JP2003112427A - 液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクジェット記録装置、インクカートリッジ - Google Patents

液滴吐出ヘッド及びその製造方法、インクジェット記録装置、インクカートリッジ

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JP2003112427A
JP2003112427A JP2001310840A JP2001310840A JP2003112427A JP 2003112427 A JP2003112427 A JP 2003112427A JP 2001310840 A JP2001310840 A JP 2001310840A JP 2001310840 A JP2001310840 A JP 2001310840A JP 2003112427 A JP2003112427 A JP 2003112427A
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organic resin
film
discharge head
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Kaihei Itsushiki
海平 一色
Junichi Azumi
純一 安住
Mitsugi Irinoda
貢 入野田
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク溶出防止によるノズルの目詰まりなど
が生じる。 【解決手段】 液室基板1の表面に、表面に微細な凹凸
を有する面21を形成した有機樹脂膜11を成膜した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液滴吐出ヘッド及びその
製造方法、インクジェット記録装置、インクカートリッ
ジに関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プ
ロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いる
インクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズル
と、このノズルが連通する液室(インク流路、吐出室、
圧力室、加圧液室等とも称される。)と、この液室内の
インクを加圧する駆動手段とを備えた液滴吐出ヘッドと
してのインクジェットヘッドを搭載したものである。な
お、液滴吐出ヘッドとしては例えば液体レジストを液滴
として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴と
して吐出する液滴吐出ヘッドなどもあるが、以下ではイ
ンクジェットヘッドを中心に説明する。
【0003】インクジェットヘッドとしては、インク流
路内のインクを加圧するエネルギーを発生するエネルギ
ー発生手段として、圧電素子を用いてインク流路の壁面
を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化
させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの
(特開平2−51734号公報参照)、或いは、発熱抵
抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発
生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆ
るバブル型のもの(特開昭61−59911号公報参
照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対
向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によ
って振動板を変形させることで、インク流路内容積を変
化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6
−71882号公報参照)などが知られている。
【0004】ところで、インクジェット記録装置におい
ては、高速での特にカラー画像の高画質記録を達成する
ため、高画質化の面ではマイクロマシン技術を用いた高
密度加工が用いられ、ヘッド構成部材の材料も、金属、
プラスチックなどからシリコン、ガラス、セラミックス
などに移行し、特に微細加工に適した材料としてシリコ
ンが用いられようになっている。
【0005】また、カラー化の面では、インク及び記録
メディア(媒体)の開発が主であり、記録メディアにイ
ンクが付着した時の浸透性や発色性、混色防止性などの
面からの最適化や、印字したメディアの長期保存性、イ
ンク自身の保存性などを高めるために、インクの成分、
組成についても開発が進められている。
【0006】この場合、インクとヘッド構成部材の材料
の組み合わせによっては、インクによってヘッド構成部
材がインクに溶解してしまうことがある。特に、流路形
成部材をシリコンで形成した場合に、インクにシリコン
が溶出して、ノズル部に析出し、ノズルの目詰まりが発
生したり、インクの発色性を低下させて画質が劣化す
る。特に、振動板を用いるヘッドにあっては、シリコン
薄膜振動板としたときにも同様に振動板を形成するシリ
コンが溶出すると、振動特性が変動したり、振動不能に
なる。
【0007】この場合、ヘッド構成部材の材料の変更で
対応したのでは、高密度加工の実現が困難になったり、
加工精度の低下なども発生することが多い。また、材料
の変更は、加工プロセスの大幅な変更や、組立て工程の
工夫が必要になったりする結果、ノズル密度の低下、ひ
