JP2003128981A - 水性塗料用樹脂組成物 - Google Patents
水性塗料用樹脂組成物Info
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- JP2003128981A JP2003128981A JP2001320747A JP2001320747A JP2003128981A JP 2003128981 A JP2003128981 A JP 2003128981A JP 2001320747 A JP2001320747 A JP 2001320747A JP 2001320747 A JP2001320747 A JP 2001320747A JP 2003128981 A JP2003128981 A JP 2003128981A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】凍結−融解安定性や低温造膜性に優れ、かつ耐
洗浄性や、耐汚染性、耐ブロッキング性、耐水性に優れ
た塗膜を形成する水性塗料用樹脂組成物を提供する。 【解決手段】以下の(A)及び(B)の異相構造エマル
ション粒子をバインダーとして含有する水性塗料用樹脂
組成物。(A)(1)最外相の乳化重合体がTg−50
〜10℃であり、かつ、PEG鎖及び/またはPPG鎖
を有するエチレン性不飽和単量体を1〜20質量%含有
し、(2)最外相より内側にある相の乳化重合体のTg
が30〜110℃であり、(3)最低造膜温度が10℃
以下であることを満たす異相構造エマルション粒子。
(B)(1)最外相の乳化重合体のTgが60〜80℃
であり、(2)最外相より内側にある相の乳化重合体の
Tgが−50〜0℃であり、(3)最低造膜温度が10
〜30℃であることを満たす異相構造エマルション粒
子。
洗浄性や、耐汚染性、耐ブロッキング性、耐水性に優れ
た塗膜を形成する水性塗料用樹脂組成物を提供する。 【解決手段】以下の(A)及び(B)の異相構造エマル
ション粒子をバインダーとして含有する水性塗料用樹脂
組成物。(A)(1)最外相の乳化重合体がTg−50
〜10℃であり、かつ、PEG鎖及び/またはPPG鎖
を有するエチレン性不飽和単量体を1〜20質量%含有
し、(2)最外相より内側にある相の乳化重合体のTg
が30〜110℃であり、(3)最低造膜温度が10℃
以下であることを満たす異相構造エマルション粒子。
(B)(1)最外相の乳化重合体のTgが60〜80℃
であり、(2)最外相より内側にある相の乳化重合体の
Tgが−50〜0℃であり、(3)最低造膜温度が10
〜30℃であることを満たす異相構造エマルション粒
子。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、揮発性有機化合物
(以下、VOCという。)をほとんど含有せず、また優
れた凍結−融解安定性及び低温造膜性を有し、さらに耐
洗浄性、耐汚染性、耐ブロッキング性、耐水性等に優れ
た塗膜を形成する水性塗料用樹脂組成物に関する。
(以下、VOCという。)をほとんど含有せず、また優
れた凍結−融解安定性及び低温造膜性を有し、さらに耐
洗浄性、耐汚染性、耐ブロッキング性、耐水性等に優れ
た塗膜を形成する水性塗料用樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、VOCや毒性等の低減に関する環
境姿勢が厳しくなり、また、省資源の観点から、塗料業
界では溶媒として、有機溶剤を使用した塗料から水を使
用した塗料への転換がなされつつある。その代表的な塗
料として水性エマルション塗料があるが、この塗料は、
水を溶媒として使用しているため、貯蔵中に凍結−融解
サイクルによって、分散状態に変化をきたし、粘度上昇
や、さらに進んで凝固するなど、凍結−融解安定性が悪
いという問題があった。そこで、従来は、凍結防止剤で
あるエチレングリコール等の有機溶剤を併用し、凍結−
融解安定性を改良する方法が、一般的であった。
境姿勢が厳しくなり、また、省資源の観点から、塗料業
界では溶媒として、有機溶剤を使用した塗料から水を使
用した塗料への転換がなされつつある。その代表的な塗
料として水性エマルション塗料があるが、この塗料は、
水を溶媒として使用しているため、貯蔵中に凍結−融解
サイクルによって、分散状態に変化をきたし、粘度上昇
や、さらに進んで凝固するなど、凍結−融解安定性が悪
いという問題があった。そこで、従来は、凍結防止剤で
あるエチレングリコール等の有機溶剤を併用し、凍結−
融解安定性を改良する方法が、一般的であった。
【0003】また、水性エマルション樹脂には、固有の
最低造膜温度(以下、MFTという。)があり、被塗装
面の温度がMFTより低い場合には、造膜のために成膜
助剤として有機溶剤を配合する必要があった。従って、
水性エマルション塗料といえども相当量のVOCを含ん
でおり、さらに塗膜の乾燥が不十分な場合、残存するV
OCにより、耐水性や耐ブロッキング性が悪くなる問題
点があった。
最低造膜温度(以下、MFTという。)があり、被塗装
面の温度がMFTより低い場合には、造膜のために成膜
助剤として有機溶剤を配合する必要があった。従って、
水性エマルション塗料といえども相当量のVOCを含ん
でおり、さらに塗膜の乾燥が不十分な場合、残存するV
OCにより、耐水性や耐ブロッキング性が悪くなる問題
点があった。
【0004】そのため、水性エマルション塗料におい
て、環境対策や、省資源対策、さらには臭気防止の観点
からVOCを極力少なくする検討がなされている。例え
ば、低いMFTの水性エマルション樹脂を使用して、V
OCを少なくした塗料も開発されてきているが、低いM
FTの水性エマルション樹脂を使用した塗料は、耐洗浄
性や、耐汚染性、耐水性、耐ブロッキング性に劣り、さ
らに塗膜強度も劣る問題点があった。また、低VOC
で、かつ凍結−融解安定性などを改良した水性エマルシ
ョン塗料が、例えば、特開平8−302238号公報に
開示されている。
て、環境対策や、省資源対策、さらには臭気防止の観点
からVOCを極力少なくする検討がなされている。例え
ば、低いMFTの水性エマルション樹脂を使用して、V
OCを少なくした塗料も開発されてきているが、低いM
FTの水性エマルション樹脂を使用した塗料は、耐洗浄
性や、耐汚染性、耐水性、耐ブロッキング性に劣り、さ
らに塗膜強度も劣る問題点があった。また、低VOC
で、かつ凍結−融解安定性などを改良した水性エマルシ
ョン塗料が、例えば、特開平8−302238号公報に
開示されている。
【0005】しかしながら、その塗料も凍結した状態で
長期間貯蔵する場合は、やはり凍結−融解安定性が悪く
なり、また、得られる塗膜は、耐洗浄性や、耐汚染性、
耐ブロッキング性、耐水性が劣るといった問題点があっ
た。
