JP2003128903A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物

Info

Publication number
JP2003128903A
JP2003128903A JP2001320757A JP2001320757A JP2003128903A JP 2003128903 A JP2003128903 A JP 2003128903A JP 2001320757 A JP2001320757 A JP 2001320757A JP 2001320757 A JP2001320757 A JP 2001320757A JP 2003128903 A JP2003128903 A JP 2003128903A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polycarbonate resin
aromatic polycarbonate
resin composition
weight
aromatic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001320757A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaaki Miyamoto
正昭 宮本
Takao Tayama
貴郎 田山
Yoshitaka Shiraishi
義隆 白石
Hideki Kinoshita
秀樹 木下
Tomoaki Kanemasa
智亮 金政
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2001320757A priority Critical patent/JP2003128903A/ja
Publication of JP2003128903A publication Critical patent/JP2003128903A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、耐静電
気性に優れ、かつスタンパーへの付着物が低減した高品
質の光学情報記憶媒体を提供する。 【課題】 【解決手段】 (a)芳香族ポリカーボネート樹脂、
(b)芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、0.01
重量%未満の離型剤、(c)芳香族ポリカーボネート樹
脂に対して、0.05重量%以下の熱安定剤、および
(d)芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、0.00
1〜0.1重量%の帯電防止剤を含む芳香族ポリカーボ
ネート樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐静電気性に優れ
た芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃
性などの機械的特性に優れている上、透明性にも優れた
樹脂であり、幅広い分野で利用されている。特に、オー
ディオディスク、レーザディスク、光ディスクメモリ、
または光磁気ディスク等のレーザ光を利用して情報の再
生、追記書換えを行なう光学式情報記録媒体に用いられ
る光学式ディスクとして用途を拡げている。
【0003】このポリカーボネートの工業的製法として
は、ビスフェノールAとホスゲンを塩化メチレン溶媒中
で反応させる界面重合法が一般的であるが、この方法は
工業的に取り扱いの難しいホスゲンや塩化メチレンを用
いる必要があることから、近年、これらの化合物を用い
ず、ビスフェノールAなどの芳香族ジヒドロキシ化合物
とジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとを原
料に、無溶媒下、エステル交換反応によりポリカーボネ
ートを製造する方法が一部工業化されている(特開昭6
3−51429号、特開平2−153925号、特公平
6−99552号公報等参照)。上記エステル交換反応
によって製造されるポリカーボネートは、コンパクトデ
ィスク(CD)製造に使用される材料となっている。し
かしながら、米国特許第5,606,008号に開示さ
れているような溶融縮合法で作成したポリカーボネート
から製造したCDでは、その特徴として、高い負の静電
荷(典型的には<−2.0kV)が発生する。この高い
負の静電荷により、成形品は、ほこりを寄せ付け、その
ようなディスクの最終品質を落としてしまうことになり
得る。また、高い静電荷により、ディスク同士が引き付
けあい、輸送工程中、たとえば射出成形機からの移送中
にディスクが互いにくっついてしまうため、CD製造を
停止したりその歩留まりが落ちたりするという状況に至
ることにもなり得る。さらに、色素塗布時の濡れ性増加
により、色素塗布不良が発生していた。書き換え可能な
基板をディスク表面にスピンコートするCD用途の場
合、書き換え可能な層の均一な湿潤のためには、低い負
の静電荷が必要である。上記問題を解決するべく、エス
テル交換反応によって製造された芳香族ポリカーボネー
ト樹脂から得られ、CD作成時の高い負の静電荷を抑制
する手法が開示されている。
【0004】上記問題を解決するべく、様々な手法が提
案されている。例えば、帯電防止性芳香族ポリカーボネ
ート組成物が特開昭62−207358号公報に開示さ
れている。これらの組成物は、CD、ビデオディスクな
どのような高密度光学情報記録媒体に用いられ、適切な
帯電防止特性をもっていると報告されている。これらの
組成物中の帯電防止剤は、芳香族ポリカーボネートに対
して0.01〜4.8重量部のレベルで使用する部分的
にエステル化された酸性リン酸誘導体に限定されてい
る。
【0005】また、特開平11−279396号公報に
は、芳香族ポリカーボネート組成物中に約0.05%
(芳香族ポリカーボネートに対する重量%)未満の非酸
性帯電防止剤を用いると、成型されたCDの静電荷を約
−2kVから約+2kVまでの間に制限する組成物が得
られると示されている。しかしながら、耐静電気性に
は、ある程度の効果はあるものの、スタンパーへの付着
