JP2005220425A - 熱交換器に用いられるろう付用高強度アルミニウム合金材 - Google Patents

熱交換器に用いられるろう付用高強度アルミニウム合金材 Download PDF

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Abstract

【課題】 クラッド材を用いることなく高強度でろう付接合性、耐食性に優れた熱交換器用アルミニウム合金材を得る。
【解決手段】 溶湯を鋳造する際の冷却速度を15℃/sec〜1000℃/secにして板材あるいはインゴットとし、これを冷間圧延により所定の板厚としたアルミニウム合金板材の片面または両面に、Al−Si系合金粉末ろう材やSi粉末ろう材などの粉末ろう材と、K1−3AlF4−6、ZnF、ZnCl、KZnFなどの単独または混合したフラックスを含むろう付用組成物を塗布する。また、上記アルミニウム合金板材の片面に前記ろう付用組成物を塗布し、他の片面にZnF、ZnCl、KZnFなどの単独または混合したZn含有フラックスを含むフラックス組成物を塗布しても良い。
【選択図】 図2

Description

本発明は、自動車用などの熱交換器の構成部材として用いられるろう付用高強度アルミニウム合金材に関するものである。
これまでラジエータやヒータコアなどの水冷式の自動車用熱交換器に用いられる管やヘッダープレート材では、片面にAl−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう材、もう片方の面にJIS A7072合金などの犠牲陽極皮材をクラッドしたブレージングシートが使用されている。また、サイドサポート材やカーエアコン用のヘッダープレート材でも片面にAl−Si系あるいはAl−Si−Zn系ろう材をクラッドしたブレージングシートが使用されている。これらの材料はフィン材などと組合せ、フラックスを塗布したあと、高純度窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中でろう付熱処理を施し熱交換器となる。
なお、近年の自動車の軽量化により自動車用熱交換器もまた軽量化や高熱交換効率が求められており、これを形成する熱交換器部材も薄肉、高強度化が求められている。ラジエータやヒータコアなど冷媒に腐食性のあるものが使用される熱交換器の管やヘッダープレートでは犠牲材にMgを添加することで高強度化する技術も行なわれるようになってきている。
また、アルミニウムやアルミニウム合金の製造方法として鋳造時の冷却速度を15℃/s〜1000℃/sとする製造方法が開発されており、冷却速度の遅い半連続鋳造法などに比べ高強度の材料が得られるようになってきており、ろう材や犠牲材などをクラッドしないフィン材などに適用される技術も開発されつつある(例えば特許文献1)。
特開2002−256402号
しかし、ろう材や犠牲材を貼り合わせるクラッド材では、ろう材、芯材、さらに犠牲材を別々に準備する必要があり、生産性が悪く、貼合せを行わないベア材に比べて製造上のコストがかかるという問題がある。さらに、冷間圧延途中に生じた、いわゆるスクラップ材の再利用が難しいという問題もある。また、上述したようにクラッド材で高強度化するには犠牲材にMgを添加するなどの技術が必要となるが、犠牲材を貼り合わせない両面ろう材や片面のみろう材が使用される場合などでは、ろう付性を損なうMg(フラックスのFなどと反応してろう付性を低下させるMgFなどを生成する)を芯材に多く添加することが難しく高強度化に限界がある。
一方で、上述したように鋳造時の冷却速度の速い材料は実用的には水冷双ロール方式などにより溶湯から直接2〜10mm程度の板材を作製する方法が取られることから、ろう材や犠牲材の貼合せは困難であり、できてもクラッド率のばらつきが非常に大きいなど実用上残された課題が非常に多い。
