JP2003117829A - 水晶振動子及び水晶フィルタ、その製造装置及びその製造方法 - Google Patents

水晶振動子及び水晶フィルタ、その製造装置及びその製造方法

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JP2003117829A
JP2003117829A JP2001307014A JP2001307014A JP2003117829A JP 2003117829 A JP2003117829 A JP 2003117829A JP 2001307014 A JP2001307014 A JP 2001307014A JP 2001307014 A JP2001307014 A JP 2001307014A JP 2003117829 A JP2003117829 A JP 2003117829A
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Akira Ohata
晃 大畑
Tsutae Yamamoto
伝 山本
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Sunrise Industry Co Ltd
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  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水晶素板を研磨する際に、振動子面が凹レン
ズ状となることを防ぎ、平坦度を高めることを可能とす
る水晶振動子の製造装置、製造方法及びこの製造方法で
製造された水晶振動子を提供することを課題とする。 【解決手段】 本発明は高圧で噴射された研磨砥粒によ
り水晶素板2の研磨領域を研磨して薄層化する水晶振動
子の製造装置において、前記研磨砥粒の噴射口9と前記
水晶素板2との間の所定の箇所で、高圧で噴射される前
記研磨砥粒の流路8中に、この流路8の外縁から中心に
至るように設置された流速平均化マスク3を有し、前記
水晶素板2を研磨して薄層化する際に、前記水晶素板2
を前記研磨砥粒の噴射方向に対して垂直な面内で回転さ
せることを特徴とする水晶振動子の製造装置を提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波用の水晶振
動子及び水晶フィルタの製造装置及び製造方法に係る。
より詳細には、高周波用の水晶振動子及び水晶フィルタ
をサンドブラスト法により製造する際に振動子面の平坦
度を高めることを可能とした高周波用の水晶振動子及び
水晶フィルタの製造装置及び製造方法に係る。以下、特
に明示しない限り、「水晶振動子及び水晶フィルタ」を
まとめて、「水晶振動子等」と称することもある。
【0002】
【従来の技術】従来からATカット水晶板の厚み滑り振
動を利用した水晶振動子が通信機器、携帯電話やパーソ
ナルコンピュータ等の電子機器において基準周波数素子
として用いられている。これらの電子機器の高性能化、
高速化に伴い、高い周波数で振動を行う水晶振動子が求
められている。
【0003】一般に、厚み滑り振動を利用した水晶振動
子は平板であり、その共振周波数はその厚さに反比例す
るために、共振周波数を大きくするためには、水晶振動
子を薄層化する必要がある。しかし、製造技術及び水晶
振動子の機械的強度の観点から、水晶振動子の厚さは3
3μm程度に制限されていた。
【0004】水晶振動子を作成する方法として、ウエッ
トエッチング法と機械研磨法とが従来用いられてきた。
ウエットエッチング法とは、所定形状にマスクを施した
水晶板をフッ酸又はフッ化アンモニウム溶液中に所定時
間浸漬して、マスク以外の部分の水晶を溶解し、所定膜
厚、所定形状の水晶振動子を得る方法である。
【0005】ウエットエッチング法においては、結晶の
軸方向によりエッチング速度が異なる所謂異方性エッチ
ングが生じるために、得られる水晶振動子が非対称とな
ったり、表面粗さが大きくなる等の問題が発生すること
がある。そのため、ウエットエッチング単独によって
は、水晶振動子の形状を設計値とすることは難しく、研
削等の2次加工が必要となる場合がほとんどである。
【0006】また、ウエットエッチング法は、フッ酸又
はフッ化アンモニウム溶液を用いて穏やかに水晶板をエ
ッチングするものであるので、所定の膜厚となるまでに
数時間程度を要するという問題点もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】機械研磨法は、両面研
磨機等により水晶板を研磨するものであり、表面粗さの
小さな水晶振動子が得られるが、その厚さは30μm程
度が限界であった。機械研磨法の一方法として、例えば
特開平10−303671号公報に記載されたサンドブ
ラスト法が知られている。これは、水晶ウエハに所定パ
ターンのレジストを塗布し、研磨砥粒を高圧で噴射して
水晶ウエハのレジストで覆われていない部分を研磨によ
り除去して所定パターンの水晶振動子を得る方法であ
る。
【0008】ここで、特開平10−303671号公報
に記載された発明を図11により詳述する。図11
(a)、(b)に示すようにエアブラスト装置54は筐
体56を備えている。筐体56の内部の底面には、ステ
ージ58が設置されている。ステージ58には、表面に
所定パターンのレジストが形成された水晶ウエハ60が
搭載されている。ステージ58は図示しない駆動手段に
より矢印62,63で示す方向に往復移動される。ステ
ージ58の上方には、ノズル66が配設されている。ノ
ズル66は高圧の空気と共に、ガラスビーズやアルミナ
粉末等の、粒径数μm乃至数十μmの粉体64を、水晶
ウエハ60の表面に対し垂直に投射する。ノズル66
は、図示しない駆動手段によりステージ58の移動方向
に対してほぼ直角な方向に旋回往復移動される。
【0009】このように、ステージ58が矢印62,6
3で示す方向に往復移動されると共にノズル66が矢印
68,70で示す方向に往復移動されることで、粉体6
4によるブラスト加工は、水晶ウエハ60の全露出領域
において均一に進行し、粉体64の投射により水晶ウエ
ハ60の露出領域が完全に研磨されて除かれ、所定形状
の水晶振動子が得られる。
【0010】特開平10−303671号公報の方法
は、それまで行われてきたウエットエッチング法に代わ
りサンドブラスト法を採用したものであり、水晶ウエハ
60の加工時間を短縮することができた点及びステージ
58及びノズル66を運動させることで均一に研磨を実
行できる点においては一日の長がある。
【0011】しかし、特開平10−303671号公報
は、水晶ウエハ60の露出部分(レジストが塗布されて
いない部分)を完全に除去するためのものであり、水晶
振動子を薄層化するための発明ではない点において考慮
すべき余地が残されていた。
【0012】本発明者は、サンドブラスト法を用いて水
晶素板の片面を研磨して薄層化するメサ型水晶振動子の
製造を検討してきた。図12(a)は水晶素板をサンド
ブラスト研磨するための装置の概略図である。以下この
図を用いて従来の問題点について概説する。
【0013】ブラストガン101には、所定圧力の圧縮
空気が導入されるとともに、枝管より研磨砥粒が供給さ
れている。この研磨砥粒は圧縮空気によりブラストガン
101より載物台102に固定された円盤状の水晶素板
103に向かって高圧で噴射される。水晶素板103の
表面には、円環板状のAマスク104が固定されてお
り、Aマスク104で覆われた水晶素板103の外周部
を研磨砥粒より保護している。その結果、水晶素板10
3は、Aマスク104が存在しない中央部のみが研磨さ
れ薄層化していく。なお、水晶素板103の研磨速度を
場所によらず均一にするために、載物台102は所定速
度で回転している。
【0014】このような方法により水晶素板103の中
央部の研磨領域のみが研磨により薄層化し、周辺部が研
磨されずに残り、所謂メサ型となる(図12(b),
(c))。この薄層化した研磨領域105の中央部を挟
持するように両面に電極を形成し、水晶振動子を得る。
しかしながら、この方法では、研磨領域105が凹レン
ズ型に研磨されてしまう。そのため研磨領域105の中
心付近に電極を製膜し、水晶振動子を形成した場合、振
動子面の中心部と周辺部とで高低差(振動子面における
水晶の厚さの差)が発生してしまい、この水晶振動子を
発振させた場合に、振動子面の厚さの差に起因して強い
副振動が生じてしまうという問題を有していた。以降、
研磨砥粒が衝突し、研磨が進行する領域のことを「研磨
領域」と、さらに研磨領域105の中央部であり電極が
形成され実際に振動を生じる部分を「振動子面」と称す
ることとする。
【0015】このように振動子面が凹レンズ型に研磨さ
れるのは、ブラストガン101より噴射される研磨砥粒
の数密度及び流速が研磨砥粒の流路の中心で大きく、流
路の周辺で小さくなる分布を有し、この分布が水晶素板
103の研磨の際に反映することが原因であると推測さ
れた。
【0016】本発明は、サンドブラスト法によりメサ型
水晶振動子を製造する際に発生した問題点を解決するた
めになされたものであり、サンドブラスト法により水晶
振動子等を製造するに当たって、水晶素板103を研磨
する際に、研磨領域105が凹レンズ状に研磨されるこ
とを緩和して、研磨領域105の平坦度を高めること
で、振動子面内における高低差(振動子面における水晶
の厚さの差)を減少することを可能とする水晶振動子等
の製造装置を提供することを課題とする。また、本発明
は、水晶素板103を研磨する際に、振動子面内におけ
る高低差を緩和して、振動子面の平坦度を高めることを
可能とする水晶振動子等の製造方法、及びこの製造方法
により製造された水晶振動子等を提供することを課題と
する。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決するために以下のように構成した。請求項1に記載
された発明は、高圧で噴射された研磨砥粒により水晶素
材の研磨領域を研磨して薄層化する水晶振動子及び水晶