物が多量に発生し、それが原因となって製品ディスク表
面に付着物が付くという悪影響が見られた。上記のよう
に、これらの提案はある程度の効果はあるものの実用化
には程遠く、早期に本質的な改良手法が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は上記
のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするもの
であり、耐静電気性に優れ、かつスタンパーへの付着物
が低減した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供す
ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、耐静電気
性に優れ、かつスタンパーへの付着物が低減した芳香族
ポリカーボネート樹脂組成物を見い出すべく鋭意検討し
たところ、特定の帯電防止剤を特定量、芳香族ポリカー
ボネート樹脂に添加し、さらに離型剤を特定量未満添加
することにより、耐静電気性に優れ、かつスタンパーへ
の付着物が低減した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
になることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明の要旨は、(a)芳香族
ポリカーボネート樹脂、(b)芳香族ポリカーボネート
樹脂に対して、0.01重量%未満の離型剤、(c)芳
香族ポリカーボネート樹脂に対して、0.05重量%以
下の熱安定剤、および(d)芳香族ポリカーボネート樹
脂に対して、0.001〜0.1重量%の帯電防止剤を
含む芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
は、芳香族ポリカーボネート樹脂に、特定量の離型剤、
特定量の熱安定剤そして特定量の帯電防止剤を含んだ物
である。本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、公知
の界面法とエステル交換法(溶融法)によって得られる
が、好ましくはエステル交換法によって得られるもので
あり、さらに詳しくは、原料として芳香族ジヒドロキシ
化合物と炭酸ジエステルとを用い、エステル交換触媒の
存在下、エステル交換反応によって得等れるものであ
る。本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は、
分子内に芳香族性水酸基を2個有する化合物であり、好
ましくは、下記式(1)で表される化合物である。
【0010】
【化1】
【0011】(式中、Wは単結合、炭素数1〜8のアル
キレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜
15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロア
ルキリデン基又は、−O−,−S−,−CO−,−SO
−,−SO2−で示される2価の基からなる群から選ば
れるものであり、Y及びZは、ハロゲン又は炭素数1〜
6の炭化水素基であり、p及びqは0〜2の整数であ
り、YとZ、pとqは、いずれも、同一であっても異な
っていてもよい。)
【0012】前記式(1)で表される芳香族ジヒドロキ
シ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシジフ
ェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メ
チルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ
フェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシビフェ
ニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−
ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフ
ィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が例示されるが、
特に好ましくは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」と略す)が
挙げられる。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は単独
でも、2種以上を混合してもよい。本発明で使用される
炭酸ジエステルは下記の一般式(2)で表される。
【0013】
【化2】O‖A−O−C−O−A’ 式(2)
【0014】(式中A及びA’は炭素数1〜18の脂肪
族基あるいは置換脂肪族基、又は芳香族基あるいは置換
芳香族基であり、同一であっても異なっていてもよ
い。) 前記一般式(2)で表される炭酸ジエステルは、例え
ば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ
−t−ブチルカーボネート等の炭酸ジアルキル化合物、
ジフェニルカーボネート、およびジトリルカーボネート
等の置換ジフェニルカーボネートなどが例示されるが、
好ましくはジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカ
ーボネートであり、特にジフェニルカーボネートが好ま
しい。これらの炭酸ジエステルは単独、あるいは2種以
上を混合してもよい。
【0015】本発明で芳香族ポリカーボネート樹脂を製
造するには、特に芳香族ジヒドロキシ化合物としてビス
フェノールAと炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボ
ネートが用いられ、ジフェニルカーボネートはビスフェ
ノールA1モルに対して、1.01〜1.30モル、好
ましくは1.02〜1.20の量で用いられることが好
ましい。モル比が1.001より小さくなると、製造さ
れた芳香族ポリカーボネート樹脂の末端OH基が増加し
て、ポリマーの熱安定性が悪化し、また、モル比が1.
