JP2003120238A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置

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JP2003120238A
JP2003120238A JP2001321987A JP2001321987A JP2003120238A JP 2003120238 A JP2003120238 A JP 2003120238A JP 2001321987 A JP2001321987 A JP 2001321987A JP 2001321987 A JP2001321987 A JP 2001321987A JP 2003120238 A JP2003120238 A JP 2003120238A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 進角方向にバルブタイミングを変更するとき
にリンク先端側の可動案内部に操作を妨げる力として遠
心力が作用しないようにし、作動応答性の向上を図る。 【解決手段】 中間回転体23を駆動プレート3及びレ
バー軸10に対して回動操作することにより、中間回転
体23の渦巻き溝24に係合した球19を径方向溝8に
沿わせて変位させ、その変位をリンク14を介して駆動
プレート3とレバー軸10の相対回動に変換する。この
ような装置において、駆動プレート3とレバー軸10の
組付角が最遅角状態にあるときに、径方向溝8に対する
リンク14の傾斜角が最大になるようにリンク14の揺
動支点を配置する。進角操作時には、交番トルクの遅角
側成分がリンク先端側の径方向変位を妨げる力として作
用するものの、遠心力がリンク先端側にアシスト力とし
て作用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の吸気側
または排気側の機関弁の開閉タイミングを運転状態に応
じて可変制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のバルブタイミング制御装置は、
クランクシャフトからカムシャフトに至る動力伝達経路
において、両シャフトの回転位相を操作することによ
り、機関弁の開閉タイミングを制御するようにしてい
る。即ち、この種の装置は、クランクシャフトにタイミ
ングチェーン等を介して連繋された駆動回転体がカムシ
ャフト側の従動回転体に必要に応じて相対回動できるよ
うに組み付けられると共に、これらの回転体の間に両者
の組付角を操作すべく組付角操作機構が介装され、この
組付角操作機構を適宜駆動制御することによってクラン
クシャフトとカムシャフトの回転位相を変更するように
なっている。
【0003】組付角操作機構としては、ヘリカルギヤを
用いて油圧ピストンの直進作動を両回転体の回動作動に
変換するもの等種々のものが開発されているが、近年、
軸長を短縮化でき、フリクションロスが少ない等の多く
利点を有するリンクを用いたものが案出されている。
【0004】組付角操作機構にリンクを用いたバルブタ
イミング制御装置としては、例えば、特開2001−4
1013号公報に開示されるようなものがある。
【0005】この装置は、クランクシャフトにタイミン
グチェーン等を介して連係されたハウジング(駆動回転
体)がカムシャフトの端部に回動可能に組み付けられ、
ハウジングの内側端面に形成された径方向ガイドに案内
部材(可動案内部)が径方向に沿って摺動自在に係合支
持されると共に、径方向外側に突出するレバーが従動軸
部材(従動回転体)と共にカムシャフトの端部にボルト結
合され、案内部材とレバーとがリンクによって枢支連結
されている。そして、ハウジングの前記径方向ガイドに
対向する位置には、渦巻き状ガイドを有する中間回転体
がハウジングと従動軸部材に対して相対回動可能に設け
られ、前記案内部材の軸方向の一方の端部に突設された
略円弧状の複数の突条が前記渦巻き状ガイドに案内係合
されている。また、中間回転体はハウジングに対して回
転を進める側にゼンマイばねによって付勢されると共
に、電磁ブレーキによって回転を遅らせる側の力を適宜
受けるようになっている。
【0006】この装置の場合、電磁ブレーキがOFF状
態のときには、中間回転体がゼンマイばねの付勢力を受
けハウジングに対して初期位置に位置されており、渦巻
