JP2003105418A - 溶銑の予備処理方法及び精錬方法 - Google Patents
溶銑の予備処理方法及び精錬方法Info
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Abstract
灰石、酸化鉄の1又は2以上であって少なくとも酸化鉄
を含む成分を主成分とするフラックスを溶銑中に吹き込
んで溶銑の脱珪脱りんを行う溶銑予備処理方法におい
て、溶銑予備処理・脱炭工程ともに蛍石を使用しない精
錬を可能にし、脱炭工程での脱りん用スラグの形成を最
小限にし、溶銑中に炭素源を効率よく添加して熱裕度の
向上を図る溶銑予備処理方法及び精錬方法を提供する。 【解決手段】 脱珪反応中に溶銑中に炭素源を吹き込
み、前記フラックス吹き込み開始前に炭素源吹き込みを
開始していることを特徴とする溶銑予備処理方法。前記
フラックス吹き込みは、[Si]濃度が0.15%まで
低下した後にに開始する。前記フラックス吹き込みは、
炭素源吹き込み完了後に開始する。
Description
錬容器を用いて脱珪脱りんを行う溶銑予備処理方法、及
び溶銑予備処理後に脱炭処理を行う溶銑精錬方法に関す
るものである。
の転炉内で同時に行う転炉製鋼法にかわり、脱炭に先立
って溶銑の脱珪、脱りんを脱炭とは別の容器で行う溶銑
予備処理方法が用いられるようになった。溶銑予備処理
においては、溶銑に酸化鉄をはじめとする固体酸素源を
添加して脱珪を行い、次いで溶銑に脱りん用フラックス
を添加して脱りん精錬を行う方法が当初は一般的であっ
た。脱りん精錬においては、フラックスとして石灰源を
添加して高塩基度の脱りんスラグを形成し、酸化鉄をは
じめとする固体酸素源を同じくフラックスとして添加し
て脱りんを行っていた。また、予備脱りん精錬容器とし
ては、トーピードカーや取鍋内の溶銑に脱りん用フラッ
クスをインジェクションして予備脱りんを行う方法が用
いられていた。
が可能な転炉型の精錬容器を用い、脱珪と脱りんを同時
に行う溶銑予備処理が用いられるようになってきた。上
底吹きによる強攪拌を利用するため、塩基度の低いスラ
グを用いても脱りんを促進させることができるので、脱
珪と脱りんを同時に行うことが可能である。酸化源とし
て気体酸素を十分に用いることができるので、固体酸素
のみを用い、あるいは気体酸素を用いるとしてもごく少
量である従来に比較して予備処理後の溶銑温度を高く保
つことができ、さらにトーピードカーを用いた予備処理
に比較して処理時間を短縮できるために予備処理中の温
度ロスが少なく、脱炭処理を含めた精錬全体での熱裕度
を確保することができる。予備処理精錬用フラックス
は、精錬容器内に上方から添加する方法の他、底吹きガ
スをキャリアガスとして溶銑中に吹き込んで添加するイ
ンジェクションを採用することも可能である。フラック
スインジェクションを採用することにより、予備処理に
おける脱りん効率を向上することができる。
溶銑温度が低いほど高い脱りん能力を示す。従って、予
備処理で気体酸素を用いることによって熱裕度を向上す
ることができるといっても、予備処理後の溶銑温度をむ
やみに高めると予備処理での脱りん能力を十分に発揮で
きないこととなる。
することにより精錬を行うので、不可避的に溶銑中の炭
素が酸化されて脱炭が進行し、脱炭処理時における熱裕
度を失わせる一因となっている。
中に炭素源を添加すれば、脱炭処理時における熱源とし
て活用できるため、精錬の熱裕度を高めることが可能で
ある。脱炭処理時に炭素源を添加する方法としては、塊
状の無煙炭を上方から添加する方法が考えられるが、上
吹き送酸による発生ガスの上昇流による飛散ロスが大き
いという問題がある。また、炭材からのSiO2インプ
ットがあるため、脱炭処理時におけるスラグの塩基度を
確保するために生石灰を増量する必要が生じることとな
って好ましくない。
する方法として、特開昭62−170409号公報にお
いては、溶銑予備処理の初期に主成分CaOにスラグ滓
化性改善材(Mn鉱石や弗化カルシウム(蛍石)等)を
配合したフラックスを上部添加し、脱珪フラックス(酸
化鉄)を溶銑中に吹き込みかつ溶銑表面に気体/固体酸
素源を供給しつつ、脱珪フラックスと共に又は脱珪反応
完了後に炭素源をキャリアガスによって溶銑中に吹き込
んで溶銑の炭素濃度を高める方法が記載されている。C
aO系フラックスを上部添加するのは、脱りんのために
使用する酸化鉄を含んだCaO系フラックスを炭素源と
共に溶銑中に吹き込むと、炭素吹き込みに起因して溶銑
中の酸素ポテンシャルが低下し脱りん反応が阻害される
からであるとしている。
使用することにより予備処理や脱炭処理に使用する精錬
容器の耐火物の溶損が激しくなる。例えば、特開平8−
157921号公報の図6に示されているように、スラ
グ中フッ素濃度が高くなるほど耐火物溶損指数が高くな
り、耐火物溶損が急激に増大することが知られている。
従って、耐火物寿命延長の観点から蛍石を使用しないこ
とが好ましい。
上記特開昭62−170409号公報に記載の発明にお
いては、フラックスを上方添加するので、スラグ流動性
の確保のために弗化カルシウム(蛍石)等の滓化性改善
剤の添加が必須となっており、上記蛍石不使用の方向に
逆行し好ましくない。ここで予備処理において蛍石を使
用しないと、予備処理での脱りん能力が不足し、次の脱
炭処理において蛍石を使用した脱りんスラグを形成して
脱りんを行う必要が生じることとなる。
で行う溶銑予備処理を実施し、次いで脱炭精錬を行う溶
銑精錬において、従来の溶銑予備処理では予備処理後の
脱りんを十分に行うことが困難であり、脱炭処理におい
てもスラグを形成して脱りんを行う必要があった。脱炭
工程で脱りんスラグを形成することがコスト上昇原因と
なり、さらに脱炭工程の脱りんスラグ形成に蛍石の使用
が必要であるため、上記蛍石不使用の方向に逆行するこ
ととなる。
蛍石を使用しない精錬を可能にし、脱炭工程での脱りん
用スラグの形成を最小限にし、溶銑中に炭素源を効率よ
く添加して熱裕度の向上を図る溶銑予備処理方法及び精
錬方法を提供することを目的とする。
反応時期において、脱珪用酸素源として主に酸化鉄をキ
ャリアガスとともに溶銑中に吹き込む従来の方法では、
脱珪反応時期における溶銑温度の上昇が十分に得られ
ず、脱りん精錬用スラグの滓化が不十分となる。それに
対し、脱珪用酸素源として気体酸素を用いると、脱珪反
応時期における溶銑温度の上昇が顕著であり、脱りん精
錬用スラグの滓化を十分に行うことができ、脱りん反応
を効率よく行うことができる。
用いると、脱珪反応時期に溶銑に吹き込むフラックス量
を大幅に少なくすることができる。従って、脱珪反応時
期に熱源としての炭素源をキャリアガスとともに溶銑中
に吹き込むこととすれば、フラックス吹き込み開始前に
炭素源のみを溶銑中に添加することが可能になる。石灰
系成分を含んだ脱りん用のフラックスと炭素源とを同時
に吹き込むことがないので、吹き込む炭素によって脱り
んが阻害されることがない。また、炭素源と酸化鉄系フ
ラックスとの同時吹き込みをなくすことにより、炭素源
と酸化鉄が反応して発火する恐れがなくなるという効果
も得ることができる。
酸素を用いると同時に脱珪反応時期に熱源としての炭素
源を溶銑中に吹き込むことにより、溶銑予備処理におけ
る脱りん効率の大幅向上と精錬全体の熱裕度の向上を同
時に実現できることが明らかになった。
のであり、その要旨とするところは以下のとおりであ
る。 (1)上底吹き可能な精錬容器を用い、生石灰、石灰
石、酸化鉄の1又は2以上であって少なくとも酸化鉄を
含む成分を主成分とするフラックスを溶銑中に吹き込ん
で溶銑の脱珪脱りんを行う溶銑予備処理方法において、
脱珪反応中に溶銑中に炭素源を吹き込み、前記フラック
ス吹き込み開始前に炭素源吹き込みを開始していること
を特徴とする溶銑予備処理方法。 (2)前記フラックス吹き込みは、[Si]濃度が0.
15%まで低下した後に開始することを特徴とする上記
(1)に記載の溶銑予備処理方法。 (3)前記フラックス吹き込みは、炭素源吹き込み完了
後に開始することを特徴とする上記(1)又は(2)に
記載の溶銑予備処理方法。 (4)溶銑予備処理時に蛍石を使用しないことを特徴と
する上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の溶銑予備
処理方法。 (5)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の溶銑予
備処理方法にて溶銑予備処理を行った後に脱炭処理を行
う溶銑精錬方法において、脱炭処理に蛍石を使用しない
ことを特徴とする溶銑精錬方法。
に示すような上底吹き可能な精錬容器1を用いる。上吹
きは上吹きランス3の先端から主に酸素ガス8を溶銑表
面に吹き付ける。脱珪反応時期に用いた上吹き酸素は、
脱珪用の酸素源として使用することができる。脱りん反
応時期においては、上吹きはスラグの酸素ポテンシャル
を高め復りんを防止するとともに、放散熱を補い所定の
温度に制御するために用いる。
底吹きノズル2を用いて行う。酸素ガスを含むガスを溶
銑中に吹き込むことにより溶銑の攪拌を強化して酸素源
として用いる機能を有するほか、底吹きノズル2からキ
ャリアガス7とともにフラックス9を溶銑中に吹き込む
機能を有する。
1基を溶銑予備処理に使用し、残りの1基を脱炭処理に
使用することができる。溶銑予備処理用の転炉で予備処
理を行い、次いで溶銑を脱炭処理用の転炉に移し替えて
脱炭処理を行う。
ガスとともに溶銑中に吹き込むフラックスは、生石灰、
石灰石、酸化鉄の1又は2以上であって少なくとも酸化
鉄を含む成分を主成分とするフラックスである。脱りん
に供するフラックスは、酸化鉄を含むとともに生石灰や
石灰石等のCaO源を含む。脱りん用フラックスの吹き
込みを開始する前に、脱珪補助として酸化鉄を主成分と
するフラックスの吹き込みを行っても良い。フラックス
成分として用いる酸化鉄としては、鉄鉱石、ミルスケー
ル、焼結ダストなど、種々のものを用いることが可能で
ある。
体酸素を酸素源として行う。酸化鉄を含むフラックスを
脱珪反応中にキャリアガスとともに吹き込んで脱珪用酸
素源の補助として用いても良いが、その場合でも脱珪初
期には気体酸素のみを酸素源として脱珪を行うものと
し、脱珪用フラックスの吹き込みを行わない。
ルから溶銑中にキャリアガスとともに炭素源を吹き込
む。炭素源としては、無煙炭の粉末やコークス粉などを
用いることができる。前記フラックス吹き込み開始前に
炭素源吹き込みを開始する。従って、前記フラックスを
吹き込まずに炭素源を吹き込んでいる時期が必ず存在す
る。炭素源を単独で吹き込んでいるため、炭素源を脱り
ん用フラックスと同時に吹き込んだときに見られる脱り
んを阻害する問題が発生することがない。
を固体酸素源によって行うのではなく、主に上吹き気体
酸素によって行うので、脱珪反応中及び反応後における
溶銑温度を従来より高い温度とすることができる。その
ため、吹き込んだフラックスの滓化を促進することがで
き、溶銑予備処理中の脱りん反応を顕著に促進すること
ができる。
[Si]が酸化して時間の経過とともに[Si]濃度が
低下しつつある時期をいう。一般に、溶銑[Si]濃度
が0.03%まで低下すると、[Si]の酸化速度が著
しく減少するので、脱珪反応が終了したと見なすことが
できる。
みを開始しさえすれば、フラックス吹き込み開始時期は
脱珪反応中のどの時点であってもかまわない。少なくと
も脱珪反応終了時にはフラックス吹き込みを開始しない
と、脱珪反応に続く脱りん反応を円滑に行うことができ
ない。一方、本発明の上記(2)にあるように、フラッ
クス吹き込みは[Si]濃度が0.15%まで低下した
後に開始すると好ましい。[Si]濃度が0.15%ま
で低下した以降では脱りんスラグ(フラックス)が存在
すれば脱珪反応とともに脱りん反応も進行するので、
[Si]濃度が0.15%まで低下以降にフラックス吹
き込みを開始することにより、脱珪反応中における脱り
ん反応を有効に促進することができる。脱珪中の[S
i]濃度判定手段としては、初期溶銑[Si]値をもと
に送酸量と脱珪反応効率から脱珪量を推定することによ
って行うと良い。
スを同時に吹き込む時期が存在しても本発明の効果を享
受することはできる。しかし、本発明の上記(3)にあ
るように、炭素源の吹き込みを完了した後にフラックス
吹き込みを開始することとすると、脱りん用フラックス
と炭素源とを同時に吹き込むことによる脱りんフラック
スの無駄を省くことができるとともに、さらに酸化鉄を
含むフラックスと炭素源とを同時に吹き込んだときに見
られる発火の危険性を回避することができるのでより好
ましい。
行うので脱珪反応後の溶銑温度が高く脱りんスラグの滓
化が良好であるため、その後の脱りん反応が良好に進行
する。同時に、炭素源の吹き込みを行うので精錬の熱裕
度を上げることができるため溶銑予備処理後の脱りん終
了時における溶銑温度を低下させることが可能になる。
脱りん終了時の溶銑温度を低下させると、復りんを防止
することにより脱りん能力を向上することが可能にな
る。このように本発明は溶銑予備処理における脱りんに
有利に働くため、本発明の上記(4)にあるように、溶
銑予備処理に蛍石を使用せずに所定の脱りん反応を行わ
せることが可能になる。
脱りん能力が優れているので、脱炭処理において追加の
脱りん処理を行う必要がない。従って、本発明の上記
(5)にあるように、脱炭処理に蛍石を使用せずに溶鋼
中のりん濃度を所定の濃度まで低下させることが可能に
なる。
源を添加して精錬の熱裕度の向上を図っているので、ス
クラップ等の冷鉄源装入比率を上げることが可能であ
り、また脱炭処理においてMn鉱石を添加して高価なM
n合金鉄の代替とすることが可能になる。さらに、脱炭
処理において脱りんスラグを形成する必要がなくスラグ
量が少ないので、Mn鉱石のMn歩留を向上させること
が可能になる。
図1に示すような溶銑予備処理用の精錬容器1として、
もう1基を脱炭処理用の精錬容器として使用し、高炭低
りん鋼の溶製を行った。
て酸素ガス8を溶銑5に吹き付ける。底吹きは、転炉の
底部に設けた6個の二重管底吹きノズル2を用い、内管
からは酸素ガスあるいは不活性ガスを溶銑中に吹き込
む。内管と外管との間の空間からは、内管酸素ガス吹き
込み時には冷却ガスとして炭化水素ガスを吹き込み、内
管不活性ガス吹き込み時には窒素等の不活性ガスを吹き
込む。溶銑予備処理炉においては、フラックスホッパー
4に貯蔵したフラックス9を底吹き羽口2からキャリア
ガス7とともに吹き込むことが可能である。フラックス
9として炭素源9cや生石灰9a、焼結ダスト9bを用
いる。このとき、キャリアガス7としては不活性ガスを
用いる。
き込む炭素源9cとしては、FC=80%、VM=6
%、SiO2=6.7%の無煙炭を用いた。また、同様
にして吹き込むフラックスとしては、生石灰粉9aと焼
結ダスト9bを1:1に配合したもの、あるいは焼結ダ
スト9b単独を用いた。焼結ダストの組成は、T.Fe
=46.7%、CaO=6%、Al2O3=2.5%、S
iO2=5.2%であった。吹き込み材料の粒度はいず
れも1.5mm以下とした。脱りん反応時期における上
吹きはスラグの酸素ポテンシャルを高め復りんを防止す
るとともに、放散熱を補い所定の温度に制御するように
流量を設定した。
炭素源やフラックスの吹き込み状況を示している。表2
には各実施例の詳細な原単位や成分・温度実績を示して
いる。本発明例1、2が本発明を適用した例であり、比
較例1〜4が従来技術を用いた例である。
1340℃狙いとし、比較例4のみ30℃アップした1
370℃狙いとした。予備処理終了温度の調整は、予備
処理中に上方投入する鉄鉱石の投入原単位を調整するこ
とによって行った。ただし、脱りん反応開始前あるいは
開始直後に鉄鉱石を投入すると、溶銑温度低下によって
脱りんスラグの滓化不良を起こすこととなるので、鉄鉱
石の投入はできるだけ脱りん反応の後期に行うと良い。
脱炭処理においては、熱裕度が存在する場合にはMn鉱
石を添加してMn合金鉄原単位の削減を行った。
素のみによって脱珪を行い、一方で脱珪反応時期全体に
わたって炭素源を吹き込んだ。脱りん反応時期において
は脱りん用フラックスとして生石灰粉と焼結ダスト配合
剤の吹き込みを行った。本発明例2は、[Si]濃度が
0.15%まで低下するまでに炭素源の吹き込みを完了
し、[Si]濃度が0.15%まで低下してから脱りん
終了まで生石灰粉と焼結ダスト配合剤の吹き込みを行っ
た。それ以外の条件は本発明例1と同様である。
ダストとを底吹きにて吹き込み、上吹き酸素と焼結ダス
トの両方を脱珪用酸素源とした。脱りん反応時期におい
ては脱りん用フラックスとして生石灰粉と焼結ダスト配
合剤の吹き込みを行った。比較例2は、溶銑予備処理の
脱珪反応時期の炭素源吹き込みを行わず、かわりに脱炭
処理時に塊状の無煙炭を上方から投入した。ここで、脱
炭処理時における炭素源投入を底吹きノズルからの吹き
込みによって行おうとすると、脱炭処理時の吹き止め温
度が高いため、底吹きノズルの寿命が短くコストアップ
となると考えられるので、無煙炭の上方投入を採用し
た。溶銑[C]アップ量を実施例1、比較例1と同等と
するためには、吹き込みによる方法と比較して2倍の原
単位の炭素源投入が必要であった。それ以外の条件は比
較例1と同様である。比較例3は、溶銑予備処理時にフ
ラックス類の吹き込みを行わず、脱珪は上吹き酸素のみ
を酸素源として行い、予備処理開始時に生石灰を上方投
入して脱りんスラグとした。比較例4は、予備処理終了
温度を30℃アップの1370℃狙いとした以外は比較
例3と同様である。
て、本発明例1と比較例1、2との間で対比を行う。
ガス上吹きと焼結ダスト吹き込みを行っている。吹き込
んだ焼結ダスト中の酸化鉄は、溶銑中の[Si]を酸化
するとともに一部溶銑中[C]を酸化してCOガスとす
る。酸化鉄との反応はいずれも吸熱反応であり、脱珪反
応終了時における溶銑温度を低下させる。溶銑中の
[C]濃度の低下をもきたす。
銑中の[Si]と[C]が焼結ダスト中の酸化鉄と反応
し、これは吸熱反応である。比較例1においてはさら
に、脱珪反応時期に炭素源を吹き込んでいるので、溶銑
中[C]は常に飽和に保たれる。[C]と酸化鉄との反
応は[C]濃度が高いほど進行するので、比較例1より
以上に[C]と酸化鉄との反応が進行し、温度低下の度
合いが大きくなる。また、溶銑中[C]が飽和に保たれ
ているため、トップスラグ中のFeOを還元しやすく、
FeO濃度が低いSiO2リッチなFeO−SiO2系ス
ラグとなるので、スラグ融点が上がってスラグの滓化性
が損なわれるという現象も発生する。
結ダストを吹き込まず、脱珪反応を上吹き酸素ガスのみ
で行う。溶銑中[Si]と酸素ガスとの反応は発熱反応
であるため、比較例1、2と対比して発熱量が大きく、
脱珪反応終了時の溶銑温度を高くすることができる。炭
素源吹き込みによって[C]が飽和に保たれているため
トップスラグのFeOを還元しやすい点は比較例1と同
様であるが、比較例1と対比して上吹き酸素ガスが多い
ため、上吹き酸素によるFeO生成量が多く、スラグを
低融点のFeO−SiO2系スラグに保持することがで
きる。以上の理由により、本発明例1においては、脱珪
反応終了時におけるスラグを滓化の良好なスラグとする
ことができ、その後に続く脱りん反応を有利に進行させ
ることが可能になる。
る。本発明例1においては、脱珪反応時期には酸化鉄系
フラックスを吹き込まずに上吹き酸素のみで脱珪反応を
行っているため、脱りん反応開始時の溶銑温度が高い。
さらに、脱りん反応時期において添加する脱りんフラッ
クスは、上方投入ではなく溶銑中にキャリアガスととも
に吹き込んでいるので、溶銑温度アップとの相乗効果
で、蛍石を使用しなくても良好な脱りん反応を進行させ
ることができる。炭素源吹き込みと脱りんフラックス吹
き込みを別々のタイミングで行っているので、吹き込ん
だ炭素源が脱りんを阻害することもない。また、溶銑予
備処理終了時の温度も1339℃に抑えられているの
で、処理後[P]濃度を0.012%まで低下すること
ができた。そのため、引き続く脱炭処理において追加の
脱りんを行う必要はないが、ダスト低減を目的に20k
g/tのカバースラグを生成させて脱炭処理を行った。
蛍石無添加とすることができたので、スラグからのフッ
素の溶出の心配はなく、スラグの有効利用が可能であっ
た。
加え、[Si]濃度が0.15%まで低下するまでに炭
素源吹き込みを完了して脱りんフラックス吹き込みを開
始している。このため、脱珪反応後半においても脱りん
反応を進行させることが可能になり、予備処理トータル
としての脱りん反応を促進させることができた。その結
果、予備処理後[P]濃度を0.010%まで低下する
ことができた。一方、炭素源吹き込み時間が短かったの
で、炭素源吹き込み原単位は本発明例1の1/2にとど
まった。
焼結ダストを吹き込んで使用しているため、脱りん開始
時の溶銑温度を十分に上昇させることができず、予備処
理後の[P]濃度が0.018%までしか低下しなかっ
た。そのため、脱炭処理時のスラグ量を30kg/tと
し、さらに蛍石を2kg/t添加して追加的脱りん処理
を行った。
炭素源吹き込みを行っていないので、予備処理後の
[P]濃度が0.016%と比較例1より若干良好であ
った。炭素源吹き込みを行っていないので、酸素ポテン
シャルを高めることができるためである。一方、脱炭処
理で投入した無煙炭からのSiO2インプットがあるた
め、スラグ塩基度確保のためにスラグ量を35kg/t
にアップする必要があった。
に上方添加としているので、予備処理後[P]濃度が
0.020%までしか低下しなかった。そのため、脱炭
処理において40kg/tのスラグを形成するとともに
蛍石を5kg/t添加して追加的脱りん処理を行った。
後温度を1370℃と高い温度としたので、予備処理後
[P]濃度は0.025%と最も高い値となった。その
ため、脱炭処理において40kg/tのスラグを形成す
るとともに蛍石を5kg/t添加して追加的脱りん処理
を行った。
実績について対比する。本発明例1、2、比較例1、2
においては、溶銑予備処理又は脱炭処理において炭素源
を添加した結果として熱裕度が改善され、脱炭処理にお
いてMn鉱石を10kg/t投入してMn合金鉄の削減
を図ることができた。本発明例1、2については、脱炭
処理時に形成するスラグ量を最小とすることができたの
で、Mn鉱石のMn歩留も70%前後という良好な成績
を上げることができた。
ていないので熱裕度が不足しMn鉱石を添加できなかっ
た。また、比較例4については予備処理終了温度を上昇
して熱裕度向上を図ったものの、脱炭処理において大量
のスラグを生成したために熱裕度が低下し、Mn鉱石を
5kg/tしか添加できなかった。
は、脱珪には固体酸素源を用いず、脱りんには溶銑に吹
き込んだフラックスを使用しているため、予備処理にお
いて高い脱りん能力を実現することができた。また、脱
珪時に脱りんフラックス吹き込み前の別のタイミングに
炭素源を吹き込んでいるので、脱りん能力を阻害するこ
となく溶銑中に炭素を高歩留で添加して精錬の熱裕度を
増大させることができた。
0chづつ連続した操業を実施し、耐火物溶損量を比較
した。その結果、脱炭炉で蛍石を5kg/t使用した比
較例2に比べ、蛍石を使用しない実施例1の方が脱炭炉
耐火物溶損量が30%少ないことが確認でき、耐火物コ
スト低減に役立った。
いて脱珪脱りんを行う溶銑予備処理の後に脱炭処理を行
う溶銑精錬方法において、主に上吹き気体酸素を用いて
脱珪を行い、脱珪反応中に溶銑中に炭素源を吹き込み、
その後脱りんフラックスの吹き込みを行うので、溶銑中
に炭素を高歩留で添加して精錬の熱裕度を増大させるこ
とができ、さらに予備処理において高い脱りん能力を実
現することができる。
%まで低下した後に脱りんフラックス吹き込みを開始す
ると、脱珪反応期間中にも脱りん反応を起こさせること
ができ、予備処理における脱りん能力を向上することが
できる。
ックス吹き込みを開始することにより、脱りん能力を阻
害することなく溶銑中に炭素を高歩留で添加して精錬の
熱裕度を増大させることができ、かつ発火の危険性を回
避することができる。
能を向上させた結果として、溶銑予備処理において蛍石
を使用せず、また脱炭処理時においても蛍石を使用せず
に精錬を行うことが可能になる。これにより、耐火物溶
損量を削減し、耐火物コストを低減することができる。
である。
Claims (5)
- 【請求項1】 上底吹き可能な精錬容器を用い、生石
灰、石灰石、酸化鉄の1又は2以上であって少なくとも
酸化鉄を含む成分を主成分とするフラックスを溶銑中に
吹き込んで溶銑の脱珪脱りんを行う溶銑予備処理方法に
おいて、脱珪反応中に溶銑中に炭素源を吹き込み、前記
フラックス吹き込み開始前に炭素源吹き込みを開始して
いることを特徴とする溶銑予備処理方法。 - 【請求項2】 前記フラックス吹き込みは、[Si]濃
度が0.15%まで低下した後に開始することを特徴と
する請求項1に記載の溶銑予備処理方法。 - 【請求項3】 前記フラックス吹き込みは、炭素源吹き
込み完了後に開始することを特徴とする請求項1又は2
に記載の溶銑予備処理方法。 - 【請求項4】 溶銑予備処理時に蛍石を使用しないこと
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の溶銑予
備処理方法。 - 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の溶銑
予備処理方法にて溶銑予備処理を行った後に脱炭処理を
行う溶銑精錬方法において、脱炭処理に蛍石を使用しな
いことを特徴とする溶銑精錬方法。
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