JP2003119026A - リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法 - Google Patents

リチウム遷移金属複合酸化物の製造方法

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JP2003119026A
JP2003119026A JP2001313520A JP2001313520A JP2003119026A JP 2003119026 A JP2003119026 A JP 2003119026A JP 2001313520 A JP2001313520 A JP 2001313520A JP 2001313520 A JP2001313520 A JP 2001313520A JP 2003119026 A JP2003119026 A JP 2003119026A
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composite oxide
manganese
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Kazuo Niwa
一夫 丹羽
Takeshi Kurihara
毅 栗原
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電池材料への鉄の混入を防止する方法が
求められていた。更には、電池材料へのSUS粉の混入
を防止する方法が求められていた。 【解決手段】 リチウム化合物と遷移金属化合物を含む
混合物を焼成してリチウム遷移金属複合酸化物を製造す
る方法において、焼成前に、リチウム化合物及び/又は
遷移金属化合物を、100ガウス以上、磁場を通過させ
る該化合物のうちいずれか一つのみが吸引される磁束密
度未満の磁場を通過させることを特徴とするリチウム遷
移金属複合酸化物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム遷移金属
複合酸化物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、カメラ一体型VTR装置、オーデ
ィオ機器、携帯型コンピュータ、携帯電話等様々な機器
の小型化、軽量化が進んでおり、これら機器の電源とし
ての電池に対する高性能化の要請が高まっている。その
要求に答えるべく、種々の開発がなされ、例えば負極活
物質として金属リチウムに代わって、リチウムイオンの
吸蔵・放出が可能な炭素材料等を用いることにより、安
全性が大幅に向上し、リチウム二次電池が実用段階に入
った。
【0003】一方、リチウム二次電池の正極活物質とし
ては、LiCoO2やLiNiO2、LiMn24等のリ
チウム遷移金属複合酸化物が実用段階に入っている。電
池は一般に、上記のような電池材料を集電体に塗布して
極板を製造し、それらを組み立てて電池とする。しかし
ながら、電池材料の製造工程で原料由来の鉄や、製造工
程において鉄粉が混入する場合があり、電池材料に鉄が
混入している場合はこの鉄によりマイクロショートが発
生すると考えられ、電池が電池としての機能を失ってし
まう。また、場合によっては製造工程においてSUS粉
が混入する場合があり、その際にも電池材料中のSUS
粉によりマイクロショートが発生すると考えられ、電池
が電池としての機能を失ってしまう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、電池材料への
鉄の混入を防止する方法が求められていた。更には、電
池材料へのSUS粉の混入を防止する方法が求められて
いた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決すべく検討を重ねた結果、正極活物質を製造する際
に、正極材料をある一定の磁束密度の磁場を通過させる
ことにより異物としての金属のみを除去できることを見
出し、本発明を解決するに至った。即ち、本発明の要旨
は下記(1)〜(12)に存する。
【0006】(1)リチウム化合物と遷移金属化合物を
含む混合物を焼成してリチウム遷移金属複合酸化物を製
造する方法において、焼成前に、リチウム化合物及び/
又は遷移金属化合物を、100ガウス以上、磁場を通過
させる該化合物のうちいずれか一つのみが吸引される磁
束密度未満の磁場を通過させることを特徴とするリチウ
ム遷移金属複合酸化物の製造方法。
【0007】(2)リチウム化合物と遷移金属化合物と
を溶媒下混合してスラリーを得、該スラリーを100ガ
ウス以上、リチウム化合物と遷移金属化合物のいずれか
一方のみが吸引される磁束密度未満の磁場を通過させた
後に噴霧乾燥し、次いで焼成する上記(1)に記載の製
造方法。 (3)磁場の磁束密度の下限が、700ガウス以上であ
る上記(1)又は(2)に記載の製造方法。
【0008】(4)リチウム化合物が、Li2CO3、L
iNO3、LiOH、LiOH・H2O、LiCl、Li
I、CH3COOLi、Li2O、酢酸Li、ジカルボン
酸Li、クエン酸Li、脂肪酸Li、アルキルリチウ
ム、リチウムハロゲン化物からなる群から選ばれた少な
くとも一種である上記(1)〜(3)のいずれかに記載
の製造方法。
【0009】(5)遷移金属化合物がMn34、Mn2
3、MnO2、MnCO3、Mn(NO32 、MnSO
4、酢酸マンガン、ジカルボン酸マンガン、クエン酸マ
ンガン、脂肪酸マンガン、マンガンオキシ水酸化物、マ
ンガン水酸化物、マンガンハロゲン化物からなる群から
選ばれた少なくとも一種である上記(1)〜(4)のい
ずれかに記載の製造方法。
【0010】(6)遷移金属化合物がNi(OH)2
NiO、NiOOH、NiCO3・2Ni(OH)2・4
2O、NiC24・2H2O、Ni(NO32・6H2
O、NiSO4、NiSO4・6H2O、脂肪酸ニッケ
ル、ニッケルハロゲン化物からなる群から選ばれた少な
くとも一種である上記(1)〜(4)のいずれかに記載
の製造方法。
【0011】(7)遷移金属化合物がCo(OH)2
CoO、Co23、Co34、Co(OAc)2・4H2
O、CoCl2、Co(NO32・6H2O、Co(SO
42・7H2Oからなる群から選ばれた少なくとも一種
である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方
法。 (8)リチウム遷移金属複合酸化物が、
【0012】
【化5】LibMn2-a Mea4 (MeはB、Al、Sn、Cu、Ti、Zn、Co、N
iからなる群から選ばれる少なくとも一種を表し、0≦
b≦1.5、0<a≦1)で表されるリチウムマンガン
複合酸化物である上記(1)〜(5)のいずれかに記載
の製造方法。
【0013】(9)リチウム遷移金属複合酸化物が、
【0014】
【化6】LiXNiY(1-Y)2 (式中、Xは0<X≦1.2の範囲の数を表す。Yは0
<(1−Y)≦0.5の範囲の数値を表す。QはCo、
Al、Mg、Ga、Ti及びCaからなる群から選ばれ
る少なくとも一種を表す。)で表されるリチウムニッケ
ル複合酸化物である上記(1)〜(4)、(6)のいず
れかに記載の製造方法。
【0015】(10)リチウム遷移金属複合酸化物が、
【0016】
【化7】LiXCo1-YY2 (式中、Xは0<X≦1.2の範囲の数を表す。Yは0
<Y≦0.25の範囲の数を表す。Aは、B、Mg、S
i、Cu、Ti、V、Mn、Ni、Sn、Zr、Sb、
Nb、Ru、Pb、Hf及びTaからなる群より選択さ
