JP2003105790A - 重防食被覆鋼材の被覆補強構造物およびその補強方法 - Google Patents
重防食被覆鋼材の被覆補強構造物およびその補強方法Info
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- JP2003105790A JP2003105790A JP2001306079A JP2001306079A JP2003105790A JP 2003105790 A JP2003105790 A JP 2003105790A JP 2001306079 A JP2001306079 A JP 2001306079A JP 2001306079 A JP2001306079 A JP 2001306079A JP 2003105790 A JP2003105790 A JP 2003105790A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 施工効率を落とすことなく、被覆の固定に用
いる鋲の防食をより確実にできる重防食被覆鋼材の被覆
補強構造およびその方法を提供する。 【解決手段】 有機被覆樹脂層2で表面が被覆されてい
る鋼材1の被覆側表面に押さえ材4を挟んで樹脂充填用
凹部3aを有するキャップ3が配置され、樹脂充填用凹
部3a内にはキャップ支持板5が配置され、キャップ支
持板5の上から打設された鋲6によりキャップ支持板5
とキャップ3と有機被覆樹脂層2とが鋼材1に固定され
ており、かつ樹脂充填用凹部3a内には硬化性樹脂7が
充填されていることを特徴とする重防食被覆鋼材の被覆
補強構造物。
いる鋲の防食をより確実にできる重防食被覆鋼材の被覆
補強構造およびその方法を提供する。 【解決手段】 有機被覆樹脂層2で表面が被覆されてい
る鋼材1の被覆側表面に押さえ材4を挟んで樹脂充填用
凹部3aを有するキャップ3が配置され、樹脂充填用凹
部3a内にはキャップ支持板5が配置され、キャップ支
持板5の上から打設された鋲6によりキャップ支持板5
とキャップ3と有機被覆樹脂層2とが鋼材1に固定され
ており、かつ樹脂充填用凹部3a内には硬化性樹脂7が
充填されていることを特徴とする重防食被覆鋼材の被覆
補強構造物。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主として海洋環境や
河川環境で使用される防食被覆鋼矢板について、特に防
食被覆を補強する際の被覆補強構造およびその方法に関
するものである。
河川環境で使用される防食被覆鋼矢板について、特に防
食被覆を補強する際の被覆補強構造およびその方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】海洋環境や河川環境で使用される鋼材に
は、H形鋼、鋼管、鋼管矢板、鋼矢板などがあり、これ
らの鋼材は埋め立て地や河川の土止め壁、港湾の桟橋、
橋脚などの多くの分野で利用されている。これらの鋼材
は海水や河川水にさらされるため、昨今では鋼材の腐食
対策として、例えば有機被覆防食法などの何らかの防食
を施されるのが一般的である。
は、H形鋼、鋼管、鋼管矢板、鋼矢板などがあり、これ
らの鋼材は埋め立て地や河川の土止め壁、港湾の桟橋、
橋脚などの多くの分野で利用されている。これらの鋼材
は海水や河川水にさらされるため、昨今では鋼材の腐食
対策として、例えば有機被覆防食法などの何らかの防食
を施されるのが一般的である。
【0003】有機被覆防食法の一つとして樹脂ライニン
グ法があり、その基本構成や施工例などは最新表面処理
編集委員会編「最新表面処理技術総覧(産業技術サービ
スセンター,昭和62年)」に詳しく解説されている。
ここで樹脂ライニング法について概説すると、少なくと
も2層以上の積層が行われる手法であり、鋼材の表面を
ブラスト処理やクロメート処理などの下地処理を施して