300より大きくなると、同一条件下ではエステル交換
反応の速度が低下し、所望の分子量の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂の製造が困難となる。
【0016】本発明において、芳香族ポリカーボネート
樹脂を得るためには、エステル交換触媒が使用される。
該触媒としてはアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ
土類金属化合物が使用され、補助的に、塩基性ホウ素化
合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、
あるいはアミン系化合物などの塩基性化合物を併用する
ことも可能であるが、物性面や取り扱いの面で、アルカ
リ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が単独
で使用されることが特に好ましい。
【0017】この触媒量としては、芳香族ジヒドロキシ
化合物1モルに対して、1×10-8〜5×10-6モルの
範囲で用いられるのが好ましく、さらに好ましくは1×
10 -7〜3×10-6モルの範囲で、特に好ましくは2×
10-7〜2×10-6モルの範囲で用いられる。この量よ
り少なければ、所定の分子量、末端ヒドロキシ基量の芳
香族ポリカーボネート樹脂を製造するのに必要な重合活
性が得られない傾向があり、この量より多い場合は、ポ
リマー色相が悪化し、分岐が多くなりポリマーの成形性
が損なわれる傾向がある。
【0018】アルカリ金属化合物としては、例えば、水
酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水
酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウ
ム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢
酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシ
ウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウ
ム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水
素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化
ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホ
ウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル
化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香
酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、
安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水
素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セ
シウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸
2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン
酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシ
ウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールA
の2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セ
シウム塩などが挙げられる。
【0019】また、アルカリ土類金属化合物としては、
例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マ
グネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウ
ム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水
素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭
酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウ
ム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチ
ウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウ
ム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロン
チウムなどが挙げられる。
【0020】塩基性ホウ素化合物の具体例としては、テ
トラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピ
ルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ
素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホ
ウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホ
ウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジル
ホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホ
ウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニ
ルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素などのナトリウム
塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム
塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙
げられる。塩基性リン化合物としては、例えば、トリエ
チルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリ
イソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、
あるいは四級ホスホニウム塩などが挙げられる。
【0021】塩基性アンモニウム化合物としては、例え
ば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエ
チルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモ
ニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロ
キシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、
トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメ
チルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメ
チルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルア
ンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニ
ウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒ
ドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキ
シド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベン
ジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルト
リフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェ
ニルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
【0022】アミン系化合物としては、例えば、4−ア
ミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル
−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、
2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−
メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、
2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカ
プトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキ
ノリンなどが挙げられる。エステル交換反応は一般には
二段階以上の多段工程で実施される。具体的には、第1
段目の反応は、9.3×104〜1.33×103Paの
減圧下に120〜260℃、好ましくは180〜240
℃の温度で0.1〜5時間、好ましくは0.1〜3時間
反応させる。ついで、反応系の減圧度を上げながら反応
温度を高め、最終的には133Pa以下の減圧下、24
0〜320℃の温度で重縮合反応を行う。反応の形式
は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組
み合わせのいずれの反応でもよく、使用する装置は、槽
型、管型、あるいは塔型のいずれの形式であってもよ
い。
【0023】本発明の樹脂組成物で使用する離型剤は、
射出成型中に金型から容易に離型できるようにする化合
物である。本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
は、離型剤を、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して
0.01重量%未満含む必要がある。離型剤の好ましい
量は芳香族ポリカーボネート樹脂に対して約0.009
5重量%未満である。離型剤の最も好ましい量は芳香族
ポリカーボネート樹脂に対して0.009重量%未満で
ある。離型剤が芳香族ポリカーボネート樹脂に対して
0.01重量%以上含まれると、スタンパーへの付着物
が多量に発生し、それが原因となって製品ディスク表面
に付着物が付くという悪影響が見られる。離型剤の下限
量としては、0.0001重量%以上、好ましくは0.
