JP2003128978A - 車両用プライマー塗料、車両用塗膜及び車両用ポリオレフィン系基材の塗装方法 - Google Patents

車両用プライマー塗料、車両用塗膜及び車両用ポリオレフィン系基材の塗装方法

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JP2003128978A
JP2003128978A JP2001326730A JP2001326730A JP2003128978A JP 2003128978 A JP2003128978 A JP 2003128978A JP 2001326730 A JP2001326730 A JP 2001326730A JP 2001326730 A JP2001326730 A JP 2001326730A JP 2003128978 A JP2003128978 A JP 2003128978A
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coating film
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博志 神山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜化することができ、薄膜化し
ても下地色が透けて見えることがなく、隠蔽性が優れ、
かつアルミ沈降性の低い塗膜を形成することができ、さ
らに塗料安定性の優れた車両用プライマー塗料、そのよ
うな性質を有する車両用塗膜、およびそのような車両用
塗膜を形成することのできる塗装方法を提供すること。 【解決手段】 車両用ポリオレフィン系基材上に
塗装するプライマー塗料において、変性ポリオレフィン
樹脂と、有機溶剤に不溶性の合成樹脂をアルミ粉末にコ
ーティングして成る樹脂コーティングアルミ粉末とを含
有することを特徴とする車両用プライマー塗料、これを
使用して形成した車両用塗膜、及びこれを使用した塗装
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両用プライマ
ー塗料、車両用塗膜及び車両用ポリオレフィン系基材の
塗装方法に関し、薄膜化することができ、薄膜化しても
下地色が透けて見えることがなく、隠蔽性が優れ、かつ
アルミ沈降性の低い塗膜を形成することができ、さらに
塗料安定性の優れた車両用プライマー塗料、そのような
性質を有する車両用塗膜、及びそのような車両用塗膜を
形成することのできる車両用ポリオレフィン系基材の塗
装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高い塗膜性能と高外観性とが要求される
自動車塗装においては、環境対応及びコスト削減の要求
より、塗装工程及び焼付回数を削減する方向で開発が進
められている。とりわけ、高外観性と環境対応及びコス
ト削減との両立には、ウェットオンウェット時の各工程
における塗膜の膜厚の薄膜化技術が必要不可欠である。
その理由は、コスト削減よりまた、高い意匠性を有する
ホワイトパール系塗色においては、4C1B(4コートをウ
ェットオンウェットで塗装し、1回焼付を行う仕様)あ
るいは、3C1B(3コートをウェットオンウェットで塗装
し、1回焼付を行う仕様)の工程が行われており、各層
を厚膜化すると、それぞれの界面での混ざり合い及び、
垂直面でのタレが発生し、外観性を低下させてしまうか
らである。塗膜の薄膜化技術としては、ベース塗料へア
ルミ粉末を添加する方法が公開されている(特許第27
01888号公報)。この方法によれば、塗膜の下地隠
蔽性が増大するので、下地隠蔽性に劣る白塗色の塗膜で
あっても薄膜化させることが可能である。
【0003】この自動車塗装には、鋼板とプラスチック
部品との区別があり、それぞれの塗膜形成及び、塗料形
態に大きな違いがある。次に、プラスチック部品の塗膜
形成及び、塗料形態を中心に説明し、これらと鋼板にお
ける塗膜形成及び、塗料形態との比較を行う。
【0004】プラスチックは金属に比べて軽く、複雑な
成型加工が容易であるという特性を有するので、現在、
多くのプラスチック成形品が使用されており、車両例え
ば自動車のバンパーに代表されるような、従来は材料と
して金属が使用されていた製品の材料が、プラスチック
に変更されている。被塗物としてのプラスチックは、一
般に表面自由エネルギーが金属に比べて低く、塗料の付
着性が劣る。そのため、プラスチック用のプライマー塗
料の開発には、プラスチックに対する塗料の付着性を高
める技術の開発が必要となる。その技術は、次に示すよ
うなものがある。ポリプロピレン(PP)基材用プライ
マー塗料の樹脂成分には、PP基材への塗膜付着性を確
保するために溶解性パラメーター(SP値)の類似した
ポリオレフィン樹脂又は塩素化ポリオレフィン樹脂等が
適用されている。また、上層に塗布される塗膜との付着
性も確保する必要があるので、上層に含まれる樹脂と同
じかその樹脂に対する親和性の大きな樹脂、例えばエポ
キシや無水マレイン酸等の極性基をもった化合物で変性
されたポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹
脂、又は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹
脂、メラミン樹脂、若しくはポリエステル樹脂等のポリ
オレフィン以外の樹脂が混合される。
【0005】そのため、自動車バンパーの塗装工程にお
いては、付着性を確保する為に、プライマー塗装工程/