下塗り系の有機樹脂層を形成し、その上にウレタンエラ
ストマーやポリエチレンなどの有機樹脂層を厚く被覆し
て防食する方法である。
グ法があり、その基本構成や施工例などは最新表面処理
編集委員会編「最新表面処理技術総覧(産業技術サービ
スセンター,昭和62年)」に詳しく解説されている。
ここで樹脂ライニング法について概説すると、少なくと
も2層以上の積層が行われる手法であり、鋼材の表面を
ブラスト処理やクロメート処理などの下地処理を施して
下塗り系の有機樹脂層を形成し、その上にウレタンエラ
ストマーやポリエチレンなどの有機樹脂層を厚く被覆し
て防食する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ウレタンエラストマー
やポリエチレンなどの有機樹脂被覆鋼材では、どのよう
に条件を規定して作製しても、長期の使用の間にその界
面の密着力が低下してくるという課題がある。この対策
として、被覆鋼材の前処理であるクロメート処理を改良
することで効果があることは知られている。
やポリエチレンなどの有機樹脂被覆鋼材では、どのよう
に条件を規定して作製しても、長期の使用の間にその界
面の密着力が低下してくるという課題がある。この対策
として、被覆鋼材の前処理であるクロメート処理を改良
することで効果があることは知られている。
【0005】例えば、特開平3−23527号公報に記
載された発明は、シランカップリング材をクロメート処
理剤に添加し、密着性が優れている有機樹脂被覆鋼材に
関するものである。しかし、この方法でも界面の密着力
低下を遅くすることは可能であるが、有機樹脂被覆に良
く用いられるポリエチレン樹脂の寿命は、水中であれば
50年近くであり、これ以上に界面の密着力を維持する
ことは現在の方法では難しい。
載された発明は、シランカップリング材をクロメート処
理剤に添加し、密着性が優れている有機樹脂被覆鋼材に
関するものである。しかし、この方法でも界面の密着力
低下を遅くすることは可能であるが、有機樹脂被覆に良
く用いられるポリエチレン樹脂の寿命は、水中であれば
50年近くであり、これ以上に界面の密着力を維持する
ことは現在の方法では難しい。
【0006】また、被覆の密着力が低下した場合や被覆
の浮きなどが発生した場合には、有機被覆鋼材の被覆を
補強することで防食機能を延長する事が可能である。特
開平10−192778号公報には、鋼材に被覆された
有機樹脂に固定板を用いて鋲またはスタッドボルトなど
より鋼材表面に固定する方法が記載されている。その補
修方法の耐久性は固定に用いる鋼製の鋲の耐久性に依存
するところが大きく、硬化性樹脂を充填したキャップを
鋲にかぶせて鋲を防食する方法が提案されている。しか
しその方法では、鋲の打ち込み力が増加するほど鋲の露
出部分が減少するために、キャップ内部に充填した硬化
性樹脂と鋲の密着面積が減少する。その結果、鋲に被せ
るキャップの固定力が減少するために、鋲の防食を目的
とするキャップが外力によって脱落しやすくなる可能性
がある。
の浮きなどが発生した場合には、有機被覆鋼材の被覆を
補強することで防食機能を延長する事が可能である。特
開平10−192778号公報には、鋼材に被覆された
有機樹脂に固定板を用いて鋲またはスタッドボルトなど
より鋼材表面に固定する方法が記載されている。その補
修方法の耐久性は固定に用いる鋼製の鋲の耐久性に依存
するところが大きく、硬化性樹脂を充填したキャップを
鋲にかぶせて鋲を防食する方法が提案されている。しか
しその方法では、鋲の打ち込み力が増加するほど鋲の露
出部分が減少するために、キャップ内部に充填した硬化
性樹脂と鋲の密着面積が減少する。その結果、鋲に被せ
るキャップの固定力が減少するために、鋲の防食を目的
とするキャップが外力によって脱落しやすくなる可能性
がある。
【0007】そこで、本発明は、施工効率を落とすこと
なく、被覆の固定に用いる鋲の防食をより確実にできる