ところで、押出チューブ材やクラッドろう材や犠牲材などがクラッドされていない板などの展伸材に粉末ろうや置きろうなどとフラックスやバインダを混合したろう材組成物を形成させる技術もあったが、従来の冷却速度の遅い半連続鋳造法などにより作製された材料では強度が低く、犠牲材にMgを添加したクラッド材に比べ著しく強度に劣るなどの問題がある。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、クラッド材を用いることなく、薄肉、高強度で良好なろう付が可能なろう付用高強度アルミニウム合金材を提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは上述のような観点から、生産上のコストが安価で、高い強度を併せもつ自動車用熱交換器用材料の研究を行なった結果、鋳造時の冷却速度を15〜1000℃/secとした板材あるいはスラブを作製し、これに焼鈍と圧延を施して所定の板厚のアルミニウム材としたあと、その片面や両面にろう材組成物やZn含有フラックス組成物を塗布することで、優れたろう付性や耐食性を併せ持つことが可能となり、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の熱交換器用高強度アルミニウム合金材のうち請求項1記載の発明は、溶湯を鋳造する際の冷却速度を15℃/sec〜1000℃/secにして板材あるいはインゴットとし、これを冷間圧延により所定の板厚としたアルミニウム合金板材の片面または両面に、粉末ろう材を含むろう付用組成物が塗布されていることを特徴とする。
請求項2記載の熱交換器用高強度アルミニウム合金材の発明は、請求項1記載の発明において、前記ろう付用組成物は、Al−Si系合金粉末ろう材またはSi粉末と、フラックスとを混合したものを含むことを特徴とする。
請求項3記載の熱交換器用高強度アルミニウム合金材は、請求項2記載の発明において、前記ろう付用組成物に含まれるフラックスが、K1−3AlF4−6、ZnF、ZnCl、KZnFの単独または混合したものを含むことを特徴とする。
請求項4記載の熱交換器用高強度アルミニウム合金材の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記粉末ろう材の塗布量が、1〜150g/mであることを特徴とする。
請求項5記載の熱交換器用高強度アルミニウム合金材の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記アルミニウム合金板材の片面に前記ろう付用組成物が塗布され、他の片面にZn含有フラックスを含むフラックス組成物が塗布されていることを特徴とする。
請求項6記載の熱交換器用高強度アルミニウム合金材の発明は、請求項5記載の発明において、前記Zn含有フラックスが、ZnF、ZnCl、KZnFの単独または混合したものを含むことを特徴とする。
請求項7記載の熱交換器用高強度アルミニウム合金材の発明は、請求項5または6に記載の発明において、前記Zn含有フラックスの塗布量が、3〜50g/mであることを特徴とする。
請求項8記載の熱交換器用高強度アルミニウム合金材の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の発明において、前記アルミニウム合金板材は、質量%で、Mn:0.2〜3.0%、Si:0.2〜1.5%、Fe:0.05〜2.5%を含有し、残部Alと不可避不純物であることを特徴とする。
請求項9記載の熱交換器用高強度アルミニウム合金材の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の発明において、前記アルミニウム合金板材の成分として、さらに、質量%で、Cu:0.7%以下、Zr:0.2%以下、Ti:0.25%以下、Mg:0.5%以下、Cr:0.2%以下、V :0.2%以下、Zn:0.5%以下のうち1種または2種以上含有することを特徴とする。
以下に、本発明で規定する条件について説明する。なお、以下で示す成分量は、いずれも質量%で示される。
鋳造時の冷却速度:15〜1000℃/s
