JP2003112204A - 高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

高強度熱延鋼板およびその製造方法

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JP2003112204A JP2001308650A JP2001308650A JP2003112204A JP 2003112204 A JP2003112204 A JP 2003112204A JP 2001308650 A JP2001308650 A JP 2001308650A JP 2001308650 A JP2001308650 A JP 2001308650A JP 2003112204 A JP2003112204 A JP 2003112204A
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正 井上
Sadanori Imada
貞則 今田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厳しいプレス加工用途にも適用可能であり、
伸びフランジ性を始めとする加工性に優れた比較的低合
金の高強度熱延鋼板およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 化学成分として、mass%で、C:0.04〜0.1
2%、Si:2%以下、Mn:0.5〜2.5%、sol.Al:0.1%以下を含有
する鋼を鋳造後、直接又は再加熱して熱間圧延を行い、
Ar3変態点以上の仕上温度で熱間圧延を終了し、圧延終
了後2秒以内に冷却を開始し、170℃以上の温度範囲にわ
たって冷却速度を150℃/s超とするとともに、450℃以上
650℃未満の温度で冷却を停止する高強度熱延鋼板の製
造方法。さらに、Ti,Nb,V,Zrの内1種以上を合計で0.01
〜0.2%含有する鋼、あるいは、Cr:1%以下、Mo:0.5%以下
の内1種以上を含有する鋼を用いることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加工性に優れた高
強度熱延鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高い強度と伸びフランジ性が要求
される用途の熱延鋼板において、強度が高く加工性に優
れている鋼板として、ベイナイト組織を主体とする高強
度熱延鋼板が実用化されてきている。これらの高強度熱
延鋼板は、自動車の軽量化等を目的として種々の構造部
材や部品への適用が進められている。適用範囲の拡大に
伴い、年々その仕様は厳しくなっており、さらなる加工
性の向上が望まれている。
【0003】このようなベイナイト組織を主体とする変
態組織(フェライト-ベイナイト、ベイナイト)を有す
る高強度熱延鋼板において、伸びフランジ性と強度を共
に向上、即ち伸びフランジ性-強度バランスを向上させ
るには、組織を微細化することが有効である。熱延鋼板
の組織制御は一般に仕上圧延およびその後の冷却を制御
することにより可能である。そこで、これらの製造条件
を限定することにより加工性の向上を図る技術が提案さ
れている。
【0004】例えば、特開昭54-65118号公報には、急冷
を2段に分けてその間に保持期間のある2段冷却を行う方
法が提案されている。この場合、冷却速度は、1次、2次
とも80℃/s以上として、粒成長を抑制している。特開昭
56-33429号公報には、2段冷却の1次冷却開始温度を720
〜850℃、冷却速度を、1次、2次とも30〜200℃/sとし
て、フェライト粒を微細化する技術が提案されている。
【0005】特開昭60-121225号公報には、Ar3〜Ar3+40
℃の温度範囲で累積圧下率45%以上の圧下を加え、圧延
後所定の温度まで徐冷し、30℃/s以上の冷却速度で冷却
することにより、フェライト粒を微細に分散させ、マル
テンサイトの微細化を図る技術が提案されている。また
この技術では、材質の均一性を図るための冷却条件とし
て、冷却時の熱伝達係数を1000W/m2・K以下とすることが
