JP2003104782A - 窒化アルミニウム接合構造体の製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム接合構造体の製造方法

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JP2003104782A JP2002257589A JP2002257589A JP2003104782A JP 2003104782 A JP2003104782 A JP 2003104782A JP 2002257589 A JP2002257589 A JP 2002257589A JP 2002257589 A JP2002257589 A JP 2002257589A JP 2003104782 A JP2003104782 A JP 2003104782A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】接合部における熱伝導性の低下が殆ど無く、且
つ高い接合強度を有する窒化アルミニウム接合構造体の
製造方法を提供する。 【解決手段】2以上の窒化アルミニウムのグリーン体の
少なくとも一方の接合面に、窒化アルミニウム粉末を主
成分として含有するペーストを塗布し、脱泡処理を行っ
た後、該グリーン体を接合面で密着せしめ、乾燥、脱脂
及び焼成することを特徴とする窒化アルミニウム接合構
造体の製造方法であり、該ペーストの組成は、有機バイ
ンダー等の有機化合物成分を除いた固形分に関して、グ
リーン体と同一組成の固形分を含有する組成、例えば、
窒化アルミニウムに対する焼結助剤の配合割合が同一で
ある組成とすることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接合部における熱
伝導性の低下が殆ど無く、且つ高い接合強度を有する窒
化アルミニウム接合構造体の製造方法である。
【0002】
【従来の技術】窒化アルミニウム焼結体は、高い熱伝導
性及び電気絶縁性を有するため、種々の装置、機器の放
熱部材として使用されている。ところが、上記放熱部材
として使用される窒化アルミニウムの構造体の形状は、
板状、柱状等の単純な形状のみではなく、中空体や入り
入り組んだ面を有する立体等の複雑な形状を要求される
場合がある。
【0003】例えば、図1は、上記中空体の形状をした
放熱部材についての一態様を示す斜視図である。即ち、
図1において、中空体1内には、液供給口2から熱媒体
が供給され、熱交換をした後、液排出口2'より取り出
される。
【0004】上記の図1のように内部が中空の放熱部材
を一体成形品として製造することは困難である。仮に、
一体成形により製造しようとした場合は、先ず、窒化ア
ルミニウム焼結体よりなる外形が同一形状の塊状物を製
造し、その内部を削り出すことによって得る方法が考え
られるが、かかる方法は、生産効率が悪い上に歩留まり
が低く、製造コストが高くなるという問題を有する。
【0005】そこで、複雑な形状の窒化アルミニウム焼
結体よりなる構造体を製造する方法として、図2に示す
ように、一体成形が可能な単純な形状のパーツ1−A、
1−Bをそれぞれ別個に製造し、これらを接合して上記
構造体とする方法が考えられる。
【0006】上記の接合方法として、従来より、種々の
方法が提案されている。例えば、 1.窒化アルミニウム焼結体を鉛ガラス等のガラス材を
用いて接合する方法(特許文献1)、 2.窒化アルミニウム焼結体を、チタニウムを含有する
銀ロウ等のロウ材及びシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等
の樹脂を使用して接合する方法、 3.窒化アルミニウム焼結体の接合面同士を密着させて
加熱し、窒化アルミニウム粒界相成分の拡散により接合
する方法(特許文献2)、 4.接合しようとするセラミックグリーン体の接合面
に、該セラミックグリーン体と同組成の粉末とバインダ
ーを含有するペーストを塗布し、該グリーン体を接合面
で密着せしめて乾燥した後、冷間静水等方加圧プレス処
理に付し、 次いで焼成処理する方法(特許文献3)が
開示されている。
【0007】
【特許文献1】 特開平2−88471号公報
【特許文献2】 特開平2−124778号公報
【特許文献3】 特開平5−254947号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