ベース塗装工程/クリヤ-塗装工程あるいは、プライマ
ー塗装工程/ベース塗装工程のように複数の塗装工程を
組み合わせる。その結果、塗膜には、付着層/上塗層の
区分があり、それぞれの層の間で付着性/意匠性或い
は、外観性の役割分担が行われている。これに対して、
自動車鋼板の塗装工程においては、電着塗装工程/中塗
塗装工程/ベース塗装工程/クリヤ-塗装工程あるいは
電着塗装工程/中塗塗装工程/ベース塗装工程のように
複数の塗装工程を組み合わせ、その結果塗膜には、防錆
層/中塗層/上塗層の区分があり、それぞれの層の間で
役割分担が行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術である白ベ
ース塗料へのアルミ粉末添加による塗膜の薄膜化は、高
意匠性が要求される自動車塗装においては、アルミ干渉
光が発現し、高意匠性の要求を満足できない場合が発生
する。そこで、鋼板塗装の場合には、ベース塗膜より下
層にある中塗塗料へのアルミ添加により、上記課題は、
解決する。
【0007】しかし、プラスチック部品の場合には、ベ
ース塗膜より下層にあるプライマー塗料にアルミ粉末を
添加することにより、次のような課題が発生する。プラ
イマー塗料は、基材に対する付着性を確保するために、
主体樹脂である変性ポリオレフィンの高反応官能基の導
入及び、低極性化が行われている。そのため、プライマ
ー塗料にアルミ粉末を添加すると、アルミ粉末の変質及
び、凝集沈降が発生する。つまり、プライマー塗料又は
その塗膜中で、高反応官能基との反応によるアルミの変
質及び、低極性変性ポリオレフィン樹脂とアルミとの極
性差に起因する沈降が起こり、塗膜及び塗料品質が低下
する。
【0008】したがって、この発明は、上記問題点を解
決することを目的とし、すなわち、薄膜化することがで
き、薄膜化しても下地色が透けて見えることがなく、隠
蔽性が優れ、かつアルミ沈降性の低い塗膜を形成するこ
とができ、さらに塗料安定性の優れた車両用プライマー
塗料、そのような性質を有する車両用塗膜、及びそのよ
うな車両用塗膜を形成することのできる車両用ポリオレ
フィン系基材の塗装方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の第1の手段は、車両用ポリオレフィン系基材上に塗装
するプライマー塗料において、変性ポリオレフィン樹脂
と、有機溶剤に不溶性の合成樹脂をアルミ粉末にコーテ
ィングして成る樹脂コーティングアルミ粉末とを含有す
る車両用プライマー塗料であり、この車両用プライマー
塗料の好適な態様において、前記車両用プライマー塗料
により形成される塗膜の表面に形成される上塗り塗膜を
形成する車両用上塗り塗料中に含まれる樹脂と親和性の
ある樹脂を含有して成り、この車両用プライマー塗料の
好適な態様において、前記親和性のある樹脂が、エポキ
シ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、
及びポリエステル樹脂よりなる群から選択される少なく
とも一つの樹脂であり、この車両用プライマー塗料の好
適な態様において、前記樹脂コーティングアルミ粉末
は、その含有量が、車両用プライマー塗料中の樹脂固形
分に対して0.5〜50重量%であり、この車両用プラ
イマー塗料の好適な態様において、前記樹脂コーティン
グアルミ粉末は、重合性二重結合を有するオリゴマー及
びモノマーよりなる群から選択される少なくとも二種を
反応させて得られる共重合体、又はシランカップリング
剤の少なくとも一種を反応させて得られる縮合体を、ア
ルミフレークに、被覆して成り、前記課題を解決するた
めの第2の手段は、車両用ポリオレフィン基材上に形成
されたところの、塗膜面に平行に配向した樹脂コーティ
ングアルミ粉末及び変性ポリオレフィン樹脂を含有する
プライマー塗膜と、プライマー塗膜上に形成されたとこ
ろの、上塗り塗膜とを有することを特徴とする車両用塗
膜であり、前記車両用塗膜における好適な態様におい
て、前記上塗り塗膜が、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、
アクリル樹脂、メラミン樹脂、及びポリエステル樹脂よ
りなる群から選択される少なくとも一つの樹脂から形成
されてなり、前記車両用塗膜における好適な態様におい
て、前記プライマー塗膜はその厚みが0.5〜20μm
であり、前記上塗り塗膜はその厚みが10〜80μmで
あり、前記車両用塗膜における好適な態様において、前
記上塗り塗膜が、プライマー塗膜の表面に形成されたベ
ースコート塗膜とこのベースコート塗膜の表面に形成さ
れたクリヤーコート塗膜とを備えて成り、前記車両用塗
膜の好適な態様において、L値が小さくとも70であ
り、前記課題を解決するための第3の手段は、車両用ポ
リオレフィン系基材上に、請求項1に記載の車両用プラ
イマー塗料でプライマー塗膜を形成し、上塗り塗料で上
塗り塗膜を形成し、加熱処理することを特徴とする車両
用ポリオレフィン系基材の塗装方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明に係る車両用プライマー
塗料は、変性ポリオレフィン樹脂を含有するので、車両
用ポリオレフィン系基材に対して密着性の大きなプライ
マー塗膜を形成することができる。
【0011】この車両用プライマー塗料は、有機溶剤に
不溶性の合成樹脂をアルミ粉末にコーティングして成る
樹脂コーティングアルミ粉末を有するので、この発明の
塗装方法によりこの発明に係る車両用塗膜を形成するこ
とができる。この車両用塗膜においては、プライマー塗
膜中に、前記樹脂コーティングアルミ粉末が、塗膜表面