れる少なくとも1種の元素を表す。)で表されるリチウ
ムコバルト複合酸化物である上記(1)〜(4)、
(7)のいずれかに記載の製造方法。
【0017】(11)リチウム遷移金属複合酸化物が、
【0018】
【化8】LiXNiYMnZ(1-Y-Z)2 (式中、Xは0<X≦1.2の範囲の数を表す。Y及び
Zは、1≦Y/Z≦9、及び、0<(1−Y−Z)≦
0.5の関係を満たす数を表す。QはCo、Al、M
g、Ga、Ti及びCaからなる群から選ばれる少なく
とも一種を表す。)で表されるリチウムニッケルマンガ
ン複合酸化物である上記(1)〜(6)のいずれかに記
載の製造方法。
【0019】(12)上記(1)〜(10)のいずれか
に記載の製造方法により製造されたリチウム遷移金属複
合酸化物。 (13)上記(1)〜(10)のいずれかに記載の製造
方法により製造されたリチウム遷移金属複合酸化物を含
有する正極、負極及び電解質を有するリチウム二次電
池。
【0020】
【発明の実施の態様】本発明のリチウム遷移金属複合酸
化物の製造方法は、リチウム化合物と遷移金属化合物を
含む混合物を焼成してリチウム遷移金属複合酸化物を製
造する方法において、焼成前に、リチウム化合物及び/
又は遷移金属化合物を、100ガウス以上、磁場を通過
させる該化合物のうちいずれか一つのみが吸引される磁
束密度未満の磁場を通過させることを特徴とする。本発
明において「磁場を通過させる」とは、磁場を有する物
に接触させることを含む。本発明においては、磁場を有
する物に接触させる方が異物としての金属を除去しやす
い。
【0021】本発明において焼成前にリチウム化合物及
び/又は遷移金属化合物を上記磁場を通過させるのは、
焼成してしまうと異物としての金属がリチウム遷移金属
複合酸化物の粒子中に取り込まれて、異物としての金属
のみを除去するのが困難になるためである。ここでいう
「焼成」とはリチウム化合物と遷移金属化合物からリチ
ウム遷移金属複合酸化物を合成する際の焼成を意味す
る。
【0022】なお、リチウム化合物と遷移金属化合物と
を溶媒下混合してスラリーを得、該スラリーを噴霧乾燥
し、次いで焼成してリチウム遷移金属複合酸化物を製造
する場合は、噴霧乾燥後では異物としての金属が噴霧乾
燥により得られる粒子中に取り込まれて異物としての金
属のみを除去するのが困難になるため、噴霧乾燥前に該
スラリーを100ガウス以上、リチウム化合物と遷移金
属化合物のいずれか一方のみが吸引される磁束密度未満
の磁場を通過させればよい。なお、「溶媒下」とは、
「溶媒の存在下」とか「溶媒と共に」という意味であ
る。
【0023】本発明においてリチウム化合物及び/又は
遷移金属化合物を通過させる磁場の強さは、100ガウ
ス以上、磁場を通過させる該化合物のうちいずれか一つ
のみが吸引される磁束密度未満である。磁束密度が低す
ぎると異物としての金属が除去できず、磁束密度が高す
ぎるとリチウム化合物及び/又は遷移金属化合物も除去
されてしまう。磁束密度は100ガウス以上であれば異
物としての鉄の除去には十分であるが、好ましくは20
0ガウス以上、SUS粉も除去するという観点からはよ
り好ましくは400ガウス以上、更に好ましくは700
ガウス以上、最も好ましくは1000ガウス以上であ
る。また、磁束密度は磁場を通過させる該化合物のうち
いずれか一つのみが吸引される磁束密度未満である必要
があり、好ましくは磁場を通過させる該化合物のうちい
ずれか一つのみが吸引される磁束密度より100ガウス
以上低い磁束密度以下である。
【0024】なお、本発明における「化合物が吸引され
る磁束密度」とは、「化合物が磁石に引き寄せられるの
に必要な最低限の磁力密度」ということである。また、
「磁場を通過させる該化合物のうちいずれか一つのみが
吸引される磁束密度」とは、リチウム化合物と遷移金属
化合物の両方を同時に磁場を通過させる場合は「リチウ
ム化合物と遷移金属化合物のいずれか一方のみが吸引さ
れる磁束密度」であり、即ち、リチウム化合物が吸引さ
れる磁束密度と遷移金属化合物が吸引される磁束密度と
のうち、低い方の値の磁束密度である。その磁束密度未
満ということはリチウム化合物と遷移金属化合物のいず
れもが吸引されない磁束密度ということである。なお、
複数種の遷移金属化合物を用いる場合は、複数種の遷移
金属化合物の中で最も吸引される磁束密度が低い遷移金
属化合物が吸引される磁束密度を、遷移金属化合物の吸
引される磁束密度として取り扱う。
【0025】リチウム化合物と遷移金属化合物の一方の
みを磁場を通過させる場合、又はリチウム化合物と遷移
金属化合物とを別々に磁場を通過させる場合は、「磁場
を通過させる該化合物のうちいずれか一つのみが吸引さ
れる磁束密度」とは、磁場を通過させる化合物が吸引さ
れる磁束密度となる。より完全に異物としての金属を取
り除くという観点からは、リチウム化合物と遷移金属の
両方を磁場を通過させる方が好ましく、製造設備の簡略
化という観点からは、リチウム化合物と遷移金属化合物
の両方を同時に磁場を通過させることが好ましい。リチ
ウム化合物と遷移金属化合物の両方を同時に磁場を通過
させる場合は、一般的にはリチウム化合物よりも遷移金
属化合物が吸引される磁束密度の方が低いため、リチウ
ム化合物及び遷移金属化合物を通過させる磁場の強さの
上限は、遷移金属化合物が吸引される磁束密度に起因す
る。
【0026】リチウム化合物及び/又は遷移金属化合物
を、100ガウス以上、磁場を通過させる該化合物のう
ちいずれか一つのみが吸引される磁束密度未満の磁場を
通過させるには、例えば、リチウム化合物及び/又は遷
移金属化合物を通過させるエリアに「100ガウス以
上、磁場を通過させる該化合物のうちいずれか一つのみ
が吸引される磁束密度未満の磁場」を与えるように磁石
を配置すればよい。即ち、上記エリアができるように、
任意に磁石の強さを選定し、磁石の配置を設計すればよ
い。また、「100ガウス以上、磁場を通過させる該化
合物のうちいずれか一つのみが吸引される磁束密度未満
の磁場」を与えるもの(例えば磁石)に、リチウム化合
物及び/又は遷移金属化合物が接触した後に次の焼成工
程に呈されるように装置を設計してもよい。
【0027】本発明において出発原料として用いられる
リチウム化合物としては、Li2CO3、LiNO3、L
iOH、LiOH・H2O、LiCl、LiI、CH3
OOLi、Li2O、酢酸Li、ジカルボン酸Li、ク
エン酸Li、脂肪酸Li、アルキルリチウム、リチウム
ハロゲン化物等が挙げられる。これらリチウム化合物の
中で好ましいのは、Li2CO3、LiNO3、LiOH
・H2O、酢酸Li等の水溶性のリチウム化合物であ
る。これらの水溶性化合物は、例えば、分散媒として水
を使用したスラリー中に溶解させることによって容易に
良好な特性を有するリチウム遷移金属複合酸化物を得る
ことができる。また、焼成処理の際にNOX及びSOX
の有害物質を発生させない点で、窒素原子や硫黄原子を
含有しないリチウム化合物が好ましい。最も好ましいリ
チウム原料は、水溶性でもあり、また窒素原子や硫黄原
子を含有しない、LiOH・H2Oである。無論、リチ
ウム化合物として複数種のものを使用してもよい。これ
らの化合物のうち、代表的なものについて「化合物が吸
引される磁束密度」を下記に例示する。
【0028】Li2CO3:6000ガウス以上(600
0ガウスで吸引されなかった) LiOH・H2O:6000ガウス以上(6000ガウ
スで吸引されなかった) 出発原料として用いられる遷移金属化合物としては、マ
ンガン化合物、ニッケル化合物、コバルト化合物等が挙
げられる。
