JP3917855B2 - ステップモータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の装置において回転用のアクチュエータとして用いられるステップモータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、PM型ステップモータとして、例えば、特開平7-39130号公報に記載されるようなものが案出されている。
【0003】
このステップモータは、径方向内向きの複数の極歯を有する環状平板状の外側極歯ヨークと、径方向外向きの複数の極歯を有する環状平板状の内側極歯ヨークの間に、外向き極歯と内向き極歯を複数有する同じく環状平板状の中間極歯ヨークを配置し、これらの極歯ヨークの歯群に一対の電磁コイルによって適宜磁界を生じさせることにより、極歯ヨークに対向して配置された永久磁石ブロックを回転させるようになっている。具体的には、外側極歯ヨークと中間極歯ヨーク、中間極歯ヨークと内側極歯ヨークの各対向する側の極歯が夫々外側極歯対と内側極歯対を成し、これらの極歯対に生じる磁極を両電磁コイルの通電制御によって適宜変え、それによって永久磁石ブロックに作用する磁気的吸引反発力を円周方向に沿って変化させるようになっている。
【0004】
尚、前記永久磁石ブロックの極歯ヨークの極歯に対峙する側の面には異磁極が円周方向に沿って交互になるように着磁されている。また、各極歯ヨークの極歯は夫々環状の基部から径方向に平面状に連続して延び、相手極歯ヨークの隣接する極歯間に設定絶縁ギャップをもって配置されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のステップモータにおいては、各極歯ヨークが環状の基部から極歯にかけて平面状に連続して形成されているため、各極歯の延出長さは相手極歯ヨークの環状の基部によって制限を受ける。このため、極歯と相手極歯ヨークの基部とが直接干渉したり、極歯から相手極歯ヨークの基部に磁束の漏れが生じない範囲で極歯の延出長さを決めなければならず、外側極歯ヨークの外径に制限がある場合には極歯の長さを充分に確保することができなかった。したがって、従来のステップモータの場合、永久磁石ブロックに作用する磁力を大きくするためにはモータ全体の外径を大きくせざるを得ず、回転トルクの増大と装置の小型化を両立させることがむずかしかった。
【0006】
そこで本発明は、外側極歯ヨークの外径の増大を招くことなく、極歯ヨークの極歯の長さを充分に確保できるようにして、回転トルクの増大と装置の小型化とを両立させることのできるステップモータを提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するための手段として、本発明は、環状の基部から径方向内向きに延出する複数の極歯を有する外側極歯ヨークと、この外側極歯ヨークの内周側に配置され、環状の基部から径方向外向きに延出する複数の極歯を有する内側極歯ヨークと、前記外側極歯ヨークと内側極歯ヨークの間に配置され、環状の基部から径方向外向きに延出して外側極歯ヨークの隣接する極歯間に位置される極歯と、同じ環状の基部から径方向内向きに延出して内側極歯ヨークの隣接する極歯間に位置される極歯を有する中間極歯ヨークと、前記各極歯ヨークに磁極を生じさせるための複数のコイル巻線を有する電磁コイルブロックと、異磁極が円周方向に沿って交互に配置されるように着磁され、磁極面が前記各極歯ヨークの極歯に対峙するように回転可能に設けられた永久磁石ブロックと、を備え、前記電磁コイルブロックの複数のコイル巻線に対する通電方向を所定パターンで変化させることにより、各極歯ヨークの極歯に生じる磁極を変化させて永久磁石ブロックを前記極歯ヨークに対して相対回転させるステップモータにおいて、前記各極歯ヨークの少なくとも一つは、環状の基部のうちの、相手極歯ヨークの極歯の先端が指向する部位に、永久磁石ブロック側に開口する凹部を設け、さらに、前記凹部を設けることによって極歯の付根部を環状の基部まで延出させ、その環状の基部の凹部内に、相手極歯ヨークの極歯の先端を収容配置するようにした。
この発明の場合、極歯ヨークの凹部に対向する極歯は、凹部によって環状の基部との間の距離を充分に確保することができるため、極歯の先端部が対応する極歯ヨークの基部に直接干渉したり、極歯の先端部からその基部に磁束が漏れる不具合は生じない。
【0008】
