JP2003120728A - 結合媒体及び結合装置 - Google Patents
結合媒体及び結合装置Info
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Abstract
要素同士が長期間接触したままであることで発生する固
着を防止する。 【解決手段】一方の要素と結合してその一端にN極を形
成する磁石5と、他方の要素と結合して上記N極に面し
てS極を形成する磁石6との間にFFF1を保持し、こ
れらの要素をFFF1を介して結合する。FFF1は、
直径が10nm以下の磁性粒子2と、直径が数μm程度
の磁性粒子3と、直径が0.1〜1mm程度の硬質粒子
4とをシリコンオイル等に分散したものである。
Description
体の磁気力を介して結合する結合媒体及び結合装置に関
する。本発明は、主として、機械装置において要素同士
が長期接触することに伴って生じる固着現象が問題とな
る部位に適用されるが、産業機械における安全装置や建
築物の免震装置等、あらゆる工業分野に適用可能であ
る。
電界や磁界をかけると固体に変化する一方、この電界や
磁界を取り除くと元の液体に戻る性質を持つ材料があ
る。このような材料は、スマート材料と呼ばれ、様々な
利用法が考案されている。スマート材料のうち、磁界に
応答して流れの性質が変わる流体として、MR流体(Ma
gneto Rheological Suspension) とフェロコロイド(Fe
rro-colloid)との2つが知られている。
に、直径が数μm程の強磁性粒子(簡単には、鉄粉)を
混入したものである。磁界の無い状態では、鉄粉が媒体
全体に分散しており、MR流体自体は、ニュートン流体
とほぼ同様な挙動を示す。そして、磁界が加えられる
と、粒子同士が互いに連結して、磁極間に架橋構造を形
成する。この結果、MR流体は、まるで固体であるかの
ように固くなる。粒子の鎖が磁極同士を繋いでしまうた
め、磁極を相対的に移動させようとしても、この鎖を引
き千切るほどの大きな力を加えない限り動かないからで
ある。
により液体から固体へと変化させることができるばかり
でなく、磁界強度に応じて固さが変化することも知られ
ている。また、磁界印加による固化と、磁界消去による
液化とが数ミリ秒以下という高速で行えることも特徴で
ある。一方のフェロコロイドは、MR流体と同じく鉄粉
等の強磁性粒子をシリコンオイル等の分散媒体に混入し
たものであるが、MR流体との違いは、分散している粒
子の直径が約10nm(MR流体中の磁性粒子の100
0分の1)の超微粒子であることである。このため、フ
ェロコロイドは、無電界時においてもブラウン運動等に
より粒子が沈降せず、コロイド状態となっている。フェ
ロコロイドに電界を加えると、粒子が分散媒体の液体分
子と衝突しながら磁極に引き寄せられるので、流体自体
があたかも磁性を持つかのように振舞う。
ので、MR流体のように固化することはないが、それで
も磁界のあるところに集まってそこを離れない性質があ
るので、この性質を利用して、機械回転部のシール材等
に応用されている。
に、固体摩擦を利用した機械装置が種々考案されてき
た。そのような装置の一例として、自動車や産業機械等
に備わる機械的ブレーキがある。例えば、自動車のフッ
トブレーキは、通常開放された状態にあり、減速又は停
止するときにのみ摩擦面を押し付けて制動力を得るもの
である。このため、長期に渡って使用していないと、摩
擦面が酸化や腐食等により劣化してしまう。しかし、実
際には、摩擦面を押し付けたときに酸化した表面が擦れ
て剥ぎ取られ、新しい摩擦面が露出されるので、適正な
制動力を得ることができる。
を踏み込んだときに制動力が発生するというポジティブ
型の構造が採用される。対して、産業機械に設けられる
ブレーキでは、普段からバネ等により摩擦面が押し付け
られており、人が踏み込む(動力源を使って作動させ
る)と開放されるというネガティブ型の構造が採用され
る。
士が接触していて空気と遮断されているので、酸化や腐
食といったものの影響は少ない。ところが、この場合
は、2つの面が常時接触した状態となるため、固体結合
という現象が徐々に進行するという別の問題がある。こ
こで、固体結合とは、異物体でありながら長期間接触さ
せたままでおくと、接触面での分子の共有結合により、
それらが一体化しようとする傾向が働く現象である。こ
の現象は、材料相互の親和性に応じて進行度合が異なる
ものの、時間的な要因で不可避的に発生する。
する際には、ウォーミングアップをして、機械可動部の
潤滑状態を回復させる必要がある。潤滑油が切れた状態
が危険なのは、単に大きな摩擦で磨耗を引き起こすとい
うことだけでなく、固体結合により要素同士が固着して
しまうからである。また、過大な外力や伝達力が加わる
ことを滑りによって回避する装置として、トルクリミッ
タがあるが、これも普段摩擦面を接触させている点で固
着の問題がある。
力がいつ加わるか分からない状態にあって、そのような
力が加わったならば、直ちに滑りを生じて危険を回避す
る役目を担っている。しかし、危険な状態が長期間生じ
ない場合は、固着が生じて当初設定しておいた摩擦の大
きさが徐々に変化し、設定値とかけ離れたものとなる恐
れがある。
めの機器として、圧力がある大きさに達したときに開弁
して過大な圧力を逃がす安全弁が利用されているが、こ
れについても同様である。安全弁も、故障等で異常な圧
力がかかったときにのみ機能するものであるから、弁体
が弁座に固着し、非常時に開かない可能性がある。特
に、ボイラでは、水垢が溜まって弁体と弁座とが一体化
し易いという環境要因も加わって、固着が大きな問題と
