JP2003113580A - 不織布複合体 - Google Patents

不織布複合体

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JP2003113580A
JP2003113580A JP2001305179A JP2001305179A JP2003113580A JP 2003113580 A JP2003113580 A JP 2003113580A JP 2001305179 A JP2001305179 A JP 2001305179A JP 2001305179 A JP2001305179 A JP 2001305179A JP 2003113580 A JP2003113580 A JP 2003113580A
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fabric composite
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JP2001305179A
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Toshinori Hara
原稔典
Takashi Ochi
越智隆志
Keiji Takeda
竹田恵司
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】吸湿性を付与する材料として高い吸湿性を持ち
しかも湿度が変化した際の調節能力が大きくなる無機微
粒子を用い、かつ繊維間に微粒子を多量に保持できる不
織布を用いた高吸湿性不織布複合体を提供する。 【解決手段】20℃、相対湿度90%の水分率と20
℃、相対湿度65%との水分率の差が20〜100%で
ある無機微粒子を、不織布の繊維重量に対し30〜50
0重量%含有させる。また、細孔容積が0.3〜3.0
ml/gである無機微粒子を、不織布の繊維重量に対し
30〜500重量%含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高い吸湿性を有する
不織布複合体に関する。より詳しくは、吸湿性の高い無
機微粒子を用いた不織布複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、不織布は土木資材、建築資材、衛
生資材などに広く用いられてきたが、近年は不織布の用
途の広がりに伴い高い機能性が求められる分野も増えて
きた。中で衣料用で高温高湿度の環境での快適性向上の
ために必要とされる吸湿性向上について、織編物では従
来から多くの試みがあるものの、不織布ではそのような
試みは少なかった。
【0003】例としては特開2000−129574に
高吸放湿吸湿発熱性の有機微粒子を不織布に対し1〜1
00重量%保有した不織布が開示されているが、吸湿性
を付与する材料として有機微粒子を用いているため、高
吸湿時に粒子が膨潤して外観を損ねたり、長期使用や屋
外での使用で変色したりする問題があった。
【0004】また吸湿性の高い無機微粒子を織編物に付
与して吸湿性を向上する試みは多くあったが、風合い硬
化や外観の劣化から織編物では微粒子を繊維重量に対し
て数十%以上含有させることは不可能であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況に鑑み、本
発明では吸湿性を付与する材料として高い吸湿性を持ち
しかも湿度が変化した際の調節能力が大きくなる無機微
粒子を用い、かつ繊維間に微粒子を多量に保持できる不
織布を用いた不織布複合体を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の高吸湿性不織布複合体は、20
℃、相対湿度90%の水分率と20℃相対湿度65%と
の水分率の差が20〜100%である無機微粒子を、不
織布の繊維重量に対し30〜500重量%含有したこと
を特徴とするものである。
【0007】また本発明は、細孔容積が0.3〜3.0
ml/gである無機微粒子を、不織布の繊維重量に対し
30〜500重量%含有したことを特徴とするものであ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の不織布としては、乾式、
湿式、スパンレース、スパンボンド、メルトブローなど
の各種方法で製造される短繊維不織布または長繊維不織
布から必要に応じて選択して用いることができる。不織
布を構成する素材は天然高分子、合成高分子、無機酸化
物などから選択して用いることができる。
【0009】本発明の不織布は好ましくはポリエステル