フィルタの製造装置において、前記研磨砥粒の噴射口と
前記水晶素材との間の所定の箇所で、高圧で噴射される
前記研磨砥粒の流路中に、この流路の外縁から中心に至
るように設置された流速平均化マスクを有し、前記水晶
素材を研磨して薄層化する際に、前記水晶素材を前記研
磨砥粒の噴射方向に対して垂直な面内で回転させること
を特徴とする水晶振動子及び水晶フィルタの製造装置で
ある。
【0018】流速平均化マスクを設置しない場合、高圧
で噴射された研磨砥粒の流速及び数密度は、流路の中央
部付近で最も大きく、外縁に向かうほど低下していく。
この研磨砥粒の流速及び数密度分布が研磨に反映され、
水晶素材の研磨領域が凹型となってしまうという問題が
従来発生していた。尚、「研磨砥粒の数密度」とは、研
磨砥粒の流路の単位体積当たりに存在する研磨砥粒のこ
とを示す。
【0019】請求項1に記載の水晶振動子等の製造装置
によれば、研磨砥粒の流路中に外縁から中心に至るよう
に設置された流速平均化マスクに研磨砥粒が衝突するこ
とで、研磨砥粒は経路を曲げられて研磨領域外に飛散し
たり、流速が弱められる。さらに、水晶素材を回転さ
せ、回転する水晶素材より流速平均化マスク方向を眺め
ると、流速平均化マスクが回転しているように見え、流
路の中心部付近における流速平均化マスクの周速度は小
さく(中心では周速度が0、つまり動かない)、外縁部
では周速度が大きくなるために、流路の中心部付近では
外縁部よりも多数の研磨砥粒が流速平均化マスクと衝突
することとなるので、数密度が高く流速の大きな流路の
中心部付近の研磨砥粒を選択的に研磨領域から除去した
り流速を弱めることが可能となる。
【0020】流速平均化マスクのこの作用により、研磨
砥粒の数密度及び流速を流路の中心と外縁とで平均化す
ることが可能となる。これにより、水晶素材の研磨領域
が凹レンズ形状に研磨されることが緩和され、振動子面
の平坦度が向上し、振動子面内における水晶素材の厚さ
の差に起因する副振動を抑制し、振動安定性を高めるこ
とが可能となる。尚、水晶素材の回転速度は、研磨砥粒
の流路の中心と外縁とにおける流速平均化マスクの周速
度の差が、研磨砥粒の数密度及び流速分布を平均化し
て、水晶振動子の振動子面の平坦度を向上できるだけの
回転速度であることが望ましい。
【0021】請求項2に記載された発明は、前記流速平
均化マスクが、前記流路の中心を通過し、この流路を横
断するように設置されていることを特徴とする請求項1
記載の水晶振動子及び水晶フィルタの製造装置である。
【0022】請求項2に記載の水晶振動子等の製造装置
によれば、流速平均化マスクが研磨砥粒の流路の中心を
横断して流路の外縁に至るように設けられているので、
前記水晶素材の回転と組み合わせることで、前記したよ
うに研磨砥粒の流速及び数密度を流路の中心と外縁とで
平均化することが可能となり、水晶振動子等の振動子面
の平坦度を向上し、副振動を抑制し、振動安定性を高め
ることが可能となる。
【0023】例えば、流速平均化マスクとして後記のよ
うな線状部材又は板状部材をもちいる場合、これらの流
速平均化マスクを流路の中心を通って流路を横断するよ
うに設置し、水晶素材を回転させるという簡単な構成
で、研磨砥粒の流速及び数密度を流路の中心と外縁とで
平均化することが可能となる。
【0024】ここで、「流路」とは、研磨砥粒の噴射口
から高圧で噴射された研磨砥粒の飛行経路により形作ら
れる噴射口を頂点とする略円錐状の立体のことであり、
「流路を横断する」とは、研磨砥粒の噴射方向に対して
垂直に流路の断面を取ったときに、その断面の中心を通
過して流路の端から端までを横切るとの意味である。
【0025】請求項3に記載された発明は、前記流速平
均化マスクは、線状であることを特徴とする請求項1又
は2に記載の水晶振動子及び水晶フィルタの製造装置で
ある。請求項3に記載の水晶振動子等の製造装置によれ
ば、流速平均化マスクとして断面積の小さな線状部材を
用いているので、研磨砥粒の水晶素材への進行を殆ど妨
げることない。つまり、水晶素材の研磨速度を殆ど低下
させることがない。また、入手が容易な金属製、セラミ
ックス、釣り糸等の線状部材を研磨砥粒の流路の外縁か
ら中心に至るように、例えば、中心を通り流路を横断す
るように設置して、水晶素材を回転させるという簡単な
構成で、研磨砥粒の流速及び数密度を流路の中心と外縁
とで平均化することが可能となり、水晶振動子等の振動
子面の平坦度を向上し、副振動を抑制し、振動安定性を
高めることが可能となる。
【0026】請求項4に記載された発明は、前記流速平
均化マスクは、断面部と平面部とを有する板状であり、
前記断面部が前記研磨砥粒の流路の中心を横切り、前記
平面部が前記研磨砥粒の噴射方向に平行に設置されてい
ることを特徴とする請求項1又は2に記載の水晶振動子
及び水晶フィルタの製造装置である。
【0027】請求項4に記載の水晶振動子等の製造装置
によれば、流速平均化マスクとして板状部材の断面部を
用い、平面部を研磨砥粒の噴射方向と平行に設置してい
るので、研磨砥粒の水晶素材への進行を殆ど妨げること
ない。つまり、水晶素材の研磨速度を殆ど低下させるこ
とがない。また、金属板、樹脂板、セラミックス板等の
板状部材は入手が容易であり、この板状部材の断面部を
研磨砥粒の流路の外縁から中心に至るように設置して、
水晶素材を回転させるという簡単な構成で、研磨砥粒の
流速及び数密度を流路の中心と外縁とで平均化すること
が可能となり、水晶振動子等の振動子面の平坦度を向上
し、副振動を抑制し、振動安定性を高めることが可能と
なる。
【0028】また、流速平均化マスクは、研磨砥粒との
衝突により徐々に摩耗していくが、板状部材を流速平均
化マスクとして用いると、板状部材の平面部が摩耗によ
り全て失われるまで使用することができ、寿命が長いの
で、流速平均化マスクとして線状部材を用いた場合に比
べて流速平均化マスクの交換サイクルを長期化すること
が可能となる。
【0029】請求項5に記載された発明は、前記水晶振
動子及び水晶フィルタの製造装置において、前記水晶素
材の研磨領域のみで研磨が進行するように、前記噴射口
に対向する水晶素材の表面に研磨領域制限マスクを設け
たことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載
の水晶振動子及び水晶フィルタの製造装置である。
【0030】請求項5に記載された水晶振動子等の製造
装置によれば、流速平均化マスクと研磨領域制限マスク
を対にして用いることで、研磨領域制限マスクにより制
限された水晶素材の研磨領域のみで研磨を進行させるこ
とが可能となる。例えば、円形の開口を有する研磨領域
制限マスクを用いれば、中央が凹型に研磨され薄層化
し、周辺部の層厚が大きいメサ型の水晶振動子を簡単に
得ることが可能となる。このようなメサ型の水晶振動子
は、周辺部の層厚が大きいために機械的強度に優れ、取
り扱い性が良好である。
【0031】請求項6に記載された発明は、高圧で噴射
された研磨砥粒により水晶素材の研磨領域を研磨して薄
層化する水晶振動子及び水晶フィルタの製造装置におい
て、前記水晶素材を研磨して薄層化する際に、前記水晶
素材を前記研磨砥粒の噴射方向に対して所定角度傾斜さ
せた面内で回転させることを特徴とする水晶振動子及び
水晶フィルタの製造装置である。
【0032】請求項6に記載された水晶振動子等の製造
装置によれば、研磨砥粒の噴射方向に対して所定角度傾
斜させた面内で水晶素材を回転させながら研磨を行うと
いう簡単な構成で、研磨領域に到達する研磨砥粒の流速
及び数密度を平均化することが可能となり、従来以上に
振動子面の平坦度を向上し、副振動を抑制し、水晶振動
子の振動安定性を高めることが可能となる。
【0033】請求項7に記載された発明は、高圧で噴射
された研磨砥粒により水晶素材の研磨領域を研磨して薄
層化する水晶振動子及び水晶フィルタの製造装置におい
て、前記水晶素材を研磨して薄層化する際に、前記研磨
砥粒の噴射方向を周期的に変更しながら、研磨砥粒を噴
射するとともに、前記研磨砥粒の噴射方向が前記研磨領
域に対して垂直となる面内で前記水晶素材を回転させる
ことを特徴とする水晶振動子及び水晶フィルタの製造装
置である。
【0034】請求項7に記載された水晶振動子等の製造
装置によれば、前記研磨砥粒の噴射方向を周期的に変更
しながら、研磨砥粒を噴射するとともに、水晶素材を回
転させることで、水晶素材の研磨領域に到達する研磨砥
粒の流速及び数密度分布を平均化することが可能とな
り、研磨領域が凹型に研磨されることを抑制し、振動子
面内の水晶素材の厚さの均一性を向上し、副振動を抑制
することで、水晶振動子の振動安定性を高めることが可
能となる。
【0035】請求項8に記載された発明は、研磨砥粒を
高圧で噴射して水晶素材の研磨領域を研磨して薄層化す
る水晶振動子及び水晶フィルタの製造方法において、前
記研磨砥粒の噴射口と前記水晶素材との間の所定の箇所
で、高圧で噴射される前記研磨砥粒の流路中に、この流
路の外縁から中心に至るように流速平均化マスクを設置
し、前記水晶素材を前記研磨砥粒の噴射方向に対して垂
直な面内で回転させながら水晶素材の研磨を行う工程を
有することを特徴とする水晶振動子及び水晶フィルタの
製造方法である。
【0036】請求項8に記載された水晶振動子等の製造
方法によれば、水晶素材の研磨を行う工程において、研
磨砥粒の数密度及び流速を流路の中心と外縁とで平均化
することが可能となる。これにより、水晶振動子の研磨
領域が凹レンズ形状に研磨されることを緩和することが
可能となり、振動子面の平坦度を向上し、振動子面内に
おける水晶素材の厚さの差に起因する副振動を抑制し、
振動安定性を高めることが可能となる。
【0037】請求項9に記載された発明は、前記研磨砥
粒を高圧で噴射するためにブラストガンを用い、水晶素
材として水晶素板を用い、前記ブラストガンの噴射口と
前記水晶素板との距離を10〜20mmとし、前記平均
流速化マスクと前記水晶素板との距離を5mm以上と
し、前記流速平均化マスクとして、前記流路の中心を通
過し、この流路を横断するように設置された直径が0.
