JP2003130252A - 既設管の更生方法および遮蔽板 - Google Patents

既設管の更生方法および遮蔽板

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JP2003130252A JP2001325306A JP2001325306A JP2003130252A JP 2003130252 A JP2003130252 A JP 2003130252A JP 2001325306 A JP2001325306 A JP 2001325306A JP 2001325306 A JP2001325306 A JP 2001325306A JP 2003130252 A JP2003130252 A JP 2003130252A
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幸弘 高野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱可塑性樹脂製からなる更生管を既設管内で加
熱拡径させることにより既設管をライニングする更生作
業において、更生管を円滑に拡径させるために、加熱中
の更生管を流入水から防護する。 【解決手段】本発明の既設管の更生方法は、既設管2内
に更生管1を挿入する作業に先立って、既設管2におけ
る流入水の発生箇所に耐水性の薄板材からなる遮蔽板3
を断面略円弧状に貼着し、既設管2内に挿入される更生
管1の上方を前記遮蔽板3で被覆するとともに、流入水
を前記遮蔽板3の凸側表面に沿って周方向に流下させる
ことにより、更生管1の少なくとも上半部が流入水によ
って冷却されるのを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地中に埋設された
既設管を熱可塑性樹脂製からなる更生管によってライニ
ングする更生作業において、既設管への流入水から更生
管を防護しつつ加熱するようにした更生方法と、その更
生方法に使用される遮蔽板に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、地中に埋設されている下水用等
の既設管路が老朽化した場合には、この管路内面を樹脂
製の更生管によりライニングして管路を補強することが
行われている。かかるライニング更生技術によって地中
の既設管路を更生する作業の概要を、図5〜図8に示
す。
【0003】<更生管>図5は、ライニング更生に用い
られる更生管1の形態を示す図である。例示した更生管
1は、塩化ビニルや高密度ポリエチレン等の熱可塑性樹
脂製により形成されている。この更生管1は、側面に襞
状部11が形成されて、図6(a)に示すように断面積
が縮小されているが、所定の形状記憶温度(例えば80
℃)に加熱すると、図6(b)〜(c)に示すように襞
状部11を拡げつつ拡径して、円筒体に形状回復する性
能を有している。
【0004】<ライニング工程>図7は、更生管1を既
設管2に引き込む作業を示す説明図である。例示した既
設管2は、上流側マンホール81(図中、左側)と下流
側マンホール82(図中、右側)とを連通するようにし
て、緩勾配で埋設されている。
【0005】上流側マンホール81付近の地上にはドラ
ム83上に巻き取られた更生管1が搬入され、下流側マ
ンホール82付近の地上にはウィンチ84が配設されて
いる。また、下流側マンホール82の下部には更生管1
を牽引するワイヤ85を案内するためのガイド部86が
設けられている。ライニング作業は、まずドラム83を
回転させながら更生管1を既設管2の内部に送り込む作
業により開始される。具体的には、更生管1の先端に先
端具87を取り付けておくとともに、この先端具87に
ウィンチ84から延びるワイヤ85を係止しておく。そ
して、ドラム83から送り出された更生管1の先端を既
設管2の内部に挿入した状態で、ウィンチ84によって
ワイヤ85を巻き取ることにより更生管1を牽引し、更
生管1を既設管2の内部に引き込んでいく。この作業に