いては印字品質の低下が引き起こされる。
【0008】一方、インク組成の調整で対応するので
は、もともとインクの成分、組成は印字品質を高めるた
めに記録メディアに対する浸透性、発色性が最適になる
ように、あるいは保存性が良くなるように調整している
ので、成分の変更調整は高画質化を損うことになりかね
ない。
【0009】そこで、従来のインクジェットヘッドにあ
っては、流路形成部材のインクに接する面に耐インク性
の薄膜を形成することが行われている。例えば、WO9
8/42513号公報にはインクに接する面に、チタン
又は、チタン化合物あるいは、酸化アルミニウムを形成
することが、特開平5―229118号公報にはインク
に接する面に酸化物膜を形成すること、特開平10−2
91322号公報には酸化シリコン膜の表面に耐インク
性を有する酸化物、窒化物、金属等の薄膜を形成するこ
とが開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のインクジェットヘッドにあっては、無機系の耐
インク性膜はインクのpHによって電気化学的に溶解し
やすい領域があり、インクに対する要求が厳しくなりや
すい。具体的には、例えばシリコン酸化膜では、pH>
9のインクに対して溶解してしまうが、一般的に発色性
の良いインクのpHは10〜11程度のアルカリ性であ
る場合が多く、このため、耐インク性を確保するために
は膜厚をかなり厚くしなければならず、無機系の膜を厚
く付けることは、プロセス面でも困難が伴うことが多い
うえ、内部応力が発生して流路形成部材の変形を招くと
いう課題が生じる。
【0011】また、耐インク性膜を成膜する場合、スパ
ッタ法や蒸着法が用いられているが、このとき薄膜を形
成するための粒子は方向性を持っているために流路の構
造に起因する影の部分が発生して薄膜が部分的に薄くな
ったり、或いは全く形成されなかったりして、すべての
面を完全に薄膜で被覆することが困難であるという課題
がある。
【0012】そこで、本発明者らは耐液性膜としてポリ
イミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂の使用を検討
しているが、このような耐液性膜であっても、液状の樹
脂を塗布するため、塗布面が表面張力で丸まったり、角
部分の膜厚が薄くなったりして、液室を形成する液室基
板上にノズルを有するノズル板或いは単なる蓋部材を接
合する際に、隙間が生じたり、接合面積が不足し十分な
接合強度が得られなかったりするという課題が生じるこ
とを見出した。
【0013】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、特に接合信頼性が高く、且つ耐腐食性を有する
信頼性の高い液滴吐出ヘッド及びその製造方法、並びに
その液滴吐出ヘッドを搭載したインクジェット記録装置
並びにその液滴吐出ヘッドを一体化したインクカートリ
ッジを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液室基板の表面
に、表面に微細な凹凸を持った耐液性の有機樹脂薄膜が
形成されている構成としたものである。
【0015】ここで、有機樹脂薄膜がポリイミド樹脂又
はポリベンゾオキサゾール樹脂であることが好ましい。
また、有機樹脂薄膜がスプレー塗布によって製膜されて
いることが好ましい。
【0016】さらに、有機樹脂薄膜が窒化チタン膜上に
形成されていることが好ましい。或いは、液室基板の表
面がグラインダー仕上げの粗面になっていることが好ま
しい。これらの場合、有機樹脂薄膜の下地面の表面粗さ
が、Rmax値で1nm以上1μm以下であることが好
ましい。
【0017】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法
は、有機樹脂膜をスプレー塗布によって成膜する場合
に、有機樹脂薄膜となる樹脂を沸点100℃以下の溶媒
によって希釈し、被塗布基板となる液室基板を加熱する
構成としたものである。
【0018】本発明に係るインクジェット記録装置は、
インク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドである
インクジェットヘッドを搭載したものである。
【0019】本発明に係るインクカートリッジは、イン
ク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドであるイン
クジェットヘッドとこのインクジェットヘッドにインク
を供給するインクタンクを一体化したものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。本発明の液滴吐出ヘッドの第
1実施形態に係るインクジェットヘッドについて図1乃
至図4を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの分
解斜視説明図、図2は同ヘッドの液室長手方向に沿う断
面説明図、図3は同ヘッドの液室短手方向に沿う断面説
明図、図4は同ヘッドの液室部分の要部拡大断面説明図
である。
【0021】このインクジェットヘッドは、液室基板で
ある第1基板1と、この第1基板1の下側に設けた電極
基板である第2基板2と、第1基板1の上側に設けた第
3基板でもあるノズル板3とを備え、これらによりイン
ク滴を吐出する複数のノズル4が連通する液流路である
加圧液室6、加圧液室6に流体抵抗部7を介してインク
を供給する共通液室8などを形成している。
【0022】第1基板1には加圧液室6及び加圧液室6
の壁面である底面を形成する振動板10を形成する凹
部、流体抵抗部7となる溝部、共通液室8を形成する凹
部などを設けている。
【0023】この第1基板1は、例えば結晶面方位(1
