JP2003112716A - 樹脂製容器、樹脂製容器の製造方法及び樹脂製容器入り飲料 - Google Patents

樹脂製容器、樹脂製容器の製造方法及び樹脂製容器入り飲料

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JP2003112716A
JP2003112716A JP2001290570A JP2001290570A JP2003112716A JP 2003112716 A JP2003112716 A JP 2003112716A JP 2001290570 A JP2001290570 A JP 2001290570A JP 2001290570 A JP2001290570 A JP 2001290570A JP 2003112716 A JP2003112716 A JP 2003112716A
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Mitsunari Oguchi
光成 小口
Wataru Kosugi
亘 小杉
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Asahi Soft Drinks Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アセプティック充填した樹脂製容器入り飲料
の加温販売が可能であるとともに、製造が容易であっ
て、軽量で且つ地球環境にやさしい樹脂製容器、樹脂製
容器の製造方法及び樹脂製容器入り飲料を提供する。 【解決手段】本発明による樹脂製容器1は、容器内を殺
菌した後に殺菌済みの飲料を常温で充填する樹脂製容器
1において、容器の口部4の少なくとも一部が加熱によ
り結晶化されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飲料を完全無菌状
態で空容器に充填するいわゆるアセプティック充填に用
いられる樹脂製容器、その製造方法及び樹脂製容器入り
飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、アセプティック充填は、ペット
ボトル(ポリエチレン・テレフタレート製容器)を薬液
リンスにより殺菌し、無菌水リンスをした後、殺菌済み
の飲料を常温でペットボトルに充填するものである。か
かるアセプティック充填は、充填する飲料の温度を常温
で行うため、そのペットボトルは従来の耐熱ボトル(後
述)よりも耐熱処理を行わないものが使用されている。
一方、飲料の種類によっては、高温(約70乃至100
℃)に加熱した飲料を容器に充填するものがある(ホッ
トパック充填)。かかるホットパック充填では、高温の
飲料を充填するため、口部を結晶化し且つ胴部の耐熱性
も上げて耐熱性を高めた耐熱ボトルを用いている。この
ようなボトルとして特開平8−24474号公報や、特
開昭55−12031号公報が公知である。一方、缶入
り飲料では、冬場等に製品を店で販売する際には加熱プ
レートに缶入り飲料を載せて加温する缶ウォーマに収納
して飲料を温めて販売したり、自動販売機で加温販売す
ることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、アセプティ
ック充填により製造したペットボトル飲料(樹脂製容器
入り飲料)では、耐熱性が要求されない樹脂製のボトル
(非耐熱性ボトル又は並ボトルともいう)を用いている
ので、加温すると熱収縮等により容器口部が変形して、
容器口部に螺合しているキャップとの密閉性に影響を及
ぼす可能性がある。これに対して、ホットパック充填に
より製造したペットボトル飲料では、胴部及び口部とも
耐熱性となっている。このため、その後の加温販売が可
能であるが、胴部及び口部とも耐熱性になっているの
で、ボトル容器の重量が重く且つ使用後のボトル廃棄処
理や再生処理がし難いという問題があり、地球環境の観
点からも改善が望まれている。
【0004】そこで、本発明は、アセプティック充填し
た樹脂製容器入り飲料の加温販売が可能であるととも
に、製造が容易であって、軽量で且つ地球環境にやさし
い樹脂製容器、樹脂製容器の製造方法及び樹脂製容器入
り飲料の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、容器内を殺菌した後に殺菌済みの飲料を常温で充填
する樹脂製容器において、容器の口部の少なくとも一部
が加熱により結晶化されていることを特徴とする。
【0006】この請求項1に記載の発明では、樹脂製容
器の胴部には常温で飲料を充填するから容器に耐熱性が
要求されない。従って、容器胴部の耐熱性を低くできる
ので、樹脂材選択の自由度が高く、且つ樹脂材料として
廉価なものを用いることができ、樹脂製容器の製造コス
トを低減できる。更に、ボトル胴部に耐熱処理を従来の
耐熱ボトルほどは施す必要もないので、樹脂製容器の製
造工程が簡易である。特に、アセプティック充填におい
ては、この樹脂製容器の口部のみを白化処理(結晶化処
理)したものを用いるだけであるから、製造が容易であ
り且つ製造コストも安価である。容器の口部には、加熱
による結晶化によりその部分の熱に対する強度を高めて
いるから、加温販売しても容器の口部が熱により変形す
るのを防止でき、熱変形によるキャップとの密閉性を向
上できる。しかも、アセプティック充填用のボトルの製
造において、口部にのみ白化処理を施すものであるか
ら、既存の設備をそのまま利用することができ、且つ製
造も容易である。樹脂製容器は、耐熱性が要求されない
アセプティック充填用のボトルをそのまま使用できるか
ら、ホットパック充填用ボトルに比較して軽量であり、
使用後の廃棄処理や再生処理が容易で、地球環境にやさ
しい。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、口部の結晶化度は、5%以上42%以
下であることを特徴とする。
【0008】この請求項2に記載の発明では、請求項1
に記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、口部
の結晶化度を5%以上42%以下にすることで、加温販
売に必要な耐熱性を得られながら結晶化を行うクリスタ
ライザーによる加熱温度を低くしたり、加熱時間を短縮
したりすることができ、これによりクリスタライザーの
設備及び制御を簡単にできるとともに消費エネルギーを
最小限に押さえることができ、あるいは生産効率を向上
させることができる。口部の結晶化度は5%以上として
いるのは、5%よりも低くすると必要な耐熱性が得られ
難いからであり、42%以下としているのは42%より
も結晶化度が多くなると耐熱性は十分であるが必要以上
に結晶化のためにエネルギーが消費されることになり、
エネルギーの無駄が生じるとともにクリスタライザーの
設備及び制御が大型化するからである。更に、口部の結
晶化度は、更に望ましくは10%以上38%未満であ
る。口部の結晶化度を10%以上とすることにより、加
温販売時の加温温度が異なる全ての市場の要求に対応で
きる耐熱性を付与できる。また、口部の結晶化度を38
%未満とすることにより消費するエネルギーも要求され
る耐熱性の限度に応じた消費エネルギーに押さえること
ができ、エネルギーの無駄及びクリスタライザーの設備
及び制御の大型化を更に押さえることができる。
【0009】請求項3に記載の発明は、請求項1又は2
に記載の発明において、容器胴部は結晶化度を10%以
上35%以下にしてあることを特徴とする。
【0010】この請求項3に記載の発明では、請求項1
又は2に記載の発明と同様な作用効果を奏するととも
に、容器胴部の結晶化度を10%以上35%以下にする
ことで、ブロー成形金型の温度を低減でき、金型構造も
簡略化できる。
【0011】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3
のいずれかに記載の発明において、口部の結晶化はキャ
ップが螺合する外側部分の結晶化度が内側部分の結晶化
度よりも高いことを特徴とする。
【0012】この請求項4に記載の発明では、請求項1
乃至3のいずれかに記載の発明と同様な作用効果を奏す
るとともに、結晶化を施す口部において、キャップと嵌
合する外側部分のみの結晶化度を高めることによって、
結晶化部分を少なくでき、更に樹脂製容器の製造コスト
の低減と、地球環境への影響の低減を図ることができ
る。
【0013】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4
のいずれかに記載の発明において、キャップが螺合する
螺子条部分のみが結晶化されていることを特徴とする。
この請求項5に記載の発明では、請求項1乃至4のいず
れかに記載の発明の作用効果を奏するとともに、更に結
晶化部分を少なくでき、樹脂製容器の製造コストの低減
と、地球環境への影響の低減をより図ることができる。
【0014】請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5
のいずれかに記載の発明において、容器全体の樹脂重量
が、同じ容量の耐熱樹脂製容器よりも少ない樹脂重量で
あることを特徴とする。
【0015】この請求項6に記載の発明では、請求項1
乃至5のいずれかに記載の作用効果を奏するとともに、
容器の重量を従来品の耐熱容器よりも軽減することによ
り、容器製造の原料となる樹脂材料を少なくでき、更に
樹脂製容器の製造コストの低減と、地球環境への影響の
低減を図ることができる。
【0016】請求項7に記載の発明は、容器内を殺菌し
た後に殺菌済みの飲料を常温で充填する樹脂製容器の製
造方法であって、非耐熱性樹脂材を試験管形状に形成し
た中間成形品を得るプリフォーム工程と、プリフォーム
成形品の容器口部に対応する部分を加熱して結晶化する
白化工程と、白化工程後にプリフォーム成形品を金型で
ブロー成形するブロー成形工程とを備え、ブロー成形工
程における金型温度を120℃以下にして製造したこと
を特徴とする。
【0017】この請求項7に記載の発明では、ブロー成