より、更生管1を、上流側マンホール81と下流側マン
ホール82との間を結ぶ既設管2内の全長に亘って敷設
する。ここまでの段階では、更生管1の断面形状は、図
6(a)に示したような縮径状態に保持されている。
【0006】図8は、引き込んだ更生管1を加熱拡径さ
せて既設管2の内面に密着させる作業を示す説明図であ
る。上流側マンホール81付近の地上に蒸気発生・加圧
器91を配設し、下流側マンホール82付近の地上に水
・蒸気分離器92を配設する。更生管1の後端にエルボ
93を連結し、そのエルボ93に蒸気発生・加圧器91
から延びるホース94を連結するともに、更生管1の先
端に取り付けられた先端具87に水・蒸気分離器92か
ら延びるホース95を連結する。また、エルボ93及び
先端具87には図示しない温度センサーを取り付けてお
く。この状態で、蒸気発生・加圧器91より更生管1内
に高温の蒸気を連続的に供給し、その蒸気を水・蒸気分
離器92へ流下させつつ、更生管1をその内部より形状
記憶温度まで加熱する。すると、更生管1は、図6
(b)に示すような断面形状を経て、記憶された円筒体
に近い形状まで拡径する。こうして更生管1を形状回復
させた後、先端具87を密閉状態にし、更生管1の内部
に蒸気発生・加圧器91より圧縮空気を送って、更生管
1を内部より加圧膨張させる。すると、更生管1はさら
に拡径して、図6(c)に示すように、既設管2の内面
に密着する。この加圧状態のまま更生管1を冷却固定し
た後、先端具87によって閉止された更生管1の先端部
を切除すれば、既設管2のライニング作業は終了する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】老朽化の進んだ既設管
2においては、管路の亀裂箇所等から湧水や雨水等が既
設管2内に流入しているのが常態である。このような流
入水が、前記従来のライニング更生作業において加熱拡
径中の更生管1を濡らすと、濡れた部分が冷却されて十
分に形状回復しないおそれがある。特に、図6(a)の
ように更生管1の襞状部11が上を向いている状態で
は、この襞状部11に流入水が溜まり、さらに管軸方向
に流れるので、更生管1の円滑な拡径が広範囲にわたり
阻害されてしまう。
【0008】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
で、熱可塑性樹脂製からなる更生管を既設管内で加熱拡
径させることにより既設管をライニングする更生作業に
おいて、更生管を円滑に拡径させるために、加熱中の更
生管を流入水から防護するようにした更生方法の提供を
解決課題とする。
【0009】また、本発明は、前記更生方法の実施に際
して更生管を流入水から防護するための遮蔽板を提供す
ることを解決課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するた
め、本発明の既設管の更生方法は、既設管内に熱可塑性
樹脂からなる更生管を縮径状態で挿入し、この更生管を
加熱拡径させて既設管の内面に密着させることにより既
設管をライニングする更生方法において、既設管内に更
生管を挿入する作業に先立って、既設管における流入水
の発生箇所に耐水性の薄板材からなる遮蔽板を断面略円
弧状に貼着し、既設管内に挿入される更生管の上方を前
記遮蔽板で被覆するとともに、流入水を前記遮蔽板の凸
側表面に沿って周方向に流下させることにより、更生管
の少なくとも上半部が流入水によって冷却されるのを防
止することを特徴とする。
【0011】この発明によれば、既設管内への流入水が
遮蔽板の凸側表面に沿って周方向に流下するので、更生
管の少なくとも上半部は流入水によって濡れることがな
い。したがって、更生管が十分に加熱され、良好に形状
回復して、既設管に密着する。なお、遮蔽板は更生管の
拡径後、既設管と更生管との間に挟み込まれて残留する
が、薄板材により形成されているので、更生後の状態に
対してとくに支障をきたすこともない。
【0012】また、前記更生方法に使用される本発明の
