JP2003129252A - 無電解めっき液、無電解めっき方法、回路基板の製造方法 - Google Patents
無電解めっき液、無電解めっき方法、回路基板の製造方法Info
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- JP2003129252A JP2003129252A JP2001317649A JP2001317649A JP2003129252A JP 2003129252 A JP2003129252 A JP 2003129252A JP 2001317649 A JP2001317649 A JP 2001317649A JP 2001317649 A JP2001317649 A JP 2001317649A JP 2003129252 A JP2003129252 A JP 2003129252A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ヒドラジン化合物などよりもさらに優れた還
元剤を含む無電解めっき液、無電解金めっき方法、およ
び回路基板の製造方法を提案すること。 【解決手段】 回路基板10を製造するには、銅箔で形
成された配線パターン2の表面に酸性脱脂工程ST1
1、ソフトエッチング工程ST12、パラジウム活性工
程ST13を行った後、無電解ニッケルめっき工程ST
14で配線パターン2の表面にニッケルめっき層3を形
成する。次に、置換型無電解金めっき工程ST15で薄
い金めっき層を形成した後、自己触媒型無電解めっき工
程ST16で厚付け金めっき層を形成し、金めっき層4
を備えたパッド6を形成する。この自己触媒型無電解め
っき工程ST16では、還元剤として、エリソルビン酸
を還元剤として含むめっき液を用いる。
元剤を含む無電解めっき液、無電解金めっき方法、およ
び回路基板の製造方法を提案すること。 【解決手段】 回路基板10を製造するには、銅箔で形
成された配線パターン2の表面に酸性脱脂工程ST1
1、ソフトエッチング工程ST12、パラジウム活性工
程ST13を行った後、無電解ニッケルめっき工程ST
14で配線パターン2の表面にニッケルめっき層3を形
成する。次に、置換型無電解金めっき工程ST15で薄
い金めっき層を形成した後、自己触媒型無電解めっき工
程ST16で厚付け金めっき層を形成し、金めっき層4
を備えたパッド6を形成する。この自己触媒型無電解め
っき工程ST16では、還元剤として、エリソルビン酸
を還元剤として含むめっき液を用いる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回路基板の微細な
銅パターン上への金めっき、あるいは半導体ICのバン
プ電極形成のための金めっきなどに用いる無電解めっき
液、それを用いた無電解めっき方法、および回路基板の
製造方法に関するものである。
銅パターン上への金めっき、あるいは半導体ICのバン
プ電極形成のための金めっきなどに用いる無電解めっき
液、それを用いた無電解めっき方法、および回路基板の
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体実装基板の最終表面処理方法とし
て電気めっきが行われてきたが、電子機器の小型軽量
化、及び高密度配線化に伴って、厚付けが可能な自己触
媒型の無電解金めっき技術が注目されている。
て電気めっきが行われてきたが、電子機器の小型軽量
化、及び高密度配線化に伴って、厚付けが可能な自己触
媒型の無電解金めっき技術が注目されている。
【0003】このような自己触媒型の無電解めっき液と
しては、従来、シアン化合物を含有し高アルカリ性で使
用するめっき液が多いが、シアン化合物による水質汚染
を防止するという観点から、シアン化合物を全く含まな
い無電解金めっき液が検討され、例えば、特願平2−7
063号などとして、ヒドランジン化合物を還元剤とし
て用いた無電解めっき液が特許出願されている。
しては、従来、シアン化合物を含有し高アルカリ性で使
用するめっき液が多いが、シアン化合物による水質汚染
を防止するという観点から、シアン化合物を全く含まな
い無電解金めっき液が検討され、例えば、特願平2−7
063号などとして、ヒドランジン化合物を還元剤とし
て用いた無電解めっき液が特許出願されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ヒドラ
ジンも人体に有害であり、かつ、ヒドラジン化合物を用
いた無電解金めっき液では、金の析出速度が遅いという
問題点がある。
ジンも人体に有害であり、かつ、ヒドラジン化合物を用
いた無電解金めっき液では、金の析出速度が遅いという
問題点がある。
【0005】そこで、本願発明者は、無電解金めっき液
に使用可能な還元剤を各種検討したところ、L−アスコ
ルビン酸を還元剤として用いた無電解金めっき液は、ヒ
ドラジン化合物を用いた無電解金めっき液に比較して析
出速度が高く、かつ、取り扱いも極めて容易であるとい
う知見を得た。
に使用可能な還元剤を各種検討したところ、L−アスコ
ルビン酸を還元剤として用いた無電解金めっき液は、ヒ
ドラジン化合物を用いた無電解金めっき液に比較して析
出速度が高く、かつ、取り扱いも極めて容易であるとい
う知見を得た。
【0006】ここに本願発明者および出願人は、さらな
る検討の結果、L−アスコルビン酸よりもさらに良好な
還元剤を見出し、ここに開示、出願するものである。
る検討の結果、L−アスコルビン酸よりもさらに良好な
還元剤を見出し、ここに開示、出願するものである。
【0007】すなわち、本願発明の課題は、ヒドラジン
化合物やL−アスコルビン酸よりもさらに優れた還元剤
を含む無電解めっき液、それを用いた無電解金めっき方
法、および回路基板の製造方法を提案することにある。
化合物やL−アスコルビン酸よりもさらに優れた還元剤
を含む無電解めっき液、それを用いた無電解金めっき方
法、および回路基板の製造方法を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明では、少なくとも、金属イオンおよび還元剤
を含む無電解めっき液において、前記還元剤としてエリ
ソルビン酸またはその塩を含むことを特徴とする。例え
ば、前記金属イオンとして金イオンを配合して無電解金
めっき液を構成する。
め、本発明では、少なくとも、金属イオンおよび還元剤
を含む無電解めっき液において、前記還元剤としてエリ
ソルビン酸またはその塩を含むことを特徴とする。例え