形工程において、金型温度を120℃以下とすることに
より、金型の加熱媒体として水を使用することができる
ので、製造工程及び製造設備を簡易にできるとともに、
加熱媒体を水とすることにより、取り扱い易く且つ環境
に与える影響も少ない。
【0018】請求項8に記載の発明は、請求項7に記載
の樹脂製容器の製造方法であって、白化工程では、キャ
ップが螺合する容器口部の一部のみを結晶化させている
ことを特徴とする。
【0019】この請求項8に記載の発明は、請求項7に
記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、白化工
程では、容器口部の一部のみを結晶化させているので、
請求項3又は4に記載の発明と同様に、結晶化部分を少
なくでき、樹脂製容器の製造コストの低減と、地球環境
への影響の低減を図ることができる。
【0020】請求項9に記載の発明は、請求項1乃至5
のいずれかに記載の樹脂製容器又は請求項6乃至8のい
ずれかに記載の製造方法により製造した樹脂容器に乳の
入った飲料又はお茶系飲料を充填したことを特徴とす
る。
【0021】この請求項9に記載の発明では、請求項1
乃至8のいずれかに記載の発明と同様な作用効果を奏す
るとともに、特に乳の入った飲料やお茶系飲料では、殺
菌性の観点からアセプティック充填が要求されており、
アセプティック充填用の容器を使用しているため、従来
加温器を用いて加温し難かったこれらの飲料においては
特に有効である。即ち、冬場等における飲料時にこれら
のものは温かいものの需要が高いので、これらの樹脂製
容器入り飲料が加温できれば、消費者の需要も高い。乳
の入った飲料としては、乳の入ったコーヒーや、乳の入
った紅茶、ココア、牛乳等がある。お茶系飲料として
は、混合茶、麦茶、玉露茶、煎茶等がある。もちろん、
本発明に適用される飲料には、その他にブラックコーヒ
ーや健康飲料、果汁飲料等も含み、全ての飲料に適用可
能である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照しながら
本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施
の形態にかかる樹脂製容器の正面図であり、図2は図1
の矢印A部の断面図であり、図3は図1に示す樹脂製容
器の底面図であり、図4は図1に示す樹脂製容器の製造
工程図であり、図5は樹脂製容器入り飲料の製造工程図
であり、図6は樹脂製容器入り飲料の加温販売を説明す
る斜視図である。
【0023】本実施の形態にかかる樹脂製容器入り飲料
1は、アセプティック充填により製造したものである
が、アセプティック充填用の樹脂容器2には、口部4が
結晶化してある。この樹脂製容器入り飲料1は、図6に
示すような加温器3による加温販売が可能である。尚、
加温器3は、加熱されたホットプレート5に缶入り飲料
7や本実施の形態にかかる樹脂製容器入り飲料1を載置
して加温するものである。
【0024】樹脂製容器2は、ポリエチレン・テレフタ
レート(PET)製の飲料用ボトルであり、概して口部
4と、胴部8と、底部10とから構成されている。口部
4には、キャップ9が装着されて密封されている。尚、
図1において、符号12はネックサポートリングであ
る。
【0025】この樹脂製容器2は、図4にその製造工程
を示すように、PETをプリフォーム工程S1により射
出成形して試験管状の中間成形品を得た後、白化工程S
2でクリスタライザーにより口部4を白化結晶させてい
る。クリスタライザーによる加熱は、本実施の形態で
は、口部4の内側に支持部材を挿入して口部4の周囲に
配置されたヒータで熱処理している。このように、口部
4の内側に支持部材を挿入することにより、加熱時に口
部4の内側の形状を保持するとともに、支持部材の冷却
性能付与などにより、結晶化における口部4の半径方向
の温度制御(温度勾配)や結晶化度の調整を図ることが
できる。
【0026】結晶化度(白化度)は、加温販売時等の条
件に応じて任意に設定可能である。本実施の形態では、
口部全体を白化しているが、半透明状態、あるいは半濁
状態の白化であってもよい。半濁状態にすれば、従来の
耐熱ボトルの完全な白化口部と比較して、結晶化度の少
ない容器を提供でき、白化工程が簡略化できるからであ
る。口部の結晶化度は、5%以上42%以下であること
が望ましく、更に望ましくは10%以上38%未満であ
る。口部の結晶化度を5%以上42%以下にすること
で、必要な耐熱性を得られながら結晶化を行うクリスタ
ライザーによる加熱温度を低くしたり、加熱時間を短縮
したりすることができ、これによりクリスタライザーの
設備及び制御を簡単にできるとともに消費エネルギーを
最小限に押さえることができ、あるいは生産効率を向上
させることができる。口部の結晶化度を10%以上38
%未満とすることにより耐熱性の限度に応じた消費エネ
ルギーに押さえつつクリスタライザーの設備及び制御の
簡易化を図ることができる。これに対して、従来のアセ
プティックボトルの口部の結晶化度は4%以上5%未満
であり、耐熱ボトルの口部では38%乃至42%であ
る。結晶化度の測定は、サンプルの密度を測定すること
によりその結晶化度を求めている(いわゆる密度勾配管
法)。加温販売時の樹脂製容器入り飲料の温度は一般に
50乃至70℃であり、ホットパック充填における70
乃至100℃の飲料温度まで要求されないので、必要な
結晶化度は、ホットパック充填に必要な耐熱性よりも低
い耐熱性を満たす程度で足りる。
【0027】白化工程S2の後にプリフォーム成形品
(中間品)をブロー成形機でブロー成形する(ブロー成
形工程S3)。ブロー成形機では、金型内でプリフォー
ム成形品を加熱した後に高圧空気を吹き込んで膨らませ
てボトル形状に成形する。このブロー成形機の金型温度
は、120℃以下であり、好ましくは80℃以下に設定
するとともに本実施の形態ではブロー成形品の肉厚も従
来の耐熱ボトルよりも薄く設計してある。また、金型の
加熱温度をこのように低くすることにより、金型の加熱
に用いる加熱媒体として水を使用することができ、加熱
媒体が取り扱い易く、且つ装置の整備も簡易なものにで
きる。胴部8の結晶化度は、耐熱性と、設備の簡易化
と、消費エネルギーの無駄の防止との兼ね合いから35
%以下としている。アセプティックボトルの胴部の結晶
化度は、温水で殺菌するものは温水に対する必要な耐熱
性を満たす必要から27%以上33%以下であるが、そ
れ以外の耐熱性を必要としない殺菌方法まで考慮すると
結晶化度は10%以上35%以下の範囲に設定される。
これに対して従来の耐熱ボトルでは、更に結晶化度を上
げるため(胴部結晶化度を35%を超え54%以下にす
るため)金型温度は一般に130℃以上であり、加熱媒
体として水は使用できず、オイルを使用している。従っ
て、加熱媒体が取り扱い難い。
【0028】使用する樹脂重量(目付け)は、本実施の
形態では350ml容器の場合で22乃至25gであ
り、従来の耐熱性ボトルでは耐熱性付与のため約26g
必要としていたことに比べると使用する樹脂量も少なく
できる。即ち、従来の耐熱性ボトルに比較して約1乃至
4g使用する樹脂量を少なくでき地球環境にやさしいと
ともに、コストの低減を図ることができ且つ容器の重量
自体も低減できる。このようにして、軽量なアセプティ
ック充填用樹脂製容器(ボトル)を製造する(S4)。
【0029】樹脂製容器2の底部10は、図3に示すよ
うに、平面方向のリブ11の他、略中央部に上方に向け
た凹部13が形成されているとともに凹部13の周囲に
は放射状のリブ15が複数形成されている。このよう
に、底部10を凹凸状に形成することによりアセプティ
ック充填用容器を加温したときに容器2内の気圧変化に
耐えることができる。また、本実施の形態では、容器2
にホットパック充填しないから、容器2に耐減圧性が要
求されず、ホットパック用の耐熱性容器のように胴部8
に機能性を追及した減圧パネルが必要ないので、デザイ
ンの自由度も高い。
【0030】次に、本実施の形態にかかる樹脂製容器入
り飲料1の製造工程について説明するが、以下に説明す
る製造方法は、アセプティック充填用樹脂容器(以下単
に「ボトル」という)2、即ち、非耐熱性容器を用いた
アセプティック充填飲料である。
【0031】まず、ステップS1で製造ラインにボトル
2が供給されると、ステップS2でこのボトル2が洗浄
水により予備洗浄される。続いてステップS3で薬剤リ
ンスによる殺菌処理がされる。次に、ステップS4で、
滅菌水によるリンスを行って仕上げリンスし、その後、
ステップS5で常温による飲料の充填を行う。飲料は、
例えば殺菌した乳入りコーヒー飲料である。
【0032】一方、キャップ9は別工程により殺菌処理
される。ステップS11でキャップ9が供給されるとボ
トル2と同様にステップS12の予備洗浄、ステップS
13の薬剤リンス、ステップS14の仕上げリンス工程
の後、ステップS6で飲料が充填されたボトル2に装着
され、キャップ巻き締めが行われる。その後、ステップ
S7のラベリング、ステップS8の印字、ステップS9
のケーシング工程を得て、樹脂製容器入り飲料1がケー
スに詰められて出荷される。このようにして製造された
樹脂製容器入り飲料1は、そのまま店頭に陳列された
り、冷蔵庫や自動販売機で冷却されたりするが、冬場等
では容器2の口部4が耐熱処理されているので、加温器
3により温められた状態で陳列したり、自動販売機で加
温して販売することもできる。即ち、口部4はキャップ
装着部が結晶化されているので、加温してもキャップ9
との密閉性が良好に保たれる。
【0033】本発明は、上述した実施の形態に限定され
ず、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形
が可能である。例えば、樹脂性容器は、ガスバリヤー性
樹脂層をラミネートしたものであってもよい。ガスバリ
ヤー性樹脂層としては、芳香族ポリエステル樹脂の延伸
発泡シートや、ポリアミド樹脂が用いられる。更に、耐
熱性樹脂層とガスバリヤー性樹脂層とで交互に3層又は
5層に構成した樹脂材で容器を構成して、容器に耐熱性