しかも、前記凹部を設けることによって極歯の付根部を環状の基部まで延出させ、その環状の基部の前記凹部内に、相手極歯ヨークの極歯の先端を収容配置したことによって極歯の長さをより長く確保することで可能となる。
【0009】
さらに、中間極歯ヨークの環状の基部は、径方向外向きの極歯の付根部と径方向内向きの極歯の付根部が環状の基部の径方向略中央部まで延出するように第1の凹部と第2の凹部を設け、この第1の凹部と第2の凹部が環状の基部の径方向略中央で相互に連通する構造とすることが好ましい。この場合、径方向外向きの極歯と径方向内向きの極歯の各付根部が環状の基部に最大長さに確保され、極歯の先端を受容する各凹部の径方向長さも最大に確保される。
【0010】
また、本発明は、内燃機関のクランクシャフトによって回転駆動する駆動回転体と、カムシャフト若しくは同シャフトに結合された別体部材から成り、前記駆動回転体から動力を伝達される従動回転体と、前記駆動回転体と従動回転体のいずれか一方に設けられた径方向ガイドと、前記駆動回転体と従動回転体に対して相対回転可能に設けられ、前記径方向ガイドに対峙する側の面に渦巻き状ガイドを有する中間回転体と、前記径方向ガイドと渦巻き状ガイドに変位可能に案内係合される可動案内部と、前記駆動回転体と従動回転体のいずれか他方のものの回転中心から離間した部位と前記可動案内部とを揺動可能に連結するリンクと、を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記中間回転体に駆動回転体及び従動回転体に対する相対的な回動操作力を付与する操作力付与手段に用いる場合に好適である。即ち、本発明のステップモータは、外径の小さな構造でありながら、大きな磁力でもって中間回転体に確実な回動操作力を付与することができるため、車載性を犠牲にすることなく駆動回転体と従動回転体の回転位相を正確、かつ確実に変更することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
この実施形態は本発明にかかるステップモータ4を内燃機関のバルブタイミング制御装置のアクチュエータ部分(操作力付与手段)に用いたものである。このバルブタイミング制御装置は、図1に示すように内燃機関のシリンダヘッド(図示せず)に回転自在に支持された吸気側のカムシャフト1と、このカムシャフト1の前端部に必要に応じて相対回動できるように組み付けられ、チェーン(図示せず)を介してクランクシャフト(図示せず)に連繋されるタイミングスプロケット2を外周に有する駆動プレート3(駆動回転体)と、この駆動プレート3とカムシャフト1の前方側(図1中左側)に配置されて、両者3,1の組付角を回動操作する組付角操作機構5と、この組付角操作機構5のさらに前方側に配置されて、同機構5を駆動操作する前記ステップモータ4と、内燃機関の図外のシリンダヘッドとロッカカバーの前面に跨って取り付けられて組付角操作機構5とステップモータ4の前面と周域を覆うVTCカバー12と、を備えている。
【0013】
駆動プレート3は、挿通孔6を備えた円板状に形成され、カムシャフト1の前端部に一体に結合されたレバー軸10(従動回転体)が挿通孔6部分に回転可能に組み付けられている。そして、駆動プレート3の前面(カムシャフト1と逆側の面)には、図2に示すように、3つの径方向溝8(径方向ガイド)が同プレート3の半径方向に沿うように形成されている。
【0014】
また、レバー軸10は、図1に示すように、その外周面に放射状に突出する三つのレバー9が一体に形成され、軸心部を貫通するボルト13によってカムシャフト1に結合されている。レバー軸10の各レバー9には、リンク14の基端がピン15によって枢支連結され、各リンク14の先端には前記各径方向溝8に摺動自在に係合する円柱状のボス17が一体に形成されている。
【0015】
各ボス17は、対応する径方向溝8に係合した状態において、リンク14とレバー9の枢支部を介してレバー軸10に連結されているため、リンク14の先端部が外力を受けて径方向溝8に沿って変位すると、駆動プレート3とレバー軸10はリンク14の作用でもってボス17の変位に応じた方向及び角度だけ相対回動する。
【0016】
また、各リンク14の先端部にはリンク本体部の前面側からボス17部分に向けて保持穴18が設けられ、この保持穴18に、球19と略円柱状のリテーナ20と、このリテーナ20を前方側に付勢するためのコイルばね21とが収容されている。尚、リンク14の先端のボス17と球19は可動案内部を構成している。
【0017】
