JP2003119185A - N−メチルピペラジントルイル酸誘導体の製造方法 - Google Patents

N−メチルピペラジントルイル酸誘導体の製造方法

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methylpiperazine
acid
methylpiperazinetoluic
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Hiroshi Takezaki
宏 竹崎
Tetsuji Kitagawa
哲司 北川
Shotaro Matsuoka
昌太郎 松岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】α-ハロメチル安息香酸とN−メチルピペラジ
ンを反応させ、N−メチルピペラジントルイル酸誘導体
を製造する方法で、従来法より、収率、純度を向上さ
せ、廃棄物を低減させる製造方法を提供する。 【解決手段】未反応のN−メチルピペラジンを回収再利
用し、効率よくN−メチルピペラジンを利用するととも
に、回収工程にてN−メチルピペラジン中の不純物が低
減するため、N−メチルピペラジントルイル酸誘導体の
純度が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、α−ハロメチル安
息香酸とN−メチルピペラジンを反応させ、医薬品原料
として有用なN−メチルピペラジントルイル酸誘導体の
製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】これまでN−メチルピペラジントルイル
酸誘導体としては、例えば、α-クロロ-p−トルイル酸
を無水エタノール中で4倍モルのN−メチルピペラジン
を加え、合成する方法等が知られている。(特公平5−
75754号公報)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の方法
は、収率が低く、原料のN−メチルピペラジンを大量に
消費する課題があった。また、1)無水条件を必要とす
ること、2)加熱時間が長いこと、3)生成物を単離す
る際に、危険性の高いジエチルエーテルを使用するこ
と、4)生成物純度が高くないこと等の難点があげられ
る。 N−メチルピペラジントルイル酸誘導体は、特に
医薬品用中間体として使用されることから、その不純物
はできるだけ少なくしなければならない。特に目的化合
物の類似化合物であるピペラジントルイル酸誘導体など
は、医薬中間体として使用する場合、副作用が発現させ
る不純物となる可能性があるので、出来る限り少なくし
なければならない。
【0004】これらの観点から、N−メチルピペラジン
トルイル酸誘導体の効率的かつ工業的な新規製造法が望
まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な問題点を解決すべく鋭意検討した結果、N−メチルピ
ペラジントルイル酸誘導体を製造するにあたり、N−メ
チルピペラジンを回収再利用することにより、N−メチ
ルピペラジンの使用量を削減するだけでなく、本発明で
回収したN−メチルピペラジンを出発原料としたほうが
より高純度のN−メチルピペラジントルイル酸誘導体を
製造することができることを見出した。即ち本発明は、
一般式(1)
【0006】
【化3】
【0007】(式中Xはハロゲンであり、ハロメチル基
は芳香族環上カルボキシル基に対し、オルト位、メタ位
およびパラ位のいずれか一箇所に結合する。)で表され
るα−ハロメチル安息香酸とN−メチルピペラジンを反
応させた後、未反応のN−メチルピペラジンを回収する
工程とα−ハロメチル安息香酸と上記で回収したN−メ
チルピペラジンを反応させる工程を含むことを特徴とす
る一般式(2)
【0008】
【化4】
【0009】(式中メチルピペラジノメチル基は、芳香
族環のカルボキシル基に対し、オルト位、メタ位または
パラ位のいずれか一箇所に結合し、一般式(1)のハロ
メチル基と同一箇所に結合している。)で表されるN−
メチルピペラジントルイル酸誘導体の製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明の好ましい実施方法を
詳細に説明する。
【0011】本発明における、αーハロメチル安息香酸
とは、一般式(1)
【0012】
【化5】
【0013】で示される化合物である。式中Xはハロゲ
ン原子を表す。好ましくは、塩素原子、臭素原子である
が、より好ましくは塩素原子でる。また、式中のハロメ
チル基は、カルボキシル基に対して、オルト位、メタ
位、パラ位のいずれか一つの炭素原子と結合する。
【0014】本発明における、N−メチルピペラジント
ルイル酸誘導体とは、一般式(2)
【0015】
【化6】
【0016】で表され、式中メチルピペラジノメチル基
は、芳香族環のカルボキシル基に対し、オルト位、メタ
位またはパラ位のいずれか一箇所に結合し、一般式
(1)のハロメチル基と同一箇所に結合している。
【0017】また、本発明におけるα−ハロメチル安息
香酸と、N−メチルピペラジンの反応で用いられる反応
溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロヘプタ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶
媒、クロロホルム、ブロモホルム、塩化メチレン、1,
2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、
クロロベンゼン、または2,6−ジクロロトルエン等の
ハロゲン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系
溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n
−プロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系溶媒または
水の中から少なくとも一種から選ばれる溶媒で、好まし
くは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n
−プロパノール等のアルコール系溶媒または水の中から
少なくとも一種から選ばれる溶媒であり、さらに好まし
くは、メタノールおよび/または水であり、特に好まし
いのは水である。
【0018】次に、N−メチルピペラジントルイル酸の
製造手順について述べる。
【0019】この反応溶媒に、N−メチルピペラジンを
溶解させ、その後に、適当な時間をかけてαーハロメチ
ル安息香酸を加える。この時、αーハロメチル安息香酸
を加える時間は、5分以上であり、好ましくは、15分
以上であり、より好ましくは15分以上4時間以内であ
る。α−ハロメチル安息香酸を加える時間をこの範囲に
することにより、不純物の生成を抑制することが出来
る。
【0020】反応温度は−20℃〜150℃、好ましく
は0℃〜120℃、より好ましくは30℃〜100℃の
間である。
【0021】反応終了は、α-ハロメチル安息香酸の消
失を常法の分析方法で確認する。分析方法としては、高
速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーな
どがあげられる。
【0022】反応終了を確認した後に、過剰のN−メチ
ルピペラジンを回収する。回収方法は、通常知られてい
る方法でよいが、好ましくは、蒸留、液液抽出、膜分離
などであり、より好ましくは、蒸留または液液抽出であ
る。未反応のN−メチルピペラジンの20%以上を回収
した後に、反応残液に無機酸を加え、目的であるN−メ
チルピペラジントルイル酸誘導体を得る。無機酸とは、
塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等であるが、好ましく、塩
酸、硫酸であり、より好ましくは塩酸である。無機酸を
加えることにより無機酸塩化したN−メチルピペラジン
トルイル酸誘導体の固体を得る。固液分離した後に目的
物を得る。固液分離した後に生じた液相と、その液相の
中に含まれる酸分と1当量以上の無機塩基を混合する。
ここでいう無機塩基とは、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナト
リウム、炭酸水素カリウム等があげられる。好ましく
は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、より好ましく
は、水酸化ナトリウムである。無機塩基は固体のままで
も、水溶液として入れてもよいが、好ましくは水溶液の
状態で混合した方がよい。水溶液の濃度は、各々の無機
塩基により異なるが水が少ないほうが、N−メチルピペ
ラジンの回収率が上がるため、出来るだけ高濃度の方が
よい。好ましくは、各無機塩基の飽和濃度と混合するの
がよい。無機塩基との混合の後、蒸留、液液抽出、膜分
離、イオン交換分離等の手法で、N−メチルピペラジン
の回収を行う。好ましくは、蒸留、液液抽出であり、さ
らに好ましくは、水相が10%〜48%の水酸化ナトリ
ウムまたは水酸化カリウム水溶液による液液抽出であ
る。
【0023】このようにして回収したN−メチルピペラ
ジンは、使用前のN−メチルピペラジン中に含まれてい
る不純物、特にピペラジンが減少している。そのため、
次の反応に再利用し同様な操作でN−メチルピペラント
ルイル酸誘導体を合成すると、副生成物、特にピペラジ
ン由来の副生成物の少ないN−メチルピペラジントルイ
ル酸誘導体を作ることが出来る利点がある。
【0024】また本発明では、未反応のN−メチルピペ
ラジンを回収する工程があるため、最終的なN−メチル
ピペラジンに対するN−メチルピペラジントルイル酸誘
導体の生成収率が増加し、好ましい方法となる。
【0025】このため、本発明を用いれば、高純度のN
−メチルピペラジントルイル酸誘導体を得ることができ
かつ収率が増加し、未反応のN−メチルピペラジンなど
の廃棄物の少ない製造方法となる。
【0026】また、このN−メチルピペラジントルイル
酸誘導体は、抗鬱剤、抗癌剤、抗白血病薬等の医薬中間
体として非常に有用な化合物であるが、本発明による製
造方法で作られるN−メチルピペラジントルイル酸誘導
体を用いれば、より高品質の医薬品原体を製造すること
ができる。
【0027】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳しく説明
するが、本発明はこれらの実施例等により何ら限定され
るものではない。
【0028】分析方法: 分析法1 N−メチルピペラジンの分析方法 N−メチルピペラジンの分析は、ガスクロマトグラフィ
ー法で行い、条件は以下に示すものである。
【0029】測定機器:島津14Aパックドカラム式ガ
スクロマトグラフィー。
【0030】検出方法:FID方式 カラム:GLサイエンス社、Unisole10T+KOH(10+3)%
Uniport HP 80/100mesh 4.1m 温度条件:90℃(10分保持)−150℃(昇温速度
5℃/分)終端温度保持時間10分 分析法2 N−メチルピペラジントルイル酸誘導体およ
びα−ハロメチル安息香酸の分析方法 純度、収率は高速液体クロマトグラフィーにて分析を行
い算出した。条件は以下に示すものである。
【0031】カラム:ODS修飾シリカゲルカラム25
cm×4.6φ 移動相:アセトニトリル:水移動相=40:60 水移動相はドデシルスルホン酸ナトリウム2mM、pH
2.5(85%リン酸で調整を行った。)を用いた。
【0032】検出器:紫外吸光光度計 測定波長:220nm 化合物の同定には、核磁気共鳴スペクトル、融点測定、
赤外分光光度計を用いた。
【0033】参考例1 αーハロメチル安息香酸(p-クロロメチル安息香酸)の
合成 温度計、攪拌装置、ジムロート冷却管を備えた500mlフ
ラスコに水84.75g、35%塩酸水30.01g、
トルエン80.42g、p-クロロメチルベンゾイルクロ
ライド(東レ株式会社製)220.6gを加え60℃で
1時間で加熱した。 その後、加熱還流状態で1時間攪
拌し、その後にトルエンを留出させた。反応液を固液分
離し、水を固体にかけることにより、固体に付着してい
る不純物を除いた。得られた固体を加熱真空乾燥するこ
とにより、p-クロロメチル安息香酸を198.6g得
た。白色結晶、純度99.7%。
【0034】比較例1(N−メチルピペラジンを回収使
用しない場合) 温度計、撹拌装置、冷却管を備えた1000ml4口ナ
スフラスコに、N−メチルピペラジン180.3g(原
産国中国、純度99.88%)、水90.0gを加え攪
拌した。内温が50℃になった後に、4−クロロメチル
安息香酸38.4gを15分かけて投入した。投入後2
時間攪拌し、その後、減圧蒸留により未反応のN−メチ
ルピペラジンと水の留去を行った。この時、水とN−メ
チルピペラジンの合計量は196.7gであった。反応
残液に、メタノール100g、35%濃塩酸120gを
加え攪拌した。内温が30℃に下がったら、1時間熟成
させ、固体を遠心分離器で固液分離した。得られた固体
を加熱真空乾燥することにより、4−(4−メチルピペ
ラジノ)メチル安息香酸・二塩酸塩・半水和物を収量5
6.51g、使用したN−メチルピペラジンに対するモ
ル収率10.5%、純度97.9%で得た。この時、ピ
ペラジノトルイル酸は0.28%含まれていた。
【0035】実施例1(N−メチルピペラジンを回収再
使用した場合) 比較例1の固液分離で得られた、液体を濃縮を行い、水
酸化ナトリウムを30.72g加えた。このとき相分離
が起き、上層を回収すると、N−メチルピペラジンが3
5.5g含む水溶液が回収される。上記で回収された、
N−メチルピペライジンと比較例1で蒸留回収したN−
メチルピペラジンを合わせた。この時、回収した、N−
メチルピペラジン水溶液は、237.82g(N−メチ
ルピペラジン含量:148.39g、水:89.43
