JP2010075965A - ろう付用複合材 - Google Patents
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Abstract
【課題】バインダ使用によるコストアップ要素を排除し、かつ成形加工を受けた場合にもフラックスが剥離しにくいろう付用複合材を提供する。
【解決手段】アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材11と、基材11上に形成されたフラックス層12と、を備え、フラックス層12は、基材11上に塗布されたフラックス粉末を溶融、凝固して形成されたことを特徴とするろう付用複合材。フラックス層12中に、ろう材形成用の金属及びろう付後接合基材の犠牲防食層を形成する金属の1種又は2種を含むことができる。また、フラックスは、KAlF4、KZnF3、K2SiF6の何れか1種又は2種以上の混合物であることが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材11と、基材11上に形成されたフラックス層12と、を備え、フラックス層12は、基材11上に塗布されたフラックス粉末を溶融、凝固して形成されたことを特徴とするろう付用複合材。フラックス層12中に、ろう材形成用の金属及びろう付後接合基材の犠牲防食層を形成する金属の1種又は2種を含むことができる。また、フラックスは、KAlF4、KZnF3、K2SiF6の何れか1種又は2種以上の混合物であることが好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は、ろう付工法により製造される自動車熱交換器用に適した複合材に関する。
これまでラジエータやヒーターコア等の自動車用熱交換器に用いられるチューブ材は、一方の面にAl−Si系合金からなるろう材、他方の面にJIS 7072等のアルミニウム合金からなる犠牲陽極皮材をクラッドしたブレージングシートが使用されており、ベアフィン材と組合されてろう付されている。また、コンデンサ等のカーエアコン用材料には押出多穴管と、両面にろう材をクラッドしたいわゆるクラッドフィン材が組み合わされてろう付されている。ろう付法には真空ろう付と、ろう付前にフラックスを塗布し、N2ガス等の不活性雰囲気中で行うろう付がある。
ここで使用されるクラッド材は、鋳造された芯材合金及び皮材合金のスラブを面削によって所定の厚みとし、芯材と皮材を組付けた状態で熱間圧延して帯状体のクラッド材を得、さらに、冷間圧延を経て所望の厚みとしている。
また、最近ではこのようなクラッド材を使用しないでろう付する技術が開発されてきており、特許文献1にはアルミニウム、銅、黄銅、鋼などの基材の表面にSi、Cu、Geのいずれかからなる金属粒子とフラックスとからなる組成物を塗布し、加熱してろう付する方法(粉末ろう付け)が開示されている。この技術はカーエアコンのコンデンサ等に応用され、押出多穴管に塗布したろう材組成物と、ベアフィンとを組み合わせた熱交換器が実用化されている。
また、最近ではこのようなクラッド材を使用しないでろう付する技術が開発されてきており、特許文献1にはアルミニウム、銅、黄銅、鋼などの基材の表面にSi、Cu、Geのいずれかからなる金属粒子とフラックスとからなる組成物を塗布し、加熱してろう付する方法(粉末ろう付け)が開示されている。この技術はカーエアコンのコンデンサ等に応用され、押出多穴管に塗布したろう材組成物と、ベアフィンとを組み合わせた熱交換器が実用化されている。
特許文献1に開示されている粉末ろう付は以下の過程で進行する。
(1)ろう付熱処理の昇温過程においてフラックスが活性化する。
(2)活性化したフラックスが基材表面とろう材粉末(例えばSi粉末)表面の双方の酸化皮膜を破壊する。
(3)基材とろう材粉末それぞれの金属が接触することにより固相拡散が進行し、Al−Si合金共晶組成となった部分から溶解し、ろう材層を形成する。
なお、ろう付に用いられるフラックスとしては。一般的にKAlF4を主成分とするNOCOLOK FLUX(登録商標)、またはKZnF3を主成分とするNOCOLOK Zn FLUX(登録商標)が使用されている。
(1)ろう付熱処理の昇温過程においてフラックスが活性化する。
(2)活性化したフラックスが基材表面とろう材粉末(例えばSi粉末)表面の双方の酸化皮膜を破壊する。
(3)基材とろう材粉末それぞれの金属が接触することにより固相拡散が進行し、Al−Si合金共晶組成となった部分から溶解し、ろう材層を形成する。
なお、ろう付に用いられるフラックスとしては。一般的にKAlF4を主成分とするNOCOLOK FLUX(登録商標)、またはKZnF3を主成分とするNOCOLOK Zn FLUX(登録商標)が使用されている。
