JP2003123776A - 固体高分子型燃料電池用電極の製造方法 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用電極の製造方法

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JP2003123776A JP2001310252A JP2001310252A JP2003123776A JP 2003123776 A JP2003123776 A JP 2003123776A JP 2001310252 A JP2001310252 A JP 2001310252A JP 2001310252 A JP2001310252 A JP 2001310252A JP 2003123776 A JP2003123776 A JP 2003123776A
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electrolyte fuel
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多孔性・導電性・撥水性フィルムの特有の性
質を維持し、効率的な電極反応を達成できる固体高分子
型燃料電池用電極の製造方法を提供する。 【解決手段】 陽イオン交換高分子溶液中で、コロイド
を調製し陽イオン交換高分子・貴金属混合液を調製する
ステップ10〜14と、多孔性・導電性・撥水性フィル
ムに、陽イオン交換高分子・貴金属混合液を滴下するス
テップ16と、多孔性・導電性・撥水性フィルムを乾燥
させ、カソード触媒反応層を形成するステップ18と、
カソード触媒反応層と、陽イオン交換膜の第一面と結合
させるステップ22と、貴金属担持カーボンを陽イオン
交換高分子溶液に溶かし、スラリーを調製するステップ
24と、スラリーを高分子樹脂板に塗布し乾燥させるス
テップ26と、高分子樹脂板をカソード触媒反応層が結
合されていない陽イオン交換膜の第二面と結合させるス
テップ28とを含む固体高分子型燃料電池用電極の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体高分子型燃料
電池用電極の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、水素と酸素から水を得る電
池反応によって起電力を得ている。原料の水素は、メタ
ノールなどの原燃料と水を改質触媒の存在下に反応させ
て得られる。このような燃料電池のうち、固体高分子型
燃料電池(PEFC:Polymer Electro
lyte Fuel Cell)が優れた性能を発揮で
きるものとして注目されている。すなわち、固体高分子
型燃料電池では、水素を燃料とし、アノード(燃料
極)、カソード(空気極)における電極反応によって起
電力を得ている。
【0003】従来、固体高分子型燃料電池の電極は、多
孔性・導電性・撥水性フィルムに、Pt(白金)担持カ
ーボンや、Pt・Ru合金担持カーボンを担持すること
により製造されている。または、固体高分子型燃料電池
の電極は、多孔性・導電性・撥水性フィルムにPt化合
物溶液やRu化合物溶液を含浸し、水素還元することに
より製造されている。
【0004】これらのPt担持カーボンや、Pt・Ru
合金担持カーボンの粒径は大きい。このため、これらの
カーボンを多孔性・導電性・撥水性フィルムに担持する
と、多孔性・導電性・撥水性フィルムにおける孔がカー
ボンによって閉そくされ、撥水性およびガス拡散性が低
下してしまう。このため、アノード電極およびカソード
電極に燃料ガスとともに電極に持ち込まれた水および電
極反応での生成物である水が溜まってしまい電極反応の
効率が低下してしまう。
【0005】また、多孔性・導電性・撥水性フィルムに
Pt化合物溶液やRu化合物溶液を含浸し、水素還元す
るという電極の製造方法では、担持される貴金属がシン
タリング(凝集)して粒径が大きくなってしまい、比表
面積が減少する。このため、電極における反応活性点が
減少してしまい、電極反応の反応率が低下してしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を
鑑みてなされたのものであり、多孔性・導電性・撥水性
フィルムの特有の性質である多孔性、導電性および撥水
性を維持し、従来より比較して効率的な電極反応を達成
できる固体高分子型燃料電池用電極の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記問題を達成するため
に、本発明の固体高分子型燃料電池用電極の製造方法
は、陽イオン交換高分子溶液中で、コロイドを調製する
ことにより、陽イオン交換高分子・貴金属混合液を調製
