JP2003127895A - 車体前部構造 - Google Patents

車体前部構造

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JP2003127895A JP2001327930A JP2001327930A JP2003127895A JP 2003127895 A JP2003127895 A JP 2003127895A JP 2001327930 A JP2001327930 A JP 2001327930A JP 2001327930 A JP2001327930 A JP 2001327930A JP 2003127895 A JP2003127895 A JP 2003127895A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 荷重入力時のサイドメンバの横方向の変移を
抑制可能な車体前部構造の提供を図る。 【解決手段】 前輪18を支持するサスペンションアー
ム19を取り付けた左右一対のサイドメンバ11の前端
部11aに跨ってクロスメンバ17を設け、クロスメン
バ17の車幅方向両端部に、外側後方端部20aが前輪
18の内側18a前端の近傍に配置される受け部20を
設け、受け部20の前端部を、サイドメンバ11の前端
部11aに、回動連結点Cを介して略水平に回転可能に
連結することにより、車両前端部中央に斜め前方から衝
突荷重が入力した際に、受け部20が回転挙動を伴って
前輪18の前方に張り出して該前輪18に干渉し、受け
部20から前輪18およびサスペンションアーム19を
経由した荷重伝達経路を形成して高い車体反力を得ると
共に、サイドメンバ11の横方向の変移を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の車体前部
構造に関する。
【0002】
【従来の技術】車体前部に入力される荷重を、前輪を利
用して分散吸収するようにした従来の車体前部構造とし
ては、例えば特開平6−16154号公報に開示された
衝撃吸収構造がある。
【0003】この従来の車体前部構造は、前輪の前後に
プレートを設けて、前方からの荷重入力によりフロント
サイドフレームが圧壊した際に前後のプレートの間に前
輪が挟み込まれて、バンパービームに入力した衝突荷重
を、バンパービームから前輪のタイヤやタイヤホイール
を介してサイドシルに伝達して分散吸収する構成となっ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の構造では、バンパービームの端部に、タイヤの前方
に位置するクラッシャブルメンバすなわちエネルギー吸
収部材を設けているので、そのクラッシャブルメンバに
よって車両設計や車体前部の内側スペースにおいて制約
を受けてしまう。その上、このような構造では、フロン
トサイドメンバが変形してバンパービーム後端の前部プ
レートがタイヤに接触した後に、バンパビームとクラッ
シャブルメンバやフロントサイドメンバが変形するの
で、荷重の入力方向等によってはフロントサイドメンバ
がその軸方向に圧壊するだけでなく、横方向にも変移し
てしまうことがある。
【0005】そこで、本発明は、車両設計や車体前部の
内側スペースにおいて大きな制約を受けずに荷重入力時
のサイドメンバの横方向の変移を抑制することが可能な
車体前部構造を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明にあって
は、車体前部の車幅方向両側に位置して車両前後方向に
延在し、前後方向中間部位に前輪を支持したサスペンシ
ョンアームを取り付けるための左右1対のサイドメンバ
と、前記1対のサイドメンバの前端部に跨って配設され
て車幅方向に延在するクロスメンバと、を備えた車体前
部構造において、前記クロスメンバの車幅方向両端部
に、外側後方端部が前記前輪の内側前端の近傍に配置さ
れる受け部を設け、この受け部の前端部またはその近傍
部を、前記サイドメンバの前端部に略水平に回転可能に