【0029】具体的には、マンガン化合物としてはMn
23、MnO2、Mn34のマンガン酸化物、MnC
3、Mn(NO32 、MnSO4、酢酸マンガン、ジ
カルボン酸マンガン、クエン酸マンガン、脂肪酸マンガ
ン等のマンガン塩、オキシ水酸化物、ハロゲン化物等が
挙げられる。これらマンガン化合物の中でも、Mn
23、Mn34は、最終目的物である複合酸化物のマン
ガン酸化数に近い価数を有しているため好ましい。さら
に工業原料として安価に入手できる観点、及び反応性が
高いという観点から、特に好ましいのはMn23であ
る。無論、マンガン化合物として複数種のものを使用し
てもよい。Mn23として、MnCO3やMnO2などの
化合物を熱処理して作製したものを用いてもよい。これ
らの化合物のうち、代表的なものについて「化合物が吸
引される磁束密度」を下記に例示する。
【0030】MnO2:3200ガウス Mn23:2500ガウス Mn34:2000ガウス ニッケル化合物としては、Ni(OH)2、NiO、N
iOOH、NiCO3・2Ni(OH)2・4H2O、N
iC24・2H2O、Ni(NO32・6H2O、NiS
4、NiSO4・6H2O、脂肪酸ニッケル、ニッケル
ハロゲン化物等が挙げられる。この中でも、焼成処理の
際にNOX及びSOX等の有害物質を発生させない点で、
窒素原子や硫黄原子を含有しない、Ni(OH)2、N
iO、NiOOH、NiCO3・2Ni(OH)2・4H
2O、NiC24・2H2Oのようなニッケル化合物が好
ましい。また、さらに工業原料として安価に入手できる
観点、及び反応性が高いという観点から、特に好ましい
のはNi(OH)2、NiO、NiOOHである。無
論、ニッケル化合物として複数種のものを使用してもよ
い。これらの化合物のうち、代表的なものについて「化
合物が吸引される磁束密度」を下記に例示する。
【0031】NiO:3500ガウス Ni(OH)2:2800ガウス コバルト化合物としては、Co(OH)2、CoO、C
23、Co34、Co(OAc)2・4H2O、CoC
2、Co(NO32・6H2O、Co(SO42・7H
2O等が挙げられる。中でも、焼成工程の際にNOX及び
SOX等の有害物質を発生させない点で、Co(O
H)2、CoO、Co23、Co34が好ましく、さら
に好ましくは、工業的に安価に入手できる点及び反応性
が高い点でCo(OH)2である。無論複数のコバルト
化合物を使用することもできる。これらの化合物のう
ち、代表的なものについて「化合物が吸引される磁束密
度」を下記に例示する。
【0032】Co34:4000ガウス Co(OH)2:2200ガウス 遷移金属化合物がマンガン化合物である場合は、得られ
るリチウム遷移金属複合酸化物は、リチウムマンガン複
合酸化物となる。リチウムマンガン複合酸化物として
は、代表的にはLiMn24を基本組成とするスピネル
構造のマンガン酸リチウムや、基本組成LiMnO2
有する層状構造のマンガン酸リチウムを挙げることがで
きるが、製造のしやすさ及びサイクル特性の点でスピネ
ル型のマンガン酸リチウムが好ましい。
【0033】リチウムマンガン複合酸化物は、リチウ
ム、マンガン及び酸素以外に、さらに他の元素を含有し
ていてもよい。B、Al、Sn、Cu、Ti、Zn、C
o、Ni等の金属元素を挙げることができるが、好まし
くはAlである。即ち、好ましい態様において、リチウ
ムマンガン複合酸化物は、リチウムとマンガンとアルミ
ニウムとを含有する複合酸化物からなる。このような他
元素は、例えば、マンガンサイトの一部を上記他元素で
置換することによって、結晶構造を安定化させる機能を
有する。このようなマンガンサイトへの置換元素として
は、上記同様、B、Al、Sn、Cu、Ti、Zn、C
o、Ni等の金属元素を挙げることができる。無論複数
の元素で置換することもできる。好ましい置換元素はA
lである。また、酸素原子の一部をフッ素等のハロゲン
元素で置換することもできる。
【0034】このような他種元素置換型のリチウムマン
ガン複合酸化物は、例えばスピネル構造のリチウムマン
ガン複合酸化物の場合、通常
【0035】
【化9】LibMn2-a Mea4 (MeはB、Al、Sn、Cu、Ti、Zn、Co、N
iからなる群から選ばれる少なくとも一種を表し、0≦
b≦1.5、0<a≦1)の組成で表すことができる。
ここで、好ましい置換元素MeはAlである。ただし、
この結晶構造を安定化させることができれば、置換元素
の種類及び組成比は、これに限定されるものではない。
特に好ましいリチウムマンガン複合酸化物の組成は、
【0036】
【化10】LiYMn2-XAlX4 (0<X≦1.0、0.9≦Y≦1.1)で表される。
【0037】なお、上記いずれの組成式においても、酸
素の量は不定比性を有する場合を包含する。さらにま
た、上記いずれの場合においても、化学量論量以上のリ
チウムを原料として使用するなどによって、マンガン原
子のサイトの一部をリチウムで置換することも可能であ
る。例えば、なお本発明の製造方法において、リチウム
化合物とマンガン化合物の他に、リチウムとマンガン以
外の金属(以下「他金属」ということがある)元素を含
む化合物をリチウム化合物とマンガン化合物とともに溶
媒下混合することにより、マンガンの一部が他金属元素
で置換されたリチウムマンガン複合酸化物を得ることが
できる。
【0038】他金属元素の化合物としては、酸化物、水
酸化物、硝酸塩、炭酸塩、ジカルボン酸塩、脂肪酸塩、
アンモニウム塩等が挙げられる。これらの出発原料は、
通常湿式混合によって混合される。混合の前後、および
混合中において粉砕の工程を加えてもよい。本発明にお
いて使用される溶媒としては、各種の有機溶媒、水性溶
媒が使用できるが、好ましくは水である。
【0039】リチウムマンガン酸化物の焼成・冷却の方
法としては、例えば、仮焼後600〜900℃程度の温
度で酸素雰囲気下で本焼を行い、次いで500℃以下程
度まで10℃/min以下の速度で徐冷する方法や、仮
焼後600〜900℃程度の温度で空気又は酸素雰囲気
下で本焼し、次いで400℃程度の温度で酸素雰囲気下
アニールする方法を挙げることができる。焼成・冷却の
条件については、特開平9−306490号公報、特開
平9−306493号公報、特開平9−259880号
公報等に詳しく記載されている。
【0040】上記において、リチウム化合物とマンガン
化合物の混合比は、Li原子とMn原子換算で通常Li
/Mn=0.4〜0.6、好ましくは0.45〜0.5
5、より好ましくは0.5〜0.55となる量比であ
る。Liが多すぎても少なすぎても充分な容量を得るこ
とができない。リチウムマンガン複合酸化物が他種元素
置換型のリチウムマンガン複合酸化物である場合は、出
発原料としてはリチウム化合物とマンガン化合物の他
に、リチウムとマンガン以外の金属元素(置換元素)を
含む化合物を混合する。マンガン以外の金属元素を含む
化合物の混合比が、Mn原子とマンガン以外の金属原子
換算で、マンガン以外の金属元素がMnのの2.5モル
%以上、好ましくはMnの5モル%以上であり、通常M
nの30モル%以下、好ましくはMnの20モル%以下
である。マンガン以外の金属元素が少なすぎるとその高
温サイクルの改善効果が充分ではない場合があり、多す
ぎると電池にした場合の容量が低下してしまう場合があ
る。なおこの場合、上記の量比(Li/Mn)は、Li
/(Mn+マンガン以外の金属原子)の量比となる。
(即ち、リチウム化合物とマンガン化合物の混合比Li
原子とMn原子とマンガン以外の金属原子換算で通常L
i/(Mn+マンガン以外の金属原子)=0.4〜0.
