JP2003117652A - 熱交換器の製造方法及びろう箔付き熱交換チューブ、並びにろう箔付き熱交換チューブの製造方法及び製造装置 - Google Patents

熱交換器の製造方法及びろう箔付き熱交換チューブ、並びにろう箔付き熱交換チューブの製造方法及び製造装置

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JP2003117652A
JP2003117652A JP2001313496A JP2001313496A JP2003117652A JP 2003117652 A JP2003117652 A JP 2003117652A JP 2001313496 A JP2001313496 A JP 2001313496A JP 2001313496 A JP2001313496 A JP 2001313496A JP 2003117652 A JP2003117652 A JP 2003117652A
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foil
exchange tube
brazing
tube
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JP2001313496A
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Koji Ashida
浩司 芦田
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Resonac Holdings Corp
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 チューブ耐圧性を十分に確保しつつ、コスト
の削減及び軽量化を図ることができると共に、フラック
スを用いたろう付けを、従来のフラックスの塗布工程及
び乾燥工程を設けることなく遂行できて製造効率を向上
できる熱交換器の製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明は、熱交換チューブ2の表面にフ
ィン3が接合されたコア5を有する熱交換器の製造方法
を対象とする。熱交換チューブ2の表面にフラックスを
含有したホットメルト接着剤10を介してろう箔20を
接着して、ろう箔付き熱交換チューブ2を準備し、該ろ
う箔付き熱交換チューブ2とフィン3とを組み合わせて
熱交換器仮組品を形成し、その仮組品を炉中にて加熱す
ることにより、ろう箔20を溶融固化してチューブ2及
びフィン3をろう付け固定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば自動車
用、家庭用、業務用のエアコンにおける凝縮器、蒸発器
の他、ラジエータ等に好適に使用されるアルミニウム
(その合金も含む、以下同じ)製の熱交換器の製造方
法、及びその製造方法に採用されるろう箔付き熱交換チ
ューブ、並びにろう箔付き熱交換チューブの製造方法及
び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、カーエアコン用凝縮器等の熱交換
器として、熱交換チューブとコルゲートフィンとが交互
に積層配置された状態でろう付け一体化された熱交換器
コアを有するものが周知である。
【0003】このような熱交換器は、各構成部材を製品
形態に仮組みし、炉中ろう付けにて一括して連結一体化
する方法が一般的に採用されている。そして、従来で
は、この炉中ろう付け行うために、外面に亜鉛を溶射し
たアルミニウム製の熱交換チューブと、アルミニウム母
材の全面にろう材をクラッドしたブレージングシートか
らなるフィンとを用い、これらの熱交換チューブとフィ
ンとを交互に積層配置した状態に仮組みして、ろう付け
一体化するのが通例である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ブレージングシートからなるフィンは、形状が複雑であ
っても効率良くろう付け接合できる利点があるが、接合
部の面積が少ないにもかかわらず、全面にろう材が貼り
合わされているため、ろう材を無駄に消費し、材料コス
トの増大及び高重量化を来す恐れがある。更に炉中ろう
付け時にろう材によって母材が侵食されて有害な変形を
引き起こす恐れがあるため、母材自体の薄肉化が困難で
あり、一段とフィン重量が増大して、熱交換器全体の軽
量化に支障を来すという問題を抱えている。
【0005】また、熱交換チューブは、表面に亜鉛溶射
して犠牲防食層を形成するものであるため、亜鉛溶射に
よって、チューブ表面に粗大な亜鉛粒子が付着した場
合、一括ろう付け時の加熱に加えて、溶射時の加熱によ
っても、熱交換チューブの母材自体が侵食され、場合に
よっては貫通孔が発生したり、亜鉛拡散が過度に広がっ
て母材強度が低下して、チューブ耐圧性が低下するとい
う問題があった。
【0006】更に、ろう付けする前にはフラックスを塗
布する必要があり、従来フラックスは水や溶剤に懸濁さ
せてスプレー塗布法や刷毛による塗布、或いは浸漬法
(ディッピング法)等によりフラックスを塗布していた
が、これらの塗布方法ではろう付部へのフラックス付着
量の制御や管理が難しく、そのばらつき量を考慮して多
めにフラックスを塗布しなければならず、フラックス使
用量が多いという問題があった。加えて、フラックスを
塗布した後でこれを乾燥させる必要があり、このために
前記フラックス塗布工程に加えてフラックス乾燥工程を
要して、このような工程数の増大によって製造効率が低
下するとともに更なるコストの増大を招くという問題も
あった。
【0007】この発明は、上記従来技術の問題を解消
し、チューブ耐圧性を十分に確保しつつ、コストの削減
及び熱交換器コアの軽量化を図ることができると共に、
フラックスを用いたろう付けを、従来のフラックスの塗
