JP2003127351A

JP2003127351A - インクジェット記録方法

Info

Publication number: JP2003127351A
Application number: JP2001329430A
Authority: JP
Inventors: Hiroyuki Ueki; 弘之植木; Hiroyuki Endo; 浩幸遠藤; Yasuharu Onishi; 康晴大西
Original assignee: Fuji Xerox Co Ltd
Current assignee: Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date: 2001-10-26
Filing date: 2001-10-26
Publication date: 2003-05-08

Abstract

(57)【要約】【課題】コピー用紙やレポート用紙などの普通紙に対
し、高密度用のノズル配列を有する印字ヘッドを用い
て、双方向のヘッド移動時に印字することで、定着速度
が速く、また、双方向印字時に色ズレやブリーディング
を生じさせずに印字品位が優れた印字を行うインクジェ
ット記録方法に関する技術を提供する点にある。【解決手段】本実施の形態に係るインクジェット記録
方法を実行するためのインクセットは、着色材と、ポリ
エチレングリコール（平均分子量２００）、ジエチレン
グリコールモノブチルエーテルを含有するインク組成物
を用いたインクを備え、特に、着色剤において、図１の
一般式で示される化合物を含有する。また、上記のイン
クを備えたインクセットを用いて普通紙に対し、インク
を吐出するノズル配列に対応する印字幅を有した３６０
ｄｐｉを越える／以上の解像度の印字データを、一回の
ヘッド走査によって印字する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録方法に関し、コピー用紙、レポート用紙等オフィスや
家庭で一般に使用されている普通紙に対するインクジェ
ット記録方法に属する。

【０００２】

【従来の技術】従来、インクジェットプリンタによる印
字は、様々な吐出方法によりインク滴を形成し、それら
の一部もしくは全部を紙やプラスチックフィルムのよう
な記録媒体に付着させて記録を行われてきた。近年、イ
ンクジェットプリンタは低騒音、低ランニングコスト且
つカラー印字の容易さなどの利点からコンピュータなど
のデジタル信号出力装置として広く普及し、電子写真方
式のプリンタ以上の高速印字が望まれるようになった。

【０００３】このようなインクジェット記録方式に用い
られるインク組成物としては、各種の染料及び顔料を、
水又は水と水溶性有機溶剤とからなる液媒体に溶解又は
分散させたものがある。また、これらインク組成物には
一般的に滲みがなく、定着速度が速いこと、休止時間を
置いてもプリンタヘッドのノズルを詰まらせないことな
どが要求されている。これらの性能を満たすために、イ
ンク及び装置の両面からの検討がなされており、上記し
たユーザーからの要求のうち一部の要求を満たす技術は
開発されてきている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術には以下に掲げる問題点があった。オフィスにおい
て、環境問題を考慮した結果、再生紙など被記録面に繊
維が露呈し、更に、サイジング処理されている一般の普
通紙が多く利用されるようになっている。また、大量に
印字する状況が多いために高速印字且つ高品質のカラー
画像印字に対する要求が高まっている。このような状況
において、ユーザーからの上記の要求を十分に満足でき
るインク組成物を利用したインクジェット記録方法は開
発されていない。

【０００５】インクジェットプリンタの印字ヘッドには
一般に黒→シアン→マゼンダ→イエローのように各色の
インクを吐出するノズルなどが配列されている。このよ
うな印字ヘッドが記録媒体に対して左右に移動して画像
を形成する一般的なインクジェットプリンタでは、ヘッ
ドのホームポジションから反対側への移動時とホームポ
ジションへ戻ってくる移動時とで印字することが可能で
ある。

【０００６】このような双方向印字を行うと、高速印字
の要求には有効であるが、複数色が重なって現される色
においてヘッドの行き返りによって色ズレが生じる。こ
れは先に紙媒体に印字された色が強調され、後から印字
された色が薄れてしまうからである。この問題に対し、
一般には単位面積あたりにインクを吐出するノズル数を
減らして数回の走査で印字して色ズレを目立たなくして
いる。

【０００７】また、ノズル配列をＣ（シアン）色→Ｍ
（マゼンダ）色→Ｍ（マゼンダ）色→Ｃ（シアン）色の
ように双方向で印字する色順序を同じようにした構造の
ヘッドを用いる方法もあるが、走査回数を増やして双方
向色ズレを目立たなくすると印字速度が相対的に遅くな
る欠点があり、ノズル配列に特徴を持たせたヘッド構造
は製造コストが高くなる。