ば、前記金属イオンとして金イオンを配合して無電解金
めっき液を構成する。
【0009】本願発明者が繰り返し行った実験によれ
ば、エリソルビン酸またはその塩を還元剤として含む無
電解めっき液は、還元剤としてヒドラジン化合物やL−
アスコルビン酸を用いた無電解めっき液に比較して、析
出速度が高いことが確認できた。また、エリソルビン酸
またはその塩を還元剤として含む無電解めっき液は、L
−アスコルビン酸を用いた無電解めっき液に比較して、
金属素地に対する置換析出作用が同等あるいは起こりに
くいため、金属素地を粗すこともない。よって、回路基
板の微細な銅パターンやパッドへの厚付けめっき、ある
いは半導体ICのバンプ電極形成のための厚付けめっき
などに適している。
ば、エリソルビン酸またはその塩を還元剤として含む無
電解めっき液は、還元剤としてヒドラジン化合物やL−
アスコルビン酸を用いた無電解めっき液に比較して、析
出速度が高いことが確認できた。また、エリソルビン酸
またはその塩を還元剤として含む無電解めっき液は、L
−アスコルビン酸を用いた無電解めっき液に比較して、
金属素地に対する置換析出作用が同等あるいは起こりに
くいため、金属素地を粗すこともない。よって、回路基
板の微細な銅パターンやパッドへの厚付けめっき、ある
いは半導体ICのバンプ電極形成のための厚付けめっき
などに適している。
【0010】すなわち、回路基板の微細なパッドや半導
体ICのバンプ電極を形成する際には、一般に、Cuや
Niなどの金属素地の表面に下地置換金めっきを施した
後、厚付けめっきを行うが、エリソルビン酸またはその
塩を還元剤として含む無電解めっき液を厚付けめっき用
に用いた場合、金属素地を粗さないので、半田接合の信
頼性を向上することができる。特に、半球状の半田端子
が形成されたボールグリッドアレイ型のICを実装する
回路基板のパッドに厚付け金めっきを施す場合には、表
面状態に対する要求が厳しいが、エリソルビン酸または
その塩を還元剤として含む無電解めっき液によれば、金
属素地を粗さないので、表面状態が良好なパッドを形成
できる。
体ICのバンプ電極を形成する際には、一般に、Cuや
Niなどの金属素地の表面に下地置換金めっきを施した
後、厚付けめっきを行うが、エリソルビン酸またはその
塩を還元剤として含む無電解めっき液を厚付けめっき用
に用いた場合、金属素地を粗さないので、半田接合の信
頼性を向上することができる。特に、半球状の半田端子
が形成されたボールグリッドアレイ型のICを実装する
回路基板のパッドに厚付け金めっきを施す場合には、表
面状態に対する要求が厳しいが、エリソルビン酸または
その塩を還元剤として含む無電解めっき液によれば、金
属素地を粗さないので、表面状態が良好なパッドを形成
できる。
【0011】また、エリソルビン酸またはその塩を還元
剤として含む無電解めっき液は、金属素地を粗さないの
で、回路基板の微細なパターンや半導体ICのバンプ電
極を構成する金属素地の表面に下地置換金めっきを行わ
ずに、直接、厚付けめっきを行うこともできる。
剤として含む無電解めっき液は、金属素地を粗さないの
で、回路基板の微細なパターンや半導体ICのバンプ電
極を構成する金属素地の表面に下地置換金めっきを行わ
ずに、直接、厚付けめっきを行うこともできる。
【0012】さらに、エリソルビン酸またはその塩を還
元剤として含む無電解めっき液では、置換析出作用も一
部、起こるため、金属素地との密着性が強い。それ故、
例えば、回路基板の微細なパターンや半導体ICのバン
プ電極を構成する金属素地の表面に下地置換金めっきを
行わずに、直接、エリソルビン酸またはその塩を還元剤
として含む無電解めっき液によって厚付けめっきを行っ
ても高い信頼性を確保することができる。
元剤として含む無電解めっき液では、置換析出作用も一
部、起こるため、金属素地との密着性が強い。それ故、
例えば、回路基板の微細なパターンや半導体ICのバン
プ電極を構成する金属素地の表面に下地置換金めっきを
行わずに、直接、エリソルビン酸またはその塩を還元剤
として含む無電解めっき液によって厚付けめっきを行っ
ても高い信頼性を確保することができる。
【0013】しかも、エリソルビン酸は、アスコルビン
酸の異性体であり、ヒドラジン化合物のような毒性もな
いため、取り扱いやすいという利点もある。
酸の異性体であり、ヒドラジン化合物のような毒性もな
いため、取り扱いやすいという利点もある。
【0014】本発明では、さらに、、ベンゾトリアゾー
ル、テトラヒドロベンゾトリアゾール、メチルベンゾト
リアゾール、ニトロベンゾトリアゾール、ベンゾイミダ
ゾール、インダゾール、およびそれらのナトリウム塩、
カリウム塩、アミン塩のうちの少なくとも一つを添加剤
として配合することもある。ベンゾトリアゾールなどの
添加剤は、銅やニッケルがめっき液中に溶解するのを抑
制するので、置換析出を抑えることができる。それ故、
回路基板にパッドを形成するのに適している。
ル、テトラヒドロベンゾトリアゾール、メチルベンゾト
リアゾール、ニトロベンゾトリアゾール、ベンゾイミダ
ゾール、インダゾール、およびそれらのナトリウム塩、
カリウム塩、アミン塩のうちの少なくとも一つを添加剤
として配合することもある。ベンゾトリアゾールなどの
添加剤は、銅やニッケルがめっき液中に溶解するのを抑
制するので、置換析出を抑えることができる。それ故、
回路基板にパッドを形成するのに適している。
【0015】本発明において、さらに、EDTAを添加
剤として配合することもある。このEDTAを添加する
と、Ni2+によってめっき浴が分解するのを抑制するこ
とができる。
剤として配合することもある。このEDTAを添加する
と、Ni2+によってめっき浴が分解するのを抑制するこ
とができる。
【0016】本発明において、さらに、エチレンジアミ
ン、2,2′−ビピリジル、4,4′−ビピリジル、
2,2′−ビピリジル−4,4′−ジカルボン酸のうち
の少なくとも一つを添加剤として配合することもある。
エチレンジアミンまたはビピリジルなどを添加すると、
還元析出を促進させることができる一方、置換析出を抑
制することができる。また、素地から溶出したCu+と
錯体を形成し、Cu+によってめっき浴が分解するのを
抑制することができる。
ン、2,2′−ビピリジル、4,4′−ビピリジル、
2,2′−ビピリジル−4,4′−ジカルボン酸のうち
の少なくとも一つを添加剤として配合することもある。
エチレンジアミンまたはビピリジルなどを添加すると、
還元析出を促進させることができる一方、置換析出を抑