鋳造時の冷却速度を大きくすることで、鋳造時に元素を過飽和に固溶させることができ、微細均一な析出物をアルミニウム合金板材に分散させることができる。また、鋳造時の晶出物も冷却速度が遅い場合に比べて微細均一であるため、その後の焼鈍やろう付熱処理における化合物の析出が促進され強度が高まる。これらの作用を実効的に得るために鋳造時の冷却速度を15℃/s以上にすることが必要である。また、工業性を考慮して上限を1000℃/sに定める。
粉末ろう材の塗布量:1〜150g/m
十分なろう付性を得るために、Al−Si系粉末ろう材、Si粉末ろう材などの粉末ろう材を、塗布領域において1g/m以上の塗布量で塗布されていることが必要である。ただし、150g/mを超えて塗布されていると、ろう付時のアルミニウム材の浸食が激しくなるので、塗布量を1〜150g/mの範囲に定める。同様の理由で、下限を1.5g/m、上限を100g/mとするのが望ましい。
Zn含有フラックスの塗布量:3〜50g/m
Zn含有フラックスは、ろう付時にアルミニウム材に拡散し、材料表面から内部へ向けて形成されるZn拡散層により腐食性冷媒などに対する耐孔食性を確保する。これら作用を実効的に得るために、該フラックスの塗布量は、塗布領域において3g/m以上とすることが必要である。一方、50g/mを超えて塗布するものとすると、腐食速度が速くなりすぎて自己腐食が過度になる。
(成分の作用と成分含有量の限定理由)
Mn:0.2〜3.0%
Mnは、金属間化合物として晶出または析出し、ろう付後の強度を向上させる。また、Al−Mn−Si化合物を形成して、マトリックスのSi固溶度を低くし、マトリックスの融点を向上させることができる。これら作用を十分に得るためには、0.2%以上の含有が必要である。一方、3.0%を超えて含有すると、圧延時に表面および端部で割れ等が発生し、また巨大晶出物の出現より、鋳造性や圧延性を著しく低下させる。これらのため、Mn含有量は0.2〜3.0%に定める。なお、同様の理由で下限を0.4%、上限を2.5%とするのが望ましい。
Si:0.2〜1.5%
Siは、Al−Mn−Si化合物として分散あるいはマトリックスに固溶して強度を向上させる。また、このような化合物の形成によりろう付後のMn固溶度を低下させ熱伝導性を向上させる。これらの作用を十分に得るためには、0.2%以上の含有が必要である。一方、1.5%を超えて含有すると、融点が低下し、ろう付時に溶融する。また巨大晶出物の出現により、鋳造性や圧延性を著しく低下させる。これらのため、Si含有量は0.2〜1.5%に定める。なお、同様の理由で下限を0.5%、上限を1.3%とするのが望ましい。
Fe:0.05〜2.5%
Feは金属間化合物として晶出または析出し、ろう付後の強度を向上させる。この作用を十分に得るためには、0.05%以上の含有が必要である。一方、2.5%を超えて含有すると、腐食速度が速くなりすぎる。さらに巨大晶出物の出現により、鋳造性や圧延性を著しく低下させる。これらのため、Feの含有量は、0.05〜2.5%の範囲内に定める。なお、同様の理由で下限を0.1%、上限を1.8%とするのが望ましい。
Cu:0.7%以下
Mg:0.5%以下
Cu、Mgは、マトリックスに固溶して強度を向上させるので、所望によりその1種又は2種を含有させることができる。ただし、Cuでは0.7%を超えて含有すると腐食速度が速くなりすぎ、また、融点が低下してろう付時にアルミニウム合金板が溶融するので、上限を0.7%とする。また、Mgでは、0.5%を超えて含有するとろう付性を低下させるので、上限を0.5%とする。
なお、上記作用を十分に得たい場合、Cuでは0.1%以上、Mgでは0.05%以上含有するのが望ましい。また、上記各理由と同様の理由により、Cuでは下限を0.15%、上限を0.6%とするのがさらに望ましく、Mgでは、下限を0.01%、上限を0.2%とするのが一層望ましい。
なお、Cuの含有は、上記のように腐食速度を増大させて耐食性を低下させる特性を有するため、特に強度を重視した材料(例えば熱交換器のサイドサポート材、コアプレート材など)において添加するのが望ましい。
Cr:0.2%以下
V :0.2%以下