なっている。
なく、建築等他の工業分野においても取り上げられる。
例えば、地振動による揺れの建物への伝達を抑制する免
震装置がある。免震装置には、ある大きさ以下の外力に
対しては建物をしっかりと支持する一方、ひびが入るほ
どの危険な外力が加わると横滑りを生じて、建物を守る
という機能が求められる。
面同士を接触させ、この間に生じる固体摩擦の特性によ
り建物を基礎に結合し、外力が過大となったら滑り出す
ようにしたマウント(フリクションダンパ)が研究され
てきた。しかし、摩擦面の経年劣化や固着により当初設
定した摩擦の大きさが変化するので、その保守管理は容
易でない。
機械装置等の要素同士が直接には接触せず、相互に非接
触状態を保ったまま固体摩擦と等しく結合される技術を
適用することが有効である。また、固体摩擦の性質を利
用すると、固着以外にも、静止摩擦を任意の大きさに設
定してそれを保証することが大変困難であること、そし
て、一旦滑りが生じると摩擦力が減少するために制止し
難いこと等の問題もある。このため、固体摩擦は、免震
対策への利用には不向きとも言える。
たものであり、その目的は、要素同士を非接触状態に保
ったまま固体摩擦と同等に結合できる結合媒体及び結合
装置を提供して、固着を防止することである。また、本
発明は、要素同士の結合及び分離が設定閾値で確実に切
り換えられるようにすることを目的とする。
調整を容易にし、所望の駆動力又は制動力を得ることを
目的とする。
に、請求項1の発明では、相互に相反する磁極が形成さ
れる2つの物体間に保持されて、これらの物体を結合す
る結合媒体を、磁性流体と、この磁性流体を構成する磁
性粒子よりも大きく、前記物体間に形成される空隙の間
隔を定める粒径の複数のスペーサ粒子とを含んで構成し
た。
体上に形成される基礎面に、他方の物体としての対象物
体を結合する場合に、これらの間にスペーサ粒子が介在
することとなる。そして、このスペーサ粒子の存在によ
り、段差やベアリング等がなくとも磁極間に所定の空隙
が設けられ、かつ、この空隙が維持される。従って、ス
ペーサ粒子は、磁性を必要とされないが、使用目的に応
じてその強度が適宜設定されるのが好ましく、重量物を
基礎面に一定の力で結合する場合は、硬質のものを採用
するとよい。スペーサ粒子の粒径は、0.1〜1mmで
あるのが好ましく(請求項2)、また、磁性流体を構成
する磁性粒子としては、直径が10nm以下の第1の磁
性粒子と、直径が0.1〜10μmの第2の磁性粒子と
が含まれているとよい(請求項3)。そして、磁性流体
が磁気を帯びると、両物体間にこの磁気力に応じた結合
力が形成される。この結合力は、磁界強度により調整す
ることが可能であり、起磁力(磁石の強さ)以外の要因
では容易に変化することがない。
体同士を一体的に固定すること(固定結合)の他に、相
対的に変位する物体間にこれらを一体化しようとする作
用を及ぼすこと(相対結合)も含むものとする。本発明
の他の形態によると、磁性流体が保持される空隙がスペ
ーサにより形成され、物体同士が非接触状態を保ったま
ま固体摩擦と同等に結合されるとともに、磁極同士の吸
引力が積極的に利用される結合装置が提供される。
を、(A)基礎面と、この基礎面との間に所定の空隙を
設けて配置される対象物体との相互に相反する磁極を形
成する磁極形成手段と、(B)前記基礎面及び対象物体
の間に介装された、前記空隙の間隔を定める大きさのス
ペーサと、(C)前記空隙内に保持された磁性流体とを
含んで構成した。
体の間にスペーサにより所定の空隙が形成される。ここ
でも、スペーサの強度は、使用目的に応じて適宜設定さ
れるのが好ましい。また、磁性流体の磁気力及び磁極同
士の吸引力は、基礎面と対象物体との結合力を形成す
る。この結合力は、磁界強度により調整することが可能
である。
石を採用するとよい(請求項5)。これにより、半永久
的に不変な磁界、すなわち、不変な結合力が得られる。
永久磁石は、磁力が半減するのに1000年以上かかる
からである。さらに、永久磁石に加え、上記磁極を磁気
回路に含む電磁石と、この電磁石の励磁電流を制御する
制御手段とを設けることも好適である(請求項6)。電
磁石により永久磁石の磁界方向と一致する方向に磁界を
重畳することにより、永久磁石の磁界が強度的に補わ
れ、結合力が増大される。また、これとは逆の設定によ
れば、永久磁石の磁界が打ち消され、結合力が減少(相
殺による消滅を含む)される。
と、この電磁石の励磁電流を制御する制御手段とを採用
してもよい(請求項7)。これにより、磁界強度を可変
に制御(磁界消去を含む)できる。また、請求項8の発
明では、2つの物体間に介装される結合装置を、(a)
一方の物体と結合して、その物体端部において第1の磁
極を形成する第1の支持体と、(b)第1の支持体と所
定の空隙を介して重なる第2の支持体であって、他方の
物体と結合して、その物体端部において前記第1の磁極
と相反する第2の磁極を形成する第2の支持体と、
(c)第1の支持体及び第2の支持体の間に介在する、
前記空隙の間隔を定める大きさのスペーサと、(d)前
記空隙内に保持された磁性流体とを含んで構成した。
おいて、スペーサは、球体であるのが好ましい(請求項
9)。これにより、スペーサの接触面積が極小化される
とともに、スペーサを挟んでの相対的な横滑りが円滑と
なる。この場合は、スペーサの直径を0.1〜1mmに
するとよい(請求項10)。
ば、結合される両物体間に空隙が形成され、かつ、その
空隙が維持されるので、従来固体摩擦により結合してい
た機械部位において固着を防止できるようになる。そし
て、磁性流体により物体間の潤滑状態が維持されるの