連結したことを特徴としている。
【0007】請求項2の発明にあっては、請求項1に記
載の車体前部構造において、受け部の外側縁に、車両後
方に行くに従って車幅方向外側に広がる傾斜面を形成し
たことを特徴としている。
【0008】請求項3の発明にあっては、請求項2に記
載の車体前部構造において、受け部の車両前後方向幅
を、前記クロスメンバの一般部の幅よりも大きくしたこ
とを特徴としている。
【0009】請求項4の発明にあっては、請求項1〜3
に記載の車体前部構造において、受け部の上下方向厚さ
を、前記クロスメンバの一般部の厚さよりも大きくした
ことを特徴としている。
【0010】請求項5の発明にあっては、請求項2〜4
に記載の車体前部構造において、前記傾斜面の車幅方向
外側の最側端部に、車体前後方向に沿ったフラット面を
設けたことを特徴としている。
【0011】請求項6の発明にあっては、請求項1〜5
に記載の車体前部構造において、クロスメンバがサイド
メンバの前端部上に跨るアッパークロスメンバであるこ
とを特徴としている。
【0012】請求項7の発明にあっては、請求項6に記
載の車体前部構造において、サイドメンバの前端部から
サスペンションアームの取り付け位置との間の軸方向剛
性を、サスペンションアームの取り付け位置から後方部
分の軸方向剛性よりも小さくしたことを特徴としてい
る。
【0013】請求項8の発明にあっては、請求項1〜5
に記載の車体前部構造において、クロスメンバがサイド
メンバの下方に配置されたサブフレームの左右1対のサ
イドフレームの前端部と、左右1対のサイドメンバの前
端部下面との連結部間に跨るロアークロスメンバである
ことを特徴としている。
【0014】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、車両前
端部中央に斜め前方から衝突荷重が入力した場合に、ク
ロスメンバの略中央部が車両後方に撓み変形することに
伴って、このクロスメンバの両端部の受け部は、連結点
を中心に略水平に回転し、クロスメンバおよびサイドメ
ンバ前端部の変形の進行に伴って前輪の前方へと張り出
す。
【0015】その結果、サイドメンバが軸方向に圧壊変
形する段階で前記受け部が前輪に干渉するため、受け部
から前輪およびサスペンションアームを経由した荷重伝
達経路が形成され、入力荷重に対して高い車体反力を得
ることができると共に、サイドメンバが横倒れして折れ
曲がり変形するのを抑制し、サイドメンバの軸圧壊を促
して衝突エネルギーの吸収効率を高めることができる。
【0016】また、フルラップ前面衝突またはオフセッ
ト前面衝突により車両前端部に衝突荷重が入力した場合
は、衝突荷重がクロスメンバおよびサイドメンバに同時
に作用して、サイドメンバの軸圧壊に伴ってクロスメン
バが後方移動し、前記受け部は前輪の内側まで後退して
前輪を内方から支持する。
【0017】このように、受け部によって前輪を内方か
ら支持することにより、サスペンションアームを介して
サイドメンバが横倒れするのを防止して、このサイドメ
ンバの軸圧壊を後方まで安定的に行うことができるよう
になり、衝突エネルギーの吸収効率を高めることができ
る。
【0018】請求項2に記載の発明によれば、請求項1
の発明の効果に加えて、前記受け部の外側縁に、車両後
方に行くに従って車幅方向外側に広がる傾斜面を形成し
たので、車両前部の車幅方向端部に斜め前方から衝突荷
重が入力した場合に、この衝突荷重を前記傾斜面で受け
ることができる。
【0019】このため、斜め前方からの衝突荷重をクロ
スメンバを介して非衝突側のサイドメンバに分散伝達す
ることができ、ひいては車両側端部に局部的に作用する
衝突エネルギーを車体前部全体で効率良く吸収すること
ができる。
【0020】請求項3に記載の発明によれば、請求項2
の発明の効果に加えて、前記受け部の車両前後方向幅
を、前記クロスメンバの一般部の幅よりも大きくして、
前記傾斜面の長さを延長したので、受け部に入力される
斜め前方からの衝突荷重を広域で受けることができる。