布工程及びフラックス乾燥工程を設けることなく遂行で
きて、これにより製造効率の向上を図り得る熱交換器の
製造方法及びろう箔付き熱交換チューブ、並びにろう箔
付き熱交換チューブの製造方法及び製造装置を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、第1発明は、熱交換チューブの表面にフィンが接合
されたコアを有する熱交換器の製造方法であって、前記
熱交換チューブの表面に、フラックスを含有したホット
メルト接着剤を介してろう箔を接着して、ろう箔付き熱
交換チューブを準備する工程と、前記ろう箔付き熱交換
チューブと前記フィンとを組み合わせて加熱することに
より、前記ろう箔を介して前記熱交換チューブ及び前記
フィンを接合固定する工程とを含む熱交換器の製造方法
を要旨としている。
【0009】この第1発明の熱交換器の製造方法におい
ては、ろう箔を、フィンよりも表面積の小さい熱交換チ
ューブ側に接着するものであるため、フィンとして、ろ
う材がクラッドされたブレージングシート等を使用した
場合と違って、コア全体としてろう材使用量は非常に少
なくなる。
【0010】更にろう付け加熱時に、フィンには、ろう
材侵食による変形の懸念がないため、フィンとして薄肉
のものを支障なく使用することができる。
【0011】また、ろう材としてろう箔を用いているの
で、粉末のろう材等を用いた場合と比較して酸化膜が非
常に少なくなり、従ってフラックスの使用量も少なくて
済む。
【0012】また、ろう箔に亜鉛を添加して、その亜鉛
成分によって、熱交換チューブに犠牲防食層を形成する
ことができるため、亜鉛溶射により犠牲防食層を形成す
る場合と違って、安定状態の適度な犠牲防食層を得るこ
とができるとともに、亜鉛溶射による制御困難な侵食を
防止できるため、チューブの設計自由度を増大させるこ
とができる。
【0013】この第1発明において使用されるホットメ
ルト接着剤は、接着時には加熱冷却による粘度制御によ
って、反応時間や乾燥時間の不要な作業性良好な接着を
行うことができ、ろう付け時には加熱中に分解・気化
し、ろう付け性を阻害しない構成の接着剤を言う。
【0014】すなわち、このホットメルト接着剤は、熱
分解により消失し残査が残らないため、固形分が付着し
て残る一般的な接着剤加熱による悪影響を防止すること
ができる。
【0015】更に、このホットメルト接着剤にはフラッ
クスを含有せしめているので、従来必要となっていたろ
う付け前のフラックス塗布工程及びフラックス乾燥工程
を省略することができ、このような工程数の減少によっ
て製造効率を顕著に向上できると共に製造コストも十分
に低減できる。
【0016】加えて、フラックスをホットメルト接着剤
に含有せしめて供給するので、少量供給を非常に精度高
く制御することができ、かつより均一な塗布が可能とな
り、従って従来の一般的なフラックス塗布量よりも少な
い使用量であっても十分に良好なろう付け性を確保でき
るので、一層の軽量化を図り得る。
【0017】また、この第1発明においては、ろう付け
固定を確実に行えるように、前記接着剤やろう箔とし
て、特有の構成のものを採用するのが好ましい。
【0018】すなわち本第1発明においては、前記接着
剤の塗布量が、1〜50g/m2 に設定されてなる構
成、又は前記ろう箔として厚みが5〜50μmのものが
用いられてなる構成を採用するのが好ましい。
【0019】更に本第1発明においては、前記ろう箔と
してAl−Si合金からなるものが用いられる構成、又
は、前記ろう箔として、Al−Si−Zn合金からなる
ものが用いられる構成を採用するのが良い。特に、ろう
箔として、Al−Si−Zn合金からなるものを用いる
場合には、ろう付け加熱時に、ろう箔中の亜鉛成分によ
って、熱交換チューブに犠牲防食層を形成することがで
き、上記したように、亜鉛溶射により犠牲防食層を形成
する際の不具合を防止することができる。
【0020】前記ろう箔の幅は、熱交換チューブの幅に
対し25%以上に設定されるのが好ましく、これにより
十分に良好なろう付け処理を行うことができる。
【0021】前記ホットメルト接着剤におけるフラック
ス含有率は10〜95重量%とするのが好ましい。10
重量%未満ではろう付けに必要なフラックス量を確保す
るにはホットメルト接着剤の塗布量を相当に増やさなけ
ればならず、コスト増大を招くし、ろう付け加熱中にホ
ットメルト接着剤が分解しきらずに残留してろう付けを
阻害する恐れがある。一方、95重量%を超えると、ろ
う箔と熱交換チューブの接着性が低下するので好ましく
ない。
【0022】前記フラックスの塗布量は1〜10g/m
2 に設定されるのが好ましい。本発明ではフラックスを
ホットメルト接着剤に含有せしめて供給するので、少量
供給を非常に精度高く制御することができ、かつより均
一な塗布が可能となり、従ってこのような従来よりも少
ない塗布量であっても十分なろう付け性を確保すること
ができる。このような少ない塗布量とすることで、コス
トをより低減できるし、一層の軽量化を図ることができ
る。
【0023】前記フラックスとしてはKF−AlF3
化合物を用いるのが、十分に良好なろう付け性を確保で
きる点で、好ましい。
【0024】一方、第2発明は、上記第1発明の熱交換
器の製造方法に採用されるろう箔付き熱交換チューブを
特定するものである。
【0025】すなわち、第2発明は、表面にフィンを接
合して熱交換器のコアを形成するための熱交換チューブ
と、前記熱交換チューブの表面に、フラックスを含有し
たホットメルト接着剤を介して接着されるろう箔とを備
え、前記熱交換チューブの表面にフィンが配置された状
態で、加熱されることによって、前記ろう箔を介してフ
ィンが前記熱交換チューブに接合固定されるよう構成さ
れてなるものを要旨としている。
【0026】また、第3発明は、上記第2発明のろう箔
付き熱交換チューブにおける製造方法を特定するもので
ある。
【0027】すなわち、第3発明は、表面にフィンを接