で、表面の酸化等劣化を防ぐこともできる。
変とみなせるので(永久磁石の磁力が半減するには、1
000年以上必要とされる)、物体間の結合及び分離の
切換えのための設定閾値(スレッショルド)が信頼性高
く維持され、高い再現性が得られる。また、磁性流体の
磁気力が電界強度により調整可能であるので、物体間で
伝達される力を容易に制御できる。従来の固体摩擦を利
用した装置では、静摩擦と動摩擦との相違に基づいて物
体が一旦滑り出すと、加速されるという欠点があった
が、本発明によりそのような欠点が克服される。磁性流
体のビンガム流動特性によれば、滑り出した後も一定の
抗力が得られるからである。
子の粒径を0.1〜1mmにすることで、好ましい結合
媒体を提供できる。このようなスペーサ粒子には、例え
ば、ボールペンの先に取り付けられている小さな鋼球や
ステンレス球、あるいはミニチュアベアリングに用いら
れているポリテトラフルオロエチレン(登録商標テフロ
ン)やカーボンで構成される球形粒子等を利用可能であ
る。
な第2の磁性粒子により高い結合力を得るとともに、直
径が極めて小さい第1の磁性粒子により、特別な密封措
置を講じなくとも分散媒体を保持できる。請求項5に係
る発明によれば、一定の磁界が形成されるので、信頼性
の高い結合力が得られる。
制御により結合力を応答性高く増減できる。ここで、電
流印加によって永久磁石の磁界を消滅させる設定とすれ
ば、機械可動部を用いずに物体間の結合及び分離を切り
換えられる。請求項7に係る発明によれば、励磁電流の
制御により結合力を応答性高く調整できる。
球体であるので、スペーサ自体を含んだ固着やスペーサ
の摩擦抵抗が物体間の結合力(特に、接線方向)に及ぼ
す影響を極めて小さくすることができる。このため、結
合力に対する信頼性を向上できる。請求項10に係る発
明によれば、好ましいスペーサが提供され、請求項2と
同様の鋼球、ステンレス球又は球形粒子等を利用でき
る。
の実施の形態について説明する。 (1)自在凝固流体(Flexibly Fixable Fluid;FF
F)の構成 図1は、本発明の一実施形態に係る結合媒体(ここで
は、スペーサ粒子が極めて微細であり、結合媒体全体と
して流体と見なせるものとして、この結合媒体を自在凝
固流体(FFF)と呼ぶ)1の構成図である。
種類の粒子をシリコンオイル等の分散媒体中に分散させ
て構成される。分散媒体には、シリコンオイル以外に、
水、炭化水素系オイル、フッ素系オイル等を使用でき
る。なお、これらの液体は、経験により、鉄等の磁性粒
子との親和性が良いために使用されるものであるが、界
面活性剤を用いれば、これら以外の液体も使用可能であ
る。また、腐食性雰囲気で使用する場合には、その腐食
性に強い分散媒体を用いて、混入する第1、第2、第3
の粒子及び磁極板を腐食から保護するように選択でき
る。上記3種の粒子のうち、第1の粒子2は、フェロコ
ロイドに用いられるような強磁性粒子であり、例えば、
直径が10nm(1nm=10-9m)以下となるまでに
細かく粉砕された鉄粉が用いられる。第1の粒子に使用
できる磁性粒子には、鉄以外に、ニッケル、コバルト等
の金属、又はマグネタイトやMn−Zn系各種フェライ
トを成分とする微粒子を使用できる。第2の粒子3は、
MR流体に用いられるような強磁性粒子であり、好まし
くは、直径が数μm(1μm=10-6m)程度の鉄粉が
用いられる。第2の粒子に使用できる磁性粒子には、鉄
以外に、パーマロイ、クロム鋼、鉄−アルミ−クローム
合金鋼等の粒子が使用できる。実際には、第2の粒子3
は、平均で約3μmほどで、0.1〜10μmの範囲で
広く分布させればよい。
度(すなわち、MR流体を構成する磁性粒子のほぼ10
00倍の大きさ)の硬質粒子である。この直径は、必要
に応じて適宜選択する。また、第3の粒子4に磁性は必
要とされないが、むしろ強度的に強く、粒子の大きさが
揃っていることが望ましい。従って、この材質として
は、高炭素クロム鋼、硬化ステンレス鋼、炭化珪素等の
各種セラミックス等が好適である。具体的には、例え
ば、ボールペンの先に取り付けられている小さな鋼球や
ステンレス球、あるいはミニチュアベアリングに用いら
れているテフロンやカーボンで構成される球形粒子等が
容易に利用できる。この第3の粒子4は、後述するよう
に対極する磁極同士を一定の間隔を空けて隔てるスペー
サとしての役目を果たすものであるので、特に「スペー
サ粒子」と呼ぶこととする。
ーサ粒子4を含む3種類の粒子を混入して構成される。
FFF1は、典型的には、図示のように相反する磁極間
に充填して使用される。このとき、スペーサ粒子4の直
径が必要に応じて選択される(大きな結合力が必要なら
ば、その分小さなスペーサ粒子を採用して磁界強度を高
める)ことにより、FFF1の固化の程度(FFFの硬
さ)を所望に調整できる。磁極間隔Cが変化し、例え
ば、この間隔が大きくなると、磁界強度は低下するが、
FFF1では、スペーサ粒子4により磁極間隔Cが一定
に維持されるので、磁極同士が一定の力で安定して拘束
されることになる。
性流体を磁極間に注入しただけでは、磁極同士の吸引力
により磁極が互いに引き寄せられ、内部の磁性液体は、
磁極の外に押し出されてしまう。FFF1では、大きさ
の等しいスペーサ粒子4が分散しているため、磁極間に
一定の間隔を維持できる。 (2)FFFの機能 FFF1は、第3の粒子としてスペーサ粒子4を含むの
で、これまでのMR流体やフェロコロイドでは利用でき
なかった磁極同士の吸引力を積極的に利用できるように
なる。
構成の概略を断面で示したものである。このように、本
結合装置Mは、2枚の磁石(永久磁石)5,6の間にF