20〜0.55mmのステンレス製の針金を用い、粒度
が#4000〜#8000(JISR6001)の研磨
砥粒を用い、前記ブラストガンの研磨砥粒噴射圧力を
3.0〜5.5kg/cm2として、前記水晶素板を1
0rpm以上で回転させながら、前記水晶素板の研磨領
域を研磨して薄層化することを特徴とする請求項8記載
の水晶振動子及び水晶フィルタの製造方法である。
【0038】請求項9に記載された条件で水晶振動子等
の製造を行うことで、水晶素材の研磨を行う工程で研磨
砥粒の数密度及び流速を流路の中心と外縁とで平均化す
ることが可能となり、これにより、水晶振動子の振動子
面の平坦度を向上し、副振動を抑制し振動安定性を高め
ることが可能となる。
【0039】請求項10に記載された発明は、研磨砥粒
を高圧で噴射して水晶素材の研磨領域を研磨して薄層化
する水晶振動子及び水晶フィルタの製造方法において、
前記研磨砥粒の噴射口と前記水晶素材との間の所定の箇
所で、高圧で噴射される前記研磨砥粒の流路中に、この
流路の外縁から中心に至るように流速平均化マスクを設
置し、前記水晶素材の研磨領域のみで研磨が進行するよ
うに、前記噴射口に対向する水晶素材の表面に研磨領域
制限マスクを設け、前記水晶素材を前記研磨砥粒の噴射
方向に対して垂直な面内で回転させながら水晶素材の前
記研磨領域の研磨を行う工程を有することを特徴とする
水晶振動子及び水晶フィルタの製造方法である。
【0040】請求項10に記載された水晶振動子等の製
造方法によれば、流速平均化マスクと研磨領域制限マス
クを対にして用いることで、研磨領域制限マスクにより
制限された水晶素材の研磨領域のみで、平坦性に優れた
研磨を行うことができる。例えば、円形の開口を有する
研磨領域制限マスクを用いれば、研磨領域が円形に研磨
され薄層化し、研磨領域制限マスクにより被覆された研
磨領域を取り囲む円環状の周辺部は層厚が大きいまま残
留するので、機械的強度に優れ、取り扱い性が良好な水
晶振動子等を得ることができる。
【0041】請求項11に記載された発明は、請求項8
〜10のいずれか一項に記載の水晶振動子及び水晶フィ
ルタの製造方法を用いて製造された膜厚5μm以上の水
晶振動子及び水晶フィルタである。請求項11に記載さ
れた水晶振動子等は、請求項8〜10のいずれか一項に
記載された製造方法を用いることで、振動子面の膜厚が
5μmという従来、機械研磨法単独では得ることが難し
かった高周波発振が可能な水晶振動子等を得ることが可
能となる。
【0042】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
により説明するが、本発明は、この実施の形態にのみ限
定されるものではなく、本発明の技術的思想を具現化す
る種々の変更が可能である。
【0043】図1は本発明の水晶振動子等の製造装置の
模式図であり、図2は回転する水晶素板よりBマスク方
向を眺めた場合の模式図であり、図3は、研磨砥粒の流
速及び数密度が平均化される様子を示す模式図であり、
図4は、本発明の水晶振動子等の製造装置に用いられる
流速平均化マスクの他の形態を示す模式図であり、図5
は本発明の水晶振動子等の製造方法を示す工程図であ
り、図6は、水晶振動子の共振周波数を示すグラフであ
り、図7は本発明の水晶振動子等の製造装置の第2の実
施形態を示す模式図であり、図8は本発明の水晶振動子
等の製造装置の第3の実施形態を示す模式図であり、図
9は本発明の水晶振動子等の製造装置の第3の実施形態
に用いられる往復運動手段を示す模式図であり、図10
は往復運動手段に用いられる各種偏心カムの模式図であ
る。
【0044】〔第1の実施形態〕 〔製造装置〕図1(a),(b)に示すように、本発明
の水晶振動子の製造装置は、研磨砥粒を高圧で噴射する
ためのブラストガン1、ブラストガン1と水晶素板2と
の間の所定の位置(噴射口9から距離tの位置)で、噴
射される研磨砥粒の流路8を少なくとも横断するように
設置された金属製の針金であるBマスク3、水晶素板2
の研磨領域を露出するための開口を有する金属製の薄板
であるAマスク4及び水晶素板2を研磨砥粒の噴射方向
に対して垂直に保持するための載物台5とからなる。ワ
ックス等のスペーサ7は、水晶素板2を載物台5に固定
するとともに水晶素板2の所定箇所にAマスク4を固定
する役割を果たす。図1においては、理解の容易さを考
えてBマスク3の直径を実際よりも強調して(太く)描
いている。これは、図2〜5についても同様である。ま
た、特許請求の範囲で言うところのBマスク3は流速平
均化マスクに、Aマスク4は研磨領域制限マスクに、水
晶素板2は水晶素材にそれぞれ相当する。
【0045】ブラストガン1には、枝管より研磨砥粒が
導入されており、この研磨砥粒は高圧の圧縮空気によっ
て噴射口9より噴射される。噴射された研磨砥粒は、流
路8を少なくとも横断するように設けられたBマスク3
により一部が遮られ、載物台5に固定された水晶素板2
に至り、水晶素板2のAマスク4から露出した研磨領域
を研磨する。この際、載物台5に固定された水晶素板2
は、載物台5の回転に合わせて研磨砥粒の噴射方向に対
して垂直な面内で回転している。
【0046】そのため、回転する水晶素板2からBマス
ク3を見た場合、Bマスク3が回転しているように見
え、さらに研磨砥粒の流路8の中心から外縁に向かうほ
どBマスク3の周速度が大きくなるように見える。その
様子を図2に示した。図2は、回転する水晶素板2の中
心からBマスク3方向を見た場合の模式図であり、噴射
口9から飛来する研磨砥粒が形成する流路8のBマスク
3の位置における断面を点線の円として示している。こ
の図においてはBマスク3は時計方向に一定の速度で回
転している。図中の円弧状の矢印は、Bマスク3の周速
度を示しており、流路8の外縁ほどBマスク3の周速度
が大きくなる。
【0047】研磨砥粒の流路8の中心では、Bマスク3
が流路8の中心を通過するように設置されているので、
Bマスク3の周速度は0となる。つまり、流路8の中心
部においてBマスク3は動かない。よって、流路8の中
心を通って水晶素板2に飛来する研磨砥粒はBマスク3
に干渉され流速を弱められたり、研磨領域外に除去され
る。また、流路8の外縁に向かうほどBマスク3の周速
度は大きくなるので、流路8の外縁に向かうほどBマス
ク3の研磨砥粒を遮る能力が減少していく。
【0048】ところで、ブラストガン1より噴射される
研磨砥粒は流路8の外縁から中心に向かうほど研磨砥粒
の流速及び数密度が大きくなるので(図3(a))、B
マスク3を設けるとともに水晶素板2を回転させると、
研磨砥粒の流速及び数密度の高い流路8の中心ほどBマ
スク3により研磨砥粒が遮られ、研磨砥粒の流速及び数
密度の低い流路8の外縁部に向かうほどBマスク3によ
り遮られる研磨砥粒の量が減少するので、結果として、
Bマスク3を設けない場合に比較して、噴射される研磨
砥粒の流速及び数密度分布を平均化し、なだらかな分布
とすることが可能となる。
【0049】Bマスク3を使用することで、研磨砥粒の
流速及び数密度分布が平均化され、なだらかとなる様子
を模式的に図3に示した。図3は、高圧で噴射されてい
る研磨砥粒の流路8の断面を示したものであり、研磨砥
粒の噴射口9から距離tだけ離れた位置において、研磨
砥粒の流速を矢印の長さで、流路8中における研磨砥粒
の数密度を図の単位長さあたりの矢印の本数で表したも
のである。
【0050】Bマスク3を研磨砥粒の流路8中に設けな
い場合(図3(a))、流路8の中心ほど矢印の長さ及
び密度が大きく、研磨砥粒の流速及び数密度分布は流路
8の中心部ほど大きいことを示している。それに対し距
離tにBマスク3を設けた図3(b)においては、Bマ
スク3の研磨砥粒遮蔽効果が流路8の中心部ほど大きい
ので、流路8の中心部ほど研磨砥粒の流速、数密度が減
少して、結局、研磨砥粒の流速及び数密度分布はBマス
ク3を設けない場合(図3(a))に比べて平均化さ
れ、なだらかとなる。
【0051】このように、Bマスク3を設け、水晶素板
