JP2003109843A - 薄膜コンデンサ - Google Patents
薄膜コンデンサInfo
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Abstract
膜コンデンサを提供する。 【解決手段】基板1上に、下側電極層2、誘電体層3、
上側電極層4を順次積層した薄膜コンデンサであって、
上側電極層4が金属酸化物層4a、該金属酸化物層4a
の金属と同一の金属層4b、Au層4cの積層構造から
なっている。また、金属酸化物層4a及び金属層4bが
TiもしくはCrであり、金属酸化物層4aの厚みtが
5nm<t<50nmであって、かつ島状に形成されて
いる。
Description
回路に配設され、高周波ノイズのバイパス用として、も
しくは電源電圧の変動防止用に供される低インピーダン
スの薄膜コンデンサに関するものである。
い、電子機器内に設置される電子部品にも小型化、薄型
化、高周波対応などの要求が強くなってきている。
あるコンピュータの高速デジタル回路では、パーソナル
コンピュータレベルにおいても、CPUチップ内のクロ
ック周波数は200MHzから1GHz、チップ間バス
のクロック周波数も75MHzから120MHzという
具合に高速化が顕著である。
素子数の増大につれ、消費電力を抑えるために電源電圧
は低下の傾向にある。これらIC回路の高速化、高密度
化、低電圧化に伴い、コンデンサ等の受動部品も小型大
容量化と併せて、高周波もしくは高速パルスに対して優
れた特性を示すことが必須になってきている。
一対の電極層に挟持された誘電体を薄くし、薄膜化する
ことが最も有効である。薄膜化は上述した電圧の低下の
傾向にも適合している。
示す外観斜視図、図5の断面図に示すように、支持基板
11上に、下側電極層12、誘電体層13、上側電極層
14とが順次清積層されて容量発生領域が形成されてい
た。
5が被覆されており、この絶縁性保護膜15には、底面
に上側電極層14の一部が露出する貫通孔16、17が
形成されている。この貫通孔16、17内には、ハンダ
バンプからなる外部端子18、19が形成されている。
この薄膜コンデンサでは、上側電極層14は、下側電極
層12との導通を防止するため、貫通孔16の周りが環
状に除去され、上側電極層14の一部が分割されてい
る。
1上にスパッタリング法、CVD法等の気相合成法を用
いて下側電極層12を形成し、フォトリソグラフィ技術
を用いて、パターン加工を行う工程と、パターン加工さ
れた下側電極層12上に、気相合成法やゾルゲル法など
で誘電体層13を形成し、フォトリソグラフィを用いて
パターン加工する工程と、パターン加工された誘電体層
13上に上側電極層14を形成し、フォトリソグラフィ
技術を用いて、パターン加工を行う工程と、上側電極層
14上に絶縁性保護膜15を形成する工程と、この絶縁
性保護膜15に貫通孔19を形成し、この貫通孔16、
17内に、下側電極層12および上側電極層14にそれ
ぞれ電気的に接続する外部端子18、19を形成する工
程を経て作製される。図6は外部端子部分の拡大図であ
り、上側電極層14は、TiやCrなどの密着層14a
と、表面のAuなどの金属層14bとから成っている。
尚、17aはNiなどの半田バリア層である。
上側電極層14の構造は、常温常湿雰囲気での絶縁特性
の向上に有効であるが、一般の信頼性試験の湿中雰囲気
下では、水分の浸入による絶縁劣化が想定されるので、
薄膜コンデンサの保護膜として耐湿性向上は必要不可欠
である。
のみを使用して薄膜コンデンサを形成しようとすると、
密着不良に由来する上側電極層14の剥離が多発してし
まう。これを防止するために、誘電体層13上に、Ti
層、Cr層などの密着層14aを介在させてAu層14
bを形成する。
層14では、密着性は向上し、剥離等の問題は減少する
ものの、その後の熱履歴によっては、誘電体層13、密
着層14a、Au層14b等の熱膨張係数の差により、
微小な領域で、特に、誘電体層13と密着層14aとの
間にエアギャップが生じ、このギャップより静電容量の
バラツキが生じる。
ものであり、その目的は、上側電極層にAu層を形成し
ても、安定した上側電極層となり、高容量を実現可能な
薄膜コンデンサを提供することを目的とする。
は、基板上に、下側電極層、誘電体層、上側電極層を順
次積層した薄膜コンデンサであって、前記上側電極層が
酸化チタンまたは酸化クロムの金属酸化物層、該金属酸
化物層の金属と同一のチタンまたはクロムの金属層、A
u層の積層構造を有している。
物層の厚みtが5nm<t<50nmであって、かつ島
状に形成されている。
極層、誘電体層、金属酸化物層、該金属酸化物層の金属
と同一の金属層、Au層の積層体からなる上側電極層と