に平行に配向している。したがって、上塗層から入射さ
れた光がプライマー塗膜中を通過しようとすると、この
樹脂コーティングアルミ粉末により効率良く正反射さ
れ、下地までの通過を困難にする。前記樹脂コーティン
グアルミ粉末が扁平状であると、その反射効率が特に大
きい。このような理由により下地色が透けて見えること
なく隠蔽性が向上できるものと推測される。特に、L値
が小さくとも70、特に70〜100の塗色において
は、前記効果が大きく、塗膜の薄膜化が可能となる。こ
の発明に係る塗装方法においては、樹脂コーティングア
ルミ粉末を含有する車両用プライマー塗料を車両用ポリ
オレフィン系基材の表面に塗装し、次いで車両用上塗り
塗料をウェットオンウェット方式で塗工した後に加熱処
理すると、或いは、車両用プライマー塗料を車両用ポリ
オレフィン系基材の表面に塗装してから焼き付け処理を
すると、車両用プライマー塗膜層が体積収縮を起こし、
体積の収縮に連れてそれまでランダムに内部に配列して
いた扁平状の顔料である樹脂コーティングアルミ粉末が
塗装表面に平行に配向する。その結果、樹脂コーティン
グアルミ粉末が塗装表面に平行に配向したプライマー塗
膜が形成される。
【0012】また、この車両用プライマー塗料は、樹脂
コーティングアルミ粉末の干渉光の発現が、ベース塗料
を塗装されることにより解消され、塗膜意匠への影響が
解決される。
【0013】さらに、プライマー塗料にアルミ粉末を添
加した場合、主体樹脂である変性ポリオレフィンが付着
性を確保するために導入した官能基が、高い反応性を有
することによりアルミ粉末を変質させる。また、アルミ
金属の高極性と変性ポリオレフィンの低極性の極性差及
び、アルミ金属の高比重により、沈降が発生し、アルミ
分散姓が低下する。そこで、この発明に係る車両用プラ
イマー塗料においては、通常のコーティング処理である
脂肪酸処理でなく、有機溶剤に不溶である合成樹脂薄膜
を形成させた樹脂コーティングアルミ粉末を用いること
により、反応性の高いアルミ金属を、変性ポリオレフィ
ンとの反応から守り、あるいは、高極性アルミ金属表面
を低極化し、アルミ変色及びアルミ分散性低下による塗
膜品質及び塗料品質を実現することができる。
【0014】(1)車両用プライマー塗料 図1にこの発明の車両用プライマー塗料が塗装されたポ
リオレフィン系基材における塗膜の隠蔽性推定機構を示
す。ポリオレフィン系基材1上に、この発明の車両用プ
ライマー塗料により形成されたプライマー層2、ベース
層3、及びクリヤー層4の順番にウエットオンウエット
方式で積層されて成る塗膜が加熱されると、プライマー
層2中に含まれる樹脂コーティングアルミ粉末5が塗膜
表面に平行に配向する。この配向した樹脂コーティング
アルミ粉末5は、上塗層から入射してプライマー塗膜中
を通過しようとする光を効率良く正反射し、その光の下
地までの通過を困難にする。
【0015】前記樹脂コーティングアルミ粉末として
は、アルミ粉末に、有機溶剤に不溶性の合成樹脂をコー
ティングして成る。前記の合成樹脂としては、例えば、
少なくとも1個の重合性二重結合を有するオリゴマー及
びモノマーよりなる群から選択される少なくとも二種を
反応させて得られる共重合体、及びシランカップリング
剤の少なくとも一種を反応させて得られる縮合体等を挙
げることができる。したがって、アルミ粉末を被覆する
前記合成樹脂の一つである前記共重合体としては、前記
オリゴマーに属するいずれかの化合物の少なくとも二種
を共重合してなる共重合体、前記オリゴマーに属するい
ずれかの化合物の少なくとも一種と前記モノマーに属す
るいずれかの化合物の少なくとも一種とを共重合してな
る共重合体、及び前記モノマーに属するいずれかの前記
化合物の少なくとも二種とを共重合してなる共重合体を
挙げることができる。また、好適な樹脂コーティングア
ルミ粉末として、例えば、少なくとも1個の重合性二重
結合を有するオリゴマー及びモノマーに属する化合物よ
りなる群から選択される少なくとも二種を反応させて得
られる共重合体をアルミフレークに被覆して成る樹脂コ
ーティングアルミ粉末、又はシランカップリング剤の少
なくとも一種を反応させて得られる縮合体をアルミフレ
ークに被覆して成る樹脂コーティングアルミ粉末等を挙
げることができる。
【0016】好ましく使用されるモノマーとしては、例
えば不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリ
ル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイ
ン酸、または無水マレイン酸)、そのニトリル(例え
ば、アクリロニトリルまたは、メタクリロニトリル)ま
たはそのエステル(例えばアクリル酸メチル、アクリル
酸エチル、アクリル酸 n-ブチル、アクリル酸 2-エチル
ヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリ
ル、アクリル酸ヒトロキシエチル、アクリル酸 2-ヒド
ロキシプロピル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル
酸ブトキシエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸
シクロヘキシル、1,6-ヘキサンジオールジアクリレー
ト、1,4-ブタンジオールアクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテ
トラアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリ
レート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸n-ブチル、メタクリル酸 2-エチルヘキシ
ル、メタクリ酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メ
タクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリ酸 2-ヒドロキ
シプロキシプロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メ
タクリル酸ブトキシジエチル、メタクリル酸グリシジ
ル、メタクリル酸シクロヘキシル、トリメチロールプロ
パントリメタクリレートまたはテトラメチロールメタン
トリメタクリレート)を挙げることができる。更には、
前記モノマーとして、環式不飽和化合物(例えば、シク
ロヘキセン)や非環式不飽和化合物(例えば、スチレ
ン、α-メチルスチレンビニルトルエン、ジビニルベン
ゼン、シクロヘキセンビニルモノオキシド、ジビニルベ
ンゼンモノオキシド、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル
またはジアリルベンゼン)も好ましく使用される。重合
性二重結合を少なくとも2個有するモノマー例えばジビ
ニルベンゼン、アリルベンゼン、ジアリルベンゼンまた
はその混合物を使用すると架橋作用によりコーティング
性がより一層向上するので、前記モノマーとしては、重
合性二重結合を少なくとも2固有するモノマーの使用が
特に好ましい。
【0017】少なくとも1個の重合性二重結合を有する
オリゴマーとしては、エポキシ化1,2-ポリブタジエン、
アクリル変性ポリエステル、アクリル変性ポリエーテ
ル、アクリル変性ウレタン、アクリル変性エポキシ、ア
クリル変性スピラン等を初めとして、例えば特開昭64
−40565号公報等に記載されたオリゴマーを例示す
ることができる。
【0018】前記オリゴマー及びモノマーの中でも、重
合性二重結合を少なくとも2個有するオリゴマー及びモ
ノマーが、架橋作用により耐食性が一層向上するという
利点があるので特に好適である。
【0019】好ましく使用される上記シランカップリン
グ剤は、シラン元素に反応性官能基と非反応性置換基と
を結合する。前記反応性官能基としては、アルミの水酸
基と反応可能なメトキシ、エトキシ、及びブトキシ基等
の炭素数1〜7のアルコキシ基またはビニル基、及びエチ
ニル基等のアルケニル基である。このシランカップリン
グ剤は、シラン元素に上記反応性官能基を少なくとも1
個以上結合する。前記非反応性置換基としては、アルキ
ル基、アルケニル基、及びアミノアルキル基等を挙げる
ことができる。
【0020】前記シランカップリング剤としては、特公
平6−43567号公報、特開昭56−15926号公
報、特公昭56−100865号公報及び特公昭61−
108669号公報に記載された各種の公知の化合物を
ここに例示することができる。そして、この発明におい
ては、前記シランカップリング剤に属する化合物の少な
くとも一種を縮合させることにより得られる縮合体が、
アルミフレークの被覆に使用されることができる。
【0021】前記アルミ粉末には、例えば扁平状のアル
ミ粉末及びフレーク状のアルミ粉末があり、鱗片状アル
ミニウムと称されるものも含まれる。これらの中で扁平
状のアルミ粉末が、得られる前記樹脂コーティングアル
ミ粉末が扁平状になり、光の反射効率が大きい点で特に
好適である。
【0022】前記アルミ粉末のアスペクト比は、20以
上であると、効率の良い光遮蔽性が確保されるという利
点があり、好適である。
【0023】前記合成樹脂は、アルミ粉末に均一にかつ
平滑に被覆されていると、アルミフレークのレベリング
性が向上し、あるいは光散乱によるメタリック感が維持
できるという利点があるので好ましい。
【0024】この樹脂コーティングアルミ粉末は、例え
ば次のようにして製造することができる。
【0025】前記共重合体をアルミ粉末に被覆したタイ
プの前記樹脂コーティングアルミ粉末は、未処理アルミ
粉末を分散させた有機溶媒中に前記のオリゴマー又はモ
ノマーの少なくとも二種を溶解させ、重合開始剤の共存
下で例えば60〜200℃に加熱することにより製造さ
れる。
【0026】シランカップリング剤の縮合体を被覆した
タイプの前記樹脂コーティングアルミ粉末は、未処理ア
ルミ粉末に、シランカップリング剤の少なくとも一種、
脱イオン水及びアルコール溶剤から成る処理溶液を添加
後、混練することにより製造される。
【0027】上記の場合において、未処理アルミ粉末
は、脂肪酸などの不純物が少ない程好適である。またオ
リゴマー、モノマー及びシランカップリング剤のアルミ
粉末に対する使用量は、前記合成樹脂がアルミ粉末の表
面を均一にかつ平滑に被覆することができるように決定
される。
【0028】また、この発明における樹脂コーティング
アルミ粉末は、市販品を使用することもできる。市販品
としては、FM4000EA(商品名、昭和アルミパウ
ダー株式会社製)、FM4010EA(商品名、昭和ア
ルミパウダー株式会社製)、FM6000EA(商品
名、昭和アルミパウダー株式会社製)、FM6010E
A(商品名、昭和アルミパウダー株式会社製)、FM8
010EA(商品名、昭和アルミパウダー株式会社
製)、FM560EA(商品名、昭和アルミパウダー株
式会社製)、FM560EA(商品名、昭和アルミパウ
ダー株式会社製)、FM561EA(商品名、昭和アル