好ましいとしている。また、特許2831858号公報には、
圧延後空冷し、その後50〜100℃/sで冷却して、穴拡げ
性に有利なベイナイト主体の組織を得る技術が提案され
ている。
【0006】また、特開2000-109951号公報には、Nb,Ti
等の析出強化型元素を添加することにより組織を細粒化
し、圧延後20〜150℃/sで冷却することにより、高い強
度と加工性を得る技術が提案されている。特公昭62-392
30号公報は、加工誘起変態によるフェライトと焼入れ組
織からなる二相高強度熱延鋼板が提案されている。この
技術では、加工誘起等軸フェライト粒を50〜70%以上生
成させることが必要としている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開昭54-65118号公報、特開昭56-33429号公報、特開昭60
-121225号公報に記載された圧延後の冷却条件では、実
施してみると複合組織の微細化が十分に達成されず、第
2相組織の微細分散化による伸びフランジ性の向上の点
で限界があった。
【0008】特開2000-109951号公報記載の技術は、高
い強度を得るためには多量の添加元素を必要とする。さ
らに、材質の均一性の観点から冷却条件(熱伝達係数)
を制限しているため、複合組織化するにはMn等の合金元
素を大量に添加する必要がある。同公報記載の実施例で
も、発明例はC,Siを高くするか又はMnを2.5〜3.0%添加
しており、溶接性や加工性に問題があると予想される。
【0009】特公昭62-39230号公報記載の技術は、仕上
大圧下圧延による微細化技術であり、1パスでの圧下率
は40%以上が好ましいとしているが、通常の熱延仕上最
終スタンドでこのような大圧下を行うことは困難であ
り、また板形状の観点から実用化には問題が多い。
【0010】本発明はこれらの課題を解決し、厳しいプ
レス加工用途にも適用可能であり、伸びフランジ性を始
めとする加工性に優れた比較的低合金の高強度熱延鋼板
およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題は次の発明に
より解決される。その発明は、化学成分として、mass%
で、C:0.04〜0.12%、Si:2%以下、Mn:0.5〜2.5%、sol.A
l:0.1%以下を含有する鋼を鋳造後、直接又は再加熱して
熱間圧延を行い、Ar3変態点以上の仕上温度で熱間圧延
を終了し、圧延終了後2秒以内に冷却を開始し、170℃以
上の温度範囲にわたって冷却速度を150℃/s超とすると
ともに、450℃以上650℃未満の温度で冷却を停止するこ
とを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方法である。
【0012】ここで、化学成分としては、上記元素に加
えてさらにmass%で、Ti,Nb,V,Zrの内1種以上を合計で0.
01〜0.2%含有する鋼を用いることもできる。また、これ
らの鋼の化学成分に加えてさらに、mass%で、Cr:1%以
下、Mo:0.5%以下の内1種以上を含有する鋼を用いること
もできる。
【0013】これらの発明は、上記の課題を解決すべく
鋭意検討を重ね、高強度熱延鋼板の加工性、とりわけ伸
びフランジ性に対する冷却条件の影響に着目して検討し
た。その過程で、圧延直後から一定時間以内に冷却を開
始し、冷却開始後は少なくともある温度幅については急
冷を行うことが、微細なベイナイトを主体とする組織の
生成に有効であるという知見を得た。この発明は、この
知見に基づきなされたものであり、以下その詳細につい
て説明する。
【0014】まず、化学成分について説明する。
【0015】C: 0.04〜0.12%(mass%、以下同じ) Cは、焼入れ性を向上させ、低温変態相であるベイナイ
トを生成させて熱延鋼板の強度を確保するために必要な
元素であり、そのためには最低0.04%必要である。一
方、0.12%を超えるCは、加工性および溶接性を劣化させ
る。従って、Cを0.04〜0.12%の範囲内とする。
【0016】Si: 2%以下 Siは、固溶強化の効果と共に、ベイナイト変態における
