JP2003104986A - 1−メチルカルバペネム化合物 - Google Patents

1−メチルカルバペネム化合物

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JP2003104986A
JP2003104986A JP2001303454A JP2001303454A JP2003104986A JP 2003104986 A JP2003104986 A JP 2003104986A JP 2001303454 A JP2001303454 A JP 2001303454A JP 2001303454 A JP2001303454 A JP 2001303454A JP 2003104986 A JP2003104986 A JP 2003104986A
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JP
Japan
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compound
methylcarbapenem
methyl
pyrrolidinylthio
pharmaceutically acceptable
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Application number
JP2001303454A
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English (en)
Inventor
Satoru Hatano
悟 波多野
Isao Kawamoto
勲 川本
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Kyoto Pharmaceutical Industries Ltd
Sankyo Co Ltd
Original Assignee
Kyoto Pharmaceutical Industries Ltd
Sankyo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 一般式(I) 【化1】 (式中、Aは置換されていてもよいフェニルを示す)で
表される1−メチルカルバペネム化合物またはその医薬
上許容される塩。 【効果】 本発明の1−メチルカルバペネム化合物は、
経口投与による消化管吸収性に優れており、かつ生体内
で生成する活性体が幅広い菌種に対して十分な抗菌性を
示すものであり、感染症(特に、細菌感染症)の予防・
治療剤として極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細菌感染症の予防
・治療剤等として有用な新規カルバペネム化合物に関す
る。詳細には、十分な経口吸収性を有し、かつ、生体内
で生成する活性体が強力な抗菌性を有する新規カルバペ
ネム化合物、および当該化合物を有効成分として含有す
る経口投与用抗菌剤に関する。
【0002】
【従来の技術】これまでにカルバペネム骨格を有する多
くの化合物が感染症治療薬として見出され、その中から
優れた抗菌活性を有するいくつかのカルバペネム化合物
が実用化され、あるいは実用化のために開発が進められ
ている。例えば、特開平2−49783号公報には、式
(Ib)
【0003】
【化2】
【0004】で示されるカルバペネム化合物が開示され
ている。このカルバペネム化合物は、従来のカルバペネ
ム化合物よりも強い抗菌活性を有し、しかもデヒドロペ
プチダーゼIに対して優れた安定性を示す。しかしなが
ら、上記のようなカルバペネム化合物は消化管からの吸
収性が十分とは言い難い。そのため、強力な抗菌活性と
幅広い抗菌スペクトラムを有し、かつ優れた消化管吸収
性を有する経口投与用カルバペネム化合物の開発が強く
望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、優れ
た抗菌性および消化管からの吸収性を有するカルバペネ
ム化合物を提供することである。本発明の他の課題は、
当該カルバペネム化合物の用途を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは種々検討し
た結果、一般式(I)
【0007】
【化3】
【0008】(式中、Aは置換されていてもよいフェニ
ルを示す)で表される1−メチルカルバペネム化合物ま
たはその医薬上許容される塩が、消化管吸収性に優れ、
かつ吸収過程でエステル基が加水分解され、強力な抗菌
性を有する活性体として生体内に分布することにより、
経口用の抗菌剤として極めて有用であることを見出し、
本発明を完成させるに至った。
【0009】即ち、本発明は以下に関する。 (1) 一般式(I)
【0010】
【化4】
【0011】(式中、Aは置換されていてもよいフェニ
ルを示す)で表される1−メチルカルバペネム化合物ま
たはその医薬上許容される塩。 (2) (1R,5S,6S)−6−[(1R)−1−
ヒドロキシエチル]−2−[(4R)−2−オキソ−4
−ピロリジニルチオ]−1−メチル−1−カルバペン−