一方、レバー軸10のレバー9の突設位置よりも前方側には、略円板状の中間回転体23が回転可能に支持されている。この中間回転体23の後部側の面には断面半円状の渦巻き溝24(渦巻き状ガイド)が形成され、この渦巻き溝24に、各リンク14の先端に保持された球19が転動自在に係合されている。渦巻き溝24の渦巻きは、図2及び図13,14に示すように機関回転方向Rに沿って次第に縮径するように形成されている。したがって、各リンク14の球19が渦巻き溝24に係合した状態で中間回転体23が駆動プレート3に対して遅れ方向(減速方向)に相対回転すると、リンク14の先端部は渦巻き溝24の渦巻き形状に沿って半径方向内側に移動し、逆に、中間回転体23が進み方向(増速方向)に相対回転すると、半径方向外側に移動する。
【0018】
組付角操作機構5は、以上説明した駆動プレート3の径方向溝8、ボス17、球19、リンク14、レバー9、中間回転体23の渦巻き溝24等によって構成されている。この組付角操作機構5は、ステップモータ4から中間回転体23にカムシャフト1に対する相対的な回動操作力が入力されると、その操作力が渦巻き溝24と球19の係合部を通してリンク14の先端を径方向に変位させ、このときリンク14とレバー9の作用でもって駆動プレート3とカムシャフト1に相対的な回動力を伝達する。
【0019】
一方、ステップモータ4は、前記中間回転体23の前面側(駆動プレート3と逆面側)に接合された永久磁石ブロック29と、レバー軸10に一体に結合されたヨークブロック30と、VTCカバー12内に取り付けられた電磁コイルブロック32と、を備えて成り、このうちの電磁コイルブロック32は、後述する一対のコイル巻線33a,33bを有し、その各端末が励磁回路やパルス分配回路等を含む駆動回路(図示せず)に接続されている。この駆動回路は図示しないコントローラによって制御されるが、そのコントローラは、クランク角、カム角、機関回転数、機関負荷等の各種の入力信号を受け、随時機関の運転状態に応じた制御信号を駆動回路に出力する。
【0020】
永久磁石ブロック29は、図3に示すように、ヨークブロック30に対向する側の面に、放射方向に延出する磁極(N極,S極)が、異磁極が円周方向に沿って交互になるように複数着磁されている。尚、図3中永久磁石ブロック29の磁極にはN,Sの記号を記してある。
【0021】
また、ヨークブロック30は、図4〜図10に示すように、径方向内向きに延出する複数の極歯34a…を有する略円環状の外側極歯ヨーク34と、この外側極歯ヨーク34の内周側に同心に配置され、径方向外向きに延出する複数の極歯35a…を有する内側極歯ヨーク35と、外側極歯ヨーク34と内側極歯ヨーク35の間に配置され、径方向外向きに延出する複数の極歯36aと径方向内向きに延出する複数の極歯36bを有する中間極歯ヨーク36と、を備えている。これらの各極歯ヨーク34〜36は透磁率の高い金属材料によって形成されると共に、絶縁性の樹脂材料によって相互に結合され、ヨークブロック30全体として略円板形状を成すようになっている。
【0022】
外側極歯ヨーク34と中間極歯ヨーク36、中間極歯ヨーク36と内側極歯ヨーク35の各対向する側に延出する極歯34a,36a、及び、36b,35aは相互に対を成し(以下、これらを「外側極歯対」及び「内側極歯対」と呼ぶ。)、これらの対を成す極歯34a,36a及び36b,35aは円周方向に沿って交互に、かつ、等ピッチに配置されている。そして、外側極歯対と内側極歯対の極歯34a,36a,36b,35aは、極歯ヨーク34の隣接する極歯34a,34a間を一ピッチ角としたときに、円周方向に4分の1ピッチ角分ずれるように配置されている。また、各極歯ヨーク34〜36の隣接する極歯を連結する基部34c,35c,36cは円環状に形成され、これらの軸方向の端面が夫々電磁コイルブロック32に対向するようになっている。
【0023】
ここで、外側極歯ヨーク34と内側極歯ヨーク35の環状の基部34c,35cのうち、中間極歯ヨーク36の各極歯36a,36bの先端が指向する部位には、永久磁石ブロック29側に開口する凹部25,26が夫々形成され、この凹部25,26によって各極歯34a,35aの付根部が夫々環状の基部34c,35cまで延出するようになっている。尚、外側極歯ヨーク34側の凹部25は環状の基部34cの径方向幅全域に亙って形成されている。
【0024】