及びガスバリヤー性を付与するものであってもよい。
【0034】また、口部4の結晶化処理は、図7に符合
Eで示すように、キャップ9との螺子条が形成されてい
る外側のみを結晶化するものであってもよく、あるいは
内側から外側に向けて結晶化度に勾配をつけて、外側程
次第に結晶化度を高めるものであってもよい。または、
符号Fで示すように、口部4の上半分を結晶化するもの
であってもよい。更に、図8に示すように、キャップ9
と螺合する螺子条17にのみ結晶化を図るものであって
もよい。
【0035】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、アセプ
ティック充填を行った樹脂製容器入り飲料を、加温器で
加温しても、容器の収縮等による変形を防止でき、樹脂
製容器にアセプティック充填した飲料を、そのまま加温
器により温めることができる。しかも、樹脂製容器には
常温で飲料を充填するから、容器に耐熱性が要求されな
いので、容器胴部の耐熱性を低くでき、樹脂材選択の自
由度が高く、且つ樹脂材料として廉価なものを用いるこ
とができ、樹脂製容器の製造コストを低減できる。更
に、ボトル胴部にホットパック用のボトルほどは耐熱用
の処理を施す必要もないので、樹脂製容器の製造工程が
簡易である。容器口部には、加熱による結晶化によりそ
の部分の熱に対する強度を高めているから、加温販売し
ても容器口部が熱により変形するのを防止できる。アセ
プティック充填用のボトルの製造において、口部にのみ
白化処理(結晶化処理)を施すものであるから、既存の
設備をそのまま利用することができ、且つ製造も容易で
ある。特に、アセプティック充填容器の口部のみを白化
処理するだけであるから、製造が容易であり且つ製造コ
ストも安価である。樹脂製容器は、ホットパック充填用
ボトルに比較して軽量であり、樹脂材としても耐熱用の
特別のものを用いていないので、使用後の廃棄処理や再
生処理が容易で、地球環境にやさしい。
【0036】請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、口部の結
晶化度を5%以上42%以下にすることで、加温販売す
るのに必要な耐熱性を得られながら結晶化を行うクリス
タライザーによる加熱温度を低くしたり、加熱時間を短
縮したりすることができ、これによりクリスタライザー
の設備及び制御を簡単にできるとともに消費エネルギー
を最小限に押さえることができ、あるいは生産効率を向
上させることができる。
【0037】請求項3に記載の発明によれば、請求項1
又は2に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、容
器胴部の結晶化度を10%以上35%以下としたのでブ
ロー成形の金型温度を低くでき、樹脂製容器の製造工程
や金型構造を簡略化できる。
【0038】請求項4に記載の発明では、請求項1乃至
3のいずれかに記載の発明と同様な効果を奏するととも
に、結晶化を施す口部において、キャップと勘合する外
側部のみの結晶化度を高めることによって、必要な結晶
化部分を少なくでき、更に樹脂製容器の製造コストの低
減と、地球環境への影響の低減を図ることができる。
【0039】請求項5に記載の発明によれば、請求項1
乃至4のいずれかに記載の効果を奏するとともに、更に
結晶化部分を少なくでき、樹脂製容器の製造コストの低
減と、地球環境への影響の低減をより多く図ることがで
きる。
【0040】請求項6に記載の発明によれば、請求項1
乃至5のいずれかに記載の効果を奏するとともに、容器
の重量を軽減することにより、容器製造の原料となる樹
脂材料を少なくでき、更に樹脂製容器の製造コストの低
減と、地球環境への影響の低減を図ることができる。
【0041】請求項7に記載の発明によれば、ブロー成
形工程において、金型温度を120℃以下とすることに
より、金型の加熱媒体として水を使用することができる
ので、製造工程及び製造設備を簡易にできる。即ち、加
熱媒体を水とすることにより、取り扱い易く且つ環境に
与える影響も少ない。
【0042】請求項8に記載の発明によれば、請求項7
に記載の発明と同様な効果を奏するとともに、白化工程
では、容器口部の一部のみを結晶化させているので、請
求項4又は5に記載の発明と同様に、結晶化部分を少な
くでき、樹脂製容器の製造コストの低減と、地球環境へ
の影響の低減を図ることができる。
【0043】請求項9に記載の発明によれば、請求項1
乃至8のいずれかに記載の発明と同様な効果を奏すると
ともに、特に乳の入った飲料やお茶系飲料では、殺菌性
の観点からアセプティック充填が要求されており、アセ
プティック充填用の容器を使用しているので、従来加温
器を用いて加温されなかったこれらの飲料においては特
に効果的である。即ち、冬場等における飲料時にこれら
のものは温かいものの需要が高いので、これらの樹脂製
容器入り飲料がアセプティック充填用容器のまま加温で
きれば、消費者の需要も高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる樹脂製容器の正面
図である。
【図2】図1の矢印A部の断面図である。
【図3】図1に示す樹脂製容器の底面図である。
【図4】図1に示す樹脂製容器の製造工程図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる樹脂製容器入り飲
料の製造工程図である。
【図6】樹脂製容器入り飲料を加温器で温めている状態
を示す斜視図である。
【図7】本発明の変形例にかかる樹脂製容器の口部の断
面図である。
【図8】本発明の変形例にかかる樹脂製容器の螺子条部
分を抜き出して示す断面図である。
【符号の説明】
1 樹脂製容器入り飲料 2 樹脂製容器 4 口部 8 胴部 9 キャップ 17 螺子条
【手続補正書】
【提出日】平成14年4月24日(2002.4.2
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 樹脂製容器、樹脂製容器の製造方法及
び樹脂製容器入り飲料
【特許請求の範囲】
【請求項】 口部の結晶化はキャップが螺合する外側
部分の結晶化度が内側部分の結晶化度よりも高いことを
特徴とする請求項1に記載の樹脂製容器。
【請求項】 キャップが螺合する螺子条部分のみが結
晶化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載
の樹脂製容器。
【請求項】 容器内を殺菌した後に殺菌済みの飲料を
常温で充填し且つ飲料を加温販売するための樹脂製容器
の製造方法であって、非耐熱性樹脂材を試験管形状に形
成した中間成形品を得るプリフォーム工程と、プリフォ
ーム成形品の容器口部に対応する部分を加熱して結晶化
する白化工程と、白化工程後にプリフォーム成形品を金
型でブロー成形するブロー成形工程とを備え、ブロー成
形工程における金型温度を120℃以下にして製造する
とともに、キャップが螺合する容器口部の結晶化度を5
%以上42%以下とし、且つ口部の下端に連続する容器
胴部の結晶化度を10%以上35%以下にしたことを特
徴とする樹脂製容器の製造方法。
【請求項請求項1乃至3のいずれかに記載の樹脂
製容器又は請求項4に記載の製造方法により製造した樹
脂容器に乳の入った飲料又はお茶系飲料を充填したこと
を特徴とする樹脂製容器入り飲料。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飲料を完全無菌状
態で空容器に充填するいわゆるアセプティック充填に用
いられる樹脂製容器、その製造方法及び樹脂製容器入り
飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、アセプティック充填は、ペット
ボトル(ポリエチレン・テレフタレート製容器)を薬液
リンスにより殺菌し、無菌水リンスをした後、殺菌済み
の飲料を常温でペットボトルに充填するものである。か
かるアセプティック充填は、充填する飲料の温度を常温
で行うため、そのペットボトルは従来の耐熱ボトル(後
述)よりも耐熱処理を行わないものが使用されている。
一方、飲料の種類によっては、高温(約70乃至100
℃)に加熱した飲料を容器に充填するものがある(ホッ
トパック充填)。かかるホットパック充填では、高温の
飲料を充填するため、口部を結晶化し且つ胴部の耐熱性
も上げて耐熱性を高めた耐熱ボトルを用いている。この
ようなボトルとして特開平8−24474号公報や、特
開昭55−12031号公報が公知である。一方、缶入
り飲料では、冬場等に製品を店で販売する際には加熱プ
レートに缶入り飲料を載せて加温する缶ウォーマに収納
して飲料を温めて販売したり、自動販売機で加温販売す
ることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、アセプティ
ック充填により製造したペットボトル飲料(樹脂製容器
入り飲料)では、耐熱性が要求されない樹脂製のボトル
(非耐熱性ボトル又は並ボトルともいう)を用いている
ので、加温すると熱収縮等により容器口部が変形して、
容器口部に螺合しているキャップとの密閉性に影響を及
ぼす可能性がある。これに対して、ホットパック充填に
より製造したペットボトル飲料では、胴部及び口部とも
耐熱性となっている。このため、その後の加温販売が可
能であるが、胴部及び口部とも耐熱性になっているの
で、ボトル容器の重量が重く且つ使用後のボトル廃棄処
理や再生処理がし難いという問題があり、地球環境の観
点からも改善が望まれている。
【0004】そこで、本発明は、アセプティック充填し
た樹脂製容器入り飲料の加温販売が可能であるととも
に、製造が容易であって、軽量で且つ地球環境にやさし
い樹脂製容器、樹脂製容器の製造方法及び樹脂製容器入
り飲料の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、容器内を殺菌した後に殺菌済みの飲料を常温で充填
する樹脂製容器において、この容器は飲料を加温販売す
るための容器であり、容器の口部の少なくとも一部が加
熱により結晶化されているとともに口部の結晶化度は5