2を回転させることで、研磨砥粒の流速及び数密度が平
均化されなだらかとなり、水晶素板2の研磨領域内にお
ける研磨速度が平均化される。これにより、水晶素板2
の研磨領域が凹レンズ形状に研磨されることが緩和さ
れ、振動子面の平坦度が向上し、振動子面領域内におけ
る水晶素板2の厚さの差に起因する副振動を抑制し、水
晶振動子等の振動安定性を高めることが可能となる。
【0052】尚、本発明の水晶振動子等の製造装置及び
製造方法においては、水晶素板2を回転させることによ
り水晶素板2に飛来する研磨砥粒の流速及び数密度を平
均化しているが、水晶素板2を固定してBマスク3のみ
を回転させることでは研磨領域の平坦度を向上させるこ
とは困難であることに留意すべきである。それは、ブラ
ストガン1に固有の研磨砥粒の流速及び数密度分布が存
在するからである。
【0053】つまり、ブラストガン1から噴射される研
磨砥粒の流速及び数密度分布は、流路8の中心から外縁
に向かって完全な同心円状に減少していく訳ではなく、
噴射口9の形状等の因子により同心円とは異なる分布を
元来有している。本発明では、水晶素板2を回転させる
ことで、研磨砥粒が元来有する流速及び数密度分布を平
均化している。
【0054】それゆえ、Bマスク3のみを回転させる
と、確かに、研磨砥粒の流速及び数密度は平均化される
が、ブラストガン1より噴射された研磨砥粒が元来有す
る流速及び数密度分布までは平均化されず、研磨領域に
はこの研磨砥粒が元来有する流速及び数密度分布を反映
した凹凸が形成される。
【0055】仮に、Bマスク3を回転させて研磨領域の
平坦度を向上しようと試みるならば、同時に水晶素板2
を回転することが望ましい。Bマスク3と水晶素板2と
の合成回転速度が、後記のように水晶素板2の研磨速度
に対して所定値以上であれば、研磨領域の平坦度を向上
することが可能となり、高低差(振動子面における水晶
の厚さの差)の小さい水晶振動子等を得ることが可能と
なる。
【0056】本実施の形態においては、Bマスク3とし
て金属製の針金を用いているが、図4に示すように板状
部材をBマスク3として用いることも可能である。板状
部材をBマスク3として用いる際には、断面部3aが研
磨砥粒の流路8を少なくとも横断し、平面部3bが研磨
砥粒の噴射方向と平行に、つまり研磨砥粒の流路8の中
心軸と平行となるように設置することが望ましい。
【0057】Bマスク3は、絶えず研磨砥粒との衝突に
曝されるため、使用している内に摩滅して失われてしま
う。特にBマスク3として線状部材を用いた場合にそれ
が顕著であった。Bマスク3として板状部材を用いるこ
とで、Bマスク3の交換サイクルを長くすることが可能
となり、連続して多数の水晶素板2の加工を行うことが
できるために、より効率的に水晶振動子等の加工を行う
ことが可能となる。
【0058】また、Bマスク3は、前記のように、研磨
砥粒の衝突により摩滅するものであるので、耐磨耗性を
有する材料からなることが望ましい。例えば、金属を用
いるならばステンレス、チタン等が望ましい。また、金
属以外にも硬質樹脂、セラミックス、釣り糸等を用いる
ことが可能である。
【0059】Bマスク3の研磨砥粒の噴射口9と水晶素
板2との間における設置位置(図1のt)は、研磨砥粒
の噴射圧力、研磨砥粒の噴射口9と水晶素板2との距
離、Bマスク3の形状、水晶素板2の回転速度等、種々
のファクターにより好適な範囲が変化するために一概に
言うことは難しく、研磨後の水晶振動子等の振動子面内
における高低差(振動子面における水晶の厚さの差)が
小さくなり、副振動が抑制され高い振動安定性を示すよ
うにBマスク3の設置位置を決定することが望ましい。
【0060】ただ、Bマスク3を研磨砥粒の噴射口9側
に近づけ過ぎると(tを小さくすると)、Bマスク3が
過度に流路8の中心部の研磨砥粒を遮り、水晶素板2の
研磨領域の中心部における研磨が進行せずに、研磨領域
の中心部が凸レンズ型に盛り上がってしまい、振動子面
内における高低差が大きくなってしまうために望ましく
ない。また、Bマスク3を水晶素板2に近づけ過ぎても
(tを大きくすると)、同様にBマスク3直下に研磨砥
粒が到達せず研磨が進行しないので、水晶素板2の研磨
領域が凸レンズ型となり、振動子面内における高低差が
大きくなってしまうために望ましくない。
【0061】例えば、水晶素板2と研磨砥粒の噴射口9
との距離を15mmとして、直径0.35mmのステン
レス製針金をBマスク3として用い、水晶素板2を12
rpmで回転させ、研磨砥粒を5kg/cm2の圧力で
噴射する場合には、Bマスク3と噴射口9との距離t
(図1)を8±2mmの範囲内に設置することが望まし
い。
【0062】また、Bマスク3として線状部材を用いた
場合の線状部材の直径及びBマスク3として板状部材を
用いた場合の板状部材の厚さは、研磨砥粒の噴射圧力、
研磨砥粒の噴射口9と水晶素板2との距離、水晶素板2
の回転速度等、種々のファクターにより好適な範囲が変
化するために一概に言うことは難しく、研磨後の水晶振
動子の振動子面内における高低差(振動子面における水
晶の厚さの差)が小さくなり、副振動が抑制され高い振
動安定性を示すようにBマスク3の直径及び厚さを決定
することが望ましい。
【0063】ただ、Bマスク3の直径又は厚さを大きく
し過ぎると、研磨砥粒の遮蔽能力が大きくなり過ぎ、水
晶素板2の研磨速度が減少するとともに、研磨砥粒の流
路8の中心部付近において研磨砥粒が過度に遮蔽されて
しまい、研磨領域の中心部が凸レンズ型に盛り上がって
しまい、振動子面内における高低差が大きくなってしま
うために望ましくない。
【0064】また、Bマスク3として線状部材を用いた
場合に直径が余りにも小さすぎると、研磨砥粒との衝突
によりBマスク3が水晶素板2の研磨が終了しないうち
に、摩滅により失われてしまうので望ましくない。ま
た、Bマスク3として板状部材を用いた場合にも厚さが
余りにも薄いと、研磨砥粒の流路8の中心部付近におけ
る研磨砥粒の遮蔽能力が不足し、水晶素板2の研磨領域
が凹レンズ型となってしまい、振動子面内における高低
差が大きくなってしまうために望ましくない。
【0065】例えば、水晶素板2と研磨砥粒の噴射口9
との距離を15mmとして、Bマスク3としてステンレ
ス製の針金を用い、Bマスク3を噴射口9から10mm
に設置し、水晶素板2を12rpmで回転させ、研磨砥
粒を5kg/cm2の圧力で噴射する場合には、Bマス
ク3の直径を0.30〜0.35mmとすることが望ま
しい。
【0066】また、本発明の水晶振動子等の製造装置を
用いて良好な性質を有する水晶振動子等を得るために
は、水晶素板2を回転させることが重要であり、その回
転速度は水晶素板2の研磨速度との関係において決定さ
れるべきものであるが、研磨後の水晶振動子等の振動子
面内における高低差(振動子面における水晶の厚さの
差)が小さくなり、副振動が抑制され高い振動安定性を
示すようにBマスク3の回転速度を決定することが望ま
しい。
【0067】水晶素板2の研磨速度に対して回転速度が
小さすぎる場合、水晶素板2に飛来する研磨砥粒の流速
及び数密度が十分に平均化されないために、得られる水
晶振動子の振動子面の平坦度が悪くなり、振動子面内に
おける高低差が大きくなってしまうために望ましくな
い。水晶素板2の研磨速度に対してある一定以上の回転
速度で水晶素板2が回転している限りは、水晶素板2に
飛来する研磨砥粒の流速及び数密度は十分に平均化さ
れ、振動子面の平坦度の良い水晶振動子等が得られる。
【0068】例えば、水晶素板2と研磨砥粒の噴射口9
との距離を15mmとして、Bマスク3としてステンレ
ス製の直径0.35mmの針金を用い、Bマスク3を噴
射口9から10mmの位置に設置して研磨砥粒を5kg
/cm2の圧力で噴射する場合には、水晶素板2の研磨
速度は10μm/min程度となるが、この場合には、
水晶素板2を10rpm以上の速度で回転させることが
望ましい。
【0069】〔製造方法〕続いて、本発明の水晶振動子