するステップと、多孔性・導電性・撥水性フィルムに、
該陽イオン交換高分子・貴金属混合液を適用させ、電極
触媒反応層を形成するステップとを含む。
【0008】前記電極触媒反応層は、カソード触媒反応
層にできる。前記多孔性・導電性・撥水性フィルムに、
該陽イオン交換高分子・貴金属混合液を適用させ、電極
触媒反応層を形成するステップが、前記多孔性・導電性
・撥水性フィルムに、該陽イオン交換高分子・貴金属混
合液を滴下するステップと、多孔性・導電性・撥水性フ
ィルムを乾燥させ、電極触媒反応層を形成するステップ
とを含むことができる。本発明の固体高分子型燃料電池
用電極の製造方法では、陽イオン交換膜の第一面と第二
面に結合させるステップをさらに含むことができる。
【0009】本発明の固体高分子型燃料電池用電極の製
造方法では、前記電極触媒反応層と、陽イオン交換膜の
第一面とを結合させるステップと、貴金属担持カーボン
を該陽イオン交換高分子溶液に分散し、スラリーを調製
するステップと、該スラリーを高分子樹脂板に適用する
ステップと、該高分子樹脂板を、前記電極触媒反応層が
結合されていない前記陽イオン交換膜の第二面と結合さ
せるステップとをさらに含むことが好適である。
【0010】前記スラリーを高分子樹脂板に適用するス
テップが、前記スラリーを前記高分子樹脂板に塗布し、
乾燥させるステップを含むことができる。本発明に係る
固体高分子型燃料電池用電極の製造方法は、前記電極触
媒反応層と、陽イオン交換膜の第一面とを結合させるス
テップと、貴金属担持カーボンを該陽イオン交換高分子
溶液に分散し、スラリーを調製するステップと、該スラ
リーを該陽イオン交換膜の第二面に噴霧するステップと
をさらに含むことができる。なお、この噴霧は陽イオン
交換膜の第二面に直接、0.3〜0.5mgPt/cm
(好ましくは0.5mgPt/cm程度)になるよ
うに、スラリーを噴霧(スプレー)することが好まし
い。前記陽イオン交換高分子溶液は、パーフルオロスル
ホン酸系高分子を含むことができる。
【0011】前記陽イオン交換高分子溶液中でコロイド
を調製することにより、陽イオン交換高分子・貴金属混
合液を調製するステップは、該陽イオン交換高分子溶液
中に、白金化合物ならびにルテニウム化合物、または白
金化合物を含む溶液を添加するステップとしてもよい。
前記多孔性・導電性・撥水性フィルムは、ポリテトラフ
ルオルエチレンと、カーボンとを含む。
【0012】前記多孔性・導電性・撥水性フィルムにお
いて、ポリテトラフルオルエチレンの重量比率は、60
wt%〜90wt%であることを特徴とする。前記多孔
性・導電性・撥水性フィルムにおいて、気孔率は40〜
70%であり、導伝率は0.1〜10S/cmであり、
厚さは15〜80μmであるものが好適である。前記高
分子樹脂板が、ポリテトラフルオルエチレンであること
を特徴とする。
【0013】本発明の固体高分子型燃料電池用電極の製
造方法は、別の態様として、陽イオン交換高分子溶液中
で、コロイドを調製することにより、陽イオン交換高分
子・貴金属混合液を調製するステップと、多孔性・導電
性・撥水性フィルムと、貴金属板とを、該陽イオン交換
高分子・貴金属混合液に適用するステップと、多孔性・
導電性・撥水性フィルムに電圧を印可するステップと、
多孔性・導電性・撥水性フィルムを乾燥させ、電極触媒
反応層を形成するステップとを含む。
【0014】前記電極触媒反応層が、カソード触媒反応
層にすることができる。前記多孔性・導電性・撥水性フ
ィルムと、貴金属板とを、該陽イオン交換高分子・貴金
属混合液に適用するステップが、前記多孔性・導電性・
撥水性フィルムと、金属板とを、該陽イオン交換高分子
・貴金属混合液に浸漬するステップを含むことが好適で
ある。本発明に係る固体高分子型燃料電池用電極の製造
方法は、前記電極触媒反応層を陽イオン交換膜の第一面
と第二面に結合させるステップをさらに含むことができ
る。
【0015】本発明の固体高分子型燃料電池用電極の製
造方法では、前記カソード触媒反応層と、陽イオン交換
膜の第一面とを結合させるステップと、貴金属担持カー
ボンを前記陽イオン交換高分子溶液に分散し、スラリー
を調製するステップと、該スラリーを高分子樹脂板に塗
布し、乾燥させるステップと、 該高分子樹脂板を、前
記電極触媒反応層が結合されていない前記陽イオン交換
膜の第二面と結合させるステップとをさらに含むことが
好適である。本発明に係る固体高分子型燃料電池用電極
の製造方法は、前記電極触媒反応層と、陽イオン交換膜
の第一面とを結合させるステップと、貴金属担持カーボ
ンを該陽イオン交換高分子溶液に分散し、スラリーを調
製するステップと、該スラリーを該陽イオン交換膜の第
二面に噴霧するステップとをさらに含むことができる。
なお、この噴霧は陽イオン交換膜の第二面に直接、0.