0005重量%以上である。
【0024】離型剤としては、公知の離型剤が使用で
き、その中で好ましい離型剤はペンタエリトリトールテ
トラステアレート及びステアリン酸モノグリセリドであ
る。また、本発明の組成物中では、上記離型剤を単独ま
たは組合せて使用することができる。
【0025】本発明の樹脂組成物で使用する熱安定剤と
しては、例えば、射出成形時、芳香(a)芳香族ポリカ
ーボネート樹脂、(b)芳香族ポリカーボネート樹脂に
対して、0.01重量%未満の離型剤、(c)芳香族ポ
リカーボネート樹脂に対して、0.05重量%以下の熱
安定剤、および(d)芳香族ポリカーボネート樹脂に対
して、0.001〜0.1重量%の帯電族ポリカーボネ
ート樹脂組成物に熱安定性を付与する目的で添加する。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、熱安定
剤を、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して0.05重
量%以下含んでいることが必要である。好ましい量とし
ては、芳香族ポリカーボネート樹脂に対して0.002
〜0.04重量%含むのが好ましい。熱安定剤が芳香族
ポリカーボネート樹脂に対して0.05重量%を超えて
存在すると、耐加水分解性が悪化する傾向にある。
【0026】熱安定剤としては公知の熱安定剤が使用で
き、その中で好ましい熱安定剤はホスファイト系化合物
であり、特に好ましくはトリス(2,4‐ジ‐tert
‐ブチルフェニル)ホスファイト及びトリス‐ノニルフ
ェニルホスファイトである。また、本発明の組成物中で
は、上記熱安定剤を単独または組合せて使用することが
できる。
【0027】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、帯電防止剤を、芳香族ポリカーボネート樹脂に対
して0.001〜0.1重量%含むことが必要である。
好ましくは、0.005〜0.09重量%である。好ま
しい帯電防止剤としては、ジステアリルヒドロキシルア
ミン、トリフェニルアミン、トリ−n−オクチルホスフ
ィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、ピリ
ジン−N−オキシド、エトキシル化ソルビタンモノラウ
レート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキ
シエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチ
レンソルビタンステアリレート、ポリオキシエチレンラ
ウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル
及びポリオキシエチレンステアリルエーテルが挙げられ
る。このうち、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウ
レートが特に好ましい。
【0028】上記帯電防止剤を特定量用いて光学式ディ
スク基板を製造すると、−2.0kV以下の負の帯電圧
が低くなり、ほこりを寄せ付けつけなくなったり、さら
には、色素塗布時の濡れ性が低下し、色素塗布不良が起
こりにくくなる。一方、上記帯電防止剤を含有しない芳
香族ポリカーボネート樹脂を用いて光学式ディスク基板
を製造すると、−2.0kVを越える負の帯電圧が高く
なり、ほこりを寄せ付けやすくなったり、さらに、色素
塗布時の濡れ性増加により、色素塗布不良が発生しやす
くなる。本発明の耐静電気性に優れる芳香族ポリカーボ
ネート樹脂により製造した、光学式ディスク基板の帯電
圧は−2〜8kVの範囲にあることが好ましく、さらに
好ましくは−1.5〜7.5kVの範囲であり、特に好
ましくは、−1.0〜7.0kVの範囲である。
【0029】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物は、上記離型剤、熱安定剤、帯電防止剤及び芳香族ポ
リカーボネート樹脂とを、従来から公知の方法で混合す
ることができる。例えば、各成分をリボンブレンダーや
スーパーミキサー等で芳香族ポリカーボネート樹脂粉末
と分散混合した後、押出機等で溶融混練する方法等が選
択できる。
【0030】さらに本発明の樹脂組成物は、その物性を
損なわない限りにおいて樹脂の混合時、成形時に他の樹
脂、添加剤、たとえば顔料、染料、強化剤、充填剤、酸
化劣化防止剤、耐候剤、滑剤、結晶核剤、可塑剤、流動
性改良剤などを添加することができる。
【0031】
【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明を説
明する。なお、以下の実施例において得られた芳香族ポ
リカーボネート樹脂組成物の物性及び評価は以下のよう
にして測定した。 (1)粘度平均分子量(Mv) 6g/lの塩化メチレン溶液をウベローデ粘度計を用い
固有粘度を測定し、次式により粘度平均分子量を求め
た。
【0032】
【数1】[η]=1.23×10-4(Mv)0.83
【0033】(2)帯電圧(kV) 得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形
(成形温度:350℃,金型温度:80℃)し、成形平板(50m
m×50mm×厚み3mm)を得た後、成形直後の帯電圧をSK
−200静電場計(KEYENCE(株)製)を用い、
基板から6.0cmの距離のところで測定した。
【0034】(3)スタンパー付着物量(μg) 得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、
350℃で上記成形平板5000ショットの射出成形を
行った。使用したスタンパーをシャーレに入れ、アセト
ン50mlを用いて、スタンパー付着物を溶解させ、該
アセトン溶液をエバポレーターで濃縮、乾固させた後、
さらに50℃で3時間真空乾燥させ、付着物量を測定し
た。
【0035】(4)耐加水分解性試験 得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形
(成形温度:350℃,金型温度:80℃)し、成形平板(50m
m×50mm×厚み3mm)を得た後、成形平板を120℃、1
00%Rhの水蒸気中で8時間保持した。ヘーズメータ
ーNDH2000(日本電色工業(株)製)を用い、成
形平板の処理前及び処理後のヘーズを測定した。処理前
後のヘーズ値が小さいほど、耐加水分解性が良いことを
示す。
【0036】[実施例1]コンデンサーを具備したステ
ンレス製20リットルの竪型攪拌反応装置にビスフェノ
ールA2283g(10.0モル)、ジフェニルカーボ
ネート2313g(10.8モル)および触媒として
0.01N水酸化ナトリウム0.7ml(ビスフェノー
ルA1モルに対して7×10-7モル)を仕込み窒素置換
を行った。この混合物を220℃で40分かけて原料モ
ノマーを溶融した後、220℃/1.33×104Pa
で60分、240℃/2.00×103Paで60分、
280℃/66.7Paで60分間反応を行った。反応
終了後、ポリマーをギヤポンプで押出機に送液し、押出
機でp−トルエンスルホン酸ブチルを触媒失活剤として