Cの拡散を促進して加工性の向上に寄与する元素であ
り、目標とする強度レベルに合わせて添加することがで
きる。但し、Siが2%を超えると溶接性および表面性状を
劣化させる。従って、Siを2%以下とする。
【0017】Mn: 0.5〜2.5% Mnは、焼入れ性を高める元素であり、固溶強化により鋼
板の強度を確保するためには、0.5%は必要である。一
方、Mn が2.5%を超えると、その効果が飽和するばかり
か、バンド状組織を形成して加工性を劣化させる。従っ
て、Mn を0.5〜2.5%の範囲内とする。
【0018】sol.Al: 0.1%以下 Alは、脱酸剤として使用されると同時に、不可避的不純
物として含有されるNを固定して、加工性を向上させる
効果を有する。しかし、0.1%を超えてAlを添加しても、
その効果が飽和すると共に、清浄度を悪化させて加工性
を劣化させる。従って、Alをsol.Alで0.1%以下とする。
【0019】Ti,Nb,V,Zr: 添加する場合、合計で0.01
〜0.2% 本発明では、上記の化学成分に加えて、強度調整あるい
は炭化物形成による固溶C,N低減を通した非時効化およ
び深絞り性向上のため、必要に応じてTi,Nb,V,Zrを添加
する。これらの元素は、合計の添加量が0.01%未満では
効果がなく、0.2%を超えても効果が飽和する。従って、
Ti,Nb,V,Zrを添加する場合は、これらの添加量を合計で
0.01〜0.2%とする。
【0020】Cr,Mo: 添加する場合、Cr≦1%,Mo≦0.5% CrおよびMoは、焼入れ性を高める元素であり、鋼板の強
度に寄与する効果を有するので、必要に応じて添加する
ことができる。しかし、これらの元素は、合金コストが
高くコスト増を招くと共に、それぞれ1%および0.5%を超
えると溶接性を劣化させる。従って、これらの元素を添
加する場合は、Crを1%以下、Moを0.5%以下とする。
【0021】その他の元素については、本発明の効果を
妨げない範囲で含まれていてもよい。また、P,S,N等の
不可避的不純物については、低い方が好ましいが、通常
の高強度熱延鋼板の範囲内であれば含まれていてもよ
い。
【0022】次に、本発明における製造条件について説
明する。
【0023】仕上温度: Ar3変態点以上 仕上温度がAr3変態点未満になると、変態後の組織が加
工され、延性の劣化、面内異方性の増加等、材質上好ま
しくない。従って、仕上温度をAr3変態点以上とする。
【0024】圧延終了後の冷却開始時間: 2秒以内 圧延終了後の冷却開始までの期間は、オーステナイトの
再結晶又は回復が進行する。冷却開始時間を2秒以内と
することにより、再結晶粒の成長又は回復の進行を防止
し、変態後の組織をベイナイト組織主体の微細な組織と
することができる。
【0025】冷却条件: 170℃以上の温度範囲にわた
って冷却速度150℃/s超 この発明では、冷却開始後は冷却速度と共に冷却前後の
温度差を確保することにより、組織を制御する。冷却速
度が150℃/s以下では、変態温度が上昇してポリゴナル
フェライトの生成が無視できなくなり、変態後のフェラ
イト粒径も微細化しないため、強度が低下する。また、
冷却前後の温度差が170℃未満では、やはりポリゴナル
フェライトが生成するため強度が低下する。従って、冷
却条件としては、170℃以上の温度範囲にわたって冷却
速度150℃/s超とする。
【0026】冷却終了温度: 400℃以上650℃未満 冷却終了温度については、650℃を超えると、ポリゴナ
ルフェライトの生成が顕著となり強度が低下する。一
方、400℃未満の低温域まで急冷すると、マルテンサイ
トが生成するため加工性が劣化する。従って、冷却終了
温度は400℃以上650℃未満とする。
【0027】基本的な製造条件は以上の通りであるが、
以上の発明には、必要に応じて更に製造条件を加えるこ
とができる。
【0028】例えば、上記の発明において更に、仕上圧
延機の入側又は仕上圧延機のスタンド間に誘導加熱装置
を設置して、粗バー又は被圧延材を加熱することによ
り、仕上温度を調整することを特徴とする高強度熱延鋼
板の製造方法とすることもできる。
【0029】この発明は、粗圧延された粗バー又は仕上
圧延中の被圧延材を誘導加熱装置により加熱する。これ
により、圧延中の被圧延材の温度をより均一にでき、コ
イル内の機械的性質のより一層の均一化を図ることがで
きる。
【0030】また、上記の発明において更に、冷却を停
止する温度の変動幅を60℃以内に冷却制御することを特
徴とする高強度熱延鋼板の製造方法とすることもでき
る。
【0031】この発明は、冷却制御により冷却停止温度
の変動幅を60℃以内とする。これにより、後述のように
引張強度の変動幅を16%以内(中心値±8%以内)に抑え
ることができる。ここで、変動幅は最高値と最低値の差
であり、変動幅60℃以内というのは、中心値±30℃以内
と同じ意味である。
【0032】その他、上記の発明において更に、仕上圧
延の最終スタンドの圧下率を30%未満とすることを特徴
とする高強度熱延鋼板の製造方法とすることもできる。
【0033】この発明は、仕上圧延時の最終スタンドの
圧下率を30%未満に制限しているので形状調整の効果が
あり、加工性のみならず板形状に優れた鋼板を得ること
ができる。
【0034】高強度熱延鋼板の発明としては、化学成分
がこれらの発明の化学成分であり、組織がベイナイトを
主体とする組織であるとともに、引張強度の変動が中心
値±8%以内であることを特徴とする高強度熱延鋼板とす
ることもできる。
【0035】この発明は、前述の製造方法により冷却制
御することにより製造可能である。化学成分を上記の発
明の化学成分とし、圧延に引続き急冷を行うことによ
り、微細なベイナイトを主体とする組織が得られる。そ
の後、所定温度で巻取ることにより、引張強度の変動幅
を16%以内(中心値±8%以内)に抑えることができる。
この高強度熱延鋼板は、組織が均一であり、引張強度の
変動幅が小さいので、曲げ加工時のスプリングバックが
一定となる等、コイル内でのプレス加工性の変動を小さ
くできる。
【0036】
【発明の実施の形態】発明の実施に当たっては、連続鋳
造から粗圧延まで直接圧延を行う直送圧延プロセス、又
はスラブの再加熱を伴う製造プロセスにおいても、加工
性を優れたレベルとするためには、化学成分を特定範囲
に制御する必要がある。本発明では、C,Si,Mn,sol.Alの
含有量を前述のように制御しているが、さらにCaを適量
添加することが好ましい。その場合、Caの添加量は0.00
5%以下とする。その他、本発明の効果を妨げない範囲
で、例えば熱間加工性を向上させるため等の目的で、微
量合金元素を添加することもできる。
【0037】連続鋳造スラブは、直送圧延プロセス又は
スラブの再加熱を伴う製造プロセスにより粗圧延を行
う。粗圧延後の粗バー又は仕上圧延中の被圧延材を、誘
導加熱装置により加熱することにより、コイル内の機械
的性質の均一化が図れる。また、仕上温度をAr3変態点
直上の狭い温度範囲に制御することにより、本発明の組
織微細化の効果をより効果的に発揮させることができ
る。
【0038】本発明の効果は、原理的に、仕上圧延前の
粗バーの加熱あるいは保熱の有無やその手法にはよらず
に得られる。従って、誘導加熱に限らずコイルボックス
等を用いた連続圧延プロセスに対しても、効果的に使用
できる。また、仕上圧延直前または仕上圧延中に、被圧
延材を誘導加熱装置により加熱するとき、エッジ加熱を
行ってもよく、特に板厚2mm以下の薄鋼板を製造する場
合に効果的である。
【0039】仕上圧延後は、前述の時間以内に急冷を開
始することで、オーステナイトが再結晶する場合は、再
結晶粒の粒成長を防止して組織の微細化が達成できる。
同様に、オーステナイトの回復が起こる場合も、結晶粒
内の変形帯密度を十分高いレベルに維持することができ
る。このようにして、オーステナイトの微細な再結晶粒
の粒界、あるいは未再結晶粒の粒界と変形帯が、フェラ
イト変態の核生成サイトとなり、オーステナイトが分断
化され、変態後の組織をベイナイト組織主体の微細な組
織とすることができる。
【0040】本発明で、ベイナイト組織を主体とすると
いうのは、ほぼ全体がベイナイト組織であり、光学顕微
鏡写真ではポリゴナルフェライト又はパーライトが認め
られないということである。仮に多少のポリゴナルフェ