重防食被覆鋼材の被覆補強構造およびその方法の提供を
目的とする。
なく、被覆の固定に用いる鋲の防食をより確実にできる
重防食被覆鋼材の被覆補強構造およびその方法の提供を
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、被覆鋼材
の被覆について鋲を用いて補強するための構造およびそ
の方法を種々検討し、施工効率を落とすことなく長期に
わたり有機樹脂被覆を固定、補強できる構造およびその
方法を見いだした。すなわち本発明は、以下のように構
成される。 (1)第1の発明は、有機被覆樹脂層2で表面が被覆さ
れている鋼材1の被覆側表面に樹脂充填用凹部3aを有
するキャップ3が配置され、樹脂充填用凹部3a内には
キャップ支持板5が配置され、キャップ支持板5の上か
ら打設された鋲6によりキャップ支持板5とキャップ3
と有機被覆樹脂層2とが鋼材1に固定されており、かつ
樹脂充填用凹部3a内には硬化性樹脂7が充填されてい
ることを特徴とする重防食被覆鋼材の被覆補強構造物で
ある。 (2)第2の発明は、第1の発明において、有機被覆樹
脂層2とキャップ3との間に押さえ材4が配置されてい
ることを特徴とする。 (3)第3の発明は、有機被覆樹脂層2で表面が被覆さ
れている鋼材1の有機被覆樹脂層2を鋲6で固定させる
鋼材1の補強方法において、樹脂充填用凹部3aを有す
るキャップ3の樹脂充填用凹部3a内にキャップ支持板
5を配置し、これらを貫通するように鋲6を打ち込んで
キャップ支持板5とキャップ3と有機被覆樹脂層2とを
鋼材1に固定させ、その後に樹脂充填用凹部3a内に硬
化性樹脂7を充填することを特徴とする重防食被覆鋼材
の被覆補強方法である。 (4)第4の発明は、第3の発明において、有機被覆樹
脂層2とキャップ3との間に押さえ材4を配置すること
を特徴とする。 (5)第5の発明は、第3または第4の発明において、
鋲6の貫通用に予め穴が設けられたキャップ支持板5を
用いることを特徴とする。
の被覆について鋲を用いて補強するための構造およびそ
の方法を種々検討し、施工効率を落とすことなく長期に
わたり有機樹脂被覆を固定、補強できる構造およびその
方法を見いだした。すなわち本発明は、以下のように構
成される。 (1)第1の発明は、有機被覆樹脂層2で表面が被覆さ
れている鋼材1の被覆側表面に樹脂充填用凹部3aを有
するキャップ3が配置され、樹脂充填用凹部3a内には
キャップ支持板5が配置され、キャップ支持板5の上か
ら打設された鋲6によりキャップ支持板5とキャップ3
と有機被覆樹脂層2とが鋼材1に固定されており、かつ
樹脂充填用凹部3a内には硬化性樹脂7が充填されてい
ることを特徴とする重防食被覆鋼材の被覆補強構造物で
ある。 (2)第2の発明は、第1の発明において、有機被覆樹
脂層2とキャップ3との間に押さえ材4が配置されてい
ることを特徴とする。 (3)第3の発明は、有機被覆樹脂層2で表面が被覆さ
れている鋼材1の有機被覆樹脂層2を鋲6で固定させる
鋼材1の補強方法において、樹脂充填用凹部3aを有す
るキャップ3の樹脂充填用凹部3a内にキャップ支持板
5を配置し、これらを貫通するように鋲6を打ち込んで
キャップ支持板5とキャップ3と有機被覆樹脂層2とを
鋼材1に固定させ、その後に樹脂充填用凹部3a内に硬
化性樹脂7を充填することを特徴とする重防食被覆鋼材
の被覆補強方法である。 (4)第4の発明は、第3の発明において、有機被覆樹
脂層2とキャップ3との間に押さえ材4を配置すること
を特徴とする。 (5)第5の発明は、第3または第4の発明において、
鋲6の貫通用に予め穴が設けられたキャップ支持板5を
用いることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を詳細に
説明する。図1、図2に示すように、本発明の有機樹脂
被覆の補強構造物では、有機被覆樹脂層2で表面が被覆
されている鋼材1の被覆側表面に押さえ材4を挟んで樹
脂充填用凹部3aを有するキャップ3が配置されてい
る。樹脂充填用凹部3a内には、樹脂充填用凹部3aの
底面に密着するようにしてキャップ支持板5が配置され
ており、キャップ支持板5の上から打設された鋲6によ
って、キャップ支持板5とキャップ3と押さえ材4と有
機被覆樹脂層2とが鋼材1に固定されている。また、樹
脂充填用凹部3a内には硬化性樹脂7が充填されてい
る。なお、打ち込む鋲数を単独または少数として有機樹
脂被覆を押さえるような場合には、押さえ板4を省略す
ることもできる(図3参照)。
説明する。図1、図2に示すように、本発明の有機樹脂
被覆の補強構造物では、有機被覆樹脂層2で表面が被覆
されている鋼材1の被覆側表面に押さえ材4を挟んで樹
脂充填用凹部3aを有するキャップ3が配置されてい
る。樹脂充填用凹部3a内には、樹脂充填用凹部3aの
底面に密着するようにしてキャップ支持板5が配置され
ており、キャップ支持板5の上から打設された鋲6によ
って、キャップ支持板5とキャップ3と押さえ材4と有
機被覆樹脂層2とが鋼材1に固定されている。また、樹
脂充填用凹部3a内には硬化性樹脂7が充填されてい
る。なお、打ち込む鋲数を単独または少数として有機樹
脂被覆を押さえるような場合には、押さえ板4を省略す
ることもできる(図3参照)。
【0010】有機被覆樹脂層2は、一般にポリオレフィ
ン樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリ塩化ビニル系の樹
脂等のライニングである。また、必要に応じて鋼材1と
有機被覆樹脂層2との間に、防食シート8を挟み込むこ
とにより鋼面の防食を行ってもよい。防食シート8とし
ては、例えばペテロラタム含浸シートを用いることが好
ましい。
ン樹脂、ポリウレタン樹脂またはポリ塩化ビニル系の樹
脂等のライニングである。また、必要に応じて鋼材1と
有機被覆樹脂層2との間に、防食シート8を挟み込むこ
とにより鋼面の防食を行ってもよい。防食シート8とし
ては、例えばペテロラタム含浸シートを用いることが好
ましい。
【0011】キャップ3には、樹脂充填用凹部3aが設
けられており、またキャップ3の底面(樹脂充填用凹部
3aの反対面)は有機被覆樹脂層2または押さえ板4と
の界面が密着できる形状となっている。したがって、キ
ャップ3の形状はかかる条件を満たす限りにおいて、円
柱形または角柱などの任意の形状をとることができる。
本発明では、キャップ3の底面と押さえ板4との界面か
らの水進入を防止することが可能なため、鋲の防食を良
好にできることを見い出した。
けられており、またキャップ3の底面(樹脂充填用凹部
3aの反対面)は有機被覆樹脂層2または押さえ板4と
の界面が密着できる形状となっている。したがって、キ
ャップ3の形状はかかる条件を満たす限りにおいて、円
柱形または角柱などの任意の形状をとることができる。
本発明では、キャップ3の底面と押さえ板4との界面か
らの水進入を防止することが可能なため、鋲の防食を良
好にできることを見い出した。
【0012】またキャップ3の材質は、腐食しない材料
であれば特に限定されないが、鋲6を打ちこむ事によっ
て割れを生じにくい材質のものが好ましく、例えばエチ
レンプロピレンゴムやポリオレフィン等の弾性樹脂が用
いられる。
であれば特に限定されないが、鋲6を打ちこむ事によっ
て割れを生じにくい材質のものが好ましく、例えばエチ
レンプロピレンゴムやポリオレフィン等の弾性樹脂が用
いられる。
【0013】有機樹脂被覆層2とキャップ3との間に挟
まれる押さえ材4には、隣り合う鋲6の設置間隔を広げ
ても有機樹脂被覆層2を押さえる効果が十分に確保でき
るような断面形状、強度が要求される。したがって、押
さえ材4としては、例えば断面形状がL字型(図1)ま
たはU字型(図2)等をなすFRP材質などが用いられ
る。
まれる押さえ材4には、隣り合う鋲6の設置間隔を広げ
ても有機樹脂被覆層2を押さえる効果が十分に確保でき
るような断面形状、強度が要求される。したがって、押
さえ材4としては、例えば断面形状がL字型(図1)ま
たはU字型(図2)等をなすFRP材質などが用いられ
る。
【0014】キャップ支持板5は、鋲6の打ち込みによ
ってキャップ3の破損や変形を防止するために用いら
れ、キャップ3の内径に等しい大きさに近似するほどキ
ャップ3と押さえ板4との密着性が向上し、キャップ3
と押さえ板4との境界からの水進入防止に有効に働く。
なお、キャップ支持板5は、キャップ3の樹脂充填用凹
部3aの底面でキャップ3と一体化していても良い。
ってキャップ3の破損や変形を防止するために用いら
れ、キャップ3の内径に等しい大きさに近似するほどキ
ャップ3と押さえ板4との密着性が向上し、キャップ3
と押さえ板4との境界からの水進入防止に有効に働く。
なお、キャップ支持板5は、キャップ3の樹脂充填用凹
部3aの底面でキャップ3と一体化していても良い。
【0015】キャップ支持板5の厚みは特に限定されな
いが、鋲6が鋼材1に貫入または貫通して充分な強度で
固定されるのを妨げない厚みでしかも剛性を持つ厚み以
上であれば本目的を達成できる。例えば、キャップ支持
板5の材質が鋼の場合には、好ましくは0.3mm以上
であればよい。なお、打ち込み時に鋲6がキャップ支持
板5を貫通することによって、鋲6が鋼材1に貫入また
は貫通する力を低下させないために、キャップ支持板5
には、予め鋲6の貫入用の穴を開孔しておくことが有効
である。
いが、鋲6が鋼材1に貫入または貫通して充分な強度で
固定されるのを妨げない厚みでしかも剛性を持つ厚み以
上であれば本目的を達成できる。例えば、キャップ支持
板5の材質が鋼の場合には、好ましくは0.3mm以上
であればよい。なお、打ち込み時に鋲6がキャップ支持
板5を貫通することによって、鋲6が鋼材1に貫入また
は貫通する力を低下させないために、キャップ支持板5
には、予め鋲6の貫入用の穴を開孔しておくことが有効
である。
【0016】キャップ支持板5の材質としては、鋲6を
鋼材1に打ち込むときの変形に追随するために、強度の
点から金属材質であれば良い。しかし、鋲が腐食環境に
なっても鋲の腐食を促進させないためには、鋼材よりも
卑な電位を有する金属あるいは合金材質が特に好まし
い。したがって、例えば亜鉛製のものやアルミニウム製
のもの、あるいは亜鉛やアルミニウムがめっきされた鋼
製のものが好ましく、さらに塗装されていてもかまわな
い。
鋼材1に打ち込むときの変形に追随するために、強度の
点から金属材質であれば良い。しかし、鋲が腐食環境に
なっても鋲の腐食を促進させないためには、鋼材よりも
卑な電位を有する金属あるいは合金材質が特に好まし
い。したがって、例えば亜鉛製のものやアルミニウム製
のもの、あるいは亜鉛やアルミニウムがめっきされた鋼
製のものが好ましく、さらに塗装されていてもかまわな
い。
【0017】また、キャップ支持板5の上から打設され
る鋲6は強度が大きいことが望ましく、例えば鋼製のも
のが好適であり、デッキプレートと梁の接合用に用いら
れる発射打ち込み鋲などが望ましい。
る鋲6は強度が大きいことが望ましく、例えば鋼製のも
のが好適であり、デッキプレートと梁の接合用に用いら
れる発射打ち込み鋲などが望ましい。
【0018】キャップ3の樹脂充填用凹部3a内に充填
する硬化性樹脂7は、鋲6の露出部分を覆うことによっ
て鋲6を防食する役目を果たすものであり、常温硬化型
の樹脂であれば良い。特に水中で施工される場合には、
水中硬化型のエポキシ樹脂などが有効である。
する硬化性樹脂7は、鋲6の露出部分を覆うことによっ
て鋲6を防食する役目を果たすものであり、常温硬化型
の樹脂であれば良い。特に水中で施工される場合には、
水中硬化型のエポキシ樹脂などが有効である。
【0019】また、本発明の重防食被覆鋼材の被覆補強