10)の単結晶シリコン基板に高濃度P型不純物、例え
ば高濃度のボロン(5×1019/cm)を拡散したボ
ロン拡散層を形成し、KOH水溶液などのエッチング液
を用いて異方性エッチングすることで、ボロン拡散層が
エッチングストップ層として機能してエッチストップす
るので、ボロン拡散層による高精度厚みの振動板10を
形成したものである。
【0024】また、例えば、シリコン基板を酸化膜を介
して接合したSOI基板を用いて形成することができ
る。この場合も、加圧液室6となる凹部をKOH水溶液
などのエッチング液を用いて異方性エッチングすること
により、酸化膜層をエッチストップ層として振動板10
を形成できる。
【0025】そして、図4に示すように、この第1基板
1の加圧液室6の壁面を形成する振動板10の液室側表
面を含めて有機樹脂薄膜11を成膜している。この場
合、第1基板1の表面に形成した有機樹脂薄膜11のう
ち、振動板10表面の領域11aの膜厚及びノズル板3
との接合面の領域11bの膜厚よりも各加圧液室6の隔
壁13の壁面の領域11cの膜厚を薄く形成している。
【0026】このような膜厚の有機樹脂薄膜11は、有
機樹脂をスプレー塗布工法で成膜することによって得ら
れ、このとき振動板10と隔壁13との角部の膜厚は振
動板10表面の領域11aの膜厚よりも厚くなる。な
お、図5に示すように、第1基板1の表面に略均一な膜
厚の有機樹脂薄膜11を形成することもできる。
【0027】ここで、この有機樹脂薄膜11の表面のう
ち、液室基板である第1基板1とノズル板3との接合面
に形成した領域11bの表面は微細な凹凸を有する面2
1としている。なお、成膜方法によっては、図4に示す
ように、有機樹脂薄膜11の振動板10表面の領域11
aの表面も微細な凹凸を有する面となる。
【0028】この第1基板1には振動板10に外部から
電圧を印加するFPCやワイヤーボンディング等の実装
を行うための振動板電極パッド15を形成している。こ
の振動板電極パッド15としては、Au、Al、Pt、Ti
N、Ni等の金属を用いることができる。
【0029】第2基板2には結晶面方位(100)或い
は(110)の単結晶シリコン基板を用いているが、単
結晶シリコン基板以外にパイレックス(登録商標)ガラ
ス等のガラス基板、セラミックス基板などをも用いるこ
とができる。
【0030】そして、この第2基板2にはHTO、LT
O、熱酸化法、CVD法、スパッタ法等により絶縁膜2
2を形成し、この絶縁膜22をフォトリソグラフィ、エ
ッチングにより加工して電極形成用溝24を形成し、こ
の電極形成用溝24の底面に振動板10にギャップ26
をおいて対向する駆動電極25を形成し、これらの振動
板10と対向する駆動電極25とによって振動板10を
静電力で変形させるマイクロアクチュエータを構成して
いる。
【0031】なお、絶縁膜22の膜厚はインクジェット
ヘッド駆動電圧等の動作特性を左右する設計パラメータ
であるので、インクジェットヘッドの動作仕様に応じて
適切に選択される。この絶縁膜22の電極形成用溝24
以外の部分はギャップ26を規定するギャップスペーサ
部となる。
【0032】駆動電極25は、チタン、タングステン、
タンタル等の高融点金属とその窒化物、或いはそれらの
化合物、或いはそれらの積層構造、Al、ポリシリコン
等を用いることができる。また、図示しないが、単結晶
シリコン基板の導電型と異なる導電性不純物層を形成
し、拡散電極としてもよい。
【0033】そして、この駆動電極25の表面(少なく
とも振動板10側表面)には絶縁保護膜(ギャップ膜)
27を成膜している。この絶縁保護膜27としては、H
TO、LTO、熱酸化法、CVD法、スパッタ法等によ
り形成したシリコン酸化膜等を用いることができる。
【0034】また、駆動電極25は外部に引き出して外
部駆動回路(駆動IC)から電圧を印加するFPCやワ
イヤーボンディング等の実装を行うための電極パッド部
28を一体に設けている。前述した振動板電極パッド1
5と駆動電極25とは数μmの段差であり、電極引出し
をFPCやワイヤーボンディング等で同時に行なうこと
ができる。FPCの場合は1枚のFPCで異方性導電膜
を介して接続することができ、ワイヤボンディングの場
合は駆動電極25と振動板電極パッド28とで高さ調整
をすることなく連続でボンディングすることができる。
【0035】ノズル板3にはインク滴を吐出する複数の
ノズル4を配置形成している。このノズル板3として
は、ステンレス、ニッケルなどの金属、ポリイミド樹脂
フィルム等の樹脂、シリコンウエハ等及びそれらの組み
合わせからなるものを用いることができる。また、ノズ
ル面(吐出方向の表面:吐出面)には、インクとの撥水
性を確保するため、メッキ被膜、あるいは撥水剤コーテ
ィングなどの周知の方法で撥水膜を形成している。
【0036】このノズル板3は、図4にも示すように、
第1基板1上に接着剤、例えば耐インク性を有するエポ
キシ系樹脂接着剤16で接合している。このとき、エポ
キシ系樹脂接着剤16のはみ出しによって同図に示すよ
うに有機樹脂薄膜11の薄くなった隔壁13表面部分が
覆われるので、隔壁13部分の耐インク性が向上する。
【0037】このように構成したインクジェットヘッド
においては、振動板10を共通電極とし、電極25を個
別電極として、図2に示すように、ドライバIC(駆動
回路)29から選択的に振動板10と電極25との間に
駆動電圧を印加することによって、振動板10と電極2
5との間に発生する静電力によって振動板10が電極2
5側に変形変位し、この状態から振動板10と電極25
間の電荷を放電させる(駆動電圧を0にする)ことによ
って振動板10が復帰変形して、液室6の内容積(体
積)/圧力が変化し、ノズル4からインク滴が吐出され
る。