Ti:0.25%以下
Zr:0.2%以下
これらCr、V、Ti、Zrは、ろう付後に微細な金属間化合物として分散し、強度を向上させるので、所望により1種又は2種以上を含有させることができる。ただし、これら成分を過剰に含有すると加工性の低下、自己耐食性の低下、熱伝導性の低下を招くので、Crでは0.2%、Vでは0.2%、Tiでは0.25%、Zrでは0.2%を上限に定める。なお、これら成分による前記作用を十分に得るためには、それぞれ0.01%以上含有させるのが望ましい。また、上記各理由と同様の理由により、Crでは下限を0.02%、上限を0.08%とするのが望ましく、Vでは下限を0.02%、上限を0.08%とするのが望ましく、Tiでは下限を0.08%、上限を0.20%とするのが望ましく、Zrでは、下限を0.07%、上限を0.13%とするのが望ましい。
Zn:0.5%以下
Znは、アルミニウム材表面と被接合部材との電位差を大きくなりすぎないようにするので所望により含有させる。ただし、0.5%を超えて含有すると腐食速度が速くなりすぎて自己耐食性が低下するので上限を0.5%とする。なお、Znによる前記作用を十分に得るためには、0.01%以上含有させるのが望ましい。また、上記と同様の理由により、下限を0.05%、上限を0.2%とするのが望ましい。
以上説明したように、本発明の熱交換器用高強度アルミニウム合金材によれば、溶湯を鋳造する際の冷却速度を15℃/sec〜1000℃/secにして板材あるいはインゴットとし、これを冷間圧延と焼鈍により所定の板厚としたアルミニウム合金板材の片面または両面に、粉末ろう材を含むろう付用組成物が塗布されているので、鋳造時に大きな冷却速度で冷却されたアルミニウム合金板材によって高い強度が得られる。また、該板材にろう付用組成物が塗布されていることにより、ろう付時に該組成物によって該板材同士または該板材と他部材とがろう付される。また、本発明の合金材では、上記板材の成分の調整や熱処理によって晶出物が生成されることで再結晶が促進され、ろう付時のエロージョンの問題が回避できる。
ろう付後のアルミニウム合金材は、高い強度と優れた耐食性、さらに強固な接合性が確保されており、自動車などの過酷な使用環境においても耐久性に優れた熱交換器を構成することができる。
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
所定の組成を有するアルミニウム合金によって常法の溶解法などによりアルミニウム合金溶湯を得る。次に、この溶湯を鋳造することにより板材又はインゴットを作製する。鋳造時の冷却速度は15〜1000℃/secとする。鋳造方法としては、例えば、水冷双ロールを用いた連続鋳造圧延法などを採用することができるが、本発明はこの方法に限定されるものではない。
次に、鋳造によって板材を得た場合には熱間圧延することなく冷間圧延し、インゴットを得た場合には熱間圧延を行うことにより板材を作製し、その後冷間圧延する。
なお冷間圧延の際には、冷間圧延前または冷間圧延中途(又は両方)に少なくとも1回の焼鈍を施すのが望ましい。このとき、460〜600℃、4時間以内の焼鈍を少なくとも1回施す。このように、460〜600℃の温度で、4時間以内の焼鈍を少なくとも1回施すことにより、Al−Mn−Si系化合物の形成を促進させ、製造されるアルミニウム合金材のろう付け後のMn固溶度を低下させることができ、熱伝導性を向上させることができる。
また、上記の条件で焼鈍を施すことにより、晶出物が成長し再結晶粒の核を形成することができ、アルミニウム合金材の耐エロージョン性を向上させ、ろう付け性を向上させることができる。上記焼鈍の温度が460℃より低いと、Al−Mn−Si系化合物の析出が不十分であり、600℃より高い場合には、元素が固溶して、製造されるアルミニウム合金材の熱伝導性が低下する。したがって、上記焼鈍の温度は460〜600℃が好ましい。なお、上記焼鈍の温度を高くするにつれて、得られるフィン材の耐エロージョン性を向上することができる。上記焼鈍の温度は、より好ましくは460〜560℃とすることが望ましい。上記焼鈍の処理時間を4時間より長く処理した場合には、それ以上の効果が得られないので、フィン材の生産効率を向上させるために4時間以下の処理を行うことが望ましい。上記焼鈍は連続式(CAL)で行ってもよいし、バッチ式で行ってもよい。