系高分子、ポリアミド系高分子、ポリオレフィン系高分
子などの溶融紡糸可能な合成高分子で形成されているこ
とが望ましい。この理由はこのような合成高分子を用い
た不織布は繊度や繊維間空隙の量、形状などを制御した
安価な製品が容易に得られるからである。
【0010】ここでポリエステル系高分子としては、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレートなどの芳香族ポリエ
ステルやポリ乳酸、ポリカプロラクトンなどの脂肪族ポ
リエステルを基本的な構成単位としてなるポリエステル
を含む。なかでもポリエチレンテレフタレートを基本的
な構成単位としてなるものが強度や耐久性の点で望まし
い。また本発明では上記のポリエステルに何らかの他の
成分を共重合した共重合体からなる高分子や、これらに
他の有機高分子化合物を少量ブレンドした混合物からな
る繊維もこれに含まれる。ポリアミド系高分子としては
ナイロン、芳香族ポリアミドを、ポリオレフィン系高分
子としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ンなどを挙げることができる。またこれら以外の合成高
分子としてポリフェニレンサルファイドやフッ素系高分
子によって構成される不織布も好適に用いることができ
る。
【0011】本発明の不織布を構成する繊維径の平均値
は0.1〜1000μmが好ましく、特に1〜50μm
が好ましい。この範囲の繊維径の不織布は本発明の微粒
子を保持するのに好適である。不織布の目付は20〜1
000g/m2で、厚みは0.1〜20mmが好まし
い。この理由は目付や厚みがこれより小さい不織布は強
度が不足であり、これより大きい不織布は用途によって
は扱いにくいためである。また不織布の見かけ密度は
0.01〜0.30g/cm3が好ましい。この理由は
見かけ密度がこれより小さい不織布は強度や耐久性が不
足であり、これより大きい不織布は本発明の微粒子を保
持できる空隙が少ないからである。
【0012】本発明の不織布では特に繊維径が10〜5
0μmの繊維を含有する層と、繊維径が0.1〜3μm
の繊維を含有する層との両方を含有する不織布を用いる
のが好ましい。この理由は、このような積層不織布を用
いると本発明の微粒子が一方の層に選択的に捕捉されて
もう一方の側に移行できず、微粒子を不織布内部に長期
的に保持しやすいためである。上記2つの層を含有する
不織布としては例えばスパンボンド不織布とメルトブロ
ー不織布を積層したものなどを挙げることができる。
【0013】本発明で無機微粒子としては、シリカ系粒
子、アルミナ系粒子、けい藻土などの粘土系鉱物、層間
化合物、メソポーラス物質などを挙げることができる。
これら無機微粒子を用いることが好ましい理由は、有機
微粒子では粒子の吸水膨潤で外観を損ねたり使用条件に
よって変色したりする問題があるのに対して無機微粒子
ではこのような問題がないためである。また有機微粒子
では吸水膨潤のために水を使った付与方法は適用しにく
く、粘着性を持ち不織布との複合化に際して取り扱いが
難しくなる場合があったが、無機微粒子ではそのような
ことがないことも特徴である。
【0014】本発明の無機微粒子の一つの特徴は、20
℃、相対湿度90%における水分率と20℃、相対湿度
65%における水分率の差が20〜100%であること
である。ここでそれぞれの水分率はJIS L−109
6記載の方法で求められる。本発明の無機微粒子は一般
には内部に空隙を有する多孔質物質を微細化し、かつそ
の空隙の大きさや容量を適性化することで得られる。本
発明ではこの空隙の大きさや容量を適正化することで初
めて上記の無機粒子の特徴を得ることができた。本発明
の無機微粒子の水分率の差が20%以上であることが望
ましい理由は、吸湿性がこれ以上高い無機微粒子が高吸
湿性不織布複合体を得るのに好適であるからで、100
%以下であることが望ましい理由は、吸湿性がこれ以上
に高い無機微粒子は容易には得られにくく非常に高価な
ものとなるからである。
【0015】本発明では無機微粒子の水分率の差は好ま
しくは50〜80%であることが望ましい。その理由
は、本発明の不織布複合体の吸湿性はできる限り高い方
が好ましく、かつこのような領域であれば非常に高い吸
湿性を持ちながらも比較的容易に製造できる粒子が得ら
れるからである。
【0016】また、本発明の無機微粒子は、吸湿性のみ
ではなく放湿性もあることが望ましい。放湿性のパラメ
ータとしては、例えば対象微粒子を20℃、相対湿度9
0%に24時間放置した後、20℃、相対湿度65%に
移行してさらに24時間放置した際の水分率の変化が2