【0021】請求項4に記載の発明によれば、請求項1
〜3の発明の効果に加えて、受け部の上下方向厚さを前
記クロスメンバの一般部の厚さよりも大きくしたので、
受け部が前輪のタイヤに干渉した時のクロスメンバ端部
の変形を抑えることができるため、サイドメンバの横倒
れ抑制を確実にして車体反力を更に高めることができる
とともに、荷重分散を高めて衝突エネルギーの吸収効率
をより高めることができる。
【0022】請求項5に記載の発明によれば、請求項2
〜4の発明の効果に加えて、前記傾斜面の車幅方向外側
の最側端部に、車体前後方向に沿ったフラット面を設け
たので、受け部によって前輪を内方から支持する際に、
このフラット面によって前輪の支持性を高めることがで
きて、サイドメンバの横倒れ防止効果をより高めること
ができる。
【0023】請求項6に記載の発明によれば、請求項1
〜5の発明の効果に加えて、連結部材は前記サイドメン
バの前端部であり、かつ、クロスメンバはサイドメンバ
の前端部上に跨るアッパークロスメンバとしたので、サ
イドメンバの上面を受け部の回転支持面とすることがで
きて該受け部の回転安定性を高めることができる。
【0024】請求項7に記載の発明によれば、請求項6
の発明の効果に加えて、サイドメンバの前端部からサス
ペンションアームの取り付け位置との間の軸方向剛性
を、サスペンションアームの取り付け位置から後方部分
の軸方向剛性よりも小さくしたので、サイドメンバの圧
壊はサスペンションアームの取り付け位置よりも前方部
分から開始される。
【0025】このため、衝突荷重の入力時には、クロス
メンバに設けた受け部が早いタイミングで前輪に干渉し
て車体反力を高めることができるので、サイドメンバの
横倒れを早期に防止して、このサイドメンバの圧壊挙動
をより安定化させることができて、衝突エネルギーの吸
収効果を高めることができる。
【0026】請求項8に記載の発明によれば、請求項1
〜5の発明の効果に加えて、クロスメンバを、サブフレ
ームの左右1対のサイドフレームの前端部と、左右1対
のサイドメンバの前端部下面との連結部間に跨るロアー
クロスメンバとしてあるため、該ロアークロスメンバと
して、サブフレームの左右1対のサイドフレームの前端
部を車幅方向に連結するフロントフレームを有効利用で
きて、部品点数を削減することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面と
共に詳述する。
【0028】(第1実施形態)図1〜図7は本発明にか
かる車体前部構造の第1実施形態を示し、図1は本発明
の対象とする自動車の外観斜視図、図2は車体前部の骨
格構造を示す斜視図、図3は衝突荷重の入力前を示す車
体前部右側の平面図、図4は斜め前方からの衝突荷重の
入力状態を示す車体前部右側の平面図、図5は正面方向
からの衝突荷重の入力状態を示す車体前部右側の平面
図、図6は斜め前方からの衝突荷重が車体前部の車幅方
向端部に入力した状態を示す車体前部右側の平面図、図
7は正面からの衝突荷重が車体前部の車幅方向端部に入
力した状態を示す車体前部右側の平面図である。
【0029】この第1実施形態の車体1の前部構造10
は、図2に示すようにサイドメンバ11およびサイドメ
ンバ11の後方側に連なるエクステンションサイドメン
バ12やサイドシル13などを備えて車体骨格が構成さ
れる。
【0030】前記サイドメンバ11は、車体前部の車幅
方向(X方向)に対を成して車両前後方向(Y方向)に
延設されるとともに、このサイドメンバ11の後方端部
に、図外のダッシュパネル部分で下向きの傾斜部分12
aを介して前記エクステンションサイドメンバ12が車
両前後方向に連設され、各エクステンションサイドメン
バ12の車幅方向外方に前記サイドシル13が所定間隔
をおいて略平行に配置される。
【0031】これらエクステンションサイドメンバ12
とサイドシル13は、それぞれの前端部同士が車両外方
に向かって後方に傾斜するアウトリガー14を介して相
互に連結され、それぞれの上側にフロアパネル15が敷