1.に記載した、窒化アルミニウム焼結体同士の接合材
としてガラス材を用いる方法によって得られる接合構造
体は、かかるガラス材の熱伝導率が窒化アルミニウム焼
結体よりも低いため、該窒化アルミニウム焼結体の重要
な特性の熱伝導率が接合部において損なわれるという問
題を有する。かかる接合部における熱伝導率の低下は、
前記放熱部品への用途においては致命的である。即ち、
前記中空体よりなる放熱部品においては、該中空体内部
の熱媒体と該中空体外部平面に接触する半導体素子等の
固体物質との熱の授受が中空体の壁を介して行われる
が、この場合、中空体外部に接触する固体物質の温度が
上昇すると、該中空体の壁を通じて熱が拡散して内部の
熱媒体と熱交換が行われる。その際、該中空体を構成す
る壁の途中に熱伝導率の低い接合部が存在すると、上記
接合部分において熱の拡散が阻害されるため、放熱部品
の性能が低下するという問題を有する。
【0009】また、上記2.に記載した、窒化アルミニ
ウム焼結体同士の接合材としてロウ材を用いる方法によ
って得られる接合構造体は、該ロウ材の導電性により、
接合部において窒化アルミニウム焼結体の電気絶縁性が
損なわれるばかりでなく、窒化アルミニウムとロウ材の
熱膨張率差によって、耐熱衝撃性が劣る。一方、窒化ア
ルミニウム焼結体同士の接合材として樹脂を用いる方法
によって得られる接合構造体は、熱伝導率が接合部にお
いて損なわれる。また、接合部の強度及び耐熱性が接合
部以外の窒化アルミニウム焼結体部分(以下「母材部
分」)に比較して劣るという問題をも有している。
【0010】更に、上記3.に記載した、拡散による接
合方法は、接合前に窒化アルミニウム焼結体の接合面同
士の密着性を確保するために接合面を高精度で加工した
り、接合のための熱処理等が必要とし、接合部におい
て、満足される熱伝導性、接着強度を確保するまで上記
処理を行うことが困難である。
【0011】更にまた、上記4.に記載した、接合面に
接合されるセラミックグリーン体間に、該グリーン体と
同組成の粉末とバインダーを含有するペーストを介して
プレス処理により加圧した後、焼成する方法によって得
られる接合構造体は、接合部の強度については十分満足
できるが、該接合部における熱伝導性は十分でなく、未
だ改良の余地があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、鋭意研究を重ねた。その結果、2以上の
窒化アルミニウムのグリーン体の少なくとも一方の接合
面に、該グリーン体と同一組成のペーストを塗布し、脱
泡処理を行った後、該グリーン体を接合面で密着せし
め、乾燥、脱脂及び焼成することにより、接合部におけ
る熱伝導率が極めて高い窒化アルミニウム接合構造体を
得ることに成功し、本発明を提案するに至った。
【0013】即ち、本発明は、2以上の窒化アルミニウ
ムのグリーン体の少なくとも一方の接合面に、窒化アル
ミニウムを主成分とする固形分を含有するペーストを塗
布し、脱泡処理を行った後、該グリーン体を接合面で密
着せしめ、乾燥、脱脂及び焼成することを特徴とする窒
化アルミニウム接合構造体の製造方法である。
【0014】尚、本発明において、熱伝導率は、JIS
R 1611(一次元のレーザーフラッシュ法)によっ
て測定した値である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明において、窒化アルミニウ
ム接合構造体の対象となる形状は特に制限されない。例
えば、図1に示すような中空体、図2に示すような入り
込んだ面を有する立体、更には、管状体、長尺体、大型
構造体等が挙げられる。これらの構造体は、窒化アルミ
ニウムの一体成形により製造することが困難であり、本
発明の方法が好適に適用される。これらの窒化アルミニ
ウム接合構造体は、接合部4において接合されてなる。
即ち、図1に示す中空体である窒化アルミニウム接合構
造体1においては、図2に示すように1−A及び1−B
の2つの部材を接合して構成され、図3に示す入り込ん
だ面を有する立体である窒化アルミニウム接合構造体3
は、該立体を2、或いはそれ以上に分割した部材(図4
において、3−A、3−B、及び3−Cの3部材から構
成する態様を示す。)を接合して構成される。
【0016】勿論、一体成形が可能な構造体に対しても
本発明を適用することは、何ら制限されない。
【0017】本発明の方法に用いる窒化アルミニウムグ