成形加工前のろう付用材料に、フラックスやろう材粉末をプレコートして使用する場合には、特許文献2、特許文献3に開示されるように、樹脂バインダを使用してフラックス粉末やろう材粉末を基材に固定する技術が知られる。この技術の採用により、成形加工を受けた場合にも、ろう付に必要な粉末の顕著な脱落を防ぐことが可能となり、良好なプレコート材の実用性が確保できる。
しかし、樹脂バインダの採用は、本来はろう付接合に不要な資材を使用することとなり、粉末のみを使用したろう付プロセスに対しコストアップ要素となる。また、バインダを用いる場合には、塗料化するための溶媒の使用や、塗料調合設備、塗料塗布設備を準備する必要もあり、熱交換器製造上、無視できない大きなコストを含むことも事実である。
そこで本発明は、このバインダ使用によるコストアップ要素を排除し、かつ成形加工を受けた場合にもフラックスが剥離しにくいろう付用複合材の提供を目的とする。
しかし、樹脂バインダの採用は、本来はろう付接合に不要な資材を使用することとなり、粉末のみを使用したろう付プロセスに対しコストアップ要素となる。また、バインダを用いる場合には、塗料化するための溶媒の使用や、塗料調合設備、塗料塗布設備を準備する必要もあり、熱交換器製造上、無視できない大きなコストを含むことも事実である。
そこで本発明は、このバインダ使用によるコストアップ要素を排除し、かつ成形加工を受けた場合にもフラックスが剥離しにくいろう付用複合材の提供を目的とする。
本発明者等は、上記問題に鑑み、プレコート材の主たるコストアップ要素となっているバインダを使用しない、低コストなろう付用のフラックスプレコート材の開発をした。具体的には、ろう付用粉末の一構成要素であるフラックスの粉末を基材状に塗布した後に溶融、凝固させてフラックス層を形成した。粉末状フラックスは、基材に塗布させただけの状態では殆ど密着性を持たず、基材の振動等によって容易に脱落する。溶融、凝固したフラックス層は、粉末の状態とは異なり、層状として一体化されているため、基材が振動等しても容易には脱落せず、また、成形加工により基材が変形してもある程度までは脱落せずに変形に追従できる。従って、本発明により、樹脂バインダを使用しなくても、成形時の耐剥離性の良好なプレコート材の提供が可能となる。フラックス粉末を溶融、凝固して層状にできるのは、一般に、ろう付に用いるフラックスは、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材よりも融点が低いためである。
すなわち本発明のろう付用複合材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材と、基材上に形成されたフラックス層と、を備え、フラックス層は、基材上に塗布されたフラックス粉末を溶融、凝固して形成されたことを特徴とする。
すなわち本発明のろう付用複合材は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材と、基材上に形成されたフラックス層と、を備え、フラックス層は、基材上に塗布されたフラックス粉末を溶融、凝固して形成されたことを特徴とする。
本発明のろう付用複合材において、フラックス層中に、ろう材形成用の金属及びろう付後接合基材の犠牲防食層を形成する金属の1種又は2種を含むことができる。これは、基材上にフラックス粉末とともに、ろう材形成用の金属粉末(ろう材粉末)及びろう付後接合基材の犠牲防食層を形成する金属粉末(犠牲防食粉末)の一方又は双方を塗布し、フラックス粉末を溶融、凝固させることにより得られる。ろう材形成用の金属粉末、ろう付後接合基材の犠牲防食層を形成する金属粉末は、フラックスが溶融する温度で溶融しない場合もあるが、溶融、凝固したフラックス層中にろう材粉末、犠牲防食粉末が取り込まれることで、フラックス層中にろう材粉末、犠牲防食粉末を一体として固定することができる。従って、フラックス機能とともにろう材、犠牲防食層の供給を同時に実現するプレコート材の製作も可能である。
本発明のろう付用複合材において、フラックスとしては、KAlF4、KZnF3、K2SiF6の何れか1種または2種以上の混合物であることが好ましい。
本発明のろう付用複合材において、フラックスとしては、KAlF4、KZnF3、K2SiF6の何れか1種または2種以上の混合物であることが好ましい。
本発明によれば、バインダ使用によるコストアップ要素を排除し、かつ成形加工を受けた場合にもフラックスが剥離しにくいろう付用複合材が提供できる。
図1は、本実施の形態におけるろう付用複合材10の断面を模式的に示す図である。
ろう付用複合材10は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材11と、基材11上に形成されるフラックス層12とから構成される。なお、図1ではフラックス層12は、基材11の一方の面の全面に形成された例を示しているが、本発明は他方の面にもフラックス層12を設けることもできるし、基材11の一方又は双方の面の一部にフラックス層12を設けることもできる。