長期間貯蔵する場合は、やはり凍結−融解安定性が悪く
なり、また、得られる塗膜は、耐洗浄性や、耐汚染性、
耐ブロッキング性、耐水性が劣るといった問題点があっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような、
従来の課題を背景になされたもので、環境汚染や、臭気
の発生源となる凍結防止剤や、造膜助剤などのVOCを
使用しなくても、また使用したとしても少量の添加で、
凍結−融解安定性や低温造膜性に優れ、かつ耐洗浄性、
耐汚染性、耐ブロッキング性、耐水性に優れた塗膜を形
成する水性塗料用樹脂組成物を提供することを目的とす
る。
従来の課題を背景になされたもので、環境汚染や、臭気
の発生源となる凍結防止剤や、造膜助剤などのVOCを
使用しなくても、また使用したとしても少量の添加で、
凍結−融解安定性や低温造膜性に優れ、かつ耐洗浄性、
耐汚染性、耐ブロッキング性、耐水性に優れた塗膜を形
成する水性塗料用樹脂組成物を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、鋭意検討した結果、以下の構成により、上
記課題が確実に達成できることを見出し、本発明に到達
したものである。
決するため、鋭意検討した結果、以下の構成により、上
記課題が確実に達成できることを見出し、本発明に到達
したものである。
【0008】すなわち、本発明は、以下の発明に関する
ものである。
ものである。
【0009】多段乳化重合法によって得られる異相構造
エマルション粒子をバインダーとして含有する水性塗料
用樹脂組成物において、前記バインダーが、以下の2種
類の異相構造エマルション粒子からなることを特徴とす
る水性塗料用樹脂組成物。
エマルション粒子をバインダーとして含有する水性塗料
用樹脂組成物において、前記バインダーが、以下の2種
類の異相構造エマルション粒子からなることを特徴とす
る水性塗料用樹脂組成物。
【0010】(A)異相構造エマルション粒子が、以下
の条件(1)〜(3)を満たす異相構造エマルション粒
子。
の条件(1)〜(3)を満たす異相構造エマルション粒
子。
【0011】(1)異相構造エマルション粒子の最外相
を形成する乳化重合体が、ガラス転移温度−50〜10
℃のエチレン性不飽和単量体の乳化重合体であり、か
つ、ポリエチレングリコール鎖及びポリプロピレングリ
コール鎖の少なくとも一方を有するエチレン性不飽和単
量体を1〜20質量%含有する。
を形成する乳化重合体が、ガラス転移温度−50〜10
℃のエチレン性不飽和単量体の乳化重合体であり、か
つ、ポリエチレングリコール鎖及びポリプロピレングリ
コール鎖の少なくとも一方を有するエチレン性不飽和単
量体を1〜20質量%含有する。
【0012】(2)異相構造エマルション粒子の最外相
より内側にある少なくとも一相を形成する乳化重合体
が、ガラス転移温度30〜110℃のエチレン性不飽和
単量体の乳化重合体である。
より内側にある少なくとも一相を形成する乳化重合体
が、ガラス転移温度30〜110℃のエチレン性不飽和
単量体の乳化重合体である。
【0013】(3)最低造膜温度が、10℃以下であ
る。
る。
【0014】(B)異相構造エマルション粒子が、以下
の条件(1)〜(3)を満たす異相構造エマルション粒
子。
の条件(1)〜(3)を満たす異相構造エマルション粒
子。
【0015】(1)異相構造エマルション粒子の最外相
を形成する乳化重合体が、ガラス転移温度60〜80℃
のエチレン性不飽和単量体の乳化重合体である。
を形成する乳化重合体が、ガラス転移温度60〜80℃
のエチレン性不飽和単量体の乳化重合体である。
【0016】(2)異相構造エマルション粒子の最外相
より内側にある少なくとも一相を形成する乳化重合体
が、ガラス転移温度−50〜0℃のエチレン性不飽和単
量体の乳化重合体である。
より内側にある少なくとも一相を形成する乳化重合体
が、ガラス転移温度−50〜0℃のエチレン性不飽和単
量体の乳化重合体である。
【0017】(3)最低造膜温度が10〜30℃であ
る。
る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
する。
【0019】本発明の水性塗料用樹脂組成物は、水中に
て、エチレン性不飽和単量体を多段乳化重合法によって
製造した2種類の異相構造エマルション粒子をバインダ
ーとして使用するものである。
て、エチレン性不飽和単量体を多段乳化重合法によって
製造した2種類の異相構造エマルション粒子をバインダ
ーとして使用するものである。
【0020】多段乳化重合法は、水中にて、エチレン性
不飽和単量体を従来から公知の乳化重合法にて重合を2
段階以上、通常2〜5段階繰り返し行い、形成されるエ
チレン性不飽和単量体の乳化重合体が、異相構造、すな
わち、最外相と一相以上の内部相とからなるエマルショ
ン粒子を形成させる方法である。
不飽和単量体を従来から公知の乳化重合法にて重合を2
段階以上、通常2〜5段階繰り返し行い、形成されるエ
チレン性不飽和単量体の乳化重合体が、異相構造、すな
わち、最外相と一相以上の内部相とからなるエマルショ
ン粒子を形成させる方法である。
【0021】多段乳化重合法の代表例としては、水中に
て乳化剤及び重合開始剤、さらに必要に応じて連鎖移動
剤や、乳化安定剤等の存在下で、エチレン性不飽和単量
体を、通常60〜90℃の加温下で乳化重合し、この工
程を複数段回繰り返し行う方法が挙げられる。
て乳化剤及び重合開始剤、さらに必要に応じて連鎖移動
剤や、乳化安定剤等の存在下で、エチレン性不飽和単量
体を、通常60〜90℃の加温下で乳化重合し、この工
程を複数段回繰り返し行う方法が挙げられる。
【0022】前記乳化剤としては、例えば、ラウリル硫
酸ナトリウム等の脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステ
ル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアル
キルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル硫酸塩、ポリオキシノニルフェニルエーテル
スルホン酸アンモニウム、ポリオキシエチレンポリオキ
シプロピレングリコールエーテル硫酸塩、スルホン酸基
または硫酸エステル基を有するモノマーのような反応性
乳化剤等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシノニルフェニルエーテ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピ
レンブロックコポリマー、反応性ノニオン界面活性剤等
のノニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩、第四級ア
ンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;(変性)ポリ
ビニルアルコール等を挙げることができる。
酸ナトリウム等の脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステ
ル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアル
キルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキ
ルエーテル硫酸塩、ポリオキシノニルフェニルエーテル
スルホン酸アンモニウム、ポリオキシエチレンポリオキ
シプロピレングリコールエーテル硫酸塩、スルホン酸基
または硫酸エステル基を有するモノマーのような反応性
乳化剤等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシノニルフェニルエーテ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂
肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピ
レンブロックコポリマー、反応性ノニオン界面活性剤等
のノニオン性界面活性剤;アルキルアミン塩、第四級ア
ンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;(変性)ポリ
ビニルアルコール等を挙げることができる。
【0023】前記重合開始剤としては、一般的にラジカ
ル重合に使用されているものが使用可能であるが、中で
も水溶性のものが好適であり、例えば、過硫酸カリウム
や、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩類、2,2'−アゾ
ビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、4,
4'−アゾビス−シアノバレリックアシッド、2,2'−アゾ
ビス(2−メチルブタンアミドオキシム)ジハイドロク
ロライドテトラハイドレートなどのアゾ系化合物、過酸
化水素水、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの過
酸化物等が挙げられる。さらに、L−アスコルビン酸
や、チオ硫酸ナトリウムなどの還元剤と硫酸第一鉄など
を組み合わせたレドックス系も使用できる。
ル重合に使用されているものが使用可能であるが、中で
も水溶性のものが好適であり、例えば、過硫酸カリウム
や、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩類、2,2'−アゾ
ビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、4,
4'−アゾビス−シアノバレリックアシッド、2,2'−アゾ
ビス(2−メチルブタンアミドオキシム)ジハイドロク
ロライドテトラハイドレートなどのアゾ系化合物、過酸
化水素水、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの過
酸化物等が挙げられる。さらに、L−アスコルビン酸
や、チオ硫酸ナトリウムなどの還元剤と硫酸第一鉄など
を組み合わせたレドックス系も使用できる。
【0024】前記連鎖移動剤としては、例えば、n−ド
デシルメルカプタンなどの長鎖のアルキルメルカプタン
類や、芳香族メルカプタン類、ハロゲン化炭化水素類等
を挙げることができる。
デシルメルカプタンなどの長鎖のアルキルメルカプタン
類や、芳香族メルカプタン類、ハロゲン化炭化水素類等
を挙げることができる。
【0025】前記乳化安定剤としては、例えば、ポリビ
ニルアルコ−ルや、ヒドロキシエチルセルロ−ス、ポリ
ビニルピロリドン等を挙げることができる。
ニルアルコ−ルや、ヒドロキシエチルセルロ−ス、ポリ
ビニルピロリドン等を挙げることができる。
【0026】また、前記乳化重合は、単量体を一括して
仕込む単量体一括仕込み法や、単量体を連続的に滴下す
る単量体滴下法、単量体と水と乳化剤とを予め混合乳化
しておき、これを滴下するプレエマルション法、あるい
は、これらを組合わせる方法等が挙げられる。
仕込む単量体一括仕込み法や、単量体を連続的に滴下す
る単量体滴下法、単量体と水と乳化剤とを予め混合乳化
しておき、これを滴下するプレエマルション法、あるい
は、これらを組合わせる方法等が挙げられる。
【0027】本発明の水性塗料用樹脂組成物は、前述の
方法により形成される異相構造エマルション粒子(A)
と(B)をバインダーとするものである。
方法により形成される異相構造エマルション粒子(A)
と(B)をバインダーとするものである。
【0028】<異相構造エマルション粒子(A)につい
て>異相構造エマルション粒子(A)を製造するに当た
り、多段乳化重合の最終段階に加えられ、最外相を形成
するエチレン性不飽和単量体として、ポリエチレングリ
コール鎖及びポリプロピレングリコール鎖の少なくとも
一方を有するエチレン性不飽和単量体を、全エチレン性
不飽和単量体中、1〜20質量%、好ましくは、5〜1
5質量%含有させ、かつ、得られる最外相の乳化重合体
のガラス転移温度(以下、Tgという。)が、−50〜
10℃、好ましくは−30〜0℃となるエチレン性不飽
和単量体を使用する必要がある。また、内部相の少なく
とも一相の乳化重合体は、Tgが、30〜110℃、好
ましくは34〜90℃となるエチレン性不飽和単量体を
使用する必要がある。
て>異相構造エマルション粒子(A)を製造するに当た
り、多段乳化重合の最終段階に加えられ、最外相を形成
するエチレン性不飽和単量体として、ポリエチレングリ
コール鎖及びポリプロピレングリコール鎖の少なくとも
一方を有するエチレン性不飽和単量体を、全エチレン性
不飽和単量体中、1〜20質量%、好ましくは、5〜1
5質量%含有させ、かつ、得られる最外相の乳化重合体
のガラス転移温度(以下、Tgという。)が、−50〜
10℃、好ましくは−30〜0℃となるエチレン性不飽
和単量体を使用する必要がある。また、内部相の少なく
とも一相の乳化重合体は、Tgが、30〜110℃、好
ましくは34〜90℃となるエチレン性不飽和単量体を
使用する必要がある。
【0029】また、異相構造エマルション粒子(A)バ
インダーのMFTは、10℃以下、好ましくは5℃以下
のものを使用する必要がある。
インダーのMFTは、10℃以下、好ましくは5℃以下
のものを使用する必要がある。
【0030】このような条件を満たすことにより、凍結
防止剤や成膜助剤等のVOCを使用しなくとも、また使