FF1を充填して構成される。ここで、磁石5及び6が
吸引力を生じて互いに引き合い、磁極に対して法線方向
(図の上下方向)の結合力が形成される。従って、この
吸引力に打ち克つだけの外力を加えない限り、法線方向
に磁石を引き離すことはできない。
して架橋構造を形成し、接線方向の結合力が形成され
る。この力は、第2の粒子3が形成する法線方向の結合
力に比べて大きく、磁石5及び6の相対的な横滑りに対
して大きな抵抗を生じる。しかし、粒子の鎖が磁力線に
沿って形成される性質に起因して、第2の粒子3は、法
線方向の変位に対しては僅かな抗力しか生じない。先に
述べた磁石同士の吸引力は、この法線方向の抗力の不足
を補い、所望の結合力を形成する。
の間隔がスペーサ粒子4により一定に維持されるので、
磁石の吸引力及びこれらが形成する磁界が構造的に決定
されることである。このため、法線方向及び接線方向の
結合力は、起磁力以外の要因では容易に変化しないと言
える。従って、一度選択した磁石を交換しない限り一定
の抗力が得られ、再現性に優れている。
い結合力を発揮する。しかし、直径が数μm程であるた
め、第2の粒子3及びスペーサ粒子4をMR流体で用い
られるような通常の分散媒体(シリコンオイル)に混入
しただけの状態では、磁界印加時にこの分散媒体のみが
外部にしみ出てしまう。FFF1では、第1の粒子2と
してフェロコロイドで用いられるような超微粒子を分散
させてある(従って、第2の粒子3とスペーサ粒子4と
が、フェロコロイドと同等の微粒子懸濁液に分散された
状態にあると見ることもできる)ので、分散媒体自体が
磁界に強く捕えられ、特別に密封措置等を講じなくとも
漏れたりすることがない。従って、後述するように、F
FF1は、ボイラ等の安全弁において、高圧流体の噴出
を簡単に防ぐことができる。このようにFFF1におい
て分散媒体をフェロコロイドと同等とする目的は、第2
の粒子3が関与する接線方向の結合力を一定に保つ「潤
滑」の意味で重要である。
したものである。まず、横方向の外力が働いていないと
きは、第2の粒子3が鎖状に連結し、2つの磁石5及び
6を固く結合する(a)。外力が働いても、これが粒子
3の鎖を横方向(せん断方向)に千切るのに必要な力
(降伏せん断応力)以上でなければ、磁石間に横滑りは
生じない(b)。降伏せん断応力以上の外力が加われ
ば、粒子3の鎖が千切れるので、横滑りが生じる
(c)。
一定の抵抗が働く。これは、磁性流体の持つビンガム流
動特性に基づくものである。ビンガム流動特性とは、ず
り速度によらず、磁界強度に応じてほぼ一定のせん断応
力を生じる特性である(図4参照)。従って、横滑りが
生じていても、磁石5に対してこの応力に基づく抗力が
働き、他方の磁石6に対してもこの抗力と同じ大きさの
力が働く。
ば、希土類を用いた強力な永久磁石5及び6を用い、ス
ペーサ粒子4の直径を適切に選べば、極めて強力で半永
久的に変化しない結合状態が実現される。また、場合に
よっては、磁石の部分に電磁コイルを用いたり、あるい
は永久磁石と電磁コイルとを組み合わせ、磁界を数百H
zのオーダーで制御することにより、磁極同士の結合及
び分離を数ミリ秒以下の短時間で切り換えることも可能
である。このとき、磁極間隔が一定に維持されるので、
高い再現性が得られる。 (3)磁界の形成方法 次に、FFF1に磁界を印加するための磁界の形成方法
について、幾つかの例を示して説明する。
枚の板状永久磁石7,8を、それぞれ非磁性体からなる
ホルダー9,10に埋め込んで固定し、互いの相反する
磁極S,Nを対向させて配置する。ここでの磁界は、磁
石の中心側が均一に近い一方で、周縁ほど歪んで生じる
が、むしろ周縁近くが強くなる傾向にある。このため、
FFF1の硬さは、周縁の方が高くなる。但し、磁極間
隔Cは、スペーサ粒子4の大きさ(直径)に基づいて決
定される。従って、FFF1に大きさの等しいスペーサ
粒子が分散されることにより、磁極間隔Cは、どこでも
一定となる。
ものを2つ採用した例を示したものである。前述同様に
各磁石11,12がホルダー9,10に固定されて配置
されるが、磁石自体は、比較的小型のものが採用され
る。しかし、ここでは、磁界強度が高くなるので、FF
F1は、より大きな降伏せん断応力を生じる。図6
(a)は、磁性体からなるヨーク13,14を設けるこ
とにより、磁気回路を閉鎖系に構成した例を示したもの
である。1枚の板状永久磁石15を使用し、一方のホル
ダー16に固定する。一対のヨーク13及び14は、磁
石15を取り囲むように各ホルダー16及び17に埋め
込み、ホルダー16においてFFF1の反対側で磁石1
5に接触させる。従って、磁石15及びヨーク14の対
向面と、ヨーク13及びヨーク14の対向面とに相反す
る磁極が形成され、FFF1に磁界が印加される。
て磁気回路が開放されていたことに基づく問題点が改良
される。磁気回路が閉鎖されると、磁場の影響が外部に
漏れないことに加え、磁界が効率的に形成されるので、
FFF1を介した強固な結合状態が得られる。図6
(b)及び(c)は、1枚のリング状永久磁石18を使
用して閉鎖系磁気回路を構成した例を示したものであ
る。(b)は、FFF1を適量充填した場合を、(c)
は、FFF1を比較的少量充填した場合を表している。
とが向き合っている個所以外の個所では殆ど磁界が生じ
ない。むしろ、磁界が生じない個所のFFF1が、磁界
の拘束を受けずに外に流れ出てしまう可能性がある。従
って、(b)と(c)との場合を比較しても、FFF1
が生じる降伏せん断応力は、ほぼ同等の大きさと言え
る。
に保つことは、実用上重要である。強力な磁石を開放状
態で使用すると、磁気カードを誤って近づけてデータに