の製造方法を図5の工程図を基にして説明する。先ず、
研磨砥粒の噴射方向に対し垂直な固定面を有する載物台
5上に直径約5mm、厚さ約70μmの円盤状の水晶素
板2を固定する(図5(a))。水晶素板2の載物台5
上への固定には、接着剤又はブランク径をハーフエッチ
ングした金属板等が用いられる。
【0070】この際、図1(a)に示すように、水晶素
板2の研磨領域の中心、載物台5の回転中心、及び研磨
砥粒の噴射口9の中心とが研磨砥粒の流路8の中心軸上
に存在し、後記のBマスク3が、水晶素板2と研磨砥粒
の噴射口9との間の所定箇所で、この中心軸を横切るよ
うに存在することが重要である。このような配置は、研
磨領域及び振動子面の平坦度を向上し、副振動が少なく
高い振動安定性を有する水晶振動子等を得るためには欠
かすことのできない条件である。
【0071】仮に、Bマスク3又は研磨砥粒の噴射口9
が研磨砥粒の流路8の中心軸から外れて配置されていた
とするならば、流速及び数密度が大きな研磨砥粒がBマ
スク3により遮蔽されずに水晶素板2の研磨領域に到達
してしまい、研磨領域における平坦度が悪化する。
【0072】また、載物台5の回転中心又は水晶素板2
の研磨領域の中心が研磨砥粒の流路8の中心軸から外れ
て配置されていたとするならば、水晶素板2の研磨領域
に対して斜めに入射する研磨砥粒が多くなるために、A
マスク4の開口部の端部において斜め研磨が発生してし
まう。
【0073】次に、載物台5上に固定された水晶素板2
をAマスク4により被覆する(図5(b))。このAマ
スク4は、ブラストガン1から噴射される高圧の研磨砥
粒を通過させるために、中央部に開口を有する金属板
(ステンレス等)である。Aマスク4は、研磨領域外の
水晶素板2を保護するために設けられるものであるの
で、研磨中に摩滅しないだけの厚さを有することが望ま
しい。
【0074】尚、本実施の形態においては、直径3mm
の円形の開口を有する厚さ200μmのAマスク4を用
いている。この厚さでは、後記の研磨条件においてAマ
スク4が摩滅しないことが確認されている。Aマスク4
は、載物台5及び水晶素板2に、ワックス等のスペーサ
7により固着される。
【0075】次に、載物台5の回転中心及びブラストガ
ン1の噴射口9の中心を結ぶ直線(研磨砥粒の流路8の
中心軸)を通過し、研磨砥粒の流路8を少なくとも横断
するように金属製の針金であるBマスク3を設置する
(図5(c)、図1(a))。尚、本実施の形態におい
てはBマスク3としてステンレス製の直径0.35mm
の針金を用いている。
【0076】また、本実施の形態においては、Bマスク
3として針金を1本だけ、研磨砥粒の流路8中に配置し
ているが、Bマスク3の設置本数は1本に限らず、例え
ば、複数本のBマスク3を流路8の中心軸で交差するよ
うに配置する等の変更が可能である。無論、Bマスク3
として板状部材を用いる場合も同様であり、必要に応じ
て複数枚のBマスク3を配置することが可能である。
【0077】このようにBマスク3を複数とすること
で、飛来する研磨砥粒の流速及び数密度を平均化してな
だらかとする効果が増すので、水晶素板2の研磨領域に
おける平坦度を上げることが可能となる。しかし、Bマ
スク3を複数とすると、研磨砥粒の減速効果が高まり、
研磨速度が減少するので、研磨領域における平坦度向上
効果と研磨速度を勘案してBマスク3の設置個数を決定
することが望ましい。
【0078】続いて、水晶素板2を研磨砥粒の噴射方向
に対して垂直な面内で所定速度で回転させながら、ブラ
ストガン1に所定圧力の圧縮空気と研磨砥粒とを供給す
ることで噴射口9より研磨砥粒を噴射して、水晶素板2
を研磨する(図5(c))。
【0079】尚、本実施の形態では、水晶素板2と研磨
砥粒の噴射口9との距離を15mmとしてBマスク3を
噴射口9から10mmの位置に設置し、水晶素板2を1
2rpmで回転させ、粒度#4000(JISR600
1)の研磨砥粒を用い、研磨砥粒を5kg/cm2の圧
力で噴射した。
【0080】また、用いる研磨砥粒の粒度は、JISR
6001による#4000〜#8000であることが望
ましい。研磨砥粒の番手が#4000よりも大きけれ
ば、研磨砥粒の粒径が大きすぎることはなく、研磨速度
が大きくなり過ぎたり、研磨領域の表面粗さが大きくな
りすぎることはない。また、研磨砥粒の番手が#800
0よりも小さければ、研磨砥粒が小さすぎることはな
く、実用上許容できる研磨速度で研磨を行うことが可能
であり、また、研磨領域における表面粗さが小さい良好
な水晶振動子を得ることが可能である。
【0081】また、研磨砥粒の材質は、公知の種々の材
料を用いることができる。ただ、後記の仕上げ研磨を行
う場合には、研磨砥粒として酸化セリウムを用いること
が望ましい。研磨砥粒の噴射圧力は、用いる砥粒の粒度
等と関係しており、好適な範囲を一概に言うことは難し
いが、粒度がJISR6001による#4000〜#8
000の研磨砥粒を用いた場合、噴射圧力を3.0〜
5.5kg/cm2とすることが望ましい。噴射圧力が
3.0kg/cm2以上であれば、水晶素板2の研磨速
度は実用上許容できる程度の速さである。また、噴射圧
力が5.5kg/cm2以下であれば、水晶素板2の研
磨速度が速すぎることはなく、研磨領域の研磨量を研磨
時間により微調整することが可能である。
【0082】尚、研磨砥粒の供給方式には、研磨砥粒を
粉体のまま供給する乾式と、研磨砥粒を水等の溶媒に分
散させて供給する湿式とが存在するが、本発明の水晶振
動子等の製造方法においてはどちらの方式を採用するこ
とも可能である。
【0083】本実施の形態においては、研磨砥粒を水に
分散させる湿式を用いている。湿式研磨においては粉塵
の発生が抑制されるので、粉塵を吸引する装置等が不要
となり、研磨装置全体を小型化、単純化することが可能
となるからである。又、湿式研磨においては、研磨砥粒
を水溶液の比重で厳密に管理することができるので、研
磨速度等の変動が少なく、研磨の再現性がよいというメ
リットがある。
【0084】また、本実施の形態においては、単一の粒
度(#4000)の研磨砥粒により、研磨を実行した
が、粒径の大きな研磨砥粒により粗研磨を実施し、研磨
領域が目的の厚さとなったところで、研磨表面を整える
ために粒径の小さい研磨砥粒で仕上げ研磨を行うという
2段階研磨も考えられる。このように2段階研磨を行う
ことで、研磨領域の平坦度を単一粒径の研磨砥粒単独で
研磨した場合と同等かそれ以上とすることが可能とな
る。
【0085】続いて、予め評価しておいた水晶素板2の
研磨速度より、水晶素板2が所定厚さにまで薄層化され
たならば研磨を終了し、片面がメサ型に研磨された水晶
素板2を取り出す(図5(d))。尚、前記した研磨条
件における水晶素板2の研磨速度は約10μm/min
であり、約6分間の研磨を行い、水晶素板2の振動子面
の厚さが約10μmとなったところで研磨を終了した。
【0086】尚、本実施の形態では、振動子面の厚さが
約10μmとなった時点で研磨を終了したが、本発明者
らの評価によると、本発明の水晶振動子等の製造方法を
用いることで、振動子面の厚さが5μm程度となるまで
研磨可能であることが明らかとなっている。
【0087】このようにして研磨が終了した水晶素板2
から研磨により発生したクラック層及び機械的歪を除去
するために、公知のフッ酸又はフッ化アンモニウム溶液
に水晶素板2を所定時間浸漬して表面のエッチングを行
う(図示せず)。尚、本実施の形態においては、取り出
した水晶素板2を60℃のフッ化アンモニウム水溶液中
に0.5〜1min浸漬して表面のエッチングを行っ
た。
【0088】その後、水晶素板2の振動子面を挟持する
ように公知の方法で電極を形成し、円環状の周辺部の層
厚が70μmであり、研磨領域の中心部の振動子面にお
ける層厚が約10μmであるメサ型の水晶振動子を得た
(図示せず)。尚、本実施の形態においては、直径3m
mの研磨領域の中心部の振動子面に直径が1.0mmの