設されてキャビン16が形成される。
【0032】前記1対のサイドメンバ11には、図3に
も示すように、それぞれの前端部11a上に跨ってクロ
スメンバとしてのアッパークロスメンバ17が設けら
れ、このアッパークロスメンバ17よりも車両後方に位
置する部分に、前輪18を支持したサスペンションアー
ム19が取り付けられている。
【0033】ここで、この実施形態にあっては前記アッ
パークロスメンバ17の車幅方向両端部に、外側後方端
部20aが前記前輪18の内側18aにおける前端近傍
に配置される受け部20を設けてある。
【0034】そして、前記受け部20の前端部またはそ
の近傍部を、前記1対のサイドメンバ11の各前端部1
1a上に、車両上下方向の仮想軸を回転軸とする回動連
結点Cを介して略水平に回転可能に連結してある。
【0035】前記受け部20は、図3に示すように、そ
の外側縁に車両後方に行くに従って車幅方向外側に広が
る傾斜面21が形成され、受け部20の車両前後方向幅
W1を前記アッパークロスメンバ17の一般部17aの
幅W2よりも大きく形成して、前記傾斜面12の長さを
延長してある。
【0036】また、前記サイドメンバ11は、その前端
から図2に示すサスペンションアーム19の取り付け位
置Kとの間Aの軸方向剛性を、サスペンションアーム1
9の取り付け位置から後方部分Bの軸方向剛性よりも小
さくしてある。
【0037】以上の構成により第1実施形態の車体前部
構造にあっては、図4に示すように車両前端部中央に相
手側の衝突物体Mが斜め前方から衝突して衝突荷重Fが
入力すると、アッパークロスメンバ17の略中央部が車
両後方に撓み変形する。
【0038】図3では、アッパークロスメンバ17の、
衝突荷重Fが入力した時間経過に沿った変形状態を衝突
初期から順を追ってt0,t1,t2として示してあ
り、また、それぞれの変形状態における入力荷重をFt
0,Ft1,Ft2として示すものとする。
【0039】前記衝突荷重Fの入力によりアッパークロ
スメンバ17の中央部が、車両後方にt1,t2へと撓
み変形すると、このアッパークロスメンバ17の車幅方
向両端部の受け部20は回動連結点Cを中心として略水
平に回転し、このとき、図4に示すようにサイドメンバ
11の前端部11aは、斜め前方から入力される前記衝
突荷重Fの分力により車幅方向外側への変形を伴う。
【0040】つまり、衝突の際の車両への荷重の入力点
Fの位置は、衝突開始時の時刻t0から変形の進行と車
両の移動に伴って、時刻t1にはFt1、その後、時刻
t2にはFt2の入力点に移動するため、変形が進行し
て時刻t1のタイミング時には受け部20が前輪18の
前方へ張り出し、時刻t2のタイミング時には前輪18
の前端部より前方に位置した受け部20に衝突荷重Ft
2が作用するため、受け部20は前輪18の前側に対向
する方向に変形し、時刻t2時には実線で示した状態に
なる。
【0041】その結果、フロントサイドメンバ11に荷
重Fが作用して軸方向に圧壊変形する段階では、前記受
け部20が前輪18に干渉するため、受け部20から前
輪18およびサスペンションアーム19を経由した荷重
伝達経路が形成され、入力荷重Fに対して高い車体反力
が得ることができ、かつ、サイドメンバ11が軸圧壊し
てエネルギー吸収する際に、このサイドメンバ11が横
倒れして折れ曲がり変形するのを抑制して、衝突荷重の
吸収効率が低下するを防止することができる。
【0042】つまり、車両前端部に斜め前方から作用す
る衝突荷重Fを、入力時の荷重を利用してアッパークロ
スメンバ17を変形させ、その両端部に設けた受け部2
0を前輪18に積極的に干渉させることで車体反力を高
くし、かつ、受け部20の回動連結点Cでサイドメンバ
11の前側部に軸方向の荷重成分を発生させて、該サイ
ドメンバの横折れ変形を防止することにより、エネルギ
ー吸収量を増加することができる。
【0043】また、前記受け部20は左右のサイドメン
バ11の前端部を連結する車幅方向の骨格メンバとして
のアッパークロスメンバ17の端部に一体に形成したも