ミパウダー株式会社製)等を挙げることができる。
【0029】市販品であるにせよ、市販品を購入せずに
調製するにせよ、この発明における前記樹脂コーティン
グアルミ粉末においては、有機溶剤に不溶性の合成樹脂
薄膜それ自身がアルミ粉末の表面において強固に結合し
ている。これに対して、通常処理の脂肪酸処理により得
られる樹脂コーティングアルミ粉末では、アルミと、ア
ルミ粒子の表面に存在する脂肪酸による薄膜とが配位及
び吸着による弱い結合を形成するので、容易にアルミと
合成樹脂が分離する。
【0030】なお、使用する前記樹脂コーティングアル
ミ粉末は一種類でも複数の種類であってもよい。
【0031】車両用プライマー塗料における樹脂コーテ
ィングアルミ粉末の含有量は、特に制限はないが、車両
用プライマー塗料中に含まれる樹脂固形分に対して、
0.5〜50重量%、特に1〜20重量%であることが
望ましい。含有量が0.5重量%未満では、隠蔽性効果
が少ない。含有量が50重量%より大きいと、被塗物に
対する密着性の低下が懸念される。
【0032】車両用プライマー塗料中には、下地の車両
用ポリオレフィン基材を遮蔽する目的で、扁平状でない
一般顔料も添加することができる。一般顔料として従来
から用いられている種々の顔料が挙げられる。非扁平状
の一般顔料として、例えば、粉粒状の二酸化チタンや粉
粒状のカーボンブラックを挙げることができる。使用す
る一般顔料は一種類でも複数の種類であってもよい。顔
料の総含有量は、車両用プライマー塗料中の樹脂固形分
に対して、0.5〜150重量%、特に50〜100重
量%であることが望ましい。
【0033】この発明の車両用プライマー塗料は、変性
ポリオレフィン樹脂を含有する。この変性ポリオレフィ
ン樹脂は車両用ポリオレフィン基材とSP値とが類似し
ているので、車両用ポリオレフィン基材とプライマー塗
膜との付着性を確保することができる。変性ポリオレフ
ィン樹脂は、車両用ポリオレフィン基材となるポリオレ
フィン樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。
変性ポリオレフィン樹脂としては、ポリオレフィン樹脂
を各種の変性剤で変性して得られる樹脂であればよく、
例えば塩素化ポリエチレン樹脂及び塩素化ポリプロピレ
ン樹脂などの塩素化ポリオレフィン樹脂、並びにポリエ
チレン樹脂及び塩素化ポリオレフィン樹脂等をマレイン
酸で変性したマレイン化ポリオレフィン樹脂を挙げるこ
とができる。
【0034】変性ポリオレフィン樹脂の車両用プライマ
ー塗料における含有量は、通常2〜50重量%、好まし
くは5〜30重量%である。変性ポリオレフィン樹脂の
前記含有量が、前記範囲内であると、塗膜の基材への付
着性を増大させることができ、またそれ以外の塗料性能
に影響を与えることがない点で好適である。
【0035】この発明に係る車両用プライマー塗料に
は、この車両用プライマー塗料により形成されたプライ
マー塗膜とその上に形成される上塗り塗膜との密着性を
高めることを目的に、上塗り塗膜を形成する車両用上塗
り塗料に含まれる樹脂と親和性を有する樹脂が含有され
ていても良い。上塗り塗料に含まれる樹脂と親和性を有
する樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹
脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、及びポリエステル樹
脂を挙げることができる。これらの親和性を有する樹脂
の車両用プライマー塗料中の含有量は、通常、1〜40
重量%であり、好ましくは2〜10重量%である。前記
含有量が、前記範囲内であると、プライマー塗膜と上塗
り塗膜との密着性を増大させることができ、またそれ以
外の塗料性能に影響を与えることがない点で好適であ
る。
【0036】この発明のプライマー塗料は、溶媒として
トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、アセトン、メ
チルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、セルソル
ブアセテート、ブチルセロソルブ等のエステル系溶剤、
アルコール系溶剤又はこれらの混合物等の有機溶剤を含
有していても良い。また前記変性ポリオレフィン樹脂が
水溶性であるときには、この発明のプライマー塗料は水
系溶媒を含有して水溶性プライマーとすることもでき
る。プライマー塗料における溶媒が水系であると、作業
環境の悪化を招くことがなく、火災の危険性を低減する
ことができる。前記水系溶媒としては、水、アルコール
例えばメタノール及びこれらの混合物を挙げることがで
きる。
【0037】前記有機溶剤の含有量は、車両用プライマ
ー塗料中の前記変性ポリオレフィン樹脂の含有量及び樹
脂コーティングアルミ粉末の含有量が前記範囲になるよ
うに適宜に決定され、さらにその他の成分の含有量が決
定されたときの残部である。
【0038】この発明に係る車両用プライマー塗料は、
通常、前記変性ポリオレフィン樹脂、前記有機溶剤に不
溶性の合成樹脂をアルミ粉末にコーティングして成る樹
脂コーティングアルミ粉末及びその他必要に応じて含有
される成分例えば上塗り塗料中に含まれる樹脂と親和性
のある樹脂、或いは非扁平状の顔料と有機溶剤とを混合
することにより容易に調製されることができる。
【0039】この発明に係る車両用プライマー塗料は、
車両用ポリオレフィン基材上に、スプレー塗装、刷毛塗
り塗装、浸漬塗装、ロール塗装、流し塗り塗装等の塗装
方法により塗装することができる。
【0040】(2)車両用塗膜及び車両用ポリオレフィ