【０００８】更に、高速印字を可能にするためにインク
ジェットヘッドのノズル数を増やした高密度ノズル配列
ヘッドを用いて、１回の走査で広い範囲を印字して全体
の印字速度を高める手法があるが、このような高速印字
方法に従来のインクジェット記録用インクを用いて印字
すると、印字媒体に吐出されたインク滴が十分に定着す
る前に隣接してインク滴が吐出されブリーディングと呼
ばれる滲みが著しく発生し印字品位が劣るようになって
しまうという問題点があった。

【０００９】本発明は斯かる問題点を鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは、コピー用紙やレポ
ート用紙のような被記録面に繊維が露呈し、更に、サイ
ジング処理されている一般の普通紙に対し、高密度用の
ノズル配列を有する印字ヘッドを用いて、双方向のヘッ
ド移動時に印字することで、定着速度が速く、また、双
方向印字時に色ズレやブリーディングを生じさせずに印
字品位が優れた印字を行うインクジェット記録方法に関
する技術を提供する点にある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の本発明の
要旨は、コピー用紙やレポート用紙などの普通紙に利用
されるインクジェット記録方法であって、インクを吐出
するノズル配列に対応する印字幅を有した３６０ｄｐｉ
を越える／以上の解像度の印字データを、一回のヘッド
走査によって印字する印字工程を備え、該印字工程は、
ジエチレングリコールモノブチルエーテルと、平均分子
量が２００のポリエチレングリコールと、水と、着色剤
とを含有するインク組成物を有するインクセットを用い
て印字を行うことを特徴とするインクジェット記録方法
に存する。請求項２記載の本発明の要旨は、前記印字工
程は、各色のインクを備えたインクセットを用いて印字
をする工程を含み、前記インクセットにおいて、ブラッ
ク色以外の各色のインクは前記インク組成物を含有する
ことを特徴とする請求項１に記載のインクジェット記録
方法に存する。請求項３記載の本発明の要旨は、前記印
字工程は、前記ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ルの含有量が各インクの総重量の１〜５％重量となるイ
ンクを用いることを特徴とする請求項１又は２に記載の
インクジェット記録方法に存する。請求項４記載の本発
明の要旨は、前記印字工程は、前記ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテルの含有量が各インクの総重量の３
〜４％重量となるインクを用いることを特徴とする請求
項１乃至３のいずれかに記載のインクジェット記録方法
に存する。請求項５記載の本発明の要旨は、前記印字工
程は、前記ポリエチレングリコールの含有量が各インク
の総重量の４〜８重量％となるインクを用いることを特
徴とする請求項１乃至４のいずれかに記載のインクジェ
ット記録方法に存する。請求項６記載の本発明の要旨
は、前記印字工程は、前記ポリエチレングリコールの含
有量が各インクの総重量の６〜７重量％となるインクを
用いることを特徴とする請求項１乃至５のいずれかに記
載のインクジェット記録方法に存する。請求項７記載の
本発明の要旨は、前記印字工程は、前記着色剤が水溶性
染料であるインクを用いることを特徴とする請求項１乃
至６のいずれかに記載のインクジェット記録方法に存す
る。請求項８記載の本発明の要旨は、前記印字工程は、
前記着色剤の含有量が各インクの総重量の３〜６重量％
となるインクを用いることを特徴とする請求項１乃至７
のいずれかに記載のインクジェット記録方法に存する。
請求項９記載の本発明の要旨は、前記印字工程は、前記
着色剤に下記一般式で示される化合物を含むインクを用
いることを特徴とする請求項１乃至８のいずれかに記載
のインクジェット記録方法に存する。

【化３】（式中、Ａは、環内に２個乃至３個のヘテロ原子を有す
る複素環化合物を表し、Ｘ及びＹは、水素、炭素数１〜
６のアルキル基、又は、炭素数１〜６のアルコキシル
基、又は、置換基がＳＯ_３Ｎａである炭素数１〜６の置
換アルキル、又は、置換基がＯＨである炭素数１〜６の
置換アルキルを表し、ＸとＹとは互いに同一の場合、又
は、異なっている場合があり、Ｒは、水素、又は、炭素
数１〜６のアルキル基であり、Ｚは、炭素数１〜６の置
換アルキレン基である。）請求項１０記載の本発明の要旨は、前記印字工程は、前
記着色剤に下記一般式で示される化合物を含むインク組
成物と、Ｃ．Ｉ．ダイレクトイエロー１３２を含むイン
ク組成物と、Ｃ．Ｉ．ダイレクトブルー１９９を含むイ
ンク組成物とを有するインクセットを使用することを特
徴とする請求項１乃至９のいずれかに記載のインクジェ
ット記録方法に存する。