制することができる。また、素地から溶出したCu+と
錯体を形成し、Cu+によってめっき浴が分解するのを
抑制することができる。
【0017】本発明を適用した無電解めっき方法は、例
えば、回路基板を製造する際、端子を形成するための厚
付け金めっきに用いられる。この場合、エポキシ製、ガ
ラス−エポキシ製、セラミックス製の基材の表面に形成
した金属パターンの表面に下地置換金めっきを行った
後、本発明に係る自己触媒型の無電解めっき液を用いて
厚付け金めっきを行う。また、下地置換金めっきを省略
して、基材の表面に形成した金属パターンの表面に対し
て、直接、本発明に係る自己触媒型の無電解めっき液を
用いて厚付け金めっきを行ってもよい。ここで、金属パ
ターンは、銅配線の表面にニッケルめっきを施したも
の、銀系厚膜導体の表面にニッケルめっきを施したもの
などである。
えば、回路基板を製造する際、端子を形成するための厚
付け金めっきに用いられる。この場合、エポキシ製、ガ
ラス−エポキシ製、セラミックス製の基材の表面に形成
した金属パターンの表面に下地置換金めっきを行った
後、本発明に係る自己触媒型の無電解めっき液を用いて
厚付け金めっきを行う。また、下地置換金めっきを省略
して、基材の表面に形成した金属パターンの表面に対し
て、直接、本発明に係る自己触媒型の無電解めっき液を
用いて厚付け金めっきを行ってもよい。ここで、金属パ
ターンは、銅配線の表面にニッケルめっきを施したも
の、銀系厚膜導体の表面にニッケルめっきを施したもの
などである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
て詳細に説明する。
【0019】[無電解めっき液および無電解めっき方
法]本発明の無電解金めっき液は、亜硫酸金アンモニウ
ム、亜硫酸金カリウム、亜硫酸金ナトリウムなどの水溶
性亜硫酸金化合物を金イオンとして含有するものであ
り、さらに、還元剤としてエリソルビン酸またはその塩
を含んでいる。なお、エリソルビン酸については、それ
を酸、および塩のいずれの形態で配合してもその機能に
差異がないことから、基本的には酸と塩とを区別せずに
説明する。
法]本発明の無電解金めっき液は、亜硫酸金アンモニウ
ム、亜硫酸金カリウム、亜硫酸金ナトリウムなどの水溶
性亜硫酸金化合物を金イオンとして含有するものであ
り、さらに、還元剤としてエリソルビン酸またはその塩
を含んでいる。なお、エリソルビン酸については、それ
を酸、および塩のいずれの形態で配合してもその機能に
差異がないことから、基本的には酸と塩とを区別せずに
説明する。
【0020】本発明を適用した厚付けめっき用の無電解
金めっき液は、例えば、以下の組成 亜硫酸金ナトリウム 0.005〜0.03 M/L エリソルビン酸ナトリウム 0.01〜0.20 M/L チオ硫酸ナトリウム 0.05〜0.20 M/L 亜硫酸ナトリウム 0.20〜0.60 M/L 酒石酸カリウムナトリウム 0.10〜0.30 M/L pH 7.0〜7.5 浴温 60°〜70° pH調整剤 硫酸、水酸化ナトリウム を有し、以下の検討では、以下の組成 亜硫酸金ナトリウム 0.015 M/L エリソルビン酸ナトリウム 0.05 M/L チオ硫酸ナトリウム 0.10 M/L 亜硫酸ナトリウム 0.40 M/L 酒石酸カリウムナトリウム 0.18 M/L pH 7.3 浴温 65° pH調整剤 硫酸、水酸化ナトリウム を基本浴とした。
金めっき液は、例えば、以下の組成 亜硫酸金ナトリウム 0.005〜0.03 M/L エリソルビン酸ナトリウム 0.01〜0.20 M/L チオ硫酸ナトリウム 0.05〜0.20 M/L 亜硫酸ナトリウム 0.20〜0.60 M/L 酒石酸カリウムナトリウム 0.10〜0.30 M/L pH 7.0〜7.5 浴温 60°〜70° pH調整剤 硫酸、水酸化ナトリウム を有し、以下の検討では、以下の組成 亜硫酸金ナトリウム 0.015 M/L エリソルビン酸ナトリウム 0.05 M/L チオ硫酸ナトリウム 0.10 M/L 亜硫酸ナトリウム 0.40 M/L 酒石酸カリウムナトリウム 0.18 M/L pH 7.3 浴温 65° pH調整剤 硫酸、水酸化ナトリウム を基本浴とした。
【0021】(めっき性能の比較)このような無電解金
めっき液の厚付け用めっき液としての性能について、還
元剤としてヒドラジン化合物、あるいはL−アスコルビ
ン酸を用いた無電解金めっき液の性能を比較した結果を
説明する。
めっき液の厚付け用めっき液としての性能について、還
元剤としてヒドラジン化合物、あるいはL−アスコルビ
ン酸を用いた無電解金めっき液の性能を比較した結果を
説明する。
【0022】まず、めっき素地として、Cu板に無電解
Ni−Pめっきを施した後、さらに置換金めっき(下地
置換金めっき)を行ったものを作製し、それに自己触媒
型の無電解金めっき(厚付けめっき)を施した。
Ni−Pめっきを施した後、さらに置換金めっき(下地
置換金めっき)を行ったものを作製し、それに自己触媒
型の無電解金めっき(厚付けめっき)を施した。
【0023】自己触媒型の無電解金めっきを行う際に
は、金の自己触媒的な反応に加えて、ニッケルとの置換
反応による析出も同時に起こるため、サンプル作製後の
無電解金めっき浴中のNi濃度を原子吸光光度計により
測定し、溶出Ni量から置換により析出したと考えられ
るAu膜厚を算出した。
は、金の自己触媒的な反応に加えて、ニッケルとの置換
反応による析出も同時に起こるため、サンプル作製後の
無電解金めっき浴中のNi濃度を原子吸光光度計により
測定し、溶出Ni量から置換により析出したと考えられ
るAu膜厚を算出した。
【0024】また、Ni上に析出させたAuを剥離液に
溶解し、剥離液中の金濃度を原子吸光光度計により測定
した。この値からAu膜厚を算出し、これから、置換析
出によるAu膜厚を差し引いた値を還元析出にて析出し
たAu膜厚とした。
溶解し、剥離液中の金濃度を原子吸光光度計により測定
した。この値からAu膜厚を算出し、これから、置換析
出によるAu膜厚を差し引いた値を還元析出にて析出し
たAu膜厚とした。
【0025】このような方法で、還元剤として、エリソ
ルビン酸、L−アスコルビン酸、ヒドラジン化合物を用
いた自己触媒型の無電解金めっき液の性能(析出速度)
を比較した結果を図1に示す。また、図2には、還元剤
としてエリソルビン酸、L−アスコルビン酸を用いた自
己触媒型の無電解金めっき液において、その還元剤の濃
度を変化させた場合の性能(析出速度)を検討した結果
を示す。