3〜0.5mgPt/cm(好ましくは0.5mgP
t/cm程度)になるように、スラリーを噴霧(スプ
レー)することが好ましい。
【0016】前記陽イオン交換高分子溶液は、パーフル
オロスルホン酸系高分子を含むことができる。前記陽イ
オン交換高分子溶液中でコロイドを調製することによ
り、陽イオン交換高分子・貴金属混合液を調製するステ
ップは、該陽イオン交換高分子溶液中に、白金化合物な
らびにルテニウム化合物、または白金化合物を含む溶液
を添加するステップとしてもよい。前記多孔性・導電性
・撥水性フィルムは、ポリテトラフルオルエチレンと、
カーボンとを含むことを特徴とする。
【0017】前記多孔性・導電性・撥水性フィルムにお
いて、ポリテトラフルオルエチレンの重量比率は、60
wt%〜90wt%であることを特徴とする。前記多孔
性・導電性・撥水性フィルムにおいて、気孔率は40〜
70%であり、導伝率は0.1〜10S/cmであり、
厚さは15〜80μmであることを特徴とする。
【0018】前記高分子樹脂板が、ポリテトラフルオル
エチレンであることが好適である。前記多孔性・導電性
・撥水性フィルムに印可される電圧は、50mV〜20
0mVであることが好適である。
【0019】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明に係る固体高分子
型燃料電池用の電極の製造方法の実施の形態について、
図を用いながら詳細に説明する。固体高分子型燃料電池
では、その一実施の形態として、固体高分子膜を挟んで
燃料極側の白金触媒層と、空気極側の白金触媒層とを備
えている。ここで、アノード(燃料極)、カソード(空
気極)では、下記のような反応が行われる。
【0020】アノード電極において白金触媒層により、
以下の反応を起こさせる。 H2 → 2H++2e- この反応によって生じるH+が拡散する。 一方、カソ
ード電極において白金触媒層により、以下の反応を起こ
させる。 2H++2e-+1/2O2 → H2O これらの反応を合わせて電池反応が構成され、起電力を
得ることができる。本発明では、以上に述べたような固
体高分子型燃料電池用電極の製造方法を提供している。
【0021】[実施の形態1:多孔性・導電性・撥水性
フィルムに貴金属コロイドを担持させた固体高分子型燃
料電池用電極]図1を用いて、本発明の実施の形態1を
説明する。図1は、本発明の実施の形態1である多孔性
・導電性・撥水性フィルムに貴金属コロイドを担持させ
たことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極の製造
方法を表したフローチャートである。本実施の形態1の
固体高分子型燃料電池用電極の製造方法は、従来、カー
ボン粉体を介して、多孔性・導電性・撥水性フィルムに
触媒活性能がある貴金属を担持していたのを、カーボン
粉体を介さずに直接フィルムに担持することに特徴があ
る。
【0022】はじめに、貴金属コロイド溶液の調製を行
う。貴金属コロイド溶液の調製として、白金化合物溶液
を本形態では用いる。さらに、白金貴金属溶液として、
本形態では、H2PtCl6溶液(Pt含有量100g/
L)を用いて、Pt(白金)のモル量が0.4〜0.8
mmol程度になるように、1g金属/L程度になるよ
うに希釈する。イオン交換水1500に対して、重量比
で、エタノールを800〜1300、5%ナフィオン
(パーフルオロスルホン酸系高分子)溶液を1〜5の割
合で混合する(ステップ10)。なお、このナフィオン
は陽イオン交換高分子の一種であり、パーフルオロスル
ホン酸系高分子と呼ばれている。
【0023】ステップ10で混合された溶液である水/
エタノール/ナフィオン混合液を沸騰させる(ステップ
12)。この沸騰した混合液に、先に調製した貴金属コ
ロイド溶液の一種である白金化合物溶液、すなわちH2
PtCl6溶液を添加する(ステップ14)。H2PtC
6溶液を添加後、混合液を10分〜12時間攪拌し、
白金イオンを還元させる反応を進行させ、コロイド溶液
を調製する。多孔性・導電性・撥水性フィルムとして、
PTFE(ポリテトラフルオルエチレン)が60〜90
wt%で、カーボンが付いたフィルムを本実施の形態1
では使用するものとする。この多孔性・導電性・撥水性
フィルムに、ステップ14で得られた溶液を冷却した後
に滴下し、乾燥させる(ステップ16、18)。このと