き状ガイドに突条でもって噛合う案内部材は径方向外側
に最大に変位し、リンクを引き起こしてハウジングと従
動軸部材の組付角を最遅角状態に維持している。そし
て、この状態から電磁ブレーキがONにされると、中間
回転体が減速されてハウジングに対して遅れ側に相対回
転する結果、渦巻き状ガイドに噛合う案内部材が径方向
内側に変位し、今まで引き起こされていたリンクを次第
に倒すようにしてハウジングと従動軸部材の組付角を最
進角状態に変更する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来のバ
ルブタイミング制御装置においては、バルブタイミング
(機関弁の開閉タイミング)が最遅角状態にあるときに
可動案内部(案内部材)が最も径方向外側に位置される
ようにリンクが可動案内部とレバーに組み付けられてい
るため、バルブタイミングを進角方向に変更する場合に
は、可動案内部を遠心力に抗して径方向内側に変位させ
なければならない。そして、可動案内部に影響する遠心
力は機関の回転速度が上昇するとそれに伴って大きくな
り、可動案内部の作動負荷は次第に増大する。
【0008】また、機関運転中にバルブタイミングを変
更する場合には、バルブスプリングの付勢力と駆動カム
のプロフィールに起因するカムシャフトの変動トルク
(以下、「交番トルク」と呼ぶ。)がリンクに作用する
が、この交番トルクは遅角側成分の方が進角側成分に比
較して大きくなることが知られている。このため、バル
ブタイミング制御装置においては、バルブタイミングを
遅角側に変更するときには、交番トルクの大きな遅角側
成分がアシスト力として働くが、バルブタイミングを進
角側に変更するときには、逆に交番トルクの遅角側成分
が変更操作を妨げる力として働く。
【0009】したがって、従来のバルブタイミング制御
装置においては、バルブタイミングの進角側の変更操作
時に、交番トルクの遅角側成分と遠心力とが共に操作を
妨げる力として働き、このとき作動応答性の低下を招き
易くなる。
【0010】そこで本発明は、進角方向にバルブタイミ
ングを変更するときに遠心力が可動案内部の操作を妨げ
る力として作用しないようにし、作動応答性の向上を図
ることのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を
提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ための手段として、本発明は、内燃機関のクランクシャ
フトによって回転駆動される駆動回転体と、カムシャフ
ト若しくは同シャフトに結合された別体部材から成り、
前記駆動回転体から動力を伝達される従動回転体と、前
記駆動回転体と従動回転体のいずれか一方に設けられた
径方向ガイドと、前記駆動回転体と従動回転体に対して
相対回転可能に設けられ、前記径方向ガイドに対峙する
側の面に渦巻き状ガイドを有する中間回転体と、前記径
方向ガイドと渦巻き状ガイドに変位可能に案内係合され
る可動案内部と、前記駆動回転体と従動回転体のいずれ
か他方のものの回転中心から離間した部位と前記可動案
内部とを揺動可能に連結するリンクと、前記中間回転体
に駆動回転体及び従動回転体に対する相対的な回動操作
力を付与する操作力付与手段と、を備え、前記操作力付
与手段によって中間回転体を駆動回転体及び従動回転体
に対して回動操作することにより、渦巻き状ガイドに係
合した各可動案内部を径方向ガイドに沿わせて径方向に
変位させ、その変位を前記リンクを介して駆動回転体と
従動回転体の相対回動に変換する内燃機関のバルブタイ
ミング制御装置において、前記可動案内部を径方向外側
に変位させることによって駆動回転体と従動回転体の組
付角を進角側に変更するようにした。この場合、具体的
には、駆動回転体と従動回転体の組付角が最遅角状態に
あるときに径方向ガイドに対するリンクの傾斜角が最大
になるようにリンクの揺動支点を配置すれば良い。
【0012】この発明の場合、組付角を進角側に変更す
るときには、カムシャフトの交番トルクの大きな遅角側
成分に抗して可動案内部を操作しなければならないが、
可動案内部やリンクに作用する遠心力が可動案内部を径
方向外側に変位させるアシスト力として働く。一方、組
付角を遅角方向に変更するときは、可動案内部を遠心力
に抗して径方向内側に変位させる必要があるが、このと