用したとしても、少量の添加で凍結−融解安定性や、低
温造膜性、耐汚染性、耐ブロツキング性、耐水性等に優
れた塗膜の形成が可能となるのである。
防止剤や成膜助剤等のVOCを使用しなくとも、また使
用したとしても、少量の添加で凍結−融解安定性や、低
温造膜性、耐汚染性、耐ブロツキング性、耐水性等に優
れた塗膜の形成が可能となるのである。
【0031】なお、本発明において、乳化重合体のTg
は、次のFOX式を用いて計算される。 1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・・+Wi/
Tgi+・・・・+Wn/Tgn 〔上記FOX式は、n種の単量体からなる重合体を構成
する各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度をTg
i(K)とし、各モノマーの質量分率を、Wiとしてお
り、(W1+W2+・・・+Wi+・・・Wn=1)であ
る。〕
は、次のFOX式を用いて計算される。 1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・・+Wi/
Tgi+・・・・+Wn/Tgn 〔上記FOX式は、n種の単量体からなる重合体を構成
する各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度をTg
i(K)とし、各モノマーの質量分率を、Wiとしてお
り、(W1+W2+・・・+Wi+・・・Wn=1)であ
る。〕
【0032】本発明において、異相構造エマルション粒
子(A)の、最外相の乳化重合体のTgが、−50℃未
満になると、得られる塗膜の耐汚染性や耐水性等が悪
く、逆に10℃を超えると、低温時における造膜性が悪
くなる。
子(A)の、最外相の乳化重合体のTgが、−50℃未
満になると、得られる塗膜の耐汚染性や耐水性等が悪
く、逆に10℃を超えると、低温時における造膜性が悪
くなる。
【0033】一方、内部相を形成する全ての相の乳化重
合体のTgが、30℃未満になると、得られる塗膜の耐
ブロッキング性や物理的強度が悪くなり、逆に110℃
を超えると、反応が進まない。
合体のTgが、30℃未満になると、得られる塗膜の耐
ブロッキング性や物理的強度が悪くなり、逆に110℃
を超えると、反応が進まない。
【0034】また、バインダーのMFTが、10℃を超
えると、冬期における低温時において造膜性が悪くな
る。
えると、冬期における低温時において造膜性が悪くな
る。
【0035】次に、異相構造エマルション粒子(A)の
形成に使用されるエチレン性不飽和単量体について説明
する。
形成に使用されるエチレン性不飽和単量体について説明
する。
【0036】最外相を形成する乳化重合体に使用される
エチレン性不飽和単量体は、前述の通り、ポリエチレン
グリコール鎖及びポリプロピレングリコール鎖の少なく
とも一方を有するエチレン性不飽和単量体を必須成分と
して含有するものである。
エチレン性不飽和単量体は、前述の通り、ポリエチレン
グリコール鎖及びポリプロピレングリコール鎖の少なく
とも一方を有するエチレン性不飽和単量体を必須成分と
して含有するものである。
【0037】該単量体は、以下の式(1)、(2)また
は(3)で示されるものである。 ・式(1): CH2=C(R1)−C(=O)−O−〔X−O〕n−R2 (式中、R1は、HまたはCH3であり、R2は、Hまた
は炭素数1〜8のアルキル基であり、Xは、−(C
H2)2−、または−CH2CH(CH3)−であり、n
は、1〜30の整数である。) ・式(2): CH2=C(R1)−(CH2)m−O−〔X−O〕n−R2 (式中、R1、R2、X及びnは、上記式(1)と同一の
意味であり、mは、1〜30の整数である。) ・式(3): CH2=C(R1)−C(=O)−O−(CH2CH2O)
m−〔CH2−CH(CH 3)−O〕n−R2 (式中、R1及びR2は、上記式(1)と同一の意味であ
り、m及びnは、1〜30の整数である。)
は(3)で示されるものである。 ・式(1): CH2=C(R1)−C(=O)−O−〔X−O〕n−R2 (式中、R1は、HまたはCH3であり、R2は、Hまた
は炭素数1〜8のアルキル基であり、Xは、−(C
H2)2−、または−CH2CH(CH3)−であり、n
は、1〜30の整数である。) ・式(2): CH2=C(R1)−(CH2)m−O−〔X−O〕n−R2 (式中、R1、R2、X及びnは、上記式(1)と同一の
意味であり、mは、1〜30の整数である。) ・式(3): CH2=C(R1)−C(=O)−O−(CH2CH2O)
m−〔CH2−CH(CH 3)−O〕n−R2 (式中、R1及びR2は、上記式(1)と同一の意味であ
り、m及びnは、1〜30の整数である。)
【0038】これらの式で示される単量体が、最外相を
形成する全エチレン性不飽和単量体中、1質量%未満と
なると、塗料の凍結−融解安定性が悪くなり、逆に20
質量%を超えると、得られる塗膜の耐水性が悪くなるの
で好ましくない。
形成する全エチレン性不飽和単量体中、1質量%未満と
なると、塗料の凍結−融解安定性が悪くなり、逆に20
質量%を超えると、得られる塗膜の耐水性が悪くなるの
で好ましくない。
【0039】これらのモノマーは、例えば、(メタ)ア
クリル酸やアリルアルコール等にエチレンオキサイド及
び/またはプロピレンオキサイドを付加重合反応させた
後、必要に応じて、炭素数1〜8個のアルキル基でエー
テル化することによって、容易に製造することができ
る。このようなモノマーとしては、例えば、商品名とし
て、「MA−30」、「MA−50」、「MA−10
0」、「MA−150」、「MPG−130MA」(以
上、日本乳化剤(株)製)、「ブレンマ−PE」、「ブ
レンマ−PP」、「ブレンマ−AP−400」、「ブレ
ンマ−AE−350」、「ブレンマ−PEP」(以上、
日本油脂(株)製)等のモノマーが挙げられる。
クリル酸やアリルアルコール等にエチレンオキサイド及
び/またはプロピレンオキサイドを付加重合反応させた
後、必要に応じて、炭素数1〜8個のアルキル基でエー
テル化することによって、容易に製造することができ
る。このようなモノマーとしては、例えば、商品名とし
て、「MA−30」、「MA−50」、「MA−10
0」、「MA−150」、「MPG−130MA」(以
上、日本乳化剤(株)製)、「ブレンマ−PE」、「ブ
レンマ−PP」、「ブレンマ−AP−400」、「ブレ
ンマ−AE−350」、「ブレンマ−PEP」(以上、
日本油脂(株)製)等のモノマーが挙げられる。
【0040】また、これらの式で示される単量体と共重
合する共単量体としては、従来からアクリル樹脂の製造
に使用されている各種エチレン性不飽和単量体が、特に
制限なく使用できる。
合する共単量体としては、従来からアクリル樹脂の製造