損傷を与えることがあるし、また、空気中の微小粉塵に
は磁性を持つものもあり、これが磁石表面に吸着して、
磁界を変化させかねないからである。このような閉鎖系
磁気回路では、磁極間に生じる磁界が複雑となるので、
これを計算的手法により設計することは困難な場合が多
い。しかし、実測により評価すれば、再現性の高い結合
力を得ることが可能である。FFF1によれば、磁界が
構造的に決定されるからである。
グ状のものを使用)19の他に電磁石を用いることによ
り、磁界を外部から人為的に変化させるようにした例を
示したものである。これにより、FFF1の硬さを制御
できる。また、図7は、磁気回路を開放系で構成した場
合を、図8は、磁気回路を閉鎖系で構成した場合を表し
ている。
永久磁石19を用い、この磁石19の一方の磁極(S
極)に接触するヨーク21と円形プレート(磁性体から
なる)22とにより構成される磁極板間に磁界を形成し
て、FFF1を固化させる。電磁コイル20により形成
される磁気回路には、これらの磁極板が含まれるように
し、励磁電流の方向は、目的に応じて設定する。
とを切り換えるのであれば、励磁電流は、永久磁石19
の形成する磁界と、電磁コイル20の形成する磁界とが
打ち消し合う方向に流す。また、より強い結合状態を得
ようとするのであれば、その反対方向に流せばよい。そ
して、前者の場合では、最大電流通電時に磁極間で磁界
を完全に相殺して、FFF1を液化させるとよい(図7
(b);液化したFFFを符号1’で示す)。このよう
に、電磁コイル20に供給される励磁電流を制御するこ
とにより、FFF1の硬さを自在に変化させることがで
きる。
るホルダーである。永久磁石19、電磁コイル20及び
ヨーク21を一方のホルダー23に埋設し、プレート2
2を他方のホルダー24に埋設している。このように電
磁石を用いる場合でも、磁気回路は、前述同様に閉鎖系
で構成されるのが好ましい。図8は、その一例である。
非通電時には、(a)のように、リング状永久磁石19
の形成する磁界によりFFF1が固化される。そして、
励磁電流を通電することにより、(b)のように磁界を
相殺してFFF1を液化させる。ここでは、ヨーク21
及び25が永久磁石19の各極と接触し、プレート22
と協働して閉鎖系磁気回路を構成するので、外部を磁場
の影響から遮断できる。 (4)FFFの用途 以下に、FFF1を用いた各種機器について説明する。 −建築物の免震装置− 地震から建物を守る方法としては、大別して、建物の耐
振強度自体を高める方法、建物に伝達された振動をダイ
ナミックダンパ等により相殺し、建物を静止させる方
法、そして、振動エネルギーを基礎部分で消散させるこ
とにより、建物を加振源から絶縁する方法とがある。
度を上げることに明らかな限界があり、第2の方法に
は、地震が止んだときに質量自体が加振源に転じるとい
う、それぞれの本来的な欠点がある。そこで、第3の方
法として、地震で倒壊したりひびが入らないように、建
物の基礎部分に応力集中を回避する仕組みを設けること
が研究されている。すなわち、建物の骨格と土台との間
に、必要に応じて水平に変位することが可能な保持装置
(免震装置)を挿入して、地震発生時に建物に過大なせ
ん断応力が生じないようにするのである。
置であれば、小さな地震からの振動も遮断することが可
能である。しかし、あまりに簡単に滑ってしまうようで
は、地震が止んだ後も振動が続いたり、あるいは地震が
発生していないときでも強風等により建物が容易に揺り
動かされてしまう。従って、免震装置には、ある大きさ
以下の外力に対しては堅固に建物を支持する一方で、ひ
びが入るほどの危険な外力に対しては即座に横滑りを生
じて、建物を守るという機能が求められる。
摩擦を利用したフリクションダンパが研究されてきた。
しかし、既述の通り、静止状態から滑り出すときの設定
値を保証するのは困難であることに加え、摩擦面同士の
固着の問題もあるので、保守管理が容易でない。また、
固体摩擦には、滑りが生じると動摩擦に移行して摩擦力
が急激に減少するという問題もある。
摩擦を利用したもの以外に、粘性摩擦を利用したものも
ある。すなわち、ゴム製のマウントに高粘度のオイル
(粘弾性流体)を封入し、適切な保持力及び減衰力を付
加するものである。しかし、構造が複雑なうえ、耐久性
が必ずしも充分でないという問題があった。このよう
に、建築物の免震対策においては、横滑りを生じるとき
の力の大きさ(降伏値)を如何にして正確に、かつ、再
現性高く設定するかが重大な課題である。
ローティングマウント」と言う)Mは、図9に示すよう
に、建物の基礎部分(二点鎖線の枠で表示)に設置さ
れ、永久磁石によりFFF1がせん断変形(即ち、横滑
り)を生じるときの力を正確に、かつ、再現性高く設定
できる。図10は、フローティングマウントMの構成を
示したものであり、(a)に正面図を、(b)に側面図
を、(c)にA−A断面図を示す。本マウントMは、永
久磁石101を備える概略直方体の固定支持ユニット1
02に、鋼鉄等の強磁性体からなる逆コ字状断面の可動
支持部103を被せたものである。そこで、可動支持部
103を取り去った状態の分解図を(d)に示す。
104と、本体を覆うカバー105と、本体を基礎に固
定する基礎固定部106とを含んで構成される。本体1
04は、強磁性体からなり、可動支持部103とともに
磁石101を含む磁気回路を構成する。また、カバー1
05及び基礎固定部106は、常磁性体からなる。ここ
で、可動支持部103が直接接触しているのは、永久磁
石101に吸着しているFFF1のみである。
固定支持ユニット102上面の左右対称位置にそれぞれ
1つずつ及び同側面の左右夫々に1つずつの計4個所で