芳香族ポリカーボネート樹脂に対して0.0002重量
%、離型剤としてステアリン酸モノグリセリドを0.0
08重量%、熱安定剤としてAS2112(トリス
(2,4‐ジ‐tert‐ブチルフェニル)ホスファイ
ト、旭電化工業(株)製)を0.005重量%、帯電防
止剤としてノニオンLT221(ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノラウレート、日本油脂(株)製)を0.0
5重量%を添加し、混練した。その結果、粘度平均分子
量15,400の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が
得られた。
【0037】得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物を用いて、350℃で平板を成形し、成形直後の帯電
圧を表1に、また350℃で5000ショットを成形し
たスタンパーの付着物の重量および耐加水分解性試験前
後のヘーズ値を表1に示す。
【0038】[実施例2]実施例1において、離型剤と
してステアリン酸モノグリセリド0.005重量%を添
加した他は、実施例1と同様に芳香族ポリカーボネート
樹脂組成物を得た。得られた芳香族ポリカーボネート樹
脂組成物を用いて、350℃で平板を成形し、成形直後
の帯電圧を表1に、また350℃で5000ショットを
成形したスタンパーの付着物の重量および耐加水分解性
試験前後のヘーズ値を表1に示す。
【0039】[実施例3]実施例1において、離型剤と
してステアリン酸モノグリセリド0.002重量%を添
加した他は、実施例1と同様に芳香族ポリカーボネート
樹脂組成物を得た。得られた芳香族ポリカーボネート樹
脂組成物を用いて、350℃で平板を成形し、成形直後
の帯電圧を表1に、また350℃で5000ショットを
成形したスタンパーの付着物の重量および耐加水分解性
試験前後のヘーズ値を表1に示す。
【0040】[実施例4]実施例1において、帯電防止
剤としてATMER110(エトキシル化ソルビタンモ
ノラウレート、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ
(株))0.05重量%を添加した他は、実施例1と同
様に芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られ
た芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、350
℃で平板を成形し、成形直後の帯電圧を表1に、また3
50℃で5000ショットを成形したスタンパーの付着
物の重量および耐加水分解性試験前後のヘーズ値を表1
に示す。
【0041】[比較例1]実施例1において、離型剤と
してステアリン酸モノグリセリド0.015重量%添加
した他は、実施例1と同様に芳香族ポリカーボネート樹
脂組成物を得た。得られた芳香族ポリカーボネート樹脂
組成物を用いて、光学式ディスク基板を成形し、成形直
後の帯電圧を表1に、また350℃で5000ショット
を成形したスタンパーの付着物の重量を表1に示す。
【0042】[比較例2]実施例1において、離型剤と
してステアリン酸モノグリセリド0.025重量%を添
加した他は、実施例1と同様に芳香族ポリカーボネート
樹脂組成物を得た。得られた芳香族ポリカーボネート樹
脂組成物を用いて、350℃で平板を成形し、成形直後
の帯電圧を表1に、また350℃で5000ショットを
成形したスタンパーの付着物の重量および耐加水分解性
試験前後のヘーズ値を表1に示す。
【0043】[比較例3]実施例1において、帯電防止
剤としてノニオンLT221を添加しなかった他は、実
施例1と同様に芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得
た。得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用い
て、350℃で平板を成形し、成形直後の帯電圧を表1
に、また350℃で5000ショットを成形したスタン
パーの付着物の重量および耐加水分解性試験前後のヘー
ズ値を表1に示す。 [比較例4]実施例1において、帯電防止剤としてノニ
オンLT221を0.15重量%添加した他は、実施例
1と同様に芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得た。
得られた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、
350℃で平板を成形し、成形直後の帯電圧を表1に、
また350℃で5000ショットを成形したスタンパー
の付着物の重量および耐加水分解性試験前後のヘーズ値
を表1に示す。 [比較例5]実施例1において、熱安定剤としてAS2
112を0.1重量%添加した他は、実施例1と同様に
芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得た。得られた芳
香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いて、350℃で
平板を成形し、成形直後の帯電圧を表1に、また350
℃で5000ショットを成形したスタンパーの付着物の
重量および耐加水分解性試験前後のヘーズ値を表1に示
す。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物は、耐静電気性に優れ、かつスタンパーへの付着物
が低減した高品質の光学情報記憶媒体を提供することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白石 義隆 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社内 (72)発明者 木下 秀樹 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社内 (72)発明者 金政 智亮 福岡県北九州市八幡西区黒崎城石1番1号 三菱化学株式会社内 Fターム(参考) 4J002 CG001 ED038 EH036 EH038 EH056 EN088 EN108 EW067 EW118 FD067 FD108 FD166 GQ00 GS02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)芳香族ポリカーボネート樹脂、
    (b)芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、0.01
    重量%未満の離型剤、(c)芳香族ポリカーボネート樹
    脂に対して、0.05重量%以下の熱安定剤、および
    (d)芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、0.00
    1〜0.1重量%の帯電防止剤を含むことを特徴とする
    芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 帯電防止剤がジステアリルヒドロキシル