また、中間極歯ヨーク36の環状の基部36cは、外側極歯ヨーク34の極歯34aの先端が指向する位置と、内側極歯ヨーク35の極歯35aの先端が指向する位置とに永久磁石ブロック29側に開口する第1の凹部27と第2の凹部28が夫々形成されている。図5,図9に詳細に示すように、第1の凹部27と第2の凹部28は、環状の基部36cの径方向外側と内側から夫々径方向略中央部に向かって形成されているが、中間極歯ヨーク36の各極歯36a,36bは、これらの凹部27,28によって付根部が基部36cの径方向略中央部まで延出するようになっている。また、第1の凹部27と第2の凹部28は夫々外側極歯ヨーク34と内側極歯ヨーク35の各極歯34a,35aが収容配置される部分であるため、第1の凹部27、第2の凹部28、極歯36a,36bは、図5に示すように円周方向に沿ってその順序のまま4分の1ピッチ角ずつずれて配置されている。そして、第1の凹部27の円周方向一方側(図5中右側)に位置される第2の凹部28は、環状の基部36cの径方向略中央部で第1の凹部27に対してほぼ4分の1ピッチ角の範囲で連通している。
【0025】
そして、中間極歯ヨーク34の極歯36a,36bの各先端部は外側極歯ヨーク34と内側極歯ヨーク35の各凹部25,26の近傍まで延出し、外側極歯ヨーク34と内側極歯ヨーク35の各極歯34a,35aの先端部は中間極歯ヨーク36の各凹部27,28内に収容配置されている。
【0026】
一方、電磁コイルブロック32は、図1に示すように、非回転部材であるVTCカバー12に回転を規制した状態で係止された略円板状のコイルヨーク40と、夫々異なる径のボビンに巻回された状態でコイルヨーク40内に同心に収容配置された第1のコイル巻線33aと第2のコイル巻線33bとを備え、コイルヨーク40の端部(VTCカバー12の底面と逆側の端部)がヨークブロック30に対向するようになっている。
【0027】
具体的には、コイルヨーク40のヨークブロック30側の端部には、径の異なる環状の磁気入出部37,38,39が同心円状に配置されており、これらの磁気入出部37,38,39が極歯ヨーク34,36,35の環状の基部34c,36c,35cに対して夫々エアギャップを介して対峙している。したがって、各コイル巻線33a,33bが励磁されて所定の向きの磁界が生じると、エアギャップを介してヨークブロック30の対応する極歯34a,36a,36b,35aに磁気誘導が生じ、その部分に磁界の向きに応じた磁極が現れる。
【0028】
また、各コイル巻線33a,33bの発生磁界は、駆動回路のパルスの入力に対して所定のパターンで順次切換えられ、それによって永久磁石ブロック29の磁極面に対峙する極歯34a,36a,36b,35aの磁極が円周方向に沿って移動するようになっている。したがって、中間回転体23は、このときヨークブロック30上の円周方向に沿った磁極の移動に追従し、レバー軸10に対して相対的に回動することとなる。
【0029】
尚、図1,図12中、45は、コイルヨーク30の背部側に取付けられ、同ヨーク30とVTCカバー12の間のガタ付きを防止するゴム弾性体である。
【0030】
このバルブタイミング制御装置は以上のような構成であるため、内燃機関の始動時やアイドル運転時には、図2に示すように、駆動プレート3とレバー軸10の組付角を予め最遅角側に維持しておくことにより、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相(機関弁の開閉タイミング)を最遅角側にし、機関回転の安定化と燃費の向上を図ることができる。
【0031】
そして、この状態から機関の運転が通常運転に移行し、前記回転位相を最進角側に変更すべく指令が図外のコントローラからステップモータ4の駆動回路に発されると、ステップモータ4はその指令に従って発生磁界を所定パターンで変化させ、永久磁石ブロック29を中間回転体23と共に遅れ側に最大に相対回動させる。これにより、渦巻き溝24に球19を介して係合されているリンク14の先端部は、図14に示すように、径方向ガイド8に沿って径方向内側に最大に変位し、駆動プレート3とレバー軸10の組付角を最進角側に変更する。この結果、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相が最進角側に変更され、それによって機関の高出力化が図られることとなる。
【0032】