きには交番トルクの大きな遅角側成分が可動案内部を径
方向内側に変位させるアシスト力として働く。
【0013】また、渦巻き状ガイドの渦巻きの向きは、
カムシャフトの回転方向と逆向きに渦が収束するように
設定することが好ましい。この場合、中間回転体を駆動
回転体及び従動回転体に対して減速側に操作したときに
可動案内部が径方向外側に変位し、バルブタイミングが
進角側に変更される。中間回転体を減速側に操作する場
合には、比較的小エネルギーでもって操作を行うことが
できるため、操作力付与手段の出力を小さく設定するこ
とが可能となる。
【0014】本発明は、操作力付与手段にステップモー
タを用いる場合に特に有利となり、組付角を進角方向、
遅角方向のいずれに操作するときにも同様に小さな操作
力で済み、モータトルクを小さく設定し、省電力化と小
型・軽量化を図ることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施形態を図1
〜図11に基づいて説明する。尚、この実施形態は、本
発明にかかるバルブタイミング制御装置を内燃機関の吸
気側の動力伝達系に適用したものであるが、内燃機関の
排気側の動力伝達系に同様に適用することも可能であ
る。
【0016】このバルブタイミング制御装置は、図1に
示すように内燃機関のシリンダヘッド(図示せず)に回
転自在に支持されたカムシャフト1と、このカムシャフ
ト1の前端部に必要に応じて相対回動できるように組み
付けられ、チェーン(図示せず)を介してクランクシャ
フト(図示せず)に連係されるタイミングスプロケット
2を外周に有する駆動プレート3(本発明における駆動
回転体)と、この駆動プレート3とカムシャフト1の前
方側(図1中左側)に配置されて、両者3,1の組付角
を回動操作する組付角操作機構5と、この組付角操作機
構5のさらに前方側に配置されて、同機構5を駆動操作
する操作力付与手段4と、内燃機関の図外のシリンダヘ
ッドとロッカカバーの前面に跨って取り付けられて組付
角操作機構5と操作力付与手段4の前面と周域を覆うV
TCカバー12と、を備えている。
【0017】駆動プレート3は、挿通孔6を備えた円板
状に形成され、カムシャフト1の前端部に一体に結合さ
れたレバー軸10(本発明における従動回転体)が挿通
孔6部分に回転可能に組み付けられている。そして、駆
動プレート3の前面(カムシャフト1と逆側の面)に
は、図1,図2に示すように、3つの径方向溝8(本発
明における径方向ガイド)が同プレート3の半径方向に
沿うように形成されている。
【0018】また、レバー軸10は、図1に示すよう
に、カムシャフト1の前端部に突き合わされる基部側外
周に大径フランジ部7が形成されると共に、その大径フ
ランジ部7よりも前方側の外面に放射状に突出する三つ
のレバー9が一体に形成され、軸心部を貫通するボルト
13によってカムシャフト1に結合されている。レバー
軸10の各レバー9には、リンク14の基端が枢支ピン
15によって枢支連結され、各リンク14の先端には前
記各径方向溝8に摺動自在に係合する円柱状の突出部1
7が一体に形成されている。
【0019】各リンク14は、突出部17が対応する径
方向溝8に係合した状態において、枢支ピン15を介し
てレバー軸10に連結されているため、リンク14の先
端側が外力を受けて径方向溝8に沿って変位すると、駆
動プレート3とレバー軸10はリンク14の作用でもっ
て突出部17の変位に応じた方向及び角度だけ相対回動
する。
【0020】また、各リンク14の先端部にはリンク本
体部から突出部17にかけて軸方向に貫通する貫通孔1
8が形成され、この貫通孔18の突出部17側の端部に
は別体の板状の封止部材16が圧入固定されている。そ
して、貫通孔18には、後述する渦巻き溝24に係合さ
れる球19と、その球19の背部を支持する略円柱状の
リテーナ20が収容されると共に、リテーナ20と封止
部材16の間に介装されて球19を前方側に付勢するコ
イルばね21が収容されている。尚、この実施形態の場
合、可動案内部はリンク14の先端の突出部17と球1
9によって構成されている。
【0021】一方、レバー軸10のレバー9の突設位置
よりも前方側には、略円板状の中間回転体23が回転可
能に支持されている。この中間回転体23の後部側の面
には断面半円状の渦巻き溝24(本発明における渦巻き
状ガイド)が形成され、この渦巻き溝24に、前述の各