方法は、以下の工程で行われる。 (a)まず、鋼材1の有機被覆樹脂層2の上に押さえ材
4を載せる。有機被覆樹脂層2と鋼材1との間に隙間が
ある場合には、有機被覆樹脂層2と鋼材1との間にペト
ロラタム含浸シートなどの防食シート8を挟み込む。な
お、打ち込む鋲数を単独または少数として有機樹脂被覆
を押さえるような場合には、押さえ板4を省略してもよ
い。
方法は、以下の工程で行われる。 (a)まず、鋼材1の有機被覆樹脂層2の上に押さえ材
4を載せる。有機被覆樹脂層2と鋼材1との間に隙間が
ある場合には、有機被覆樹脂層2と鋼材1との間にペト
ロラタム含浸シートなどの防食シート8を挟み込む。な
お、打ち込む鋲数を単独または少数として有機樹脂被覆
を押さえるような場合には、押さえ板4を省略してもよ
い。
【0020】(b)次に、押さえ板4(または有機被覆
樹脂層2)の上に樹脂充填用凹部3aを有するキャップ
3を配置し、樹脂充填用凹部3a内にはキャップ支持板
5を配置する。そして、キャップ支持板5の上から鋲6
を打設して、キャップ支持板5とキャップ3と押さえ材
4と有機被覆樹脂層2とを鋼材1に固定する。キャップ
支持板5には、予め鋲の貫通用の穴が設けておくと鋲6
の打ち込み強度低下とキャップ支持板5の変形も少なく
良好である。また鋲6を打ち込むには、建材の固定用に
一般的に用いられる鋲打ち銃を適用可能である。特に鋲
打ち銃の先にあらかじめキャップと支持板を装着し、押
さえ板に充てて上から打ち込む方法が効率が良く、銃身
への水進入も防止できるので水中での施工に適してい
る。
樹脂層2)の上に樹脂充填用凹部3aを有するキャップ
3を配置し、樹脂充填用凹部3a内にはキャップ支持板
5を配置する。そして、キャップ支持板5の上から鋲6
を打設して、キャップ支持板5とキャップ3と押さえ材
4と有機被覆樹脂層2とを鋼材1に固定する。キャップ
支持板5には、予め鋲の貫通用の穴が設けておくと鋲6
の打ち込み強度低下とキャップ支持板5の変形も少なく
良好である。また鋲6を打ち込むには、建材の固定用に
一般的に用いられる鋲打ち銃を適用可能である。特に鋲
打ち銃の先にあらかじめキャップと支持板を装着し、押
さえ板に充てて上から打ち込む方法が効率が良く、銃身
への水進入も防止できるので水中での施工に適してい
る。
【0021】(c)そして鋲6の打設後に、キャップ3
の樹脂充填用凹部3a内に硬化性樹脂7を充填すること
で、本発明の重防食被覆鋼材の被覆補強方法が実施され
る。
の樹脂充填用凹部3a内に硬化性樹脂7を充填すること
で、本発明の重防食被覆鋼材の被覆補強方法が実施され
る。
【0022】<実施例>以下、本発明を実施例により説
明する。本実施例では、ポリエチレン被覆鋼矢板(SY
30,SPIV型)を通常の製造方法で作製し、巾46
mm、高さ15mm、厚み3mmのFRPの押さえ板に
鋲を用い、従来のキャップをかぶせる方法と本発明のキ
ャップを鋲で貫通する方法、キャップ内のキャップ支持
板の有無、キャップ支持板の厚み等を変え、キャップ内
にはエポキシ樹脂を充填して補修を行った。補修後の鋲
の周囲を10cm四方で切り出し、60℃の3%食塩水
に1ヶ月間浸漬後、各条件ごとに実施した鋲の全数に対
する赤錆の発生した鋲の発生本数を鋲の赤錆発生率
(%)として評価した。その結果を表1に示す。
明する。本実施例では、ポリエチレン被覆鋼矢板(SY
30,SPIV型)を通常の製造方法で作製し、巾46
mm、高さ15mm、厚み3mmのFRPの押さえ板に
鋲を用い、従来のキャップをかぶせる方法と本発明のキ
ャップを鋲で貫通する方法、キャップ内のキャップ支持
板の有無、キャップ支持板の厚み等を変え、キャップ内
にはエポキシ樹脂を充填して補修を行った。補修後の鋲
の周囲を10cm四方で切り出し、60℃の3%食塩水
に1ヶ月間浸漬後、各条件ごとに実施した鋲の全数に対
する赤錆の発生した鋲の発生本数を鋲の赤錆発生率