0〜100%であることが好ましい。放湿性がこの範囲
であると好ましい理由は、吸収した水分を同じ程度の量
放出できることが本発明の不織布複合体の使われる環境
の周囲の湿度調節に重要であるからである。
【0017】本発明の無機微粒子のもう一つの特徴は、
細孔容積が0.3〜3.0ml/gであることである。
ここで用いる細孔容積の測定法は気体吸着法で窒素を用
いるものである。すなわち、窒素の飽和圧近傍の環境下
で微粒子に窒素を吸着させ、その吸着量を液体の容積に
換算する。細孔容積が0.3ml/g以上であることが
望ましい理由は、細孔容積は粒子の絶対的な水分処理量
を示し、細孔容積がこれ以上であると例えば温度低下で
水蒸気圧が飽和に達した際の余剰水分の微粒子への取り
込みなどで有利なためである。またこのように細孔容積
の大きい無機粒子はその細孔内に揮発性有機溶剤などの
有害物質を取り込む性能が高く、環境浄化の面でもより
有利となる。細孔容積が3.0ml/g以下であること
が望ましい理由は、このように大きな細孔容積を持つ無
機微粒子は容易には得られにくく非常に高価なものとな
るからである。
【0018】本発明では無機微粒子の細孔容積は1.4
0〜2.40であることが望ましい。その理由は、本発
明の不織布複合体はできる限り多くの水分を取り込める
方が好ましく、かつこのような領域であれば非常に高い
細孔容積を持ちながらも比較的容易に製造できる粒子が
得られるからである。
【0019】本発明において、無機粒子の空隙の大きさ
や容量を適性化する方法としては、径が空隙の大きさの
数分の1以下の小さな一次粒子をまず作成し、それを凝
集させて2次粒子を作成する過程でpHや温度を制御す
る方法や、鋳型となる有機分子を含有した無機粒子を作
成して後に有機分子を加熱除去する方法を挙げることが
できる。前者の方法で作成される無機粒子の代表例とし
て多孔質シリカ、後者の代表例としてメソポーラス物質
を挙げることができる。
【0020】本発明の無機微粒子の好ましい態様の一つ
は多孔質シリカである。多孔質シリカとは、ケイ酸ソー
ダと硫酸を混合して得られるケイ酸ゾルをゲル化して得
られるもので、粒子内部にナノメーターオーダーの細孔
が多量に含有される。この細孔は表面に活性の高いシラ
ノール基を有しており、これが水や種々の化学物質と相
互作用してそれらを吸着させる。この多孔質シリカの特
徴は、ケイ酸ゾル中の一次粒子の生成条件を変えること
で細孔容積や比表面積、細孔径を多様に変化させること
ができることで、本発明の吸湿パラメータや細孔容積を
規定した無機微粒子として好適である。
【0021】また本発明の無機微粒子の好ましい態様の
もう一つはメソポーラス物質である。本発明で言うメソ
ポーラス物質とは、例えばメソポーラスシリカのように
平均細孔径がナノメーターオーダーで、かつ均一な細孔
径を有するものである。メソポーラスシリカは、細孔径
が均一であることが湿式シリカのような従来のシリカと
異なるものである。1992年にモービル(J.Am.Chem.So
c.,vol.114,10834(1992).)、1993年に豊田中研(J.Che
m.Soc.,Chem.Commun.680(1993).)により独立に報告さ
れた新規なシリカであり、均一なハニカム構造を有する
MCM-41、FSM-16等が代表的な例である。本発明で言うメ
ソポーラス物質はメソポーラスシリカのみには限定され
ず、アルミニウムやチタン等の異種金属を一部に含んで
いたり有機物との混合体のようなメソポーラスシリカ誘
導体でもアルミニウムやチタン等の金属酸化物およびそ
れらの誘導体、さらにこれらの複合体でも良い。
【0022】細孔径の均一性は例えば特開平9−310
282号公報記載のように、細孔直径分布曲線におい
て、中心細孔径の±40%の細孔径範囲に含まれる細孔
容積の総和により評価することが可能であり、本発明で
言うメソポーラス物質では、これが全細孔容積の60%
以上を占めるものである。ここで、細孔直径分布曲線と
は、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/d
D)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線のことで
あり、窒素の等温吸着曲線から作成することができる。
これは、メソポーラス物質に液体窒素温度(-196℃)で
窒素を導入し、その吸着量を定容量法または重量法で求
める。導入する窒素の圧力を徐々に増加させ、各平衡圧
力に対する窒素の吸着量をプロットすることにより、等