リンク14の球19が転動自在に係合されている。渦巻
き溝24の渦巻きは、図2〜図4に示すように駆動プレ
ート3やカムシャフト1の回転方向Rと逆向きに渦巻き
が収束するように形成されている。したがって、各リン
ク14の球19が渦巻き溝24に係合した状態で中間回
転体23が駆動プレート3に対して減速方向(遅れ方
向)に相対回転すると、リンク14の先端部は渦巻き溝
24の渦巻き形状に沿って半径方向外側に移動し、逆
に、中間回転体23が増速方向(進み方向)に相対回転
すると、半径方向内側に移動する。
【0022】この実施形態の組付角操作機構5は、以上
説明した駆動プレート3の径方向溝8、突出部17、球
19、リンク14、レバー9、中間回転体23の渦巻き
溝24等によって構成されている。この組付角操作機構
5は、操作力付与手段4から中間回転体23にカムシャ
フト1に対する相対的な回動操作力が入力されると、そ
の操作力が渦巻き溝24と球19の係合部を通してリン
ク14の先端を径方向に変位させ、このときリンク14
とレバー9の作用でもって駆動プレート3とカムシャフ
ト1に相対的な回動力を伝達する。
【0023】また、駆動プレート3とレバー軸10を連
結する前記リンク14は、駆動プレート3とレバー軸1
0の組付角が最遅角状態にあるときに、図2に示すよう
に径方向溝8に対する傾斜角が最大になり、組付角が最
進角状態にあるときに、図4に示すように同傾斜角が最
小になるように揺動支点(枢支ピン15)が配置されて
いる。つまり、リンク14の基部側の枢支ピン15位置
は、先端側の渦巻き溝24や径方向溝8に対する係合部
に対し、常時、回転方向後方側に位置されるようになっ
ている。したがって、この装置の場合、リンク14の先
端部が径方向外側に変位するときには駆動プレート3と
レバー軸10の組付角を進角側に変更し、逆にリンク1
4の先端部が径方向内側に変位するときには組付角を遅
角側に変更する。
【0024】また、操作力付与手段4は、図1,図5に
示すように前記中間回転体23の前面側(駆動プレート
3と逆側)に接合された円環プレート状の永久磁石ブロ
ック29と、レバー軸10に一体に結合された同じく円
環プレート状のヨークブロック30と、VTCカバー1
2内に取りつ付けられた電磁コイルブロック32と、を
備えたステップモータによって構成されており、前記電
磁コイルブロック32の備える複数の電磁コイル33
A,33Bは、励磁回路やパルス分配回路等を含む駆動
回路(図示せず)に接続され、この駆動回路が図示しな
いコントローラによって制御されるようになっている。
尚、コントローラは、クランク角、カム角、機関回転
数、機関負荷等の各種の入力信号を受け、随時機関の運
転状態に応じた制御信号を駆動回路に出力する。
【0025】永久磁石ブロック29は、図6に示すよう
に、軸方向と直交する面に放射方向に延出する磁極(N
極,S極)が、異磁極が交互になるように円周方向に沿
って複数着磁されている。尚、図6においては、N極の
磁極面を36nで示し、S極の磁極面を36sで示して
いる。
【0026】ヨークブロック30は、図5,図7に示す
ように第1,第2極歯リング37,38が対にされて成
る二組のヨーク39A,39Bを備え、その内周縁部が
レバー軸10に対し一体に結合されている。
【0027】各ヨーク39A,39Bの第1,第2極歯
リング37,38は透磁率の高い金属材料によって形成
され、図7に示すように、平板リング状の基部37a,
38aと、その基部37a,38aから径方向内側また
は外側に延出する略台形状の複数の極歯37b…,38
b…とを備えている。この実施形態の場合、各極歯リン
グ37,38の極歯37b,38bは、円周方向に等間
隔に、かつ、歯先が相手極歯リング側に指向するよう
に、つまり、第1極歯リング37の歯先は径方向内側
に、第2極歯リング38の歯先は径方向外側に夫々指向
するように延出している。そして、第1極歯リング37
と第2極歯リング38は、互いの極歯37b,38bが
円周方向に交互に、かつ、等ピッチとなるように絶縁体
である樹脂材料40によって結合されている。
【0028】ヨークブロック30を構成する2つのヨー
ク39A,39Bは、径方向外側と内側に全体がほぼ円
板状を成すように並べられると共に、互いの極歯37
b,38bが円周方向に沿って4分の1ピッチずれるよ
うに組み付けられている。