6、好ましくは0.45〜0.55、より好ましくは
0.5〜0.55となる量比) 遷移金属化合物がニッケル化合物である場合は、得られ
るリチウム遷移金属複合酸化物は、リチウムニッケル複
合酸化物となる。リチウムニッケル複合酸化物として
は、下記式にて表されるリチウムニッケル複合酸化物が
挙げられる。
【0041】
【化11】LiXNiY(1-Y)2 (式中、Xは0<X≦1.2の範囲の数を表す。Yは0
<(1−Y)≦0.5の範囲の数値を表す。QはCo、
Al、Mg、Ga、Ti及びCaからなる群から選ばれ
る少なくとも一種を表す。) 特に好ましいリチウムニッケル複合酸化物の組成は、
【0042】
【化12】LiXNiYCoZQ’(1-Y-Z)2 (式中、Xは0<X≦1.2の範囲の数を表す。Yは
0.5≦Y<1.0の範囲の数値を表す。Zは0<Z≦
0.5の範囲の数値を表す。Q’はAl、Mg、Ga、
Ti及びCaからなる群から選ばれる少なくとも一種を
表す。) リチウムニッケル複合酸化物の製造方法は、リチウム化
合物とニッケル化合物を混合し、該混合物を熱処理(焼
成)すればよい。熱処理は、例えば、箱型電気炉、管状
炉等の装置を用いて行うことができる。
【0043】焼成雰囲気は、酸素気流中、あるいは空気
中等の酸化性雰囲気とすればよい。また、焼成温度は、
800〜1000℃とするのが望ましい。焼成温度が低
すぎると岩塩ドメインの割合が大きくなり、高すぎると
酸素欠陥を生じる可能性が高くなる。さらに、焼成時間
は、7時間以上15時間以下とすることが望ましい。焼
成時間が短すぎると岩塩ドメインの割合が増加し、長す
ぎると酸素欠陥を生じ易くなる。
【0044】リチウム化合物とニッケル化合物の配合比
は、リチウム原子とニッケル原子に換算してモル比でL
i:Ni=1:1〜1.1:1となるように混合するの
が好ましい。Niに対するLiの配合比が小さすぎる
と、層状岩塩構造リチウム遷移金属複合酸化物におい
て、上述した岩塩ドメインが大きくなる。逆に、Niに
対するLiの配合比が大きすぎると、NiサイトにLi
が置換されることとなり、リチウム二次電池の容量低下
を招くことになる。
【0045】両化合物の混合は、その方法を特に限定す
るものではなく、両者を均一に混合することのできる既
に公知の方法によって行えばよい。例えば、ボールミ
ル、自動乳鉢等の装置を用いて行うことができる。なお
本発明の製造方法において、例えば、リチウム化合物と
ニッケル化合物の他に、リチウムとニッケル以外の金属
(以下「他金属」ということがある)元素を含む化合物
をリチウム化合物とニッケル化合物とともに溶媒下混合
することにより、ニッケルの一部が他金属元素で置換さ
れたリチウムニッケル複合酸化物を得ることができる。
【0046】他金属元素の化合物としては、酸化物、水
酸化物、硝酸塩、炭酸塩、ジカルボン酸塩、脂肪酸塩、
アンモニウム塩等が挙げられる。遷移金属化合物がコバ
ルト化合物である場合は、得られるリチウム遷移金属複
合酸化物は、リチウムコバルト複合酸化物となる。リチ
ウムコバルト複合酸化物としては、下記式にて表される
リチウムコバルト複合酸化物が挙げられる。
【0047】
【化13】LiXCo1-YY2 (式中、Xは0<X≦1.2の範囲の数を表す。Yは0
<Y≦0.25の範囲の数を表す。Aは、B、Mg、S
i、Cu、Ti、V、Mn、Ni、Sn、Zr、Sb、
Nb、Ru、Pb、Hf及びTaからなる群より選択さ
れる少なくとも1種の元素を表す。) リチウムコバルト複合酸化物の製造方法は、リチウム化
合物とコバルト化合物を混合し、該混合物を熱処理(焼
成)すればよい。熱処理は、例えば、箱型電気炉、管状
炉等の装置を用いて行うことができる。
【0048】焼成雰囲気は、酸素気流中、あるいは空気
中等の酸化性雰囲気とすればよい。また、焼成温度は、
800〜1000℃とするのが望ましい。焼成温度が低
すぎると岩塩ドメインの割合が大きくなり、高すぎると
酸素欠陥を生じる可能性が高くなる。さらに、焼成時間
は、7時間以上15時間以下とすることが望ましい。焼
成時間が短すぎると岩塩ドメインの割合が増加し、長す
ぎると酸素欠陥を生じ易くなる。
【0049】リチウム化合物とコバルト化合物の配合比
は、リチウム原子とコバルト原子に換算してモル比でL
i:Co=1:1〜1.1:1となるように混合するの
が好ましい。Coに対するLiの配合比が小さすぎる
と、層状岩塩構造リチウム遷移金属複合酸化物におい
て、上述した岩塩ドメインが大きくなる。逆に、Niに
対するCoの配合比が大きすぎると、CoサイトにLi
が置換されることとなり、リチウム二次電池の容量低下
を招くことになる。
【0050】両化合物の混合は、その方法を特に限定す
るものではなく、両者を均一に混合することのできる既
に公知の方法によって行えばよい。例えば、ボールミ
ル、自動乳鉢等の装置を用いて行うことができる。なお
本発明の製造方法において、例えば、リチウム化合物と
コバルト化合物の他に、リチウムとコバルト以外の金属
(以下「他金属」ということがある)元素を含む化合物
をリチウム化合物と遷移金属化合物とともに溶媒下混合
することにより、コバルトの一部が他金属元素で置換さ
れたリチウムコバルト複合酸化物を得ることができる。
【0051】他金属元素の化合物としては、酸化物、水
酸化物、硝酸塩、炭酸塩、ジカルボン酸塩、脂肪酸塩、
アンモニウム塩等が挙げられる。またリチウムコバルト
複合酸化物は、以下の方法によっても製造できる。水酸
化コバルト及びオキシ水酸化コバルトからなる群より選
択される少なくとも1種を水酸化リチウム水溶液中に分
散させる。上記水酸化リチウム水溶液は、水溶液中に、
リチウムイオンと水酸イオンとを含有するものである。
このものは、水溶液中でリチウムイオンと水酸イオンを
生成することができる化合物、例えば、水酸化リチウ
ム、酸化リチウム、金属リチウム等を水に溶解して調製
することができる。「水酸化リチウム水溶液」とは、上
記水溶液中でリチウムイオンと水酸イオンとを生成する
ことができる化合物を水に溶解して調製したものを意味
する。リチウム化合物としては、上記水溶液中でリチウ
ムイオンと水酸化物イオンとを生成することができる化
合物を使用する。
【0052】上記水酸化コバルト及びオキシ水酸化コバ
ルトからなる群より選択される少なくとも1種の分散液
中の濃度は、特に限定されるものではないが、通常、コ
バルト原子の濃度に換算して0.05〜10グラム原子
/Lが好ましい。製造工程における操作性や経済性の点
から、より好ましくは、0.1〜5グラム原子/Lであ
る。
【0053】上記水酸化コバルト及び上記オキシ水酸化
コバルトからなる群より選択される少なくとも1種と、
上記水酸化リチウム水溶液との仕込み比は、反応後、残
余のリチウム源を回収することができるので、原子比で
(リチウム)/(コバルト)≧1であればよい。製造工
程における操作性や経済性の点から、好ましくは、(リ
チウム)/(コバルト)=1/1〜50/1であり、よ
り好ましくは、(リチウム)/(コバルト)=1/1〜
20/1であり、更に好ましくは、(リチウム)/(コ
バルト)=1/1〜10/1である。
【0054】上記水酸化コバルト及び上記オキシ水酸化
コバルトからなる群より選択される少なくとも1種と、
上記水酸化リチウム水溶液との仕込み比を、上述の場合
とは逆に、原子比で(リチウム)/(コバルト)<1と
した場合、得られるリチウムコバルト複合酸化物粒子中
のコバルトの含有量をリチウムの含有量よりも多くする
ことができる。
【0055】上記分散液に、更に、B、Mg、Si、C
u、Ti、V、Mn、Ni、Sn、Zr、Sb、Nb、
Ru、Pb、Hf及びTaからなる群より選択される少
なくとも1種の元素(他元素)からなる化合物を分散さ
せることにより、コバルトの一部が他元素で置換された
リチウムコバルト複合酸化物粒子を得ることができる。
上記化合物としては特に限定されず、例えば、上記元素
の単体、水酸化物、酸化物等を挙げることができる。こ
れらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよ
い。上記化合物の添加量は、分散液中、原子比で、コバ
ルト原子と上記化合物中の上記元素の原子との和に対し
て、上記元素の原子の割合が0.25以下となる量とす
ることができる。
【0056】上記分散液中の水酸イオンの濃度が高いほ
うが反応性がよいので、更に水酸イオンを生成すること
ができる化合物を上記分散液に添加してもよい。上記水
酸イオンを生成することができる化合物としては特に限
定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化アンモニウム等を挙げることができる。次に
これらを加熱処理するが、加熱温度は、60〜500℃
が好ましい。加熱温度が低すぎると反応が完結するまで
に長時間を要し、高すぎると水蒸気圧が極めて高くな
り、反応容器の耐圧性を保たなければならず、装置コス
トの点から経済性に問題がある。製造工程における操作
性や経済性の点から、より好ましくは、100〜374
℃である。加熱温度が100℃を超える場合には、耐圧
容器を反応容器として使用し、上記水分散液の沸騰を抑
制する必要がある。
【0057】上記加熱処理における反応時間は、加熱温
度により異なるが、数分〜数日である。上記加熱処理
は、分散液を攪拌しながら行ってもよい。上記加熱処理
後、分離操作が可能である温度まで反応液を冷却し、濾
過等の分離方法を用いて沈澱を分離し、充分に水洗、乾
燥することにより、目的のリチウムコバルト複合酸化物
粒子の粉末を得ることができる。上記乾燥の温度は、リ
チウムコバルト複合酸化物粒子の吸着水分が充分除去す
ることができれば特に限定されない。
【0058】また、必要に応じて、乾燥後の生成物に乾
式の加熱処理を施してもよい。上記乾式の加熱処理によ
り、得られるリチウムコバルト複合酸化物粒子の結晶化
度を更に高めることができ、また、一次粒子の大きさを
調整することができるので、所望の電池特性に合致した
リチウムコバルト複合酸化物粒子を得ることができる。
上記乾式の加熱処理は、乾燥後、得られるリチウムコバ
ルト複合酸化物粒子を回収した後に行ってもよく、回収
する前に、乾燥工程と同時に行ってもよい。
【0059】上記濾過等により分離された液相は、回収
して再利用することができる。また、処理後に廃棄する
こともできる。遷移金属化合物がニッケル化合物とマン
ガン化合物である場合は、得られるリチウム遷移金属複
合酸化物は、リチウムニッケルマンガン複合酸化物とな
る。リチウムコバルトマンガン複合酸化物としては、下
記式にて表されるリチウムコバルト複合酸化物が好まし
く、特に下記式においてQがCoであるリチウムニッケ
ルマンガン複合酸化物が好ましい。
【0060】
【化14】LiXNiYMnZ(1-Y-Z)2 (式中、Xは0<X≦1.2の範囲の数を表す。Y及び
Zは、1≦Y/Z≦9、及び、0<(1−Y−Z)≦
0.5の関係を満たす数を表す。QはCo、Al、M
g、Ga、Ti及びCaからなる群から選ばれる少なく
とも一種を表す。) これらリチウムニッケルマンガン複合酸化物は、例えば
下記の方法にて製造できる。リチウム化合物、ニッケル
化合物、マンガン化合物、及び必要に応じて置換元素
(上記式中のQに相当)化合物を、乾式で混合して焼成
の原料として用いてもよく、また、湿式(即ちスラリー
中)で混合後これを乾燥して焼成の原料としてもよい。
乾式で混合して焼成の原料とする場合、仮焼、解砕及び
本焼をこの順に行う等、焼成を複数行い、且つ2回の焼
成の間に解砕工程を行うのが、不純物の生成を抑制し、
容量を向上させる点で好ましい。
【0061】以下、湿式で混合しこれを乾燥して焼成の
原料とする場合の、スラリー中での混合及び乾燥方法に
ついて記す。スラリーに用いられる分散媒としては、各
種の有機溶媒、水性溶媒を使用することができるが、好
ましいのは水である。スラリー全体の重量に対する、リ
チウム化合物、ニッケル化合物、マンガン化合物及び置
換元素化合物の総重量比は、通常10重量%以上、好ま
しくは12.5重量%以上、通常50重量%以下、好ま
しくは35重量%以下である。重量比が上記範囲以下の
場合は、スラリー濃度が極端に希薄なため噴霧乾燥によ
り生成した球状粒子が必要以上に小さくなったり破損し
やすくなったりする一方で、上記範囲以上となると、ス
ラリーの均一性が保ちにくくなる。
【0062】スラリー中の固形物の平均粒子径は通常2
μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは
0.5μm以下とする。スラリー中の固形物の平均粒子
径が大きすぎると、焼成工程における反応性が低下する
だけでなく、球状度が低下し、最終的な粉体充填密度が
低くなる傾向にある。この傾向は、平均粒子径で50μ
m以下の造粒粒子を製造しようとした場合に特に顕著に
なる。また、必要以上に小粒子化することは、粉砕のコ
ストアップに繋がるので、固形物の平均粒子径は通常
0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上、さら
に好ましくは0.1μm以上とする。
【0063】スラリー中の固形物の平均粒子径を制御す
る方法としては、原料化合物を予めボールミル、ジェッ
トミル等により乾式粉砕し、これを分散媒に攪拌等によ
って分散させる方法、原料化合物を分散媒に攪拌等によ
って分散後、媒体攪拌型粉砕機等を使用して湿式粉砕す
る方法等を挙げることができる。原料化合物を分散媒に
分散後、媒体攪拌型粉砕機等を使用して湿式粉砕する方
法を用いることが好ましい。湿式粉砕することによっ
て、本発明の効果が顕著に発揮される。
【0064】また、スラリーの粘度は、通常50mPa
・s以上、好ましくは100mPa・s以上、特に好ま
しくは200mPa・s以上、通常3000mPa・s
以下、好ましくは2000mPa・s以下、特に好まし
くは1600mPa・s以下である。粘度が上記範囲以
下の場合は、焼成前の乾燥に大きな負荷がかかったり、
乾燥により生成した球状粒子が必要以上に小さくなった
り破損しやすくなったりする一方で、上記範囲以上とな
ると、乾燥時のスラリー輸送に用いるチューブポンプで
の吸引ができなくなる等取り扱いが困難になる。スラリ
ーの粘度測定は、公知のBM型粘度計を用いて行うこと
ができる。BM型粘度計は、室温大気中において所定の
金属製ローターを回転させる方式を採用する測定方法で
ある。スラリーの粘度は、ローターをスラリー中に浸し
た状態でローターを回転させ、その回転軸にかかる抵抗
力(捻れの力)から算出される。但し、室温大気中とは
気温10℃〜35℃、相対湿度20%RH〜80%RH
の通常考えられる実験室レベルの環境を示す。
【0065】上記のようにして得られたスラリーは、通
常乾燥された後焼成処理に供される。乾燥方法としては
噴霧乾燥が好ましい。噴霧乾燥を行うことによって、簡
易な方法で球状のリチウムニッケルマンガン複合酸化物
を得ることができ、その結果、充填密度を向上させるこ
とができる。噴霧乾燥の方法は特に制限されないが、例
えば、ノズルの先端に気体流とスラリーとを流入させる
ことによってノズルからスラリー成分の液滴(本明細書
においては、これを単に「液滴」という場合がある。)
を吐出させ、適当な乾燥ガス温度や送風量を用いて飛散
した該液滴を迅速に乾燥させる方法を用いることができ
る。気体流として供給する気体としては、空気、窒素等
を用いることができるが、通常は空気が用いられる。こ
れらは加圧して使用することが好ましい。気体流は、ガ
ス線速として、通常100m/s以上、好ましくは20
0m/s以上、さらに好ましくは300m/s以上で噴
射される。あまり小さすぎると適切な液滴が形成しにく
くなる。ただし、あまりに大きな線速は得にくいので、
通常噴射速度は1000m/s以下である。使用される
ノズルの形状は、微少な液滴を吐出することができるも
のであればよく、従来から公知のもの、例えば、特許第
2797080号公報に記載されているような液滴を微
細化できるようなノズルを使用することもできる。な
お、液滴は環状に噴霧されることが、生産性向上の点で
好ましい。飛散した液滴は、これを乾燥する。前述の通
り、飛散した該液滴を迅速に乾燥させるように、適当な
温度や送風等の処理が施されるが、乾燥塔上部から下部
に向かいダウンフローで乾燥ガスを導入するのが好まし
い。この様な構造とすることにより、乾燥塔単位容積当
たりの処理量を大幅に向上させることができる。また、
液滴を略水平方向に噴霧する場合、水平方向に噴霧され
た液滴をダウンフローガスで抑え込むことにより、乾燥
塔の直径を大きく低減させることが可能となり、安価且
つ大量に製造することが可能となる。乾燥ガス温度は、
通常50℃以上、好ましくは70℃以上とし、通常12
0℃以下、好ましくは100℃以下とする。温度が高す
ぎると、得られた造粒粒子が中空構造の多いものとな
り、粉体の充填密度が低下する傾向にあり、一方、低す
ぎると粉体出口部分での水分結露による粉体固着・閉塞
等の問題が生じる可能性があある。
【0066】このよう様にして噴霧乾燥することによっ
て原料となる造粒粒子が得られる。造粒粒子径として
は、平均粒子径で好ましくは50μm以下、さらに好ま
しくは30μm以下となるようにする。ただし、あまり
に小さな粒径は得にくい傾向にあるので、通常は4μm
以上、好ましくは5μm以上である。造粒粒子の粒子径
は、噴霧形式、加圧気体流供給速度、スラリー供給速
度、乾燥温度等を適宜選定することによって制御するこ
とができる。
【0067】リチウム、マンガン、及びニッケルを含む
原料は、焼成処理される。焼成の条件は、本発明で規定
する比表面積及び粉体充填密度に制御する上で重要であ
る。原料組成に依存するが、傾向として、焼成温度が高
すぎるとタップ密度が大きくなりすぎ、逆に低すぎると
タップ密度が小さく、また比表面積が大きくなりすぎ
る。また、ニッケルとマンガンと遷移金属との合計に占
めるニッケルのモル比が大きいと、相対的に最適な焼成
温度は低温になる傾向にある。焼成温度としては、原料
として使用されるリチウム化合物、マンガン化合物、及
びニッケル化合物等の種類によって異なるものの、通常
700℃以上、好ましくは725℃以上、さらに好まし
くは750℃以上、さらに好ましくは800℃以上であ
り、また通常1050℃以下、好ましくは1000℃以
下、さらに好ましくは950℃以下、最も好ましくは9
00℃以下である。
【0068】焼成時間は温度によっても異なるが、通常
前述の温度範囲であれば30分以上、50時間以下であ
る。焼成時間が短すぎると結晶性の良いリチウムニッケ
ルマンガン複合酸化物が得られにくくなり、また長すぎ
るのはあまり実用的ではない。焼成時間が長すぎると、
また、その後解砕が必要になったり、解砕が困難になっ
たりするので、好ましくは25時間以下、さらに好まし
くは20時間以下である。
【0069】結晶欠陥が少ないリチウムニッケルマンガ
ン複合酸化物を得るためには、焼成反応後、ゆっくりと
冷却することが好ましく、例えば5℃/min.以下の
冷却速度で徐冷することが好ましい。焼成時の雰囲気
は、製造する化合物の組成や構造に応じて、空気等の酸
素含有ガス雰囲気や、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰
囲気とすることができるが、リチウムニッケルマンガン
複合酸化物の場合、ニッケルは原料の2価から目的生成
物の3価へ酸化される必要があることから、好ましくは
空気、酸素富化空気又は酸素である。
【0070】焼成に使用する加熱装置は、上記の温度、
雰囲気を達成できるものであれば特に制限はなく、例え
ば箱形炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を
使用することができる。なお、本発明においては、スラ
リー中の固形分の平均粒子径、噴霧乾燥後の造粒粒子の
平均粒子径、及びリチウムニッケルマンガン複合酸化物
の平均粒子径は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布
測定装置によって測定される。この方法の測定原理は下
記の通りである。すなわち、スラリー又は粉体を分散媒
に分散させ、該試料溶液にレーザー光を照射し、粒子に
入射されて散乱(回折)した散乱光をディテクタで検出
する。検出された散乱光の散乱角θ(入射方向と散乱方
向の角度)は、大きい粒子の場合は前方散乱(0<θ<
90°)となり、小さい粒子の場合は側方散乱又は後方
散乱(90°<θ<180°)となる。測定された角度
分布値から、入射光波長及び粒子の屈折率等の情報を用
いて粒子径分布を算出する。更に得られた粒子径分布か
ら平均粒子径を算出する。測定の際に用いる分散媒とし
ては、例えば0.1重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム
水溶液を挙げることができる。
【0071】本発明のリチウム遷移金属複合酸化物はリ
チウム二次電池の正極の活物質として用いることができ
る。正極は、通常上記正極材料と結着剤と導電剤とを含
有する活物質層を集電体上に形成してなる。本発明にお
いて正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物であ
る。活物質層は、通常、上記構成成分を含有するスラリ
ーを調製し、これを集電体上に塗布・乾燥することで得
ることができる。
【0072】活物質層中の本発明の正極材料の割合は、
通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、さら
に好ましくは50重量%以上であり、通常99.9重量
%以下、好ましくは99重量%以下である。正極材料が
多すぎると正極の強度が不足する傾向にあり、少なすぎ
ると容量の面で不十分となることがある。正極に使用さ
れる導電剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレン
ブラックなどのカーボンブラック、ニードルコークス等
の無定形炭素等を挙げることができる。活物質層中の導
電剤の割合は、通常0.01重量%以上、好ましくは
0.1重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上であ
り、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、
さらに好ましくは10重量%以下である。導電剤が多す
ぎると容量の面で不十分となることがあり、少なすぎる
と電気導電性が不十分になることがある。
【0073】また、正極に使用される結着剤としては、
ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、
フッ素化ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等のフッ素
系高分子の外、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエ
ン三元共重合体)、SBR(スチレン−ブタジエンゴ
ム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、
ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチ
レン、ニトロセルロース等を挙げることができる。活物
質層中の結着剤の割合は、通常0.1重量%以上、好ま
しくは1重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上で
あり、通常80重量%以下、好ましくは60重量%以
下、さらに好ましくは40重量%以下である。多すぎる
と容量の面で不十分となることがあり、少なすぎると強
度が不十分になることがある。
【0074】また、スラリーを調製する際に使用する溶
媒としては、通常は結着剤を溶解あるいは分散する有機
溶剤が使用される。例えば、N−メチルピロリドン、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル
酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミ
ノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフ
ラン等を挙げることができる。また、水に分散剤、増粘
剤等を加えてSBR等のラテックスでスラリー化する場
合もある。
【0075】活物質層の厚さは、通常10〜200μm
程度である。正極に使用する集電体の材質としては、ア
ルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属
が用いられ、好ましくはアルミニウムである。なお、塗
布・乾燥によって得られた活物質層は、電極材料の充填
密度を上げるためローラープレス等により圧密されるの
が好ましい。
【0076】本発明のリチウム二次電池は、通常上記正
極と負極及び非水系電解液とを有する。本発明のリチウ
ム二次電池に使用できる負極材料としては、炭素材料を
使用するのが好ましい。このような炭素材料としては、
天然ないし人造の黒鉛、石油系コークス、石炭系コーク
ス、石油系ピッチの炭化物、石炭系ピッチの炭化物、フ
ェノール樹脂・結晶セルロース等樹脂の炭化物およびこ
れらを一部炭化した炭素材、ファーネスブラック、アセ
チレンブラック、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊
維、あるいはこれらの2種以上の混合物等が挙げられ
る。負極材料は、通常、結着剤及び必要に応じて導電剤
とともに集電体上に活物質層として形成される。また、
リチウム金属そのものや、リチウムアルミニウム合金等
のリチウム合金を負極として用いることもできる。負極
に使用できる結着剤や導電剤は、正極に使用するものと
同様のものを例示することができる。
【0077】負極の活物質層の厚さは、通常10〜20
0μm程度である。負極の活物質層の形成は、前記正極
の活物質層の形成方法に準じて行うことができる。負極
の集電体の材質としては、通常銅、ニッケル、ステンレ
ス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属が用いられ、好ましく
は銅である。本発明のリチウム二次電池に使用できる非
水系電解液としては、各種の電解塩を非水系溶媒に溶解
したものを挙げることができる。
【0078】非水系溶媒としては、例えばカーボネート
類、エーテル類、ケトン類、スルホラン系化合物、ラク
トン類、ニトリル類、ハロゲン化炭化水素類、アミン
類、エステル類、アミド類、燐酸エステル化合物等を使
用することができる。これらの代表的なものを列挙する
と、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、
クロロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレン
カーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネ
ート、ビニレンカーボネート、テトラヒドロフラン、2
−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、4
−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジメトキシエタ
ン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、
1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソ
ラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラ
ン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリ
ル、ブチロニトリル、バレロニトリル、1,2−ジクロ
ロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、燐酸トリメチル、燐酸トリエチル等の単独もしくは
二種類以上の混合溶媒が使用できる。
【0079】上述の非水系溶の中でも、電解質を解離さ
せるために高誘電率溶媒を使用するのが好ましい。高誘
電率溶媒とは、概ね25℃における比誘電率が20以上
の化合物を意味する。高誘電率溶媒の中で、エチレンカ
ーボネート、プロピレンカーボネート及びそれらの水素
原子をハロゲン等の他の元素またはアルキル基等で置換
した化合物が電解液中に含まれることが好ましい。この
ような高誘電率溶媒を使用する場合、高誘電率溶媒の電
解液中に占める割合は、通常20重量%以上、好ましく
は30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上で
ある。該高誘電率溶媒の含有量が少ないと、所望の電池
特性が得られない場合がある。
【0080】電解塩としては、従来公知のいずれもが使
用でき、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、Li
BF4、LiB(C654、LiCl、LiBr、Li
CH3SO3Li、LiCF3SO3、LiN(SO2
32、LiN(SO2252、LiC(SO2
33、LiN(SO3CF32等のリチウム塩が挙げ
られる。
【0081】また、CO2、N2O、CO、SO2等のガ
スやポリサルファイドSx2-、ビニレンカーボネート、
カテコールカーボネートなど負極表面にリチウムイオン
の効率よい充放電を可能にする良好な皮膜を生成する添
加剤を任意の割合で電解液中に存在させてもよい。な
お、電解液の代わりに、リチウムイオン等のアルカリ金
属カチオンの導電体である高分子固体電解質を用いるこ
ともできる。また、上記電解液を、高分子によって非流
動化して半固体状電解質を用いることもできる。本発明
のリチウム二次電池においては、正極と負極との間に、
上記のような様々な材料によって電解質層を設けること
ができる。
【0082】正極と負極との間には、通常セパレーター
が設けられる。セパレータとしては、微多孔性の高分子
フィルムが用いられ、その材質としては、ナイロン、ポ
リエステル、セルロースアセテート、ニトロセルロー
ス、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化
ビニリデン、テトラフルオロエチレンや、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレフィン系高
分子を挙げることができる。また、ガラス繊維等の不織
布フィルター、さらにはガラス繊維と高分子繊維の複合
不織布フィルター等も用いることができる。セパレータ
の化学的及び電気化学安定性は重要な因子であり、この
点から材質としては、ポリオレフィン系高分子が好まし
く、特に、電池セパレータの目的の一つである自己閉塞
温度の点からポリエチレン製であることが好ましい。
【0083】ポリエチレン製セパレータの場合、高温形
状維持性の点から超高分子量ポリエチレンであることが
好ましく、その分子量の下限は好ましくは50万、更に
好ましくは100万、最も好ましくは150万である。
他方分子量の上限は、好ましくは500万、更に好まし
くは400万、最も好ましくは300万である。分子量
が大きすぎると、流動性が低すぎて加熱されたときセパ
レータの孔が閉塞しない場合があるからである。
【0084】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳細に説明す
る。下記において、SUS粉(焼成)とは、SUS粉を
焼成温度900℃で10時間焼成したものである。 [化合物が吸引される磁束密度の測定]試料の粉末とサマ
リウム磁石(表面磁束密度6000ガウス)とを水平に
敷いた紙の上に10cm程度離して置き、磁石を徐々に
試料に近づけていき、試料が磁石に吸い寄せられた場所
の磁束密度をカネテック社製磁力計(TM―501)で
計測した。代表的な化合物の吸引される磁束密度を下記
に例示する。
【0085】
【表1】
【0086】実施例1 Mn2310gに対し、粒径100μm程度の鉄粉1g
を混入し混合したものを紙上に拡げ、磁束密度が600
0ガウスの磁石を試料が受ける磁力が2000ガウスに
なるまで上から近づけた。この状態で紙を5分間左右に
揺らした。その結果、鉄粉1gが磁石により回収され
た。
【0087】実施例2 鉄粉の代わりに、粒径100μm程度のSUS粉(未焼
成)1gを用いた以外は実施例1と同様にして、SUS
粉(未焼成)1gを磁石により回収した。 実施例3 鉄粉の代わりに、粒径100μm程度のSUS粉(焼
成)を用いた以外は、実施例1と同様にして、SUS粉
(焼成)1gを磁石により回収した。
【0088】実施例4 磁石を、試料が受ける磁力が500ガウスとなるまで近
づけた以外は実施例1と同様にして、鉄粉1gを磁石に
より回収した。 実施例5 Mn2310gの代わりに、Ni(OH)210gを用
い、磁石を、磁石が受ける磁力が2500ガウスになる
まで近づけた以外は、実施例2と同様にして、SUS粉
(未焼成)1gを回収した。
【0089】実施例6 Mn2310gの代わりに、Co(OH)210gを用
い、磁石を、磁石が受ける磁力が2000ガウスになる
まで近づけた以外は、実施例2と同様にして、SUS粉
(未焼成)1gを回収した。 実施例7 Mn23、AlOOH、LiOH・H2Oを、それぞれ最
終的なスピネル型リチウムマンガン複合酸化物中の組成
で、Li:Mn:Al=1.04:1.84:0.12
(モル比)となるように秤量したもの(以下「原料混合
物」という)10gに、粒径100μm程度の鉄粉1g
を混入し混合したものを紙上に拡げ、磁束密度が600
0ガウスの磁石を試料が受ける磁力が2000ガウスに
なるまで上から近づけた。この状態で紙を5分間左右に
揺らした。その結果、鉄粉1gが磁石により回収され