    アミン、トリフェニルアミン、トリ−n−オクチルホス
    フィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、ピ
    リジン−N−オキシド、エトキシル化ソルビタンモノラ
    ウレート、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオ
    キシエチレンソルビタンステアリレート、ポリオキシエ
    チレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイル
    エーテル及びポリオキシエチレンステアリルエーテルか
    ら選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求
    項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 帯電防止剤が、ポリオキシエチレンソル
    ビタンモノラウレートであることを特徴とする請求項1
    記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 芳香族ポリカーボネート樹脂が芳香族ジ
    ヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換法
    により製造された樹脂であることを特徴とする請求項1
    乃至3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 芳香族ポリカーボネート樹脂が2,2−
    ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとジフェニル
    カーボネートとのエステル交換法により製造された樹脂
    であることを特徴とする請求項4記載の芳香族ポリカー
    ボネート樹脂組成物。
JP2001320757A 2001-10-18 2001-10-18 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 Pending JP2003128903A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001320757A JP2003128903A (ja) 2001-10-18 2001-10-18 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001320757A JP2003128903A (ja) 2001-10-18 2001-10-18 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003128903A true JP2003128903A (ja) 2003-05-08

Family

ID=19138098

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001320757A Pending JP2003128903A (ja) 2001-10-18 2001-10-18 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003128903A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6875491B2 (en) Polycarbonate composition, write once read many optical disc substrate and write once read many optical disc using same and process for production of write once read many optical disc
JP3394336B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
US20020103328A1 (en) Aromatic polycarbonate composition, production process therefor and molded product thereof
EP0953605B1 (en) Flow improved polycarbonate composition
CN101124493B (zh) 透明注塑件的基底材料
JP4267363B2 (ja) 光学情報基板用ポリカーボネート組成物
US6747080B2 (en) Polycarbonate resin composition for the production of a substrate for an optical information medium
JP2003128903A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP2003231801A (ja) 追記型光ディスク
JP3550032B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂より形成された光ディスク基板
JP4267344B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートおよびその製造方法
JP4251839B2 (ja) 追記型光ディスク基板及び追記型光ディスク、並びに追記型光ディスクの製造方法
JP2002332342A (ja) 芳香族ポリカーボネート、それを用いた光ディスク基板及び光ディスク、並びに芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP4505119B2 (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP3519631B2 (ja) ポリカーボネート樹脂及びその製造方法
JP4290472B2 (ja) 光学情報基板用ポリカーボネート樹脂組成物
JP4232849B2 (ja) 光学式ディスク基板の製造方法及び光学式情報記録媒体
JP2002348368A (ja) 光学用ポリカーボネートおよびその用途
JP4249324B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JP2002275368A (ja) 芳香族ポリカーボネート
JP2003138125A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP4588408B2 (ja) ポリカーボネート樹脂ペレットの製造方法および成形品の製造方法
JP2003064247A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物およびディスク基板
JP4147400B2 (ja) ポリカーボネート樹脂からなる光ディスク用基板
JP4267343B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートシート