JP2003119439A - 加熱剥離型自己粘着シート - Google Patents
加熱剥離型自己粘着シートInfo
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Abstract
の被着体を強く固定でき、加熱したときは粘着力が低下
して被着体を弱い力で容易に外すことができ、上記の固
定と剥離を繰返しても粘着特性が変化せず、被着体の剥
離後に粘着層一部が被着体に移行して被着体を汚染する
ことが無いようにする。 【解決手段】 基材シートの少なくとも片面に柔軟性ポ
リマーからなる自己粘着層を設け、この自己粘着層を常
温からの温度上昇と共に自己粘着力の低下する加熱剥離
型に形成し、その自己粘着力を25℃で 980〜5000mN/20
mm2 、80℃で 900mN/20mm2 以下に設定する。
Description
己粘着力が強くて半導体ウエハ等のワークその他の被着
体を強固に固定でき、かつ所望により短時間の加熱で自
己粘着力を低下させて上記被着体を容易に剥離できる加
熱剥離型自己粘着シートに関する。更に詳しくは、上記
の自己粘着力の温度による変化すなわち感温特性がリバ
ーシブルであり、上記被着体の固定と剥離を繰返すこと
ができる加熱剥離型自己粘着シートに関する。
断分離(ダイシング)する際のワーク支持台に半導体ウ
エハを固定するための粘着シートとして、特開昭60-196
956 号公報には、基材フィルム表面に光照射により硬化
して三次元網状化する性質の粘着剤層を積層したものが
開示されている。この粘着シートは、その裏面側がワー
ク支持台上に真空吸着その他の任意の手段で固定され、
表面側の粘着剤層でシリコン単結晶からなるウエハを粘
着により固定し、このウエハ表面に集積回路を形成し、
表面を研磨して所定の厚みとし、これをダイシングした
後、光照射で粘着剤層を硬化させ、粘着力を低下させて
チップのピックアップを可能にする。
として側鎖結晶性高分子を用い、温度変化により粘着力
を下げてピックアップ性を向上させることが開示されて
いる。また、特開平11-316820 号公報には、粘着層に熱
膨張性の微小粒子を含有する熱膨張性粘着層を用い、加
熱膨張により剥離性を付与することが開示され、また特
開平10-25456号公報には、粘着層として加熱硬化性化合
物および加熱重合開始剤を配合し、加熱により粘着力を
低下させることが開示され、また特開平7-263351号公報
には、融点が10℃以上で、かつ融点以上での粘着力が融
点未満の3倍以上となる粘着剤を用い、冷却により粘着
力を低下させることが開示されている。
不足したり、チップのピックアップが困難であったり、
また粘着剤の剥離でウエハの表面が汚染されたり、かつ
粘着力の変化がリバーシブルでなく、粘着シートが使い
捨てとなって経済的でない等の問題があった。そして、
最近では、半導体集積回路の大容量化および高集積化や
小型化が図られるのに伴い、チップ表面の汚染がなく、
かつダイシングや研磨の際は強い粘着力でチップの飛散
を防止し、次工程に移行する際は粘着力が低下してチッ
プを容易にピックアップすることができ、しかも繰返し
使用が可能で経済性に優れた粘着シートの開発が望まれ
るようになった。
では強い粘着力によってウエハ等の被着体を強く固定で
き、加熱したときは粘着力が低下して被着体を弱い力で
容易に外すことができ、しかもこの温度による粘着特性
の変化がリバーシブルであり、上記の固定と剥離を繰返
しても粘着特性が変化せず、さらに被着体の剥離後に粘
着層一部が被着体に移行して被着体を汚染することが無
く、たとえば半導体ウエハのダイシング用やコンデンサ
ー、LED等の電子部品の製造工程、組立て工程その他
においてワークの仮固定に使用でき、またガラス板、金
属板、プラスチック板等の表面保護シート用としても利
用することができる加熱剥離型の粘着シートを提供する
ものである。
型自己粘着シートは、基材シートの少なくとも片面に柔
軟性ポリマーからなる自己粘着層を備え、この自己粘着
層が常温からの温度上昇と共に自己粘着力の低下する加
熱剥離型で、その自己粘着力が25℃で 980〜5000mN/20
mm2 、80℃で 900mN/20mm2 以下に設定されていること
を特徴とする。なお、上記自己粘着層の表面は、使用開
始の直前まで剥離が容易なカバーシートで被覆されるこ
とが好ましい。
となるものであり、一般にはプラスチックシートが用い
られるが、紙、布、不織布、金属箔など、またはこれら
とプラスチックとの積層体、プラスチックフィルムもし
くはシート同士の積層体を用いることができる。なお、
上記基材シートの厚さは、一般には 500μm以下が好ま
しく、特に好ましくは1〜 300μm、さらに好ましいの
は5〜 250μm程度であるが、これに限定されず、厚み
の点でフィルムまたはシートと呼ばれる範囲のものを含
むことができる。
密着性を高めるために、紫外線、電子線、プラズマ、コ
ロナ等の活性線処理を施すことができる。また、ポリエ
ステル系、ポリウレタン系またはポリアクリル系等の易
接着性樹脂によるアンカー処理等を施すことができる。
なる平滑面の自己粘着力(タック力とも呼ばれる)によ
って被着面を固定する機能を備えている。このような自
己粘着層は、特開2000-139903 号公報等によって知られ
ているが、この発明は、上記自己粘着層が有する加熱剥
離性、すなわち常温下では強い自己粘着力で被着物に固
定されるが、加熱すると自己粘着力が低下して被着物の
剥離が容易になる性質の発見に基づいて成されたもので
あり、この発明では、基材シートの少なくとも片面に上
記の加熱剥離型自己粘着層が設けられる。すなわち、こ
の自己粘着層は、加熱剥離型自己粘着シートの使用目的
に応じて、基材シートの片面または両面に設けられる。
に設けた場合、他の面には後記するように加熱剥離性の
低い安定型自己粘着層その他の固定手段、例えば任意の
接着剤や両面粘着テープを設け、該他の固定手段で基材
シートを任意の加工機械のワーク支持台上に固定し、上
記の加熱剥離型自己粘着層上にウエハ等のワークを固定
することができる。他方、他の面に固定手段を設けない
場合は、該他の面を加工機械のワーク支持台上に真空吸
着その他の任意の手段で、またはこれらを併用して固定
することができ、上記の真空吸着を用いた場合は、加熱
剥離型自己粘着シートにあらかじめ多数の小孔を開けて
おくことにより、自己粘着シートとワーク間の固定に自
己粘着力および真空吸着を併用することができる。そし
て、両面に加熱剥離型自己粘着層を設けた場合は、片面
をウエハ等のワークに固定し、他の面をワーク支持台に
固定することができる。
粘着力が常温で高く、加熱で低下する加熱剥離性を備え
ているため、上記の加熱剥離型自己粘着層をウエハ等の
被着体に常温下で重ねて押圧すると、被着体を強い粘着
力で固定することができる。そして、必要に応じて上記
の自己粘着層を所定温度に加熱すると、粘着力が低下
し、上記の被着体を加熱剥離型粘着シートから容易に剥
離することができる。しかも、上記の粘着は、粘着剤に
よるものでなく、柔軟性ポリマーからなる平滑面の自己
粘着力によるものであるため、被着体から剥離する際に
柔軟性ポリマーの一部が欠落して被着体に移行したり、
被着体を汚染したりすることがなく、リペアー性に優れ
る。
/20mm2 、好ましくは1000〜4500mN/20mm2 、特に好ま
しくは1100〜4000mN/20mm2 に設定される。この25℃で
の粘着力が 980mN/20mm2 未満では、被着体の固定力が
不足し、反対に5000mN/20mm2を超えると感温性が低下
し、加熱剥離性が悪化する。一方、80℃での粘着力は、
900mN/20mm2 以下、好ましくは 850mN/20mm2 以下、
特に好ましくは 800mN/20mm2 以下に設定される。この
80℃での粘着力が 900mN/20mm2 を超えると、被着体の
剥離が困難になる。なお、上記自己粘着力は、柔軟性ポ
リマーの組成、硬化度、自己粘着層の平均表面粗度(R
a )、表面模様形状等を変更することによって適宜に設
定される。
塑性エラストマーおよびプラストマーが挙げられる。ゴ
ムとしては、天然ゴムおよびシリコーンゴム、エチレン
プロピレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、ク
ロロプレンゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、ウレタン
ゴム等の合成ゴムが例示される。また、熱可塑性エラス
トマーとしては、エステル系、ポリアミド系およびポリ
オレフィン系のものが例示される。また、プラストマー
としては、ポリオレフィン系が例示される。これらの柔
軟性ポリマーは、単体で用いてもよく、2以上を混合し
て用いてもよい。
a )は0.12μm以下が好ましく、特に0.08μm以下が好
ましく、0.05μm以下が最も好ましく、平均表面粗度
(Ra )が0.12μmを超えると、自己粘着による固定が
不可能になる。また、上記自己粘着層の表層のダイナミ
ック硬度は、1〜20mN/μm2 が好ましく、特に 1.5〜
15mN/μm2が好ましい。上記のダイナミック硬度が1mN
/μm2未満では、剥離が困難になって前記のリペアー性
が低下し、反対に20mN/μm2を超えると、固定力が不足
する。ただし、この発明は、上記の平均表面粗度やダイ
ナミック硬度で限定されるものでなく、自己粘着層に形
成される後記単位模様の形状によっては、ダイナミック
硬度が1mN/μm2未満であっても、所望の自己粘着力が
得られる。
様、好ましくは単位模様の繰返しからなる凹凸模様の少
なくとも凸部表面で構成し、これによって加熱剥離型の
感温特性を向上させることができる。例えば、基材シー
ト上に柔軟性ポリマーを積層する際、スクリーン印刷等
の印捺手段により、柔軟性ポリマーを単位模様の繰返し
からなる模様状に印捺して凹凸模様を形成し、しかるの
ち易剥離性のカバーシートを積層してカバーシートの易
剥離性平滑面を重ねて押圧し、柔軟性ポリマーからなる
印捺模様の凸部表面をカバーシートの易剥離性平滑面と
同じ表面平均粗度に成形して自己粘着性を与えることが
できる。
一な厚みに積層し、しかるのち凹凸模様を有する金型ま
たはロールを用いてエンボス加工を施すこともできる。
また、上記同様に基材シート上に柔軟性ポリマーを均一
な厚みに積層した後、あらかじめエンボス加工を施した
カバーシートを重ね、押圧してカバーシートの凹凸模様
を転写することができる。ただし、いずれの場合も、凸
部表面は前記の平均表面粗度(Ra )およびダイナミッ
ク硬度を有することが好ましい。
を単位模様の繰返しからなる凹凸模様の凸部で構成する
場合、単位模様の凸部は、点もしくは線またはこれらの
結合からなるものが好ましく、点の形状は、円形、三角
形、四角形その他を任意に選択することができる。ま
た、線状模様では縦横の縞、格子、ネット状等の任意の
模様を選択することができる。ただし、単位模様におけ
る凸部と凹部の面積比は、5/95〜90/10が好ましく、
特に好ましいのは7/93〜80/20、最も好ましいのは10
/90〜80/20である。この面積比が上記の範囲を外れる
と、自己粘着力の温度依存性すなわち感温特性が不十分
になり易く、特に下限を外れると室温下での粘着力が不
足し、被着物の固定が不可能になる。なお、凹凸模様の
深さは、0.01〜0.5mm が好ましい。また、凸部の表面に
窪みを形成して吸盤効果を発揮させることもできる。
裏両面に上記の加熱剥離型自己粘着層を形成し、片面の
自己粘着層によって半導体ウエハを固定し、他面の自己
粘着層によってワーク支持台に固定してもよい。また、
他面には自己粘着層を設けることなく、ワーク支持台に
真空吸引によって固定することもできる。また、他面に
非加熱剥離性の安定型自己粘着層、すなわち後記のよう
に加熱による自己粘着力の低下が少ない自己粘着層を形
成し、その自己粘着力を利用してワーク支持台に固定す
ることもできる。この安定型自己粘着層を形成した場合
は、ワーク支持台に自己粘着シートを貼着するときの施
工性が良好となり、自己粘着シートと支持台との間に空
気をかみこむことなく施工することができるので、自己
粘着シート表面の平面性が向上する。
特性は、シート表面の平面性で大きく影響され、平面性
が悪化すると、自己粘着シートの面内の粘着特性の変動
が大きくなる。したがって、上記の安定型自己粘着層に
よる貼着を利用することにより、反対側の加熱剥離型自
己粘着層における粘着特性の面内変動を抑制することが
できる。また、安定型自己粘着層を用いた場合は、強い
固定力を持つと同時に、良好な剥離性も得られ、自己粘
着シートを張り替える必要が生じた場合に簡単に剥離し
て交換することができ、かつ支持台表面を自己粘着層の
構成成分で汚染しない利点を備え、リペアー性に優れて
いる。
性の面内変動を抑制するため、本発明の基材シートとし
て、発泡体からなるプラスチックフィルムを用い、これ
によってシートにクッション性を付与して粘着シート表
面の平面性を改善することができる。
己粘着層と同様に柔軟性ポリマーを積層して得られる
が、その加熱剥離性は、前記柔軟性ポリマーの組成やゴ
ム硬度、表面架橋度等によって加熱剥離型自己粘着層よ
りも低く設定される。すなわち、常温時と加熱時におけ
る自己粘着力の差が小さくなるように設定される。この
自己粘着力は、25℃では 980mN/20mm2 以上が好まし
く、特に好ましいのは1000mN/20mm2 以上、最も好まし
いのは1100mN/20mm2 以上であるのに対し、80℃では90
0 mN /20mm2 以上が好ましく、特に好ましいのは 950m
N/20mm2 以上、最も好ましいのは1000mN/20mm2 以上
である。
離型自己粘着層よりも低く、0.01〜1mN/μm2、特に0.
02〜 0.8mN/μm2とするのが好ましい。また、表面は平
滑であることが好ましく、その平均表面粗度(Ra )
は、加熱剥離型自己粘着層と同程度の0.12μm以下、好
ましくは0.08μm以下、特に好ましくは0.05μm以下に
設定される。
前記のように半導体ウエハのダイシング用やコンデンサ
ー、LED等の電子部品の製造工程、組立て工程および
印刷工程等においてワークの仮固定に使用できるが、そ
の被着体として半導体ウエハを用いることが最も好適で
あり、半導体ウエハのダイシングや研磨の際に半導体ウ
エハやチップを基材シートの片面に自己粘着層の粘着力
で強く保持できる一方、チップをピックアップする際
は、加熱という簡単な操作で容易に粘着力を低下させる
ことができる。そのため、常温下のダイシング中にチッ
プが飛散することがなく、また加熱時の剥離力が小さい
ので、ピックアップする際に作業性が低下せず、かつ自
己粘着層の一部がチップに移行してチップを汚染するこ
ともない。また、加熱による粘着力の低下は、リバーシ
ブルな特性であるため、上記の作業に際して粘着シート
の繰返し使用が可能になり、経済的にも有利である。
タイプのポリエチレンテレフタレートフィルムを、また
加熱剥離型自己粘着層用の柔軟性ポリマーとして比較的
高い硬度の柔軟性ポリマーを、また安定型自己粘着層用
柔軟性ポリマーとして比較的硬度の低い柔軟性ポリマー
を、また第1、第2のカバーフィルムとして片面が易剥
離処理され、該処理面の平均表面粗度(Ra )が0.12μ
m以下、好ましくは0.08μm以下、特に好ましくは0.05
μm以下のポリエチレンテレフタレートフィルムをそれ
ぞれ用意する。
粘着層用の比較的高い硬度の柔軟性ポリマーからなる未
架橋の柔軟性ポリマー層を積層し、この柔軟性ポリマー
層表面に第1カバーフィルムの易剥離処理面を重ねてロ
ーラで圧着し、柔軟性ポリマー層表面に第1カバーフィ
ルムの平均表面粗度を転写し、得られた基材フィルム、
柔軟性ポリマー層および第1カバーフィルムの積層体を
電子線照射装置に導いて第1カバーフィルム側から電子
線照射を行って柔軟性ポリマー層を架橋させることによ
り、自己粘着力が25℃において 980〜5000mN/20mm2 、
好ましくは1000〜4500mN/20mm2 、特に好ましくは1100
〜4000mN/20mm2 であって、80℃において900mN/20mm2
以下、好ましくは 850mN/20mm2 以下、特に好ましく
は 800mN/20mm2 以下の加熱剥離型自己粘着層を形成
し、同時に該自己粘着層を基材フィルムと接着する。な
お、表層のダイナミック硬度は、1〜20mN/μm2、好ま
しくは1.5 〜15mN/μm2に、また平均表面粗度(Ra )
は、0.12μm以下、好ましくは0.08μm以下、特に好ま
しくは0.05μm以下に設定される。
ムの裏面に安定型自己粘着層用の比較的低い硬度の柔軟
性ポリマーからなる未架橋のポリマー層を積層し、この
柔軟性ポリマー層表面に第2カバーフィルムの易剥離処
理面を重ね、得られた積層体に前記同様に第2カバーフ
ィルム側から電子線照射を行って安定型自己粘着層用の
柔軟性ポリマー層を架橋させ、自己粘着力が25℃におい
ては 980mN/20mm2 以上、好ましくは1000mN/20mm2 以
上、特に好ましくは1100mN/20mm2 以上であって、80℃
においては 900 mN /20mm2 以上、好ましくは 950mN/
20mm2 以上、特に好ましくは1000mN/20mm2 以上の安定
型自己粘着層を形成し、同時に該自己粘着層を基材フィ
ルムと接着する。なお、表層のダイナミック硬度は、0.