温吸着曲線を描く。これからケルビン式 ln(P/P0)=-(2γVm/rRT)cosθ P/P0×100%:相対湿度 γ:水の表面張力 Vm:水のモ
ル体積 r:細孔径 R:気体定数 T:絶対温度 θ:水の接触
角 を用いて、細孔直径分布曲線を求めることができる。例
えば、「中心細孔径の±40%の細孔径範囲に含まれる
細孔容積の総和が全細孔容積の60%以上を占める」と
は、細孔直径分布曲線におけるメソポーラス物質の最大
のピーク(中心細孔径)が3.2nmであるとすると、
細孔径が1.9〜4.5nmの範囲にある細孔容積の総
和が、全細孔容積の60%以上を占めていることを意味
するものである。
【0023】本発明で用いる無機微粒子は、周囲の環境
の湿度を調節する機能を有するために、ある相対湿度で
急激に水分率が増加することが望ましい。例えば、相対
湿度を60%から70%へと変化させた際に急激な水分
率の増加があれば、建築物室内の湿度が同様に変化した
際に室内の相対湿度の上昇を抑制し、60%近くに保持
できる。ここで、相対湿度に対する水分率の変化の立ち
上がりのシャープさを示す指標として、相対湿度−水分
率の相関図において、相対湿度が10%変化した時の水
分率変化を用いる。本発明では、相対湿度が10%変化
した時に水分率が10%以上変化する部分を有すること
が好ましい。相対湿度が10%変化した時の水分率変化
は、より好ましくは20%である。建築物室内の湿度調
節などのためには水分率がシャープに立ち上がる相対湿
度を40〜80%とするのが好ましい。この理由は、快
適な室内の湿度環境が上記範囲内にあるからである。
【0024】本発明の多孔質シリカまたはメソポーラス
物質の吸湿パラメータ、細孔容積以外の特性として、平
均細孔径は1〜30nmであることが望ましい。平均細
孔径がこの範囲であると望ましい理由は、生活空間の湿
度の調節を考えた場合、平均細孔径が1nmより小さい
とゼオライトのように低湿度領域で水分吸着が飽和して
しまい、それ以上の湿度領域での湿度調節を行うことが
できず、平均細孔径が30nmより大きくなると、毛管
凝縮が起こりにくく多量の水分吸着が起こりにくいため
である。
【0025】なお、本発明における水分率の変化の立ち
上がりのシャープさは他の粒子に比べてメソポーラスシ
リカで特に優れている。この理由は水分率が急激に変化
する湿度は毛管凝縮の原理により細孔径に依存し、他の
粒子に比べてメソポーラス物質の細孔径が均一な分布を
しているためである。
【0026】また、本発明において用いられる無機微粒
子の平均粒径は0.1〜300μmであることが望まし
い。0.1μmよりも小さい場合には不織布中の繊維間
空隙に保持しにくくなり、また300μmよりも大きい
場合は不織布中の繊維間空隙に入り込みにくくなる。よ
り好ましい無機微粒子の平均粒径は1〜150μmであ
る。
【0027】本発明では上記無機微粒子を不織布の繊維
重量に対し30〜500重量%含有したことが特徴であ
る。ここで無機微粒子を繊維重量に対し30重量%以上
含有することが好ましい理由は、繊維重量あたりの吸湿
性を高めて高い湿度調節性を得るためである。従来の織
物を用いる方法では繊維間に微粒子を保持できる空隙が
少なく繊維構造物に多量の微粒子を付与することはでき
なかったが、本発明では特に繊維間に微粒子を保持でき
る空隙の多い不織布を用いることで、このように多量の
無機微粒子を含有させることが可能となった。無機微粒
子の含有率が500重量%以下が望ましい理由はこれよ
り大きくなると不織布の外観や取扱い性が低下するから
である。より好ましくは、無機微粒子の含有率は150
〜300重量%であることが望ましい。含有率が150
%以上であることが望ましい理由は、このように多量の
吸湿性無機微粒子を含有することで目付の低い不織布複
合体でも高い湿度調節能力が得られるからである。
【0028】本発明の不織布複合体は、さらに通気量が
0.1〜800ml/cm2/secであることが望ま
しい。通気量がこれより小さいと建築材料などで使用し
た際に空気が不織布複合体内部に流通せず湿度調節効果
が得られにくいためで、通気量がこれより大きいと用途
によっては取り扱いにくくなるからである。本発明では
空隙率が高く、しかもその空隙の大きさや形状が織編物
に比べて均一な不織布の繊維間空隙に微粒子を取り込む
ことで微粒子の多量含有と通気性の両立が可能となっ
た。本発明では不織布複合体の通気量は10〜100m
l/cm2/secであることがより好ましい。この理
由はこれ以下の通気量では多量の水分処理が必要な際に
空気の不織布複合体内への流通が不足しやすいためで、
これ以上の通気量となるように不織布の構造をルーズに
すると不織布の強度や耐久性が不足するためである。