電極を成膜し、振動子面を挟持するようにした。このよ
うに、本発明の水晶振動子等の製造方法によれば、Aマ
スク4とBマスク3とを対にして用いているので水晶振
動子等の円環状の周辺部の層厚を70μmと厚くするこ
と可能となり、取り扱い性に優れた水晶振動子等を得る
ことが可能となった。
【0089】〔水晶振動子〕このようにして得られた水
晶振動子の振動子面における正確な厚さを評価するため
に、ネットワークアナライザ(株式会社アジレントテク
ノロジー社製 E5100A)を用いて水晶振動子を振
動させて共振周波数の測定を行った。その結果を図6
(a)に示す。位相の測定結果より約139.7MHz
において直列共振が発生していることが明らかとなった
(図6(a))。この共振周波数を用いて(1)式によ
り振動子面の厚さを求めると、振動子面の厚さは約12
μmであった。また、このようにして得られた水晶振動
子においては、主振動を妨害するような副振動は検出さ
れず、振動子面内における高低差(振動子面における水
晶の厚さの差)が小さいことが推測された。
【0090】 周波数(MHz)=1.67/振動子面の厚さ(μm)・・・(1)
【0091】また、このようにして得られた水晶振動子
の振動子面における平坦度を評価するために、振動子面
に電極を形成する前に、触針式表面粗さ計(株式会社小
坂製作所 SEF−100A)による測定を行った。そ
の結果を図6(b)に示す。図6(b)によれば、振動
子面における高低差は0.8μm以下であり、非常に良
好な平坦度を示した。
【0092】Bマスク3を用いない以外は同様の条件で
研磨を行って作成した水晶振動子についても同様に、振
動子面における高低差を触針式表面粗さ計で評価した。
その結果を図13に示す。その結果、振動子面内は凹型
に研磨されており、振動子面内における高低差は14μ
mであり、この水晶振動子では、共振は観測されなかっ
た。
【0093】このことより、本発明の水晶振動子等の製
造方法によれば、線状のBマスク3を研磨砥粒の噴射口
9と前記水晶素板2との間の所定の箇所に研磨砥粒の流
路8を横断して設置し、研磨中に水晶素板2を所定速度
で回転するという簡単な構成により、従来以上に振動子
面の平坦度を向上させ、振動子面内における水晶素板2
の厚さの差に起因する副振動を抑制することが可能とな
り、水晶振動子の振動安定性を高めることが可能となる
ことが明らかとなった。
【0094】また、本発明の水晶振動子等の製造方法に
よれば、従来、機械研磨法単独では、得ることが難しか
った厚さが約5μm程度の水晶振動子を得ることが可能
となった。
【0095】〔第2の実施形態〕次に、本発明の水晶振
動子及び水晶フィルタの製造装置の第2の実施形態を図
7により説明する。第2の実施形態は、請求項6記載の
発明に対応するものであり、水晶素板2の研磨を行う際
に、Bマスク3を用いず、研磨砥粒の噴射方向に対して
所定角度を成す平面内で水晶素板2を回転させるもので
ある。
【0096】図7においては、研磨砥粒の噴射方向(研
磨砥粒の流路8の中心軸(図中、二点鎖線))は、載物
台5の回転中心軸(図中、一点鎖線)に対して角度θだ
け傾いている。さらに、研磨砥粒の流路8の中心軸(図
中2点鎖線)が研磨領域外を通過するようにブラストガ
ン1が設置されている。これは、研磨砥粒の流路8の中
心における流速及び数密度が最も大きな研磨砥粒により
研磨領域が過度に研磨されることを防止するためであ
る。
【0097】本発明者らの評価によると角度θは、0.
5〜30°であることが好ましく、角度θが15〜25
°であればより一層好ましいようである。角度θが大き
すぎると、研磨領域に衝突する研磨砥粒の数が少なくな
るために研磨速度が減少するために望ましくない。逆
に、角度θが小さすぎると、ブラストガン1から噴射さ
れる研磨砥粒の流速及び数密度分布が研磨に反映される
程度が大きくなるため、研磨領域が凹レンズ型に研磨さ
れてしまい、研磨領域における平坦度が悪化するので望
ましくない。尚、本実施の形態において、噴射口9と水
晶素板2との距離、用いる研磨砥粒の粒度、研磨砥粒噴
射圧力、水晶素板2の回転速度等は、第1の実施形態と
同様の範囲であることが望ましい。
【0098】前記角度θを1.0°とし、Bマスク3を
用いない以外は第1の実施形態の「製造方法」の項で記
載した条件で、水晶振動子を作成した。その結果、振動
子面の平均厚さが15μm、振動子面内における高低差
は1μm、の比較的良好な平坦性を有する水晶振動子を
得ることができた。
【0099】〔第3の実施形態〕次に、本発明の水晶振
動子及び水晶フィルタの製造装置の第3の実施形態を図
8〜10により説明する。第3の実施形態は、請求項7
記載の発明に対応するものであり、水晶素板2の研磨を
行う際に、Bマスク3を用いずに、研磨砥粒の噴射方向
を周期的に変更しながら研磨を行うものである。
【0100】図8は、第3の実施形態で用いる水晶振動
子等の製造装置の側面図(図8(a))及び平面図(図
8(b))を示したものである。ブラストガン1後端部
には、ブラストガン1に圧縮空気を導入するための金属
製のパイプであるエアー管1aが接続されており、この
エアー管1aの後端部には、コンプレッサー等よりエア
ー管1aまで圧縮空気を導入するための可撓性を有する
エアーホース1bが接続されている。回動軸21が、エ
アー管1aの後部付近において、エアー管1a内部を横
断して設けられており、エアー管1a(ブラストガン
1)は、この回動軸21を中心にして、後記する往復運
動手段により上下方向に角度αの範囲で回動自在である
(図8(a))。このように、水晶素板2の研磨中に、
エアー管1a(ブラストガン1)を周期的に角度αの範
囲内で往復運動させることで、噴射口9から噴射される
研磨砥粒の噴射方向を周期的に変化させることが可能と
なり、研磨砥粒の流速及び数密度分布を平均化して、良
好な平坦度を有する水晶振動子等を得ることができる。
【0101】尚、回動軸21をエアー管1aに横断させ
るに当たっては、回動軸21をエアー管1aに挿通した
部分からの圧縮空気の漏れを防ぐために、回動軸21よ
りも僅かに大きな径を有する金属製のパイプである挿通
孔22をエアー管1aを横断するように溶接等により設
け、この挿通孔22に回動軸21を挿入している。この
回動軸21の両端部は、エアー管1aを挟むように設け
られた板状部材である支持板20b,20bにより固定
されている。また、ブラストガン1の噴射口9の左右方
向へのブレを防ぐために、ブラストガン1の後端部付近
には、ブラストガン1を挟むようにガイド20a,20
aが設けられている。また、ブラストガン1の底部とフ
ロア25との間には、ブラストガン1を上方に付勢する
スプリング24が設けられている。さらに、筒状のブラ
ストガン1の上部付近には、ブラストガン1を所定角度
αの範囲内で上下動させるための案内板23が設けられ
ている。
【0102】図9は、前記したブラストガン1を周期的
に角度αの範囲内で上下動させるための往復運動手段の
1例を示したものである。尚、図9は、往復運動手段を
ブラストガン1の噴射口9側から見た時の模式図であ
り、理解を容易にするために、載物台5等の部材は図示
を省略している。
【0103】往復運動手段は、ブラストガン1を上下動
させるための前記案内板23、ブラストガン1を上方に
付勢する前記スプリング24、案内板23を上下動させ
るための偏心カム26及び、偏心カム26とブラストガ
ン1との間に設けられ、案内板23を支持するととも
に、案内板23にシーソー運動を可能にする支点27と
からなる。
【0104】次に往復運動手段の動作について説明す
る。偏心カム26は、回転軸を中心と異なる位置に有す
る円筒又は円盤であり、案内板23は偏心カム26の上
部の側面に接触するように設置されている。この状態
で、偏心カム26を回転させると、案内板23の一端は
偏心カム26の回転に合わせて上下動を繰り返す。とこ
ろで、案内板23は偏心カム26とブラストガン1との