ルビン酸、L−アスコルビン酸、ヒドラジン化合物を用
いた自己触媒型の無電解金めっき液の性能(析出速度)
を比較した結果を図1に示す。また、図2には、還元剤
としてエリソルビン酸、L−アスコルビン酸を用いた自
己触媒型の無電解金めっき液において、その還元剤の濃
度を変化させた場合の性能(析出速度)を検討した結果
を示す。
【0026】図1および図2に示すように、エリソルビ
ン酸を還元剤として含む無電解金めっき液は、還元剤と
してヒドラジン化合物やL−アスコルビン酸を用いた無
電解金めっき液に比較して、析出速度が高いことが確認
できた。また、エリソルビン酸を還元剤として含む無電
解金めっき液は、L−アスコルビン酸を用いた無電解金
めっき液に比較して、素地の金属に対する置換作用も同
等であるため、素地を粗すこともない。よって、回路基
板の微細な銅パターン上への金めっき、あるいは半導体
ICのバンプ電極形成のための厚付け金めっき用などに
適している。さらに、エリソルビン酸は、アスコルビン
酸の異性体であり、ヒドラジン化合物のような毒性もな
いため、取り扱いやすいという利点もある。
ン酸を還元剤として含む無電解金めっき液は、還元剤と
してヒドラジン化合物やL−アスコルビン酸を用いた無
電解金めっき液に比較して、析出速度が高いことが確認
できた。また、エリソルビン酸を還元剤として含む無電
解金めっき液は、L−アスコルビン酸を用いた無電解金
めっき液に比較して、素地の金属に対する置換作用も同
等であるため、素地を粗すこともない。よって、回路基
板の微細な銅パターン上への金めっき、あるいは半導体
ICのバンプ電極形成のための厚付け金めっき用などに
適している。さらに、エリソルビン酸は、アスコルビン
酸の異性体であり、ヒドラジン化合物のような毒性もな
いため、取り扱いやすいという利点もある。
【0027】図3には、還元剤としてエリソルビン酸を
用いた無電解金めっき液において、その還元剤の濃度、
および浴温度を変化させた場合の性能(析出速度)を検
討した結果を示す。
用いた無電解金めっき液において、その還元剤の濃度、
および浴温度を変化させた場合の性能(析出速度)を検
討した結果を示す。
【0028】図3に示すように、エリソルビン酸を用い
た無電解金めっき液では、析出速度に及ぼす浴温の影響
は顕著であり、浴温を上昇させると、還元析出速度が上
昇するとともに、置換析出速度も上昇する。
た無電解金めっき液では、析出速度に及ぼす浴温の影響
は顕著であり、浴温を上昇させると、還元析出速度が上
昇するとともに、置換析出速度も上昇する。
【0029】(浴の安定性の比較)次に、エリソルビン
酸を還元剤として含む無電解金めっき液と、L−アスコ
ルビン酸を還元剤として含む無電解金めっき液につい
て、浴の安定性を評価したところ、表1に示す結果が得
られた。この評価は、ガラスサンプル管に各めっき液を
入れた状態で80℃で加熱し、めっき液が分解してAu
が析出するまでの時間を測定した結果である。
酸を還元剤として含む無電解金めっき液と、L−アスコ
ルビン酸を還元剤として含む無電解金めっき液につい
て、浴の安定性を評価したところ、表1に示す結果が得
られた。この評価は、ガラスサンプル管に各めっき液を
入れた状態で80℃で加熱し、めっき液が分解してAu
が析出するまでの時間を測定した結果である。
【0030】
【表1】
【0031】表1に示すように、いずれの無電解金めっ
き液においても、還元剤の濃度が高いほど不安定になる
傾向にあるものの、エリソルビン酸を還元剤として含む
無電解金めっき液は、L−アスコルビン酸を還元剤とし
て含む無電解金めっき液と比較して同等以上の安定性を
有している。
き液においても、還元剤の濃度が高いほど不安定になる
傾向にあるものの、エリソルビン酸を還元剤として含む
無電解金めっき液は、L−アスコルビン酸を還元剤とし
て含む無電解金めっき液と比較して同等以上の安定性を
有している。
【0032】(不純物の影響1)還元剤としてエリソル
ビン酸を用いた無電解金めっき液において、不純物とし
てのNi2+、およびCu2+の影響を検討した結果を、そ
れぞれ図4および図5に示す。
ビン酸を用いた無電解金めっき液において、不純物とし
てのNi2+、およびCu2+の影響を検討した結果を、そ
れぞれ図4および図5に示す。
【0033】図4に示すように、Ni2+の添加により析
出速度が若干低下する傾向にあるが、実用上、支障があ
るレベルではない。
出速度が若干低下する傾向にあるが、実用上、支障があ
るレベルではない。
【0034】これに対して、図5に示すように、Cu2+
の添加は、析出速度への影響はみれなかったが、浴の安
定性において、不純物濃度が高いほど、めっき液の無負
荷寿命が低下する傾向にあった。
の添加は、析出速度への影響はみれなかったが、浴の安
定性において、不純物濃度が高いほど、めっき液の無負
荷寿命が低下する傾向にあった。
【0035】(添加剤の影響1)還元剤としてエリソル
ビン酸を用いた無電解金めっき液への各種添加剤の影響
を検討した。まず、還元剤としてエリソルビン酸を用い
た無電解金めっき液に対して、添加剤としてベンゾトリ
アゾールを各濃度で添加した場合における還元析出速度
および置換析出速度を検討した結果を図6に示す。図6
において、「基本浴」と表してあるのは、添加剤を加え
ていない条件である。
ビン酸を用いた無電解金めっき液への各種添加剤の影響
を検討した。まず、還元剤としてエリソルビン酸を用い
た無電解金めっき液に対して、添加剤としてベンゾトリ
アゾールを各濃度で添加した場合における還元析出速度
および置換析出速度を検討した結果を図6に示す。図6
において、「基本浴」と表してあるのは、添加剤を加え
ていない条件である。
【0036】図6に示すように、ベンゾトリアゾールを
添加することにより、還元析出速度は0.4μ/mに減
少したが、置換析出速度は1/10まで低下した。従っ
て、ベンゾトリアゾールの添加は、置換析出を抑える効
果があることが確認できた。このような効果について
は、ベンゾトリアゾールの他、テトラヒドロベンゾトリ
アゾール、メチルベンゾトリアゾール、ニトロベンゾト
リアゾール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、およ
びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩につい
ても検討したが、同様な結果が得られた。
添加することにより、還元析出速度は0.4μ/mに減
少したが、置換析出速度は1/10まで低下した。従っ