【化４】（式中、Ａは、環内に２個乃至３個のヘテロ原子を有す
る複素環化合物を表し、Ｘ及びＹは、水素、炭素数１〜
６のアルキル基、又は、炭素数１〜６のアルコキシル
基、又は、置換基がＳＯ_３Ｎａである炭素数１〜６の置
換アルキル、又は、置換基がＯＨである炭素数１〜６の
置換アルキルを表し、ＸとＹとは互いに同一の場合、又
は、異なっている場合があり、Ｒは、水素、又は、炭素
数１〜６のアルキル基であり、Ｚは、炭素数１〜６の置
換アルキレン基である。）請求項１１記載の本発明の要旨は、前記印字工程は、イ
ンクのブリーディングを少なくするために、単色のベタ
印字上に他の色のドットラインを印字したときのオンド
ットＴＥＰ値と、単色のみでドットラインを印字したと
きの単色ＴＥＰ値との比率において、オンドットＴＥＰ値／単色ＴＥＰ値≦１．５且つ、双方向印字色ズレを少なくするために、双方向の
印字における色差であるΔＥについて、 ΔＥ＜２を満たす各インクを使用したインクセットを用いて印字
することを特徴とする請求項１乃至１０のいずれかに記
載のインクジェット記録方法に存する。請求項１２記載
の本発明の要旨は、コピー用紙やレポート用紙などの普
通紙に対応するインクセットであって、請求項１乃至１
１のいずれかに記載のインクジェット記録方法における
印字工程で用いられるインク組成物を含有する各色のイ
ンクを備えるインクセットに存する。

【００１１】なお、本発明において、ＴＥＰ（Ｔａｎｇ
ｅｎｔｉａｌＥｄｇｅＰｒｏｆｉｌｅ）値は、文字の理
想的な輪郭線に対する画像境界の変位を意味し、理想化
された境界線に対する画像境界の標準偏差で表される。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。本実施の形態に係るインク
ジェット記録方法を実行するためのインクセットは、着
色材と、ポリエチレングリコール＃２００（平均分子量
２００）、ジエチレングリコールモノブチルエーテルを
含有するインク組成物を用いたインクを備え、特に、着
色剤において、図１の一般式で示される化合物を含有す
る。図中、Ａは、環内に２個乃至３個のヘテロ原子を有
する複素環化合物を表す。また、本実施の形態に係るイ
ンクジェット記録方法は、上記のインクを備えたインク
セットを用いてコピー用紙やレポート用紙などの普通紙
に対し、インクを吐出するノズル配列に対応する印字幅
を有した３６０ｄｐｉを越える／以上の解像度の印字デ
ータを、一回のヘッド走査によって印字する。

【００１３】本実施の形態に関して、発明者らは双方向
印字時の色ズレを防ぐにはインク組成物の記録媒体への
浸透を遅くすることで定着を遅らせ、記録媒体表面でイ
ンクが混色するような作用が有効であり、ブリーディン
グを防ぐにはインク組成物の記録媒体への浸透を速くす
ることが有効であることを既に見出している。

【００１４】また、本発明者らはインク組成物中にジエ
チレングリコールモノブチルエーテルとポリエチレング
リコール＃２００（平均分子量２００）を含有すること
で、このような相反する挙動のバランスを最適にし、双
方向色ズレを防ぎ、更に、ブリーディングを抑制できる
ことを見出した。

【００１５】本発明の実施の形態に係るインクジェット
記録方法に使用されるインクセットは、ブラック色以外
の複数色のインク全てが、ポリエチレングリコール＃２
００（平均分子量２００）、ジエチレングリコールモノ
ブチルエーテルを含有するインク組成物を有する。

【００１６】ブラック色以外の複数色インクの全てに、
上記化合物を配合することによって、インクセットとし
ての双方向印字時の色ズレが抑制される上に、インクセ
ットを構成する全ての複数色インクでのブリーディング
が抑制され、インクセットとしてインクの印字品位が大
幅に向上する。