%以上42%以下であり、且つ口部の下端に連続する容
器胴部の結晶化度を10%以上35%以下にしている
とを特徴とする。
【0006】この請求項1に記載の発明では、樹脂製容
器の胴部には常温で飲料を充填するから容器に耐熱性が
要求されない。従って、容器胴部の耐熱性を低くできる
ので、樹脂材選択の自由度が高く、且つ樹脂材料として
廉価なものを用いることができ、樹脂製容器の製造コス
トを低減できる。更に、ボトル胴部に耐熱処理を従来の
耐熱ボトルほどは施す必要もないので、樹脂製容器の製
造工程が簡易である。特に、アセプティック充填におい
ては、この樹脂製容器の口部のみを白化処理(結晶化処
理)したものを用いるだけであるから、製造が容易であ
り且つ製造コストも安価である。容器の口部には、加熱
による結晶化によりその部分の熱に対する強度を高めて
いるから、加温販売しても容器の口部が熱により変形す
るのを防止でき、熱変形によるキャップとの密閉性を向
上できる。しかも、アセプティック充填用のボトルの製
造において、口部にのみ白化処理を施すものであるか
ら、既存の設備をそのまま利用することができ、且つ製
造も容易である。樹脂製容器は、耐熱性が要求されない
アセプティック充填用のボトルをそのまま使用できるか
ら、ホットパック充填用ボトルに比較して軽量であり、
使用後の廃棄処理や再生処理が容易で、地球環境にやさ
しい。
【0007】
【0008】口部の結晶化度を5%以上42%以下にす
ることで、加温販売に必要な耐熱性を得られながら結晶
化を行うクリスタライザーによる加熱温度を低くした
り、加熱時間を短縮したりすることができ、これにより
クリスタライザーの設備及び制御を簡単にできるととも
に消費エネルギーを最小限に押さえることができ、ある
いは生産効率を向上させることができる。口部の結晶化
度は5%以上としているのは、5%よりも低くすると必
要な耐熱性が得られ難いからであり、42%以下として
いるのは42%よりも結晶化度が多くなると耐熱性は十
分であるが必要以上に結晶化のためにエネルギーが消費
されることになり、エネルギーの無駄が生じるとともに
クリスタライザーの設備及び制御が大型化するからであ
る。更に、口部の結晶化度は、更に望ましくは10%以
上38%未満である。口部の結晶化度を10%以上とす
ることにより、加温販売時の加温温度が異なる全ての市
場の要求に対応できる耐熱性を付与できる。また、口部
の結晶化度を38%未満とすることにより消費するエネ
ルギーも要求される耐熱性の限度に応じた消費エネルギ
ーに押さえることができ、エネルギーの無駄及びクリス
タライザーの設備及び制御の大型化を更に押さえること
ができる。
【0009】
【0010】容器胴部の結晶化度を10%以上35%以
下にすることで、ブロー成形金型の温度を低減でき、金
型構造も簡略化できる。
【0011】請求項に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、口部の結晶化はキャップが螺合する外
側部分の結晶化度が内側部分の結晶化度よりも高いこと
を特徴とする。
【0012】この請求項に記載の発明では、請求項
に記載の発明と同様な作用効果を奏するとともに、結晶
化を施す口部において、キャップと嵌合する外側部分の
みの結晶化度を高めることによって、結晶化部分を少な
くでき、更に樹脂製容器の製造コストの低減と、地球環
境への影響の低減を図ることができる。
【0013】請求項に記載の発明は、請求項1又は2
に記載の発明において、キャップが螺合する螺子条部分
のみが結晶化されていることを特徴とする。この請求項
に記載の発明では、請求項1又は2に記載の発明の作
用効果を奏するとともに、更に結晶化部分を少なくで
き、樹脂製容器の製造コストの低減と、地球環境への影
響の低減をより図ることができる。
【0014】
【0015】
【0016】請求項4に記載の発明は、容器内を殺菌し
た後に殺菌済みの飲料を常温で充填し且つ飲料を加温販
するための樹脂製容器の製造方法であって、非耐熱性
樹脂材を試験管形状に形成した中間成形品を得るプリフ
ォーム工程と、プリフォーム成形品の容器口部に対応す
る部分を加熱して結晶化する白化工程と、白化工程後に
プリフォーム成形品を金型でブロー成形するブロー成形
工程とを備え、ブロー成形工程における金型温度を12
0℃以下にして製造するとともに、キャップが螺合する
容器口部の結晶化度を5%以上42%以下とし、且つ口
部の下端に連続する容器胴部の結晶化度を10%以上3
5%以下にしたことを特徴とする。
【0017】この請求項4に記載の発明では、ブロー成
形工程において、金型温度を120℃以下とすることに
より、金型の加熱媒体として水を使用することができる
ので、製造工程及び製造設備を簡易にできるとともに、
加熱媒体を水とすることにより、取り扱い易く且つ環境
に与える影響も少ない。
【0018】
【0019】白化工程では、容器口部の一部のみを結晶
化させているので、請求項1に記載の発明と同様に、結
晶化部分を少なくでき、樹脂製容器の製造コストの低減
と、地球環境への影響の低減を図ることができる。
【0020】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3
のいずれかに記載の樹脂製容器又は請求項に記載の製
造方法により製造した樹脂容器に乳の入った飲料又はお
茶系飲料を充填したことを特徴とする。
【0021】この請求項に記載の発明では、請求項1
乃至4のいずれかに記載の発明と同様な作用効果を奏す
るとともに、特に乳の入った飲料やお茶系飲料では、殺
菌性の観点からアセプティック充填が要求されており、
アセプティック充填用の容器を使用しているため、従来
加温器を用いて加温し難かったこれらの飲料においては
特に有効である。即ち、冬場等における飲料時にこれら
のものは温かいものの需要が高いので、これらの樹脂製
容器入り飲料が加温できれば、消費者の需要も高い。乳
の入った飲料としては、乳の入ったコーヒーや、乳の入
った紅茶、ココア、牛乳等がある。お茶系飲料として
は、混合茶、麦茶、玉露茶、煎茶等がある。もちろん、
本発明に適用される飲料には、その他にブラックコーヒ
ーや健康飲料、果汁飲料等も含み、全ての飲料に適用可
能である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照しながら
本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施
の形態にかかる樹脂製容器の正面図であり、図2は図1
の矢印A部の断面図であり、図3は図1に示す樹脂製容
器の底面図であり、図4は図1に示す樹脂製容器の製造
工程図であり、図5は樹脂製容器入り飲料の製造工程図
であり、図6は樹脂製容器入り飲料の加温販売を説明す
る斜視図である。
【0023】本実施の形態にかかる樹脂製容器入り飲料
1は、アセプティック充填により製造したものである
が、アセプティック充填用の樹脂容器2には、口部4が
結晶化してある。この樹脂製容器入り飲料1は、図6に
示すような加温器3による加温販売が可能である。尚、
加温器3は、加熱されたホットプレート5に缶入り飲料
7や本実施の形態にかかる樹脂製容器入り飲料1を載置
して加温するものである。
【0024】樹脂製容器2は、ポリエチレン・テレフタ
レート(PET)製の飲料用ボトルであり、概して口部
4と、胴部8と、底部10とから構成されている。口部
4には、キャップ9が装着されて密封されている。尚、
図1において、符号12はネックサポートリングであ
る。
【0025】この樹脂製容器2は、図4にその製造工程
を示すように、PETをプリフォーム工程S1により射
出成形して試験管状の中間成形品を得た後、白化工程S
2でクリスタライザーにより口部4を白化結晶させてい
る。クリスタライザーによる加熱は、本実施の形態で
は、口部4の内側に支持部材を挿入して口部4の周囲に
配置されたヒータで熱処理している。このように、口部
4の内側に支持部材を挿入することにより、加熱時に口
部4の内側の形状を保持するとともに、支持部材の冷却
性能付与などにより、結晶化における口部4の半径方向
の温度制御(温度勾配)や結晶化度の調整を図ることが
できる。
【0026】結晶化度(白化度)は、加温販売時等の条
件に応じて任意に設定可能である。本実施の形態では、
口部全体を白化しているが、半透明状態、あるいは半濁
状態の白化であってもよい。半濁状態にすれば、従来の
耐熱ボトルの完全な白化口部と比較して、結晶化度の少
ない容器を提供でき、白化工程が簡略化できるからであ
る。口部の結晶化度は、5%以上42%以下であること
が望ましく、更に望ましくは10%以上38%未満であ
る。口部の結晶化度を5%以上42%以下にすること
で、必要な耐熱性を得られながら結晶化を行うクリスタ
ライザーによる加熱温度を低くしたり、加熱時間を短縮
したりすることができ、これによりクリスタライザーの
設備及び制御を簡単にできるとともに消費エネルギーを
最小限に押さえることができ、あるいは生産効率を向上
させることができる。口部の結晶化度を10%以上38
%未満とすることにより耐熱性の限度に応じた消費エネ
ルギーに押さえつつクリスタライザーの設備及び制御の
簡易化を図ることができる。これに対して、従来のアセ
プティックボトルの口部の結晶化度は4%以上5%未満
であり、耐熱ボトルの口部では38%乃至42%であ
る。結晶化度の測定は、サンプルの密度を測定すること
によりその結晶化度を求めている(いわゆる密度勾配管
法)。加温販売時の樹脂製容器入り飲料の温度は一般に
50乃至70℃であり、ホットパック充填における70
乃至100℃の飲料温度まで要求されないので、必要な
結晶化度は、ホットパック充填に必要な耐熱性よりも低
い耐熱性を満たす程度で足りる。
【0027】白化工程S2の後にプリフォーム成形品
(中間品)をブロー成形機でブロー成形する(ブロー成
形工程S3)。ブロー成形機では、金型内でプリフォー
ム成形品を加熱した後に高圧空気を吹き込んで膨らませ
てボトル形状に成形する。このブロー成形機の金型温度
は、120℃以下であり、好ましくは80℃以下に設定