のであるため、部品点数が増加することはない。
【0044】しかも、サイドメンバ11の前端部上面が
受け部20の回転支持面となることから、該受け部20
の回転安定性を高めることができる。
【0045】次に、図5に示すようにフルラップ前面衝
突Pまたはオフセット前面衝突Qによって衝突物体Mか
ら衝突荷重Fが入力した場合は、衝突荷重Fがアッパー
クロスメンバ17およびサイドメンバ11に同時に作用
して、サイドメンバ11の軸圧壊に伴ってアッパークロ
スメンバ17が後方移動し、前記受け部20は前輪18
の内側18aにまで後退して、この前輪18を内方から
支持することができる。
【0046】このように、受け部20によって前輪18
を内方から支持することにより、サスペンションアーム
19を介してサイドメンバ11が横倒れするのを防止し
て、このサイドメンバ11の軸圧壊を後方まで安定的に
行うことができるようになり、衝突エネルギーの吸収効
率を高めることができる。
【0047】この実施形態では前記受け部20の外側縁
に、車両後方に行くに従って車幅方向外側に広がる傾斜
面21を形成してあるので、図6に示すように車体前部
の車幅方向端部(この実施形態では右側端部)に衝突物
体Mが斜め前方から衝突して衝突荷重Fが入力した場合
に、この衝突荷重Fを前記傾斜面21で受けることがで
きる。
【0048】このため、斜め前方からの衝突荷重Fをア
ッパークロスメンバ17を介して非衝突側、つまり図外
の左側端部側のサイドメンバ11に分散伝達することが
でき、ひいては車両側端部に局部的に作用する衝突エネ
ルギーを車体前部全体で効率良く吸収することができ
る。
【0049】また、受け部20の車両前後方向幅W1
を、アッパークロスメンバ17の一般部の幅W1より大
きくすることにより前記傾斜面21の長さを延長したの
で、受け部20に入力される斜め前方からの衝突荷重F
を該傾斜面21により広域で受けることができる。
【0050】更に、このように受け部20に傾斜面21
が形成されることにより、図7に示すように車体前部の
車幅方向端部(この実施形態では右側端部)のみに衝突
物体Mが前方から衝突した場合、衝突時の時刻t0には
衝突物体Mの衝突角部が受け部20の傾斜面21に干渉
し、時刻t1にはやや車両側方部に干渉位置がずれる。
その後、時刻t2には衝突物体Mの衝突角部は更に車両
側方にずれて、前輪18の前端部をかすめる状態で車両
側方に外れるので、衝突による変形を最小限にとどめる
ことができる。
【0051】ところで、この第1実施形態では、サイド
メンバ11の前端からサスペンションアーム19の取り
付け位置との間Aの軸方向剛性を、サスペンションアー
ム19の取り付け位置から後方部分Bの軸方向剛性より
も小さくしたので、衝突荷重Fが入力した際のサイドメ
ンバ11の圧壊は、サスペンションアーム19の取り付
け位置から前方部分から開始される。
【0052】このため、衝突荷重Fの入力時には、アッ
パークロスメンバ17に設けた受け部20が早いタイミ
ングで前輪18に干渉して車体反力を高めることができ
るので、サイドメンバ11の横倒れを早期に防止して、
このフロントサイドメンバ11の圧壊挙動をより安定化
させることができるとともに、衝突エネルギーの吸収効
果を高めることができる。
【0053】図8は前記第1実施形態に開示した受け部
20の1つの変形例を示し、受け部20の上下方向厚さ
T1を前記アッパークロスメンバ17の一般部17aの
厚さT2よりも大きくしてある。
【0054】従って、このように受け部20を厚肉化し
たことにより、この受け部20が前輪18のタイヤ18
tに干渉した時のアッパークロスメンバ端部の変形を抑
えることができるため、フロントサイドメンバ11の横
倒れ抑制を確実にして車体反力を更に高めることができ
るとともに、荷重分散を促進して衝突エネルギーの吸収
効率をより高めることができる。
【0055】図9は前記第1実施形態に開示した受け部
20の他の変形例を示し、前記傾斜面21の車幅方向外
側の最側端部に、車体前後方向に沿ったフラット面22