【００１７】双方向印字時の色ズレは、Ｙ色とＣ色の混
合によるＧ色のような２次色を双方向それぞれでベタ印
字し、その色差ΔＥを測定して評価した。インク組成物
はΔＥが３以下であり、より好ましくは２以下である。

【００１８】ブリーディングの評価はインク組成物を普
通紙にベタ印字し、他色インクをベタ印字部に１ドット
のラインを印字した際のＴＥＰ値を測定して行った。イ
ンク組成物はベタ印字部に１ドットラインを印字した際
のＴＥＰ値が、普通紙に単独で１ドットラインを印字し
たときのＴＥＰ値の２倍以下であり、より好ましくは
１．５倍以下である。

【００１９】本実施の形態で用いたＴＥＰ（Ｔａｎｇｅ
ｎｔｉａｌＥｄｇｅＰｒｏｆｉｌｅ）値は、文字の理想
的な輪郭線に対する画像境界の変位である。ＴＥＰ値は
理想化された境界線に対する画像境界の標準偏差で表さ
れる。

【００２０】ＴＥＰ値の具体的な測定方法は「ファイン
イメージングとハードコピー」（（社）日本写真学会、
日本画像学会；合同出版委員会編；コロナ社）や「続；
電子写真技術の基礎と応用」（電子写真学会編；コロナ
社）を参考にした。

【００２１】本実施の形態におけるインクは、ポリエチ
レングリコール＃２００の含有量がインク総重量に対し
て、４〜８重量％であるのが好ましい。より好ましくは
６〜７重量％である。インク中に、４重量％未満のポリ
エチレングリコール＃２００を配合した場合、ポリエチ
レングリコール＃２００は保湿剤として十分な役割を果
たさず、また、インク組成物の記録媒体への浸透が著し
く速くなってしまう。一方で、８％を超える量のポリエ
チレングリコール＃２００を配合した場合、粘度が著し
く上昇してしまい、インクジェットプリンタ用インクと
しての十分な吐出安定性が確保できない。

【００２２】本実施の形態におけるインクは、ジエチレ
ングリコールモノブチルエーテルの含有量がインク総重
量に対して、１〜５重量％であるのが好ましい。より好
ましくは３〜４重量％である。インク中に、１重量％未
満のジエチレングリコールモノブチルエーテルを配合し
た場合、紙面上で十分な乾燥性が得られず、一方で、５
％を超える量のジエチレングリコールモノブチルエーテ
ルを配合した場合、記録媒体への浸透が著しく紙面上で
滲みなどを生じさせてしまう。

【００２３】本実施の形態におけるインク組成物を構成
する他の成分としては、まず色材として直接染料、酸性
染料、塩基性染料、反応染料等の水溶性染料がある。

【００２４】具体的にはＣ．Ｉ．ダイレクトイエロー２
３、５０、８６、１００、１３２、１４２、１４４、１
５７、Ｃ．Ｉ．ダイレクトレッド８３、２２７、Ｃ．
Ｉ．ダイレクトブルー７６、８６、１０８、１９９、２
３６などの直接染料がある。

【００２５】また、Ｃ．Ｉ．アシッドイエロー２３、４
２、Ｃ．Ｉ．アシッドレッド３５、４０、５２、８７、
１８６、２５４、２８９、Ｃ．Ｉ．アシッドブルー９、
７８、８２、８６、２３４などの酸性染料がある。

【００２６】更に、Ｃ．Ｉ．リアクティブレッド２４、
１２０、１８０などの反応染料があり、それぞれ単独又
は複数同時に用いられる。

【００２７】これらの着色剤の好ましい含有量は液媒体
成分の種類、インクに要求される特性等に依存して決定
されるが、一般にはインク全重量に対して０．１〜１０
重量％、好ましくは１〜６重量％の範囲である。１０重
量％以上の染料を添加した場合、インクとしての安定性
が悪いために、ヘッド吐出部で目詰まりを生じさせやす
く、粘度も大幅に増加してしまう。一方、染料添加量が
１重量％未満の場合は、染料濃度が薄いために良好な印
字画像が得られない等の問題点がある。インクに下記一
般式（Ｉ）で示される化合物を配合した場合、良好な色
調が得られ、インクセットとしての色再現性が優れる。
また、このインクを印字することによって高い耐光安定
性を有する写真画像を得ることができる。