き、白金コロイドやナフィオンが多孔性・導電性・撥水
性フィルムに吸着するように滴下し、乾燥させる。乾燥
させた多孔性・導電性・撥水性フィルムをカソード触媒
反応層とする。なお、上述のように、実施の形態1にお
いては、本発明のステップ10〜18で示される固体高
分子型燃料電池用電極の製造方法は、カソード電極に限
定されて記載したが、アノード電極を作成する上でも同
様に適用できる。
【0024】このカソード反応触媒反応層に、結着剤と
して、5%ナフィオン溶液を0.1〜0.5g/cm2
塗布する(ステップ20)。ナフィオン溶液が塗布され
たカソード反応層と陽イオン交換膜とを、100℃〜1
70℃程度でホットプレスし、カソード触媒反応層と、
陽イオン交換膜の第一面とを結合させる(ステップ2
2)。つぎに、Pt・Ru担持カーボン1に対して、重
量比で、イオン交換水を15〜25、5%ナフィオン溶
液を5〜15で、混合させ、スラリーを調製する(ステ
ップ24)。高分子樹脂板であるテフロン(登録商標)
板上に、0.3〜0.7mgPt/cm2となるように
塗布、乾燥させる(ステップ26)。陽イオン交換膜の
第二面に140℃以上でホットプレスし、アノード反応
層を転写させ、陽イオン交換膜電極を得る(ステップ2
8)。
【0025】[実施の形態2:多孔性・導電性・撥水性
フィルムに貴金属コロイドを担持させ、電圧を印可する
ことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極]図2を
用いて、本発明の実施の形態2を説明する。図2は、本
発明の実施の形態2である多孔性・導電性・撥水性フィ
ルムに貴金属コロイドを担持させ、電圧を印可したこと
を特徴とする固体高分子型燃料電池用電極の製造方法を
表したフローチャートである。本実施の形態2の固体高
分子型燃料電池用電極の製造方法は、従来、カーボン粉
体を介して、多孔性・導電性・撥水性フィルムに触媒活
性能がある貴金属を担持していたのを、カーボン粉体を
介さずに直接フィルムに担持することに特徴がある。
【0026】はじめに、貴金属コロイド溶液の調製を行
う。貴金属コロイド溶液の調製として、白金化合物溶液
を本形態では用いる。さらに、白金貴金属溶液として、
本形態では、H2PtCl6溶液(Pt含有量100g/
L)を用いて、Pt(白金)のモル量が0.4〜0.8
mmol程度になるように、1g金属/L程度になるよ
うに希釈する。
【0027】イオン交換水1500に対して、重量比
で、エタノールを800〜1300、5%ナフィオン
(パーフルオロスルホン酸系高分子)溶液を1〜5の割
合で混合する(ステップ30)。なお、このナフィオン
は陽イオン交換高分子の一種であり、パーフルオロスル
ホン酸系高分子と呼ばれている。
【0028】ステップ30で混合された溶液である水/
エタノール/ナフィオン混合液を沸騰させる(ステップ
32)。この沸騰した混合液に、先に調製した貴金属コ
ロイド溶液の一種である白金化合物溶液、すなわちH2
PtCl6溶液を添加する(ステップ14)。H2PtC
6溶液を添加後、混合液を10分〜12時間攪拌し、
白金イオンを還元させる反応を進行させ、コロイド溶液
を調製する。
【0029】多孔性・導電性・撥水性フィルムとして、
PTFE(ポリテトラフルオルエチレン)が60〜90
wt%で、カーボンが付いたフィルムを本実施の形態2
では使用するものとする。この多孔性・導電性・撥水性
フィルムと、Pt板を、ステップ14で得られた冷却さ
れた溶液に浸漬させる(ステップ36)。多孔性・導電
性・撥水性フィルムに50mV〜200mVの電圧を印
可する(ステップ38)。このとき、白金コロイドやナ
フィオンが多孔性・導電性・撥水性フィルムに吸着させ
る。その後、多孔性・導電性・撥水性フィルムを乾燥さ
せる(ステップ40)。乾燥させた多孔性・導電性・撥
水性フィルムをカソード触媒反応層とする。なお、上述
のように、実施の形態2においては、本発明のステップ
30〜40で示される固体高分子型燃料電池用電極の製
造方法は、カソード電極に限定されて記載したが、アノ
ード電極を作成する上でも同様に適用できる。
【0030】このカソード反応触媒反応層に、結着剤と
して、5%ナフィオン溶液を0.1〜0.5g/cm2
塗布する(ステップ42)。ナフィオン溶液が塗布され
たカソード反応層と陽イオン交換膜とを、100℃〜1