また、この状態から前記回転位相を最遅角側に変更すべく指令がコントローラから発されると、電磁コイル32が発生磁界を逆パターンで変化させることによって中間回転体23を進み側に最大に相対回動させ、球19を介して渦巻き溝24に係合するリンク14の先端部を、図2に示すように、径方向ガイド8に沿って径方向外側に最大に変位させる。これにより、リンク14は駆動プレート3とレバー軸10を相対回動させ、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相を最遅角側に変更する。
【0033】
尚、クランクシャフトとカムシャフト1の回転位相の変更は上記の最進角側位置と最遅角側位置に限らず、コントローラによる制御によって任意の位置に変更することができ、例えば、図13に示すように、最遅角位置と最進角位置の中間位置に変更することも可能である。
【0034】
このバルブタイミング制御装置は以上のように作動するが、この装置の操作力付与手段に用いられるステップモータ4は、ヨークブロック30の各極歯ヨーク34,36,35の基部34c,36c,35cに凹部25,27,28,26が形成され、対応する相手極歯ヨーク36,34,35の極歯36a,34a,35a,36bがその凹部25,27,28,26に近接して配置され、或は、完全に内部に収容した状態で配置されているため、各極歯36a,34a,35a,36bと相手極歯ヨーク36,34,35の基部36c,34c,35cとの干渉や、磁束の漏れ等を招くことなく、各極歯34a,35a,36a,36bの延出長さを充分に長く確保することができる。そして、このステップモータ4においては、外側極歯ヨーク34の外径を大きくすることなく、各極歯34a,35a,36a,36bの面積を大きくすることができるため、モータ4全体の径の大型化を招くことなく、永久磁石ブロック29に作用する磁力を大きくし、回転トルクの増大を図ることができる。
【0035】
とりわけ、このステップモータ4の場合、中間極歯ヨーク36の基部36cには、径方向外側から径方向略中央部に亙る第1の凹部27と、径方向内側から径方向略中央部に亙る第2の凹部28を形成し、これらの凹部27,28が基部36cの径方向略中央部で相互に連通するようにしてあるため、径方向外向きの極歯36aと内向きの極歯36bの各付根部を最大限に基部36c側に確保することができると共に、相手極歯ヨーク34,35の極歯34a,35aの先端部の受容長さを最大限に確保することができる。したがって、この場合、極歯34a,36a,36b,35aの延出長さをより大きく確保することができ、永久磁石ブロック29に作用する磁力を効率良く高めることができる。
【0036】
また、この実施形態のステップモータ4は内燃機関のバルブタイミング制御装置のアクチュエータ部分(操作力付与手段)に用いたため、同装置の外径の大型化を招くことなく中間回転体29を安定した大きな磁力でもって確実に回転させることができる。したがって、装置の大型化による車載性の低下等を問題を招くことなく、バルブタイミング制御の精度を高めることができる。
【0037】
尚、本発明の実施形態は以上で説明したものに限るものでなく、例えば、以上の実施形態では外側極歯ヨーク、内側極歯ヨーク、中間極歯ヨークのすべての基部に凹部を設けたが、任意の一つ或は二つの極歯ヨークの基部に凹部を設けるようにしても良い。また、ステップモータの適用もバルブタイミング制御装置に限らず、他の種々の装置であって良い。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、環状の基部のうちの、相手極歯ヨークの極歯の先端が指向する部位に、永久磁石ブロック側に開口する凹部を設け、該凹部を設けることによって極歯の付根部を環状の基部まで延出させ、その環状の基部の凹部内に、相手極歯ヨークの極歯の先端を収容配置したため、相手極歯ヨークの極歯との距離を充分に確保できるので、外側極歯ヨークの外径の増大を招くことなく、極歯ヨークの延出長さを長くして回転トルクの増大を図ることができる。
したがって、本発明によれば、回転トルクの増大と装置の小型化とを両立させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、径方向外向きの極歯と径方向内向きの極歯の各付根部が環状の基部に最大長さに確保され、極歯の先端を受容する各凹部の径方向長さも最大に確保される。
請求項3に記載の発明によれば、ステップモータは、外径の小さな構造でありながら、大きな磁力でもって中間回転体に確実な回動操作力を付与することができるため、車載性を犠牲にすることなく駆動回転体と従動回転体の回転位相を正確、かつ確実に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す縦断面図。