に使用されている各種エチレン性不飽和単量体が、特に
制限なく使用できる。
【0041】具体的には、例えば、メチル(メタ)アク
リレートや、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピ
ル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリ
レート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル
(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル
(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート、α−クロロエチ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート、フェニル(メタ)アクリレート、メトキシエ
チル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)ア
クリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、
エトキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)
アクリレート系単量体;スチレンや、メチルスチレン、
クロロスチレン、メトキシスチレンなどのスチレン系単
量体;(メタ)アクリル酸や、クロトン酸、イタコン
酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸、マレイン
酸ハーフエステルなどのカルボキシル基含有単量体;2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや、2(3)
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒド
ロキシブチルアクリレート、アリルアルコール、多価ア
ルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルなどの水酸
基含有単量体;(メタ)アクリルアミドや、マレインア
ミドなどのアミド基含有単量体;2−アミノエチル(メ
タ)アクリレートや、ジメチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレー
ト、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビ
ニルピリジンなどのアミノ基含有単量体;グリシジル
(メタ)アクリレートや、アリルグリシジルエーテル、
2個以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物と、活
性水素原子を有する単量体との反応により得られるエポ
キシ基含有単量体やオリゴマー;その他N−メチロール
基を有した、N−メチロールアクリルアミドや、酢酸ビ
ニル、塩化ビニル、さらには、エチレン、ブタジエン、
アクリロニトリル、ジアルキルフマレートなどが代表的
なものとして挙げられる。
リレートや、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピ
ル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリ
レート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル
(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレー
ト、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル
(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート、α−クロロエチ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート、フェニル(メタ)アクリレート、メトキシエ
チル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)ア
クリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、
エトキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)
アクリレート系単量体;スチレンや、メチルスチレン、
クロロスチレン、メトキシスチレンなどのスチレン系単
量体;(メタ)アクリル酸や、クロトン酸、イタコン
酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸、マレイン
酸ハーフエステルなどのカルボキシル基含有単量体;2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートや、2(3)
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒド
ロキシブチルアクリレート、アリルアルコール、多価ア
ルコールのモノ(メタ)アクリル酸エステルなどの水酸
基含有単量体;(メタ)アクリルアミドや、マレインア
ミドなどのアミド基含有単量体;2−アミノエチル(メ
タ)アクリレートや、ジメチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレー
ト、2−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビ
ニルピリジンなどのアミノ基含有単量体;グリシジル
(メタ)アクリレートや、アリルグリシジルエーテル、
2個以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物と、活
性水素原子を有する単量体との反応により得られるエポ
キシ基含有単量体やオリゴマー;その他N−メチロール
基を有した、N−メチロールアクリルアミドや、酢酸ビ
ニル、塩化ビニル、さらには、エチレン、ブタジエン、
アクリロニトリル、ジアルキルフマレートなどが代表的
なものとして挙げられる。
【0042】これら共単量体は、前述の通り、最外相を
形成する乳化重合体のTgが−50〜10℃になり、ま
た、前記バインダーのMFTが、10℃以下になるよう
適宜組合わせて使用すればよい。
形成する乳化重合体のTgが−50〜10℃になり、ま
た、前記バインダーのMFTが、10℃以下になるよう
適宜組合わせて使用すればよい。
【0043】また、異相構造エマルション粒子の内部相