70℃程度でホットプレスし、カソード触媒反応層と、
陽イオン交換膜の第一面とを結合させる(ステップ4
4)。
【0031】つぎに、Pt・Ru担持カーボン1に対し
て、重量比で、イオン交換水を15〜25、5%ナフィ
オン溶液を5〜15で、混合させ、スラリーを調製する
(ステップ46)。高分子樹脂板であるテフロン板上
に、0.3〜0.7mgPt/cm2となるように塗
布、乾燥させる(ステップ48)。陽イオン交換膜の第
二面に140℃以上でホットプレスし、アノード反応層
を転写させ、陽イオン交換膜電極を得る(ステップ5
0)。
【0032】
【実施例】[実施例1:多孔性・導電性・撥水性フィル
ムに貴金属コロイドを担持させた固体高分子型燃料電池
用電極]本発明の実施例1を説明する。実施例1は、多
孔性・導電性・撥水性フィルムに貴金属コロイドを担持
させたことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極の
製造方法の例である。
【0033】はじめに、貴金属コロイド溶液の調製を行
う。貴金属コロイド溶液として、白金化合物溶液を本形
態では用いる。さらに、白金貴金属溶液として、本形態
では、H2PtCl6溶液(Pt含有量100g/L)を
用いて、Pt(白金)のモル量が0.6mmol程度に
なるように、1g金属/L程度になるように希釈する。
【0034】イオン交換水1440g、エタノールを1
140g、5%ナフィオン(パーフルオロスルホン酸系
高分子)溶液を3gの割合で混合する。この混合された
溶液である水/エタノール/ナフィオン混合液を沸騰さ
せる。この沸騰した混合液に、先に調製した貴金属溶液
の一種である白金化合物溶液、すなわちH2PtCl6
液を添加する。H2PtCl6溶液を添加後、混合液を2
0分攪拌し、白金イオンを還元させる反応を進行させ、
コロイド溶液を調製する。
【0035】多孔性・導電性・撥水性フィルムに、得ら
れた溶液を冷却した後に滴下し、乾燥させる。このと
き、白金コロイドやナフィオンが多孔性・導電性・撥水
性フィルムに吸着するように滴下し、乾燥させる。乾燥
させた多孔性・導電性・撥水性フィルムをカソード触媒
反応層とする。
【0036】このカソード反応触媒反応層に、結着剤と
して、5%ナフィオン溶液を0.1g/cm2塗布す
る。ナフィオン溶液が塗布されたカソード反応層と陽イ
オン交換膜とを、140℃程度でホットプレスし、カソ
ード触媒反応層と、陽イオン交換膜の第一面とを結合さ
せる。
【0037】つぎに、Pt・Ru担持カーボン1gに対
して、重量比で、イオン交換水を20g、5%ナフィオ
ン溶液を10gで、混合させ、スラリーを調製する。高
分子樹脂板であるテフロン板上に、0.5mgPt/c
2となるように塗布、乾燥させる。陽イオン交換膜の
第二面に140℃以上でホットプレスし、アノード反応
層を転写させ、陽イオン交換膜電極を得る。
【0038】[実施例2:多孔性・導電性・撥水性フィ
ルムに貴金属コロイドを担持させ、電圧を印可すること
を特徴とする固体高分子型燃料電池用電極]実施例2
は、本発明の実施の形態2である多孔性・導電性・撥水
性フィルムに貴金属コロイドを担持させ、電圧を印可し
たことを特徴とする固体高分子型燃料電池用電極の製造
方法の例を表したものである。
【0039】はじめに、貴金属コロイド溶液の調製を行
う。貴金属コロイド溶液として、白金化合物溶液を本形
態では用いる。さらに、白金貴金属溶液として、本形態
では、H2PtCl6溶液(Pt含有量100g/L)を
用いて、Pt(白金)のモル量が0.6mmol程度に
なるように、1g金属/L程度になるように希釈する。
【0040】イオン交換水1440gと、エタノールを
1140gと、5%ナフィオン(パーフルオロスルホン
酸系高分子)溶液3gを混合する。なお、このナフィオ
ンは陽イオン交換高分子の一種であり、パーフルオロス
ルホン酸系高分子と呼ばれている。
【0041】混合された溶液である水/エタノール/ナ
フィオン混合液を沸騰させる。この沸騰した混合液に、
先に調製した貴金属コロイド溶液の一種である白金化合
物溶液、すなわちH2PtCl6溶液を添加する。H2
tCl6溶液を添加後、混合液を12時間攪拌し、白金
イオンを還元させる反応を進行させる。
【0042】多孔性・導電性・撥水性フィルムとして、
PTFE(ポリテトラフルオルエチレン)が60〜90
wt%で、カーボンが付いたフィルムを本実施例2では