するとともに本実施の形態ではブロー成形品の肉厚も従
来の耐熱ボトルよりも薄く設計してある。また、金型の
加熱温度をこのように低くすることにより、金型の加熱
に用いる加熱媒体として水を使用することができ、加熱
媒体が取り扱い易く、且つ装置の整備も簡易なものにで
きる。胴部8の結晶化度は、耐熱性と、設備の簡易化
と、消費エネルギーの無駄の防止との兼ね合いから35
%以下としている。アセプティックボトルの胴部の結晶
化度は、温水で殺菌するものは温水に対する必要な耐熱
性を満たす必要から27%以上33%以下であるが、そ
れ以外の耐熱性を必要としない殺菌方法まで考慮すると
結晶化度は10%以上35%以下の範囲に設定される。
これに対して従来の耐熱ボトルでは、更に結晶化度を上
げるため(胴部結晶化度を35%を超え54%以下にす
るため)金型温度は一般に130℃以上であり、加熱媒
体として水は使用できず、オイルを使用している。従っ
て、加熱媒体が取り扱い難い。
【0028】使用する樹脂重量(目付け)は、本実施の
形態では350ml容器の場合で22乃至25gであ
り、従来の耐熱性ボトルでは耐熱性付与のため約26g
必要としていたことに比べると使用する樹脂量も少なく
できる。即ち、従来の耐熱性ボトルに比較して約1乃至
4g使用する樹脂量を少なくでき地球環境にやさしいと
ともに、コストの低減を図ることができ且つ容器の重量
自体も低減できる。このようにして、軽量なアセプティ
ック充填用樹脂製容器(ボトル)を製造する(S4)。
【0029】樹脂製容器2の底部10は、図3に示すよ
うに、平面方向のリブ11の他、略中央部に上方に向け
た凹部13が形成されているとともに凹部13の周囲に
は放射状のリブ15が複数形成されている。このよう
に、底部10を凹凸状に形成することによりアセプティ
ック充填用容器を加温したときに容器2内の気圧変化に
耐えることができる。また、本実施の形態では、容器2
にホットパック充填しないから、容器2に耐減圧性が要
求されず、ホットパック用の耐熱性容器のように胴部8
に機能性を追及した減圧パネルが必要ないので、デザイ
ンの自由度も高い。
【0030】次に、本実施の形態にかかる樹脂製容器入
り飲料1の製造工程について説明するが、以下に説明す
る製造方法は、アセプティック充填用樹脂容器(以下単
に「ボトル」という)2、即ち、非耐熱性容器を用いた
アセプティック充填飲料である。
【0031】まず、ステップS1で製造ラインにボトル
2が供給されると、ステップS2でこのボトル2が洗浄
水により予備洗浄される。続いてステップS3で薬剤リ
ンスによる殺菌処理がされる。次に、ステップS4で、
滅菌水によるリンスを行って仕上げリンスし、その後、
ステップS5で常温による飲料の充填を行う。飲料は、
例えば殺菌した乳入りコーヒー飲料である。
【0032】一方、キャップ9は別工程により殺菌処理
される。ステップS11でキャップ9が供給されるとボ
トル2と同様にステップS12の予備洗浄、ステップS
13の薬剤リンス、ステップS14の仕上げリンス工程
の後、ステップS6で飲料が充填されたボトル2に装着
され、キャップ巻き締めが行われる。その後、ステップ
S7のラベリング、ステップS8の印字、ステップS9
のケーシング工程を得て、樹脂製容器入り飲料1がケー
スに詰められて出荷される。このようにして製造された
樹脂製容器入り飲料1は、そのまま店頭に陳列された
り、冷蔵庫や自動販売機で冷却されたりするが、冬場等
では容器2の口部4が耐熱処理されているので、加温器
3により温められた状態で陳列したり、自動販売機で加
温して販売することもできる。即ち、口部4はキャップ
装着部が結晶化されているので、加温してもキャップ9
との密閉性が良好に保たれる。
【0033】本発明は、上述した実施の形態に限定され
ず、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形
が可能である。例えば、樹脂性容器は、ガスバリヤー性
樹脂層をラミネートしたものであってもよい。ガスバリ
ヤー性樹脂層としては、芳香族ポリエステル樹脂の延伸
発泡シートや、ポリアミド樹脂が用いられる。更に、耐
熱性樹脂層とガスバリヤー性樹脂層とで交互に3層又は
5層に構成した樹脂材で容器を構成して、容器に耐熱性
及びガスバリヤー性を付与するものであってもよい。
【0034】また、口部4の結晶化処理は、図7に符合
Eで示すように、キャップ9との螺子条が形成されてい
る外側のみを結晶化するものであってもよく、あるいは
内側から外側に向けて結晶化度に勾配をつけて、外側程
次第に結晶化度を高めるものであってもよい。または、
符号Fで示すように、口部4の上半分を結晶化するもの
であってもよい。更に、図8に示すように、キャップ9
と螺合する螺子条17にのみ結晶化を図るものであって
もよい。
【0035】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、アセプ
ティック充填を行った樹脂製容器入り飲料を、加温器で
加温しても、容器の収縮等による変形を防止でき、樹脂
製容器にアセプティック充填した飲料を、そのまま加温
器により温めることができる。しかも、樹脂製容器には
常温で飲料を充填するから、容器に耐熱性が要求されな
いので、容器胴部の耐熱性を低くでき、樹脂材選択の自
由度が高く、且つ樹脂材料として廉価なものを用いるこ
とができ、樹脂製容器の製造コストを低減できる。更
に、ボトル胴部にホットパック用のボトルほどは耐熱用
の処理を施す必要もないので、樹脂製容器の製造工程が
簡易である。容器口部には、加熱による結晶化によりそ
の部分の熱に対する強度を高めているから、加温販売し
ても容器口部が熱により変形するのを防止できる。アセ
プティック充填用のボトルの製造において、口部にのみ
白化処理(結晶化処理)を施すものであるから、既存の
設備をそのまま利用することができ、且つ製造も容易で
ある。特に、アセプティック充填容器の口部のみを白化
処理するだけであるから、製造が容易であり且つ製造コ
ストも安価である。樹脂製容器は、ホットパック充填用
ボトルに比較して軽量であり、樹脂材としても耐熱用の
特別のものを用いていないので、使用後の廃棄処理や再
生処理が容易で、地球環境にやさしい。
【0036】口部の結晶化度を5%以上42%以下にす
ることで、加温販売するのに必要な耐熱性を得られなが
ら結晶化を行うクリスタライザーによる加熱温度を低く
したり、加熱時間を短縮したりすることができ、これに
よりクリスタライザーの設備及び制御を簡単にできると
ともに消費エネルギーを最小限に押さえることができ、
あるいは生産効率を向上させることができる。
【0037】容器胴部の結晶化度を10%以上35%以
下としたのでブロー成形の金型温度を低くでき、樹脂製
容器の製造工程や金型構造を簡略化できる。
【0038】請求項に記載の発明では、請求項1に
載の発明と同様な効果を奏するとともに、結晶化を施す
口部において、キャップと勘合する外側部のみの結晶化
度を高めることによって、必要な結晶化部分を少なくで
き、更に樹脂製容器の製造コストの低減と、地球環境へ
の影響の低減を図ることができる。
【0039】請求項に記載の発明によれば、請求項
又は2に記載の効果を奏するとともに、更に結晶化部分
を少なくでき、樹脂製容器の製造コストの低減と、地球
環境への影響の低減をより多く図ることができる。
【0040】
【0041】請求項4に記載の発明によれば、ブロー成
形工程において、金型温度を120℃以下とすることに
より、金型の加熱媒体として水を使用することができる
ので、製造工程及び製造設備を簡易にできる。即ち、加
熱媒体を水とすることにより、取り扱い易く且つ環境に
与える影響も少ない。
【0042】白化工程では、容器口部の一部のみを結晶
化させているので、請求項1に記載の発明と同様に、結
晶化部分を少なくでき、樹脂製容器の製造コストの低減
と、地球環境への影響の低減を図ることができる。
【0043】請求項に記載の発明によれば、請求項
乃至4のいずれかに記載の発明と同様な効果を奏すると
ともに、特に乳の入った飲料やお茶系飲料では、殺菌性
の観点からアセプティック充填が要求されており、アセ
プティック充填用の容器を使用しているので、従来加温
器を用いて加温されなかったこれらの飲料においては特
に効果的である。即ち、冬場等における飲料時にこれら
のものは温かいものの需要が高いので、これらの樹脂製
容器入り飲料がアセプティック充填用容器のまま加温で
きれば、消費者の需要も高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる樹脂製容器の正面
図である。
【図2】図1の矢印A部の断面図である。
【図3】図1に示す樹脂製容器の底面図である。
【図4】図1に示す樹脂製容器の製造工程図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる樹脂製容器入り飲
料の製造工程図である。
【図6】樹脂製容器入り飲料を加温器で温めている状態
を示す斜視図である。
【図7】本発明の変形例にかかる樹脂製容器の口部の断
面図である。
【図8】本発明の変形例にかかる樹脂製容器の螺子条部
分を抜き出して示す断面図である。
【符号の説明】 1 樹脂製容器入り飲料 2 樹脂製容器 4 口部 8 胴部 9 キャップ 17 螺子条 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年9月17日(2002.9.1
7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 樹脂製容器、樹脂製容器の製造方法及
び樹脂製容器入り飲料
【特許請求の範囲】
請求項2】 容器内を殺菌した後に殺菌済みの飲料を
常温で充填する樹脂製容器において、この容器は飲料を
加温販売するための容器であり、容器の口部の少なくと
も一部が加熱により結晶化されているとともに口部の結
晶化度は5%以上42%以下であり、且つ口部の下端に
連続する容器胴部の結晶化度を10%以上35%以下に
しているとともに、口部を加熱により結晶化する工程で
は、口部の内側に支持部材を挿入して且つ支持部材に冷
却性能を付与して口部半径方向の温度制御をおこなって
製造したことを特徴とする樹脂製容器。
【請求項】 容器内を殺菌した後に殺菌済みの飲料を
常温で充填し且つ飲料を加温販売するための樹脂製容器
の製造方法であって、非耐熱性樹脂材を試験管形状に形
成した中間成形品を得るプリフォーム工程と、プリフォ
ーム成形品の容器口部に対応する部分を加熱して結晶化
する白化工程と、白化工程後にプリフォーム成形品を金
型でブロー成形するブロー成形工程とを備え、ブロー成
形工程における金型温度を120℃以下にし、金型の加
熱媒体に水を用いて製造するとともに、キャップが螺合
する容器口部の結晶化度を5%以上42%以下とし、且
つ口部の下端に連続する容器胴部の結晶化度を10%以
上35%以下にしたことを特徴とする樹脂製容器の製造
方法。
【請求項】 容器内を殺菌した後に殺菌済みの飲料を
常温で充填し且つ飲料を加温販売するための樹脂製容器
の製造方法であって、非耐熱性樹脂材を試験管形状に形
成した中間成形品を得るプリフォーム工程と、プリフォ
ーム成形品の容器口部に対応する部分を加熱して結晶化
する白化工程と、白化工程後にプリフォーム成形品を金
型でブロー成形するブロー成形工程とを備え、ブロー成
形工程における金型温度を120℃以下にして製造する
とともに、キャップが螺合する容器口部の結晶化度を5
%以上42%以下とし、且つ口部の下端に連続する容器
胴部の結晶化度を10%以上35%以下にし、白化工程
では口部の内側に支持部材を挿入して且つ支持部材に冷
却性能を付与して口部半径方向の温度制御をおこなって
製造したことを特徴とする樹脂製容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飲料を完全無菌状
態で空容器に充填するいわゆるアセプティック充填に用
いられる樹脂製容器、その製造方法及び樹脂製容器入り
飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、アセプティック充填は、ペット
ボトル(ポリエチレン・テレフタレート製容器)を薬液
リンスにより殺菌し、無菌水リンスをした後、殺菌済み
の飲料を常温でペットボトルに充填するものである。か
かるアセプティック充填は、充填する飲料の温度を常温
で行うため、そのペットボトルは従来の耐熱ボトル(後
述)よりも耐熱処理を行わないものが使用されている。
一方、飲料の種類によっては、高温(約70乃至100
℃)に加熱した飲料を容器に充填するものがある(ホッ
トパック充填)。かかるホットパック充填では、高温の
飲料を充填するため、口部を結晶化し且つ胴部の耐熱性
も上げて耐熱性を高めた耐熱ボトルを用いている。この
ようなボトルとして特開平8−24474号公報や、特
開昭55−12031号公報が公知である。一方、缶入
り飲料では、冬場等に製品を店で販売する際には加熱プ
レートに缶入り飲料を載せて加温する缶ウォーマに収納
して飲料を温めて販売したり、自動販売機で加温販売す
ることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、アセプティ
ック充填により製造したペットボトル飲料(樹脂製容器
入り飲料)では、耐熱性が要求されない樹脂製のボトル
(非耐熱性ボトル又は並ボトルともいう)を用いている
ので、加温すると熱収縮等により容器口部が変形して、
容器口部に螺合しているキャップとの密閉性に影響を及
ぼす可能性がある。これに対して、ホットパック充填に
より製造したペットボトル飲料では、胴部及び口部とも
耐熱性となっている。このため、その後の加温販売が可
能であるが、胴部及び口部とも耐熱性になっているの
で、ボトル容器の重量が重く且つ使用後のボトル廃棄処
理や再生処理がし難いという問題があり、地球環境の観
点からも改善が望まれている。
【0004】そこで、本発明は、アセプティック充填し
た樹脂製容器入り飲料の加温販売が可能であるととも
に、製造が容易であって、軽量で且つ地球環境にやさし
い樹脂製容器、樹脂製容器の製造方法及び樹脂製容器入
り飲料の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、容器内を殺菌した後に殺菌済みの飲料を常温で充填
する樹脂製容器において、この容器は飲料を加温販売す
るための容器であり、容器の口部の少なくとも一部が加
熱により結晶化されているとともに口部の結晶化度は5
%以上42%以下であり、且つ口部の下端に連続する容
器胴部の結晶化度を10%以上35%以下にしている
ともに、容器製造におけるブロー成形金型の加熱媒体に
水を用いて製造したことを特徴とする樹脂製容器。
【0006】この請求項1に記載の発明では、樹脂製容
器の胴部には常温で飲料を充填するから容器に耐熱性が
要求されない。従って、容器胴部の耐熱性を低くできる
ので、樹脂材選択の自由度が高く、且つ樹脂材料として
廉価なものを用いることができ、樹脂製容器の製造コス
トを低減できる。更に、ボトル胴部に耐熱処理を従来の
耐熱ボトルほどは施す必要もないので、樹脂製容器の製
造工程が簡易である。特に、アセプティック充填におい
ては、この樹脂製容器の口部のみを白化処理(結晶化処
理)したものを用いるだけであるから、製造が容易であ
り且つ製造コストも安価である。容器の口部には、加熱
による結晶化によりその部分の熱に対する強度を高めて
いるから、加温販売しても容器の口部が熱により変形す
るのを防止でき、熱変形によるキャップとの密閉性を向
上できる。しかも、アセプティック充填用のボトルの製
造において、口部にのみ白化処理を施すものであるか
ら、既存の設備をそのまま利用することができ、且つ製
造も容易である。樹脂製容器は、耐熱性が要求されない
アセプティック充填用のボトルをそのまま使用できるか
ら、ホットパック充填用ボトルに比較して軽量であり、
使用後の廃棄処理や再生処理が容易で、地球環境にやさ
しい。
【0007】
【0008】口部の結晶化度を5%以上42%以下にす
ることで、加温販売に必要な耐熱性を得られながら結晶
化を行うクリスタライザーによる加熱温度を低くした
り、加熱時間を短縮したりすることができ、これにより
クリスタライザーの設備及び制御を簡単にできるととも
に消費エネルギーを最小限に押さえることができ、ある
いは生産効率を向上させることができる。口部の結晶化
度は5%以上としているのは、5%よりも低くすると必
要な耐熱性が得られ難いからであり、42%以下として
いるのは42%よりも結晶化度が多くなると耐熱性は十
分であるが必要以上に結晶化のためにエネルギーが消費
されることになり、エネルギーの無駄が生じるとともに
クリスタライザーの設備及び制御が大型化するからであ
る。更に、口部の結晶化度は、更に望ましくは10%以
上38%未満である。口部の結晶化度を10%以上とす
ることにより、加温販売時の加温温度が異なる全ての市
場の要求に対応できる耐熱性を付与できる。また、口部
の結晶化度を38%未満とすることにより消費するエネ
ルギーも要求される耐熱性の限度に応じた消費エネルギ
ーに押さえることができ、エネルギーの無駄及びクリス
タライザーの設備及び制御の大型化を更に押さえること
ができる。
【0009】
【0010】容器胴部の結晶化度を10%以上35%以
下にすることで、ブロー成形金型の温度を低減でき、金
型構造も簡略化できる。ブロー成形金型の加熱に用いる
加熱媒体として水を使用しているので、加熱媒体が取り
扱い易く、且つ装置の設備も簡易なものにできる
【0011】請求項2に記載の発明は、容器内を殺菌し
た後に殺菌済みの飲料を常温で充填する樹脂製容器にお
いて、この容器は飲料を加温販売するための容器であ
り、容器の口部の少なくとも一部が加熱により結晶化さ
れているとともに口部の結晶化度は5%以上42%以下
であり、且つ口部の下端に連続する容器胴部の結晶化度
を10%以上35%以下にしているとともに、口部を加
熱により結晶化する工程では、口部の内側に支持部材を
挿入して且つ支持部材に冷却性能を付与して口部半径方
向の温度制御をおこなって製造したことを特徴とする。
【0012】この請求項2に記載の発明では、請求項1
のブロー成形金型の加熱媒体に水を用いるという構成が
なく、口部の結晶化工程では口部の内側に支持部材を挿
入して且つ支持部材に冷却性能を付与して口部半径方向
の温度制御をおこなっているという構成を請求項1に追
加しているものである。
【0013】請求項1又は2に記載の発明では、口部の
結晶化はキャップが螺合する外側部分の結晶化度が内側
部分の結晶化度よりも高いことが望ましい結晶化を施
す口部において、キャップと嵌合する外側部分のみの結
晶化度を高めることによって、結晶化部分を少なくで
き、更に樹脂製容器の製造コストの低減と、地球環境へ
の影響の低減を図ることができる。請求項1又は2に記
載の発明において、キャップが螺合する螺子条部分のみ
が結晶化されていることが望ましい。更に結晶化部分を
少なくでき、樹脂製容器の製造コストの低減と、地球環
境への影響の低減をより図ることができる。
【0014】
【0015】
【0016】請求項3に記載の発明は、容器内を殺菌し
た後に殺菌済みの飲料を常温で充填し且つ飲料を加温販
売するための樹脂製容器の製造方法であって、非耐熱性
樹脂材を試験管形状に形成した中間成形品を得るプリフ
ォーム工程と、プリフォーム成形品の容器口部に対応す
る部分を加熱して結晶化する白化工程と、白化工程後に
プリフォーム成形品を金型でブロー成形するブロー成形
工程とを備え、ブロー成形工程における金型の加熱媒体
に水を用いて製造するとともに、キャップが螺合する容
器口部の結晶化度を5%以上42%以下とし、且つ口部
の下端に連続する容器胴部の結晶化度を10%以上35
%以下にしたことを特徴とする。
【0017】この請求項に記載の発明では、ブロー成
形工程において、金型の加熱媒体として水を使用するこ
とにより、製造工程及び製造設備を簡易にできるととも
に、加熱媒体を水とすることにより、取り扱い易く且つ
環境に与える影響も少ない。
【0018】
【0019】白化工程では、容器口部の一部のみを結晶