て、ベンゾトリアゾールの添加は、置換析出を抑える効
果があることが確認できた。このような効果について
は、ベンゾトリアゾールの他、テトラヒドロベンゾトリ
アゾール、メチルベンゾトリアゾール、ニトロベンゾト
リアゾール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、およ
びそれらのナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩につい
ても検討したが、同様な結果が得られた。
【0037】(添加剤の影響2)次に、還元剤としてエ
リソルビン酸を用いた無電解金めっき液に対して、添加
剤として、ベンゾトリアゾール(BTA)、EDTAを
添加した場合における還元析出速度および置換析出速度
を検討した結果を図7に示す。図7において、「基本
浴」と表してあるのは、添加剤を加えていない条件であ
り、「BTAのみ」と表してあるのは、ベンゾトリアゾ
ールのみを添加し、EDTAを加えていない条件であ
る。
リソルビン酸を用いた無電解金めっき液に対して、添加
剤として、ベンゾトリアゾール(BTA)、EDTAを
添加した場合における還元析出速度および置換析出速度
を検討した結果を図7に示す。図7において、「基本
浴」と表してあるのは、添加剤を加えていない条件であ
り、「BTAのみ」と表してあるのは、ベンゾトリアゾ
ールのみを添加し、EDTAを加えていない条件であ
る。
【0038】図7に示すように、ベンゾトリアゾールの
みを添加した場合に比較して、ベンゾトリアゾールおよ
びEDTAの双方を添加した場合、置換析出速度および
還元析出速度の双方が上昇することが確認できた。
みを添加した場合に比較して、ベンゾトリアゾールおよ
びEDTAの双方を添加した場合、置換析出速度および
還元析出速度の双方が上昇することが確認できた。
【0039】(添加剤の影響3)次に、還元剤としてエ
リソルビン酸を用いた無電解金めっき液に対して、添加
剤として、ベンゾトリアゾール(BTA)、EDTA、
およびエチレンジアミンを添加した場合における還元析
出速度および置換析出速度を検討した結果を図8に示
す。図8において、「基本浴」と表してあるのは、添加
剤を加えていない条件であり、「BTA+EDTA」と
表してあるのは、ベンゾトリアゾールおよびEDTAを
添加し、エチレンジアミンを加えていない条件である。
リソルビン酸を用いた無電解金めっき液に対して、添加
剤として、ベンゾトリアゾール(BTA)、EDTA、
およびエチレンジアミンを添加した場合における還元析
出速度および置換析出速度を検討した結果を図8に示
す。図8において、「基本浴」と表してあるのは、添加
剤を加えていない条件であり、「BTA+EDTA」と
表してあるのは、ベンゾトリアゾールおよびEDTAを
添加し、エチレンジアミンを加えていない条件である。
【0040】図8に示すように、ベンゾトリアゾールお
よびEDTAを添加した場合に比較して、エチレンジア
ミンを添加した場合、置換析出速度は一定のまま、還元
析出速度が上昇することが確認できた。
よびEDTAを添加した場合に比較して、エチレンジア
ミンを添加した場合、置換析出速度は一定のまま、還元
析出速度が上昇することが確認できた。
【0041】(不純物の影響2)次に、還元剤としてエ
リソルビン酸を用いた無電解金めっき液にベンゾトリア
ゾールを添加した液、還元剤としてエリソルビン酸を用
いた無電解金めっき液にベンゾトリアゾールおよびED
TAを添加した液、還元剤としてエリソルビン酸を用い
た無電解金めっき液にベンゾトリアゾール、EDTA、
エチレンジアミンを添加した液の各々において、不純物
としてのNi2+、およびCu2+が析出速度に及ぼす影響
を検討した結果を、それぞれ図9および図10に示す。
なお、図9および図10において、実線L21は、還元
剤としてエリソルビン酸を用いた無電解金めっき液にベ
ンゾトリアゾールを添加した液での不純物濃度と析出速
度との関係を示し、実線L12、L22は、還元剤とし
てエリソルビン酸を用いた無電解金めっき液にベンゾト
リアゾールおよびEDTAを添加した液での不純物濃度
と析出速度との関係を示し、実線L13、L23は、還
元剤としてエリソルビン酸を用いた無電解金めっき液に
ベンゾトリアゾール、EDTA、エチレンジアミンを添
加した液での不純物濃度と析出速度との関係を示してい
る。
リソルビン酸を用いた無電解金めっき液にベンゾトリア
ゾールを添加した液、還元剤としてエリソルビン酸を用
いた無電解金めっき液にベンゾトリアゾールおよびED
TAを添加した液、還元剤としてエリソルビン酸を用い
た無電解金めっき液にベンゾトリアゾール、EDTA、
エチレンジアミンを添加した液の各々において、不純物
としてのNi2+、およびCu2+が析出速度に及ぼす影響
を検討した結果を、それぞれ図9および図10に示す。
なお、図9および図10において、実線L21は、還元
剤としてエリソルビン酸を用いた無電解金めっき液にベ
ンゾトリアゾールを添加した液での不純物濃度と析出速
度との関係を示し、実線L12、L22は、還元剤とし
てエリソルビン酸を用いた無電解金めっき液にベンゾト
リアゾールおよびEDTAを添加した液での不純物濃度
と析出速度との関係を示し、実線L13、L23は、還
元剤としてエリソルビン酸を用いた無電解金めっき液に
ベンゾトリアゾール、EDTA、エチレンジアミンを添
加した液での不純物濃度と析出速度との関係を示してい
る。
【0042】この検討において、還元剤としてエリソル
ビン酸を用いた無電解金めっき液にベンゾトリアゾール
を添加した液では、Ni2+の添加により浴が白濁、分解
したが、このような現象は、EDTAを添加した浴では
発生しなかった。これにより、EDTAによってNi2+
がキレート化され、浴の分解が抑制されることが確認で
きた。
ビン酸を用いた無電解金めっき液にベンゾトリアゾール
を添加した液では、Ni2+の添加により浴が白濁、分解
したが、このような現象は、EDTAを添加した浴では
発生しなかった。これにより、EDTAによってNi2+
がキレート化され、浴の分解が抑制されることが確認で
きた。
【0043】また、析出速度に関しては、図9に示すよ
うに、Ni2+の添加は影響を及ぼさないことが確認でき
た。
うに、Ni2+の添加は影響を及ぼさないことが確認でき
た。
【0044】これに対して、図10に示すように、Cu
2+の添加は、析出速度に大きな影響を及ぼすことが確認
でき、Cu2+の濃度が20ppmになると、いずれの浴