使用するものとする。この多孔性・導電性・撥水性フィ
ルムと、Pt板を、冷却された溶液に浸漬させる。多孔
性・導電性・撥水性フィルムに100mVの電圧を印可
する。このとき、白金コロイドやナフィオンが多孔性・
導電性・撥水性フィルムに吸着させる。その後、多孔性
・導電性・撥水性フィルムを乾燥させる。乾燥させた多
孔性・導電性・撥水性フィルムをカソード触媒反応層と
する。
【0043】つぎに、実施例1と実施例2において得ら
れた電極の電気特性を、従来の電極の電気特性と比べる
ための比較試験を行なった。なお、従来の電極は、ナフ
ィオン膜の両面を転写で電極を作成したものである。試
験は、アノードガスとしてH 2を65%、N2を20%、
CO2を15%およびCOを10ppmを含むガスを用
い、カソードガスとして通常の空気を用いて、温度80
℃で、0.15A/cm2、0.55A/cm2の電流密
度のときの電圧を測定した。さらに、電流を流したとき
の初期と、1000時間後の電圧の変化を測定した。こ
の比較試験の結果を表1に示す。実施例1、2の電極
は、表1中の2種の電流密度の値において、従来の電極
よりも、電圧が大きい値となった。さらに、電流を負荷
した際の経時変化は、初期のときと1000時間後で
は、本実施例1、2の電極は、従来の電極よりも、電圧
の下がり方がすくなく、経時劣化が少ないことが分かっ
た。したがって、実施例1、2の電極の電気特性が、従
来の電極と比べ優れていることが分かった。
【表1】
【0044】このカソード反応触媒反応層に、結着剤と
して、5%ナフィオン溶液を0.1g/cm2塗布す
る。ナフィオン溶液が塗布されたカソード反応層と陽イ
オン交換膜とを、140℃程度でホットプレスし、カソ
ード触媒反応層と、陽イオン交換膜の第一面とを結合さ
せる。
【0045】つぎに、Pt・Ru担持カーボン1gに対
して、イオン交換水を20g、5%ナフィオン溶液を1
0gで、混合させ、スラリーを調製する。高分子樹脂板
であるテフロン板上に、0.5mgPt/cm2となる
ように塗布、乾燥させる。陽イオン交換膜の第二面に1
40℃でホットプレスし、アノード反応層を転写させ、
陽イオン交換膜電極を得る。
【0046】
【発明の効果】本発明の多孔性・導電性・撥水性フィル
ムによると、多孔性・導電性・撥水性フィルムの特有の
性質である多孔性、導電性および撥水性を維持し、従来
より比較して効率的な電極反応を達成できる固体高分子
型燃料電池用電極の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態である固体高分子型燃料
電池用電極の製造方法を表したフローチャートである。
【図2】本発明の他の実施形態である固体高分子型燃料
電池用電極の製造方法を表したフローチャートである。
【符号の説明】
18 乾燥ステップ 20 塗布ステップ 22 ホットプレスステップ 28 ホットプレスステップ 36 浸漬ステップ 38 電荷印可ステップ 42 塗布ステップ 44 ホットプレスステップ 50 ホットプレスステップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野島 繁 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 Fターム(参考) 5H018 AA06 AS01 AS03 BB05 BB06 BB08 BB12 DD08 EE03 EE05 EE08 EE18 EE19 HH03 HH04 HH05 HH06 5H026 AA06 BB03 BB04 BB08 CX05 EE02 EE05 EE19 HH03 HH04 HH05 HH06

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽イオン交換高分子溶液中で、コロイド
    を調製することにより、陽イオン交換高分子・貴金属混
    合液を調製するステップと、 多孔性・導電性・撥水性フィルムに、該陽イオン交換高
    分子・貴金属混合液を適用させ、電極触媒反応層を形成
    するステップとを含む固体高分子型燃料電池用電極の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記電極触媒反応層が、カソード触媒反
    応層であることを特徴とする請求項1に記載の固体高分