間に設けられた支点27により回動自在に固定されてい
るので、案内板23の偏心カム26側端部で発生した上
下動は、シーソー運動に変えられてブラストガン1側の
端部に伝えられブラストガン1を上下動させる。
【0105】偏心カム26が最低部に到達した時(図9
A)、案内板23の偏心カム26側の端部は最低位置
となり、ブラストガン1側の端部は最高位置となる。こ
の状態においては、ブラストガン1の底部とフロア25
との間に設けられたスプリング24の弾発力によりブラ
ストガン1は最も高い位置に移動する。逆に、偏心カム
26が最高部に到達した時(図9 B)、案内板23の
偏心カム26側の端部は最高位置となり、ブラストガン
1側の端部は最低位置となる。この状態においては、案
内板23が、スプリング24の弾発力に抗してブラスト
ガン1を最も低い位置に移動させる。
【0106】このようにして、偏心カム26を所定速度
で回転させることによりブラストガン1は、図9に示し
たAとBとの間で上下動を繰り返す。ところで、ブラス
トガン1は回動軸21(図8)を中心として回動可能と
されているので、結果としてブラストガン1を回動軸2
1(図8)を中心として上下方向に角度αの範囲内で周
期的に動かすことが可能となる。これにより、噴射口9
から噴射される研磨砥粒の噴射方向を周期的に変化させ
ることができる。よって、水晶素板2の研磨領域に到達
する研磨砥粒の流速及び数密度分布を平均化することが
可能となり、振動子面の平坦性を向上し、振動安定性に
優れた水晶振動子等を得ることが可能となる。
【0107】尚、本実施の形態では、案内板23を上下
動させるために回転軸が中心よりずれた円盤又は円柱状
である偏心カム26を用いたが、例えば、図10(a)
に示したように、中心と回転軸とが一致している円盤で
あり、この円盤の外周部付近に案内板23を上下させる
ための突起を有するものや、図10(b)に示すように
楕円形のカム等を用いることが可能である。また、本実
施の形態では、偏心カム26の上下運動を案内板23に
よりブラストガン1に伝達するように構成しているが、
例えば、偏心カム26をブラストガン1の底部にスプリ
ング24と並んで設ける構成とすることも可能である。
【0108】角度αの好適な範囲は、水晶素板1におけ
る研磨砥粒の流路8の広がりを勘案して決定することが
望ましい。すなわち、研磨砥粒が最も上方に向かって噴
射されている時に、研磨砥粒の流路8の下端が研磨領域
を含むように、かつ、研磨砥粒が最も下方に向かって噴
射されている時に、研磨砥粒の流路8の上端が研磨領域
を含むように、角度αを決定することが望ましい。研磨
砥粒の噴射方向の変動角度αが大きすぎると、研磨砥粒
の流速及び数密度を平均化することは可能であるもの
の、研磨砥粒の流路8が研磨領域から外れる時間が長く
なるために研磨速度が低下するので望ましくない。ま
た、角度αが小さすぎる場合、研磨砥粒の流速及び数密
度が十分に平均化されないので望ましくない。
【0109】また、ブラストガン1の上下運動の振動数
は、研磨砥粒の流速及び数密度を平均化し、研磨後の水
晶振動子の振動子面内における高低差(振動子面におけ
る水晶の厚さの差)が小さくなり、水晶振動子の副振動
が抑制され高い振動安定性を示すよう決定することが望
ましい。本発明者らの評価によれば、水晶素板2と研磨
砥粒の噴射口9との距離を15mmとして、研磨砥粒を
5kg/cm2の圧力で噴射し、角度αを1.0°とし
た場合には、ブラストガン1を6〜10往復/min程
度とすることが望ましい。
【0110】このようにして、噴射口9から噴射される
研磨砥粒の水晶素板2に対する噴射方向を周期的に変化
させるとともに、水晶素板2を所定速度で回転させなが
ら研磨を行うことで、研磨領域に至る研磨砥粒の流速及
び数密度分布を平均化することが可能となり、研磨領域
の平坦性に優れた水晶振動子等を得ることが可能とな
る。
【0111】尚、本実施の形態において、噴射口9と水
晶素板2との距離、用いる研磨砥粒の粒度、砥粒噴射圧
力、水晶素板2の回転速度等は、第1の実施形態と同様
の範囲であることが望ましい。
【0112】前記角度αを1.0°とし、ブラストガン
1の上下方向の往復運動速度を1秒間に6往復とし、B
マスク3を用いない以外は第1の実施形態の「製造方
法」の項で記載した条件で、水晶振動子を作成した。そ
の結果、振動子面の平均厚さが15μm、振動子面内に
おける高低差が1μm、の比較的良好な平坦性を有する
水晶振動子を得ることができた。
【0113】尚、前記した全ての実施の形態では、水晶
振動子の製造ついて記述しているが、勿論、本発明は水
晶フィルタの製造にも好適に適用することができる。
【0114】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、ブラス
トガンの噴射口と前記水晶素材との間の所定の箇所に流
速平均化マスクを設置し、水晶素材を回転させながら高
圧で噴射される研磨砥粒により水晶素材の研磨を行うの
で、研磨砥粒の流速及び数密度が研磨砥粒の流路の中心
部と外縁とで平均化され、なだらかな分布となる。この
構成により、振動子面の平坦度を向上することが可能と
なり、振動子面内における水晶素材の厚さの差に起因す
る副振動を抑制し水晶振動子等の振動安定性を高めるこ
とが可能となる。
【0115】請求項2に記載の発明によれば、平均流速
化マスクを研磨砥粒の流路を横断するように設置してい
るので、研磨砥粒の流速及び数密度を研磨砥粒の流路の
中心部と外縁とで平均化してなだらかとすることが可能
となり、水晶振動子等の振動子面の平坦度を向上し、振
動子面内における水晶素材の厚さの差に起因する副振動
を抑制し水晶振動子等の振動安定性を高めることが可能
となる。
【0116】請求項3及び4に記載された発明によれ
ば、前記流速平均化マスクとして入手が容易であると共
に、複雑な加工が不必要な、線状部材又は板状部材を用
い、研磨中に水晶素材を回転するという構成で、研磨砥
粒の流速及び数密度を研磨砥粒の流路の中心部と外縁と
で平均化してなだらかとすることが可能となり、水晶振
動子等の振動子面の平坦度を向上し、振動子面内におけ
る水晶素材の厚さの差に起因する副振動を抑制し水晶振
動子等の振動安定性を高めることが可能となる。
【0117】請求項5に記載の発明によれば、流速平均
化マスクと研磨領域制限マスクを対にして用いること
で、研磨領域制限マスクにより制限された水晶素材の研
磨領域のみで平坦性良く研磨を進行させることが可能と
なる。それゆえ、研磨領域制限マスクで保護された円環
状周辺部は層厚を大きく保つことができるので、水晶振
動子等の機械的強度を維持することができ、取り扱い性
に優れたメサ型の水晶振動子等を得ることが可能とな
る。
【0118】請求項6に記載の発明によれば、水晶素材
を研磨砥粒の噴射方向に対して斜めに傾いた面内で回転
させながら研磨を行うことで、研磨領域に到達する研磨
砥粒の流速及び数密度を平均化することが可能となり、
従来以上に振動子面の平坦度を向上し、副振動を抑制
し、水晶振動子等の振動安定性を高めることが可能とな
る。
【0119】請求項7に記載の発明によれば、前記研磨
砥粒の噴射方向を周期的に変更しながら、研磨砥粒を噴
射することで、水晶素材の研磨領域に到達する研磨砥粒
の流速及び数密度分布を平均化することが可能となり、
研磨領域が凹型に研磨されることを抑制し、振動子面内
の水晶素材の厚さの均一性を向上し、副振動を抑制する
ことで、水晶振動子等の振動安定性を高めることが可能
となる。
【0120】請求項8及び9に記載の発明によれば、流
速平均化マスクを設置し、研磨砥粒の流路に配置し、水
晶素材を前記研磨砥粒の噴射方向に対して垂直な面内で
回転させながら水晶素材の研磨を行うことで、研磨砥粒
の流速及び数密度を研磨砥粒の流路の中心部と外縁とで
平均化してなだらかとすることが可能となり、水晶振動
子等の振動子面の平坦度を向上し、振動子面内における
水晶素材の厚さの差に起因する副振動を抑制し水晶振動