【0029】本発明では、本発明の不織布複合体の特性
が得られる限りにおいて、特に無機微粒子を不織布に付
与する方法に限定はない。例としては、微粒子の水分散
液を不織布にディッピングやスプレーなどで付与して乾
燥する方法、微粒子を気流にて不織布に吹き付けて保持
させる方法、微粒子と短繊維を混合した状態でネットに
気流で吹き付けてウェブ化する方法、水流交絡で短繊維
を交絡させる過程で微粒子を取り込ませる方法、メルト
ブロー不織布の気流に微粒子を含有させて不織布に取り
込ませる方法などを挙げることができる。必要によって
は上記方法を繰り返し用いたり、複合して用いたりして
もよい。
【0030】本発明の不織布複合体では、無機微粒子を
繊維に固着するため、不織布に熱融着繊維を含有させた
り、接着剤を無機微粒子とともに不織布に付与したりす
ることも可能である。熱融着繊維や接着剤の種類や配合
量は用途や必要特性に応じて選択すればよい。
【0031】本発明の不織布複合体では、使用の利便性
や耐久性のため、片面または両面に樹脂層、繊維シー
ト、通気性ネット、多孔質フィルムなどの保護層を設け
ることもできる。また同様に接着剤や粘着剤の層を設け
ることもできる。
【0032】本発明ではこのように多量に吸湿性無機微
粒子を不織布に含有させることで、特に建築材料用途お
よび/または衛生材料用途に好適な高吸湿性不織布複合
体が可能となった。建築材料用途の具体例としては、壁
内材、壁紙、屋根材、屋根下敷材、外装材、床材、カー
ペット部品、押入れシート、カーテン、ロールカーテ
ン、仕切材などを挙げることができる。衛生材料の具体
例としては乳児用、大人用のおむつ部品、生理用品、メ
ディカルガウン、手術用品部品、介護用防水シート、介
護用医療部材、介護用品部品などを挙げることができ
る。
【0033】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的
に説明する。
【0034】なお、実施例および比較例における測定は
以下の方法で行った。 <20℃、相対湿度90%と20℃、相対湿度65%で
の水分率の差>試料を秤量ビンに入れ、20℃、相対湿
度65%に調整した恒温恒湿槽(ナガノ科学機器製作所
LH-20-11M)中に24時間放置し秤量した。次いで、2
0℃、相対湿度90%に調整した恒温恒湿槽中に24時
間放置し、再度秤量した。最後に110℃の乾燥機中で
1時間乾燥し絶乾重量を求めた。水分率の差は下式によ
り算出した。
【0035】水分率の差(%)=((W’−W)/W−
(W”−W)/W)×100 W :試料の絶乾重量(g) W’:20℃、相対湿度90%での試料の重量(g) W”:20℃、相対湿度65%での試料の重量(g) <細孔容積>常法に従い、気体吸着装置を用いて窒素の
吸着量が飽和した後の吸着量を液体の容積に換算した。 <平均細孔径>上記と同様気体吸着装置を用いて毛管凝
縮法により測定した。すなわち窒素の圧力を徐々に増加
させ、各平衡圧力に対する窒素の吸着量をプロットする
ことにより、等温吸着曲線を描き、ケルビン式を利用し
平均細孔径を求めた。 <平均粒径>レーザー回折法を用い、常法に従い測定し
た。 <相対湿度−水分率の相関図>上記と同様気体吸着装置
を用いて、温度20℃での水蒸気の等温吸着曲線を求め
た。水分率は、無機微粒子の乾燥重量に対する吸湿され
た水の重量とした。また、相対湿度−水分率の相関図で
水分率がシャープに立ち上がる部分において、相対湿度
が10%増加した時の水分率変化が最大の部分を水分率
変化とした。また、それの中点にあたる相対湿度を調湿
湿度とした。 <通気量>JIS L−1096の記載に従い、フラジ
ール形試験機を用いて測定した。 <不織布複合体の調湿機能の測定>20℃、相対湿度6
5%に調湿しておいた不織布複合体10gを、あらかじ
め20℃、相対湿度90%に調湿された恒温恒湿槽(ナ
ガノ科学機器製作所LH-20-11M、容積80リットル)の調
湿機能スイッチを切ると同時に槽内に導入し、湿度変化
をモニターした。結果は15分後の装置内の湿度変化率
(%)で表した。 <不織布複合体の結露量の測定>不織布複合体を20
℃、相対湿度65%の恒温恒湿槽中で24時間調湿後、
同じ恒温恒湿槽中で50℃の湯が100ml入った20
0mlビーカーにかぶせ、輪ゴムで口を留めた後1時間
放置し、その後外した腐食複合体の液面に向いていた側
を観察し、結露の有無を判定した。 [実施例1]細孔容積が1.26ml/g、平均細孔径
が7nm、平均粒径が3.5μmである多孔質シリカ微
粒子の水分率の測定を行った結果、20℃、相対湿度9
0%と20℃、相対湿度65%での水分率の差は60.