ン系基材の塗装方法 この発明に係る車両用塗膜は、この発明に係る車両用プ
ライマー塗料を使用し、この発明に係る車両用ポリオレ
フィン系基材の塗装方法により、形成されることができ
る。
【0041】この発明に係る車両用塗膜は、基材上に形
成されたところの、塗膜面に平行に配向した樹脂コーテ
ィングアルミ粉末及び変性ポリオレフィン樹脂を含有す
るプライマー塗膜と、このプライマー塗膜上に形成され
たところの、上塗り塗膜とを有する。
【0042】前記基材は、車両用ポリオレフィン系基材
である。この基材は、車両用プライマー塗料が塗布され
る表面が少なくともポリオレフィン系樹脂である。尚、
このポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン樹脂及び
変性ポリオレフィン樹脂を言う。したがって、発泡ポリ
スチロールで所定の形状に形成されて成る成形体の表面
にポリオレフィン系樹脂が塗工されて成る成形体、ポリ
オレフィン系樹脂で形成された成形体、及び所定の形状
に形成された金属成形体の表面にポリオレフィン系樹脂
が塗工されて成る成形体等は、この発明における車両用
ポリオレフィン系基材に属する。
【0043】この発明に係る車両用塗膜において、前記
プライマー塗膜は、既に説明したところの有機溶剤に不
溶性の合成樹脂をアルミ粉末にコーティングして成る樹
脂コーティングアルミ粉末を含有する。プライマー塗膜
中の樹脂コーティングアルミ粉末は、塗膜表面に平行に
配向している。樹脂コーティングアルミ粉末が平行に配
向しているので、上塗り塗膜の上表面から入射された光
がプライマー塗膜中を通過しようとすると、この光がこ
の樹脂コーティングアルミ粉末により効率良く正反射さ
れ、この光の下地までの通過を困難にする。このような
理由によりこのプライマー塗膜においては、下地色が透
けて見えることなく隠蔽性が向上できるものと推測され
る。特に、L値が小さくとも70、殊に70〜100の
白塗色においては、隠蔽性の効果が大きく、塗膜の薄膜
化が容易となる。なお、このL値は、色差(ΔE)を求
めるためのパラメータであり、市販の色差計により求め
ることができる(「色材工学ハンドブック」(社)色材
協会編集、朝倉書店発行、「色素ハンドブック」講談社
発行参照)。L値の調整はL値の大きな顔料例えば酸化
チタンとL値の小さな顔料例えばカーボンブラックとを
調合するといった顔料の調製により実現可能である。
【0044】また、前記プライマー塗膜は、既に説明し
たところの変性ポリオレフィン樹脂を含有するので、前
述のように基材との付着性が良好である。
【0045】このプライマー塗膜の厚みは、通常、0.
5〜20μmである。プライマー塗膜の厚みが前記範囲
内であると、前述の塗膜の薄膜化の要求を満たすことが
でき、また下地隠蔽性を充分に確保することができる。
【0046】この発明に係る車両用塗膜における上塗り
塗膜は、通常の車両用塗料により形成される。
【0047】上塗り塗膜には、例えば、エポキシ樹脂塗
料、ウレタン樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料、メラミ
ン樹脂塗料、及びアクリル樹脂塗料等が含まれる。ま
た、特にバンパー用の上塗り塗膜は、低温での屈曲性を
有するので好ましい。上塗り塗膜は、ベース層1層のみ
でもよいし、ベース層、クリヤー層からなる複数層であ
ってもよい。上塗り塗膜の厚みは、通常、10〜80μ
mである。上塗り塗膜の厚みが前記範囲内であると、塗
装による意匠性及び外観性が充分に確保される。
【0048】この発明に係る車両用ポリオレフィン系基
材の塗装方法は、車両用ポリオレフィン系基材上に、こ
の発明に係る前記車両用プライマー塗料でプライマー塗
膜を形成し、上塗り塗料で上塗り塗膜を形成し、加熱処
理する方法である。この方法により、前記車両用塗膜
が、形成される。
【0049】この方法について、以下詳細する。
【0050】表面が清浄にされた車両用ポリオレフィン
系基材、例えば蒸気洗浄等の表面処理がされた車両用ポ
リオレフィン系基材上に、この発明に係る車両用プライ
マー塗料が塗装される。塗装方法としては、前述した他
に、エアスプレーを用いた噴霧塗装の他、静電塗装、流
し塗り、ローラコータによる塗装、粉体塗装、及び型内
塗装等が挙げられる。
【0051】車両用プライマー塗料の塗装量としては、
プライマー塗膜の乾燥膜厚が、前記0.5〜20μmに
なるように、調製される。
【0052】ついで、前記プライマー塗膜の上に、車両
の上塗り塗料として使用される通常の塗料を用いて、上
塗り塗膜を形成する。
【0053】上塗り塗装は、1層ごとに熱処理硬化させ
る1C1B方式(1コート1ベイク)でもよいが、ウェ
ットオンウェット方式(W/W)で行うのがより好まし
い。W/W方式は、プライマー塗装後、風乾等により乾
燥させ、或いは未乾燥のまま未硬化の状態で上塗り塗装
を行う方法である。上塗り塗膜がベース塗膜とクリヤー
塗膜とからなる場合、ベース塗膜の乾燥膜厚は、15〜
25μmが好ましく、クリヤー塗膜の乾燥膜厚は、20
〜35μmが好ましい。
【0054】塗膜は主に、車両用プライマー塗料で形成
されるプライマー塗膜、ベース塗膜、及びクリヤー塗膜
を全てW/W方式で形成し、1度の熱処理で硬化させる
3C1B方式(3コート1ベイク)、車両用プライマー
塗料で形成されるプライマー塗膜を1C1B方式で熱処
理硬化させた後、ベース塗膜、及びクリヤー塗膜をW/
W方式で塗装して熱処理硬化させる2C1B方式(2コ
ート1ベイク)で形成することができる。いずれの方式