リーン体は、目的とする窒化アルミニウム接合構造体を
構成するためのパーツ毎に成形される。例えば、図1の
窒化アルミニウム接合構造体を得る場合は、図2に示す
ような、1−A、1−Bの形状のパーツにそれぞれ成形
され、また、図3の窒化アルミニウム接合構造体を得る
場合は、図4に示すような、3−A、3−Bおよび3−
Cの形状のパーツにそれぞれ成形される。
【0018】また、図には示されていないが、長尺体を
得る場合は、グリーン体よりなる短いパーツを複数本成
形し、これを後記の方法により接合して長尺化すればよ
い。また、大型の成形体を得る場合は、一体成形が容易
な大きさのパーツをそれぞれ別個に製造し、これらを後
記の方法により接合して大型化すればよい。
【0019】上記グリーン体の組成は、窒化アルミニウ
ム粉末及び有機バインダーよりなり、必要に応じて焼結
助剤、可塑剤等を配合した組成が一般に採用される。上
記有機バインダーとしては、ポリビニルブチラール、ポ
リメチルメタクリレート、カルボキシメチルセルロー
ス、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、
ポリエチレンオキサイド、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ア
クリル樹脂、エチルセルロース、ワックス類等の公知の
ものが挙げられる。また、焼結助剤としては、酸化マグ
ネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム等のア
ルカリ土類金属化合物、酸化イットリウム、酸化ランタ
ン、酸化エルビウム、酸化イッテルビウム、酸化ホルミ
ウム、酸化ジスプロシウム、酸化ガドリニウム等の希土
類元素化合物、アルミン酸カルシウム等の複合酸化物の
一種又は二種以上が一般に使用される。更に、可塑剤と
しては、フタール酸系、グリコール系等の可塑剤が挙げ
られる。
【0020】上記グリーン体中における有機バインダー
の配合割合は、グリーン体の強度を維持するに十分な量
であればよいが、後の接合の際にグリーン体の接合面に
塗布される、窒化アルミニウム粉末を主成分として含有
するペースト中のビヒクルがグリーン体に吸収されるこ
とによる乾燥を抑制し、脱泡処理の時間を確保するため
に、少なくとも1重量%以上、望ましくは4重量%以上
含有されることが好ましく、かかる範囲内で前記成形方
法に応じてその配合割合を適宜選択すればよい。但し、
脱脂時の残存炭素の影響を避けるために該有機バインダ
ーの割合は20重量%以下、特に6重量%以下とするこ
とが望ましい。
【0021】また、上記グリーン体中への焼結助剤の配
合割合は、0〜10重量%、特に、2〜7重量%が好ま
しい。可塑剤は、前記有機バインダーに対して0〜80
重量%、特に、10〜50重量%が適当である。
【0022】また、上記グリーン体の成形方法は特に制
限されず、公知の成形方法が採用される。例えば、成形
方法としては、油圧プレス成形、冷間静水圧等方加圧成
形、押し出し成形、射出成形及び鋳込み成形等、公知の
成形方法が採用される。
【0023】かかる成形方法において、使用される成形
材料の形態は、前記組成にビヒクルを添加して湿潤化し
た粉体の形態、前記組成にビヒクルを添加してペースト
状、或いは粘土状に調製された形態、ビヒクルを使用し
ない単なる粉体混合物としての形態等が挙げられ、上記
成形方法に応じて好適な形態を選択して使用すればよ
い。上記ビヒクルとしては、窒化アルミニウムと反応せ
ず、且つ蒸発し易い有機溶剤が好適に使用される。一般
に、沸点が150℃未満、好ましくは120℃以下、特
に、40〜120℃のものが好適である。上記ビヒクル
を具体的に例示すれば、トルエン、エチルアルコール、
イソプロピルアルコール等が挙げられる。
【0024】本発明の窒化アルミニウム接合構造体の製
造方法において、窒化アルミニウムのグリーン体の接合
面に塗布されるペーストの組成は、窒化アルミニウム粉
末を主成分として含有し、これにビヒクルを添加してペ
ースト状としたものが特に制限なく使用されるが、有機
バインダー等の有機化合物成分を除いた固形分に関し
て、グリーン体と同一組成の固形分を含有する組成、例
えば、窒化アルミニウムに対する焼結助剤の配合割合が
同一である組成とすることが好ましい。
【0025】上記ペーストを構成するビヒクルとして
は、窒化アルミニウムと反応しない有機溶剤が一般に使
用される。特に好ましくは、後記の脱泡処理において、