【００２８】

【化５】

【００２９】（式中、Ａは、環内に２個乃至３個のヘテ
ロ原子を有する複素環化合物を表し、Ｘ及びＹは、水
素、炭素数１〜６のアルキル基、又は、炭素数１〜６の
アルコキシル基、又は、置換基がＳＯ_３Ｎａである炭素
数１〜６の置換アルキル、又は、置換基がＯＨである炭
素数１〜６の置換アルキルを表し、ＸとＹとは互いに同
一の場合、又は、異なっている場合があり、Ｒは、水
素、又は、炭素数１〜６のアルキル基であり、Ｚは、炭
素数１〜６の置換アルキレン基である。）これらの色材を溶解する水性液媒体としては、一般的に
インクジェット記録用インクに使用されているものはい
ずれも使用でき、水及び水溶性有機溶剤が好ましく、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリ
ン、プロピレングリコールなどのグリコール類、２−ピ
ロリドン、Ｎ−メチル−２−ピロリドンなどから適宜選
択することができ、使用量はインク全重量に対して１〜
４０重量％が好ましい。

【００３０】更に、尿素、トリエタノールアミン、ジエ
タノールアミンなどを溶解補助剤として用いることがで
き、その添加量は１〜５重量％が好ましい。

【００３１】その他、従来公知の各種界面活性剤、粘度
調整剤、ｐＨ調整剤、防カビ剤等を添加することが可能
である。

【００３２】実施の形態に係るインクジェット記録方法
は上記の如く構成されているので、以下に掲げる効果を
奏する。

【００３３】双方向印字時の色ズレを防ぐにはインク組
成物の記録媒体への浸透を遅くし、結果として定着を遅
らせ、記録媒体表面でインクが混色するような作用が有
効であり、ブリーディングを防ぐにはインク組成物の記
録媒体への浸透を速くすることが有効であるので、イン
ク組成物中にジエチレングリコールモノブチルエーテル
とポリエチレングリコール＃２００（平均分子量２０
０）を含有し、インクを吐出するノズル配列に相当する
印字幅を有する３６０ｄｐｉの解像度の印字データを一
回のヘッド走査によって双方向で印字することで、この
ような相反する挙動のバランスを最適にし、双方向色ズ
レを防ぎ、更に、ブリーディングを抑制することができ
る。

【００３４】また、利用されるインク組成物において、
ブラック色以外の複数色のインク全てが、ポリエチレン
グリコール＃２００（平均分子量２００）、ジエチレン
グリコールモノブチルエーテルを含有するインク組成物
であり、ブラック色以外の複数の色インクの全てに、上
記化合物を配合することによって、インクセットとして
の双方向印字時の色ズレが抑制される上に、インクセッ
トが有する全ての色インクの利用時におけるブリーディ
ングが抑制され、このインクセットを利用したインクジ
ェット記録方法でのインクの印字品位が大幅に向上す
る。

【００３５】

【実施例】以下、実施例をもとに、本発明を詳細に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施
例に限定されない。

【００３６】（印字）シアン色、マゼンダ色及びイエロ
ー色の３色を有するインクセットを用いて、１滴のイン
ク液滴量が２０ピコリットルとなるように調整されたピ
エゾ型インクジェットプリンタにて、解像度３６０ｄｐ
ｉの格子全てに配置されるように普通紙に水性インクを
印字して印字サンプルを作製した。印字は２ｃｍ＆ｔｉ
ｍｅｓ；７ｃｍの範囲にベタ印刷でシアン色、マゼンダ
色、イエロー色印字し、それぞれのベタ印字上に他色の
１ドットラインを印字した。これと、ベタ印字部以外に
単色で１ドットラインを形成した際のＴＥＰ値を比較
し、ブリーディングの評価を行った。

【００３７】同様に双方向印字時の色ズレは２ｃｍ＆ｔ
ｉｍｅｓ；７ｃｍの範囲にベタ印刷でグリーン色等の２
次色を印字し、双方向それぞれの色差ΔＥを測定して評
価した。なお、グリーン色はイエロー色、シアン色を
１：１に配列して作製した。また、印字紙は富士ゼロッ
クス製Ｌ紙を使用した。