によるかは、上塗り塗料に応じて決定されることができ
る。
【0055】前記熱処理の条件としては、3C1Bある
いは2C1B方式による上塗り塗膜を含んだタイプで
は、60〜140℃で10〜60分間であり、またプラ
イマー塗膜の1C1B方式では、40〜120℃で5〜
40分間である条件が好ましい。
【0056】この発明に係る車両用プライマー塗料が水
溶性の変性ポリオレフィン樹脂を含有したプライマー塗
料であるときには、車両用プライマー塗料を塗装した後
にW/W方式で上塗り塗料を塗装し、或いは車両用プラ
イマー塗料を塗装してなるプライマー塗膜を焼き付けし
た後に上塗り塗料を塗装することにより、車両用塗膜を
形成するのもよい。
【0057】
【実施例】以下この発明を実施例及び比較例により説明
する。例中で部は他に特記しない限り重量部を表す。
【0058】(プライマー塗料の調製) (実施例1、2、比較例1〜3)表1に示す配合で、樹
脂コーティングアルミ粉末を用いて実施例1、2の車両
用プライマー塗料を調製し、他方、樹脂コーティングア
ルミ粉末を用いないで比較例1〜3のプライマー塗料を
調製した。
【0059】ここで、変性ポリオレフィンは塩素化ポリ
オレフィン樹脂であり、東洋化成(株)製 ハードレン
CY−9122を用いた。樹脂Aは、エポキシ樹脂であ
り、東都化成(株) エポトート YH315を用い
た。溶剤として、キシレン3容量部及びトルエン1容量
部からなる混合溶剤を用いた。一般顔料として二酸化チ
タン及びカーボンを用いた。
【0060】表1においてアルミAは、昭和アルミニウ
ム(株)製のSap FM-4000EA(平均粒径10.0μ
m、金属分50%)であり、アルミBは、アルミフレー
クを脂肪酸処理して成り、昭和アルミニウム(株)製の
FM-4000(平均粒径10.4μm、金属分65%)
である。
【0061】(試験片の作成)被塗基材として三菱油化
(株)製ポリオレフィン(PP)基材(TK―118
0)を用いた。イソプロピルアルコールにより脱脂を行
った基材上に3コート1ベイク方式により、上記実施例
1、2に係る車両用プライマー塗料、比較例1〜4に係
るプライマー塗料を乾燥膜厚が6μmとなるように塗装
した。車両用プライマー塗料又はプライマー塗料を塗装
した後、白系ベース塗料を乾燥膜厚が25μmとなるよ
うに塗装し、さらに、クリヤー塗料を乾燥膜厚が30μ
mとなるように塗装し、100℃で30分キープ焼き付
け乾燥を行い、試験片となる塗装板を得た。また、下地
隠蔽性試験片は、実施例に係る車両用プライマー塗料又
は比較例に係るプライマー塗料を0〜14μmになるよ
うに塗装し、100℃で30分キープ焼き付け乾燥を行
い、試験片となる塗装板を得た。これらの試料片を用い
て以下に示す評価方法により塗膜性能試験を実施した。
尚、白系ベース塗料として日本油脂ビーエーエスエフコ
ーティングス(株)製のベルコートNo.5230BQM
1を用い、クリヤー塗料として日本油脂ビーエーエスエ
フコーティングス(株)製のプライマックNo.5900
クリヤーを用いた。
【0062】(評価方法) (1)下地隠蔽性 試験片の各プライマー膜厚で、色差計CR―200(ミ
ノルタ(株)製)を用いてL値を測定した。
【0063】尚、下地隠蔽性(L値)は、プライマー膜
厚が薄く、L値が大きい程、下地隠蔽性の効果が大きい
ことを示す。結果を図2に示す。また下地隠蔽性の良好
な場合を「○」、不良な場合を「×」として、その結果
を表1に示した。 (2)塗膜の付着性 付着性試験は、「JIS K5400 8.5.2碁盤目テ
ープ法」に準じて行った。カッターナイフを用いて、試
料片に素地に達する2mm間隔の碁盤目100個(10
×10)を作り、粘着テープを碁盤目に密着させ、上記
テープの一端を有効面に直角に保ち0.5mm/秒以上
の速度で引き離し、その剥離個数により素地への塗膜付
着性を判断した。「剥がれなかった碁盤目数/試験を行
った碁盤目数(100)」を付着性として表1に示した。 (3)耐水性 脱イオン水が40℃に保持された恒温水槽に試料片を2
40時間浸漬した。試料片を取り出し、次いで室温で1
時間放置した後に塗膜の付着性試験を行った。塗膜の付
着性試験は上記(2)の方法による。 (4)アルミ添加による変色及び沈降安定性 実施例2に係る車両用プライマー塗料及び比較例3,4
に係るプライマー塗料を40℃、40日間貯蔵し、塗料状態
を評価した。アルミの変色及び沈降安定性を確認するた
めに、他の顔料、樹脂を除いた系にて確認した。
【0064】アルミ変色安定性は目視にて以下のように
評価した。 ○:比較例4と同等であり、変色が認められない。 ×:比較例4と比較すると、変色が認められる。
【0065】アルミ沈降安定性は、貯蔵開始後10日が経
過した時点で均一に車両用プライマー塗料及びプライマ
ー塗料を撹拌し、その後に静置した状態で貯蔵し、その
貯蔵開始から40日目にアルミ粉末の沈降性を目視で確
認した。
【0066】アルミ沈降安定性は目視にて以下のように
評価した。 ○:沈降せず、上層部にアルミ粉末の存在が確認され
た。 ×:沈降し、上層部にアルミ粉末の存在が認められなか
った。
【0067】以上の評価結果を合わせて、表1に示し
た。
【0068】
【表1】
【0069】
【発明の効果】この発明によると、塗膜の薄膜化をする
ことができ、さらに、アルミ粉末特有の干渉光を発生さ
せない車両用プライマー塗料を、提供することができ
る。このため、上塗り塗装として淡彩色の採用の拡大を
図ることが可能となった。
【0070】この発明によると、車両用塗膜の薄膜化及
びアルミ干渉光発生の防止を達成することができ、しか
