JP2003104357A

JP2003104357A - 樹脂製箱

Info

Publication number: JP2003104357A
Application number: JP2001294793A
Authority: JP
Inventors: Seiji Terajima; 聖二寺嶋; Takeshi Minaba; 健皆葉; Koji Yamatsuta; 浩治山蔦; Yoshinori Omura; 吉典大村
Original assignee: Sumika Plastech Co Ltd
Current assignee: Sumika Plastech Co Ltd
Priority date: 2001-09-26
Filing date: 2001-09-26
Publication date: 2003-04-09

Abstract

(57)【要約】【課題】施蓋を確実に行ない得る樹脂製箱を提供す
る。【解決手段】樹脂シート２は、発泡倍率が１．５〜９
倍の発泡層からなる単層樹脂シート、または少なくとも
一層の発泡倍率が１．５〜９倍の発泡層と少なくとも一
層の非発泡層とを含む多層樹脂シートである。相対向す
る２組の蓋部８・８・８・８の内、少なくとも一組の各
蓋部８・８の折り曲げ部３・３には、スリット１６・１
６または複数の貫通孔が部分的に形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、野菜、魚
介類などに代表される生鮮食料品の輸送に使用される樹
脂製箱に関するものであり、特に、繰り返し使用可能な
通い箱に適する樹脂製箱に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、各種物品の輸送のための容器とし
て、紙段ボール箱や、プラクチック段ボール箱に代表さ
れる樹脂製箱が使用されてきた。

【０００３】しかし、紙段ボール製の箱は、紙でできて
いることから水気に弱いため繰り返し使用に耐え難く、
特に、水洗いをすることができないため、再利用の回数
にも限度がある。また、紙粉が内容物に混入するという
問題もある。

【０００４】そこで、紙段ボール箱の代替品として、特
開平８−１６４９３３号公報および特開２０００−７９
９４０号公報には、樹脂シートを折り曲げて形成した樹
脂製箱が開示されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の樹脂シートを折り曲げて形成した樹脂製箱では、折
り曲げ部における反発力が強いために、箱を組み立てる
際の作業効率がよくないことに加えて、蓋部が立ち上が
るために十分満足に蓋をすることができないという問題
がある。

【０００６】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであって、その目的は、施蓋を確実に行ない得る
樹脂製箱を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂シートに
よって構成された箱において、熱可塑性樹脂シートに、
以下の構成を有することによって、箱の組み立て時の作
業効率および蓋の立ち上がりが改善されることを見出
し、本発明を完成した。

【０００８】すなわち、本発明の樹脂製箱は、上記課題
を解決するために、開閉自在の蓋部および底部がそれぞ
れ折り曲げ部を介してつながっている側面部を４面隣接
して構成された熱可塑性樹脂シートを折り曲げて直方体
に形成した樹脂製箱において、上記熱可塑性樹脂シート
は、発泡倍率が１．５〜９倍の発泡層からなる単層樹脂
シート、または少なくとも一層の発泡倍率が１．５〜９
倍の発泡層と少なくとも一層の非発泡層とを含む多層樹
脂シートである一方、上記相対向する２組の蓋部の内、
少なくとも一組の各蓋部の折り曲げ部には、スリットま
たは複数の貫通孔が部分的に形成されていることを特徴
としている。なお、発泡層とは発泡倍率１．５以上の層
を意味する一方、非発泡層は、発泡倍率１の完全非発泡
のみならず、発泡倍率１．５未満の微発泡体も含むもの
とする。

【０００９】上記発明によれば、熱可塑性樹脂シート
は、発泡倍率が１．５〜９倍の発泡層からなる単層樹脂
シート、または少なくとも一層の発泡倍率が１．５〜９
倍の発泡層と少なくとも一層の非発泡層とを含む多層樹
脂シートである。