    子型燃料電池用電極の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記多孔性・導電性・撥水性フィルム
    に、該陽イオン交換高分子・貴金属混合液を適用させ、
    電極触媒反応層を形成するステップが、 前記多孔性・導電性・撥水性フィルムに、該陽イオン交
    換高分子・貴金属混合液を滴下するステップと、 多孔性・導電性・撥水性フィルムを乾燥させ、電極触媒
    反応層を形成するステップとを含むことを特徴とする請
    求項1または2に記載の固体高分子型燃料電池用電極の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記電極触媒反応層を陽イオン交換膜の
    第一面と第二面に結合させるステップをさらに含む請求
    項1〜3のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用電
    極の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記電極触媒反応層と、陽イオン交換膜
    の第一面とを結合させるステップと、 貴金属担持カーボンを該陽イオン交換高分子溶液に分散
    し、スラリーを調製するステップと、 該スラリーを高分子樹脂板に適用するステップと、 該高分子樹脂板を、前記電極触媒反応層が結合されてい
    ない前記陽イオン交換膜の第二面と結合させるステップ
    とをさらに含む請求項1〜3のいずれかに記載の固体高
    分子型燃料電池用電極の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記スラリーを高分子樹脂板に適用する
    ステップが、 前記スラリーを前記高分子樹脂板に塗布し、乾燥させる
    ステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の固体
    高分子型燃料電池用電極の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記電極触媒反応層と、陽イオン交換膜
    の第一面とを結合させるステップと、 貴金属担持カーボンを該陽イオン交換高分子溶液に分散
    し、スラリーを調製するステップと、 該スラリーを該陽イオン交換膜の第二面に噴霧するステ
    ップとをさらに含むことを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の固体高分子型燃料電池用電極の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記陽イオン交換高分子溶液は、パーフ
    ルオロスルホン酸系高分子を含む請求項1〜7のいずれ
    かに記載の固体高分子型燃料電池用電極の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記陽イオン交換高分子溶液中でコロイ
    ドを調製することにより、陽イオン交換高分子・貴金属
    混合液を調製するステップは、 該陽イオン交換高分子溶液中に、白金化合物ならびにル
    テニウム化合物、または白金化合物を含む溶液を添加す
    るステップであることを特徴とする請求項1〜8のいず
    れかに記載の固体高分子型燃料電池用電極の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記多孔性・導電性・撥水性フィルム
    は、ポリテトラフルオルエチレンと、カーボンとを含む
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の固体
    高分子型燃料電池用電極の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記多孔性・導電性・撥水性フィルム
    において、ポリテトラフルオルエチレンの重量比率は、
    60wt%〜90wt%であることを特徴とする請求項
    10に記載の固体高分子型燃料電池用電極の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記多孔性・導電性・撥水性フィルム
    において、気孔率は40〜70%であり、導伝率は0.