においても還元析出が起こらなくなった。
2+の添加は、析出速度に大きな影響を及ぼすことが確認
でき、Cu2+の濃度が20ppmになると、いずれの浴
においても還元析出が起こらなくなった。
【0045】なお、Cu2+を基本浴に添加すると短時間
のうちに浴が分解するのに対して、各種添加剤、特に、
エチレンジアミンを添加すると、浴の分解を抑制するこ
とが確認できた。その理由は、めっき浴において、Cu
2+がCu+として存在し、このCu+がエチレンジアミン
と錯体を形成しているためであると考えられる。
のうちに浴が分解するのに対して、各種添加剤、特に、
エチレンジアミンを添加すると、浴の分解を抑制するこ
とが確認できた。その理由は、めっき浴において、Cu
2+がCu+として存在し、このCu+がエチレンジアミン
と錯体を形成しているためであると考えられる。
【0046】なお、エチレンジアミンに代えて、2,
2′−ビピリジル、4,4′−ビピリジル、2,2′−
ビピリジル−4,4′−ジカルボン酸についても同様に
検討した結果、これらの添加剤も還元析出を促進させる
ことができる一方、置換析出を抑制することができ、か
つ、素地から溶出したCu+によってめっき浴が分解す
るのを抑制することが確認できた。
2′−ビピリジル、4,4′−ビピリジル、2,2′−
ビピリジル−4,4′−ジカルボン酸についても同様に
検討した結果、これらの添加剤も還元析出を促進させる
ことができる一方、置換析出を抑制することができ、か
つ、素地から溶出したCu+によってめっき浴が分解す
るのを抑制することが確認できた。
【0047】(皮膜の強度)本発明を適用した金めっき
層に対してボールシェアー強度を測定した結果、平均で
25N以上の強度が得られ、かつ、剥離モードは、全て
はんだ−はんだ間であった。
層に対してボールシェアー強度を測定した結果、平均で
25N以上の強度が得られ、かつ、剥離モードは、全て
はんだ−はんだ間であった。
【0048】[回路基板、およびその製造方法1]本発
明の無電解金めっき液、および無電解めっき方法は、以
下に説明する回路基板の製造に適している。
明の無電解金めっき液、および無電解めっき方法は、以
下に説明する回路基板の製造に適している。
【0049】図11(A)に示すように、回路基板10
は、エポキシ製、ガラス−エポキシ製、セラミックス製
の基材1上に銅配線や銀系厚膜導体からなる配線パター
ン2が形成されているとともに、配線パターン2表面に
はニッケルめっき層3が形成されている。また、基材2
の表面にはソルダーレジスト層5が形成されている。こ
こで、配線パターン2上では、ニッケルめっき層3の表
面に金めっき層4が形成され、この金めっき層4の形成
によってパッド6が構成されている。ここに示すパッド
6において、金めっき層5は、置換型無電解金めっき層
(フラッシュ金めっき層/下地置換めっき層)と、本発
明を適用した自己触媒型無電解金めっき層との2層から
構成されている。
は、エポキシ製、ガラス−エポキシ製、セラミックス製
の基材1上に銅配線や銀系厚膜導体からなる配線パター
ン2が形成されているとともに、配線パターン2表面に
はニッケルめっき層3が形成されている。また、基材2
の表面にはソルダーレジスト層5が形成されている。こ
こで、配線パターン2上では、ニッケルめっき層3の表
面に金めっき層4が形成され、この金めっき層4の形成
によってパッド6が構成されている。ここに示すパッド
6において、金めっき層5は、置換型無電解金めっき層
(フラッシュ金めっき層/下地置換めっき層)と、本発
明を適用した自己触媒型無電解金めっき層との2層から
構成されている。
【0050】このような構成の回路基板10を製造する
には、例えば、基材1と銅箔とを貼り合わせた後、銅箔
をエッチングして所定の配線パターン2を形成する。次
に、図11(B)に示すように、酸性脱脂工程ST11
で配線パターン2の表面に酸性脱脂を施し、油脂分や表
面酸化膜を除去する。次に、ソフトエッチング工程ST
12で配線パターン2の表面を過硫酸アンモニウムを含
む液で軽くエッチングした後、パラジウム活性工程ST
13で配線パターン2の表面にパラジウムを定着させ
て、配線パターン2の表面を活性化する。次に、無電解
ニッケルめっき工程ST14で配線パターン2の表面に
ニッケルめっき層3を形成する。次に、置換型無電解金
めっき工程ST15で薄い下地金めっき層を形成した
後、自己触媒型無電解めっき工程ST16で厚付け金め
っき層を形成し、金めっき層4を備えたパッド6を形成
する。
には、例えば、基材1と銅箔とを貼り合わせた後、銅箔
をエッチングして所定の配線パターン2を形成する。次
に、図11(B)に示すように、酸性脱脂工程ST11
で配線パターン2の表面に酸性脱脂を施し、油脂分や表
面酸化膜を除去する。次に、ソフトエッチング工程ST
12で配線パターン2の表面を過硫酸アンモニウムを含
む液で軽くエッチングした後、パラジウム活性工程ST
13で配線パターン2の表面にパラジウムを定着させ
て、配線パターン2の表面を活性化する。次に、無電解
ニッケルめっき工程ST14で配線パターン2の表面に
ニッケルめっき層3を形成する。次に、置換型無電解金
めっき工程ST15で薄い下地金めっき層を形成した
後、自己触媒型無電解めっき工程ST16で厚付け金め
っき層を形成し、金めっき層4を備えたパッド6を形成
する。
【0051】この自己触媒型無電解めっき工程ST16
では、本発明を適用した無電解めっき液を使用する。こ
のめっき液では、還元剤として、エリソルビン酸または
その塩を還元剤として含むため、金属素地(ニッケルや
銅)を粗さないので、表面状態が良好なパッド6を形成
できる。また、ベンゾトリアゾールなどを添加すると、
銅やニッケルがめっき液中に溶解するのをさらに抑制す
るので、金属素地が粗されるのをさらに確実に防止する
ことができる。それ故、半球状の半田端子が形成された
ボールグリッドアレイ型のICを実装する回路基板10
の製造方法に適している。
では、本発明を適用した無電解めっき液を使用する。こ
のめっき液では、還元剤として、エリソルビン酸または
その塩を還元剤として含むため、金属素地(ニッケルや
銅)を粗さないので、表面状態が良好なパッド6を形成
できる。また、ベンゾトリアゾールなどを添加すると、
銅やニッケルがめっき液中に溶解するのをさらに抑制す
るので、金属素地が粗されるのをさらに確実に防止する
ことができる。それ故、半球状の半田端子が形成された
ボールグリッドアレイ型のICを実装する回路基板10