の少なくとも一相の乳化重合体に使用されるエチレン性
不飽和単量体としては、前述のエチレン性不飽和単量体
と同様のものが使用できるが、乳化重合体のTgが、3
0〜110℃になり、また前記バインダーのMFTが、
10℃以下になるように適宜組合わせて使用する必要が
ある。
の少なくとも一相の乳化重合体に使用されるエチレン性
不飽和単量体としては、前述のエチレン性不飽和単量体
と同様のものが使用できるが、乳化重合体のTgが、3
0〜110℃になり、また前記バインダーのMFTが、
10℃以下になるように適宜組合わせて使用する必要が
ある。
【0044】なお、最外相と、その内部相の一相を形成
する乳化重合体は、前述のTg、MFTを満足する単量
体を組合わせればよいが、さらに好ましくは、両者のT
g差が30℃以上であり、かつ異相構造エマルション粒
子からなるバインダーのMFTが、両者の全単量体を一
段で均一に乳化重合して得られる重合体のMFTより低
くなるような単量体を選択し、使用することが好まし
い。
する乳化重合体は、前述のTg、MFTを満足する単量
体を組合わせればよいが、さらに好ましくは、両者のT
g差が30℃以上であり、かつ異相構造エマルション粒
子からなるバインダーのMFTが、両者の全単量体を一
段で均一に乳化重合して得られる重合体のMFTより低
くなるような単量体を選択し、使用することが好まし
い。
【0045】また、エチレン性不飽和単量体として、カ
ルボキシル基含有単量体を使用している場合は、アンモ
ニアや、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールア
ミン等の中和剤で、中和することも可能である。
ルボキシル基含有単量体を使用している場合は、アンモ
ニアや、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールア
ミン等の中和剤で、中和することも可能である。
【0046】<異相構造エマルション粒子(B)につい
て>異相構造エマルション粒子(B)は、前述異相構造
エマルション粒子(A)と同様にして製造される。ただ
し異相構造エマルション粒子(B)を製造するに当た
り、多段乳化重合の最終段階に加えられ、最外相を形成
するエチレン性不飽和単量体として、得られる最外相の
乳化重合体のTgが、60〜80℃、好ましくは65〜
75℃となるエチレン性不飽和単量体を使用する必要が
ある。また、内部相の少なくとも一相の乳化重合体は、
Tgが、−50〜0℃、好ましくは−30〜0℃となる
エチレン性不飽和単量体を使用する必要がある。
て>異相構造エマルション粒子(B)は、前述異相構造
エマルション粒子(A)と同様にして製造される。ただ
し異相構造エマルション粒子(B)を製造するに当た
り、多段乳化重合の最終段階に加えられ、最外相を形成
するエチレン性不飽和単量体として、得られる最外相の
乳化重合体のTgが、60〜80℃、好ましくは65〜
75℃となるエチレン性不飽和単量体を使用する必要が
ある。また、内部相の少なくとも一相の乳化重合体は、
Tgが、−50〜0℃、好ましくは−30〜0℃となる
エチレン性不飽和単量体を使用する必要がある。
【0047】また、異相構造エマルション粒子(B)バ
インダーのMFTは、10〜30℃、好ましくは15〜
25℃のものを使用する必要がある。
インダーのMFTは、10〜30℃、好ましくは15〜
25℃のものを使用する必要がある。
【0048】このような条件を満たすことにより、耐洗
浄性や、耐汚染性、耐ブロッキング性、耐水性等に優れ
た塗膜の形成が可能となるのである。
浄性や、耐汚染性、耐ブロッキング性、耐水性等に優れ
た塗膜の形成が可能となるのである。
【0049】本発明において、異相構造エマルション粒
子(B)の、最外相の乳化重合体のTgが、60℃未満
になると、得られる塗膜の汚染性、粘着性等が悪くな
り、逆に、80℃を超えると、造膜性、耐クラック性等
が悪くなる。
子(B)の、最外相の乳化重合体のTgが、60℃未満
になると、得られる塗膜の汚染性、粘着性等が悪くな
り、逆に、80℃を超えると、造膜性、耐クラック性等
が悪くなる。
【0050】一方、内部相を形成する全ての相の乳化重
合体のTgが、−50℃未満になると、得られる塗膜の
硬さ等が悪くなり、逆に0℃を超えると、造膜性が悪く
なる。
合体のTgが、−50℃未満になると、得られる塗膜の
硬さ等が悪くなり、逆に0℃を超えると、造膜性が悪く
なる。
【0051】また、バインダーのMFTが、10℃未満
になると、粘着性等が悪くなり、逆に30℃を超える
と、耐クラック性が悪くなる。
になると、粘着性等が悪くなり、逆に30℃を超える
と、耐クラック性が悪くなる。
【0052】異相構造エマルション粒子(B)の形成に
使用されるエチレン性不飽和単量体は、前述の異相構造
エマルション粒子(A)で説明した各種(共)単量体と
同様なものが使用でき、得られる乳化重合体が、前記T
g、METの範囲となるよう適宜(共)単量体を組合せ
て使用すればよい。
使用されるエチレン性不飽和単量体は、前述の異相構造
エマルション粒子(A)で説明した各種(共)単量体と
同様なものが使用でき、得られる乳化重合体が、前記T
g、METの範囲となるよう適宜(共)単量体を組合せ
て使用すればよい。
【0053】本発明の水性塗料用樹脂組成物は、以上説
明した多段乳化重合法によって得られる2種類のエマル
ションを混合した、異相構造エマルション粒子(A)、
(B)をバインダーとして含有するものである。
明した多段乳化重合法によって得られる2種類のエマル
ションを混合した、異相構造エマルション粒子(A)、
(B)をバインダーとして含有するものである。
【0054】エマルションの混合割合は、異相構造エマ
ルション粒子(A)と異相構造エマルション粒子(B)
の質量割合(固形分換算)が、100:10〜70であ
ることが好ましく、100:20〜50であることがよ
り好ましい。なお、後者が、前記範囲より少ないと、得
られる塗膜の耐洗浄性や、耐汚染性等が悪くなる傾向に
あり、逆に、前記範囲より多くなると、凍結ー融解安定
性等が悪くなる傾向にあり、また、MFTが高くなるの
で、凍結防止剤や成膜助剤等を多く添加する必要が生
じ、塗料中のVOCが高くなる。
ルション粒子(A)と異相構造エマルション粒子(B)
の質量割合(固形分換算)が、100:10〜70であ
ることが好ましく、100:20〜50であることがよ
り好ましい。なお、後者が、前記範囲より少ないと、得
られる塗膜の耐洗浄性や、耐汚染性等が悪くなる傾向に
あり、逆に、前記範囲より多くなると、凍結ー融解安定
性等が悪くなる傾向にあり、また、MFTが高くなるの
で、凍結防止剤や成膜助剤等を多く添加する必要が生
じ、塗料中のVOCが高くなる。
【0055】本発明の水性塗料用樹脂組成物は、異相構