【００１０】これによって、少なくとも一層は発泡層か
らなっているので、加工後の端面が鋭利な形状になるこ
とがなく、安全であるだけでなく、端面からの異物の侵
入も起こらず、極めて衛生的である。すなわち、段ボー
ル形態の熱可塑性樹脂シートでは、端面からの異物の侵
入が起こるが、発泡層にて厚みを持たした熱可塑性樹脂
シートとすることによって、端面からの異物の侵入は回
避される。

【００１１】また、特に、少なくとも一層の非発泡層を
積層した多層樹脂シートでは、非発泡層は発泡層に比べ
て高強度であることから、軽量性等と強度とが両立する
ので好ましい。さらに、多層樹脂シートでは、例えば、
発泡倍率の異なる複数の発泡層を積層することによっ
て、軽量性および耐衝撃性を高めることができる点で好
ましい。

【００１２】一方、熱可塑性樹脂シートの蓋部を折り曲
げた場合、折り曲げ部の表面の引張り応力が大きいの
で、蓋部が立ち上がる傾向がある。

【００１３】しかし、本発明では、相対向する２組の蓋
部の内、少なくとも一組の各蓋部の折り曲げ部には、ス
リットまたは複数の貫通孔が部分的に形成されている。
したがって、折り曲げ部に部分的に形成されたスリット
または複数の貫通孔によって、折り曲げ部の全体長さに
対する表面の引張り応力が低減される。この結果、蓋部
の立ち上がりが抑えられる。

【００１４】したがって、施蓋を確実に行ない得る樹脂
製箱を提供することができる。なお、これによって、ひ
いては、収容物を収容した状態の樹脂製箱の積み重ねも
容易に行なうことが可能となる。

【００１５】また、本発明の樹脂製箱は、上記記載の樹
脂製箱において、一つの折り曲げ部には、平行な２本以
上の薄肉部が形成されていることを特徴としている。

【００１６】上記発明によれば、一つの折り曲げ部には
平行な２本以上の薄肉部が長手方向に形成されているの
で、１本の薄肉部が形成された折り曲げ部よりも折り曲
げ部における引張り応力が小さくなる。このため、蓋部
の立ち上がりを抑えることができる。

【００１７】また、本発明の樹脂製箱は、上記記載の樹
脂製箱において、薄肉部の長さが折り曲げ部の長さより
も短いことを特徴としている。

【００１８】上記発明によれば、薄肉部の長さが折り曲
げ部の長さよりも短いので、折り曲げ部の全てを薄肉部
にした場合よりも、折り曲げの耐久性が向上し、容易に
折り曲げ部にて引裂破断されるということがない。

【００１９】また、本発明の樹脂製箱は、上記記載の樹
脂製箱において、薄肉部が外側になるように形成されて
いることを特徴としている。

【００２０】上記発明によれば、薄肉部が外側になるよ
うに形成されているので、折り曲げ部における外側表面
に作用する張力が低減される。特に、２本以上の薄肉部
が外側表面に形成されている場合には、１本の薄肉部が
形成されているよりも、繰り返しの折り曲げに対して耐
久性に優れたものとなる。すなわち、１本の薄肉部を繰
り返し折り曲げると、局所部分の損傷が大きく破損し易
いが、２本以上の薄肉部が外側表面に形成されている場
合には、折り曲げが湾曲状に行なわれるので、折り曲げ
部における損傷が１本の薄肉部に対して小さい。したが
って、繰り返しの折り曲げによる破損を防止することが
でき、通い箱として使用するのに好ましい樹脂製箱を提
供することができる。

【００２１】また、本発明の樹脂製箱は、上記記載の樹
脂製箱において、折り曲げ部における２本以上の薄肉部
は、薄肉部の溝幅の和がシート厚さの１．４〜１．７倍
となるように形成されていることを特徴としている。な
お、溝幅とは溝の表面における最大開口幅をいう。