を設けてある。
【0056】従って、このようにフラット面22を設け
たことにより、受け部20によって前輪18を内方から
支持する際に、このフラット面22によって前輪18の
支持性を高めることができるため、フロントサイドメン
バ11の横倒れ防止効果をより高めることができる。
【0057】尚、図8,図9に示した受け部20は、ア
ッパークロスメンバ17の車幅方向左端部に設けられる
ものを示す。
【0058】(第2実施形態)図10は本発明の第2実
施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一
符号を付して重複する説明を省略して述べる。尚、図1
0は車体前部の骨格構造を示す車体左側の斜視図であ
る。
【0059】この第2実施形態の車体前部構造10a
は、サイドメンバ11の下側にサブフレーム30を配設
するとともに、サブフレーム30の前端部に車幅方向に
設けられるフロントフレームをクロスメンバとしてのロ
アークロスメンバ31に有効利用したものである。
【0060】前記サブフレーム30は、サイドメンバ1
1の下方に配置されて図外のパワーユニットを支持する
ようになっており、このサイドメンバ11の下側に沿っ
て車両前後方向に延在する左右1対のサイドフレーム3
2と、1対のサイドフレーム32の前端部に跨って配置
される前記ロアークロスメンバ31と、1対のサイドフ
レーム32の後端部に跨って連設したリアフレーム33
とを備えている。
【0061】また、前記サブフレーム30の後部には、
サイドフレーム32とリアフレーム33との連設部から
車両後方かつ外方に傾斜して突出する延設部34が設け
られる。
【0062】サブフレーム30は、サイドフレーム32
の前端部に設けた第1締結点C1を介してサイドメンバ
11の前端部下側に設けた取付部35に連結されるとと
もに、サイドフレーム32の後端部に設けた第2締結点
C2を介してエクステンションサイドメンバ12の前端
部に連結され、更には延設部34の後端部に設けた第3
締結点C3を介してサイドシル13の前端部に連結され
る。尚、左右1対の前記サイドメンバ11の前端に跨っ
てバンパーレインフォース36が取り付けられている。
【0063】ここで、この第2実施形態では、前記ロア
ークロスメンバ31の車幅方向両端部に前記第1実施形
態と同様の受け部20を形成し、この受け部20の前端
部またはその近傍部を、前記第1締結部C1を回動連結
部Cとして、サイドフレーム32の前端部に略水平に回
転可能に連結してある。前記受け部20には前記第1実
施形態と同様に傾斜面21が形成される。
【0064】尚、図10中には省略したが、サイドメン
バ11には前記第1実施形態と同様に前輪を支持したサ
スペンションアームが取り付けられる。
【0065】従って、この第2実施形態の車体前部構造
10aにあっても、ロアークロスメンバ31に設けた受
け部20が前記第1実施形態と同様に作用して、第1実
施形態と同様の機能を奏することができる。
【0066】勿論、前記受け部20には、図8,図9に
示した変形例、つまり受け部20の厚肉化や傾斜面21
のフラット面22を適用することによっても、それぞれ
の機能を奏することができる。
【0067】また、前述のようにクロスメンバを、サブ
フレーム30の左右1対のサイドフレーム32の前端部
と、左右1対のサイドメンバ11の前端部下面との連結
部間に跨るロアークロスメンバ31としてあるため、該
ロアークロスメンバ31として、サブフレーム30の左
右1対のサイドフレーム32の前端部を車幅方向に連結
するフロントフレームを有効利用できて、部品点数を削
減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象とする自動車の外観斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態における車体前部の骨格
構造を示す斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態における衝突荷重の入力