【0038】このとき、振動板10の液室側表面は有機
樹脂薄膜11で被覆しているので、振動板10を含む第
1基板1を形成するシリコンのインク中への溶出が防止
され、ノズルの目詰まり、振動特性のバラツキ、振動不
良などもなく、長期の動作安定性及び信頼性が得られ
る。
【0039】また、第1基板1とノズル板3とを接合す
る隔壁13の上面に形成した有機樹脂薄膜11の表面は
微細な凹凸を有する面21となっているので、第1基板
1とノズル板3との接着面積(接合面積)が大きくな
り、接着のアンカー効果などが良く効き、接合(接着)
信頼性が向上する。
【0040】有機樹脂薄膜11として、ポリイミド系樹
脂膜を成膜した場合の耐インク基材への溶出特性評価結
果を図6に示している。この評価結果は、紫外線吸収曲
線によって評価したものである。リファレンスの溶液の
吸収特性と、ポリイミド浸漬液の吸収特性に全く差がな
く、ポリイミドの溶出がないことがわかる。なお、浸漬
は50℃で3日間超音波を印加した場合の結果である。
【0041】次に、液室基板である第1基板1に対する
有機樹脂薄膜11の製膜工程について図7及び図8を参
照して説明する。ここでは、有機樹脂膜としてポリイミ
ド系樹脂膜を形成する場合を説明する。先ず、ポリイミ
ドの前駆物質であるポリアミド酸をNメチルピロリドン
などの溶媒と低沸点の溶媒、ここでは1,3ジオキソラ
ンを用いて、5cP(25℃)以下の粘度になるまで希
釈する。このとき、低沸点溶媒の量を多く配合すること
が肝要である。実施例では、3cP(25℃)まで希釈
して塗布に用いた。
【0042】この液をスプレー塗布装置等の手段によっ
て第1基板11(被塗布基板)上に塗布する。すなわ
ち、図7に示すように、回転するヒータ付きチャックス
テージ31上に被塗布基板Wをセットし、被塗布基板W
を所定の温度に加温しておき、被塗布基板Wを回転させ
ながら、超音波型スプレー塗布装置33によってPI
(ポリイミド)樹脂粒子34を被塗布基板Wにスプレー
塗布した。
【0043】このとき、被塗布基板Wはステージ31上
で約100℃の温度に加温(加熱)しておいた。このと
きの温度は、溶媒の沸点、蒸発分(使用する溶媒によっ
て変る)を考慮して決めている。このようにすること
で、スプレー塗布されたポリイミド霧は、被塗布基板W
上に落下するとほぼ同時に乾燥し、被塗布基板W上で大
きく広がることなく、乾燥(高粘度化)する。なお、塗
布条件によっては、空中で半乾燥化し、塗布面に付着す
る時には、粘着性の粒状にすることも可能である。
【0044】次に、前記ポリアミド酸が塗布された被塗
布基板Wを100〜180℃の温度で加熱し、残った溶
媒であるNメチルピロリドンをゆっくりと蒸発させる。
ここで用いたNメチルピロリドンの沸点は203℃であ
るが、この温度に近い温度、あるいはより高い温度で急
速に蒸発させると、発泡による膜の不均一化(ピンホー
ル)が発生することがあるため、ゆっくりと蒸発させる
ことが必要である。
【0045】溶媒が蒸発すると、ポリアミド酸の膜が図
8に示す膜35、38のように残る。このとき、膜が薄
い場合は、同じ工程を繰り返して製膜し、厚膜化を図る
ことができる。
【0046】次に、ポリアミド酸膜35、38が形成さ
れた被塗布基板Wを、ゆっくりと加熱し脱水縮合させて
ポリイミド膜(有機樹脂薄膜)11とした。実施例で
は、150℃/15分、200℃/15分、250℃/
10分、300℃/10分、350℃/10分処理後、
徐冷している。ゆっくりと加熱する目的は、脱水縮合に
よるイミド化によって、被塗布基板Wに余計な応力が加
わらないようにするためである。このようにしてポリイ
ミド膜11を製膜することによって、ポリイミド膜11
はノズル板3との接合面の領域11bは微細な凹凸を有
する表面21に仕上げることができる。
【0047】このポリイミド膜は各種インクに対して高
い接液性(不溶解性、耐膨潤性)を持っており、薄い膜
であっても耐インク膜の役割を達成することができる。
本実施例では、振動板10上のポリイミド膜(有機樹脂
膜)11がイミド化後約3μmの厚さになるように製膜
した。続いて、ノズル板3を接着剤16で貼りつける。
【0048】このとき、前述したように、第1基板1と
ノズル板3とを接合する隔壁13上面に形成した有機樹
脂薄膜11の表面は微細な凹凸を有する面21となって
いるので、第1基板1とノズル板3との接着面積(接合
面積)が大きくなり、接着のアンカー効果などが良く効
き、接合(接着)信頼性が向上し、また、隔壁13の上
部壁面には接着剤16がはみ出して覆うので、耐インク
性が低下することもない。
【0049】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドの第2
実施形態についてその製造工程とともに図9及び図10
を参照して説明する。なお、図9及び図10はいずれも
液室短手方向に沿う要部拡大説明図である。この実施形
態においては、液室基板である第1基板1の表面にポリ
イミドなどの有機樹脂膜11及び有機樹脂膜11の下地
となる窒化チタン(TiN)膜41を形成している。
【0050】ここで、TiN膜41は、図10に示すよ
うに、液室形状となるKOHによるエッチングが終了し
た後、洗浄乾燥させた第1基板1上に、窒素プラズマ中
でチタンをスパッタリングして製膜する反応性スパッタ
法で、約100nmの厚さに製膜している。ここで、T
iN膜は非常に結晶性が高いため、製膜したTiN膜4
1は柱上の結晶構造を持ち、その表面は微細な凹凸を持
つ面21に仕上げることができる。
【0051】そして、このTiN膜41の表面にポリイ
ミド膜などの有機樹脂膜11を積層形成する。この場
合、TiN自身も優れた耐インク性を持つ材料である
が、先の結晶性の高さによって、結晶間の隙間にインク