8%であった。また相対湿度−水分率の相関図測定を行
った結果、水分率変化は28%、調湿湿度は70%であ
った。この多孔質シリカ粒子の相対湿度と水分率の関係
を図1に示す。またこの多孔質シリカ微粒子の細孔直径
分布曲線を図4に示す。
【0036】上記多孔質シリカ粒子の20重量%水分散
液に、目付240g/m2、厚み1.5mmのポリエス
テルスパンボンド不織布を絞り率95%で浸漬し、13
0℃で乾燥する操作を2回繰り返し、多孔質シリカ微粒
子が繊維重量に対し38%付与された不織布複合体を得
た。
【0037】得られた不織布複合体の特性を表1に示
す。これから、本発明により建築材料や衛生材料に好適
な高吸湿性不織布複合体が得られた。 [実施例2]目付60g/m2、厚み0.3mmのポリ
エステルスパンボンド不織布上に、実施例1の多孔質シ
リカ微粒子と低融点ポリエステルを鞘にした熱融着性の
芯鞘ポリエステル短繊維とを混合して気流にて吹き付け
積層し、熱プレスした。微粒子の熱融着性短繊維との混
合比は微粒子重量2に対して短繊維重量1とした。これ
により多孔質シリカ微粒子が繊維重量に対し165%付
与された不織布複合体を得た。
【0038】得られた不織布複合体の特性を表1に示
す。これから、本発明により建築材料や衛生材料に好適
な高吸湿性不織布複合体が得られた。 [実施例3]スパンボンド不織布(平均繊維径20μ
m)の上にメルトブロー不織布(平均繊維研2μm)が
積層された、目付80g/m2、厚み0.5mmのポリ
プロピレン不織布を用い、これに実施例1の多孔質シリ
カ微粒子をスパンボンド不織布側から気流にて吹き付け
て複合化した。これにより多孔質シリカ微粒子が繊維重
量に対し184%付与された不織布複合体を得た。
【0039】得られた不織布複合体の特性を表1に示
す。これから、本発明により建築材料や衛生材料に好適
な高吸湿性不織布複合体が得られた。 [実施例4〜6]細孔容積が1.6ml/g、平均細孔
径が21nm、平均粒径が3.9μmである多孔質シリ
カ微粒子を用いることを除いては実施例1〜3と同様に
行った。この微粒子の水分率の差は7.7%、水分率変
化は51%、調湿湿度は90%であった。この多孔質シ
リカ微粒子の相対湿度と水分率の関係を図2に示す。ま
たこの多孔質シリカ微粒子の細孔直径分布曲線を図5に
示す。
【0040】得られた不織布複合体の特性を表1に示
す。これから、本発明により建築材料や衛生材料に好適
な高吸湿性不織布複合体が得られた。 [実施例7〜9]非イオン系界面活性剤のポリアルキレ
ンオキサイドトリブロック共重合体であるアルドリッチ
社製PluronicP123の40gを300gのイオン交換水と
1200gの2N塩酸の混合溶媒に溶解し、35℃で攪
拌した。そして、85gのテトラエチルオルトシリケー
トを加え、100℃で40時間攪拌した。そして、濾過
により固形生成物を得、イオン交換水で洗浄し、風乾し
た。これを8時間かけて500℃昇温し、さらに500
℃で6時間保持し焼成し、メソポーラスシリカを得た。
メソポーラスシリカはX線回折により低角側にピークが
観測され、規則的な周期構造を有しており均一な細孔が
形成されていることが確認された。また、窒素吸着法か
ら求めた細孔容積は1.5ml/g、平均細孔径が5n
m、平均粒径が0.5μmであった。この粒子の水分率
の差は73.0%、水分率変化は64%、調湿湿度は6
5%であった。このメソポーラスシリカ微粒子の相対湿
度と水分率の関係を図3に示す。またこの多孔質シリカ
微粒子の細孔直径分布曲線を図6に示す。
【0041】このメソポーラスシリカ微粒子を用いるこ
とを除いて、実施例1〜3と同様に不織布複合体の作成
を行った。得られた不織布複合体の特性を表1に示す。
これから、本発明により建築材料や衛生材料に好適な高
吸湿性不織布複合体が得られた。 [比較例1]実施例1において、ポリエステルスパンボ
ンド不織布を浸漬し乾燥する操作を1回しか行わないこ
とを除いては実施例1と同様に行った。結果、多孔質シ
リカ微粒子の付与量は19%で、表1に示すように高い
湿度調節作用や結露防止作用は見られなかった。 [比較例2]細孔を持たないコロイダルシリカを用いる
ことを除いては実施例1と同様に行った。結果、この粒