の製造方法に適している。
【0052】[回路基板、およびその製造方法2]ま
た、本発明を適用した無電解めっき液では、還元析出と
同時に置換析出も一部、起こるため、素地との密着性が
高い。従って、図11(A)に示す金めっき層4につい
ては、本発明を適用した自己触媒型無電解金めっきのみ
によって形成してもよい。
た、本発明を適用した無電解めっき液では、還元析出と
同時に置換析出も一部、起こるため、素地との密着性が
高い。従って、図11(A)に示す金めっき層4につい
ては、本発明を適用した自己触媒型無電解金めっきのみ
によって形成してもよい。
【0053】この場合、図11(B)に一点鎖線で示す
ように、置換型無電解金めっき工程ST15を省略す
る。すなわち、酸性脱脂工程ST11、ソフトエッチン
グ工程ST12、パラジウム活性工程ST13、無電解
ニッケルめっき工程ST14を行った後、このニッケル
めっき層3の表面に対して、直接、本発明を適用した自
己触媒型無電解金めっき液を用いて自己触媒型無電解め
っき工程ST16を行い、金めっき層4(厚付け金めっ
き層)を形成する。
ように、置換型無電解金めっき工程ST15を省略す
る。すなわち、酸性脱脂工程ST11、ソフトエッチン
グ工程ST12、パラジウム活性工程ST13、無電解
ニッケルめっき工程ST14を行った後、このニッケル
めっき層3の表面に対して、直接、本発明を適用した自
己触媒型無電解金めっき液を用いて自己触媒型無電解め
っき工程ST16を行い、金めっき層4(厚付け金めっ
き層)を形成する。
【0054】[その他の実施の形態]上記形態では、無
電解金めっき液として、亜硫酸金アンモニウム、チオ硫
酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酒石酸カリウムナト
リウムを配合したものにエリソルビン酸ナトリウムを添
加した例を説明したが、従来から使用されている各種組
成の無電解金めっき液に対して、還元剤としてエリソル
ビン酸あるいはその塩を添加してもよい。
電解金めっき液として、亜硫酸金アンモニウム、チオ硫
酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、酒石酸カリウムナト
リウムを配合したものにエリソルビン酸ナトリウムを添
加した例を説明したが、従来から使用されている各種組
成の無電解金めっき液に対して、還元剤としてエリソル
ビン酸あるいはその塩を添加してもよい。
【0055】また、上記形態では、本発明を無電解金め
っき液に適用した例であったが、無電解金めっき液に限
らず、無電解Niめっき液、無電解Cuめっき液などに
本発明を適用してもよい。
っき液に適用した例であったが、無電解金めっき液に限
らず、無電解Niめっき液、無電解Cuめっき液などに
本発明を適用してもよい。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る無電
解めっき液では、エリソルビン酸を還元剤として用いて
いるため、還元剤としてヒドラジン化合物やL−アスコ
ルビン酸を用いた無電解めっき液に比較して、析出速度
が高い。また、エリソルビン酸を還元剤として含む無電
解めっき液は、L−アスコルビン酸を用いた無電解めっ
き液に比較して、素地の金属に対する置換作用も同等で
あるため、素地を粗すこともない。よって、回路基板の
微細な銅パターンやパッドへの厚付けめっき、あるいは
半導体ICのバンプ電極形成のための厚付けめっきなど
に適している。さらに、エリソルビン酸は、アスコルビ
ン酸の異性体であり、ヒドラジン化合物のような毒性も
ないため、取り扱いやすいなどの利点もある。
解めっき液では、エリソルビン酸を還元剤として用いて
いるため、還元剤としてヒドラジン化合物やL−アスコ
ルビン酸を用いた無電解めっき液に比較して、析出速度
が高い。また、エリソルビン酸を還元剤として含む無電
解めっき液は、L−アスコルビン酸を用いた無電解めっ
き液に比較して、素地の金属に対する置換作用も同等で
あるため、素地を粗すこともない。よって、回路基板の
微細な銅パターンやパッドへの厚付けめっき、あるいは
半導体ICのバンプ電極形成のための厚付けめっきなど
に適している。さらに、エリソルビン酸は、アスコルビ
ン酸の異性体であり、ヒドラジン化合物のような毒性も
ないため、取り扱いやすいなどの利点もある。
【図1】還元剤として、エリソルビン酸、L−アスコル
ビン酸、ヒドラジン化合物を用いた各無電解金めっき液
の性能を比較した結果を示すグラフである。
ビン酸、ヒドラジン化合物を用いた各無電解金めっき液
の性能を比較した結果を示すグラフである。
【図2】還元剤として、エリソルビン酸、L−アスコル
ビン酸を用いた無電解金めっき液において、その還元剤
の濃度を変化させた場合の性能を比較した結果を示すグ
ラフである。
ビン酸を用いた無電解金めっき液において、その還元剤
の濃度を変化させた場合の性能を比較した結果を示すグ
ラフである。
【図3】還元剤として、エリソルビン酸を用いた無電解
金めっき液において、その還元剤の濃度、および浴温度
を変化させた場合の性能を検討した結果を示すグラフで
ある。
金めっき液において、その還元剤の濃度、および浴温度
を変化させた場合の性能を検討した結果を示すグラフで
ある。
【図4】還元剤としてエリソルビン酸を用いた無電解金
めっき液において、不純物としてのNi2+が析出速度へ
及ぼす影響を示すグラフである。
めっき液において、不純物としてのNi2+が析出速度へ
及ぼす影響を示すグラフである。
【図5】還元剤としてエリソルビン酸を用いた無電解金
めっき液において、不純物としてのCu2+が析出速度へ
及ぼす影響を示すグラフである。
めっき液において、不純物としてのCu2+が析出速度へ
及ぼす影響を示すグラフである。
【図6】還元剤としてエリソルビン酸を用いた無電解金
めっき液に対して、添加剤として、ベンゾトリアゾール
を各濃度で添加した場合における還元析出速度および置
換析出速度を検討した結果を示すグラフである。
めっき液に対して、添加剤として、ベンゾトリアゾール
を各濃度で添加した場合における還元析出速度および置
換析出速度を検討した結果を示すグラフである。
【図7】還元剤としてエリソルビン酸を用いた無電解金
めっき液に対して、添加剤として、ベンゾトリアゾール
(BTA)、EDTAを添加した場合における還元析出
速度および置換析出速度を検討した結果を示すグラフで
ある。
めっき液に対して、添加剤として、ベンゾトリアゾール
(BTA)、EDTAを添加した場合における還元析出