合して熱交換器のコアを形成するための熱交換チューブ
を、その長さ方向に沿って搬送しつつ、ろう箔を前記熱
交換チューブの表面に向けて供給するに際して、前記熱
交換チューブの表面又は前記ろう箔の表面に、フラック
スを含有したホットメルト接着剤を塗布する接着剤塗布
処理を行った後、前記ろう箔を熱交換チューブの表面に
重ね合わせて加圧し、前記接着剤を前記ろう箔及び熱交
換チューブ間に広がらせて接着するろう箔貼付処理を行
うことにより、前記ろう箔が前記熱交換チューブに前記
接着剤を介して接着されたろう箔付き熱交換チューブを
得るものを要旨としている。
【0028】また第3発明の別の態様として、押出機に
よって熱交換チューブとしての押出チューブを連続的に
押し出しつつ、ろう箔を前記熱交換チューブの表面に向
けて供給するに際して、前記押出チューブの表面又は前
記ろう箔の表面に、フラックスを含有したホットメルト
接着剤を塗布する接着剤塗布処理を行った後、前記ろう
箔を押出チューブの表面に重ね合わせて加圧し、前記接
着剤を前記ろう箔及び押出チューブ間に広がらせて接着
するろう箔貼付処理を行うことにより、前記ろう箔が前
記押出チューブに前記接着剤を介して接着されたろう箔
付き熱交換チューブを得るものを採用することが可能で
ある。この構成を採用する場合、チューブの押出からろ
う付けまでの一連の処理を連続ラインで行うことがで
き、生産性に優れる利点がある。
【0029】更に、押出機から押し出されるチューブに
接着剤を塗布する場合(接着層を重ね合わせて接触させ
る場合も含む)、接着剤の熱劣化等を防止するために、
熱交換チューブが所定の温度以下に低下した後に、前記
接着剤塗布処理を行うものとするのが良い。
【0030】また、第4発明は、上記第3発明を実施可
能な製造装置を特定するものである。すなわち、第4発
明のろう箔付き熱交換チューブの製造装置は、表面にフ
ィンを接合して熱交換器のコアを形成するための熱交換
チューブを、その長さ方向に沿って搬送するためのチュ
ーブ搬送機と、ろう箔を前記熱交換チューブの表面に向
けて供給するためのろう箔供給手段と、前記熱交換チュ
ーブの表面又は前記ろう箔の表面に、フラックスを含有
したホットメルト接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、
前記ろう箔を熱交換チューブの表面に重ね合わせて加圧
し、前記接着剤を前記ろう箔及び熱交換チューブ間に広
がらせて接着するためのろう箔貼付手段とを備えるもの
を要旨としている。
【0031】この第4発明においては、前記熱交換チュ
ーブを加熱するための加熱手段が設けられ、その加熱手
段によって、前記ろう箔及び熱交換チューブ間の接着剤
の広がり性を向上させるよう構成されてなるものを採用
するのが好ましい。この場合には、ろう箔の熱交換チュ
ーブに対する接着をより確実に行うことができる。
【0032】また、第4発明の別の態様として、熱交換
チューブとしての押出チューブを連続押出成形するため
の押出機と、押出チューブを所定の温度以下に冷却する
冷却装置と、ろう箔を前記押出チューブの表面に向けて
供給するためのろう箔供給手段と、前記押出チューブの
表面又は前記ろう箔の表面に、フラックスを含有したホ
ットメルト接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、前記ろ
う箔を押出チューブの表面に重ね合わせて加圧し、前記
接着剤を前記ろう箔及び押出チューブ間に広がらせて接
着するためのろう箔貼付手段とを備える構成を採用する
ことができる。
【0033】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の実施形態が適用
された熱交換器を示す正面図、図2はその熱交換器のコ
アの要部を示す斜視図である。両図に示すように、この
熱交換器は、自動車用カーエアコンにおける冷凍サイク
ルのコンデンサとして用いられるものであって、マルチ
フロータイプの熱交換器を構成するものである。
【0034】すなわち、この熱交換器は、平行に配置さ
れた垂直方向に沿う左右一対のヘッダー(1)(1)間
に、熱交換管路としての多数本の水平方向に沿う多数本
の偏平な熱交換チューブ(2)が、各両端を両ヘッダー
(1)(1)に連通接続した状態で、上下方向に沿って
並列に配置されるとともに、これらの熱交換チューブ
(2)の各間及び最外側の熱交換チューブの外側にコル
ゲートフィン(3)が配置され、更に最外側の熱交換コ
ルゲートフィン(3)の外側にサイドプレート(4)が
配置されている。
【0035】熱交換チューブ(2)は、アルミニウムの
中空押出製品からなり、幅方向に連続して延びる仕切壁
(2a)によって内部が複数本(4本)の冷媒流路(2
b)に区分けされている。更に熱交換チューブ(2)の
上下の平坦面には、フラックスを含有したホットメルト
接着剤(10)を介して、Al−Si、Al−Si−Z
n等の組成のアルミニウム系合金箔からなるろう箔(2
0)が接着されている。
【0036】また、コルゲートフィン(3)は、ろう材
がクラッドされていないアルミニウムのベア材により構
成されている。
【0037】そして上記したように、熱交換チューブ
(2)と、コルゲートフィン(3)とが、交互に積層さ
れてコア形態に仮組みされた状態で、炉中にて加熱され
て、チューブ(2)とフィン(3)とがろう箔(20)
を介して接合一体化されている。
【0038】このろう付け加熱時において、ホットメル
ト接着剤(10)は、熱分解により消失することによ
り、炭化等が防止されてろう付け性が阻害されることは
ない。
【0039】また、熱交換チューブ(2)と、コルゲー
トフィン(3)とを接合するろう箔(20)は、コルゲ
ートフィン(3)よりも格段に表面積の小さい熱交換チ
ューブ(2)側に接着するものであるため、コルゲート
フィン(3)として、ろう材がクラッドされたブレージ