造エマルション粒子(A)、(B)のバインダーを水に
分散(エマルション)した状態のものだけでもクリヤー
塗料として使用可能であるが、塗料としての各種機能を
付与させるために、防カビ剤や、防腐剤、紫外線吸収
剤、光安定性、さらに体質顔料や、着色顔料を配合する
場合は、分散剤や沈降防止剤、増粘剤等の各種添加剤を
配合するのが望ましい。このようにして得られた塗料
は、各種無機質素材や、金属素材、木材素材、プラスチ
ック素材等に適用でき、自然乾燥もしくは100℃以下
の温度で強制乾燥させることにより、優れた塗膜を形成
することが可能である。
造エマルション粒子(A)、(B)のバインダーを水に
分散(エマルション)した状態のものだけでもクリヤー
塗料として使用可能であるが、塗料としての各種機能を
付与させるために、防カビ剤や、防腐剤、紫外線吸収
剤、光安定性、さらに体質顔料や、着色顔料を配合する
場合は、分散剤や沈降防止剤、増粘剤等の各種添加剤を
配合するのが望ましい。このようにして得られた塗料
は、各種無機質素材や、金属素材、木材素材、プラスチ
ック素材等に適用でき、自然乾燥もしくは100℃以下
の温度で強制乾燥させることにより、優れた塗膜を形成
することが可能である。
【0056】
【実施例】以下、本発明について、実施例によりさらに
詳細に説明する。なお、実施例中「部」、「%」は、特
に断らない限り質量基準で示す。
詳細に説明する。なお、実施例中「部」、「%」は、特
に断らない限り質量基準で示す。
【0057】
【表1】
【0058】表1で示した単量体原料の略号は、下記の
意味を有する。 MMA :メチルメタクリレート 2HA :2−エチルへキシルアクリレート BA :アクリル酸ブチル AA :アクリル酸 ハイテノールN08:ポリオキシエチレンアルキルフェ
ニル硫酸アンモニウム塩(第一工業製薬社製商品名) PPGモノマー :ポリプロピレングリコール鎖保有
単量体 H2C=C(CH3)−C(=O)−O(CH2CH(C
H3)O)6H
意味を有する。 MMA :メチルメタクリレート 2HA :2−エチルへキシルアクリレート BA :アクリル酸ブチル AA :アクリル酸 ハイテノールN08:ポリオキシエチレンアルキルフェ
ニル硫酸アンモニウム塩(第一工業製薬社製商品名) PPGモノマー :ポリプロピレングリコール鎖保有
単量体 H2C=C(CH3)−C(=O)−O(CH2CH(C
H3)O)6H
【0059】また、表1に示した計算Tgにおいて、
[トータル(℃)]は、「内部の原料、最外層の原料の
混合物を一段で均一乳化重合させた場合に得られる重合
体の計算Tg」であり、MFTは、温度勾配法によって
成膜不良時点の温度である。
[トータル(℃)]は、「内部の原料、最外層の原料の
混合物を一段で均一乳化重合させた場合に得られる重合
体の計算Tg」であり、MFTは、温度勾配法によって
成膜不良時点の温度である。
【0060】<凍結−融解安定性>
(1)各塗料を1リットル内面コート缶にほぼ満たして
から密閉した。 (2)−20℃の冷凍庫に24時間貯蔵し、完全に凍結
させた。 (3)冷凍庫から取り出し、20℃で24時間放置し融
解させた。 (4)缶内の塗料を撹拌して塗料の状態を目視判定する
とともに、凍結前の塗料との粘度変化、及びガラス板に
6ミルアプリケーターで塗装し、その塗膜外観も確認し
た。
から密閉した。 (2)−20℃の冷凍庫に24時間貯蔵し、完全に凍結
させた。 (3)冷凍庫から取り出し、20℃で24時間放置し融
解させた。 (4)缶内の塗料を撹拌して塗料の状態を目視判定する
とともに、凍結前の塗料との粘度変化、及びガラス板に
6ミルアプリケーターで塗装し、その塗膜外観も確認し
た。
【0061】(評価基準)
○:凝固物・ゲルの発生は認められず、粘度変化も殆ど
みられなかった。 △:凝固物・ゲルの発生は認められないが、粘度の変動
が確認された。 ×:粘度の変化が著しい、或いは、凝固物の発生、ゲル
化が認められる。
みられなかった。 △:凝固物・ゲルの発生は認められないが、粘度の変動
が確認された。 ×:粘度の変化が著しい、或いは、凝固物の発生、ゲル
化が認められる。
【0062】<低温造膜性>
(1)各塗料を5℃の低温恒温室にて、ガラス板に6ミ
ルアプリケーターを用いて塗装し、一日放置した。 (2)得られた塗膜の外観を目視で判定した。
ルアプリケーターを用いて塗装し、一日放置した。 (2)得られた塗膜の外観を目視で判定した。
【0063】(評価基準)
○:マッドクラック、マイクロクラックなどの成膜不良
部が全く見受けられず、完全に成膜している。 △:大半は成膜しているが、局所的にクラックなどの成
膜不良部が見受けられる。 ×:全面にクラック、剥離などがみられる。
部が全く見受けられず、完全に成膜している。 △:大半は成膜しているが、局所的にクラックなどの成
膜不良部が見受けられる。 ×:全面にクラック、剥離などがみられる。
【0064】
【表2】
【0065】実施例1、比較例1、2、参考例1で得ら
れた塗料につき、性能評価するため以下の方法で試験
し、その結果を表2の下段に示した。
れた塗料につき、性能評価するため以下の方法で試験
し、その結果を表2の下段に示した。
【0066】<耐汚染性>各水性塗料組成物をガラス板
に6ミルアプリケーターにて塗装し、100℃で5分間
強制乾燥させた試験板に赤、黒マジックインキを塗布し
てから24時間後に、キシレンで濡らした布で拭き取
り、除染性を目視判定した。
に6ミルアプリケーターにて塗装し、100℃で5分間
強制乾燥させた試験板に赤、黒マジックインキを塗布し
てから24時間後に、キシレンで濡らした布で拭き取
り、除染性を目視判定した。
【0067】(評価基準)
◎:完全除去
○:極軽微な汚染
△:少し汚染
×:汚染著しい
【0068】<耐クラック性>予め40℃に熱しておい
たガラス板に6ミルアプリケーターを用いて各水性塗料
組成物を塗装し、130℃×30秒のジェット乾燥を実
施した後の塗膜の外観を目視判定した。
たガラス板に6ミルアプリケーターを用いて各水性塗料
組成物を塗装し、130℃×30秒のジェット乾燥を実
施した後の塗膜の外観を目視判定した。
【0069】(評価基準)
◎:異常なし
○:一部にクラックがある
△:半分程度の面にクラックがある
×:全面にクラックがある
【0070】<耐ブロッキング性>各水性塗料組成物を
ガラス板に6ミルアプリケーターにて塗装し、100℃
で5分間強制乾燥させた試験板を、50℃に加温してお
いたホットプレート上に置いた。次に、塗膜表面にガー
ゼをのせ、さらにその上に事前に50℃まで加温した5
00g分銅を置き、4.9N/cm2(0.5kg/c
m2)の加重を1時間かけた。そして、常温まで冷却し
た後、ゆっくりガーゼをはがし、その時のはがし抵抗、
及びガーゼの痕跡を目視で判定した。