露出しており、各個所にFFF1が吸着している。ま
た、側面図(b)でみて、長手方向に等しく間隔を空け
て計4箇所で露出しており、各個所にFFF1が吸着し
ている。従って、この例では、可動支持部103は、計
16箇所で固定支持部102に対して支持されている。
そして、永久磁石101、可動支持部103及び本体1
04を含む磁気回路において、磁束Iは、正面からみて
左右夫々に配置された2つの永久磁石を介して形成され
る(図11参照)。
ニット102(永久磁石101)と可動支持部103と
の間の間隔を維持する役目を担うものである。このた
め、その硬度や大きさを適切に選択する。鋼鉄製等の硬
質スペーサ粒子4によれば、磁力により可動支持部10
3が永久磁石101に強力に吸引されるとともに、スペ
ーサ粒子4の歪みもないため、可動支持部103は、図
10(a)の上下左右方向に関して一定位置に保持され
る。対して、前後方向(図11の矢印参照)には、ある
大きさ以上の外力が働くと、第2の粒子3の形成する鎖
が千切れ、固定支持ユニット102に対して相対的にス
ライドする。スライドを起こすときの降伏値の大きさ
は、磁界強度と、第2の粒子3の磁化係数とに基づいて
決定される。従って、これらを建物の仕様に合わせて設
定することにより、所定の励振入力時にスライドさせる
ことが可能である。
同士の接触がなく、スペーサ粒子4との接触部も常時潤
滑されていること、(ロ)永久磁石の磁性や磁性材料の
磁化特性に経時劣化が極めて少ない(実質的にないとみ
なせる)こと、及び(ハ)分散媒体(フェロコロイドと
同等の微粒子懸濁液)のシール効果により、湿気や異物
の混入を防止できること等の理由から、建物の耐用年数
に対して設定された降伏値が実用期間内に変化すること
はまず考えられない。
こした後も建物に対して一定の粘性抵抗が発生する。こ
のため、振動エネルギーの熱消散により振動を早期に収
めることができる。図12は、従来のゴムと粘弾性体と
を組み合わせた方法を、本発明に係るFFF1を適用し
て改良した例を示したものである。
震ゴム107を介装するとともに、これと並列に本マウ
ントMを介装する。すなわち、建物の底面に永久磁石1
08を設置し、これを挟んで建物側と土台側とにそれぞ
れ共通のヨーク109,110を固定する。従って、隣
接する磁石間で、ヨーク109及び110を介して共通
の磁気回路が形成される(磁束I参照)。
粒子4を介して複数の点で支持する構造である。それ
故、支持強度の面で問題も残ろうが、図のように免震ゴ
ム107との併用によりこれを解消できる。免震ゴム1
07により、建物を面でしっかりと支持できるからであ
る。一方、ゴムを引っ張る方向(図の上下方向)に関し
ては、永久磁石108の強力な吸引力が建物を上下方向
に固定できる点で有効である。
磁気を印加する操作(いわゆる、着磁)により降伏せん
断応力を後から調整することも可能である。着磁を終了
すると、その後は半永久的にその磁気が維持される。以
上、ここでは、建築物に応用する場合を例にFFF1を
用いた免震装置について説明したが、本発明に係るフロ
ーティングマウントMは、降伏値の設定が任意であり、
また、小型化も容易なことから、振動を嫌う精密加工機
械等への応用も可能である。
変粘性ダンパや、モータの回転負荷を可変とする減衰装
置等の、減衰力を制御して振動を抑制する機器が一般的
に用いられてきた。しかし、これらは、システムが複雑
であるうえ、動力源が不可欠なためコストが嵩んでい
た。対して、フローティングマウントMでは、磁石の吸
引力と磁性流体の磁気力という材料自体が持つ機能を利
用しているため、簡単な構造で、動力源がなくとも振動
からの絶縁が可能となる。 −産業用ロボットの教示用安全防護装置− 産業用ロボットの教示作業は、電源投入されたロボット
の可動域内に作業者が立ち入って行われる非定常作業で
あり、充分な教育訓練を受けた作業者が監視者を伴って
二人で行うことが義務付けられた危険な作業である。し
かし、いくら訓練を受けたといっても、人の注意に頼っ
た災害防止には限界がある。このため、ロボットの側で
教示作業中の作業者の安全を確保できるような装置が求
められている。
構を構成するフローティングマウントMの構成を示した
ものであり、(a)が部分平面図を、(b)が断面図を
示す。本マウントMは、図14に示すように、ロボット
Rと土台Fとの間に介装される。本マウントMは、全体
として環状であり、永久磁石201を埋設した固定支持
ユニット202に、鉄鋼等の強磁性体からなるL字状断
面の可動支持部203を被せたものである。
なる本体204と、本体を覆うカバー205と、本体を
土台に固定する基礎固定部206とを含んで構成され
る。ここでも、カバー205及び基礎固定部206は、
常磁性体から形成するのが好ましい。ロボットRは、可
動支持部203上に載置され、その基部が可動支持部に
固定される。可動支持部203は、永久磁石201に吸
着しているFFF1を介して固定支持ユニット202と
結合している。
みて、基礎固定部上面の軸対象位置にそれぞれ1つずつ
及び外側面にそれぞれ1つずつの計4個所で露出してお
り、各個所にFFF1が吸着している。また、図示しな
いが、円周方向に等しく間隔を空けて配置されており、
各個所にFFF1が吸着している。次に、本マウントM
の動作について説明する。
り始める(固定支持ユニット202に対して回転し始め
る)ときの降伏値が作業者の安全防護のために適当なも
のとなるように、磁力が設定される。従って、教示作業
に誤りがなければ、可動支持部203に対して大きな外
力が働かないので、ロボットRは、固定支持ユニット2