ングシートを使用した場合に比較し、コア(5)全体と
してろう材使用量は非常に少なくなり、その分、材料コ
ストを削減することができる。更に一括ろう付け時に、
コルゲートフィン(3)には、ろう材侵食による変形の
懸念がないため、コルゲートフィン(3)として薄肉の
ものを支障なく使用でき、上記のろう材使用量の低減と
相まって、熱交換器全体の軽量化を十分に図ることがで
きる。
【0040】更に、ホットメルト接着剤にフラックスを
含有せしめているので、従来必要となっていたろう付け
前のフラックス塗布工程及びフラックス乾燥工程を省略
することができ、このような工程数の減少によって製造
効率を顕著に向上できると共に製造コストも十分に低減
できる。加えて、従来のフラックス塗布工程におけるフ
ラックス塗布量は、そのばらつき量を考慮して多めに設
定しなければならず、一般的には15〜30g/m2
度であったが、本発明ではフラックスをホットメルト接
着剤に含有せしめて供給するので、少量供給を非常に精
度高く制御することができるし、しかもより均一な塗布
が可能となり、従ってフラックス塗布量が10g/m2
以下であっても十分なろう付け性を確保できるものとな
り、ひいてはフラックス使用量を従来よりも低減するこ
とができるのであり、これにより一層の軽量化を図るこ
とができる。
【0041】また、必要に応じてろう箔(20)に亜鉛
を添加しておく場合には、一括ろう付け時に、ろう箔
(20)中の亜鉛成分を熱交換チューブ(2)の表面に
拡散させて、犠牲防食層を形成することができるため、
従来のように、亜鉛溶射により犠牲防食層を形成する場
合と違って、安定状態の適度な犠牲防食層を得ることが
できる。このため、熱交換チューブ(2)の母材強度を
十分に確保でき、耐圧性を向上させることができる。そ
の上、亜鉛溶射による制御困難な侵食が防止されるた
め、チューブ(2)の設計自由度が増大し、より一層、
薄肉軽量化及び高性能化を図ることができる。
【0042】ここで、本実施形態において、ホットメル
ト接着剤(10)としては、ろう箔(20)と熱交換チ
ューブ(2)の接着時には、100〜200℃に加熱す
ることにより粘性を低下させて良好な広がり性を有する
とともに、冷却時に粘性が回復することにより接着性を
向上する性質を有する一方、ろう箔付き熱交換チューブ
(2)の加熱時には、300〜400℃に加熱すること
により、熱分解して残査が残らずろう付け性を阻害する
ことがないものを好適に使用することができる。具体的
に、ホットメルト接着剤としては、EVA(エチレン・
酢酸ビニル共重合体)、EEA(アクリル酸エチル共重
合体)、EMMA(エチレン・メタクリル酸メチル)等
を主成分とするEVA系のもの、SEBS(スチレン・
エチレン・ブタジエンゴム・プロピレンゴム)、SIS
(スチレン・イソプレン・スチレンゴム)、SBS(ス
チレン・ブタジエン・スチレンゴム)、ブチルゴム、ア
クリルゴム等を主成分とするゴム系のもの、APAO
(アモルファスポリアルファオレフィン)、APP、ポ
リエチレン、ポリブタジエン等を主成分とするAPAO
系のもの、それ以外のものに分類される。
【0043】本発明においては、上記いずれの接着剤も
好適に使用できるが、中でも特に、コスト面を考慮する
と、EVA系、APAO系のものを、より好適に使用す
ることができる。
【0044】本実施形態において、接着剤(10)のチ
ューブ(2)又はろう箔(20)に対する塗布量は、1
〜50g/m2 、好ましくは2〜10g/m2 に設定す
るのが良い。すなわち、塗布量が少な過ぎる場合には、
ろう箔(20)をチューブ(2)に十分に貼る付けるこ
とができなくなる恐れが有り、逆に多過ぎる場合には、
接着剤が過剰となり、ろう付け加熱時に接着剤が完全に
分解せず、一部がろう箔(20)とチューブ(2)との
間に残留して、ろう付け性を低下させて、ろう付け不良
を来す恐れがあるとともに、接着剤塗布時の接着剤厚み
が厚過ぎて、コア組付時の寸法精度に悪影響を及ぼす恐
れがある。
【0045】本実施形態において、ろう付け時の加熱条
件としては、接着剤塗布量が上記のように適正であれ
ば、極端な急速加熱(100℃/min以上)を行わな
い限り、ホットメルト接着剤(10)は、ろう付け温度
(600℃程度)に達する前に、分解気化して消失する
ため、一般的な熱交換器の製造における加熱条件(窒素
雰囲気中、昇温速度20〜80℃/min)であれば特
に問題はない。
【0046】前記接着剤(10)中に含有させるフラッ
クスとしては、特に限定されないものの、KF−AlF
3 系化合物を用いるのが、ホットメルト接着剤への均一
分散性に優れると共に優れたろう付け性を確保できる点
で、好ましい。前記KF−AlF3 系化合物としては、
フッ化カリウム(KF)とフッ化アルミニウム(AlF
3 )との共晶組成物で実質的に錯体化されたKAl
4 、K2AlF5・H2O、K3AlF6 等の錯体化合物
の単一組成物であるほか、これらの2種以上の混合組成
物であっても良い。
【0047】前記ホットメルト接着剤(10)における
フラックスの含有率は10〜95重量%とするのが好ま
しい。10重量%未満では、ろう付けに必要なフラック
ス量を確保するにはホットメルト接着剤の塗布量を相当
に増やさなければならず、コスト増大を招くし、ろう付
け加熱中にホットメルト接着剤が分解しきらずに残留し
てろう付けを阻害する恐れがあるので、好ましくない。
一方、95重量%を超えると、ホットメルト接着剤(1
0)中でのフラックスの良好な分散状態を確保できない
上に、ろう箔(20)と熱交換チューブ(2)の接着性
が悪くなるので好ましくない。
【0048】また、前記フラックスの塗布量は1〜10
g/m2 に設定するのが好ましい。1g/m2 未満では
ろう付け不良を起こす恐れがあるので好ましくない。本
発明ではフラックスをホットメルト接着剤に含有せしめ
て供給するのでこのような少量(1〜10g/m2 )供