(%)として評価した。その結果を表1に示す。
【表1】
【0023】施工例No.1に示すように、鋲の頭に防
食用のキャップを取り付けることで防食効果はあるが、
取り付け不良による錆発生の確率が若干高い。また、施
工例No.2に示すキャップを鋲が貫通する方法で、キ
ャップ内に支持板がない場合には、キャップ下面の形状
の変化やキャップの損傷が起こり、防食が不充分で赤錆
発生した鋲の発生頻度が高い。
食用のキャップを取り付けることで防食効果はあるが、
取り付け不良による錆発生の確率が若干高い。また、施
工例No.2に示すキャップを鋲が貫通する方法で、キ
ャップ内に支持板がない場合には、キャップ下面の形状
の変化やキャップの損傷が起こり、防食が不充分で赤錆
発生した鋲の発生頻度が高い。
【0024】これに対し、施工例No.3では、支持板
があるために改善が見られた。さらに施工例No.4〜
No.8のように、支持板が0.3mm以上に大きくな
るとさらに効果が大きくなった。但し、施工例No.6
に示すように、支持板に貫通用の穴が無い場合で支持板
の厚みが厚くなると打ち込み不足から赤錆発生率が若干
増加した。
があるために改善が見られた。さらに施工例No.4〜
No.8のように、支持板が0.3mm以上に大きくな
るとさらに効果が大きくなった。但し、施工例No.6
に示すように、支持板に貫通用の穴が無い場合で支持板
の厚みが厚くなると打ち込み不足から赤錆発生率が若干
増加した。
【0025】表1の結果から明らかなように、キャップ
支持板を内部に設けたキャップを鋲で打ち込む方法で
は、キャップの損傷も無く、キャップの形状変化が少な
いことから、キャップと押さえ板との密着が確実となり
防食に有効に作用していることが分かる。
支持板を内部に設けたキャップを鋲で打ち込む方法で
は、キャップの損傷も無く、キャップの形状変化が少な
いことから、キャップと押さえ板との密着が確実となり
防食に有効に作用していることが分かる。
【0026】
【発明の効果】本発明の被覆補強構造は、キャップが鋲
の貫通によって固定されるために容易に脱落しにくく、
しかもキャップ内にキャップ支持板を設けることでキャ
ップの変形や破損が押さえられ、押さえ板とキャップ界
面からの水進入が抑制されることから鋲の防食が確実と
なり、耐久性が向上する。
の貫通によって固定されるために容易に脱落しにくく、
しかもキャップ内にキャップ支持板を設けることでキャ
ップの変形や破損が押さえられ、押さえ板とキャップ界
面からの水進入が抑制されることから鋲の防食が確実と
なり、耐久性が向上する。
【図1】断面L字型形状の押さえ材を用いた本発明の被
覆補強構造物の断面図である。
覆補強構造物の断面図である。
【図2】断面U字型形状の押さえ材を用いた本発明の被
覆補強構造物の断面図である。
覆補強構造物の断面図である。
【図3】押さえ材を用いない場合における本発明の被覆
補強構造物の断面図である。
補強構造物の断面図である。
1 鋼材
2 有機被覆樹脂層
3 キャップ
3a 樹脂充填用凹部
4 押さえ材
5 キャップ支持板
6 鋲
7 硬化性樹脂
8 防食シート
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 原田 佳幸
富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技
術開発本部内
(72)発明者 是永 正
東京都千代田区大手町2−6−3 新日本
製鐵株式会社内
(72)発明者 斎藤 明宏
東京都千代田区岩本町2丁目11−9 日鉄
防蝕株式会社内
(72)発明者 桜井 清
東京都千代田区岩本町2丁目11−9 日鉄
防蝕株式会社内
(72)発明者 津村 裕介
東京都大田区田園調布南8−10 日本ドラ
イブイット株式会社内
(72)発明者 飯田 亮司
東京都大田区田園調布南8−10 日本ドラ
イブイット株式会社内
Claims (5)