    1〜10S/cmであり、厚さは15〜80μmである
    請求項10または11のいずれかに記載の固体高分子型
    燃料電池用電極の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記高分子樹脂板が、ポリテトラフル
    オルエチレンであることを特徴とする請求項5、6、8
    〜10のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用電極
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 陽イオン交換高分子溶液中で、コロイ
    ドを調製することにより、陽イオン交換高分子・貴金属
    混合液を調製するステップと、 多孔性・導電性・撥水性フィルムと、金属板とを、該陽
    イオン交換高分子・貴金属混合液に適用するステップ
    と、 多孔性・導電性・撥水性フィルムに電圧を印可するステ
    ップと、 多孔性・導電性・撥水性フィルムを乾燥させ、電極触媒
    反応層を形成するステップと、 を含む固体高分子型燃料電池用電極の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記電極触媒反応層が、カソード触媒
    反応層であることを特徴とする請求項14に記載の固体
    高分子型燃料電池用電極の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記多孔性・導電性・撥水性フィルム
    と、金属板とを、該陽イオン交換高分子・貴金属混合液
    に適用するステップが、 前記多孔性・導電性・撥水性フィルムと、貴金属板と
    を、該陽イオン交換高分子・貴金属混合液に浸漬するス
    テップを含むことを特徴とする請求項14または15に
    記載の固体高分子型燃料電池用電極の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記電極触媒反応層を陽イオン交換膜
    の第一面と第二面に結合させるステップをさらに含む請
    求項14〜16のいずれかに記載の固体高分子型燃料電
    池用電極の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記電極触媒反応層と、陽イオン交換
    膜の第一面とを結合させるステップと、 貴金属担持カーボンを前記陽イオン交換高分子溶液に分
    散し、スラリーを調製するステップと、 該スラリーを高分子樹脂板に塗布し、乾燥させるステッ
    プと、 該高分子樹脂板を、前記電極触媒反応層が結合されてい
    ない前記陽イオン交換膜の第二面と結合させるステップ
    とをさらに含む請求項14〜16のいずれかに記載の固
    体高分子型燃料電池用電極の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記電極触媒反応層と、陽イオン交換
    膜の第一面とを結合させるステップと、 貴金属担持カーボンを前記陽イオン交換高分子溶液に分
    散し、スラリーを調製するステップと、 該スラリーを該陽イオン交換膜の第二面に噴霧するステ
    ップさらに含む請求項14〜16のいずれかに記載の固
    体高分子型燃料電池用電極の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記陽イオン交換高分子溶液は、パー
    フルオロスルホン酸系高分子を含む請求項14〜19に
    記載の固体高分子型燃料電池用電極の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記陽イオン交換高分子溶液中でコロ
    イドを調製することにより、陽イオン交換高分子・貴金
    属混合液を調製するステップは、 該陽イオン交換高分子溶液中に、白金化合物ならびにル
    テニウム化合物、または白金化合物を含む溶液を添加す
    るステップであることを特徴とする請求項14〜20に
    記載の固体高分子型燃料電池用電極の製造方法。
  22. 【請求項22】 前記多孔性・導電性・撥水性フィルム
    は、ポリテトラフルオルエチレンと、カーボンとを含む
    ことを特徴とする請求項14〜21のいずれかに記載の
    固体高分子型燃料電池用電極の製造方法。
  23. 【請求項23】 前記多孔性・導電性・撥水性フィルム
    において、ポリテトラフルオルエチレンの重量比率は、
    60wt%〜90wt%であることを特徴とする請求項
    22に記載の固体高分子型燃料電池用電極の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記多孔性・導電性・撥水性フィルム
    において、気孔率は40〜70%であり、導伝率は0.
    1〜10S/cmであり、厚さは15〜80μmである
    請求項22または23のいずれかに記載の固体高分子型
    燃料電池用電極の製造方法。
  25. 【請求項25】 前記高分子樹脂板が、ポリテトラフル
    オルエチレンであることを特徴とする請求項18、20
    〜24のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用電極
    の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記多孔性・導電性・撥水性フィルム
    に印可される電圧は、50mV〜200mVであること
    を特徴とする請求項14〜25のいずれかに記載の固体
    高分子型燃料電池用電極の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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