【図2】同実施形態を示す図1のA−A線に沿う断面図。
【図3】同実施形態を示す中間回転体に取り付けられた永久磁石ブロックの正面図。
【図4】同実施形態を示すヨークブロックの充填樹脂材料の図示を省略した正面図。
【図5】同実施形態を示すヨークブロックの充填樹脂材料の図示を省略した背面図。
【図6】同実施形態を示す図5のB−B線に沿う拡大断面図。
【図7】同実施形態を示すヨークブロックの正面側の拡大斜視図。
【図8】同ヨークブロックを別の角度から見た正面側の拡大斜視図。
【図9】同ヨークブロックの背面側の拡大斜視図。
【図10】同実施形態を示すヨークブロックの部分拡大正面図。
【図11】同実施形態を示す電磁コイルブロックの正面図。
【図12】同実施形態を示す電磁コイルブロックの正面図。
【図13】同実施形態の作動状態を示す図2に対応の断面図。
【図14】同実施形態の別の作動状態を示す図2に対応の断面図。
【符号の説明】
1…カムシャフト
3…駆動プレート(駆動回転体)
8…径方向溝(径方向ガイド)
10…レバー軸(従動回転体)
14…リンク
17…ボス(可動案内部)
19…球(可動案内部)
23…中間回転体
24…渦巻き溝(渦巻き状ガイド)
25,26…凹部
27…第1の凹部(凹部)
28…第2の凹部(凹部)
29…永久磁石ブロック
32…電磁コイルブロック
33a,33b…コイル巻線
34…外側極歯ヨーク
34a…極歯
34c…基部
35…内側極歯ヨーク
35a…極歯
35c…基部
36…中間極歯ヨーク
36a,36b…極歯
36c…基部
Claims (3)
- 環状の基部から径方向内向きに延出する複数の極歯を有する外側極歯ヨークと、
この外側極歯ヨークの内周側に配置され、環状の基部から径方向外向きに延出する複数の極歯を有する内側極歯ヨークと、
前記外側極歯ヨークと内側極歯ヨークの間に配置され、環状の基部から径方向外向きに延出して外側極歯ヨークの隣接する極歯間に位置される極歯と、同じ環状の基部から径方向内向きに延出して内側極歯ヨークの隣接する極歯間に位置される極歯を有する中間極歯ヨークと、
前記各極歯ヨークに磁極を生じさせるための複数のコイル巻線を有する電磁コイルブロックと、
異磁極が円周方向に沿って交互に配置されるように着磁され、磁極面が前記各極歯ヨークの極歯に対峙するように回転可能に設けられた永久磁石ブロックと、を備え、
前記電磁コイルブロックの複数のコイル巻線に対する通電方向を所定パターンで変化させることにより、各極歯ヨークの極歯に生じる磁極を変化させて永久磁石ブロックを前記極歯ヨークに対して相対回転させるステップモータにおいて、
前記各極歯ヨークの少なくとも一つは、環状の基部のうちの、相手極歯ヨークの極歯の先端が指向する部位に、永久磁石ブロック側に開口する凹部を設け、
該凹部を設けることによって極歯の付根部を環状の基部まで延出させ、その環状の基部の凹部内に、相手極歯ヨークの極歯の先端を収容配置したことを特徴とするステップモータ。 - 中間極歯ヨークの環状の基部には、径方向外向きの極歯の付根部と径方向内向きの極歯の付根部が環状の基部の径方向略中央部まで延出するように第1の凹部と第2の凹部を設け、この第1の凹部と第2の凹部が環状の基部の径方向略中央で相互に連通するようにしたことを特徴とする請求項1に記載ステップモータ。
- 内燃機関のクランクシャフトによって回転駆動する駆動回転体と、
カムシャフト若しくは同シャフトに結合された別体部材から成り、前記駆動回転体から動力を伝達される従動回転体と、
前記駆動回転体と従動回転体のいずれか一方に設けられた径方向ガイドと、
前記駆動回転体と従動回転体に対して相対回転可能に設けられ、前記径方向ガイドに対峙する側の面に渦巻き状ガイドを有する中間回転体と、
前記径方向ガイドと渦巻き状ガイドに変位可能に案内係合される可動案内部と、
前記駆動回転体と従動回転体のいずれか他方のものの回転中心から離間した部位と前記可動案内部とを揺動可能に連結するリンクと、
を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
前記中間回転体に駆動回転体及び従動回転体に対する相対的な回動操作力を付与する操作力付与手段に用いることを特徴とする請求項1または2に記載のステップモータ。
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