2−エム−3−カルボン酸5−インダニルエステル、
(1R,5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキ
シエチル]−2−[(4R)−2−オキソ−4−ピロリ
ジニルチオ]−1−メチル−1−カルバペン−2−エム
−3−カルボン酸3,4−メチレンジオキシフェニルエ
ステル、および(1R,5S,6S)−6−[(1R)
−1−ヒドロキシエチル]−2−[(4R)−2−オキ
ソ−4−ピロリジニルチオ]−1−メチル−1−カルバ
ペン−2−エム−3−カルボン酸フェニルエステルから
なる群より選ばれる上記(1)記載の1−メチルカルバ
ペネム化合物またはその医薬上許容される塩。 (3) 上記(1)記載の一般式(I)で表される1−
メチルカルバペネム化合物またはその医薬上許容される
塩を有効成分として含有する抗菌剤。 (4) 経口投与用である上記(3)記載の抗菌剤。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明を詳細に説明する。一般式
(I)のAにおける「置換されていてもよいフェニル」
の置換基としては、低級アルキル、水酸基、低級アルコ
キシ、低級アルキルオキシカルボニル、置換されていて
もよいアミノ、ハロゲン、ハロゲンで置換された低級ア
ルキル、低級アルキルチオ、低級アシルオキシなどが挙
げられ、好ましくは低級アルキル、低級アルコキシが挙
げられる。該置換基は、化学的に許容される限り、フェ
ニルのいずれの位置で置換していてもよい。置換基の数
は、好ましくは1または2である。例えば、2置換の場
合には、2位と3位、3位と4位、3位と5位が好まし
く、1置換の場合には、3位又は4位が好ましい。ま
た、Aにおける「置換されていてもよいフェニル」の置
換基が2つ以上の場合は、2つの置換基はそれらが結合
する炭素原子と一緒になって環を形成してもよい。
【0013】置換基の「低級アルキル」としては、炭素
数1〜4、好ましくは1〜2である、直鎖状または分岐
鎖状のアルキルが挙げられ、例えば、メチル、エチル、
プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ter
t−ブチル、sec−ブチルなどが挙げられ、好ましく
はメチル、エチルが挙げられる。
【0014】置換基の「低級アルコキシ」としては、炭
素数1〜4、好ましくは1〜2である、直鎖状または分
岐鎖状のアルコキシが挙げられ、例えば、メトキシ、エ
トキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソ
ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシなど
が挙げられ、好ましくはメトキシ、エトキシが挙げられ
る。
【0015】置換基の「低級アルキルオキシカルボニ
ル」における低級アルキルとしては、炭素数1〜4、好
ましくは1〜2である、直鎖状または分岐鎖状のアルキ
ルが挙げられ、「低級アルキルオキシカルボニル」とし
ては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニ
ル、プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカ
ルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニ
ルなどが挙げられ、好ましくはメトキシカルボニル、エ
トキシカルボニルが挙げられる。
【0016】置換基の「ハロゲン」としては、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、好ま
しくはフッ素原子、塩素原子が挙げられる。
【0017】置換基の「ハロゲンで置換された低級アル
キル」の「ハロゲン」は上記と同義であり、低級アルキ
ルとしては、炭素数1〜4、好ましくは1〜2である、
直鎖状または分岐鎖状のアルキルが挙げられる。「ハロ
ゲンで置換された低級アルキル」は、1〜3個のハロゲ
ンにより置換されており、ここで好ましいハロゲンとし
ては、フッ素原子が挙げられる。「ハロゲンで置換され
た低級アルキル」として、例えば、フルオロメチル、ジ
フルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエ
チル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフ
ルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブ
チルなどが挙げられ、好ましくは、フルオロメチル、ト
リフルオロメチル、2−フルオロエチルが挙げられる。
【0018】置換基の「低級アルキルチオ」の低級アル
キルとしては、炭素数1〜4、好ましくは1〜2であ
る、直鎖状または分岐鎖状のアルキルが挙げられ、「低
級アルキルチオ」としては、例えば、メチルチオ、エチ
ルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチ
オ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ、sec−