速度および置換析出速度を検討した結果を示すグラフで
ある。
【図8】還元剤としてエリソルビン酸を用いた無電解金
めっき液に対して、添加剤として、ベンゾトリアゾール
(BTA)、EDTA、およびエチレンジアミンを添加
した場合における還元析出速度および置換析出速度を検
討した結果を示すグラフである。
めっき液に対して、添加剤として、ベンゾトリアゾール
(BTA)、EDTA、およびエチレンジアミンを添加
した場合における還元析出速度および置換析出速度を検
討した結果を示すグラフである。
【図9】還元剤としてエリソルビン酸を用いた無電解金
めっき液に添加剤としてベンゾトリアゾール(BT
A)、EDTA、およびエチレンジアミンを添加した場
合において、不純物としてのNi2+が析出速度へ及ぼす
影響を示すグラフである。
めっき液に添加剤としてベンゾトリアゾール(BT
A)、EDTA、およびエチレンジアミンを添加した場
合において、不純物としてのNi2+が析出速度へ及ぼす
影響を示すグラフである。
【図10】還元剤としてエリソルビン酸を用いた無電解
金めっき液に添加剤としてベンゾトリアゾール(BT
A)、EDTA、およびエチレンジアミンを添加した場
合において、不純物としてのCu2+が析出速度へ及ぼす
影響を示すグラフである。
金めっき液に添加剤としてベンゾトリアゾール(BT
A)、EDTA、およびエチレンジアミンを添加した場
合において、不純物としてのCu2+が析出速度へ及ぼす
影響を示すグラフである。
【図11】(A)、(B)はそれぞれ、本発明を適用し
て製造した回路基板の説明図、およびこの回路基板の製
造方法を示す工程図である。
て製造した回路基板の説明図、およびこの回路基板の製
造方法を示す工程図である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
Fターム(参考) 4K022 AA02 AA32 AA41 AA42 BA03
BA14 BA16 BA35 BA36 CA28
DA01 DB01 DB04 DB07 DB08
5E343 BB23 BB24 BB55 BB67 CC78
DD33 GG11
Claims (8)
- 【請求項1】 少なくとも、金属イオンおよび還元剤を
含む無電解めっき液において、前記還元剤としてエリソ
ルビン酸またはその塩を含むことを特徴とする無電解め
っき液。 - 【請求項2】 請求項1において、前記金属イオンとし
て金イオンを含むことを特徴とする無電解めっき液。 - 【請求項3】 請求項1または2において、さらに、ベ
ンゾトリアゾール、テトラヒドロベンゾトリアゾール、
メチルベンゾトリアゾール、ニトロベンゾトリアゾー
ル、ベンゾイミダゾール、インダゾール、およびそれら
のナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩のうちの少なく
とも一つを添加剤として含むことを特徴とする無電解め
っき液。 - 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかにおいて、
さらに、EDTAを添加剤として含むことを特徴とする
無電解めっき液。 - 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかにおいて、
さらに、エチレンジアミン、2,2′−ビピリジル、
4,4′−ビピリジル、2,2′−ビピリジル−4,
4′−ジカルボン酸のうちの少なくとも一つを添加剤と
して含むことを特徴とする無電解めっき液。 - 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかの無電解め
っき液を用いることを特徴とする無電解めっき方法。 - 【請求項7】 請求項6に記載の無電解めっき方法を用
いた回路基板の製造方法であって、基材の表面に形成し
た金属層の表面に下地金めっきを行った後、前記無電解
めっき液を用いて厚付け金めっきを行うことを特徴とす
る回路基板の製造方法。 - 【請求項8】 請求項6に記載の無電解めっき方法を用
いた回路基板の製造方法であって、基材の表面に形成し
た金属の表面に前記無電解めっき液を用いて厚付け金め
っきを行うことを特徴とする回路基板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001317649A JP2003129252A (ja) | 2001-10-16 | 2001-10-16 | 無電解めっき液、無電解めっき方法、回路基板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001317649A JP2003129252A (ja) | 2001-10-16 | 2001-10-16 | 無電解めっき液、無電解めっき方法、回路基板の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=19135482
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---|---|---|---|
JP2001317649A Pending JP2003129252A (ja) | 2001-10-16 | 2001-10-16 | 無電解めっき液、無電解めっき方法、回路基板の製造方法 |
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JP (1) | JP2003129252A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005256128A (ja) * | 2004-03-15 | 2005-09-22 | Renesas Technology Corp | めっき方法 |
CN103533764A (zh) * | 2012-07-05 | 2014-01-22 | 昆山联滔电子有限公司 | 非导电基板上形成导体线路的制造方法 |
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2001
- 2001-10-16 JP JP2001317649A patent/JP2003129252A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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