遮蔽板は、耐水性の薄板材からなり、既設管の内面に沿
って略円弧状に湾曲しうるものとして特徴づけられる。
【0013】そして、この遮蔽板の凸側表面に、流入水
を周方向に沿って流下させうる複数本の凹溝を適宜間隔
で形成することにより、流入水を管軸方向に分散させな
いようにして、円滑に流下させることができる。
【0014】また、この遮蔽板の凸側表面には水硬化性
樹脂からなる接着剤が塗布または貼付されているのが好
ましい。水硬化性樹脂からなる接着剤は、既設管の内面
に水や泥が付着している場合でも、遮蔽板と既設管との
界面を良好に密着させる効果を発揮する。かかる接着剤
としては、シリル基を含有するポリマー系、あるいはア
ニオン重合タイプの一液湿気硬化型弾性接着剤等が好適
である。なお、この接着剤を周方向に沿って適度な厚さ
で塗布したり、あるいはテープ状の形態にして貼付すれ
ば、凹溝によって流入水を周方向に流下させるという前
記の構成と同等の効果を得ることができる。
【0015】また、この遮蔽板は、周方向に対する適度
な反発弾性を備え、外力が加わらない状態での曲率半径
が既設管の内径よりも大きくなるように賦形されたもの
とすることもできる。この構成によれば、遮蔽板を既設
管の内径よりも小さい曲率半径になるように湾曲させた
状態で既設管内に搬入し、所定位置でこれを解放するこ
とにより、遮蔽板が自身の弾性で伸展して、既設管に対
する貼着状態が良好になる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。更生管については、前記従来の技
術の説明において図5〜図8により説明した内容と同じ
である。
【0017】<遮蔽板>まず、本発明の既設管の更生方
法に利用される遮蔽板の構成例を図1に示す。この遮蔽
板3は、適度な可撓性および反発弾性を有する薄い合成
樹脂板または金属板により形成されている。遮蔽板3
は、円筒面の一部を切り取ったような外形を有し、幅方
向の断面が略円弧状になっている。幅方向(円弧の周方
向)の曲率半径は、外力が加わらない状態で、更生対象
となる既設管2(図2〜図4参照)の内径よりもやや大
きくなるように形成されている。
【0018】遮蔽板3の凸側表面には、周方向に沿っ
て、細長い接着テープ31が適宜間隔で貼付されてい
る。この接着テープ31は、適宜の厚みを有する基材の
表面に、例えばポリマー系の水硬化性樹脂からなる接着
剤を付着させたものである。これにより、隣り合う接着
テープ31間に、周方向に延びる凹溝32が形成されて
いる。
【0019】このような遮蔽板3は、凸側表面を既設管
2の内面に向けて押圧されたときに、水硬化性樹脂から
なる接着剤の硬化によって、既設管2に対し強固に貼着
される。凸側表面の全面が既設管2に密着してしまう
と、流入水の水圧によって遮蔽板3が剥がれやすくなる
が、隣り合う接着テープ31間に周方向の凹溝32が形
成されているので、この凹溝32が流入水を円滑に流下
させて下方に排除し、貼着状態を安定させる。
【0020】なお、本発明にかかる遮蔽板3は、この実
施の形態に限定されるものではなく、例えば軸方向(円
筒の母線方向)における断面が波形の薄い板材を湾曲さ
せるなどして形成することもできる。
【0021】<貼着装置>前記のような遮蔽板3は、例
えば図2〜図3に示すような貼着装置5に保持されて既
設管2内に搬入され、所定の位置に貼着される。
【0022】例示の貼着装置5は、遮蔽板3を保持する
ための押圧板51が、既設管2内を移動しうる台車52
上に設けられた昇降支持手段および角度調節手段を介し
て、台車52に対し昇降自在に、かつ、その昇降方向を
既設管2の内周方向に沿って傾倒させうるように保持さ
れたものである。
【0023】台車52は、底部が既設管2の内面に沿う
ように形成されている。底部の四隅近傍には、既設管2
の内面上を滑りやすい樹脂または金属等の素材からなる
略半球状の脚部53が取り付けられている。この台車5
2は、ワイヤ等による牽引誘導で、あるいは適宜の自走
手段を介して、流入水の発生箇所まで移動する。