ライト又はパーライトが含まれていたとしても、強度を
低下させるほど多くはなく、無視できる程度であればよ
い。
【0041】仕上圧延後の鋼板は急冷するが、冷却開始
時期については、オーステナイトを再結晶させるために
は、圧延加工後0.5秒以内では微細な再結晶粒が十分に
生成せず、また冷却設備の設置においても、圧延機出側
のスペースを考慮すると位置的に困難である。従って、
冷却開始時期については、仕上圧延後0.5秒超とするこ
とが望ましい。
【0042】なお、冷却速度の上限は特に規定しない
が、冷却設備の能力により操業上は適宜上限が決まるこ
とになる。このようにして、冷却速度を150℃/s超とす
る急冷を170℃以上の温度範囲について行った後は、そ
のままあるいは巻取温度まで更に冷却してコイルに巻取
る。後者の場合、冷却停止温度は急冷を停止する温度と
なり、急冷後は巻取温度調節のための冷却(緩冷却可)
を行う。 巻取温度は特に規定しないが、650℃以上で
はポリゴナルフェライトが生成するので強度が低下し、
400℃未満ではマルテンサイトが生成するため加工性が
劣化する。従って、巻取温度は400℃以上650℃未満とす
ることが望ましい。
【0043】このようにして、本発明では、コイル内で
の温度の変動を低減することにより、熱延鋼帯の幅方向
及び長手方向における引張強さの変動(最大値と最小値
の差)が、コイル内の引張強さの平均値の±8%以内であ
ることを特徴とする熱延鋼板を得ることができる。この
ようなばらつきが狭小な鋼板は、曲げ加工時のスプリン
グバック等のプレス加工性のコイル内での変動が小さ
い。その結果、需要家においても、プレス加工後の形状
矯正工程を省略でき、製品歩留りの向上も可能であり、
工業的に非常に有用である。
【0044】また、熱延鋼帯の材質のばらつきを好まし
いレベルまで低減するためには、上記の急冷停止温度を
発明の範囲内とするとともに、さらに、引張強さの変動
を±4%以内とすることにより、上記の需要家での性能を
格段に向上し得る。これは、上記の急冷停止温度の変動
を40℃以内とすることにより、材質のばらつきをこのよ
うに狭小化できる。さらに、引張強さの変動を±2%以内
とするには、上記の急冷停止温度の変動を20℃以内とす
ればよい。
【0045】なお本発明におけるコイル幅方向の温度
は、温度センサの測定方法も考慮して、コイル幅両エッ
ジから30mmを除いた範囲を指す。また、引張特性につい
ては、コイル幅両エッジから30mmおよびコイル長手方向
の両端から各5mを除いた位置より採取したサンプルを用
いて調査し、総ての値の平均値をコイル内平均値とす
る。
【0046】
【実施例】表1に示す化学成分を有する鋼を溶製した。
この鋼を、表2に示す製造条件で圧延し、板厚3.2mmの熱
延コイルNo.1〜4を製造した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】これらの熱延コイルの機械的性質の測定結
果を表3および図1に示す。
【0050】
【表3】
【0051】本発明例の鋼板No.1,2は、比較例の鋼板N
o.3,4に比べて、同一化学組成でありながら強度が優れ
ている。一方、穴拡がり率はいずれもほぼ同程度の値と
なっており、図1に示すように、穴拡がり率を保持しつ
つ大幅な強度上昇が得られている。なお、図中の破線
は、強度(TS)と穴拡がり率の積が一定の曲線を示す。
このように、本発明例の鋼板は、比較例に比べて穴拡が
り率-強度バランスが優れていることがわかる。
【0052】図2に冷却速度と強度(TS)の関係を示
す。冷却速度が150℃/s超の領域で強度の上昇が見ら
れ、200℃/s以上で1000MPa以上の強度(TS)が安定して
得られることが分かる。
【0053】表4に冷却停止温度の変動幅と引張強さの
変動(TS変動)を示す。
【0054】
【表4】
【0055】この表より、冷却停止温度変動を60℃以内
とすることで、引張強さの変動が±8%以内(表4の材質
変動の欄)に抑えられていることが分かる。
【0056】
【発明の効果】本発明は、圧延直後から一定時間以内に
冷却を開始し、冷却開始後は少なくともある温度幅にわ
たって急冷を行うことにより、金属組織を微細なベイナ