【００２２】すなわち、折り曲げ部を垂直に折り曲げる
場合には、折り曲げ部の外側表面に作用する張力を低減
すれば、折り曲げ部の反発を低減し、蓋部の立ち上がり
を低減することができる。

【００２３】この点、本発明によれば、折り曲げ部にお
ける２本以上の薄肉部は、薄肉部の溝幅の和がシート厚
さの１．４〜１．７倍となるように形成されている。し
たがって、この値は理論的に、折り曲げ部の外側表面に
作用する張力を低減する値であるので、確実に、折り曲
げ部の外側表面に作用する張力を低減して、折り曲げ部
の反発を低減し、蓋部の立ち上がりを低減することがで
きる。

【００２４】また、本発明の樹脂製箱は、上記記載の樹
脂製箱において、熱可塑性樹脂シートを構成する樹脂が
プロピレン系樹脂であることを特徴としている。

【００２５】上記発明によれば、熱可塑性樹脂シートを
構成する樹脂がプロピレン系樹脂からなっているので、
一体成形性に加えて、熱融着性、耐熱性、耐水性、耐油
性および耐薬品性等の各種性能において優れた樹脂製箱
を提供することができる。

【００２６】

【発明の実施の形態】〔実施の形態１〕本発明の実施の
一形態について図１ないし図８に基づいて説明すれば、
以下の通りである。

【００２７】本実施の形態の箱１は、図２に示すよう
に、折り畳み可能な箱である。上記の箱１は、厚さ２〜
１０ｍｍの樹脂シート２で構成されている。当該箱１
は、連続した１枚の樹脂シート２で構成されていてよ
く、また、適宜の手段で接合された２枚以上の樹脂シー
ト２で構成されていてもよいが、箱１を構成している少
なくとも一枚の樹脂シート２には、少なくとも一つの折
り曲げ部３が存在する。

【００２８】この折り曲げ部３は、例えば、連続した樹
脂シート２から形成された隣接する二面４・４間の辺部
３ａであることができ、あるいは、図３（ａ）（ｂ）に
示すように、一の面４と、該面４と連続しており該面４
・４を他の面４・４の被接合部１２・１２に接合するた
めの接合部５・５との境界となる折り曲げ部３ｂ・３ｂ
であることもできる。

【００２９】上記の箱１では、図４（ａ）（ｂ）（ｃ）
に示すように、樹脂シート２の折り曲げ部３に、最小厚
さが樹脂シート２の一般部６の厚さの１／１０以上、２
／３以下である薄肉部７が形成されている。該薄肉部７
の厚さは、より好ましくは樹脂シート２の一般部６の厚
さの１／５以上、１／２以下である。すなわち、一般部
６の厚さの１／１０未満になると、繰り返しの折り曲げ
に対して剥離による破損が生じ易くなる。一方、一般部
６の厚さの２／３を超えると、後述する折り曲げ部３に
作用する反発力が強くなり過ぎる。なお、該薄肉部７の
溝幅は、樹脂シート２の一般部６の厚さの１／２以上で
あることが好ましい。

【００３０】本実施の形態の箱１は、樹脂シート２の折
り曲げ部３にこのような寸法の薄肉部７が形成されてい
るので、樹脂シート２の折り曲げ部３に作用する反発力
（復元力）が低減され、それゆえ、箱１の組み立てや箱
１内部への荷物の収容を容易に行うことができる。ま
た、樹脂シート２の折り曲げ部３に作用する反発力が低
減されているので、箱１自体に内在する歪みも低減され
ており、そのため、接合部の剥離などによる箱１の破損
が効果的に防止される。