【００３８】（ブリーディング評価）ＴＥＰ値の測定は
王子計測機器社製ドットアナライザーＤＡ−６０００を
用いて前記１ドットラインを画像取り込みし、ドットア
ナライザー付属のソフトウェア上でＴＥＰ値を計測し
た。ソフトウェア上では取り込んだ１ドットライン画像
を閾値６０％にて２値化した。また、評価結果は以下の
ように判定した。

【００３９】 ◎：オンドットＴＥＰ値／単色ＴＥＰ値≦１．５ ○：オンドットＴＥＰ値／単色ＴＥＰ値≦２ ×：オンドットＴＥＰ値／単色ＴＥＰ値＞２

【００４０】（双方向印字色ズレ評価）富士ゼロックス
Ｌ紙にイエローインクとシアンインクとを用いて混色の
青色ベタを双方向でそれぞれ印字し、双方向の色差ΔＥ
を、ＧｒｅｔａｇＭａｃｂｅｔｈ製Ｓｐｅｃｔｒｏｌｉ
ｎｏを用いて測定した。また、評価結果は以下のように
判定した。

【００４１】 ◎：ΔＥ＜２ ○：２≦ΔＥ＜３ ×：３≦ΔＥ

【００４２】（評価用インク）ジエチレングリコール１
０重量％、グリセリン６重量％、オルフィンＥ１０１０
（日信化学製）０．３重量％及び以下の表１にある組成
でインクを作製した。なお、表中数値は重量％であり、
残部はイオン交換水である。ＴＥＰ値は単独で１ドット
ラインを形成したときの測定値である。測定値の結果を
表１に示す。

【００４３】

【表１】

【００４４】以上の結果からジエチレングリコールモノ
ブチルエーテルを１〜５重量％添加した組成のインクが
ＴＥＰ値は良好であることがわかる。更に、ポリエチレ
ングリコール＃２００の添加量は４〜８重量％が好まし
い。また、トリエチレングリコールモノエチルエーテル
を３重量％添加したインクもＴＥＰ値は良好であった。

【００４５】続いてブリーディング、双方向印字時色ズ
レを検証するために以下のインク組成をマゼンダ色に適
用した。なお、ブリーディングはＣ−３の組成で染料に
ダイレクトイエロー１３２を用いたインクでベタ印字
し、このベタ印字上に１ドットラインを形成した際のＴ
ＥＰ値を測定した。表２、表３にブリーディングの評価
結果を示す。

【００４６】

【表２】

【００４７】

【表３】

【００４８】ブリーディング良好な組成のインクを用い
た双方向印字時の色ズレ評価結果を表４に示す。

【００４９】

【表４】

【００５０】なお、本実施の形態においては、本発明は
それに限定されず、本発明を適用する上で好適なインク
ジェット記録方法に関する技術に適用することができ
る。

【００５１】また、上記構成部材の数、位置、形状等は
上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好
適な数、位置、形状等にすることができる。

【００５２】なお、各図において、同一構成要素には同
一符号を付している。

【００５３】

【発明の効果】本発明は以上のように構成されているの
で、以下に掲げる効果を奏する。高密度ノズル配列を有
する印字ヘッドを用いて双方向のヘッド移動時に印字す
る記録方法を用いて、コピー用紙、レポート用紙のよう
な被記録面に繊維が露呈し、更に、サイジング処理され
ている一般の普通紙に対し、定着速度が速く、しかも双
方向印字時に色ズレ、ブリーディングを生じない印字記
録を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態に係るインクジェット記録
方法に用いられるインク組成物における化合物の一例の
一般式である。

【符号の説明】

Ａ複素環化合物

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ｂ４１Ｊ 3/04 １０１Ｚ (72)発明者大西康晴東京都港区芝五丁目７番１号日本電気株式会社内Ｆターム(参考） 2C056 FA11 FC01 FD20 2H086 BA01 BA02 BA53 BA57 BA59 BA60 BA62 4J039 AE07 BC13 BE01 BE02 CA03 CA06 GA24