- 【請求項1】 有機被覆樹脂層で表面が被覆されている
鋼材の被覆側表面に樹脂充填用凹部付きのキャップが配
置され、前記樹脂充填用凹部内にはキャップ支持板が配
置され、前記キャップ支持板の上から打設された鋲によ
り前記キャップ支持板と前記キャップと前記有機被覆樹
脂層とが前記鋼材に固定されており、かつ前記樹脂充填
用凹部内には硬化性樹脂が充填されていることを特徴と
する重防食被覆鋼材の被覆補強構造物。 - 【請求項2】 前記有機被覆樹脂層と前記キャップとの
間に押さえ材が配置されていることを特徴とする請求項
1に記載の重防食被覆鋼材の被覆補強構造物。 - 【請求項3】 有機被覆樹脂層で表面が被覆されている
鋼材の有機被覆樹脂層を鋲で固定させる鋼材の補強方法
において、樹脂充填用凹部を有するキャップの前記樹脂
充填用凹部内にキャップ支持板を配置し、これらを貫通
するように鋲を打ち込んで前記キャップ支持板と前記キ
ャップと前記有機被覆樹脂層とを鋼材に固定させ、その
後に前記樹脂充填用凹部内に硬化性樹脂を充填すること
を特徴とする重防食被覆鋼材の被覆補強方法。 - 【請求項4】 前記有機被覆樹脂層と前記キャップとの
間に押さえ材を配置することを特徴とする請求項3に記
載の重防食被覆鋼材の被覆補強構造方法。 - 【請求項5】 鋲の貫通用に予め穴が設けられたキャッ
プ支持板を用いることを特徴とする請求項3または請求
項4に記載の重防食被覆鋼材の被覆補強方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001306079A JP2003105790A (ja) | 2001-10-02 | 2001-10-02 | 重防食被覆鋼材の被覆補強構造物およびその補強方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001306079A JP2003105790A (ja) | 2001-10-02 | 2001-10-02 | 重防食被覆鋼材の被覆補強構造物およびその補強方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003105790A true JP2003105790A (ja) | 2003-04-09 |
Family
ID=19125771
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001306079A Withdrawn JP2003105790A (ja) | 2001-10-02 | 2001-10-02 | 重防食被覆鋼材の被覆補強構造物およびその補強方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003105790A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105544619A (zh) * | 2015-12-31 | 2016-05-04 | 中交第三航务工程局有限公司宁波分公司 | 一种风机基础防冲刷保护的方法 |
-
2001
- 2001-10-02 JP JP2001306079A patent/JP2003105790A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105544619A (zh) * | 2015-12-31 | 2016-05-04 | 中交第三航务工程局有限公司宁波分公司 | 一种风机基础防冲刷保护的方法 |
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---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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