イトを主体とする組織としているので、伸びフランジ性
等の加工性に優れた高強度熱延鋼板の製造が可能であ
る。更に、冷却停止温度の変動幅を制御することによ
り、機械的性質が均一で、かつ板形状にも優れた高強度
熱延鋼板の製造が可能である。また、連続鋳造から熱間
圧延まで直接行う直送圧延プロセス、又はスラブの再加
熱を伴う製造プロセスにおいても適用でき、優れた伸び
フランジ性を有する工業的に有用な効果がもたらされ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】穴拡がり率-強度バランスを示す図。
【図2】冷却速度と強度(TS)の関係を示す図。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/00 301 C22C 38/00 301W 38/06 38/06 38/38 38/38 (72)発明者 今田 貞則 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 菊池 啓泰 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4E002 AD04 BC05 BD07 BD08 4K037 EA01 EA05 EA06 EA11 EA15 EA16 EA17 EA19 EA27 EA28 EA31 EA32 EA35 EB05 FA00 FA05 FB00 FC07 FD04 JA02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 化学成分として、mass%で、C:0.04〜0.1
    2%、Si:2%以下、Mn:0.5〜2.5%、sol.Al:0.1%以下を含有
    する鋼を鋳造後、直接又は再加熱して熱間圧延を行い、
    Ar3変態点以上の仕上温度で熱間圧延を終了し、圧延終
    了後2秒以内に冷却を開始し、170℃以上の温度範囲にわ
    たって冷却速度を150℃/s超とするとともに、450℃以上
    650℃未満の温度で冷却を停止することを特徴とする高
    強度熱延鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高強度熱延鋼板の製造方
    法において、化学成分として更にmass%で、Ti,Nb,V,Zr
    の内1種以上を合計で0.01〜0.2%含有する鋼を用いるこ
    とを特徴とする高強度熱延鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の高強度熱延鋼板の製造方
    法において、化学成分として更にmass%で、Cr:1%以下、
    Mo:0.5%以下の内1種以上を含有する鋼を用いることを特
    徴とする高強度熱延鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 仕上圧延機の入側又は仕上圧延機のスタ
    ンド間に誘導加熱装置を設置して、粗バー又は被圧延材
    を加熱することにより、仕上温度を調整することを特徴
    とする請求項1ないし請求項3記載の高強度熱延鋼板の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 冷却を停止する温度の変動幅を60℃以内
    に冷却制御することを特徴とする請求項1ないし請求項
    4記載の高強度熱延鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 仕上圧延の最終スタンドの圧下率を30%
    未満とすることを特徴とする請求項1ないし請求項5記
    載の高強度熱延鋼板の製造方法。
  7. 【請求項7】 化学成分が請求項1ないし請求項3記載
    の化学成分であり、組織がベイナイトを主体とする組織
    であるとともに、引張強度の変動が中心値±8%以内であ
    ることを特徴とする高強度熱延鋼板。
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