ブチルチオなどが挙げられ、好ましくはメチルチオ、エ
チルチオが挙げられる。
【0019】本明細書中、低級アシルとは、炭素数が1
〜5、好ましくは1〜3である、直鎖状または分岐鎖状
のアシルが挙げられ、例えば、ホルミル、アセチル、プ
ロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソ
バレリル、ピバロイルなどが挙げられる。
【0020】置換基の「低級アシルオキシ」の低級アシ
ルは上記と同義であり、「低級アシルオキシ」として
は、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピ
オニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、
バレリルオキシ、イソバレリルオキシ、ピバロイルオキ
シなどが挙げられ、より好ましくは、アセチルオキシ、
プロピオニルオキシが挙げられる。
【0021】置換基の「置換されていてもよいアミノ」
とは、式(V)
【0022】
【化5】
【0023】(式中、R3およびR4は同一または異なっ
てもよく、それぞれ、水素原子、低級アルキル、若しく
は低級アシルを示すか、または、R3とR4はそれらが結
合する窒素原子と一緒になって複素環を形成してもよ
い)で表されるアミノである。
【0024】R3およびR4における低級アルキルは、上
述の、置換基の「低級アルキル」と同義である。R3
よびR4における低級アシルは上述の低級アシルと同義
であり、炭素数が1〜3であるアシルが好ましい。
【0025】R3およびR4が同一または異なって、それ
ぞれ、水素原子、低級アルキル、若しくは低級アシルを
示す場合、式(V)で表されるアミノとしては、例え
ば、アミノ、アルキルアミノ(メチルアミノ、エチルア
ミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノなど)、ジ
アルキルアミノ(ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ
プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミ
ノ、N−メチル−N−エチルアミノなど)、アシルアミ
ノ(ホルミルアミノ、アセチルアミノ、プロピオニルア
ミノ、ブチリルアミノ、イソブチリルアミノ、バレリル
アミノ、イソバレリルアミノ、ピバロイルアミノな
ど)、N−アルキルアシルアミノ(N−メチルアセチル
アミノ、N−エチルアセチルアミノなど)などが挙げら
れ、好ましくはジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アセ
チルアミノが挙げられる。
【0026】R3とR4がそれらが結合する窒素原子と一
緒になって形成する複素環は、少なくとも1個(好まし
くは1〜4個、より好ましくは1〜2個)の窒素原子を
含有する、飽和または不飽和の5〜7員複素環であり、
窒素原子以外に酸素原子を1〜2個含有していてもよ
い。当該複素環としては、例えば、ピロリジン、ピペラ
ジン、モルホリン、ピペリジン等が挙げられ、好ましく
は、ピロリジン、モルホリン、ピペリジンである。
【0027】Aの「置換されていてもよいフェニル」
が、2つ以上の置換基を有するフェニルの場合、任意の
2つの置換基は、それらが結合する炭素原子と一緒にな
って環を形成してもよく、好ましくは、式(IV)
【0028】
【化6】
【0029】(式中、R1とR2はそれらが結合する炭素
原子と一緒になって環を形成する)で表されるフェニル
が挙げられる。式(IV)で表される基は、ベンゼン環
と単環式炭化水素とが縮合した構造を有する基、または
ベンゼン環と複素環とが縮合した構造を有する基を示
す。当該単環式炭化水素は、炭素数4〜8のものであ
り、好ましい単環式炭化水素としては、炭素数5〜7の
シクロアルカン(例えば、シクロペンタン、シクロヘキ
サン、シクロヘプタンなど)が挙げられる。より好まし
くはシクロペンタンが挙げられる。当該複素環は、酸素
原子、窒素原子および硫黄原子から選ばれる、同一また
は異なった1〜3個(好ましくは1〜2個)のヘテロ原
子を有する4〜8員(好ましくは5〜7員)のものであ
り、好ましい複素環としては、1〜2個の酸素原子を有
する5〜7員の複素環(例えば、テトラヒドロフラン、
テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、ジオキサ
ンなど)、などが挙げられる。より好ましくは、1,3
−ジオキソランが挙げられる。
【0030】下記式(IV)
【0031】
【化7】
【0032】(式中、R1とR2はそれらが結合する炭素
原子と一緒になって環を形成する)で表されるフェニル
の具体例としては、4−インダニル、5−インダニル、
3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−メチレン
ジオキシフェニル等が挙げられる。なかでも、5−イン
ダニル、3,4−メチレンジオキシフェニルが好まし
い。
【0033】Aとしては、低級アルキル、水酸基、低級