02(即ち、土台)に対して相対的に固定されたまま運
転される。しかし、万が一に作業者がロボットRのアー
ムに押し潰されそうになった場合には、そのときの反力
により固定支持ユニット202と可動支持部203との
間に滑りが生じ、作業者を過大な力で挟圧することが回
避される。
が生じる降伏値を、永久磁石201の磁力やスペーサ粒
子4の大きさを調整することで構造的に設定することが
可能である。また、一度設定された降伏値は、容易に変
化することがないので、その点検の必要がない。安全点
検のために生産ラインを停止させることは一般的に嫌わ
れるが、ここではその必要がないので、生産効率の向上
が図れる。
トは、負荷荷重等に屈しないほどの大きな力を出力す
る。従って、このときは、本マウントMは、そのような
大きな外力に抗してロボットをしっかりと支持しなけれ
ばならない。教示作業運転と自動運転との切換えが求め
られる場合も、当然想定される。図15は、運転条件に
応じた要求を満たすために、機構の一部に電磁石を構成
し、電気信号に基づいて降伏値を可変に制御できるよう
に改良したものの断面図である。
02に円周方向に巻回されて内蔵されており、FFF1
が吸着する永久磁石201と可動支持部203との対抗
面を磁気回路に含んでいる。従って、コントローラ25
0により、磁界強度を増大する方向に励磁電流を印加す
れば、自動運転に際してより大きな結合力を得ることが
できる。なお、逆の設定によれば、ロボットを土台に対
して非拘束に回転できることは言うまでもない。
(力×半径)により保持する構造としている。このた
め、半径を大きく取ることにより、比較的小さな電力の
電磁コイル207によっても大きなトルクが得られ、ロ
ボットを充分堅固に保持できる。従って、環状のフロー
ティングマウントMによれば、電磁コイル207を小型
化し、省スペース及び省電力化を図れる。なお、電磁コ
イル207の励磁電流をロボットに構築されたインター
ロックの制御信号や制御出力に利用することも可能であ
る。
ち、ロボットの第1関節部に設置する場合を例に、本発
明に係る力出力制限機構について説明した。しかし、本
マウントMは、更なる小型化が可能である。このため、
第1間接部に限らず、力伝達経路上のあらゆる個所に設
置できる。例えば、ロボットの第2又は第3間接部にも
適用できるのである。そして、各関節部毎に異なる降伏
値を設定しておき、作業者との様々な接触状態に対応す
ることもできる。 −ボイラの安全弁− ボイラ等の高温高圧の流体を扱う装置では、圧力が所定
の限界圧を超えたときに過大な圧力を逃がす必要があ
る。そのための安全機器として、流体圧が仕切圧(噴出
圧)を超えると開弁する安全弁がある。
り、安全弁の作動する状況が頻繁に発生することはな
い。このため、弁体は、通常閉じたままとなる。ここ
で、弁体が弁座に固着すると、噴出圧が増大し、設定し
た限界圧となっても作動せずに大きな災害を招く可能性
がある。また、ボイラ等では、固着以外に漏れの問題も
ある。すなわち、面接触により蓋をするような構造の安
全弁では、面と面との間に隙間が生じ、そこから蒸気が
漏れ、水垢が溜まって噴出圧に変動を来すのである。
付ける力をバネにより形成するのが一般的である。この
ため、作業者が噴出圧を調整するのは容易である。しか
し、このような勝手な調整が事故に繋がる可能性もあ
る。そこで、バネを内封し、外部から調整できないよう
な構造とすれば、このような事態を回避できる。ところ
が、バネには経時的になまりが生じるし、上記の通り漏
れの問題もあるので、所定の噴出圧を維持するために定
期的にバネを調整し、水垢を除去する必要がある。バネ
を内封した安全弁では、このようなメンテナンス作業が
煩雑となる。
301の構成を示したものであり、(a)が断面図を、
(b)が底面図を示す。同図(a)に示すように、弁体
301は、常磁性体からなる本体部材302及び303
に、リング状永久磁石304を固定して構成される。ま
た、強磁性体からなる円形プレート305が永久磁石に
接触して弁体上部に嵌め込まれており、このプレートを
含んで磁気回路が形成される。
設けられた圧抜孔を塞ぐように配管に直接吸着させて取
り付けることもできるが、次に述べる取付基部306を
用いるのが確実で好ましい。図17は、弁体301を配
管に取り付けるための取付基部306の構成を示したも
のであり、(a)が上面図を、(b)が断面図を示す。
成するとともに、作動流体の圧力に充分耐え得るだけの
肉厚を持ち、全体として概略中空円筒状である。また、
配管との接続のため、一方の端部に雄ネジ307が設け
られている。材料には、強磁性体が使用されるの好まし
いが、上面に弁体301が吸着すればよいので、少なく
とも弁体との接続部が磁性を有していればよい。
である。安全弁の設置個所において、配管308の接続
端部に雄ネジ309を設ける。そして、この雄ネジと噛
み合う雌ネジと、取付基部の雄ネジ(307)と噛み合
う雌ネジとを設けた接続ナット310を介して、取付基
部306を配管に締結する。取付基部上面にFFF1を
介して弁体301を載置し、永久磁石304の吸引力と
FFF1の磁気力とにより、これらを結合する。
付基部上面)に直接接触せずに保持されるので、これら
の固着を防止できる。また、FFF1の分散媒体(フェ
ロコロイドと同等の微粒子懸濁液)が弁体301と弁座
との間に保持されるとともに、表面の凹凸を満たすの
で、良好なシール効果が得られ、水垢等の堆積を防止で
きる。
久磁石304の磁力の調節等により設定できるが、一度
設定すればその後容易に変化することがない。永久磁石
の磁力は半永久的に保証されるし、固着及び水垢の堆積