【0024】台車52の前後には一対の支持部材54が
相対して立設されている。前後いずれかの支持部材54
の近傍には、位置決め用のカメラ77が取り付けられて
いる。作業者は、このカメラ77で既設管2の上部内面
を遠隔監視することにより、流入水の発生箇所に押圧板
51が相対するように、台車52の位置や押圧板51の
昇降方向を調節することができる。
【0025】前後の支持部材54の上部には、前後の軸
心を一致させるようにして軸部材55および軸受部材5
6が取り付けられており、これらによって台車52の進
行方向と平行な回転軸が形成されている。この回転軸に
は、基台部57が吊持状態で取り付けられている。基台
部57は、前後の軸部材55にそれぞれ相対して取り付
けられた揺動材58と、前後の揺動材58を連結する左
右一対の連結ロッド59により形成され、前記回転軸を
中心にして進行方向に対し左右に傾倒しうるように保持
されている。また、台車52の前後いずれかの一端に
は、基台部57の傾倒角を変化させるためのモータ60
が取り付けられ、このモータ60の駆動軸が一方の軸部
材55に結合されている。このモータ60は、既設管2
の外部から人為的に制御される。これら前後の支持部材
54と、基台部57およびモータ60によって、角度調
節手段が構成されている。
【0026】基台部57の前後には、パンタグラフ式の
レジートング61がそれぞれ取り付けられている。レジ
ートング61は、電車のパンタグラフや伸縮式のマジッ
クハンド等に従来から利用されている機構で、菱形状に
交叉してヒンジ連結された複数本のリンクアーム62を
有し、対をなす基端部63の間隔を拡縮するとリンクア
ーム62の交叉角が変化して全体の長さが伸縮する。こ
の貼着装置5に用いられるレジートング61は、伸長方
向を上向きにして、基台部57の前後にそれぞれ左右で
対をなすように設けられている。各基端部63は、基台
部57の幅方向に細長い基端連結部材64を介して左右
一体に連結されている。各基端連結部材64は、左右一
対の連結ロッド挿通孔65を有し、これらの連結ロッド
挿通孔65に基台部57を形成する左右の連結ロッド5
9がそれぞれ挿通されいる。
【0027】さらに、基端連結部材64の幅方向中央部
には雌ネジ孔67が形成されて、この雌ネジ孔67に
は、基台部57の幅方向中央に設けられたガイドボルト
68が螺合している。ガイドボルト68は、基台部57
を形成する前後の揺動材58間に配置されて、ギヤ6
9,70を介し、基台部57のほぼ中央に載置されたモ
ータ71の駆動力を受けて回転するようになっている。
また、ガイドボルト68の両端近傍には。基端連結部材
64に形成された雌ネジに対応する雄ネジがそれぞれ形
成されている。これら雌ネジおよび雄ネジは、対をなす
基端部63についてそれぞれ左ネジ72および右ネジ7
3になっている。そのため、ガイドボルとが回転する
と、これに螺合した基端連結部材64は、各レジートン
グ61の基端部63の間隔を拡縮するようにして互いに
反対方向に移動する。これらレジートング61、基端連
結部材64、ガイドボルト68およびモータ71によっ
て、昇降支持手段が形成されている。
【0028】レジートング61の上端部には、左右のレ
ジートング61を覆うように形成されたカバー部材74
が取り付けられている。カバー部材74の側面には、台
車52の進行方向に対し左右斜め上方に向かって突き出
した押圧板支持アーム75が取り付けられている。押圧
板支持アーム75の両端は、カバー部材74の側面およ
び押圧板51の裏面四隅近傍にそれぞれヒンジ連結され
ている。
【0029】押圧板51は、適度な湾曲弾性を有する金
属板または樹脂板により形成され、表面側を凸とするよ
うに湾曲された状態で、前記押圧板支持アーム75に保
持されている。押圧板51は、通常時における湾曲半径
が既設管2の内法半径よりも小さくなるように賦形され
ている。押圧板51の表面には、遮蔽板3の凹側表面を
離着自在に保持しうるような適宜の保持手段が設けられ
ている。