が染み込みやすいという欠点も有しているので、TiN
膜41上に第1実施形態と同様の方法でポリイミド膜な
どを成膜することで、この欠点を解消することができ
る。
【0052】このように、TiN膜41表面の凹凸とポ
リイミド膜(有機樹脂膜)11の凹凸形成塗布法によっ
て、ノズル板3との接合性はより高まる。また、第1基
板1を基準面として2層構造の耐インク膜が形成される
ことになり、耐インク性もより向上する。
【0053】続いて、ノズル板3を接着剤で貼りつけ
る。ここでも接着剤にエポキシ系接着剤を使用した。こ
のとき、接着される面が上記のように凹凸構造となって
いるため、接着面積が大きくでき、接着のアンカー効果
などが良く効き、接着信頼性を高めることができる。ま
た、隔壁13上部の角部は接着剤16のはみ出しにより
覆われるため、耐インク性が低下することもない。
【0054】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドの第3
実施形態についてその製造工程とともに図11及び図1
2を参照して説明する。なお、図11及び図12はいず
れも液室短手方向に沿う要部拡大説明図である。この実
施形態においては、液室基板である第1基板1の表面の
うちノズル板3と接合する面は微細な凹凸を有する研削
面45とし、この微細な凹凸を有する研削面45を含め
てポリイミドなどの有機樹脂膜11を形成し、これによ
り、有機樹脂膜11も第1基板1とノズル板3とを接合
する面が微細な凹凸を有する面21となる。
【0055】すなわち、液室基板となる第1基板1とし
ては、前述したように単結晶シリコン基板(ウエハ)を
用いているが、通常、半導体用などとして市販されてい
るシリコン基板は硬くて欠けやすいという性質から50
0μm程度の厚さに加工されている。ところが、インク
ジェットヘッドの流路などに用いる場合は、その板厚は
100μm前後で使うことが一般的となることから、シ
リコン基板を研磨して厚みを薄くして使用するため、シ
リコン基板の表面は鏡面に近い精度の研磨面となる。
【0056】ところが、後工程でのノズル板の接着接合
を考慮すると、第1基板のノズル板との接合面はその面
粗さが粗い方が良いことは明らかである。しかし、あま
りに粗いと、エッチングのためのマスク層形成や、リソ
グラフィー工程で欠陥が出やすくなる。そこで、何種類
かの研磨方法を試みたところ、ダイヤモンド砥石を用い
たグラインダーによる研削が良く、さらには1000番
目以下の粗さ、より好ましくは400〜800番目の粗
さが良いことが判明した。このような研削面45とする
ことで、エッチング加工上の問題も無く仕上げることが
できた。
【0057】そこで、このような研削面(凹凸を有する
面)45上に耐インク膜となるポリイミド膜を第1実施
形態と同様の方法で塗布することで、ノズル板3との接
着接合性に優れた耐インク膜を製膜することができる。
【0058】この工程の後、第1実施形態の製造工程で
説明したと同様に、ノズル板3を接着剤で貼りつける。
ここでは接着剤にエポキシ系接着剤を使用した。この
時、接着される面が上記のように凹凸構造となっている
ため、接着面積が大きくでき、接着のアンカー効果など
が良く効き、接着信頼性を高める事ができる。また、隔
壁13上部の角部は接着剤16のはみ出しにより覆われ
るため、耐インク性が低下することもない。
【0059】ここで、有機樹脂膜11の微細な凹凸を有
する面21の粗さについて説明する。実験によると、耐
インク膜である有機樹脂膜11の表面のうち、ノズル板
3と接合される領域11bの表面の微細な凹凸は、その
粗さがRmax値で1nm未満であると、密着強度が得
にくく、接着材料によっては、弾きが発生することもあ
った。また、その粗さが、同じくRmax値で1μmを
超えると、インクの侵入を起こしやすくなったり、塗布
むら(ボイド)が発生したりしやすくなった。
【0060】したがって、有機樹脂膜11の微細な凹凸
を有する面21の粗さは、Rmax値で1nm以上1μ
m以下であることが好ましい。なお、上述した第2実施
形態或いは第3実施形態のように有機樹脂膜11の下地
となるTiN膜41表面或いは第1基板1の接合面に凹
凸を形成する場合、これらの表面の凹凸もRmax値で
1nm以上1μm以下の範囲に仕上げることで、最表層
の有機樹脂膜11の表面をRmax値で1nm以上1μ
m以下に仕上げることができる。
【0061】次に、有機樹脂薄膜11の膜厚について図
13及び図5を参照して説明する。有機樹脂薄膜11を
成膜した場合、膜の持つ応力によって振動板10が撓ん
だり、有機樹脂薄膜を含む振動板全体の剛性が高くな
り、振動板10を曲げるために必要な電圧が高くなった
りすることがある。したがって、上述したように成膜時
の塵、表面凹凸以外の観点からも有機樹脂薄膜の膜厚を
規定する必要がある。
【0062】そこで、振動板の剛性(ばね性)を板厚、
幅などを変更することで変えた試験ヘッドを作製し、そ
の駆動電圧特性を観察したところ、狙いの剛性の振動板
に対して、ばね性で2倍までであれば、駆動電圧は2V
以下の変化でしかないことが分かった。
【0063】したがって、有機樹脂薄膜が付いていない
シリコン振動板のばね定数をK1とすると、耐インク膜
が付いた振動板のばね定数K2が、2>K2/K1であ
れば良いことになる。
【0064】ここで、ばね定数K1=35Exhx3/
a4 である(Ex:シリコン振動板のヤング率、h
x:シリコン振動板の板厚、a:振動板の短辺方向幅)
ので、ポリイミド膜を形成した場合、ばね定数K2=3
5/a4*(Exhx3+Eyhy3)である(Ey:
ポリイミド膜のヤング率、hy:ポリイミド膜の膜厚)
となる。
【0065】これらの関係から、図13に示すように、