た。
【0090】実施例8 実施例7により得られた鉄粉が除去された原料混合物1
0gに純水を加えて固形分濃度30重量%のスラリーを
調製した。このスラリーを攪拌しながら、循環式媒体攪
拌型湿式粉砕器を用いて、スラリー中の固形分の平均粒
子径が0.3μmになる迄、粉砕した後、液滴微細化機
構を有するノズルを設けたスプレードライヤー(藤崎電
機株式会社製、マイクロミストドライヤーMDP−05
0、ノズルタイプはサークルエッジノズル、乾燥塔寸法
は2500mmφ×4800mmH)を用いて、噴霧乾燥を行った。
【0091】この時の乾燥ガス導入量は23m3/mi
n、乾燥ガス入口温度は90℃とした。また、噴霧ノズ
ルとしては、直径30mmφで、360°(環状)方向に水
平噴霧可能なタイプを使用し、ノズルのスラリー出口ク
リアランスを600μm、スラリーを微細化する為の加
圧気体流出口のクリアランスを350μmにセットし
た。スラリー供給速度は、560g/min、加圧気体
流の供給速度は1200L/minとした(気体流のガ
ス線速は330m/s)。この条件で噴霧乾燥した際の
排気ガス温度は45℃であった。
【0092】乾燥された造粒粒子を900℃で10時間
焼成し、正極活物質とした。その結果、平均粒子径9μ
mのほぼ球状の造粒粒子が得られた。X線解折を測定し
たところ、立方晶のスピネル型リチウムマンガン複合化
合物の構造を有していることが確認された。 比較例1 磁石を、試料が受ける磁力が50ガウスとなるまで近づ
けた以外は実施例1と同様にしたが、鉄粉は磁石により
回収することができなかった。
【0093】比較例2 磁石を、試料が受ける磁力が3000ガウスとなるまで
近づけた以外は実施例1と同様にしてたところ、鉄粉と
ともにMn23も磁石に吸着されてしまった。 比較例3 磁石を、試料が受ける磁力が50ガウスとなるまで近づ
けた以外は実施例7と同様にしたが、鉄粉は除去され
ず、磁石により回収することができなかった。
【0094】
【発明の効果】本発明により、電池材料への鉄の混入を
防止することができ、更には、電池材料へのSUS粉の
混入を防止することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 10/40 H01M 10/40 Z Fターム(参考) 4G048 AA04 AB01 AB02 AB05 AC06 AE05 AE08 5H029 AJ14 AK03 AL06 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 CJ02 CJ28 HJ02 HJ16 5H050 AA19 BA17 CA07 CA08 CA09 CB07 DA02 GA02 GA06 HA01 HA02 HA16

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウム化合物と遷移金属化合物を含む
    混合物を焼成してリチウム遷移金属複合酸化物を製造す
    る方法において、焼成前に、リチウム化合物及び/又は
    遷移金属化合物を、100ガウス以上、磁場を通過させ
    る該化合物のうちいずれか一つのみが吸引される磁束密
    度未満の磁場を通過させることを特徴とするリチウム遷
    移金属複合酸化物の製造方法。
  2. 【請求項2】 リチウム化合物と遷移金属化合物とを溶
    媒下混合してスラリーを得、該スラリーを100ガウス
    以上、リチウム化合物と遷移金属化合物のいずれか一方
    のみが吸引される磁束密度未満の磁場を通過させた後に
    噴霧乾燥し、次いで焼成する請求項1に記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 磁場の磁束密度の下限が、700ガウス
    以上である請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 リチウム化合物が、Li2CO3、LiN
    3、LiOH、LiOH・H2O、LiCl、LiI、
    CH3COOLi、Li2O、酢酸Li、ジカルボン酸L
    i、クエン酸Li、脂肪酸Li、アルキルリチウム、リ
    チウムハロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも
    一種である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 遷移金属化合物がMn34、Mn23
    MnO2、MnCO3、Mn(NO32 、MnSO4、酢
    酸マンガン、ジカルボン酸マンガン、クエン酸マンガ
    ン、脂肪酸マンガン、マンガンオキシ水酸化物、マンガ
    ン水酸化物、マンガンハロゲン化物からなる群から選ば
    れた少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記
    載の製造方法。
  6. 【請求項6】 遷移金属化合物がNi(OH)2、Ni
    O、NiOOH、NiCO3・2Ni(OH)2・4H2
    O、NiC24・2H2O、Ni(NO32・6H2O、
    NiSO4、NiSO4・6H2O、脂肪酸ニッケル、ニ
    ッケルハロゲン化物からなる群から選ばれた少なくとも
    一種である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 遷移金属化合物がCo(OH)2、Co
    O、Co23、Co3 4、Co(OAc)2・4H2O、
    CoCl2、Co(NO32・6H2O、Co(SO42
    ・7H2Oからなる群から選ばれた少なくとも一種であ
    る請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 リチウム遷移金属複合酸化物が、 【化1】LibMn2-a Mea4 (MeはB、Al、Sn、Cu、Ti、Zn、Co、N
    iからなる群から選ばれる少なくとも一種を表し、0≦
    b≦1.5、0<a≦1)で表されるリチウムマンガン
    複合酸化物である請求項1〜5のいずれかに記載の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 リチウム遷移金属複合酸化物が、 【化2】LiXNiY(1-Y)2 (式中、Xは0<X≦1.2の範囲の数を表す。Yは0
    <(1−Y)≦0.5の範囲の数値を表す。QはCo、
    Al、Mg、Ga、Ti及びCaからなる群から選ばれ
    る少なくとも一種を表す。)で表されるリチウムニッケ
    ル複合酸化物である請求項1〜4、6のいずれかに記載
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 リチウム遷移金属複合酸化物が、 【化3】LiXCo1-YY2 (式中、Xは0<X≦1.2の範囲の数を表す。Yは0
    <Y≦0.25の範囲の数を表す。Aは、B、Mg、S
    i、Cu、Ti、V、Mn、Ni、Sn、Zr、Sb、
    Nb、Ru、Pb、Hf及びTaからなる群より選択さ
    れる少なくとも1種の元素を表す。)で表されるリチウ
    ムコバルト複合酸化物である請求項1〜4、7のいずれ
    かに記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 リチウム遷移金属複合酸化物が、 【化4】LiXNiYMnZ(1-Y-Z)2 (式中、Xは0<X≦1.2の範囲の数を表す。Y及び
    Zは、1≦Y/Z≦9、及び、0<(1−Y−Z)≦
    0.5の関係を満たす数を表す。QはCo、Al、M
    g、Ga、Ti及びCaからなる群から選ばれる少なく
    とも一種を表す。)で表されるリチウムニッケルマンガ
    ン複合酸化物である請求項1〜6のいずれかに記載の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜10のいずれかに記載の製
    造方法により製造されたリチウム遷移金属複合酸化物。
  13. 【請求項13】 請求項1〜10のいずれかに記載の製
    造方法により製造されたリチウム遷移金属複合酸化物を
    含有する正極、負極及び電解質を有するリチウム二次電
    池。
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