【0029】また、ヨークブロック30は、図1,図5
に示すように、その両側面が永久磁石ブロック29と電
磁コイルブロック32に軸方向で対向するように配置さ
れているが、各ヨーク39A,39Bの第1,第2極歯
リング37,38は、リング状の基部37a,38aが
電磁コイルブロック32側(図中左側)に位置され、台
形状の各極歯37b,38bが永久磁石ブロック29側
(図中右側)に位置されるように極歯37b,38bと
基部37a,38aの連接部が適宜屈曲して形成されて
いる。そして、ヨークブロック30のヨーク39A,3
9B相互は各ヨークの第1,第2極歯リング37,38
間と同様に絶縁体である樹脂材料40によって結合され
ている。
【0030】一方、電磁コイルブロック32は、径方向
内外に並べて配置された2相の電磁コイル33A,33
Bと、電磁コイル33A,33Bの各周域に配置され、
電磁コイル33Aで発生した磁束をヨークブロック30
寄りの磁気入端部34,35(図5参照)に誘導するた
めのヨーク41とを備えた構成とされている。
【0031】そして、各電磁コイル33A,33Bにお
ける磁気入出部34,35は、図5に拡大して示すよう
に、ヨークブロック30の対応するヨーク39A,39
Bの、リング状の基部37a,38aに対して、軸方向
のエアギャップaを介して対面している。したがって、
電磁コイル33A,33Bが励磁されて所定の向きの磁
界が生じると、エアギャップaを介してヨークブロック
30の対応するヨーク39A,39Bに磁気誘導が生
じ、その結果として、ヨーク39A,39Bの各極歯リ
ング37,38に磁界の向きに応じた磁極が現れる。
【0032】電磁コイル33A,33Bの発生磁界は、
駆動回路のパルスの入力に対して所定のパターンで順次
切換えられ、それによって永久磁石ブロック29の磁極
面36n,36sに対峙する極歯37b,38bの磁極
が円周方向に沿って4分の1ピッチずつ移動するように
なっている。したがって、中間回転体23は、このとき
ヨークブロック30上の円周方向に沿った磁極の移動に
追従し、レバー軸10に対して相対的に回動することと
なる。
【0033】また、電磁コイルブロック32は、両ヨー
ク41,41の磁気入出部34,35を除くほぼ全域
が、アルミニウム等の非磁性材料から成る抱持ブロック
42によって抱持され、その抱持ブロック42を介して
VTCカバー12に取り付けられている。また、抱持ブ
ロック42の内周面にはレバー10を回転自在に支持す
るための玉軸受50が配置されている。
【0034】このバルブタイミング制御装置は以上のよ
うな構成であるため、内燃機関の始動時やアイドル運転
時には、図2に示すように、駆動プレート3とレバー軸
10の組付角を予め最遅角側に維持しておくことによ
り、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相(機
関弁の開閉タイミング)を最遅角側にし、機関回転の安
定化と燃費の向上を図ることができる。
【0035】そして、この状態から機関の運転が通常運
転に移行し、前記回転位相を最進角側に変更すべく指令
が図外のコントローラから電磁コイルブロック32の駆
動回路に発されると、電磁コイルブロック32はその指
令に従って発生磁界を所定パターンで変化させ、永久磁
石ブロック29を中間回転体23と共に遅れ側に最大に
相対回動させる。これにより、渦巻き溝24に球19を
介して係合されているリンク14の先端側は、図3,図
4に順次示すように、径方向溝8に沿って径方向外側に
最大に変位し、リンク14とレバー9を介して駆動プレ
ート3とレバー軸10の組付角を最進角側に変更する。
この結果、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位
相が最進角側に変更され、それによって機関の高出力化
が図られることとなる。
【0036】また、この状態から前記回転位相を最遅角
側に変更すべく指令がコントローラから発されると、電
磁コイルブロック32が発生磁界を逆パターンで変化さ
せることによって中間回転体23を進み側に最大に相対
回動させ、渦巻き溝24に係合するリンク14の先端側
を、図3,図2に順次示すように、径方向溝8に沿って
径方向内側に最大に変位させる。これにより、リンク1
4が径方向溝8に対する傾斜角を増すように揺動し、ク
ランクシャフトとカムシャフト1の回転位相を最遅角側