ろう付用複合材10は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材11と、基材11上に形成されるフラックス層12とから構成される。なお、図1ではフラックス層12は、基材11の一方の面の全面に形成された例を示しているが、本発明は他方の面にもフラックス層12を設けることもできるし、基材11の一方又は双方の面の一部にフラックス層12を設けることもできる。
基材11は、公知のアルミニウム又はアルミニウム合金を広く適用できる。つまり、純アルミニウム(1000系合金)、Al−Cu系合金(2000系合金)、Al−Mn系合金(3000系合金)、Al−Mg系合金(5000系合金)、Al−Mg−Si系合金(6000系合金)、Al−Zn−Mg系合金(7000系合金)のいずれをも基材11に用いることができる。ろう付用複合材10を自動車用熱交換器のチューブに用いることを考慮すると、JIS 1050合金に代表される1000系合金やJIS 3003合金に代表される3000系合金が基材11にとって好ましい。
基材11の形状、寸法も本発明で限定される要素ではなく、いかなる形状、寸法についても本発明を適用できる。ろう付用複合材10を自動車用熱交換器のチューブに用いることを考慮すると、厚さ0.1〜1.0mmの板材を基材11とすることが好ましい。また、ヘッダープレートやサイドサポートに用いる場合には、0.5〜2.0mm程度が好ましい。また、フィン材に用いる場合には、0.05〜0.2mm程度が望ましい。
基材11の形状、寸法も本発明で限定される要素ではなく、いかなる形状、寸法についても本発明を適用できる。ろう付用複合材10を自動車用熱交換器のチューブに用いることを考慮すると、厚さ0.1〜1.0mmの板材を基材11とすることが好ましい。また、ヘッダープレートやサイドサポートに用いる場合には、0.5〜2.0mm程度が好ましい。また、フィン材に用いる場合には、0.05〜0.2mm程度が望ましい。
<フラックス層12>
フラックス層12は、基材11上に塗布されたフラックス粉末を溶融、凝固することにより形成される。
本発明に用いるフラックスは、代表的なものとしてKAlF4、KZnF3及びK2SiF6のいずれかを主成分とするものがある。これらは、ろう付後残渣がアルミニウムに対して非腐食性である点、また、融点やコストの点で好ましい。しかし、これらに限定されず、一般のアルミニウム又はアルミニウム合金のろう付に用いられるフラックスであれば何れも使用ができる。例えば、ZnF2、ZnCl2、KF、K2AlF5、K3AlF6、AlF3、CsF、RbF、LiF、NaF、Ca2F、CsAlF4等のアルミニウム合金のろう付に一般的なフラックスを用いることができ、本発明においてその種類を限定するものではない。また、これらフラックスの混合物を使用することもできる。
フラックス粉末の塗布量は任意であるが、1〜50g/m2の範囲で選択することが好ましい。1g/m2未満ではフラックスとしての機能を果たすことができず、また、50g/m2を超えると、
フラックスとしての機能は飽和し、且つ、材料成形時にフラックスの崩落が顕著になるためである。好ましいフラックス組成物粉末の塗布量は1〜25g/m2である。
フラックス粉末の粒径は、0.1〜100μmとすることが好ましく、0.1〜50μmとすることがより好ましい。
フラックス層12は、基材11上に塗布されたフラックス粉末を溶融、凝固することにより形成される。
本発明に用いるフラックスは、代表的なものとしてKAlF4、KZnF3及びK2SiF6のいずれかを主成分とするものがある。これらは、ろう付後残渣がアルミニウムに対して非腐食性である点、また、融点やコストの点で好ましい。しかし、これらに限定されず、一般のアルミニウム又はアルミニウム合金のろう付に用いられるフラックスであれば何れも使用ができる。例えば、ZnF2、ZnCl2、KF、K2AlF5、K3AlF6、AlF3、CsF、RbF、LiF、NaF、Ca2F、CsAlF4等のアルミニウム合金のろう付に一般的なフラックスを用いることができ、本発明においてその種類を限定するものではない。また、これらフラックスの混合物を使用することもできる。
フラックス粉末の塗布量は任意であるが、1〜50g/m2の範囲で選択することが好ましい。1g/m2未満ではフラックスとしての機能を果たすことができず、また、50g/m2を超えると、
フラックスとしての機能は飽和し、且つ、材料成形時にフラックスの崩落が顕著になるためである。好ましいフラックス組成物粉末の塗布量は1〜25g/m2である。