なお、冷間圧延では、最終圧延率が15〜50%になるように冷間圧延するのが望ましい。最終圧延率を15〜50%とすることにより、成形性の良いアルミニウム合金材が得られる。また、ろう付けする際の加熱によって再結晶させるとともに、再結晶粒径を大きくすることができるので、耐エロージョン性をさらに向上させ、ろう材による侵食を抑制することができる。なお、最終圧延率を15%未満とした場合には、ろう付け時の加熱で再結晶せず、最終圧延率を50%より高くした場合には成形性が低下するとともに、再結晶粒が微細になって、耐エロージョン性が低下し、ろう材による侵食が大きくなるという問題が発生する。
冷間圧延を終了した板材は、必要に応じて最終焼鈍を行うことができる。この最終焼鈍は、300〜450℃で4時間以下で行うのが望ましい。
冷間圧延を終了した板材(必要に応じて最終焼鈍を行った板材も含む)は、片面または両面の必要箇所にろう付用組成物の塗布処理がなされる。該ろう付用組成物は、主成分として粉末ろう材を含んでいる。熱交換器用のアルミニウム合金材に適用されるろう付用組成物の代表例としてAl−Si系合金粉末ろう材、Si粉末ろう材を挙げることができる。なお、Al−Si系合金粉末ろう材においては、ろう付性等を考慮して、成分の選択、各成分含有量の選定を行うことができる。
また、粉末ろう材の粒径も本発明としては特に限定されるものではなく、ろう付性や塗布作業などを考慮して定めることができる。該粉末の平均粒径の一例としては、1〜100μmを示すことができる。また、塗布量の望ましい範囲は、1〜150g/mである。
上記ろう付用組成物は、上記粉末ろう材に加えて、通常、フラックスを含んだ混合物として提供される。このフラックスの混合量は特に限定されないが、例えば、粉末ろう材量10〜50重量部に対し、フラックス70〜150重量部を混合したものを使用することができる。該フラックスとしてはフッ化物、塩化物フラックスなどを用いることができ、代表的には、K1〜3AlF4〜6(KAlF、KAlF、KAlF)、ZnF、ZnCl、KZnFの単独または混合したものを挙げることができる。この他にNaCl、KCl、LiCl等を例示することができるが、本発明としては、特にフラックスの種別が限定されるものでもない。
さらに、上記ろう付用組成物は、各種分散媒やバインダを混合してアルミニウム合金材への付着を容易にすることができる。分散媒としては、水、アルコール類(特にメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ペンタノール等の炭素数1〜8の脂肪族アルコールが好ましい)などを用いることが出来る。また、バインダとしては、接合部の特性を低下させないで、粉末を良好に固着できるものであればよく、カルボキシル基を有する水溶性高分子化合物やアクリル系、メタクリル系樹脂等を挙げることができる。なお、これら分散媒、バインダの混合比率も適宜選定することができる。
また、本願発明では、アルミニウム合金材の片面にろう付用組成物を塗布する場合、前記したように他面にZn含有フラックスを含むフラックス組成物を塗布することができる。Zn含有フラックスは、アルミニウム合金材に拡散させるZnを含有するものであり、例えば、ZnF、ZnCl、KZnFの単独または混合したものを挙げることができる。ただし、本発明としてはZn含有フラックスの種別は、Znを含有することは必須であるが、その他に特定のものに限定されるものではない。Zn含有フラックスの好適な塗布量は3〜50g/mである。