給を非常に精度高く制御することができるし、より均一
に塗布できるので、このような少ない塗布量範囲であっ
ても十分なろう付け性を確保することができる。このよ
うな少ない塗布量範囲に設定すれば、コストをより低減
できるし、一層の軽量化を図ることができる。即ち、1
0g/m2 を超えると徒にコストを増大させるだけであ
るし、更なる軽量化を図り得ないので、好ましくない。
【0049】前記接着剤(10)には、フラックスの他
に、必要に応じて、適宜添加剤を添加しても良い。例え
ば粘着性を向上させるために、粘着付与剤を添加するこ
とができる。粘着付与剤としては、脂環族系水添タッキ
ファイヤー、ロジン、変性ロジン、これらのエステル化
物、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石
油樹脂、脂肪族成分と芳香族成分の共重合石油樹脂、低
分子量スチレン樹脂、イソプレン系樹脂、アルキルフェ
ノール樹脂、テルペン樹脂、クマロン・インデン樹脂等
の粘着付与剤を用いることができる。
【0050】更に、接着剤(10)には、流動性の調整
・固化時間の調整を行うために、ポリオレフィン系ワッ
クス等の改質剤、無機及び/又は有機充填剤、あるいは
顔料、安定剤等の添加物を配合することができる。
【0051】ここで、ワックスとしては、パラフィンワ
ックス、マイクロクリスタンワックス、ポリプロピレン
ワックス、フィッシャートロピッシュワックス、酸化ポ
リエチレンワックス、マイレン化ポリエチレンワック
ス、並びにそれらの変性物等が例示される。
【0052】また、無機充填剤としては、炭酸カルシウ
ム、酸化亜鉛、ガラスビーズ、酸化チタン、アルミナ、
カーボンブラック、クレー、フェライト、タルク、雲母
粉、アエロジル、シリカ、並びにガラス繊維等の無機繊
維及び無機発泡体等が例示される。ただし、これら無機
充填剤は基本的に接着部に残留することになるので、接
着剤への添加は極力避けた方が良い。
【0053】また、有機充填剤としては、エポキシ樹脂
等の熱硬化性樹脂の粉末、炭素繊維、合成繊維、合成パ
ルプ等が例示される。
【0054】更に安定剤としては、フェノール系酸化防
止剤、リン酸系酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系紫外
線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ヒンダード
アミン系ラジカル補足剤等が例示される。
【0055】ろう箔(20)の組成としては、Al−S
i合金、Al−Si−Zn合金等の組成のアルミニウム
系合金箔からなるものが好適であり、特に良好なろう付
け性等を得る上で、5〜15%、好ましくは7.5〜1
2.5%のSi、0〜5%のZn、及び不純物と残余の
Alよりなるアルミニウム系合金が、より好適に使用さ
れる。その他の添加元素(例えばMg、Cu、Ti、I
n等)を少量加えたものも使用できる。
【0056】ろう箔(20)の厚さは、5〜50μm、
より望ましくは10〜25μmのものが好適である。す
なわち、5μm未満のものでは、ろう材量が不足し、ろ
う付け不良を起こす恐れがある。逆に、50μmを超え
るものでは、ろう材量が過剰となり、その箔厚の厚みに
よって、コア組付時の寸法精度に悪影響を及ぼす恐れが
あり、更に過剰なろう材によって、母材侵食の恐れがあ
り、軽量化及びコストダウン化に相反する恐れがある。
【0057】ろう箔(20)の幅(f)は、ろう付けの
みの目的で使用する場合(ろう箔組成がAl−Siのも
のの場合)には、ろう付け時の毛細管現象によってチュ
ーブ(2)とフィン(3)との接触部に効率良くろう材
が回り込むため、チューブ(2)と必ずしも同幅に設定
することなく、チューブ幅(W)よりも小さく設定して
もよい。具体的には、ろう箔(20)の幅(f)は、チ
ューブ幅(W)の1/4以上(25%以上)に設定すれ
ば、十分に良好なろう付け処理を行うことができる。
【0058】またろう箔中のZn成分によって熱交換チ
ューブ(2)に犠牲防食層の形成を行う場合(ろう箔組
成がAl−Si−Znのものの場合)にも、Znはろう
付け時にチューブ表面全域に拡散するので、ろう箔(2
0)の幅(f)は、同じくチューブ幅(W)の1/4以
上(25%以上)に設定すれば、十分に良好なろう付け
処理を行うことができる。なお、Znの表面濃度や拡散
深さは、ろう箔の幅やZnの添加量を調整することによ
って制御可能である。
【0059】一方、ろう箔(20)を熱交換チューブ
(2)に接着する方法としては、以下の方法を例示でき
る。
【0060】すなわち図3に示すように、ろう箔供給手
段(30)であるリコイラーから供給されてくるろう箔
(20)の表面に、フラックスを含有したホットメルト
接着剤(10)を、接着剤供給手段としてのノズル(1
1)を介して吹き付けて塗布する一方、熱交換チューブ
(2)を長さ方向に搬送しつつ、その熱交換チューブ
(2)の上下の平坦面に、前記接着剤(10)付きのろ
う箔(20)をそれぞれ供給して、熱交換チューブ
(2)の上下両面に接着剤(10)を介してろう箔(2
0)を重ね合わせ、次いでろう箔貼付手段としての加圧
ロール(21)(22)により接着剤を接着部全域に広
げてチューブ(2)に圧着させる。これにより、ろう箔
(20)を熱交換チューブ(2)に接着するものであ
る。
【0061】なお接着剤(10)を塗布する場合、同図
想像線に示すように、接着剤(10)を熱交換チューブ
(2)の上下の平坦面に吹き付けて塗布するようにして
も良い。
【0062】また、熱交換チューブ(2)が押出チュー
ブの場合には、同図に示すように、押出機(50)から
連続的に押し出された押出チューブ(2)に、上記の接
着剤塗布処理及びろう箔(20)の接着処理を続けて行
うようにしても良い。更に熱交換チューブ(2)が圧延
板の成形品の場合や、押出チューブを一端巻き取ったチ
ューブ巻取品に、ろう箔(20)を接着する場合には、