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】コピー用紙やレポート用紙などの普通紙
に利用されるインクジェット記録方法であって、インクを吐出するノズル配列に対応する印字幅を有した
３６０ｄｐｉを越える／以上の解像度の印字データを、
一回のヘッド走査によって印字する印字工程を備え、該印字工程は、ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ルと、平均分子量が２００のポリエチレングリコール
と、水と、着色剤とを含有するインク組成物を有するイ
ンクセットを用いて印字を行うことを特徴とするインク
ジェット記録方法。
【請求項２】前記印字工程は、各色のインクを備えた
インクセットを用いて印字をする工程を含み、前記インクセットにおいて、ブラック色以外の各色のイ
ンクは前記インク組成物を含有することを特徴とする請
求項１に記載のインクジェット記録方法。
【請求項３】前記印字工程は、前記ジエチレングリコ
ールモノブチルエーテルの含有量が各インクの総重量の
１〜５％重量となるインクを用いることを特徴とする請
求項１又は２に記載のインクジェット記録方法。
【請求項４】前記印字工程は、前記ジエチレングリコ
ールモノブチルエーテルの含有量が各インクの総重量の
３〜４％重量となるインクを用いることを特徴とする請
求項１乃至３のいずれかに記載のインクジェット記録方
法。
【請求項５】前記印字工程は、前記ポリエチレングリ
コールの含有量が各インクの総重量の４〜８重量％とな
るインクを用いることを特徴とする請求項１乃至４のい
ずれかに記載のインクジェット記録方法。
【請求項６】前記印字工程は、前記ポリエチレングリ
コールの含有量が各インクの総重量の６〜７重量％とな
るインクを用いることを特徴とする請求項１乃至５のい
ずれかに記載のインクジェット記録方法。
【請求項７】前記印字工程は、前記着色剤が水溶性染
料であるインクを用いることを特徴とする請求項１乃至
６のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
【請求項８】前記印字工程は、前記着色剤の含有量が
各インクの総重量の３〜６重量％となるインクを用いる
ことを特徴とする請求項１乃至７のいずれかに記載のイ
ンクジェット記録方法。
【請求項９】前記印字工程は、前記着色剤に下記一般
式で示される化合物を含むインクを用いることを特徴と
する請求項１乃至８のいずれかに記載のインクジェット
記録方法。【化１】（式中、Ａは、環内に２個乃至３個のヘテロ原子を有す
る複素環化合物を表し、Ｘ及びＹは、水素、炭素数１〜
６のアルキル基、又は、炭素数１〜６のアルコキシル
基、又は、置換基がＳＯ_３Ｎａである炭素数１〜６の置
換アルキル、又は、置換基がＯＨである炭素数１〜６の
置換アルキルを表し、ＸとＹとは互いに同一の場合、又
は、異なっている場合があり、Ｒは、水素、又は、炭素
数１〜６のアルキル基であり、Ｚは、炭素数１〜６の置
換アルキレン基である。）
【請求項１０】前記印字工程は、前記着色剤に下記一
般式で示される化合物を含むインク組成物と、Ｃ．Ｉ．
ダイレクトイエロー１３２を含むインク組成物と、Ｃ．
Ｉ．ダイレクトブルー１９９を含むインク組成物とを有
するインクセットを使用することを特徴とする請求項１
乃至９のいずれかに記載のインクジェット記録方法。【化２】（式中、Ａは、環内に２個乃至３個のヘテロ原子を有す
る複素環化合物を表し、Ｘ及びＹは、水素、炭素数１〜
６のアルキル基、又は、炭素数１〜６のアルコキシル
基、又は、置換基がＳＯ_３Ｎａである炭素数１〜６の置
換アルキル、又は、置換基がＯＨである炭素数１〜６の
置換アルキルを表し、ＸとＹとは互いに同一の場合、又
は、異なっている場合があり、Ｒは、水素、又は、炭素
数１〜６のアルキル基であり、Ｚは、炭素数１〜６の置
換アルキレン基である。）
【請求項１１】前記印字工程は、インクのブリーディングを少なくするために、単色のベ
タ印字上に他の色のドットラインを印字したときのオン
ドットＴＥＰ値と、単色のみでドットラインを印字した
ときの単色ＴＥＰ値との比率において、オンドットＴＥＰ値／単色ＴＥＰ値≦１．５且つ、双方向印字色ズレを少なくするために、双方向の
印字における色差であるΔＥについて、 ΔＥ＜２を満たす各インクを使用したインクセットを用いて印字
することを特徴とする請求項１乃至１０のいずれかに記
載のインクジェット記録方法。
【請求項１２】コピー用紙やレポート用紙などの普通
紙に対応するインクセットであって、請求項１乃至１１
のいずれかに記載のインクジェット記録方法における印
字工程で用いられるインク組成物を含有する各色のイン
クを備えるインクセット。