01〜1mN/μm2、好ましくは0.02〜 0.8mN/μm2に、ま
た平均表面粗度(Ra )は、0.12μm以下、好ましくは
0.08μm以下、特に好ましくは0.05μm以下に設定され
る。
は、半導体ウエハの研磨やダイシング用に好適であり、
常温下で上記複合体の第2カバーフィルムを剥離し、現
われた安定型自己粘着層を加工機のワーク支持台に重ね
て上記の自己粘着シートを固定し、次いで第1カバーフ
ィルムを剥離し、現われた加熱剥離型自己粘着層に半導
体ウエハを重ねて押圧すると、半導体ウエハが固定され
る。このとき、ワーク支持台に安定型自己粘着層を介し
て基材シートが固定され、この基材シートに加熱剥離型
自己粘着層を介して半導体ウエハが固定され、いずれの
固定力も強固であるため、半導体ウエハの研磨やダイシ
ングは支障なく行われる。
記の加熱剥離型自己粘着層をワーク支持台にあらかじめ
組込まれているヒータによって温度40〜 100℃に加熱す
ると、安定型自己粘着層の粘着力がほとんど低下するこ
となく、加熱剥離型自己粘着層の粘着力のみが大幅に低
下するため、チップのピックアップを容易に行うことが
でき、しかもピックアップの際に上記粘着層の一部の剥
離移行によるチップ裏面の汚染が生じない。
自己粘着層の温度が常温に戻ると、その粘着力は再び元
通り高くなり、また加熱すると再び低下し、その粘着力
の感温性がリバーシブルであり、しかも上記のとおりチ
ップの汚染がないため、加熱剥離型自己粘着シートの繰
返し利用が可能である。また、ワーク支持台に対する固
定を自己粘着層で行うので、上記シートを一端からめく
ることによって剥離も容易であり、剥離によってワーク
支持台を汚染することもなく、リペアー性も良好であ
る。
て、あらかじめエンボス加工によって単位模様の繰返し
からなる凹凸模様を形成したものを用い、加熱剥離型自
己粘着層用の柔軟性ポリマー表面に上記の第1カバーフ
ィルムを重ねて圧着することにより、上記の柔軟性ポリ
マー表面に凹凸模様であって、その凸部と凹部の面積比
が5/95〜90/10の凹凸模様を成形し、その他は実施形
態1と同様にして加熱剥離型自己粘着シート複合体を製
造する。得られた加熱剥離型自己粘着シート複合体は、
実施形態1と同様に使用することができるが、加熱剥離
型自己粘着層の表面に凹凸模様を有するので、加熱剥離
性が向上し、半導体ウエハのダイシングに用いた際、チ
ップのピックアップが一層容易になる。
離型自己粘着層を積層する際、その積層をスクリーン印
刷等の印捺法で行うことにより凹凸模様を、その凸部と
凹部の面積比が5/95〜90/10となるように形成し、そ
の他は実施形態1と同様にして実施形態3の加熱剥離型
自己粘着シート複合体を製造する。得られた加熱剥離型
自己粘着シート複合体は、実施形態1と同様に使用する
ことができるが、加熱剥離型自己粘着層の表面に凹凸模
様を有するので、加熱剥離性が向上し、半導体ウエハの
ダイシングに用いた際、チップのピックアップが一層容
易になる。しかも、加熱剥離型自己粘着層の積層を印捺
により行うので、加熱剥離型自己粘着層用の柔軟性ポリ
マー使用量を節約することができる。
レフタレートフィルムに変更し、その他は実施形態1と
同様にして基材シート表面に加熱剥離型自己粘着層用の
柔軟性ポリマーおよび第1カバーフィルムを順に積層
し、電子線照射を行った。次いで、この積層体に第1カ
バーフィルムの上からエンボスロールによるエンボス加
工を施し、上記の柔軟性ポリマー層に凹凸模様を成形
し、基材シート、加熱剥離型自己粘着層および第1カバ
ーフィルムの3層からなる加熱剥離型自己粘着シート複
合体を得る。なお、裏面の安定型自己粘着層および第2
カバーシートの積層を省略する。得られた複合体は、基
材シートの裏面を両面粘着テープや真空吸着でワーク支
持台に固定することにより、実施形態1〜3と同様に半