シリコン振動板の板厚に対してポリイミドの膜厚比が3
以下であれば、ばね定数比が2以下になることが分か
る。具体的に、シリコン振動板10の厚さを1μmとし
た場合ポリイミド膜(有機樹脂薄膜11)の膜厚を約3
μmとすることによって振動特性に対する影響がなく、
かつ、前述したようにピンホール欠陥等も防止できる。
【0066】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドである
インクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装
置の一例について図14及び図15を参照して説明す
る。なお、図14は同記録装置の斜視説明図、図15は
同記録装置の機構部の側面説明図である。このインクジ
ェット記録装置は、記録装置本体51の内部に主走査方
向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載した本発
明に係るインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記
録ヘッドへインクを供給するインクカートリッジ等で構
成される印字機構部52等を収納し、装置本体51の下
方部には前方側から多数枚の用紙53を積載可能な給紙
カセット(或いは給紙トレイでもよい。)54を抜き差
し自在に装着することができ、また、用紙53を手差し
で給紙するための手差しトレイ55を開倒することがで
き、給紙カセット54或いは手差しトレイ55から給送
される用紙53を取り込み、印字機構部52によって所
要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ
56に排紙する。
【0067】印字機構部52は、図示しない左右の側板
に横架したガイド部材である主ガイドロッド61と従ガ
イドロッド62とでキャリッジ63を主走査方向(図1
5で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッ
ジ63にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ
(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する
本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッ
ドからなるヘッド64を複数のインク吐出口を主走査方
向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に
向けて装着している。またキャリッジ63にはヘッド6
4に各色のインクを供給するための各インクカートリッ
ジ65を交換可能に装着している。
【0068】インクカートリッジ65は上方に大気と連
通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへインク
を供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔
質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェ
ットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持し
ている。また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド
64を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズル
を有する1個のヘッドでもよい。
【0069】ここで、キャリッジ63は後方側(用紙搬
送方向下流側)を主ガイドロッド61に摺動自在に嵌装
し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド6
2に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ
63を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ6
7で回転駆動される駆動プーリ68と従動プーリ69と
の間にタイミングベルト70を張装し、このタイミング
ベルト70をキャリッジ63に固定しており、主走査モ
ーター67の正逆回転によりキャリッジ63が往復駆動
される。
【0070】一方、給紙カセット54にセットした用紙
53をヘッド64の下方側に搬送するために、給紙カセ
ット54から用紙53を分離給装する給紙ローラ71及
びフリクションパッド72と、用紙53を案内するガイ
ド部材73と、給紙された用紙53を反転させて搬送す
る搬送ローラ74と、この搬送ローラ74の周面に押し
付けられる搬送コロ75及び搬送ローラ74からの用紙
53の送り出し角度を規定する先端コロ76とを設けて
いる。搬送ローラ74は副走査モータ77によってギヤ
列を介して回転駆動される。
【0071】そして、キャリッジ63の主走査方向の移
動範囲に対応して搬送ローラ74から送り出された用紙
53を記録ヘッド64の下方側で案内する用紙ガイド部
材である印写受け部材79を設けている。この印写受け
部材79の用紙搬送方向下流側には、用紙53を排紙方
向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ81、拍車
82を設け、さらに用紙53を排紙トレイ56に送り出
す排紙ローラ83及び拍車84と、排紙経路を形成する
ガイド部材85,86とを配設している。
【0072】記録時には、キャリッジ63を移動させな
がら画像信号に応じて記録ヘッド64を駆動することに
より、停止している用紙53にインクを吐出して1行分