も車両用ポリオレフィン系基材に対しても、且つ上塗り
塗膜に対しても密着性の大きなプライマー塗膜を形成す
ることのできる車両用プライマー塗料を提供することが
できる。
【0071】この発明によると、車両用塗膜の薄膜化及
びアルミ干渉光発生の防止を達成することができ、しか
も車両用ポリオレフィン系基材に対して密着性の大きな
プライマー塗膜を有して成る車両用塗膜を提供すること
ができる。
【0072】この発明によると、車両用塗膜の薄膜化及
びアルミ干渉光発生の防止を達成することができ、しか
も車両用ポリオレフィン系基材に対して密着性の大きな
プライマー塗膜を形成することのできる車両用ポリオレ
フィン系基材の塗装方法を提供することができる。
【0073】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の車両用プライマー塗料が塗
装されたポリオレフィン系基材における塗膜の隠蔽性推
定機構を示す説明図である。
【図2】図2は、実施例1、2の車両用プライマー塗料
と及び比較例1に係るプライマー塗料とにつきプライマ
ー膜厚とL値との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ポリオレフィン系基材 2 プライマー層 3 ベース層 4 クリヤー層 5 樹脂コーティングアルミ粉末
フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AE03 AE27 BB26Z BB92Z CA13 CA38 CB06 CB07 DA23 DB36 DC13 EA06 EA07 EA41 EA43 EB13 EB20 EB22 EB32 EB33 EB35 EB38 EC10 EC23 EC54 4J038 CB141 CB171 CG002 CP031 DA132 DB002 DD002 DG002 HA066 KA08 KA15 PB03 PB07

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両用ポリオレフィン系基材上に塗装す
    るプライマー塗料において、変性ポリオレフィン樹脂
    と、有機溶剤に不溶性の合成樹脂をアルミ粉末にコーテ
    ィングして成る樹脂コーティングアルミ粉末とを含有す
    ることを特徴とする車両用プライマー塗料。
  2. 【請求項2】 前記車両用プライマー塗料により形成さ
    れる塗膜の表面に形成される上塗り塗膜を形成する車両
    用上塗り塗料中に含まれる樹脂と親和性のある樹脂を含
    有して成る前記請求項1に記載の車両用プライマー塗
    料。
  3. 【請求項3】 前記親和性のある樹脂が、エポキシ樹
    脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、及び
    ポリエステル樹脂よりなる群から選択される少なくとも
    一つの樹脂である前記請求項2に記載の車両用プライマ
    ー塗料。
  4. 【請求項4】 前記樹脂コーティングアルミ粉末は、そ
    の含有量が、車両用プライマー塗料中の樹脂固形分に対
    して0.5〜50重量%である前記請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の車両用プライマー塗料。
  5. 【請求項5】 前記樹脂コーティングアルミ粉末は、重
    合性二重結合を有するオリゴマー及びモノマーよりなる
    群から選択される少なくとも二種を反応させて得られる
    共重合体、又はシランカップリング剤の少なくとも一種
    を反応させて得られる縮合体を、アルミフレークに、被
    覆して成ることを特徴とする前記請求項1〜4のいずれ
    か1項に記載の車両用プライマー塗料。
  6. 【請求項6】 車両用ポリオレフィン基材上に形成され
    たところの、塗膜面に平行に配向した樹脂コーティング
    アルミ粉末及び変性ポリオレフィン樹脂を含有するプラ
    イマー塗膜と、プライマー塗膜上に形成されたところ
    の、上塗り塗膜とを有することを特徴とする車両用塗
    膜。
  7. 【請求項7】 前記上塗り塗膜が、エポキシ樹脂、ウレ
    タン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、及びポリエス
    テル樹脂よりなる群から選択される少なくとも一つの樹
    脂から形成されて成る前記請求項6に記載の車両用塗
    膜。
  8. 【請求項8】 前記プライマー塗膜はその厚みが0.5
    〜20μmであり、前記上塗り塗膜はその厚みが10〜
    80μmである前記請求項6又は7に記載の車両用塗
    膜。
  9. 【請求項9】 前記上塗り塗膜が、プライマー塗膜の表
    面に形成されたベースコート塗膜とこのベースコート塗
    膜の表面に形成されたクリヤーコート塗膜とを備えて成
    る前記請求項6〜8のいずれか1項に記載の車両用塗
    膜。
  10. 【請求項10】 L値が小さくとも70である前記請求
    項6〜9のいずれか1項に記載の車両用塗膜。
  11. 【請求項11】 車両用ポリオレフィン系基材上に、請
    求項1に記載の車両用プライマー塗料でプライマー塗膜
    を形成し、上塗り塗料で上塗り塗膜を形成し、加熱処理
    することを特徴とする車両用ポリオレフィン系基材の塗
    装方法。
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