また、上記フラックス組成物においても、各種分散媒やバインダを混合してアルミニウム合金材への付着を容易にすることができる。分散媒としては、上記と同様に、水、アルコール類(特にメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ペンタノール等の炭素数1〜8の脂肪族アルコールが好ましい)などを用いることができ、バインダとしては、カルボキシル基を有する水溶性高分子化合物やアクリル系、メタクリル系樹脂等を挙げることができる。なお、これら分散媒、バインダの混合比率も適宜選定することができる。
上記したろう付用組成物、フラックス用組成物は、十分に混合、攪拌した後、アルミニウム合金材に付着させるのが望ましい。混合、攪拌の方法は特に限定されないが、例えば、攪拌翼によって機械的に攪拌する方法を挙げることができる。
また、上記ろう付用組成物、フラックス用組成物をアルミニウム合金材に付着させる方法として、スプレー法、シャワー法、フローコータ法、ロールコータ法、刷毛塗り法、浸漬法といった手段を利用することができるが、本発明としては、付着方法が特定の方法に限定されるものではない。
アルミニウム合金材に固着されたろう付用組成物やフラックス用組成物は、自然乾燥によって分散媒を乾燥させてもよく、加熱によって積極的に乾燥させてもよい。
ろう付用組成物やフラックス用組成物を固着させたアルミニウム合金材は、必要に応じて成形加工を施して熱交換器用のアルミニウム合金材とし、さらに被接合材と組み付けて常法によりろう付に供することができる。
図1は、本発明のアルミニウム合金材2にろう付用組成物10およびフラックス用組成物11を塗布したものを示している。ろう付用組成物10は粉末ろう材10aとフラックス10b、バインダ10cの混合物として模式的に示し、フラックス組成物11はZnフラックス11a、バインダ11bの混合物として模式的に示している。
図2は、上記アルミニウム合金材2をチューブ形状に成形し、他部材であるフィン3と組み付ける状態を示す図である。
上記アルミニウム合金材に対するろう付時の加熱温度、雰囲気は適宜選定することができ、本発明としては特に限定されない。該ろう付によって本発明のアルミニウム合金材同士または本発明のアルミニウム合金材と他部材とが接合されて熱交換器の一部または全部が作製される。図3は、本発明のアルミニウム合金材を用いて製作された熱交換器1の一例を示している。上記説明では、本発明のアルミニウム合金材2をチューブに用いるものとして説明したが、サイドプレート4やコアプレート5などに適用することも可能である。
次に、表1に示す組成(残部Alおよび不可避不純物)のアルミニウム合金を鋳造時の冷却速度(30℃/秒、200℃/秒)を変えて鋳造し、中間焼鈍、冷間圧延によりラジエータチューブの圧延材を作製した。なお、中間焼鈍として、490℃で3時間加熱する処理を1回行い、冷間圧延の最終冷間圧延率は35%として最終板厚0.2mmとした。
上記により得られたアルミニウム合金材(供試材)の片面に、以下に示すろう付用組成物をロールコート法により5g/mの割合で塗布した。また、アルミニウム合金材の他の片面に以下に示すZn含有フラックス組成物をロールコート法により10〜15g/mの割合で塗布した。なお、一部の供試材では、片面にろう付用組成物を塗布し、他の片面は未塗布とした。
ろう付用組成物
粉末ろう材:Si粉末(平均粒径10μm)、30%
フラックス:KAlF+KAlF 、50%
バインダ :アクリル系 、20%
分散媒 :イソプロピルアルコール
フラックス組成物
Zn含有フラックス:KZnF 、80%
バインダ :アクリル系 、20%
分散媒 :イソプロピルアルコール
〔ろう付後の引張強さ〕
ろう付後の強度の評価として、供試材単体を高純度窒素ガス雰囲気中でろう付相当熱処理(600〜610℃×5min 冷却速度100℃/min)を施し引張試験を行い、引張強さを測定した。AA3003合金を用いて作製された従来のフィン材の引張強さが110N/mmであることから、引張強さが150N/mm以上あったものを十分に強度があると判定した。
〔ろう付性およびろうによるアルミニウム材の侵食深さ(耐エロージョン性)〕