導体ウエハのダイシング用に使用することができる。た
だし、安定型自己粘着層を有しないため、製造コストを
下げることができる。
己粘着シートを試作し、その性能を比較した。なお、以
下の記載で「部」は重量部を示す。また、粘着力、表面
ダイナミック硬度および平均表面粗度は、下記にしたが
って測定した。
条件で測定した。 制御方式:コントロールロード、イマージョン速度:30
mm/分、テスト速度: 600mm/分、加圧:50gf、加圧時
間:30秒、ディスタンス:5mm、プローブ:円柱形φ5.
1 ステンレス製、測定温度:25℃および80℃
平行出しが測定値に大きく影響するので、測定前に平行
出しを行い、かつ測定時に加熱プレートの上に極薄ゴム
シート(クレハエラストマー社製、商品名「ぺらぺら君
SR60NJK 0.2 t」)を敷き、その上に試料をセッ
トして行った。
超微小硬度計DUH202型」)を用い、試験モード:3
(軟質材料試験)、圧子の種類: 115、試験荷重:1.97
mN、負荷速度:0.142 mN/秒、保持時間:5秒の条
件で測定した。試料はスライドガラス上にエポキシ接着
剤で固定し、測定台にセットした。本測定法で評価され
るダイナミック硬度は、試料の表面からの深さによって
異なる測定値が得られる。この発明では、表面から3μ
mの測定値を表層硬度とした。
00、横倍率:20、カットオフ:0.08mm、測定長:8mm、
測定速度:0.1mm /分の条件で測定した。
のシリコーンゴム組成物(ゴム硬度:70度)を用意し、
2本ロールを用いて 100℃で混練、可塑化し、厚み3mm
のゴムシートを成形した。得られた未架橋のゴムシート
を切断して1cm角の細片とし、この細片をトルエンに対
する重量比率が30%となるように秤量し、トルエンと共
に真空脱泡装置付き攪拌機に投入し攪拌して上記細片を
トルエンに溶解し、得られた溶液にペンタエリスリトー
ルテトラアクリレートを、シリコーンゴム組成物 100部
に対して2部の割合で添加し、均一に攪拌した後、真空
脱泡装置を駆動し、脱泡し、シリコーンゴム溶液を調整
した。
ーとして、市販のシリコーンゴム組成物(ゴム硬度:10
度)を用意し、その他は上記の加熱剥離型自己粘着層用
と同様にしてシリコーンゴム溶液を調整した。
理された発泡タイプのポリエチレンテレフタレートフィ
ルム(厚み: 100μm)を、またカバーフィルムとし
て、片面が易剥離処理され、かつその処理表面の平均表
面粗度(Ra )が0.04μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルム(厚み:38μm)をそれぞれ用意した。
粘着層用のシリコーンゴム溶液をロールコーターに供給
し、基材フィルムの表面に上記のシリコーンゴム溶液を
乾燥後厚みが 100μmとなるように塗布してオーブンに
導入、乾燥し、そのゴム層表面に前記のカバーフィルム
の易剥離性処理面を重ね、圧着ロールで連続的に押さえ
て積層した。次いで、得られた積層体を電子線照射装置
に導入し、カバーフィルム側から 200KV、15Mradの電子
線照射を行ってカバーフィルム、ゴム層(加熱剥離型自
己粘着層)および基材フィルムからなる総厚み 238μm
の積層体を得、これをロール状に巻き取った。
層用シリコーンゴム溶液をロールコーターに供給し、積
層体を構成する基材フィルムの裏面に上記のシリコーン
ゴム溶液を乾燥後厚みが 100μmとなるように塗布して
オーブンに導入、乾燥し、そのゴム層表面に前記カバー
フィルムの易剥離性処理面を重ね、圧着ロールで連続的
に押さえて積層した。得られた積層体を電子線照射装置
に導入し、裏面のカバーフィルム側から 200KV、8Mrad
の電子線照射を行って表側カバーフィルム、ゴム層(加
熱剥離型自己粘着層)、基材フィルム、ゴム層(安定型