に変更する。
【0037】ところで、内燃機関の運転中は機関弁側か
らカムシャフト1に交番トルクが入力されるが、この交
番トルクは、図9に示すように遅角側成分が進角側成分
に比較して大きくなる。したがって、バルブタイミング
の変更操作時にも交番トルクの遅角側成分が操作に大き
な影響を与える。
【0038】しかし、この実施形態のバルブタイミング
制御装置の場合、図10(A)に示すようにバルブタイ
ミングが最遅角状態にあるときに、リンク14の先端側
が最も径方向内側に位置されるようにリンク14が組み
付けられているため、リンク先端側を径方向外側に変位
させてバルブタイミングを進角側に変更操作するときに
は、交番トルクの遅角側成分T2がリンク先端側の径方
向変位を妨げるように作用するものの、このときリンク
先端側に作用する遠心力fが径方向外側の変位をアシス
トするように作用する。したがって、リンク先端側を径
方向外側に変位させるべく操作力F1は遠心力f分だけ
軽減される。
【0039】また、リンク先端側を径方向内側に変位さ
せてバルブタイミングを遅角側に変更操作するときに
は、図11(A)に示すように遠心力fがリンク先端側
の径方向外側の変位を妨げるように作用するものの、交
番トルクの大きな遅角側成分T 2がリンク先端側の変位
をアシストするように作用する。このため、リンク先端
側に付与する操作力F2は交番トルクの遅角側成分T2
よって軽減される。
【0040】因みに、リンク先端側を径方向内側に変位
させてバルブタイミングを進角側に変更する図10
(B)の従来のものにおいては、バルブタイミングを進
角側に変更操作するときに、交番トルクの遅角側成分T
2と遠心力fが共にリンク先端側の変位を妨げるように
作用するため、リンク先端側に付与すべく操作力F1
は大きなものとならざるを得ない。
【0041】以上のことから、この実施形態のバルブタ
イミング制御装置は、進角側と遅角側の操作力F1,F2
を小さくすることができるため、操作力付与手段4の出
力を大きくすることなく作動応答性を高めることができ
る。特に、ステップモータは、電磁コイル33A,33
Bに対する通電のパターンを変えることによって中間回
転体23の回転方向を切換えるため、進角側と遅角側の
操作力F1,F2のうちの値の大きいものに合わせて出力
を決定しなければならないが、この実施形態のように操
作力F1,F2を共に小さくすることができるときには出
力を確実に小さくすることができる。したがって、操作
力付与手段4としてステップモータを用いるこの実施形
態においては、応答性の低下を来すことなく、省電力化
と小型、軽量化を図ることが可能である。
【0042】また、この実施形態の装置は、バルブタイ
ミングが最遅角状態のときにリンク14の傾斜角が最大
になるように設定されているため、頻繁に用いる最遅角
側の操作位置において、リンク先端側の荷重を径方向溝
8の壁に直角に近い角度で支持させることができ、この
ことからリンク先端側のガタつきを効率良く防止し、装
置の静粛性を高めることができる。
【0043】尚、本発明の実施形態は以上で説明したも
のに限るものではなく、例えば、以上の実施形態では渦
巻き溝24の渦巻きを、カムシャフト1の回転方向と逆
向きに渦が収束するように設定したが、図12に示す実
施形態のように、渦巻き溝124の渦巻きを、カムシャ
フト1の回転方向Rに向かって収束するように設定する
ようにしていも良い。この場合、バルブタイミングを変
更するときの中間回転体23の回転方向は上記の実施形
態と逆向きとなる。
【0044】ただし、上記の実施形態のように渦巻き溝
24の渦巻きをカムシャフト1の回転方向と逆向きに収
束するように設定した方がエネルギー的には有利とな
る。つまり、進角操作と遅角操作を比較した場合には、
交番トルクの遅角側成分がかなり大きいことから、どう
しても進角側操作の方が重くなるが、この重くなる操作
の側に、小エネルギーでの操作が可能な中間回転体23
の減速操作を充てることができ、このことから操作力付
与手段4での必要エネルギーをより小さくすることが可
能となる。
【0045】
【発明の効果】以上のように本発明は、進角側変更時に
可動案内部やリンクの遠心力が進角側のアシスト力とし
て働くため、このとき交番トルクの大きな遅角側成分が
進角操作を妨げるように働くにも拘らず、可動案内部の
