフである。
【図4】Δn=0.08%となる添加量でClを添加し
たSiO2ガラス体に対して熱処理を行ったときの仮想
温度の変化を示すグラフである。
【図5】各種のガラス体に対して熱処理を行ったときの
仮想温度の変化における緩和時間及びその温度依存性を
示すグラフである。
【図6】Fを添加したSiO2ガラス体での濃度散乱の
強度を示すグラフである。
【図7】Δn=−0.4%となる添加量でFを添加した
SiO2ガラス体に対して熱処理を行ったときの仮想温
度の変化での速い成分の寄与率を示すグラフである。
【図8】Δn=−0.7%となる添加量でFを添加した
SiO2ガラス体に対して熱処理を行ったときの仮想温
度の変化での速い成分の寄与率を示すグラフである。
【図9】Δn=−0.4%となる添加量でFを添加した
コア領域を有する光ファイバに対して熱処理を行ったと
きの仮想温度の変化を示すグラフである。
【図10】Δn=−0.7%となる添加量でFを添加し
たコア領域を有する光ファイバに対して熱処理を行った
ときの仮想温度の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1…線引装置、11…線引炉、12…ヒータ、13…炉
心管、14…不活性ガス供給部、15…不活性ガス供給
通路、21…熱処理炉、22…ヒータ、23…炉心管、
24…N2ガス供給部、25…N2ガス供給通路、31…
樹脂硬化部、32…UVランプ、41…外径測定器、4
2…ドラム、43…駆動モータ、44…制御ユニット、
45…回転駆動軸、51…コーティングダイス、52…
UV樹脂、61…ガイドローラ、2…光ファイバ母材、
3…光ファイバ、4…光ファイバ素線、100…コア領
域、200…クラッド領域。
フロントページの続き (72)発明者 生嶋 明 愛知県名古屋市天白区久方二丁目12番地1 豊田工業大学内 (72)発明者 ジャブリ カレッド 愛知県名古屋市天白区久方二丁目12番地1 豊田工業大学内 (72)発明者 永山 勝也 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 浦野 章 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 (72)発明者 大賀 裕一 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内 Fターム(参考) 4G021 EB19 EB26 HA02 HA05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 純SiO2での屈折率を基準として%で
    表して定義された比屈折率差について、領域内での平均
    比屈折率差Δn1が条件 Δn1<−0.3% を満たすようにフッ素が添加されたコア領域と、前記コ
    ア領域の外周に設けられたクラッド領域とを有する光フ
    ァイバ母材を形成する母材形成工程と、 前記光ファイバ母材を線引炉で加熱線引して光ファイバ
    とする線引工程とを備え、 前記線引工程において、加熱線引された前記光ファイバ
    に対して前記線引炉の後段に熱処理炉を設け、前記熱処
    理炉によって、前記光ファイバを800℃〜1500℃
    の範囲内の温度で0.05秒〜1秒間熱処理しつつ線引
    を行うことを特徴とする光ファイバの製造方法。
  2. 【請求項2】 純SiO2での屈折率を基準として%で
    表して定義された比屈折率差について、領域内での平均
    比屈折率差Δn1が条件 Δn1<−0.3% を満たすようにフッ素が添加されたコア領域と、前記コ
    ア領域の外周に設けられ領域内での平均比屈折率差Δn
    2が条件 Δn2<Δn1 を満たすクラッド領域とを備えることを特徴とする光フ
    ァイバ。
  3. 【請求項3】 前記クラッド領域は、前記平均比屈折率
    差Δn2が条件 Δn2<−0.6% を満たすようにフッ素が添加されていることを特徴とす
    る請求項2記載の光ファイバ。
  4. 【請求項4】 所定の信号光波長範囲内にある信号光を
    シングルモードで伝送することが可能に構成され、光通
    信用伝送路として用いられる請求項2記載の光ファイ
    バ。
  5. 【請求項5】 所定の紫外光波長範囲内にある光を伝送
    することが可能に構成され、紫外ライトガイドとして用
    いられる請求項2記載の光ファイバ。
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