自己粘着層)および裏側カバーフィルムからなる総厚み
376μmの積層体とし、これをロール状に巻取り、加熱
剥離型自己粘着シート複合体を得た。
ート複合体において、表側の加熱剥離型自己粘着層およ
び裏側の安定型自己粘着層の特性を下記の表1に示す。
剥離型自己粘着シートは、その表側の加熱剥離型自己粘
着層が優れた加熱剥離性を備え、裏側の安定型自己粘着
層の温度による粘着力変化が小さく、安定した固定力を
備えており、この安定型自己粘着層を表面平滑なアルミ
ニウム板に貼着した際、空気を噛み込むことなく極めて
容易に、かつ強固に固定することができ、しかも固定後
に自己粘着シートを一端からめくることにより、容易に
剥離することができ、上記アルミニウム板の表面を汚染
することもなく、リペアー性に優れていた。
ウエハのダイシング工程におけるウエハ固定用シートと
して用い、ウエハ支持台に上記の自己粘着シートを裏側
の安定型自己粘着層で固定し、表側の加熱剥離型自己粘
着層によってウエハを固定したところ、ダイシング時は
強い固定力でウエハを保持することができ、飛散するチ
ップは皆無であった。また、ダイシング終了後は、自己
粘着シートをウエハ支持台に固定したまま約80℃に加熱
することにより、チップの全数を容易にピックアップす
ることができた。また、自己粘着層によるチップの汚染
も皆無であった。そして、同じ粘着シートを用いて同じ
作業を5回繰り返したが、粘着シートの性能低下はな
く、リサイクル使用が可能で、実用性に優れていた。
ム硬度10度のシリコーンゴムを用いる以外は実施例1と
同様にして自己粘着シートを得た。この比較例1の自己
粘着シートは、表裏両面に実施例1の安定型自己粘着層
が積層されているため、加熱剥離性に欠けていた。この
自己粘着シートを、実施例1と同様に半導体ウエハのダ
イシング工程におけるウエハの固定用に使用したとこ
ろ、ウエハの固定力は強くてダイシング時のチップの飛
散は皆無であったが、加熱剥離性が劣るため、チップの
ピックアップがほとんど不可能であった。
層)に重ねるカバーフィルムとして、あらかじめエンボ
ス加工によって多数のダイヤ柄(一辺の長さが2mm)を
所定のピッチで形成し、かつ易剥離性処理を施したポリ
エチレンテレフタレートフィルムを用い、上記のゴム層
表面に多数のダイヤ形凸部を形成し、更に第1回目の電
子線照射条件を 200KV、8Mradに変更する以外は、実施
例1と同様にして実施例2の加熱剥離型自己粘着シート
複合体を得た。ただし、上記のエンボス加工で得られる
凹凸模様の単位模様において、ダイヤ形の凸部と残りの
凹部の面積比は、70/30とした。
ートにおいて、加熱剥離型自己粘着層の粘着力は、25℃
において1400mN/20mm2 、80℃において 400mN/20mm2
であり、優れた加熱剥離性を有していた。この実施例2
の自己粘着シートを実施例1と同様に半導体ウエハのダ
イシング用に使用したところ、実施例1と同様の高い実
用性を示した。
をプラズマ処理した非発泡のポリエステルフィルムを用
い、その他は実施例1と同様にして表側のゴム層を積
層、乾燥してカバーフィルムを重ね、次いで電子線照射
を 200KV、10Mradで行った。次いで、エンボスロールを
用い、ロール温度 100℃、ニップ圧 150N/cmの条件下
で上記の表側ゴム層にカバーフィルムの上からエンボス
加工を施し、一辺長が 1.2mmのダイヤ形凸部が多数個規
則的に配列され、凸部と凹部の面積比が20/80の凹凸模
様を成形した。なお、実施例1における裏面側の安定型
自己粘着層の積層は省略した。
ートは、表面の加熱剥離型自己粘着層の粘着力が25℃に
おいて1500mN/20mm2 、80℃において 400mN/20mm2 で
あり、優れた加熱剥離性を有していた。そして、この実
施例3の加熱剥離型自己粘着シートの裏面を市販の両面