【００３１】上記樹脂シート２の折り曲げ部３における
薄肉部７は、例えば、樹脂シート２を適宜の手段を用い
て加熱圧縮することにより形成することができる。該薄
肉部７は、繰り返し折り曲げや引き裂きに対して特に優
れた耐久性を達成するために、樹脂シート２を延伸しつ
つ形成することが好ましい。具体的には、薄肉部７は、
樹脂の融点よりも５〜４０℃低い温度に加熱した加圧治
具（通常は棒状治具）を樹脂シート２に押し付けて、樹
脂シート２の被加圧部の厚さが加圧前の厚さの１／１０
以上、２／３以下の所望の厚さになるまで加圧すること
により形成することが好ましい。ここで、樹脂シート２
の主成分がポリプロピレンである場合には、治具の好ま
しい温度領域は１２０℃以上、１５０℃以下である。

【００３２】上記の樹脂シート２の薄肉部７近傍におけ
る該薄肉部７の長手方向に垂直な断面の外縁形状は特に
限定されず、例えば図４（ａ）に示すＵ字形、図４
（ｂ）に示すＶ字形、図４（ｃ）に示す一辺開放方形な
どが挙げられるが、通常は、薄肉部７への応力集中を効
果的に防止できるという理由から、Ｕ字形が好ましい。
また、当該薄肉部７を形成した樹脂シート２を１つ以上
貼り合わせることによって形成される箱１においては、
薄肉部７を外側になるように折り曲げるのが、箱１の直
立性が良くなり好ましい。また、薄肉部７の引き裂きに
対する耐久性の観点から、図５に示すように、薄肉部７
の薄肉長さＬ１は、当該薄肉部７が形成されている折り
曲げ部３の折り曲げ長さＬ２よりも短いことが好まし
い。さらにまた、一つの折り曲げ部３には、互いに平行
な２本以上の薄肉部７・７が形成されていることが好ま
しい。この平行な２本以上の薄肉部７・７は、内側に２
本以上であって良いとともに、後述する実施の形態２に
示すように、外側に２本以上であってもよい。

【００３３】上記構成の箱１は、少なくとも１枚の樹脂
シート２に対する折り曲げ部３での折り曲げと接合部５
での接合とを適宜施して製造することができる。樹脂シ
ート２の接合は、タッカー止め、ビス止め、融着、接着
などにより行うことができるが、融着または接着が好ま
しい。融着または接着によれば、接合を点ではなく面で
なすことができ、大きな耐荷重を達成することができ
る。

【００３４】さらには、融着または接着で全面的に接合
した場合には、接合部分から異物が箱１内に入ることが
なく、安全性および衛生性において極めて好ましい。ま
た、大きな接合力が達成可能であることから、融着が最
も好ましい。融着は、樹脂シート２を熱板に接触させる
か熱板の極近傍に接近させて加熱し、加圧融着させる手
法や、超音波融着、振動融着などの手法により行うこと
ができる。超音波融着は、融着部分の近傍にエネルギー
が集中するため融着部分周辺の材料を傷め難いので、特
に好適である。

【００３５】ここで、本実施の形態では、図３（ａ）
（ｂ）に示すように、開閉自在の蓋部８および底部１
０、または蓋部８および底部１１がそれぞれ折り曲げ部
３を介してつながっている側面部９・９を２面ずつ隣接
して構成された熱可塑性の樹脂シート２・２を接合し折
り曲げて直方体に形成することにより、図２に示す箱１
が完成する。

【００３６】ところで、本実施の形態の箱１では、図１
に示すように、相対向する２組の蓋部８・８・８・８の
内、折り曲げたときに外側となる一組の各蓋部８・８の
端面の一部に、他の内側となる一組の各蓋部８・８の折
り曲げ部３に形成された細長孔１４・１４に挿嵌可能な
突き出し片１５・１５をそれぞれ設けることが可能であ
る。

【００３７】この構成にすることによって、４方向から
蓋をしたときに、折り曲げたときに外側となる一組の各
蓋部８・８の端面の一部に設けられた突き出し片１５・
１５を、直角に折り曲げて、他の内側となる一組の各蓋
部８・８の折り曲げ部３・３に形成された細長孔１４・
１４に挿嵌することができる。