g)となった。回収したN−メチルピペラジンの純度は
99.94%であった。このN−メチルピペラジンを次
の工程で使用した。
【0036】温度計、撹拌装置、冷却管を備えた100
0ml4口ナスフラスコに、上記で回収したN−メチル
ピペラジン水溶液237.8g、N−メチルピペラジン
31.9gを加え攪拌した。内温が50℃になった後
に、4−クロロメチル安息香酸38.4gを15分かけ
て投入した。投入後2時間攪拌し、その後、減圧蒸留に
より未反応のN−メチルピペラジンと水の留去を行っ
た。この時、水とN−メチルピペラジンの合計量は19
4.3gであった。反応残液に、メタノール100g、
35%濃塩酸120gを加え攪拌した。内温が30℃に
下がったら、1時間熟成させ、固体を遠心分離器で固液
分離した。得られた固体を加熱真空乾燥することによ
り、4−(4−メチルピペラジノ)メチル安息香酸・二
塩酸塩・半水和物を収量53.98g、純度99.2%
で得た。このとき、ピペラジノトルイル酸は0.05%
であった。N−メチルピペラジンを回収再使用すること
により、4−(4−メチルピペラジノ)メチル安息香酸
・二塩酸塩・半水和物は合計110.49gになり、使
用したN−メチルピペラジンに対するモル収率は16%
であった。
【0037】また、同様な操作を複数回繰り返すことに
により、N−メチルピペラジンに対するN−メチルピペ
ラジントルイル酸誘導体のモル収率が向上する。
【0038】このことにより、N−メチルピペラジンを
回収再利用することにより収率よくN−メチルピペラジ
ントルイル酸を合成できることが示せた。
【0039】
【発明の効果】本発明を用いれば、N−メチルピペラジ
ンに対する収率が高くかつ不純物の含有率が少ないN−
メチルピペラジントルイル酸誘導体を作ることができ
る。即ち、本発明は、N−メチルピペラジン使用量の少
ない、高品質のN−メチルピペラジントルイル酸の製造
方法である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中Xはハロゲンであり、ハロメチル基は芳香族環上
    カルボキシル基に対し、オルト位、メタ位およびパラ位
    のいずれか一箇所に結合する。)で表されるα−ハロメ
    チル安息香酸とN−メチルピペラジンを反応させた後、
    未反応のN−メチルピペラジンを回収する工程とα−ハ
    ロメチル安息香酸と上記で回収したN−メチルピペラジ
    ンを反応させる工程を含むことを特徴とする一般式
    (2) 【化2】 (式中(N−メチルピペラジノ)メチル基は、芳香族環
    のカルボキシル基に対し、オルト位、メタ位またはパラ
    位のいずれか一箇所に結合し、一般式(1)のハロメチ
    ル基と同一箇所に結合している。)で表されるN−メチ
    ルピペラジントルイル酸誘導体の製造方法。
  2. 【請求項2】反応溶媒が水であることを特徴とする、請
    求項1記載のN−メチルピペラジントルイル酸誘導体の
    製造方法。
  3. 【請求項3】未反応のN−メチルピペラジンを蒸留およ
    び/または液液抽出で回収することを特徴とする、請求
    項1または2記載のN−メチルピペラジントルイル酸誘
    導体の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2013008242A1 (en) 2011-07-12 2013-01-17 Natco Pharma Limited A process for the preparation of highly pure 4-(4-methyl piperazinomethyl) benzoic acid dihydrochloride
WO2013035102A1 (en) 2011-09-05 2013-03-14 Natco Pharma Limited Processes for the preparation of imatinib base and intermediates thereof
CN114047279A (zh) * 2021-09-10 2022-02-15 山东省药学科学院 一种高效液相色谱-质谱联用测定药物中间体及原料药中n-甲基哌嗪残留量的方法

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CN114047279B (zh) * 2021-09-10 2023-10-20 山东省药学科学院 一种高效液相色谱-质谱联用测定药物中间体及原料药中n-甲基哌嗪残留量的方法

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