したことにより、誘電体層とAu層の間に、金属酸化物
層、金属層の傾斜構造が形成され、上側電極層と誘電体
層との密着性が向上する。また、金属酸化物層がバッフ
ァ層として形成されているため、その後の熱履歴を介し
ても、熱膨張差によるエアギャップの生成を抑制するこ
とが可能となる。さらに、金属酸化物層の厚みが薄く、
かつ島状に形成されているので、静電容量の有効面積を
減らすことなく、高い静電容量値を維持することが可能
となる。
基づいて詳説する。
された下側電極層2、誘電体層3及び上側電極層4が順
次積層して、容量発生領域が構成されている。この上側
電極層4は、図2に示すように、誘電体層3側から、T
iO2、Cr2O3のいずれから成る金属酸化物層4a
と、該金属酸化物層4aの金属(Ti、Crのいずれ
か)と同一の金属層4b、及びAu層4cが積層した構
造となっている。そして、このような容量発生領域上に
は、例えば、感光性樹脂からなる保護膜5が被着形成さ
れている。この保護膜5には、上側電極層4の一部を露
出する貫通孔6、7が形成されている。尚、貫通孔6か
らは上側電極層4の一部が露出し、且つ下側電極層2の
一部に接続している。また、貫通孔7は、上側電極層4
の一部が露出している。夫々の貫通孔6、7から露出す
る上側電極層4の一部は、互いに短絡しないようになっ
ている。この貫通孔9内には、半田バンプからなる外部
端子8、9が突出して形成されている。尚、この貫通孔
9の底面部分には、半田成分が上側電極層4を浸食しな
いようにNiなどの半田バリア層7aが被着形成されて
いる。
体基板1としては、アルミナ、サファイア、窒化アルミ
ニウム、MgO単結晶、SrTiO3単結晶、表面酸化
シリコン、ガラス、石英等から選択されるもので特に限
定されない。
化性の高い、Pt、Pd、Auに代表される貴金属電極
層からなるものである。高周波領域での用途を考慮する
と、下側電極層は抵抗の低いAuからなることが望まし
い。この時、下側電極層の密着性を向上させる目的で密
着層を介して形成してもよい。密着層を含む下側電極層
はスパッタ、蒸着等の手法で形成可能であれば良い。下
側電極層の被覆性を考慮すると0.2〜0.5μmが望
ましい。つまり、0.2μm未満と薄い場合には一部に
被覆されない部分が発生する恐れがあり、また0.5μ
mを越えて厚い場合には高周波領域における導体の表皮
効果を考慮すると導体層の抵抗は殆ど変化せず、導電率
の向上は見られない。
いて高い比誘電率を有するPb系ペロブスカイト型酸化
物層結晶からなる誘電体でよく、例えばPMN、PMN
−PT、PMN−PZTや、それ以外のPZT、PLZ
Tや、これらに他の金属を添加したり、置換した化合物
であってもよく、特に限定されるものではない。また、
誘電体薄膜3の膜厚は高容量と絶縁性を確保するため
0.1〜1.0μmが望ましい。これは0.1μm未満
と薄い場合には被覆性が良好でなく絶縁性が低下してし
まい、1.0μmを越えて厚い場合には容量が小さくな
るからである。誘電体薄膜3の膜厚は特に0.2〜0.
8μmが望ましい。
などの金属酸化物層4aと、該金属酸化物層4aを形成
する金属、即ち、Ti、Crのいずれかの金属層4b及
びAu層4cからなるものである。このような上側電極
層4の各層はスパッタ、蒸着等の手法で形成可能であれ
ば良い。Au層4cを導体層としたのは、高周波領域で
の抵抗が低いからである。その膜厚は下側電極層2の場
合と同様の理由から0.3〜0.5μmが望ましい。金
属酸化物層4a並びに金属層4bを形成する金属はTi
もしくはCrより選ばれる少なくとも1種の金属である
ことが望ましい。金属酸化物層4aの膜厚tは5nm<
t<50nmであり、かつ島状に形成する。5nmより
薄い場合は、不連続膜は得られやすいが、密着性及びエ
アギャップ抑制の効果は低く、50nmより厚くなる場
合は、連続膜が形成されやすくなるので、逆に金属酸化
物層4aによる低誘電率層が形成され、静電容量低下を
引き起こしてしまう恐れがある。逆に金属層5bの膜厚
は被覆性を考慮することが必要であり、50nmよりも
厚い膜厚が必要となる。100nm以上300nm以下
の膜厚が望ましい。
保護するためのものであり、例えば、Si3N4、SiO
2、ポリイミド樹脂、およびBCB(ベンゾシクロブテ
ン)等からなり、上記例ではBCB樹脂を用いた。保護
膜5は、外部との電気的接続部分が露出するように形成
されていることが必要である。
にハンダバンプ8、9を形成する場合は、上部電極層4
の上部にさらに半田バリア層(拡散防止層)7aを形成
してもよい。半田バリア層7aは少なくともハンダバン
プ8、9が形成される部分のみに形成されていれば良