【００３８】この結果、この突き出し片１５・１５の細
長孔１４・１４への嵌合によって、各内側の蓋部８・８
と外側の蓋部８・８とが互いに拘束される。すなわち、
各外側の蓋部８・８は突き出し片１５・１５が細長孔１
４・１４に拘束されることによって、その立ち上がりが
抑えられる一方、各内側の蓋部８・８は外側の蓋部８・
８に拘束されることによって、その立ち上がりが抑えら
れる。

【００３９】したがって、施蓋を確実に行ない得る箱１
を提供することができる。なお、これによって、ひいて
は、収容物を収容した状態の箱１の積み重ねも容易に行
なうことが可能となる。

【００４０】一方、上記の突き出し片１５・１５を設け
た箱１において、突き出し片１５・１５を細長孔１４・
１４に嵌挿しただけでは、蓋部８・８の反発力が強い場
合には、突き出し片１５・１５と細長孔１４・１４との
嵌合が外れるおそれがある。

【００４１】そこで、本実施の形態では、突き出し片１
５・１５は、図６に示すように、蓋部８の端面８ａに対
して鋭角θになるように設けることが好ましい。これに
よって、内側の蓋部８・８の反発による立ち上がりによ
り突き出し片１５・１５が上記細長孔１４・１４から抜
け出そうとするときに、細長孔１４・１４の端部１４ａ
が突き出し片１５の鋭角θの端面１５ａに引っ掛かるの
で、突き出し片１５・１５が蓋部８・８の端面８ａに対
して垂直となっている場合に比べると、抜け出し難くな
る。

【００４２】したがって、蓋部８・８の折り曲げ部３・
３における反発力が強い場合であっても、突き出し片１
５・１５を細長孔１４・１４に確実に係止し、施蓋を確
実に行ない得る箱１を提供することができる。

【００４３】なお、突き出し片１５・１５を蓋部８・８
の端面８ａ・８ａに対して鋭角θになるように設けて
も、樹脂シート２には弾力性があるので、突き出し片１
５・１５の細長孔１４・１４への嵌挿は、そのまま突き
出し片１５・１５を細長孔１４・１４へ押し込むことに
よって、容易に行なうことができる。

【００４４】また、本実施の形態の箱１では、図６に示
すように、突き出し片１５の細長孔１４の細長方向の少
なくとも一端部側には、細長孔１４に係止される突出部
１５ｂを形成することが可能である。

【００４５】これによって、突き出し片１５・１５を細
長孔１４・１４に嵌挿したときに、突き出し片１５・１
５はこの突出部１５ｂによって細長孔１４・１４に係止
される。したがって、蓋部８・８の折り曲げ部３・３に
おける反発力が強い場合であっても、突き出し片１５・
１５を細長孔１４・１４に確実に係止し、施蓋をさらに
確実に行ない得る箱１を提供することができる。

【００４６】また、本実施の形態の箱１では、同図に示
すように、突き出し片１５の挿入先端側には面取り１５
ｃ・１５ｃを形成しておくことが可能である。これによ
って、突き出し片１５・１５の細長孔１４・１４への嵌
挿を容易に行なうことができる。

【００４７】さらに、上記の突き出し片１５・１５を設
けた箱１では、図７に示すように、突き出し片１５を、
少なくとも１つの隣接する蓋部８から切り抜いて形成す
ることができる。すなわち、突き出し片１５の外形線
は、隣接する蓋部８の切り抜き線８ｂとなっている。

【００４８】これによって、蓋部８・８および前記底部
１０・１１がそれぞれ折り曲げ部３・３を介してつなが
っている側面部９…を４面隣接して構成された樹脂シー
ト２を無駄なく使用することができるとともに、別途に
突き出し片１５の材料を付与する必要がない。