前を示す車体前部右側の平面図。
【図4】本発明の第1実施形態における斜め前方からの
衝突荷重の入力状態を示す車体前部右側の平面図。
【図5】本発明の第1実施形態における正面方向からの
衝突荷重の入力状態を示す車体前部右側の平面図。
【図6】本発明の第1実施形態における斜め前方からの
衝突荷重が車体前部の車幅方向端部に入力した状態を示
す車体前部右側の平面図。
【図7】本発明の第1実施形態における正面からの衝突
荷重が車体前部の車幅方向端部に入力した状態を示す車
体前部右側の平面図。
【図8】本発明の第1実施形態の1つの変形例における
受け部の拡大斜視図。
【図9】本発明の第1実施形態の他の変形例における受
け部の拡大斜視図。
【図10】本発明の第2実施形態における車体前部の骨
格構造を示す車体左側の斜視図である。
【符号の説明】
10,10a 車体前部構造 11 サイドメンバ 11a サイドメンバの前端部 17 アッパークロスメンバ(クロスメンバ) 17a クロスメンバの一般部 18 前輪 18a 前輪の内側 19 サスペンションアーム 20 受け部 20a 受け部の外側後方端部 21 傾斜面 22 フラット面 30 サブフレーム 31 ロアークロスメンバ(クロスメンバ) C 連結点

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体前部の車幅方向両側に位置して車両
    前後方向に延在し、前後方向中間部位に前輪を支持した
    サスペンションアームを取り付けるための左右1対のサ
    イドメンバと、 前記1対のサイドメンバの前端部に跨って配設されて車
    幅方向に延在するクロスメンバと、を備えた車体前部構
    造において、 前記クロスメンバの車幅方向両端部に、外側後方端部が
    前記前輪の内側前端の近傍に配置される受け部を設け、
    この受け部の前端部またはその近傍部を、前記サイドメ
    ンバの前端部に略水平に回転可能に連結したことを特徴
    とする車体前部構造。
  2. 【請求項2】 受け部の外側縁に、車両後方に行くに従
    って車幅方向外側に広がる傾斜面を形成したことを特徴
    とする請求項1に記載の車体前部構造。
  3. 【請求項3】 受け部の車両前後方向幅を、前記クロス
    メンバの一般部の幅よりも大きくしたことを特徴とする
    請求項2に記載の車体前部構造。
  4. 【請求項4】 受け部の上下方向厚さを、前記クロスメ
    ンバの一般部の厚さよりも大きくしたことを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の車体前部構造。
  5. 【請求項5】 傾斜面の車幅方向外側の最側端部に、車
    体前後方向に沿ったフラット面を設けたことを特徴とす
    る請求項2〜4のいずれかに記載の車体前部構造。
  6. 【請求項6】 クロスメンバがサイドメンバの前端部上
    に跨るアッパークロスメンバであることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれかに記載の車体前部構造。
  7. 【請求項7】 サイドメンバの前端部からサスペンショ
    ンアームの取り付け位置との間の軸方向剛性を、サスペ
    ンションアームの取り付け位置から後方部分の軸方向剛
    性よりも小さくしたことを特徴とする請求項6に記載の
    車体前部構造。
  8. 【請求項8】 クロスメンバが、サイドメンバの下方に
    配置されたサブフレームの左右1対のサイドフレームの
    前端部と、左右1対のサイドメンバの前端部下面との連
    結部間に跨るロアークロスメンバであることを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれかに記載の車体前部構造。
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