が防止できるからである。従って、作業者により設定値
が勝手に変更されることがないうえ、メンテナンスも不
要となる。
なく、他の安全装置と組み合わせたり、他の安全装置の
一部として使用することも可能である。例えば、一般的
に用いられるリリーフ弁と組み合わせ、リリーフ弁が正
常に作動している場合に流体を元圧側に戻す一方、故障
等の非常時には、安全弁がヒューズのように機能して圧
力を逃がすことにより、災害を防止できる。
円形として、開弁方向を予め設定しておくこともでき
る。つまり、受圧面を弁体301の中心からずらしてお
き、その中心の各側において永久磁石による吸引力に差
をつけるのである。これにより、非常時に噴き出す高圧
流体を容易に処理できるようになる。 −その他の用途− 咄嗟の危険状態に対して機械を非常停止させる安全装置
の一つに、ロープスイッチがある。この装置は、スイッ
チの機能を兼ねるロープ(検出部材)を機械周辺に張っ
て、安全領域と危険領域とを隔て、人又は物体がロープ
を引くとその付け根が外れ、機械への動力供給を遮断す
るものである。
対しても、これまでと同様に、設定した大きさの力(降
伏値)以上で引けば必ず外れるが、それ未満の力では決
して外れないことが求められる。図20に、FFF1を
用いた接触検出装置の概略構成を示す。検出部材である
ロープ401の一端に、非磁性体からなるホルダー40
2を固定し、このホルダーに永久磁石(図示せず)を嵌
め込む。永久磁石を金属製の壁面に吸着させ、これらの
間にFFF1を保持するようにしてもよいが、図のよう
に、FFF1を一対のホルダー402及び403の間に
保持した方が確実である(ホルダー403にも永久磁石
を嵌め込むとよい)。
電性を持たせることでそれ自体が導電性を持つので、本
装置自体をスイッチとして制御系を構築すれば、製造コ
ストを大幅に削減できる。高齢者や身障者の動作を物理
的に支援したり、あるいは看護人の肉体的負担を軽減す
る方法として、いわゆるパワーアシストシステムが知ら
れている。これは、例えば、空気圧式ゴム人工筋等のロ
ボット用アクチュエータを利用者の体に装着し、利用者
の動作に応じてこれらを動作させるものである。
態は、機械を着込んだ状態であり、見方を変えれば、人
間以上の力を持つ機械に挟まれた状態である。従って、
信頼性の高い安全対策が重要となる。そこで、介助用ロ
ボットとその利用者とを拘束する部位の付け根に、上述
の接触検出装置と同様の構造のスイッチを構成し、万が
一にロボットから利用者に過大な力が加わったならば、
即座にスイッチが切れてアクチュエータの動力を遮断す
ることが考えられる。
の構造のマウントをアクチュエータ回転要素の基部に取
り付け、アクチュエータが過大な力(トルク)を出力す
るようなときにマウントに滑りが生じ、過大出力を物理
的に回避することも考えられる。このような適用におけ
る利点は、例えば、ネジ等により磁極間隔を変化させて
磁界強度を調節するといった電力の要らない方法で、降
伏値を容易に制御できることである。異なる利用者がパ
ワーアシストシステムを着込む段階で、その都度この調
整を行うようにすれば、不特定多数の利用者に対応でき
る。
ixable Fluid;自在凝固流体)の構成図
を示す図
示す図
設置例
方向を示す図
成した免震ユニットの構成図
ティングマウントの構成図
面図
の構成図
Claims (10)
- 【請求項1】相互に相反する磁極が形成される2つの物
体間に保持されて、これらの物体を結合する結合媒体で
あって、 磁性流体と、 該磁性流体を構成する磁性粒子よりも大きく、前記物体
間に形成される空隙の間隔を定める粒径の複数のスペー
サ粒子と、 を含んで構成される結合媒体。 - 【請求項2】前記スペーサ粒子の粒径が0.1〜1mm
であることを特徴とする請求項1に記載の結合媒体。 - 【請求項3】前記磁性流体が、前記磁性粒子として、直
径が10nm以下の第1の磁性粒子と、直径が0.1〜
10μmの第2の磁性粒子とを含んで構成されることを
特徴とする請求項1又は2に記載の結合媒体。 - 【請求項4】基礎面と、該基礎面との間に所定の空隙を
設けて配置される対象物体との相互に相反する磁極を形
成する磁極形成手段と、 前記基礎面及び対象物体の間に介装された、前記空隙の
間隔を定める大きさのスペーサと、 前記空隙内に保持された磁性流体と、を含んで構成され
る結合装置。 - 【請求項5】前記磁極形成手段が永久磁石を備えること
を特徴とする請求項4に記載の結合装置。 - 【請求項6】前記磁極を磁気回路に含む電磁石と、該電
磁石の励磁電流を制御する制御手段とを更に備える請求
項5に記載の結合装置。 - 【請求項7】前記磁極形成手段が電磁石と、該電磁石の
励磁電流を制御する制御手段とを備えることを特徴とす
る請求項4に記載の結合装置。 - 【請求項8】2つの物体間に介装される結合装置であっ
て、 一方の物体と結合して、該物体端部において第1の磁極
を形成する第1の支持体と、 該第1の支持体と所定の空隙を介して重なる第2の支持
体であって、他方の物体と結合して、該物体端部におい
て前記第1の磁極と相反する第2の磁極を形成する第2
の支持体と、 前記第1の支持体及び第2の支持体の間に介在する、前
記空隙の間隔を定める大きさのスペーサと、 前記空隙内に保持された磁性流体と、を含んで構成され
る結合装置。 - 【請求項9】前記スペーサが球体であることを特徴とす
る請求項4〜8のいずれか1つに記載の結合装置。 - 【請求項10】前記スペーサの直径が0.1〜1mmで
あることを特徴とする請求項9に記載の結合装置。
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