く、コストの点を除けば上側電極層4の全面に形成して
も良い。また、ハンダバンプ8、9と半田バリア層7a
との間に、ハンダ濡れ性の良好な密着層を形成しても良
い。ハンダ濡れ性の良好な材料として、Ni、Ni−C
r、Au等があり、特にAuが望ましい。
9を省略し、半田バリア層7aを外部端子としても構わ
ない。
4上の保護膜5に形成された露出部にワイヤリング接
続、TAB接続を利用して電子部品が搭載されるプリン
ト配線基板の表面の配線パターンに接続して用いられ
る。
は、抵抗の小さいAuからなる電極層2、4を用いたた
め高周波での抵抗を低下できるとともに、高容量の薄膜
コンデンサが形成でき、高周波でのインピーダンスを低
下することが可能となる。さらに、容量劣化の小さい高
信頼性の薄膜コンデンサが可能となる。
サに適用した例について説明したが、本発明では上記例
に限定されるものではなく、例えば、薄膜LCフィル
タ、薄膜RCフィルタなどの薄膜複合部品に適用しても
良い。
電極層2、4で挟持した単板型を示したが、複数の誘電
体層3と電極層2、4とを交互に積層した積層型の薄膜
コンデンサであっても良い。
ア層7aを高周波マグネトロンスパッタ法で、誘電体薄
膜層3をゾルゲル法で作製した。
雰囲気中のスパッタリングにより、膜厚30nmのTi
O2層を形成した後、同じくスパッタ法により、膜厚1
0nmのTi層と0.2μmのAu層を形成し、下側電
極層2とした。この下側電極層2上に、ゾルゲル法にて
合成したPb(Mg1/3Nb2/3)O3 −PbTiO3−
PbZrO3塗布溶液をスピンコート法を用いて塗布
し、乾燥させた後、400℃で熱処理、800℃で焼成
を行い、膜厚0.7μmのPb(Mg1/3 Nb2/ 3 )O
3 −PbTiO3 −PbZrO3からなる誘電体層3を
形成した。
のスパッタリングにより膜厚25nmのTiO2層(金
属酸化物層4a)、100nmのTi層(金属層4
b)、0.3μmのAu層4cからなる上側電極層4を
形成した。この時の有効容量発生領域面積1.4mm2
の薄膜コンデンサとした。
のみの厚みをそれぞれ0nm、5nm、50nm、10
0nmに変更した4種の試料を作製した。またTiの代
わりにCrを用いて、下側電極層2及び上側電極層4を
形成した試料の作製も行った。
膜厚3.5μmのBCB樹脂からなる保護膜5を形成
し、この保護膜5のハンダバンプ8、9の形成位置部分
にヴィアホール加工を施した。
ストを印刷した後、リフロー処理し、半田バンプ8、9
を形成し、図1及び図2に示すような半田バンプ8、9
を有する薄膜コンデンサを得た。
波数1MHzでの平均静電容量、標準偏差、温度サイク
ル試験(−55℃から125℃ 500サイクル)後の
静電容量劣化率を示した。静電容量劣化率は試験投入前
の静電容量C1、試験後の静電容量C2の差より求め
た。
形成しない試料No.9においては、平均容量は大きく変
わらないが、そのバラツキは大きくなる。さらに、温度
サイクル試験後の容量の劣化も大きくなり、信頼性を確
保することができない。また、金属酸化物層4aを10
0nmの厚みで形成した試料No.4と8の場合は、初
期容量値が通常の500分の1以下に下がってしまう。
これは、TEM観察の結果、低誘電率層(金属酸化物層
4a)の連続膜が容量形成部に直列に挿入されたためと
考えられる。
1,2,3及び5,6,7では、初期容量の低下もほと
んどみられなかった。また、静電容量のバラツキも抑制
されていることがわかる。温度サイクル試験後の容量値
劣化も20%以下に抑えられており、本発明の範囲で作
製された試料が高容量・高信頼性の薄膜コンデンサを形
成するのに適しているのがわかる。
ば、基板上に、下側電極層、誘電体層、上側電極層を順
次積層した薄膜コンデンサであって、上側電極層が金属
酸化物層、該金属酸化物層の金属と同一の金属層、Au
層の積層体からなり、金属酸化物層で誘電体層と上部電
極層との間のエアギャップの発生を有効に抑えることが
できる。そのため低抵抗の上部電極層を維持しつつ、さ
らに高容量・高信頼性の薄膜コンデンサとすることがで
きる。
る。
Claims (2)
- 【請求項1】基板上に、下側電極層、誘電体層、上側電
極層を順次積層した薄膜コンデンサであって、 前記上側電極層が酸化チタンまたは酸化クロムの金属酸
化物層、該金属酸化物層の金属成分と同一の金属層、A
u層の積層体からなることを特徴とする薄膜コンデン
サ。 - 【請求項2】前記上側電極層を構成する金属酸化物層の
厚みtが5nm<t<50nmであって、かつ島状に形
成されていることを特徴とする請求項1記載の薄膜コン
デンサ。
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