フラックス粉末の粒径は、0.1〜100μmとすることが好ましく、0.1〜50μmとすることがより好ましい。
フラックス粉末を基材11上に塗布する方法は任意であり、静電塗布法、粉体スプレー塗布法等、基材11上に粉末を塗布させられる方法であれば何れの方法でも選択が可能である。溶媒を用いた湿式塗装も選択できるが、溶媒使用によるコストアップを考えれば、溶媒を用いない乾式法による塗布が好適である。
フラックス層12は、ろう材形成用の金属及び犠牲防食層を形成する金属の一方又は双方を含むことができる。この場合、フラックス粉末と、ろう材粉末及び犠牲防食粉末の一方又は双方との混合粉末を基材11上に塗布し、溶融、凝固することによりフラックス層12が形成される。
フラックス層12に含まれるろう材形成用の金属としては、Si又はAl−Si合金が適している。Al−Si合金としては、Si:5〜50質量%、残部が不可避不純物及びAlからなる組成を有すればよい。
ろう材粉末の塗布量は任意であるが、0.1〜100g/m2の範囲で選択することが好ましい。0.1g/m2未満ではろう材として機能することが難しい。また、100g/m2を超えるとろう付時のろうが過剰となり、部材のろう侵食や、目詰まり等の問題が生じる懸念がある。好ましいろう材粉末の塗布量は1〜75g/m2である。
ろう材粉末の粒径は、0.1〜75μmとすることが好ましく、0.1〜30μmとすることがより好ましい。
ろう材粉末の塗布量は任意であるが、0.1〜100g/m2の範囲で選択することが好ましい。0.1g/m2未満ではろう材として機能することが難しい。また、100g/m2を超えるとろう付時のろうが過剰となり、部材のろう侵食や、目詰まり等の問題が生じる懸念がある。好ましいろう材粉末の塗布量は1〜75g/m2である。
ろう材粉末の粒径は、0.1〜75μmとすることが好ましく、0.1〜30μmとすることがより好ましい。
フラックス層12に含まれる犠牲防食層を形成する金属としては、Zn又はAl−Zn合金が適している。Al−Zn合金としては、Zn:0.1〜50質量%、残部が不可避不純物及びAlからなる組成を有すればよい。
本発明における犠牲防食粉末の塗布量は任意であるが、0.1〜100g/m2の範囲で選択することが好ましい。0.1g/m2未満では犠牲防食層として十分機能することが難しく、また、100g/m2を超えると犠牲防食層の腐食しろが大きくなり過ぎ、腐食によってろう付構造物の形態変化が大きくなってしまう問題点が挙げられるからである。好ましい犠牲防食粉末の塗布量は1〜50g/m2である。
犠牲防食粉末の粒径は、本発明において任意であるが、フラックス粉末の粒径と同等とすればよい。
本発明における犠牲防食粉末の塗布量は任意であるが、0.1〜100g/m2の範囲で選択することが好ましい。0.1g/m2未満では犠牲防食層として十分機能することが難しく、また、100g/m2を超えると犠牲防食層の腐食しろが大きくなり過ぎ、腐食によってろう付構造物の形態変化が大きくなってしまう問題点が挙げられるからである。好ましい犠牲防食粉末の塗布量は1〜50g/m2である。
犠牲防食粉末の粒径は、本発明において任意であるが、フラックス粉末の粒径と同等とすればよい。
フラックス粉末、さらにはろう材粉末、犠牲防食粉末が塗布された基材11を加熱してフラックス粉末を溶融、凝固させると、基材11上にフラックス層12が形成される。加熱の際にフラックス粉末等の飛散を防ぐために、遠赤外線加熱装置、誘導加熱装置、又は低風速の熱風炉を使用して加熱するのが適当である。
加熱は、大気中でも十分実施可能であるが、塗布量が多い場合等で、加熱中の基材や粉末の酸化膜成長により、基材と粉末の結合が十分に得られない場合には、不活性ガス等の非酸化性雰囲気を用いることも可能である。
加熱温度は、フルオロアルミン酸カリウム(KAlF4)の融点である560℃以上であることが要件となる。ただし、この加熱により基材11が溶融することは避けたいので、基材11の融点未満の温度で加熱する必要がある。具体的には、560〜640℃とすれば、フラックス粉末を十分に溶融できる。より好ましくは、加熱温度を560〜575℃とすることで、ろう材を溶融させること無く、従ってろう付前に不要な、材料へのろう侵食を防ぎながら、フラックスのみを溶融させることが可能である。この場合は何れも、犠牲防食粉末は、選択した合金組成によっては溶融することとなるが、溶融した場合にも、適切な加熱処理時間を選択することで、問題となるようなZnの拡散を抑制することが可能である。
加熱時間は、加熱方法及び温度によっても左右されるが、全てのフラックス粉末を溶融させるために、融点以上の温度に達してから好ましくは10sec〜5min保持する。
加熱は、大気中でも十分実施可能であるが、塗布量が多い場合等で、加熱中の基材や粉末の酸化膜成長により、基材と粉末の結合が十分に得られない場合には、不活性ガス等の非酸化性雰囲気を用いることも可能である。