子等の振動安定性を高めることが可能となる。
【0121】請求項10に記載の発明によれば、流速平
均化マスクと研磨領域制限マスクを対にして用いること
で、研磨領域制限マスクにより制限された水晶素材の研
磨領域のみで良好な平坦性で研磨を進行させることが可
能となる。これにより、研磨領域制限マスクで保護され
た円環状周辺部の層厚を大きく保つことができるので、
水晶振動子等の機械的強度を維持することができ、取り
扱い性に優れたメサ型の水晶振動子等を得ることが可能
となる。
【0122】請求項11に記載の発明によれば、請求項
8〜10のいずれか1項に記載の水晶振動子等の製造方
法を用いることで、従来機械研磨法単独では製造するこ
とが難しかった膜厚が5μm以上の水晶振動子等を得る
ことができる。これにより、水晶振動子等の振動安定性
を保ちながら共振周波数を従来以上に高めることが可能
となり、各種電子機器を高速化することが可能となっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の水晶振動子等の製造装置の模式図で
ある。
【図2】 回転する水晶素板よりBマスク方向を眺めた
場合の模式図である。
【図3】 研磨砥粒の流速及び数密度が平均化される様
子を示す模式図である。
【図4】 本発明の水晶振動子等の製造装置に用いられ
る他の形態の流速平均化マスクの模式図である。
【図5】 本発明の水晶振動子等の製造方法を示す工程
図である。
【図6】 水晶振動子の振動子面の表面粗さ及び共振周
波数を示すグラフである。
【図7】 本発明の水晶振動子等の製造装置の第2の実
施形態を示す模式図である。
【図8】 本発明の水晶振動子等の製造装置の第3の実
施形態を示す模式図である。
【図9】 本発明の第3の実施形態に用いる往復運動手
段を示す模式図である。
【図10】 案内板を上下運動する際に用いる各種偏心
カムの模式図である。
【図11】 従来技術を示す模式図である。
【図12】 従来技術を示す模式図である。
【図13】 従来法により作成された水晶振動子の振動
子面の表面粗さを示すグラフである。
【符号の説明】
1 ブラストガン 1a エアー管 1b エアーホース 2 水晶素板 3 Bマスク 4 Aマスク 5 載物台 7 スペーサ 8 流路 9 噴射口 20a ガイド 20b 支持板 21 回動軸 22 挿通孔 23 案内板 24 スプリング 25 フロア 26 偏心カム 27 支点

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧で噴射された研磨砥粒により水晶素
    材の研磨領域を研磨して薄層化する水晶振動子及び水晶
    フィルタの製造装置において、 前記研磨砥粒の噴射口と前記水晶素材との間の所定の箇
    所で、高圧で噴射される前記研磨砥粒の流路中に、この
    流路の外縁から中心に至るように設置された流速平均化
    マスクを有し、 前記水晶素材を研磨して薄層化する際に、前記水晶素材
    を前記研磨砥粒の噴射方向に対して垂直な面内で回転さ
    せることを特徴とする水晶振動子及び水晶フィルタの製
    造装置。
  2. 【請求項2】 前記流速平均化マスクが、前記流路の中
    心を通過し、この流路を横断するように設置されている
    ことを特徴とする請求項1記載の水晶振動子及び水晶フ
    ィルタの製造装置。
  3. 【請求項3】 前記流速平均化マスクは、線状であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2に記載の水晶振動子及び
    水晶フィルタの製造装置。
  4. 【請求項4】 前記流速平均化マスクは、断面部と平面
    部とを有する板状であり、前記断面部が前記研磨砥粒の
    流路の中心を横切り、前記平面部が前記研磨砥粒の噴射
    方向に平行に設置されていることを特徴とする請求項1
    又は2に記載の水晶振動子及び水晶フィルタの製造装
    置。
  5. 【請求項5】 前記水晶振動子及び水晶フィルタの製造
    装置において、前記水晶素材の研磨領域のみで研磨が進
    行するように、前記噴射口に対向する水晶素材の表面に
    研磨領域制限マスクを設けたことを特徴とする請求項1
    〜4のいずれか一項に記載の水晶振動子及び水晶フィル
    タの製造装置。
  6. 【請求項6】 高圧で噴射された研磨砥粒により水晶素
    材の研磨領域を研磨して薄層化する水晶振動子及び水晶
    フィルタの製造装置において、 前記水晶素材を研磨して薄層化する際に、前記水晶素材
    を前記研磨砥粒の噴射方向に対して所定角度傾斜させた
    面内で回転させることを特徴とする水晶振動子及び水晶
    フィルタの製造装置。
  7. 【請求項7】 高圧で噴射された研磨砥粒により水晶素
    材の研磨領域を研磨して薄層化する水晶振動子及び水晶
    フィルタの製造装置において、 前記水晶素材を研磨して薄層化する際に、前記研磨砥粒
    の噴射方向を周期的に変更しながら、研磨砥粒を噴射す
    るとともに、前記研磨砥粒の噴射方向が前記研磨領域に
    対して垂直となる面内で前記水晶素材を回転させること
    を特徴とする水晶振動子及び水晶フィルタの製造装置。
  8. 【請求項8】 研磨砥粒を高圧で噴射して水晶素材の研
    磨領域を研磨して薄層化する水晶振動子及び水晶フィル
    タの製造方法において、 前記研磨砥粒の噴射口と前記水晶素材との間の所定の箇
    所で、高圧で噴射される前記研磨砥粒の流路中に、この
    流路の外縁から中心に至るように流速平均化マスクを設
    置し、 前記水晶素材を前記研磨砥粒の噴射方向に対して垂直な
    面内で回転させながら水晶素材の研磨を行う工程を有す
    ることを特徴とする水晶振動子及び水晶フィルタの製造
    方法。
  9. 【請求項9】 前記研磨砥粒を高圧で噴射するためにブ
    ラストガンを用い、水晶素材として水晶素板を用い、 前記ブラストガンの噴射口と前記水晶素板との距離を1
    0〜20mmとし、前記平均流速化マスクと前記水晶素
    板との距離を5mm以上とし、 前記流速平均化マスクとして、前記流路の中心を通過
    し、この流路を横断するように設置された直径が0.2
    0〜0.55mmのステンレス製の針金を用い、 粒度が#4000〜#8000(JISR6001)の
    研磨砥粒を用い、前記ブラストガンの研磨砥粒噴射圧力
    を3.0〜5.5kg/cm2として、 前記水晶素板を10rpm以上で回転させながら、前記
    水晶素板の研磨領域を研磨して薄層化することを特徴と
    する請求項8記載の水晶振動子及び水晶フィルタの製造
    方法。
  10. 【請求項10】 研磨砥粒を高圧で噴射して水晶素材の
    研磨領域を研磨して薄層化する水晶振動子及び水晶フィ
    ルタの製造方法において、 前記研磨砥粒の噴射口と前記水晶素材との間の所定の箇
    所で、高圧で噴射される前記研磨砥粒の流路中に、この
    流路の外縁から中心に至るように流速平均化マスクを設
    置し、 前記水晶素材の研磨領域のみで研磨が進行するように、
    前記噴射口に対向する水晶素材の表面に研磨領域制限マ
    スクを設け、 前記水晶素材を前記研磨砥粒の噴射方向に対して垂直な
    面内で回転させながら水晶素材の前記研磨領域の研磨を
    行う工程を有することを特徴とする水晶振動子及び水晶
    フィルタの製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項8〜10のいずれか一項に記載
    の水晶振動子及び水晶フィルタの製造方法を用いて製造
    された膜厚5μm以上の水晶振動子及び水晶フィルタ。
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