これらのチューブを、切断・加工する工程の前後いずれ
に行っても良い。
【0063】また押出機(50)から押し出されたチュ
ーブ(2)に、続けてろう箔貼付処理を行う場合には、
押出チューブ(2)を、接着剤が分解しない温度(20
0℃以下)まで冷却装置で冷却させた後、接着剤(1
0)を塗布する又は接着剤塗布層(ろう箔に塗布された
接着剤)を重ね合わせるのが良い。
【0064】なお、上記のホットメルト接着剤(10)
は、常温では100%固形分であり、加熱によって流動
化し、冷却によって固化する性質を有している。このた
め、図3に示すように、ろう箔貼付処理を行う場合、接
着剤(10)の反応時間、乾燥時間が不要であり、製造
時間、製造ラインを短くすることができ、効率良く製造
することができるものである。
【0065】
【実施例】次に、この発明の具体的実施例について説明
する。
【0066】<実施例1>上記図3に示すように、リコ
イラーから供給されてくるAl−Si−Zn合金(S
i:7.5%、Zn:2%、残余Al)からなる厚さ2
0μm、幅15mmのろう箔(20)の表面に、フラッ
クスを含有したホットメルト接着剤(10)を、ノズル
(11)を介して吹き付けて6g/m2 の塗布量で塗布
する一方、押出機(50)よりアルミニウム製の扁平な
熱交換チューブ(2)を連続的に押し出し、そのチュー
ブ(2)が200℃以下になった状態で、チューブ
(2)の上下両平坦面に、前記接着剤(10)付きのろ
う箔(20)をそれぞれ供給して、熱交換チューブ
(2)の上下両面に接着剤(10)を介してろう箔(2
0)を重ね合わせ、次いで加圧ロール(21)(22)
により接着剤を接着部全域に広げてチューブ(2)に圧
着させて、ろう箔付き熱交換チューブ(2)を得た。
【0067】ここで、押出機(50)による押出条件
は、押出速度50m/min、温度450℃であり、熱
交換チューブ(2)は、幅16mm、高さ1.6mm、
壁厚0.2mm、中空部個数(冷媒通路数)4個に成形
した。
【0068】また、前記フラックスとしてはKF−Al
3 系化合物を用い、前記ホットメルト接着剤としては
APAO系のもの(旭化学合成株式会社製:商品名「ア
サヒタックAZ2070」)を用いるものとし、この接
着剤中におけるフラックスの含有率は33%であった。
即ち、ホットメルト接着剤/フラックス=200/10
0(重量部)の混合比からなる。
【0069】また、ホットメルト接着剤(フラックスを
含まない)の塗布量は4g/m2 であり、フラックスの
塗布量は2g/m2 であった。
【0070】上記のようにして得られたろう箔付き熱交
換チューブ(2)を、所定の長さに切断し、そのチュー
ブ(2)と、同じ幅及同じ長さのアルミ合金(A320
3)ベア材からなる厚さ0.07mmのコルゲートフィ
ンとを交互に積層して熱交換器コアを形成し、そのコア
に、ヘッダー、サイドプレートを必要に応じてろう箔を
介して組み合わせた後、窒素雰囲気炉中にて加熱して、
ろう付け処理を行い、熱交換器全体を連結一体化して、
熱交換器を製作した。
【0071】<実施例2〜8>接着剤中のフラックスの
含有率、接着剤及びフラックスの塗布量、ろう箔の構成
を、表1に示すような構成とした以外は、実施例1と同
様にして熱交換器を製作した。
【0072】<比較例1>表1に示すように、接着剤と
して溶剤系の接着剤を用い、接着剤塗布量を20g/m
2 とし、ろう箔として、厚さ20μm、幅15mmのA
l−Si−Zn合金(Si:7.5%、Zn:2%、残
余Al)からなるものを用いて、上記実施例と同様に、
熱交換器を製作した。
【0073】<比較例2>表1に示すように、接着剤と
してエポキシ系の熱硬化性接着剤(溶剤含まない)を用
い、接着剤塗布量を20g/m2 とし、ろう箔として、
厚さ20μm、幅15mmのAl−Si−Zn合金(S
i:7.5%、Zn:2%、残余Al)からなるものを
用いて、上記実施例と同様に、熱交換器を製作した。
【0074】<比較例3>ホットメルト接着剤中にフラ
ックスを含有せしめない構成とした以外は、実施例3と
同様にして、熱交換器コアを形成した。このコアに、ヘ
ッダー、サイドプレートを必要に応じてろう箔を介して
組み合わせた後、フラックス(KF−AlF3 系化合
物、水との懸濁液)を塗布し、乾燥工程を経たのち、窒
素雰囲気炉中にて加熱して、ろう付け処理を行い、熱交
換器全体を連結一体化して、熱交換器を製作した。な
お、フラックス塗布量は20g/m2 とした。
【0075】<比較例4>フラックス塗布量を5g/m
2 とした以外は、比較例3と同様にして熱交換器を製作
した。
【0076】
【表1】
【0077】<評価項目>上記の各熱交換器に対し、接
着剤の広がり性、接着強さ、ろう付け性、製造効率につ
いて評価した。
【0078】なお、各項目の評価方法は、次の通りであ
る。
【0079】「接着剤の広がり性」…ろう箔を貼り合わ
せる時の接着剤の広がり性(塗布のしやすさ)を評価し
た。
【0080】「接着強さ」…ろう箔付き熱交換チューブ
を直径500mmのコイルに巻き取る際にろう箔の両端
が浮き上がらない(剥離しない)ものを良好とした。
【0081】「ろう付け性」…接着剤の残留の有無によ
る外観状態を評価するとともに、フィンとチューブとの
ろう付接合率を測定した。
【0082】「製造効率」…熱交換器の製作完了までに
要した時間をもとに相対的に製作時間の短かったものを
「○」とし、長時間を要したものを「×」とした。
【0083】上記の各評価による結果を表2に示す。
【0084】
【表2】
【0085】<評価結果>表2から明らかなように、こ
の発明の実施例1〜8では、上記各評価について、ほぼ
満足できる結果が得られた。特に、実施例1〜5では、
接着剤の広がり性、接着強さ、ろう付け性、製造効率の
いずれも十分に満足できる結果が得られた。また、実施
例1〜5では、従来の一般的なフラックス塗布量よりも
少ない塗布量(1〜10g/m2 )でも十分に良好なろ