【0030】前記昇降支持手段が作動してカバー部材7
4が上昇すると、カバー部材74は、押圧板支持アーム
75を介して押圧板51を既設管2の内面に押し付け
る。すると、押圧板51は、まずその中央近傍から既設
管2の内面に当接する。カバー部材74がさらに上昇す
ると、既設管2内面からの反力を受けた押圧板支持アー
ム75が互いの角度を水平に近づけるように回動して、
押圧板51の曲率半径を拡大する。これにより押圧板5
1は、中央近傍から両側縁にかけて徐々に既設管2の内
面に押し当てられることとなる。
【0031】また、昇降支持手段が反対方向に作動して
カバー部材74が下降するときには、押圧板51は自身
の弾性により曲率管径を縮小させながら、中央近傍にか
けて徐々に既設管2から離脱する。このような押圧板5
1の昇降動作によって、凸側表面に接着剤を有する遮蔽
板3を、既設管2の内面に精度良く貼着することができ
る。
【0032】なお、遮蔽板3自体に既設管2の内径より
も曲率半径の大きい湾曲状態が賦形されていると、押圧
板51による圧力から解放された後でも、遮蔽板3が自
身の弾性により伸展しようとするので、既設管2に対す
る貼着状態が良好になる。
【0033】また、この貼着装置5には、押圧板51を
既設管2の内面に押圧する際に台車52を固定する姿勢
固定手段が設けられている。この姿勢拘束手段は、流入
水の発生箇所が既設管2の直上ではなく斜め上方に位置
している場合、押圧板51を斜め上方に押圧する際の反
力によって台車52が既設管2内で傾斜しようとするの
を防止するために設けられている。
【0034】姿勢拘束手段は、台車52の前後に立設さ
れた伸縮部材78により形成されている。伸縮部材78
は、例えば空気圧、ガス圧、油圧等の流体圧により伸縮
するシリンダピストン機構を利用したもので、台車52
の前後各部において2本ずつの伸縮部材78が左右に対
をなすように設けられている。伸縮部材78のシリンダ
部分79は台車52に不動状態で固定され、ピストンロ
ッド部80がシリンダ部分79から上下方向に出没する
ようになっている。ピストンロッド部80の上端には、
左右で対をなすピストンロッド部80を一体に連結する
ようにして、突当部材81が取り付けられている。突当
部材81の表面は、既設管2の内面との間に適度な摩擦
力を発揮するように形成されている。前記した位置決め
用のカメラ77を介して台車52が所定位置に位置決め
された後、外部からの操作によって伸縮部材78を伸長
させ、突当部材81を既設管2の内面に突き当てる。す
ると、台車52が既設管2内に突っ張り状態で固定さ
れ、遮蔽板3を既設管2の斜め上方に貼り付ける作業を
精度良く行うことが可能になる。
【0035】なお、貼着装置5は、この実施の形態に限
定されるものではない。例えば空気やガスを注入・排出
することにより径方向に拡縮する略円筒状の押圧手段を
備えた貼着装置などを利用することもできる。
【0036】<更生管の防護>前記のような貼着装置5
によって遮蔽板3の貼着が完了すると、図7〜図8に示
したように既設管2内に更生管1が挿入されて、加熱拡
径される。このとき、図4に示すように、既設管2内へ
の流入水は、遮蔽板3の凸側表面に形成された凹溝32
に沿って周方向に流下し、既設管2の管軸方向にはほと
んど分散せずに排除される。このため、更生管1の少な
くとも上半部は流入水によって濡れることから防護され
る。これにより、更生管1が十分に加熱されて良好に形
状回復し、既設管2に密着する。
【0037】なお、遮蔽板3の両側縁部から下方に排除
された流入水は、既設管2の底部に溜まり、更生管1の
下部を濡らして冷却する。しかし、更生管1の下部は元
々、外側に向かって凸となるように形成されているの
で、多少冷却されてもその影響をあまり受けず、円滑に
形状回復する。一方、更生管1の上半部に位置する襞状
部11は、元々、外側に向かって凹となるように形成さ
れているので、この部分を流入水から防護することは、
拡径時の効率や精度を高める上できわめて重要である。
この点において本発明の更生方法は、作業性に対する寄