を記録し、用紙53を所定量搬送後次の行の記録を行
う。記録終了信号または、用紙53の後端が記録領域に
到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ
用紙53を排紙する。
【0073】また、キャリッジ63の移動方向右端側の
記録領域を外れた位置には、ヘッド64の吐出不良を回
復するための回復装置87を配置している。回復装置8
7はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有し
ている。キャリッジ63は印字待機中にはこの回復装置
87側に移動されてキャッピング手段でヘッド64をキ
ャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に保つことにより
インク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中
などに記録と関係しないインクを吐出することにより、
全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性
能を維持する。
【0074】吐出不良が発生した場合等には、キャッピ
ング手段でヘッド64の吐出口を密封し、チューブを通
して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い
出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニン
グ手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸
引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜
(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体
に吸収保持される。
【0075】このように本発明に係る液滴吐出ヘッドで
あるインクジェットヘッドを搭載することにより、シリ
コンのインク中への溶出が防止され、ノズルの目詰ま
り、振動特性のバラツキ、振動不良などもなく、長期の
動作安定性が得られるので、安定して高画質記録を行う
ことができる。
【0076】次に、本発明に係るインクカートリッジに
ついて図16を参照して説明する。この実施形態は、ヘ
ッド一体型インクカートリッジのヘッド部に本発明を適
用したものであり、インクカートリッジ100は、ノズ
ル101等を有する上記各実施形態のいずれかのインク
ジェットヘッド102と、このインクジェットヘッド1
02に対してインクを供給するインクタンク103とを
一体化したものである。
【0077】インクタンク一体型のヘッド又はヘッド一
体型のインクタンク(両者をいずれも「インクカートリ
ッジ」と称している。)の場合、ヘッドの歩留まり不良
は直ちにインクカートリッジ全体の不良につながるの
で、このように本発明に係る液滴吐出ヘッドであるイン
クジェットヘッドを一体化することにより、シリコンの
インク中への溶出が防止され、ノズルの目詰まり、振動
特性のバラツキ、振動不良などもなく、長期の動作安定
性が得られるので、インクカートリッジの高信頼性、低
コスト化を図れる。
【0078】なお、上記実施形態においては、本発明に
係る液滴吐出ヘッドをインクジェットヘッドに適用した
が、インク以外の液体の滴、例えば、パターニング用の
液体レジストを吐出する液滴吐出ヘッド、遺伝子分析試
料を吐出する液滴吐出ヘッドなどにも適用することでき
る。また、上記実施形態においては静電型液滴吐出ヘッ
ドについて説明したが、電気機械変換素子を用いる液滴
吐出ヘッド、発熱抵抗体素子を用いる液滴吐出ヘッドに
も同様に適用することができる。さらに、上記実施形態
においては、液室基板にノズル板を接合するヘッドで説
明したが、液室基板に蓋部材を接合するヘッドにも同様
に適用することができる。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る液滴
吐出ヘッドによれば、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、
液室基板の表面に、表面に微細な凹凸を持った耐液性の
有機樹脂薄膜が形成されているので、耐腐食性を有する
信頼性の高いヘッドが得られるとともに、接合信頼性も
向上する。
【0080】ここで、有機樹脂薄膜がポリイミド樹脂又
はポリベンゾオキサゾール樹脂であることで、耐液性、
耐腐食性を向上することができる。また、有機樹脂薄膜
がスプレー塗布によって製膜されていることで、簡単な
プロセスで微細な凹凸表面を有する樹脂薄膜を形成でき
る。
【0081】さらに、有機樹脂薄膜が窒化チタン膜上に
形成されていることで、耐液性が更に向上する。或い
は、液室基板の表面がグラインダー仕上げの粗面になっ
ていることで、有機樹脂薄膜と液室基板との接合強度が
向上する。これらの場合、有機樹脂薄膜の下地面の表面
粗さが、Rmax値で1nm以上1μm以下であること
で、有機樹脂薄膜と他の部材との接合強度を確保し、液
体の侵入を防止できる。
【0082】本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法に
よれば、有機樹脂膜をスプレー塗布によって成膜する場
合に、有機樹脂薄膜となる樹脂を沸点100℃以下の溶
媒によって希釈し、被塗布基板となる液室基板を加熱す
る構成としたので、容易に微細な凹凸表面を有する有機
樹脂薄膜を形成できる。
【0083】本発明に係るインクジェット記録装置によ
れば、インク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッド
であるインクジェットヘッドを搭載したので、信頼性が
向上し、画像品質も向上する。
【0084】本発明に係るインクカートリッジによれ
ば、インク滴を吐出する本発明に係る液滴吐出ヘッドで
あるインクジェットヘッドとこのインクジェットヘッド
にインクを供給するインクタンクを一体化したので、信
頼性が向上し、歩留まりの向上による低コスト化を図れ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出ヘッドとしてのインクジェッ
トヘッドの分解斜視説明図
【図2】同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図
【図3】同ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図
【図4】同ヘッドの有機樹脂薄膜の説明に供する要部拡
大説明図
【図5】同ヘッドの有機樹脂薄膜の他の成膜例の説明に
供する要部拡大説明図
【図6】ポリイミド樹脂膜のインクに対する溶出評価の
説明に供する説明図
【図7】ポリイミド樹脂膜の成膜方法の説明に供する説
明図
【図8】同じくポリイミド樹脂膜の成膜方法の説明に供
する要部拡大説明図
【図9】本発明に係る液滴吐出ヘッドの第2実施形態の
説明に供する液室短手方向に沿う要部断面説明図
【図10】同実施形態の説明に供する有機樹脂薄膜形成
前の状態を示す液室短手方向に沿う要部断面説明図
【図11】本発明に係る液滴吐出ヘッドの第3実施形態
の説明に供する液室短手方向に沿う要部断面説明図
【図12】同実施形態の説明に供する有機樹脂薄膜形成
前の状態を示す液室短手方向に沿う要部断面説明図
【図13】有機樹脂薄膜の膜厚の説明に供する説明図
【図14】本発明に係るインクジェット記録装置の一例
を示す斜視説明図
【図15】同記録装置の機構部の側面説明図
【図16】本発明に係るインクカートリッジの一例を示
す斜視説明図
【符号の説明】
1…第1基板、2…第2基板、3…ノズル板、4…ノズ
ル、6…加圧液室、7…インク供給路、8…共通液室、
10…振動板、11…有機樹脂薄膜、25…電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 入野田 貢 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2C057 AF70 AF72 AF84 AG54 AP22 AP57 AQ02 BA05 BA14 BA15

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズルが連通する液室を形成するための
    液室基板と、この液室基板に接合する蓋部材又は前記ノ
    ズルを有するノズル板とを有し、前記液室内の液体を加
    圧して前記ノズルから液滴を吐出させる液滴吐出ヘッド
    において、前記液室基板の表面に、表面に微細な凹凸を
    持った耐液性の有機樹脂薄膜が形成されていることを特
    徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の液滴吐出ヘッドにおい
    て、前記有機樹脂薄膜がポリイミド樹脂又はポリベンゾ
    オキサゾール樹脂であることを特徴とする液滴吐出ヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッド
    において、前記有機樹脂薄膜がスプレー塗布によって製
    膜されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッド
    において、前記有機樹脂薄膜が窒化チタン膜上に形成さ
    れていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッド
    において、前記液室基板の表面がグラインダー仕上げの
    粗面になっていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5に記載の液滴吐出ヘッド
    において、前記有機樹脂薄膜の下地面の表面粗さが、R
    max値で1nm以上1μm以下であることを特徴とす
    る液滴吐出ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項3に記載の液滴吐出ヘッドを製造
    する製造方法であって、前記有機樹脂薄膜となる樹脂を
    沸点100℃以下の溶媒によって希釈し、被塗布基板と
    なる液室基板を加熱することを特徴とする液滴吐出ヘッ
    ドの製造方法。
  8. 【請求項8】 インク滴を吐出するインクジェットヘッ
    ドを搭載したインクジェット記録装置において、前記イ
    ンクジェットヘッドが前記請求項1乃至6のいずれかに
    記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
  9. 【請求項9】 インク滴を吐出するインクジェットヘッ
    ドとこのインクジェットヘッドにインクを供給するイン
    クタンクを一体化したインクカートリッジにおいて、前
    記インクジェットヘッドが前記請求項1乃至6のいずれ
    かに記載の液滴吐出ヘッドであることを特徴とするイン
    クカートリッジ。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2017150085A1 (ja) * 2016-03-03 2017-09-08 株式会社リコー 液体吐出ヘッド、液体吐出ユニット、液体を吐出する装置

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