ろう付性は、供試材と、コルゲート加工した0.10mm厚さのAA3003フィン材と組合せて高純度窒素ガス雰囲気中でろう付相当熱処理(ろう付相当熱処理:590〜600℃×5min、冷却速度100℃/min)を施し、その際のフィンとの接合率で評価し、接合率95%以上のものを十分にろう付性に優れると判断した。
また、耐エロージョン性の評価はその際にアルミニウム材を侵食した厚さで評価し、ろう材による最大侵食深さが20μm以下のものを十分に耐エロージョン性があると判定した。
〔耐孔食性〕
耐孔食性を評価する目的で、供試材に前記と同条件のろう付熱処理を施し、Cu2+イオン10ppmを添加した40℃の水道水中に20日間浸漬の腐食試験を行い試験後の最大孔食深さを測定した。
上記各試験結果を表2に示した。表から明らかなように、本発明のアルミニウム合金材を用いたものでは、強度、耐食性、接合性、耐エロージョン性ともに優れていた。
一方、比較材を用いたものでは、強度、耐食性、接合性、耐エロージョン性のいずれかにおいて明らかに劣っていることが明らかになった。
Figure 2005220425
Figure 2005220425
本発明の一実施形態におけるアルミニウム合金材の拡大断面図である。 同じく、チューブとフィンとの組付けを示す斜視図である。 同じく、作製された熱交換器を示す斜視図である。
符号の説明
1 熱交換器
2 チューブ
3 フィン
4 サイドプレート
5 コアプレート
10 ろう付用組成物
11a 粉末ろう材
11b フラックス
11c バインダ
12 フラックス組成物
12a Zn含有フラックス
12b バインダ

Claims (9)

  1. 溶湯を鋳造する際の冷却速度を15℃/sec〜1000℃/secにして板材あるいはインゴットとし、これを冷間圧延により所定の板厚としたアルミニウム合金板材の片面または両面に、粉末ろう材を含むろう付用組成物が塗布されていることを特徴とする熱交換器用高強度アルミニウム合金材。
  2. 前記ろう付用組成物は、Al−Si系合金粉末ろう材またはSi粉末と、フラックスとを混合したものを含むことを特徴とする請求項1記載の熱交換器用高強度アルミニウム合金材。
  3. 前記ろう付用組成物に含まれるフラックスが、K1〜3AlF4〜6、ZnF、ZnCl、KZnFの単独または混合したものを含むことを特徴とする請求項2記載の熱交換器用高強度アルミニウム合金材。
  4. 前記粉末ろう材の塗布量が、1〜150g/mであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱交換器用高強度アルミニウム合金材。
  5. 前記アルミニウム合金板材の片面に前記ろう付用組成物が塗布され、他の片面にZn含有フラックスを含むフラックス組成物が塗布されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱交換器用高強度アルミニウム合金材。
  6. 前記Zn含有フラックスが、ZnF、ZnCl、KZnFの単独または混合したものを含むことを特徴とする請求項5記載の熱交換器用高強度アルミニウム合金材。
  7. 前記Zn含有フラックスの塗布量が、3〜50g/mであることを特徴とする請求項5または6に記載の熱交換器用高強度アルミニウム合金材。
  8. 前記アルミニウム合金板材は、質量%で、Mn:0.2〜3.0%、Si:0.2〜1.5%、Fe:0.05〜2.5%を含有し、残部Alと不可避不純物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の熱交換器用高強度アルミニウム合金材。
  9. 前記アルミニウム合金板材の成分として、さらに、質量%で、Cu:0.7%以下、Zr:0.2%以下、Ti:0.25%以下、Mg:0.5%以下、Cr:0.2%以下、V :0.2%以下、Zn:0.5%以下のうち1種または2種以上含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の熱交換器用高強度アルミニウム合金材。
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