化させているので、請求項1に記載の発明と同様に、結
晶化部分を少なくでき、樹脂製容器の製造コストの低減
と、地球環境への影響の低減を図ることができる。
【0020】請求項4に記載の発明は、容器内を殺菌し
た後に殺菌済みの飲料を常温で充填し且つ飲料を加温販
売するための樹脂製容器の製造方法であって、非耐熱性
樹脂材を試験管形状に形成した中間成形品を得るプリフ
ォーム工程と、プリフォーム成形品の容器口部に対応す
る部分を加熱して結晶化する白化工程と、白化工程後に
プリフォーム成形品を金型でブロー成形するブロー成形
工程とを備え、ブロー成形工程における金型温度を12
0℃以下にして製造するとともに、キャップが螺合する
容器口部の結晶化度を5%以上42%以下とし、且つ口
部の下端に連続する容器胴部の結晶化度を10%以上3
5%以下にし、白化工程では口部の内側に支持部材を挿
入して且つ支持部材に冷却性能を付与して口部半径方向
の温度制御をおこなって製造したことを特徴とする。こ
の請求項記載の発明では、請求項3に記載の発明にあ
るブロー成形金型の加熱媒体に水を用いるという構成が
なく、口部の白化工程で口部の内側に支持部材を挿入し
て且つ支持部材に冷却性能を付与して口部半径方向の温
度制御をおこなっているという請求項3の発明にない構
成を追加したものであり、それ以外は請求項3と略同じ
構成である。請求項5に記載の発明は、請求項1又は2
に記載の樹脂製容器、又は請求項4に記載の製造方法に
より製造した樹脂容器に乳の入った飲料又はお茶系飲料
を充填したことを特徴とする。
【0021】この請求項5に記載の発明では、請求項1
〜4のいずれかに記載の発明と同様な作用効果を奏する
とともに、特に乳の入った飲料やお茶系飲料では、殺菌
性の観点からアセプティック充填が要求されており、ア
セプティック充填用の容器を使用しているため、従来加
温器を用いて加温し難かったこれらの飲料においては特
に有効である。即ち、冬場等における飲料時にこれらの
ものは温かいものの需要が高いので、これらの樹脂製容
器入り飲料が加温できれば、消費者の需要も高い。乳の
入った飲料としては、乳の入ったコーヒーや、乳の入っ
た紅茶、ココア、牛乳等がある。お茶系飲料としては、
混合茶、麦茶、玉露茶、煎茶等がある。もちろん、本発
明に適用される飲料には、その他にブラックコーヒーや
健康飲料、果汁飲料等も含み、全ての飲料に適用可能で
ある。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照しながら
本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本実施
の形態にかかる樹脂製容器の正面図であり、図2は図1
の矢印A部の断面図であり、図3は図1に示す樹脂製容
器の底面図であり、図4は図1に示す樹脂製容器の製造
工程図であり、図5は樹脂製容器入り飲料の製造工程図
であり、図6は樹脂製容器入り飲料の加温販売を説明す
る斜視図である。
【0023】本実施の形態にかかる樹脂製容器入り飲料
1は、アセプティック充填により製造したものである
が、アセプティック充填用の樹脂容器2には、口部4が
結晶化してある。この樹脂製容器入り飲料1は、図6に
示すような加温器3による加温販売が可能である。尚、
加温器3は、加熱されたホットプレート5に缶入り飲料
7や本実施の形態にかかる樹脂製容器入り飲料1を載置
して加温するものである。
【0024】樹脂製容器2は、ポリエチレン・テレフタ
レート(PET)製の飲料用ボトルであり、概して口部
4と、胴部8と、底部10とから構成されている。口部
4には、キャップ9が装着されて密封されている。尚、
図1において、符号12はネックサポートリングであ
る。
【0025】この樹脂製容器2は、図4にその製造工程
を示すように、PETをプリフォーム工程S1により射
出成形して試験管状の中間成形品を得た後、白化工程S
2でクリスタライザーにより口部4を白化結晶させてい
る。クリスタライザーによる加熱は、本実施の形態で
は、口部4の内側に支持部材を挿入して口部4の周囲に
配置されたヒータで熱処理している。このように、口部
4の内側に支持部材を挿入することにより、加熱時に口
部4の内側の形状を保持するとともに、支持部材の冷却
性能付与などにより、結晶化における口部4の半径方向
の温度制御(温度勾配)や結晶化度の調整を図ることが
できる。
【0026】結晶化度(白化度)は、加温販売時等の条
件に応じて任意に設定可能である。本実施の形態では、
口部全体を白化しているが、半透明状態、あるいは半濁
状態の白化であってもよい。半濁状態にすれば、従来の
耐熱ボトルの完全な白化口部と比較して、結晶化度の少
ない容器を提供でき、白化工程が簡略化できるからであ
る。口部の結晶化度は、5%以上42%以下であること
が望ましく、更に望ましくは10%以上38%未満であ
る。口部の結晶化度を5%以上42%以下にすること
で、必要な耐熱性を得られながら結晶化を行うクリスタ
ライザーによる加熱温度を低くしたり、加熱時間を短縮
したりすることができ、これによりクリスタライザーの
設備及び制御を簡単にできるとともに消費エネルギーを
最小限に押さえることができ、あるいは生産効率を向上
させることができる。口部の結晶化度を10%以上38
%未満とすることにより耐熱性の限度に応じた消費エネ
ルギーに押さえつつクリスタライザーの設備及び制御の
簡易化を図ることができる。これに対して、従来のアセ
プティックボトルの口部の結晶化度は4%以上5%未満
であり、耐熱ボトルの口部では38%乃至42%であ
る。結晶化度の測定は、サンプルの密度を測定すること
によりその結晶化度を求めている(いわゆる密度勾配管
法)。加温販売時の樹脂製容器入り飲料の温度は一般に
50乃至70℃であり、ホットパック充填における70
乃至100℃の飲料温度まで要求されないので、必要な
結晶化度は、ホットパック充填に必要な耐熱性よりも低
い耐熱性を満たす程度で足りる。
【0027】白化工程S2の後にプリフォーム成形品
(中間品)をブロー成形機でブロー成形する(ブロー成
形工程S3)。ブロー成形機では、金型内でプリフォー
ム成形品を加熱した後に高圧空気を吹き込んで膨らませ
てボトル形状に成形する。このブロー成形機の金型温度
は、120℃以下であり、好ましくは80℃以下に設定
するとともに本実施の形態ではブロー成形品の肉厚も従
来の耐熱ボトルよりも薄く設計してある。また、金型の
加熱温度をこのように低くすることにより、金型の加熱
に用いる加熱媒体として水を使用することができ、加熱
媒体が取り扱い易く、且つ装置の整備も簡易なものにで
きる。胴部8の結晶化度は、耐熱性と、設備の簡易化
と、消費エネルギーの無駄の防止との兼ね合いから35
%以下としている。アセプティックボトルの胴部の結晶
化度は、温水で殺菌するものは温水に対する必要な耐熱
性を満たす必要から27%以上33%以下であるが、そ
れ以外の耐熱性を必要としない殺菌方法まで考慮すると
結晶化度は10%以上35%以下の範囲に設定される。
これに対して従来の耐熱ボトルでは、更に結晶化度を上
げるため(胴部結晶化度を35%を超え54%以下にす
るため)金型温度は一般に130℃以上であり、加熱媒
体として水は使用できず、オイルを使用している。従っ
て、加熱媒体が取り扱い難い。
【0028】使用する樹脂重量(目付け)は、本実施の
形態では350ml容器の場合で22乃至25gであ
り、従来の耐熱性ボトルでは耐熱性付与のため約26g
必要としていたことに比べると使用する樹脂量も少なく
できる。即ち、従来の耐熱性ボトルに比較して約1乃至
4g使用する樹脂量を少なくでき地球環境にやさしいと
ともに、コストの低減を図ることができ且つ容器の重量
自体も低減できる。このようにして、軽量なアセプティ
ック充填用樹脂製容器(ボトル)を製造する(S4)。
【0029】樹脂製容器2の底部10は、図3に示すよ
うに、平面方向のリブ11の他、略中央部に上方に向け
た凹部13が形成されているとともに凹部13の周囲に
は放射状のリブ15が複数形成されている。このよう
に、底部10を凹凸状に形成することによりアセプティ
ック充填用容器を加温したときに容器2内の気圧変化に
耐えることができる。また、本実施の形態では、容器2
にホットパック充填しないから、容器2に耐減圧性が要
求されず、ホットパック用の耐熱性容器のように胴部8
に機能性を追及した減圧パネルが必要ないので、デザイ
ンの自由度も高い。
【0030】次に、本実施の形態にかかる樹脂製容器入
り飲料1の製造工程について説明するが、以下に説明す
る製造方法は、アセプティック充填用樹脂容器(以下単
に「ボトル」という)2、即ち、非耐熱性容器を用いた
アセプティック充填飲料である。
【0031】まず、ステップS1で製造ラインにボトル
2が供給されると、ステップS2でこのボトル2が洗浄
水により予備洗浄される。続いてステップS3で薬剤リ
ンスによる殺菌処理がされる。次に、ステップS4で、
滅菌水によるリンスを行って仕上げリンスし、その後、
ステップS5で常温による飲料の充填を行う。飲料は、
例えば殺菌した乳入りコーヒー飲料である。
【0032】一方、キャップ9は別工程により殺菌処理
される。ステップS11でキャップ9が供給されるとボ
トル2と同様にステップS12の予備洗浄、ステップS
13の薬剤リンス、ステップS14の仕上げリンス工程
の後、ステップS6で飲料が充填されたボトル2に装着
され、キャップ巻き締めが行われる。その後、ステップ
S7のラベリング、ステップS8の印字、ステップS9
のケーシング工程を得て、樹脂製容器入り飲料1がケー
スに詰められて出荷される。このようにして製造された
樹脂製容器入り飲料1は、そのまま店頭に陳列された
り、冷蔵庫や自動販売機で冷却されたりするが、冬場等
では容器2の口部4が耐熱処理されているので、加温器
3により温められた状態で陳列したり、自動販売機で加
温して販売することもできる。即ち、口部4はキャップ
装着部が結晶化されているので、加温してもキャップ9
との密閉性が良好に保たれる。
【0033】本発明は、上述した実施の形態に限定され