操作力を軽くし、作動応答性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す縦断面図。
【図2】同実施形態の作動状態を示す図4に対応の断面
図。
【図3】同実施形態の作動状態を示す図4に対応の断面
図。
【図4】同実施形態を示す図1のA−A線に沿う断面
図。
【図5】同実施形態を示す図1の部分拡大断面図。
【図6】同実施形態を示す永久磁石ブロックの正面図。
【図7】同実施形態を示すヨークブロックの充填樹脂材
料の図示を省略した正面図。
【図8】同実施形態を示す電磁コイルブロックの縦断面
図。
【図9】機関運転中の交番トルクの変化を示すグラフ。
【図10】最大遅角状態から進角操作する場合における
同実施形態と従来技術の各部の力の向きを比較した図4
にほぼ対応の半断面図。
【図11】最大進角状態から遅角操作する場合における
同実施形態と従来技術の各部の力の向きを比較した図4
にほぼ対応の半断面図。
【図12】本発明の他の実施形態を示す図2に対応の断
面図。
【符号の説明】
1…カムシャフト 3…駆動プレート(駆動回転体) 4…操作力付与手段 8…径方向溝(径方向ガイド) 10…レバー軸(従動回転体) 14…リンク 17…可動案内部(可動案内部) 19…球(可動案内部) 23…中間回転体 24,124…渦巻き溝(渦巻き状ガイド)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G018 BA32 BA36 CA13 DA29 DA36 DA39 DA44 DA71 DA83 EA31 EA32 FA01 FA07 GA03 GA14 GA32 GA37

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関のクランクシャフトによって回
    転駆動される駆動回転体と、カムシャフト若しくは同シ
    ャフトに結合された別体部材から成り、前記駆動回転体
    から動力を伝達される従動回転体と、前記駆動回転体と
    従動回転体のいずれか一方に設けられた径方向ガイド
    と、前記駆動回転体と従動回転体に対して相対回転可能
    に設けられ、前記径方向ガイドに対峙する側の面に渦巻
    き状ガイドを有する中間回転体と、前記径方向ガイドと
    渦巻き状ガイドに変位可能に案内係合される可動案内部
    と、前記駆動回転体と従動回転体のいずれか他方のもの
    の回転中心から離間した部位と前記可動案内部とを揺動
    可能に連結するリンクと、前記中間回転体に駆動回転体
    及び従動回転体に対する相対的な回動操作力を付与する
    操作力付与手段と、を備え、 前記操作力付与手段によって中間回転体を駆動回転体及
    び従動回転体に対して回動操作することにより、渦巻き
    状ガイドに係合した各可動案内部を径方向ガイドに沿わ
    せて径方向に変位させ、その変位を前記リンクを介して
    駆動回転体と従動回転体の相対回動に変換する内燃機関
    のバルブタイミング制御装置において、 前記可動案内部を径方向外側に変位させることによって
    駆動回転体と従動回転体の組付角を進角側に変更するこ
    とを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 【請求項2】 駆動回転体と従動回転体の組付角が最遅
    角状態にあるときに径方向ガイドに対するリンクの傾斜
    角が最大になるようにリンクの揺動支点を配置したこと
    を特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミ
    ング制御装置。
  3. 【請求項3】 渦巻き状ガイドの渦巻きを、カムシャフ
    トの回転方向と逆向きに渦が収束するように設定したこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関のバ
    ルブタイミング制御装置。
  4. 【請求項4】 操作力付与手段にステップモータを用い
    たことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内
    燃機関のバルブタイミング制御装置。
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