ガラス板に6ミルアプリケーターにて塗装し、100℃
で5分間強制乾燥させた試験板を、50℃に加温してお
いたホットプレート上に置いた。次に、塗膜表面にガー
ゼをのせ、さらにその上に事前に50℃まで加温した5
00g分銅を置き、4.9N/cm2(0.5kg/c
m2)の加重を1時間かけた。そして、常温まで冷却し
た後、ゆっくりガーゼをはがし、その時のはがし抵抗、
及びガーゼの痕跡を目視で判定した。
【0071】(評価基準)
◎:ガーゼが自然に落下し、塗膜上にガーゼの痕跡が殆
ど残っていない。 ○:ガーゼが自然に落下することはないが、塗膜上にガ
ーゼの痕跡は殆ど残っていない。 △:ガーゼが自然に落下することはないが、少しの力で
剥離することができ、ガーゼの痕跡が多少残っている。 ×:ガーゼを剥離時に塗膜の一部も剥離し、ガーゼの痕
跡がくっきり残っている。
ど残っていない。 ○:ガーゼが自然に落下することはないが、塗膜上にガ
ーゼの痕跡は殆ど残っていない。 △:ガーゼが自然に落下することはないが、少しの力で
剥離することができ、ガーゼの痕跡が多少残っている。 ×:ガーゼを剥離時に塗膜の一部も剥離し、ガーゼの痕
跡がくっきり残っている。
【0072】
【発明の効果】本発明の水性塗料用樹脂組成物は、低V
OCであるため、環境汚染や、臭気が防止でき、また、
凍結−融解安定性や低温造膜性に優れ、かつ耐洗浄性、
耐汚染性、耐ブロッキング性、耐水性に優れた塗膜を形
成する。
OCであるため、環境汚染や、臭気が防止でき、また、
凍結−融解安定性や低温造膜性に優れ、かつ耐洗浄性、
耐汚染性、耐ブロッキング性、耐水性に優れた塗膜を形
成する。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 石黒 武
千葉県印西市大塚一丁目5番地1 株式会
社竹中工務店技術研究所内
(72)発明者 大沢 悟
千葉県印西市大塚一丁目5番地1 株式会
社竹中工務店技術研究所内
(72)発明者 水野 民雄
兵庫県西宮市熊野13−19−303
(72)発明者 足立 和生
大阪府大阪市東成区東今里2−14−15−
903
(72)発明者 桜田 将至
栃木県那須郡西那須野町下永田3−1172−
4 A−103
Fターム(参考) 4J038 CE011 CE012 CG011 CG012
CP021 CP022 GA02 KA03
KA09 MA03 MA08 MA10 MA13
NA03 NA05 NA10 NA11
Claims (2)
- 【請求項1】 多段乳化重合法によって得られる異相構
造エマルション粒子をバインダーとして含有する水性塗
料用樹脂組成物において、前記バインダーが、以下の2
種類の異相構造エマルション粒子からなることを特徴と
する水性塗料用樹脂組成物。 (A)異相構造エマルション粒子が、以下の条件(1)
〜(3)を満たす異相構造エマルション粒子。 (1)異相構造エマルション粒子の最外相を形成する乳
化重合体が、ガラス転移温度−50〜10℃のエチレン
性不飽和単量体の乳化重合体であり、かつ、ポリエチレ
ングリコール鎖及びポリプロピレングリコール鎖の少な
くとも一方を有するエチレン性不飽和単量体を1〜20
質量%含有する。 (2)異相構造エマルション粒子の最外相より内側にあ
る少なくとも一相を形成する乳化重合体が、ガラス転移
温度30〜110℃のエチレン性不飽和単量体の乳化重
合体である。 (3)最低造膜温度が、10℃以下である。 (B)異相構造エマルション粒子が、以下の条件(1)
〜(3)を満たす異相構造エマルション粒子。 (1)異相構造エマルション粒子の最外相を形成する乳
化重合体が、ガラス転移温度60〜80℃のエチレン性
不飽和単量体の乳化重合体である。 (2)異相構造エマルション粒子の最外相より内側にあ
る少なくとも一相を形成する乳化重合体が、ガラス転移
温度−50〜0℃のエチレン性不飽和単量体の乳化重合
体である。 (3)最低造膜温度が10〜30℃である。 - 【請求項2】(A)異相構造エマルション粒子と(B)
異相構造エマルション粒子の質量割合(固形分換算)
が、100:10〜70である請求項1に記載の水性塗
料用樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001320747A JP3746446B2 (ja) | 2001-10-18 | 2001-10-18 | 水性塗料用樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001320747A JP3746446B2 (ja) | 2001-10-18 | 2001-10-18 | 水性塗料用樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003128981A true JP2003128981A (ja) | 2003-05-08 |
JP3746446B2 JP3746446B2 (ja) | 2006-02-15 |
Family
ID=19138090
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001320747A Expired - Fee Related JP3746446B2 (ja) | 2001-10-18 | 2001-10-18 | 水性塗料用樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3746446B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005528518A (ja) * | 2002-06-06 | 2005-09-22 | ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション | 優れた凍結融解安定性を有する低−voc水性コーティング組成物 |
JP2007246677A (ja) * | 2006-03-15 | 2007-09-27 | Dainippon Toryo Co Ltd | 水性塗料用樹脂組成物 |
JP2008038115A (ja) * | 2006-08-10 | 2008-02-21 | Asahi Kasei Chemicals Corp | アクリル系水性エマルジョン |
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2001
- 2001-10-18 JP JP2001320747A patent/JP3746446B2/ja not_active Expired - Fee Related
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