う付け性が得られている。
【0086】これに対し、本発明の要旨を逸脱する比較
例1、2のものは、上記各評価のいずれかについて、満
足な結果が得られなかった。また、ホットメルト接着剤
中にフラックスを含有せしめずに、別工程でフラックス
塗布処理及びその乾燥処理を行うものとした比較例3、
4では、実施例のものと比較して工程数が多く生産性に
劣っていた。また、比較例4では、フラックス塗布量が
5g/m2 であったので、ろう付け性不良であった。
【0087】
【発明の効果】以上のように、第1発明の熱交換器の製
造方法によれば、ろう箔が接着されたろう箔付き熱交換
チューブとフィンとを組み合わせて加熱することによ
り、ろう箔を介してチューブとフィンとを接合固定する
ものである。つまり、ろう箔は、フィンよりも表面積の
小さい熱交換チューブ側に接着するものであるため、フ
ィンとして、ろう材がクラッドされたブレージングシー
ト等を使用した場合と違って、コア全体としてろう材使
用量は非常に少なくなり、その分、材料コストを削減す
ることができる。更にろう付け加熱時に、フィンには、
ろう材侵食による変形の懸念がないため、フィンとして
薄肉のものを支障なく使用でき、上記のろう材使用量の
低減と相まって、熱交換器全体の軽量化を十分に図るこ
とができる。また、ろう箔に亜鉛を添加しておくことに
より、その亜鉛成分によって、熱交換チューブに耐食層
を形成することができるため、亜鉛溶射により犠牲防食
層を形成する場合と違って、安定状態の適度な耐食層を
得ることができる。このため、熱交換チューブの母材強
度を十分に確保でき、耐圧性を向上させることができる
上、亜鉛溶射による制御困難な侵食を防止できるため、
チューブの設計自由度を増大させることができ、より一
層、薄肉軽量化及び高性能化を図ることができる。更
に、ろう付け加熱時に、ホットメルト接着剤が、熱分解
により消失することにより、炭化等が防止されてろう付
け性が阻害されるような不具合を確実に防止することが
できるという効果がある。
【0088】更に、このホットメルト接着剤にはフラッ
クスを含有せしめているので、従来のろう付け前のフラ
ックス塗布工程及びフラックス乾燥工程を省略すること
ができ、このような工程数の減少によって製造効率を顕
著に向上できると共にコストも十分に低減できる。加え
て、フラックスをホットメルト接着剤に含有せしめて供
給するので少量供給を非常に精度高く制御することが可
能となり、従って従来の一般的なフラックス塗布量より
も少ない使用量であっても十分に良好なろう付け性を確
保できる利点がある。
【0089】第2発明は、上記第1発明の熱交換器の製
造方法に採用されるろう箔付き熱交換チューブの一形態
を特定するものであり、そのチューブを使用することに
よって、上記と同様の効果を得ることができる。
【0090】第3発明は、上記第2発明のろう箔付き熱
交換チューブにおける製造方法の一形態を特定するもの
であり、上記第2発明のチューブを確実に得ることがで
きる。特に、押し出された押出チューブに、接着剤塗布
及びろう箔供給処理を順次行う場合には、連続ラインで
行うことができるので、効率良く、ろう箔付き熱交換チ
ューブを製造することができるという利点がある。
【0091】第4発明は、上記第3発明の製法を実施可
能な製造装置を特定するものであり、上記第3発明を確
実に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態の製造方法によって得られ
たカーエアコン用熱交換器を示す正面図である。
【図2】実施形態の熱交換器における熱交換チューブと
フィンとの接合部を示す斜視図である。
【図3】ろう箔付き熱交換チューブの製造方法を概略的
に示す側面図である。
【符号の説明】
2…熱交換チューブ 3…コルゲートフィン 5…コア 10…ホットメルト接着剤 11…接着剤塗布手段 20…ろう箔 21…ろう箔貼付手段 22…ろう箔貼付手段 30…ろう箔供給手段 50…押出機

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱交換チューブの表面にフィンが接合さ
    れたコアを有する熱交換器の製造方法であって、 前記熱交換チューブの表面に、フラックスを含有したホ
    ットメルト接着剤を介してろう箔を接着して、ろう箔付
    き熱交換チューブを準備する工程と、 前記ろう箔付き熱交換チューブと前記フィンとを組み合
    わせて加熱することにより、前記ろう箔を介して前記熱
    交換チューブ及び前記フィンを接合固定する工程とを含
    むことを特徴とする熱交換器の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記接着剤の塗布量が、1〜50g/m
    2 に設定されてなる請求項1に記載の熱交換器の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記ろう箔として、厚みが5〜50μm
    のものが用いられてなる請求項1または2に記載の熱交
    換器の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ろう箔として、Al−Si合金から
    なるものが用いられている請求項1〜3のいずれか1項
    に記載の熱交換器の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ろう箔として、Al−Si−Zn合
    金からなるものが用いられている請求項1〜3のいずれ
    か1項に記載の熱交換器の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ろう箔として、 Si:5〜15% Zn:0〜5% Al及び不純分:残り からなるアルミニウム系合金からなるものが用いられて