ず、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形
が可能である。例えば、樹脂性容器は、ガスバリヤー性
樹脂層をラミネートしたものであってもよい。ガスバリ
ヤー性樹脂層としては、芳香族ポリエステル樹脂の延伸
発泡シートや、ポリアミド樹脂が用いられる。更に、耐
熱性樹脂層とガスバリヤー性樹脂層とで交互に3層又は
5層に構成した樹脂材で容器を構成して、容器に耐熱性
及びガスバリヤー性を付与するものであってもよい。
【0034】また、口部4の結晶化処理は、図7に符合
Eで示すように、キャップ9との螺子条が形成されてい
る外側のみを結晶化するものであってもよく、あるいは
内側から外側に向けて結晶化度に勾配をつけて、外側程
次第に結晶化度を高めるものであってもよい。または、
符号Fで示すように、口部4の上半分を結晶化するもの
であってもよい。更に、図8に示すように、キャップ9
と螺合する螺子条17にのみ結晶化を図るものであって
もよい。
【0035】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、アセプ
ティック充填を行った樹脂製容器入り飲料を、加温器で
加温しても、容器の収縮等による変形を防止でき、樹脂
製容器にアセプティック充填した飲料を、そのまま加温
器により温めることができる。しかも、樹脂製容器には
常温で飲料を充填するから、容器に耐熱性が要求されな
いので、容器胴部の耐熱性を低くでき、樹脂材選択の自
由度が高く、且つ樹脂材料として廉価なものを用いるこ
とができ、樹脂製容器の製造コストを低減できる。更
に、ボトル胴部にホットパック用のボトルほどは耐熱用
の処理を施す必要もないので、樹脂製容器の製造工程が
簡易である。容器口部には、加熱による結晶化によりそ
の部分の熱に対する強度を高めているから、加温販売し
ても容器口部が熱により変形するのを防止できる。アセ
プティック充填用のボトルの製造において、口部にのみ
白化処理(結晶化処理)を施すものであるから、既存の
設備をそのまま利用することができ、且つ製造も容易で
ある。特に、アセプティック充填容器の口部のみを白化
処理するだけであるから、製造が容易であり且つ製造コ
ストも安価である。樹脂製容器は、ホットパック充填用
ボトルに比較して軽量であり、樹脂材としても耐熱用の
特別のものを用いていないので、使用後の廃棄処理や再
生処理が容易で、地球環境にやさしい。
【0036】口部の結晶化度を5%以上42%以下にす
ることで、加温販売するのに必要な耐熱性を得られなが
ら結晶化を行うクリスタライザーによる加熱温度を低く
したり、加熱時間を短縮したりすることができ、これに
よりクリスタライザーの設備及び制御を簡単にできると
ともに消費エネルギーを最小限に押さえることができ、
あるいは生産効率を向上させることができる。
【0037】容器胴部の結晶化度を10%以上35%以
下としたのでブロー成形の金型温度を低くでき、樹脂製
容器の製造工程や金型構造を簡略化できる。金型の加熱
に用いる加熱媒体として水を使用することにより、加熱
媒体が取り扱い易く、且つ装置の設備も簡易なものにで
きる。
【0038】請求項2に記載の発明では、この請求項2
に記載の発明では、請求項1に記載の発明にあるブロー
成形金型の加熱媒体に水を用いるという構成がなく、口
部の白化工程で口部の内側に支持部材を挿入して且つ支
持部材に冷却性能を付与して口部半径方向の温度制御を
おこなっているという請求項1の発明にない構成を追加
しているものであり、例えば、口部における結晶化にお
いて外側部分の内側部分化度を内側部分の結晶化度より
も高めたり、螺子状部分のみの結晶化を図る制御が容易
にできる。このように結晶化を施す口部において、キャ
ップと勘合する外側部のみの結晶化度を高めることによ
って、必要な結晶化部分を少なくでき、更に樹脂製容器
の製造コストの低減と、地球環境への影響の低減を図る
ことができる。
【0039】また、螺子状部分のみの結晶化を図ること
よって、結晶化部分を少なくでき、樹脂製容器の製造
コストの低減と、地球環境への影響の低減をより多く図
ることができる。
【0040】
【0041】請求項3に記載の発明によれば、ブロー成
形工程において、金型温度を120℃以下とし、且つ金
型の加熱媒体として水を使用しているので、製造工程及
び製造設備を簡易にできる。また、加熱媒体を水とする
ことにより、取り扱い易く且つ環境に与える影響も少な
【0042】白化工程では、容器口部の一部のみを結晶
化させているので、請求項1に記載の発明と同様に、結
晶化部分を少なくでき、樹脂製容器の製造コストの低減
と、地球環境への影響の低減を図ることができる。
【0043】請求項記載の発明では、請求項3に記載
の発明にあるブロー成形金型の加熱媒体に水を用いると
いう構成がなく、口部の白化工程で口部の内側に支持部
材を挿入して且つ支持部材に冷却性能を付与して口部半
径方向の温度制御をおこなっているという請求項3の発
明にない構成を追加したものであり、請求項2に記載の
発明と同様に、例えば、口部における結晶化において外
側部分の内側部分化度を内側部分の結晶化度よりも高め
たり、螺子状部分のみの結晶化を図る制御が容易にでき
る。請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の
いずれかに記載の発明と同様な効果を奏するとともに、
特に乳の入った飲料やお茶系飲料では、殺菌性の観点か
らアセプティック充填が要求されており、アセプティッ
ク充填用の容器を使用しているので、従来加温器を用い
て加温されなかったこれらの飲料においては特に効果的
である。即ち、冬場等における飲料時にこれらのものは
温かいものの需要が高いので、これらの樹脂製容器入り
飲料がアセプティック充填用容器のまま加温できれば、
消費者の需要も高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる樹脂製容器の正面
図である。
【図2】図1の矢印A部の断面図である。
【図3】図1に示す樹脂製容器の底面図である。
【図4】図1に示す樹脂製容器の製造工程図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる樹脂製容器入り飲
料の製造工程図である。
【図6】樹脂製容器入り飲料を加温器で温めている状態
を示す斜視図である。
【図7】本発明の変形例にかかる樹脂製容器の口部の断
面図である。
【図8】本発明の変形例にかかる樹脂製容器の螺子条部
分を抜き出して示す断面図である。
【符号の説明】 1 樹脂製容器入り飲料 2 樹脂製容器 4 口部 8 胴部 9 キャップ 17 螺子条
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65D 81/24 B29L 22:00 // B29L 22:00 B65D 1/00 C Fターム(参考) 3E033 AA01 BA18 CA07 DA03 DA08 DB01 DD01 EA12 FA02 FA03 3E067 AA03 AB26 BA02A BB14A CA17 EA23 EA32 EB27 FA01 FB12 GC01 GD01 4F208 AG07 AG23 AH55 AR06 AR20 LA09 LB01 LH02 LH03 LH07 LH08 LH10 LN01 LW02 LW50

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器内を殺菌した後に殺菌済みの飲料を
    常温で充填する樹脂製容器において、容器の口部の少な
    くとも一部が加熱により結晶化されていることを特徴と
    する樹脂製容器。
  2. 【請求項2】 口部の結晶化度は、5%以上42%以下
    であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製容器。
  3. 【請求項3】 口部の下端に連続する容器胴部の結晶化
    度を10%以上35%以下にしてあることを特徴とする
    請求項1又は2に記載の樹脂製容器。
  4. 【請求項4】 口部の結晶化はキャップが螺合する外側
    部分の結晶化度が内側部分の結晶化度よりも高いことを
    特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の樹脂製容
    器。
  5. 【請求項5】 キャップが螺合する螺子条部分のみが結
    晶化されていることを特徴とする請求項1乃至4のいず
    れかに記載の樹脂製容器。
  6. 【請求項6】 容器全体の樹脂重量が、同じ容量の耐熱
    樹脂製容器よりも少ない樹脂重量であることを特徴とす
    る請求項1乃至5のいずれかに記載の樹脂製容器。
  7. 【請求項7】 容器内を殺菌した後に殺菌済みの飲料を
    常温で充填する樹脂製容器の製造方法であって、非耐熱
    性樹脂材を試験管形状に形成した中間成形品を得るプリ
    フォーム工程と、プリフォーム成形品の容器口部に対応
    する部分を加熱して結晶化する白化工程と、白化工程後
    にプリフォーム成形品を金型でブロー成形するブロー成
    形工程とを備え、ブロー成形工程における金型温度を1
    20℃以下にして製造したことを特徴とする樹脂製容器
    の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の樹脂製容器の製造方法で
    あって、白化工程では、キャップが螺合する容器口部の
    一部のみを結晶化させていることを特徴とする樹脂製容
    器の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至5のいずれかに記載の樹脂
    製容器又は請求項5乃至7のいずれかに記載の製造方法
    により製造した樹脂容器に乳の入った飲料又はお茶系飲
    料を充填したことを特徴とする樹脂製容器入り飲料。
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