脱泡のための放置時間内にビヒクルが乾燥しないよう
に、室温での蒸気圧が低く乾燥し難いもの、一般に、沸
点が150℃以上、好ましくは、180℃以上、特に1
80〜300℃のものが好適である。上記ビヒクルを具
体的に例示すれば、テルピネオール、n−ブチルカルビ
トールアセテート等が挙げられる。
【0026】該ペーストの固形分濃度は、グリーン体へ
のペーストの塗布方法によって一概に規定できないが、
40〜85重量%程度が好ましい。また、上記固形分濃
度において、ペーストの好適な粘度は、10000〜1
50000センチポイズ、特に、20000〜5000
0センチポイズである。即ち、該粘度が10000セン
チポイズ未満の場合、一回の塗布では接合面への塗布厚
みを十分確保することが困難となる傾向がある。また、
ペーストの粘度が150000センチポイズを越える
と、後記の脱泡処理において、脱泡に長時間を要した
り、場合によっては脱泡が不完全となる傾向がある。
【0027】また、本発明において接合面に塗布される
ペーストは、後記の脱泡処理を効率よく行い、得られる
窒化アルミニウム接合構造体の接合部における欠陥を低
減するため、塗布前にも脱泡処理を行うことが好まし
い。
【0028】本発明の窒化アルミニウム接合構造体の製
造方法では、グリーン体の接合面に上記ペーストを塗布
する操作が行われる。かかる接合面にペーストを塗布す
る態様は、少なくとも一方の接合面にペーストを塗布す
ればよいが、接合する両方の面に塗布する方がより望ま
しい。
【0029】グリーン体へのペーストの塗布方法として
は、刷毛塗り法、ローラー塗り法、浸漬法、噴霧法、印
刷法、スピンコート法等の公知の方法によって行える。
望ましくは、均一な塗布厚みが得られるローラー塗り法
及び浸漬法が好ましい。更に望ましくは、印刷法による
塗布方法を採用することがペーストの厚みを均一にする
ためにより好ましい。
【0030】上記グリーン体表面に塗布するペーストの
厚みは特に制限されないが、塗布後1分間以上、好まし
くは、3分間以上湿潤状態を維持し得る厚みとすること
が、後記の脱泡処理において、該ペースト中の気泡の除
去及び及び表面の平滑化を図ることが出来、接合部を介
して測定される熱伝導率が、母材部分の熱伝導率の95
%以上の窒化アルミニウム接合構造体を再現性良く得る
ために好ましい。
【0031】かかる厚みは、ペーストを構成するビヒク
ルの沸点により一概に限定することができないが、一般
には、20〜500μm、好ましくは50〜300μm
である。即ち、塗布されたペーストの乾燥は、ビヒクル
の蒸発による乾燥よりも、ビヒクルのグリーン体への吸
収による乾燥が支配的である。よって、塗布されたペー
スト表面の乾燥を抑制するためには、ペーストの厚みを
ある程度厚くする必要がある。
【0032】本発明の製造方法において、脱泡処理は、
グリーンシート表面に塗布したペースト中に含まれる気
泡を除去する方法が特に制限なく採用される。一般に
は、常圧の場合、ペーストを塗布後、2分間以上、好ま
しくは3分間以上、更に好ましくは5分間以上静置する
ことが好ましい。
【0033】尚、減圧下で静置する場合は、上記時間を
短縮することができる。上記脱泡を減圧下に行う場合、
圧力は5×10〜10Paの減圧で行うことが好適
である。
【0034】また、脱泡処理における温度は、室温付近
の温度が一般に採用されるが、0〜50℃、好ましく
は、10〜25℃の範囲が適当である。
【0035】上記脱泡処理を行った後、グリーン体に塗
布されたペーストが乾燥する前、即ち、ペーストにより
グリーン体表面が湿潤している状態で、グリーン体の各
々の接合面を密着させる。かかる密着の圧力は、グリー
ン体が破損しない範囲が採用される。一般には、10〜
1000g/cm、特に、15〜200g/cm
適当である。
【0036】次に、接合面を密着したグリーン体は、乾
燥、脱脂、焼成の操作を順次実施される。
【0037】上記乾燥、脱脂、焼成の条件は公知の条件
が特に制限なく採用される。
【0038】例えば、乾燥は、室温から使用したビヒク
ルの沸点未満の温度範囲で実施することが好ましい。
【0039】また、脱脂は、一般に、窒素等の不活性雰
囲気中または空気中で行うことが望ましく、その際の脱
脂温度は上記の雰囲気に応じて300〜1000℃の範
囲より選択して実施すればよい。
【0040】更に、焼結は、窒素等の非酸化雰囲気中、
1700〜1950℃の範囲より選ばれた任意の温度で
実施するのが一般的である。
【0041】このようにして作成した窒化アルミニウム
構造体は、母材部分に比較してほとんど変わらない熱伝
導率及び強度を有する接合部を有している。
【0042】以上の方法によって製造された本発明の窒
化アルミニウム接合構造体の接合部の界面は、走査型顕
微鏡によって観察した結果、接合界面は完全に消失し判
別出来ない程度に均質化されている。
【0043】上記の結果は、グリーン体の構成粉末と同
一組成の構成紛末と有機バインダーを含有するペースト
をグリーン体表面に塗布したとき、ペーストがグリーン
体表面の微細な凹凸部を満たし、さらにはグリーン体表
面より内部に浸透することによりペーストとグリーン体
との接合界面が消失し、あたかも一体成形されたかのよ
うになるものと推定している。
【0044】また、接合部を形成するペーストの脱泡処
理を行うことにより接合部の欠陥をなくすことが出来、
高熱伝導性及び高強度の接合部を有する窒化アルミニウ
ム構造体を得ることが出来る。
【0045】
【発明の効果】以上の説明より理解されるように、本発
明の窒化アルミニウム接合構造体は、母材の窒化アルミ
ニウム焼結体に対して、接合部における熱伝導性の低下
が極めて少なく、しかも、高い接合強度を有するもので
ある。また、該窒化アルミニウム接合構造体は、前記し
た方法を採用することにより、極めて簡便に製造するこ
とが可能である。
【0046】
【実施例】以下、本発明を具体的に説明するために実施
例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0047】なお、実施例において、窒化アルミニウム
焼結体の熱伝導率の測定は一次元のレーザーフラッシュ
法を用い、LF/TCM FA8510B(理学電気株
式会社)により行った。また、3点曲げ強さの測定は、
JIS R1601に従って行った。
【0048】実施例1 図1に示す構造の窒化アルミニウム接合構造体を以下の
方法によって製造した。
【0049】窒化アルミニウム粉末((株)トクヤマ
製、Hグレード)100重量部、焼結助剤として酸化イ
ットリウム微粉末5重量部及び有機バインダーとしてア
クリル酸メチルエステル4重量部より成る組成物を成形
型に充填し、圧力1000kg/cm2でプレス成形す
ることにより、図2に示すようなシャーレ状のグリーン
体を2個成形した。次いで、該グリーン体の側面にパイ
プ取り付け用の孔部を加工して設けた。
【0050】一方、ペーストは、窒化アルミニウム10
0重量部、焼結助剤として酸化イットリウム微粉末5重
量部、有機バインダーとしてエチルセルロース(グレー
ド4センチポイズ)3重量部及びビヒクルとしてテルピ
ネオール50重量部を混合して調製した。得られたペー
ストの粘度は、20000センチポイズであった。
【0051】上記方法により得られたペーストを80メ
ッシュのスクリーンを用いて、前記グリーン体のそれぞ
れの接合面に約70μmの厚さで印刷した。
【0052】ペースト印刷後、9.33×10Paの
減圧下に2分間静置して脱泡処理を行うことにより、印
刷されたペースト中の気泡の除去及びペースト表面の平
滑化を図った。その後に、30g/cmの圧力でグリ
ーン体の接合面を密着させた。
【0053】上記の密着せしめたグリーン体を一昼夜室
温で乾燥し、大気中600℃の条件で脱脂し、窒素雰囲
気中1830℃の条件で焼成して窒化アルミニウム接合
構造体を得た。
【0054】得られた窒化アルミニウム接合構造体の熱
伝導率の測定は一次元法で行った。測定用のサンプルの
大きさは、φ10×t4mmであり、このサンプルは、
上記方法により得られた窒化アルミニウム接合構造体か
ら接合部を含み、且つ該接合部がサンプルの厚みの中央
となるように切り出した。
【0055】また、該接合部を含まない母材部分よりな
る同サイズのサンプルも作成して、熱伝導率を測定し
た。また、接合部の曲げ強度の測定は、接合部が中央に
来るようにサンプルを作成し、3点曲げ法で行った。そ
の結果を表1に示した。
【0056】接合部の熱伝導率は母材部分の100%、
曲げ強さは母材部分の99%であった。
【0057】比較例1 実施例1において、グリーン体の接合面にペーストを印
刷後、脱気処理を行うことなく、直ちに2個のグリーン
体のそれぞれの接合面を、30g/cmの圧力で密着
させた。
【0058】以下、実施例1と同様な方法により、乾
燥、脱脂、及び焼成して窒化アルミニウム接合構造体を
得た。
【0059】得られた窒化アルミニウム接合構造体につ
いて、実施例1と同様にして、熱伝導率、曲げ強度の測
定を行った。その結果を表1に示した。
【0060】接合部の熱伝導率は母材部分の90%、曲
げ強さは母材部分の47%であった。
【0061】実施例2 実施例1において、グリーン体の接合面にペーストを塗
布後、脱泡処理の時間を3分間に代え、且つ減圧を行わ
ずに常圧で行った以外は、同様にして窒化アルミニウム
接合構造体を得た。
【0062】得られた窒化アルミニウム接合構造体につ
いて、実施例1と同様にして接合部の熱伝導率、曲げ強
さを測定した。その結果を表1に示した。
【0063】接合部の熱伝導率は母材部分と同等、曲げ
強さは母材部分の88%であった。
【0064】実施例3 実施例1において、グリーン体の接合面にペーストを塗
布後、脱泡処理の時間を7分間に代え、且つ減圧を行わ
ずに常圧で行った以外は、同様にして窒化アルミニウム
接合構造体を得た。
【0065】得られた窒化アルミニウム接合構造体につ
いて、実施例1と同様にして接合部の熱伝導率、曲げ強
さを測定した。その結果を表1に示した。
【0066】接合部の熱伝導率は母材部分と同等、曲げ
強さは母材部分の96%であった。
【0067】実施例4 実施例1のグリーン体と同組成の50×40×15mm
のグリーン体2個を、実施例1の方法と同様にして成形
した。比較例1と同様に、該グリーン体の50×15m
mの面を接合面とし、それぞれの接合面に実施例1と同
様なペーストを印刷した。
【0068】ペーストを印刷後、減圧を行わずに常圧で
3分間静置することにより脱泡処理を行い、印刷された
ペースト中の気泡の除去及びペースト表面の平滑化を図
った。その後、2個のグリーン体の各々の接合面同士
を、30g/cmの圧力で密着させた。
【0069】上記の密着せしめたグリーン体を一昼夜室
温で乾燥後、冷間静水圧等方加圧(1000Kgf/c
、60秒保持)に付した。
【0070】上記処理により密着せしめたグリーン体を
実施例1と同様の条件で脱脂及び焼結して窒化アルミニ
ウム接合焼結体を得た。
【0071】得られた窒化アルミニウム接合焼結体につ
いて、実施例1と同様にして接合部の熱伝導率、曲げ強
さを測定した。その結果を表1に併せて示した。
【0072】接合部の熱伝導率は母材部分と同等であ
り、また、曲げ強度は母材部分の99%であった。
【0073】比較例2 実施例4において、グリーン体のそれぞれの接合面にペ
ーストを印刷後、脱気処理を行うことなく、直ちに2個
のグリーン体の各々の所定の面同士を、30g/cm2
の圧力で密着させた。
【0074】以下、実施例4と同様な方法により、乾
燥、冷間静水圧等方加圧、脱脂、及び焼成して窒化アル
ミニウム接合構造体を得た。
【0075】得られた窒化アルミニウム接合構造体につ
いて、実施例1と同様にして、熱伝導率、曲げ強度の測
定を行った。その結果を表1に示した。
【0076】接合部の熱伝導率は母材部分の91%、曲
げ強度は母材部分の97%であった。
【0077】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が好適に適用される接合構造体の代表的
な態様を示す斜視図
【図2】図2の接合構造体の接合前の状態を示す斜視図
【図3】本発明が好適に適用される接合構造体の代表的
な態様を示す斜視図
【図4】図3の接合構造体の接合前の状態を示す斜視図
【符号の説明】
1 中空体よりなる接合構造体 1−A、1−B 接合構造体1のパーツ 2 液供給口 2'液排出口 3 入り組んだ面を有する立体よりなる接合構造体 3−A、3−B、3−C 接合構造体3のパーツ 4 接合部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2以上の窒化アルミニウムのグリーン体の
    少なくとも一方の接合面に、窒化アルミニウム粉末を主
    成分として含有するペーストを塗布し、脱泡処理を行っ
    た後、該グリーン体を接合面で密着せしめ、乾燥、脱脂
    及び焼成することを特徴とする窒化アルミニウム接合構
    造体の製造方法。
  2. 【請求項2】ペーストを構成するビヒクルの沸点が15
    0℃以上である請求項1記載の窒化アルミニウム接合構
    造体の製造方法。
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