    なる請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱交換器の製
    造方法。
  7. 【請求項7】 前記ろう箔の幅が、前記熱交換チューブ
    の幅に対し25%以上に設定されている請求項1〜6の
    いずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記ホットメルト接着剤におけるフラッ
    クス含有率が10〜95重量%である請求項1〜7のい
    ずれか1項に記載の熱交換器の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記フラックスの塗布量が、1〜10g
    /m2 に設定されている請求項1〜8のいずれか1項に
    記載の熱交換器の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記フラックスとしてKF−AlF3
    系化合物を用いる請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    熱交換器の製造方法。
  11. 【請求項11】 表面にフィンを接合して熱交換器のコ
    アを形成するための熱交換チューブと、 前記熱交換チューブの表面に、フラックスを含有したホ
    ットメルト接着剤を介して接着されるろう箔とを備え、 前記熱交換チューブの表面にフィンが配置された状態
    で、加熱されることによって、前記ろう箔を介してフィ
    ンが前記熱交換チューブに接合固定されるよう構成され
    てなることを特徴とするろう箔付き熱交換チューブ。
  12. 【請求項12】 表面にフィンを接合して熱交換器のコ
    アを形成するための熱交換チューブを、その長さ方向に
    沿って搬送しつつ、ろう箔を前記熱交換チューブの表面
    に向けて供給するに際して、前記熱交換チューブの表面
    又は前記ろう箔の表面に、フラックスを含有したホット
    メルト接着剤を塗布する接着剤塗布処理を行った後、 前記ろう箔を熱交換チューブの表面に重ね合わせて加圧
    し、前記接着剤を前記ろう箔及び熱交換チューブ間に広
    がらせて接着するろう箔貼付処理を行うことにより、前
    記ろう箔が前記熱交換チューブに前記接着剤を介して接
    着されたろう箔付き熱交換チューブを得るものとしたこ
    とを特徴とするろう箔付き熱交換チューブの製造方法。
  13. 【請求項13】 押出機によって熱交換チューブとして
    の押出チューブを連続的に押し出しつつ、ろう箔を前記
    熱交換チューブの表面に向けて供給するに際して、前記
    押出チューブの表面又は前記ろう箔の表面に、フラック
    スを含有したホットメルト接着剤を塗布する接着剤塗布
    処理を行った後、 前記ろう箔を押出チューブの表面に重ね合わせて加圧
    し、前記接着剤を前記ろう箔及び押出チューブ間に広が
    らせて接着するろう箔貼付処理を行うことにより、前記
    ろう箔が前記押出チューブに前記接着剤を介して接着さ
    れたろう箔付き熱交換チューブを得るものとしたことを
    特徴とするろう箔付き熱交換チューブの製造方法。
  14. 【請求項14】 前記押出チューブが、所定の温度以下
    に低下した後、前記接着剤塗布処理又は前記ろう箔貼付
    処理を行うものとした請求項13に記載のろう箔付き熱
    交換チューブの製造方法。
  15. 【請求項15】 表面にフィンを接合して熱交換器のコ
    アを形成するための熱交換チューブを、その長さ方向に
    沿って搬送するためのチューブ搬送機と、 ろう箔を前記熱交換チューブの表面に向けて供給するた
    めのろう箔供給手段と、 前記熱交換チューブの表面又は前記ろう箔の表面に、フ
    ラックスを含有したホットメルト接着剤を塗布する接着
    剤塗布手段と、 前記ろう箔を熱交換チューブの表面に重ね合わせて加圧
    し、前記接着剤を前記ろう箔及び熱交換チューブ間に広
    がらせて接着するためのろう箔貼付手段とを備えたこと
    を特徴とするろう箔付き熱交換チューブの製造装置。
  16. 【請求項16】 前記熱交換チューブを加熱するための
    加熱手段が設けられ、その加熱手段によって、前記ろう
    箔及び熱交換チューブ間の接着剤の広がり性を向上させ
    るよう構成されてなる請求項15に記載のろう箔付き熱
    交換チューブの製造装置。
  17. 【請求項17】 熱交換チューブとしての押出チューブ
    を連続押出成形するための押出機と、 押出チューブを所定の温度以下に冷却する冷却装置と、 ろう箔を前記押出チューブの表面に向けて供給するため
    のろう箔供給手段と、 前記押出チューブの表面又は前記ろう箔の表面に、フラ
    ックスを含有したホットメルト接着剤を塗布する接着剤
    塗布手段と、 前記ろう箔を押出チューブの表面に重ね合わせて加圧
    し、前記接着剤を前記ろう箔及び押出チューブ間に広が
    らせて接着するためのろう箔貼付手段とを備えたことを
    特徴とするろう箔付き熱交換チューブの製造装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010025472A (ja) * 2008-07-22 2010-02-04 Jigyo Sozo Kenkyusho:Kk 熱交換装置及び熱交換装置を用いた太陽熱コレクタ
KR100953551B1 (ko) * 2008-03-13 2010-04-21 한재섭 공기대공기 열교환기 및 그의 제조방법
CN102922068A (zh) * 2012-10-31 2013-02-13 赵明生 一种焊接方法及其焊接用胶片和用途

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