アルコキシ、低級アルキルオキシカルボニル、置換され
ていてもよいアミノ、ハロゲン、ハロゲンで置換された
低級アルキル、低級アルキルチオおよび低級アシルオキ
シからなる群より選ばれる1または2個の置換基で置換
されたフェニル、式(IV)
【0034】
【化8】
【0035】(式中、R1とR2はそれらが結合する炭素
原子と一緒になって環を形成する)で表されるフェニル
およびフェニルが好ましい。
【0036】1−メチルカルバペネム化合物(I)は、
医薬として許容される塩を形成してもよい。1−メチル
カルバペネム化合物(I)が塩基性の基を有する場合、
酸付加塩を形成することができ、かかる酸付加塩を形成
するための酸としては、医薬上許容される酸であれば特
に制限はない。かかる酸としては、塩酸、硫酸、リン酸
および硝酸などの無機酸、シュウ酸、フマル酸、マレイ
ン酸、クエン酸、酒石酸およびメタンスルホン酸などの
有機酸などが挙げられる。
【0037】一般式(I)で表される1−メチルカルバ
ペネム化合物のうち好適な例としては、(1R,5S,
6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2
−[(4R)−2−オキソ−4−ピロリジニルチオ]−
1−メチル−1−カルバペン−2−エム−3−カルボン
酸5−インダニルエステル、(1R,5S,6S)−6
−[(1R)−1−ヒドロキシエチル]−2−[(4
R)−2−オキソ−4−ピロリジニルチオ]−1−メチ
ル−1−カルバペン−2−エム−3−カルボン酸3,4
−メチレンジオキシフェニルエステル、および(1R,
5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキシエチ
ル]−2−[(4R)−2−オキソ−4−ピロリジニル
チオ]−1−メチル−1−カルバペン−2−エム−3−
カルボン酸フェニルエステルが挙げられる。
【0038】1−メチルカルバペネム化合物(I)また
はその医薬上許容される塩は、以下の製法により製造す
ることができる。
【0039】
【化9】
【0040】(式中、Aは前記と同義である)
【0041】化合物(I)は、反応を阻害しない溶媒
(例えば、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロ
フラン、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、
ベンゼン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキ
シドなど、またはこれらの混合物)中にて、適当な縮合
剤を用いて、化合物(II)を化合物(III)と反応
させることにより得られる。尚、化合物(II)は、特
開平2−49783号公報などに記載のカルボン酸塩を
自体公知の方法にて遊離化し、合成することができる。
化合物(III)の使用量は、化合物(II)1モルに
対して、通常約1〜40モル、好ましくは1〜20モル
である。
【0042】本反応において、触媒として4−(ジメチ
ルアミノ)ピリジン(DMAP)などの塩基を用いるこ
とが好ましい。塩基の使用量は、特に限定はなく、化合
物(II)1モルに対して、通常0.1〜2モル、好ま
しくは0.1〜1モルである。
【0043】本反応において使用される縮合剤としては
特に制限はなく、好ましくはN,N’−ジシクロヘキシ
ルカルボジイミド(DCC)、N−エチル−N’−(3
−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(W
SC・HCl)のようなN,N’−ジ置換カルボジイミ
ド類などの脱水剤が挙げられる。縮合剤の使用量は、特
に限定はなく、化合物(II)1モルに対して、通常1
〜5モル、好ましくは1〜3モルである。
【0044】反応温度は、特に制限はなく、副反応を抑
えるために比較的低温で行うのが好ましく、通常−30
〜40℃、好ましくは0〜30℃で行う。反応時間は、
主に反応温度、反応試薬の種類などにより異なるが、通
常30分〜10数時間である。
【0045】1−メチルカルバペネム化合物(I)は、
必要に応じて常法、例えば、再結晶法、分取用薄層クロ
マトグラフィー、カラムクロマトグラフィーなどによっ
て精製することができる。また、必要に応じてその塩と
して精製することができる。
【0046】本発明の目的化合物(I)の好ましい立体
配置は、式(Ia)
【0047】
【化10】
【0048】(式中、Aは前記と同義である)である。
【0049】1−メチルカルバペネム化合物(I)また
はその医薬上許容される塩は、経口投与することによっ
て、速やかに血中に吸収されて、その代謝物である一般
式(I)においてAが水素原子である1−メチルカルバ
ペネム化合物またはその医薬上許容される塩となり、高
い血中濃度を示す。従って、1−メチルカルバペネム化
合物(I)またはその医薬上許容される塩よりなる抗菌
剤は、経口投与によって上述の通り優れた作用を有する
ものであり、通常は経口剤として投与される。
【0050】当該抗菌剤は、自体公知の手段に従って、
医薬用賦形剤で希釈することにより製造することができ
る。賦形剤としては、例えば、デンプン、乳糖、砂糖、
炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどが使用される。
【0051】当該抗菌剤には、所望によりさらに他の添
加剤を配合してもよく、例えば、結合剤(例えば、デン
プン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、結晶セルロースなど)、
滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクな
ど)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロースカ
ルシウム、タルクなど)などが好ましい添加剤として挙
げられる。諸成分を混合した後、混合物を自体公知の手
段に従い、例えば、カプセル剤、錠剤、細粒剤、顆粒
剤、ドライシロップなどの経口投与用の製剤とすること
ができる。
【0052】1−メチルカルバペネム化合物(I)また
はその医薬上許容される塩の投与量は、投与対象、症
状、その他によって異なるが、例えば化膿性疾患に対し
て、成人に経口投与する場合、1回量1〜4mg/kg
体重程度を、1日1〜4回程度投与する。
【0053】また、当該1−メチルカルバペネム化合物
(I)またはその医薬上許容される塩は、他の抗菌活性
物質、例えば、抗菌剤(例えば、ペニシリン類、アミノ
グリコシド類、セファロスポリン類など)、または細菌
感染による全身的な症状の治療薬(例えば、解熱剤、鎮
痛剤、消炎剤など)と併用してもよい。
【0054】本発明の1−メチルカルバペネム化合物
(I)またはその医薬上許容される塩は、哺乳動物(ヒ
ト、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ハムス
ターなど)に対して、優れた抗菌活性を示し、抗菌剤と
して有用である。即ち、化膿性疾患、呼吸器感染症、胆
道感染症、尿路感染症などの感染症(特に、細菌感染
症)の予防および治療に有用である。
【0055】
【実施例】以下、実施例を示して本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0057】実施例1 (1R,5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキ
シエチル]−2−[(4R)−2−オキソ−4−ピロリ
ジニルチオ]−1−メチル−1−カルバペン−2−エム
−3−カルボン酸5−インダニルエステル (1R,5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキ
シエチル]−2−[(4R)−2−オキソ−4−ピロリ
ジニルチオ]−1−メチル−1−カルバペン−2−エム
−3−カルボン酸1.7g(5.21mmol)をアセ
トニトリル34mlに懸濁し、これに5−インダノール
1.40g(10.43mmol)、DMAP340m
g(2.78mmol)およびDCC1.19g(5.
77mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応
液に酢酸エチル200mlを加え、10%クエン酸水溶
液200ml、5%炭酸水素ナトリウム水溶液200m
l及び飽和塩化ナトリウム水溶液200mlにて順次洗
浄した。洗浄後、硫酸ナトリウムを用いて乾燥した。減
圧下、溶媒を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグ
ラフィーにて精製した。得られた結晶を酢酸エチル12
mlに溶解し、室温にて30分間攪拌した。析出した結
晶を濾取して乾燥後、標題化合物590mg(収率:2
5%)を得た。
【0058】IR ν(Nujol)cm-1:333
5、1790、1771、1717、1682、166
1 H−NMR(DMSO−d6)δppm:1.18(3
H、d、J=5.9Hz)、1.21(3H、d、J=
7.0Hz)、1.90〜2.40(3H、m)、2.
70〜3.10(5H、m)、3.10〜3.25(2
H、m)、3.25〜3.55(1H、m)、3.72
(1H、dd、J=10.8、7.5Hz)、3.90
〜4.20(2H、m)、4.30(1H、dd、J=
9.4、2.3Hz)、5.09(1H、d、J=5.
0Hz)、6.70〜7.40(3H、m)、7.80
(1H、s)
【0059】実施例2 (1R,5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキ
シエチル]−2−[(4R)−2−オキソ−4−ピロリ
ジニルチオ]−1−メチル−1−カルバペン−2−エム
−3−カルボン酸フェニルエステル (1R,5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキ
シエチル]−2−[(4R)−2−オキソ−4−ピロリ
ジニルチオ]−1−メチル−1−カルバペン−2−エム
−3−カルボン酸1.0g(3.06mmol)をアセ
トニトリル20mlに懸濁し、これにフェノール5.7
7g(61.3mmol)、DMAP187mg(1.
53mmol)およびDCC695mg(3.37mm
ol)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応液に酢酸
エチル100mlを加えて不溶物をろ別後、10%クエ
ン酸水溶液100ml、5%炭酸水素ナトリウム水溶液
100ml及び飽和塩化ナトリウム水溶液100mlに
て順次洗浄した。洗浄後、硫酸ナトリウムを用いて乾燥
した。減圧下、溶媒を留去し、得られた残渣をカラムク
ロマトグラフィーにて精製した。得られた結晶を酢酸エ
チル7.5mlに溶解し、室温にて30分間攪拌した。
析出した結晶を濾取して乾燥後、標題化合物390mg
(収率:32%)を得た。
【0060】IR ν(Nujol)cm-1:329
5、1740、17001 H−NMR(DMSO−d6)δppm:1.18(3
H、d、J=5.9Hz)、1.21(3H、d、J=
7.0Hz)、2.18(1H、dd、J=16.9、
4.1Hz)、2.83(1H、dd、J=16.9、
7.7Hz)、3.11(1H、dd、J=10.8、
3.8Hz)、3.20〜3.60(2H、m)、3.
72(1H、dd、J=10.8、7.5Hz)、3.
90〜4.20(2H、m)、4.30(1H、dd、
J=9.4、2.3Hz)、5.07(1H、d、J=
5.0Hz)、7.00〜7.60(5H、m)、7.
79(1H、s)
【0061】実施例3 (1R,5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキ
シエチル]−2−[(4R)−2−オキソ−4−ピロリ
ジニルチオ]−1−メチル−1−カルバペン−2−エム
−3−カルボン酸3,4−メチレンジオキシフェニルエ
ステル (1R,5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキ
シエチル]−2−[(4R)−2−オキソ−4−ピロリ
ジニルチオ]−1−メチル−1−カルバペン−2−エム
−3−カルボン酸1.0g(3.06mmol)をアセ
トニトリル20mlに懸濁し、これにセサモール1.2
7g(9.19mmol)、DMAP187mg(1.
53mmol)およびDCC695mg(3.37mm
ol)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応液に酢酸
エチル100mlを加えて不溶物をろ別後、10%クエ
ン酸水溶液100ml、5%炭酸水素ナトリウム水溶液
100ml及び飽和塩化ナトリウム水溶液100mlに
て順次洗浄した。洗浄後、硫酸ナトリウムを用いて乾燥
した。減圧下、溶媒を留去し、得られた残渣をカラムク
ロマトグラフィーにて精製した。得られた結晶を酢酸エ
チル7mlに溶解し、室温にて1時間攪拌した。析出し
た結晶を濾取して乾燥後、標題化合物330mg(収
率:24%)を得た。
【0062】IR ν(Nujol)cm-1:330
0、1740、16901 H−NMR(DMSO−d6)δppm:1.00〜
1.40(6H、m)、2.17(1H、dd、J=1
6.9、4.1Hz)、2.83(1H、dd、J=1
6.9、7.5Hz)、3.11(1H、dd、J=1
0.5、3.3Hz)、3.20〜3.60(2H、
m)、3.72(1H、dd、J=10.5、7.7H
z)、3.90〜4.20(2H、m)、4.29(1
H、dd、J=10.1、2.2Hz)、5.07(1
H、d、J=5.0Hz)、6.05(2H、s)、
6.50〜7.10(3H、m)、7.79(1H、
s)
【0063】実施例4 (1R,5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキ
シエチル]−2−[(4R)−2−オキソ−4−ピロリ
ジニルチオ]−1−メチル−1−カルバペン−2−エム
−3−カルボン酸フェニルエステル (1R,5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキ
シエチル]−2−[(4R)−2−オキソ−4−ピロリ
ジニルチオ]−1−メチル−1−カルバペン−2−エム
−3−カルボン酸11.4g(34.9mmol)をア
セトニトリル100mlに懸濁し、これにフェノール
9.88g(105mmol)、DMAP2.13g
(17.5mmol)およびN−エチル−N’−(3−
ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WS
C・HCl)13.4g(69.8mmol)を加え、
室温にて0.5時間攪拌した。反応液に酢酸エチル10
00mlを加え、塩酸(pH1)400ml、飽和炭酸
水素ナトリウム水溶液200ml及び飽和塩化ナトリウ
ム水溶液100mlにて順次洗浄した。洗浄後、硫酸ナ
トリウムを用いて乾燥した。減圧下、溶媒を留去し、得
られた残渣をカラムクロマトグラフィーにて精製後、標
題化合物13.0g(収率:92%)を粉末として得
た。このようにして得た標題化合物の粉末65.1gを
ジクロロメタン730mlに60℃で溶解し、10℃で
15時間静置した。析出した結晶をろ取して、乾燥後、
標題化合物の結晶51.2g(収率:79%)を得た。
得られた結晶のIRおよびNMRスペクトルは実施例2
のものと一致した。 融点158℃
【0064】粉末X線回折パターン:銅のκα線(波長
λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末
X線回折パターンを図1に示す。図1において主ピーク
は、面間隔d=8.53、8.01、5.41、4.7
5、3.81、3.67オングストロームである。ここ
で主ピークは面間隔d=4.75オングストロームの強
度を100としたときの相対強度が35以上のピークで
ある。尚、粉末X線回折パターンの縦軸は回折強度をカ
ウント/秒(cps)単位で示し、横軸は回折角度2θ
の値で示す。尚、面間隔dは式2dsinθ=nλにお
いて、n=1として算出することができる。
【0065】次に、本発明化合物の優れた性質を明らか
にするため、以下のようにして経口吸収実験を行った。
【0066】実験例1 一晩絶食したイヌに、実施例4の化合物(1.10mg
/ml)、プロピレングリコール(50%)およびTw
een80(15%)を含む水溶液を、11.0mg/
kgの用量で経口投与し、血漿中の脱エステル化合物
(上記一般式(I)においてAが水素原子である化合
物)の濃度推移をHPLCにより測定した。経口吸収性
を評価するために、投与時から6時間までの血漿中濃度
−時間曲線下面積(AUC0-6)値を求め、脱エステル
化合物を静脈内投与した時の血漿中濃度−時間曲線下面
積(AUC0-inf)値と比較することにより、絶対バイ
オアベイラビリティ(BA、%)を算出した。その結
果、本発明の実施例4の化合物(上記一般式(I)にお
いてAがフェニルである本発明化合物:フェニルエステ
ル)のBA値は53.8%であり、ピバロイルオキシメ
チルエステル(上記一般式(I)においてAがピバロイ
ルオキシメチルである化合物:M. Miyauchi et al., Jo
urnal of Antibiotics, 50巻、429−439頁、1997年、に
化合物番号11として記載された化合物)のBA値4
7.2%に比べて良好であった。
【0067】
【発明の効果】本発明の1−メチルカルバペネム化合物
(I)またはその医薬上許容される塩は、経口投与によ
る消化管吸収性に優れており、かつ生体内で生成する活
性体が幅広い菌種に対して十分な抗菌性を示すものであ
り、感染症(特に、細菌感染症)の予防・治療剤として
極めて有用である。また、本発明の1−メチルカルバペ
ネム化合物(I)またはその医薬上許容される塩は経口
投与に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4で得られた結晶の粉末X線回折パター
ンである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川本 勲 東京都葛飾区立石町6丁目13番3号 Fターム(参考) 4C050 KA18 KB05 KB13 KB16 4C086 AA01 AA02 AA03 CC08 MA01 MA04 MA52 NA14 ZB35

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、Aは置換されていてもよいフェニルを示す)で
    表される1−メチルカルバペネム化合物またはその医薬
    上許容される塩。
  2. 【請求項2】 (1R,5S,6S)−6−[(1R)
    −1−ヒドロキシエチル]−2−[(4R)−2−オキ
    ソ−4−ピロリジニルチオ]−1−メチル−1−カルバ
    ペン−2−エム−3−カルボン酸5−インダニルエステ
    ル、 (1R,5S,6S)−6−[(1R)−1−ヒドロキ
    シエチル]−2−[(4R)−2−オキソ−4−ピロリ
    ジニルチオ]−1−メチル−1−カルバペン−2−エム
    −3−カルボン酸3,4−メチレンジオキシフェニルエ
    ステル、および(1R,5S,6S)−6−[(1R)
    −1−ヒドロキシエチル]−2−[(4R)−2−オキ
    ソ−4−ピロリジニルチオ]−1−メチル−1−カルバ
    ペン−2−エム−3−カルボン酸フェニルエステルから
    なる群より選ばれる請求項1記載の1−メチルカルバペ
    ネム化合物またはその医薬上許容される塩。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の一般式(I)で表される
    1−メチルカルバペネム化合物またはその医薬上許容さ
    れる塩を有効成分として含有する抗菌剤。
  4. 【請求項4】 経口投与用である請求項3記載の抗菌
    剤。
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