子は水分率も細孔容積も低いため、表1に示すように高
い湿度調節作用や結露防止作用は見られなかった。 [比較例3]ポリエステルスパンボンド不織布の代わり
に、目付100g/m2、厚み1.0mmのポリエステ
ルタフタ織物を用いることを除いては実施例1と同様に
行った。結果、見かけ上は多孔質シリカ微粒子が38%
付与された織物が得られたが、その微粒子はほとんどが
織物表面で凝集しているのみで擦過により容易に脱落
し、実用には適さないものであった。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明の高吸湿性不織布複合体により、
建築物内部の湿度調節や結露防止作用を得ることができ
る。また、室内の快適性を向上することからエアコンの
使用量を低減して省エネルギーにも寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3の多孔質シリカ微粒子の相対湿度
と水分率の関係
【図2】実施例4〜6の多孔質シリカ微粒子の相対湿度
と水分率の関係
【図3】実施例7〜9のメソポーラスシリカ微粒子の相
対湿度と水分率の関係
【図4】実施例1〜3の多孔質シリカ微粒子の細孔直径
分布曲線
【図5】実施例4〜6の多孔質シリカ微粒子の細孔直径
分布曲線
【図6】実施例7〜9のメソポーラスシリカ微粒子の細
孔直径分布曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L031 AB34 BA20 DA08 4L047 AA21 BA23 CB08 CC01 DA00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】20℃、相対湿度90%と20℃、相対湿
    度65%との水分率の差が20〜100%である無機微
    粒子を、不織布の繊維重量に対し30〜500重量%含
    有したことを特徴とする不織布複合体。
  2. 【請求項2】該無機微粒子が多孔質シリカであることを
    特徴とする請求項1記載の不織布複合体。
  3. 【請求項3】該無機微粒子がメソポーラス物質であるこ
    とを特徴とする請求項1または2に記載の不織布複合
    体。
  4. 【請求項4】該無機微粒子が20℃での相対湿度−水分
    率の相関図において相対湿度が10%変化したときに水
    分率が10%以上変化する部分を有することを特徴とす
    る請求項1から3のいずれかに記載の不織布複合体。
  5. 【請求項5】通気量が0.1〜800ml/cm2/s
    ecであることを特徴とする請求項1から4のいずれか
    に記載の不織布複合体。
  6. 【請求項6】細孔容積が0.3〜3.0ml/gである
    無機微粒子を、不織布の繊維重量に対し30〜500重
    量%含有したことを特徴とする不織布複合体。
  7. 【請求項7】該無機微粒子が多孔質シリカであることを
    特徴とする請求項6に記載の不織布複合体。
  8. 【請求項8】該無機微粒子がメソポーラス物質であるこ
    とを特徴とする請求項6または7に記載の不織布複合
    体。
  9. 【請求項9】該無機微粒子が20℃での相対湿度−水分
    率の相関図において相対湿度が10%変化したときに水
    分率が10%以上変化する部分を有することを特徴とす
    る請求項6から8のいずれかに記載の不織布複合体。
  10. 【請求項10】通気量が0.1〜800ml/cm2
    secであることを特徴とする請求項6から9のいずれ
    かに記載の不織布複合体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020097815A (ja) * 2020-02-19 2020-06-25 ユニチカ株式会社 抗アレルゲン不織布及びその製造方法
JP2023052604A (ja) * 2020-02-19 2023-04-11 ユニチカ株式会社 抗アレルゲン不織布の製造方法

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