粘着テープで半導体ウエハの支持台に固定し、ダイシン
グ用に使用したところ、実施例1と同様に実用性に優れ
ていた。
用柔軟性ポリマーとして、ゴム硬度が70度のシリコーン
ゴム組成物に代え、ゴム硬度が10度の室温硬化型のRT
Vシリコーンゴムを用い、これをスクリーン印刷法によ
って実施例1の基材フィルム(発泡タイプのポリエチレ
ンテレフタレートフィルム)の表面に模様状に積層し
た。模様は、直径1mm、厚み20μmのドットが規則的に
配列されて該ドットの表面を凸部とする凹凸模様であ
り、凸部と凹部の面積比は50/50に設定された。なお、
裏面側の安定型自己粘着層は、実施例1と同様に形成し
た。
ートにおいて、加熱剥離型自己粘着層の粘着力は、25℃
において2000mN/20mm2 、80℃において 300mN/20mm2
であり、優れた加熱剥離性を有していた。そして、この
実施例4の加熱剥離型自己粘着シートを半導体ウエハの
ダイシング用支持台に固定し、ダイシング用に使用した
ところ、実用性は実施例1同様に優れていた。
えて硬度70度のEPDMを用い、その架橋時の電子線照
射条件を 200KV、15Mradとし、その照射を2回行う以外
は、実施例2と同様にして実施例5の加熱剥離型自己粘
着シートを得た。この実施例5の加熱剥離型自己粘着シ
ートにおいて、表面のEPDMからなる加熱剥離型自己
粘着層の表面ダイナミック硬度は、 1.5mN/μm2 であ
った。また、粘着力は、25℃において1600mN/20mm2 、
80℃において 350mN/20mm2 であり、優れた加熱剥離性
を有していた。そして、この実施例5の加熱剥離型自己
粘着シートも半導体ウエハの固定用として、実施例2と
同様に実用性の高いものであった。
加熱剥離型自己粘着シートを、常温下では自己粘着層の
粘着力によって任意の被着体に固定し、被着体を被覆す
ることができ、かつ加熱によって被着体から容易に剥離
することができ、その際に被着体の表面を汚染すること
がなく、しかも上記の固定および剥離を繰返すことがで
き、ワークの仮固定等に用いるのに好適である。
一層容易になると共にリペア性も向上する。また、請求
項3に係る発明は、加熱剥離型自己粘着層の感温性が向
上し、取扱いが容易になる。また、請求項4に係る発明
は、シートの平面性が向上し、加熱剥離型自己粘着層に
おける粘着特性の面内変動を抑制し、取扱いを一層容易
にすることができる。また、請求項5に係る発明は、半
導体ウエハの研磨やダイシングに際し、半導体ウエハを
強固に固定してチップの飛散を防止することができ、か
つダイシング後におけるチップのピックアップが容易で
ある。
Claims (5)
- 【請求項1】 基材シートの少なくとも片面に柔軟性ポ
リマーからなる自己粘着層を備え、この自己粘着層が常
温からの温度上昇と共に自己粘着力の低下する加熱剥離
型で、その自己粘着力が25℃で 980〜5000mN/20mm2 、
80℃で 900mN/20mm2 以下に設定されていることを特徴
とする加熱剥離型自己粘着シート。 - 【請求項2】 加熱剥離型自己粘着層が基材シートの片
面に設けられ、基材シートの他面には加熱剥離性の低い
安定型自己粘着層が設けられた請求項1記載の加熱剥離
型自己粘着シート。 - 【請求項3】 加熱剥離型自己粘着層が単位模様の繰返
しからなる凹凸模様の少なくとも凸部表面を構成してい
る請求項1または2に記載の加熱剥離型自己粘着シー
ト。 - 【請求項4】 基材シートが発泡体からなる請求項1な
いし3のいずれかに記載の加熱剥離型自己粘着シート。 - 【請求項5】 基材シート片面の加熱剥離型自己粘着層
が半導体ウエハの固定用である請求項2〜4のいずれか
に記載の加熱剥離型自己粘着シート。
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