与が格段に大きい。
【0038】こうして更生管1が拡径された後、遮蔽板
3は、既設管2と更生管1との間に挟み込まれたまま残
留する。しかし、遮蔽板3は薄板材により形成されてい
るので、更生後の状態に対してとくに支障をきたすこと
もない。
【0039】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の既設管
の更生方法は、既設管内に更生管を挿入する作業に先立
って流入水の発生箇所に遮蔽板を貼着し、この遮蔽板で
更生管の上方を被覆して、加熱拡径時の更生管を防護す
るものである。この発明によれば、流入水が遮蔽板の凸
側表面に沿って周方向に排除されるので、更生管の少な
くとも上半部は十分に加熱され、良好に形状回復して既
設管に密着する。その結果、ライニング更生作業の作業
性が向上する。
【0040】また、本発明の遮蔽板によれば、前記更生
作業を効率的に、かつ精度よく実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の遮蔽板の実施の形態を示す斜視図であ
る。
【図2】本発明に使用される貼着装置の管軸方向の断面
構成を示す説明図である。
【図3】図2に示した貼着装置の管径方向の断面構成を
示す説明図であり、(a)は押圧板が上昇した状態、
(b)は押圧板が下降した状態をそれぞれ示す。
【図4】本発明にかかる既設管の更生方法の作用を説明
する管径方向断面図である。
【図5】本発明に使用される更生管の一例を示す部分斜
視図である。
【図6】図5の更生管を既設管内で加熱膨張させる際の
形状変化を示す説明図である。
【図7】更生管を既設管に引き込む作業の説明図であ
る。
【図8】更生管を既設管内で拡径する作業の説明図であ
る。
【符号の説明】
1 更生管 2 既設管 3 遮蔽板 31 接着テープ(接着剤) 32 凹溝
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 23:00 B29L 23:00 Fターム(参考) 2D063 BA02 BA19 BA27 BA32 3H025 EA01 EB01 EB21 EC01 EC04 ED02 4F211 AD05 AD12 AG03 AG08 AH43 SA13 SC03 SD04 SD13 SH18 SJ11 SP15

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既設管内に熱可塑性樹脂からなる更生管
    を縮径状態で挿入し、この更生管を加熱拡径させて既設
    管の内面に密着させることにより既設管をライニングす
    る更生方法において、 既設管内に更生管を挿入する作業に先立って、既設管に
    おける流入水の発生箇所に耐水性の薄板材からなる遮蔽
    板を断面略円弧状に貼着し、既設管内に挿入される更生
    管の上方を前記遮蔽板で被覆するとともに、流入水を前
    記遮蔽板の凸側表面に沿って周方向に流下させることに
    より、更生管の少なくとも上半部が流入水によって冷却
    されるのを防止することを特徴とする既設管の更生方
    法。
  2. 【請求項2】 耐水性の薄板材からなり、既設管の内面
    に沿って略円弧状に湾曲しうるように形成された遮蔽
    板。
  3. 【請求項3】 凸側表面に、流入水を周方向に沿って流
    下させうる複数本の凹溝が適宜間隔で形成されたことを
    特徴とする請求項2に記載の遮蔽板。
  4. 【請求項4】 凸側表面に水硬化性樹脂からなる接着剤
    が塗布または貼付されたことを特徴とする請求項2に記
    載の遮蔽板。
  5. 【請求項5】 周方向に対する適度な反発弾性を備え、
    外力が加わらない状態での曲率半径が既設管の内径より
    も大きくなるように賦形されたことを特徴とする請求項
    2に記載の遮蔽板。
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