加熱温度は、フルオロアルミン酸カリウム(KAlF4)の融点である560℃以上であることが要件となる。ただし、この加熱により基材11が溶融することは避けたいので、基材11の融点未満の温度で加熱する必要がある。具体的には、560〜640℃とすれば、フラックス粉末を十分に溶融できる。より好ましくは、加熱温度を560〜575℃とすることで、ろう材を溶融させること無く、従ってろう付前に不要な、材料へのろう侵食を防ぎながら、フラックスのみを溶融させることが可能である。この場合は何れも、犠牲防食粉末は、選択した合金組成によっては溶融することとなるが、溶融した場合にも、適切な加熱処理時間を選択することで、問題となるようなZnの拡散を抑制することが可能である。
加熱時間は、加熱方法及び温度によっても左右されるが、全てのフラックス粉末を溶融させるために、融点以上の温度に達してから好ましくは10sec〜5min保持する。
基材11として厚さ1.2mmのJIS 3003−O材からなるアルミニウム合金板を用意し、この基材11の片面に、フラックス粉末、又はフラックス粉末とろう材粉末及び/又は犠牲防食粉末との混合物(以下、単に混合物)を表1に示すように塗布した。塗布は静電塗布によって行った。
粉末を塗布した後に、565℃で1分保持して少なくともフラックス粉末を溶融させ、しかる後室温まで冷却して凝固させてフラックス層12を形成した。なお、加熱・冷却ともに窒素雰囲気中で行い、加熱は誘導加熱とした。また、比較例1、2として樹脂バインダでフラックス粉末等を基材の片面に固定したろう付用複合材を作製した。
粉末を塗布した後に、565℃で1分保持して少なくともフラックス粉末を溶融させ、しかる後室温まで冷却して凝固させてフラックス層12を形成した。なお、加熱・冷却ともに窒素雰囲気中で行い、加熱は誘導加熱とした。また、比較例1、2として樹脂バインダでフラックス粉末等を基材の片面に固定したろう付用複合材を作製した。
以上のようにして作製したろう付用複合材を用いて、ラジエータのヘッダープレートの形状にプレス成形加工を実施して、最終工程後(ピアス工程後)にフラックス層12の剥離状況を目視にて観察して、フラックス層の耐加工密着性を評価した。プレス成形加工は、図2に示すように、(a)ドロー → (b)トリム → (c)曲げ → (d)ピアスの計4工程からなる。結果を表1に示す。なお、評価基準は以下のとおりである。
基準:○:剥離なし △:若干剥離あり ×:剥離大
基準:○:剥離なし △:若干剥離あり ×:剥離大
また、成形加工後、チューブと組み合わせてろう付処理を行い、以下の基準でろう付性を判定した。
なお、ろう付熱処理については、窒素ガス雰囲気中において605℃の温度で3分間保持した後、100℃/分の冷却速度で室温(25℃)まで冷却して行った。また、ろう材が含まれない実施例については、基材11としてJIS 3003/JIS 4045−5%クラッド材を用いた。結果を表1に示す。
○:接合部の残存数/接合部の全数の割合が100%であった。
×:接合部の残存数/接合部の全数の割合が100%未満であった。
なお、ろう付熱処理については、窒素ガス雰囲気中において605℃の温度で3分間保持した後、100℃/分の冷却速度で室温(25℃)まで冷却して行った。また、ろう材が含まれない実施例については、基材11としてJIS 3003/JIS 4045−5%クラッド材を用いた。結果を表1に示す。
○:接合部の残存数/接合部の全数の割合が100%であった。
×:接合部の残存数/接合部の全数の割合が100%未満であった。
基材11として厚さ1.2mmのJIS 1100−O材からなるアルミニウム合金板を用意した以外は、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示す。
10…ろう付用複合材、11…基材、12…フラックス層
Claims (3)
- アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材と、
前記基材上に形成されたフラックス層と、を備え、
前記フラックス層は、前記基材上に塗布されたフラックス粉末を溶融、凝固して形成されたことを特徴とするろう付用複合材。 - 前記フラックス中に、
ろう材形成用の金属及びろう付後接合基材の犠牲防食層を形成する金属の1種又は2種を含むことを特徴とする請求項1記載のろう付用複合材。 - 前記フラックスが、KAlF4、KZnF3、K2SiF6の何れか1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1又は2記載のろう付用複合材。
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