【００４９】よって、突き出し片１５・１５を形成する
ためのコストの大幅な増大を回避することができる。

【００５０】また、本実施の形態では、図１に示すよう
に、相対向する２組の蓋部８・８・８・８の内、少なく
とも一組の各蓋部８・８の折り曲げ部３・３には、スリ
ット１６・１６が部分的に形成されている。なお、同図
においては、一組の各蓋部８・８の折り曲げ部３・３
に、スリット１６・１６が設けられているが、必ずしも
これに限らず、他方の組の蓋部８・８にもスリット１６
・１６を設けることが可能である。また、スリット１６
は、必ずしも折り曲げ部３の中央に一か所ではなく、折
り曲げ部３に複数箇所設けてもよい。

【００５１】このような、折り曲げ部３・３に部分的に
形成されたスリット１６・１６によって、折り曲げ部３
・３の全体長さに対する表面の引張り応力が低減され
る。この結果、蓋部８・８の立ち上がりが抑えられる。

【００５２】したがって、施蓋を確実に行ない得る箱１
を提供することができる。なお、これによって、ひいて
は収容物を収容した状態の箱１の積み重ねも容易に行な
うことが可能となる。

【００５３】なお、上記においては、折り曲げ部３・３
にはスリット１６・１６が形成されているとしている
が、必ずしもスリット１６・１６に限らず、例えば、ス
リット１６・１６に代えて複数の貫通孔を形成すること
も可能である。この場合、同図に示すスリット１６・１
６の位置に複数の貫通孔を連続してミシン目状に形成す
ることが可能である一方、折り曲げ部３の一端から他端
まで連続するミシン目状の複数の貫通孔であってもよ
い。また、ミシン目よりも粗いピッチでもよい。

【００５４】一方、本実施の形態では、樹脂シート２
は、後述するように、発泡倍率が１．５〜９倍の発泡層
からなる単層樹脂シート、または少なくとも一層の発泡
倍率が１．５〜９倍の発泡層と少なくとも一層の非発泡
層とを含む多層樹脂シートからなっている。

【００５５】すなわち、発泡倍率が１．５倍未満の非発
泡層からなる単層樹脂シート、または全ての層が発泡倍
率１．５倍未満の非発泡層である多層樹脂シートである
場合には、箱に形成した場合に重くなる。また、発泡倍
率が１．５倍未満の非発泡層である場合には、例えば、
加熱融着する場合に、融着する樹脂シート２表面の密度
が大きいため、加熱時間を多く必要とするので、生産性
について好ましくない。一方、発泡倍率が９倍を超える
発泡層からなる単層樹脂シートは剛性が十分ではない。

【００５６】この結果、繰り返しの使用に耐え、隙間を
無くし、ゴミなどの異物の混入を防止し得る箱１を提供
することができる。

【００５７】また、このように、本実施の形態では、少
なくとも一層は発泡層からなっているので、加工後の端
面が鋭利な形状になることがなく、安全であるだけでな
く、端面からの異物の侵入も起こらず、極めて衛生的で
ある。すなわち、段ボール形態の熱可塑性樹脂シートで
は、端面からの異物の侵入が起こるが、発泡層にて厚み
を持たした樹脂シート２とすることによって、端面から
の異物の侵入は回避される。

【００５８】ところで、上記の箱１は、剛性に優れ、か
つ目付量が小さいことが望まれる。この要求を満たすた
めに、本実施の形態の箱１を構成する樹脂シート２の一
般部６における厚さは、２ｍｍ以上、かつ１０ｍｍ以下
である。樹脂シート２がその一般部６において２ｍｍよ
りも薄いと、壁面の剛性は低く、内容物収容状態または
負荷状態における箱形状の保持が困難である。一方、１
０ｍｍよりも厚いと、目付量が過大になるばかりでな
く、容積効率的にも不利である。樹脂シート２の厚さ
は、より好ましくは３ｍｍ以上、５ｍｍ以下である。

【００５９】また、上記樹脂シート２は、後に詳述する
が、例えばプロピレン系樹脂等の熱可塑性樹脂を主成分
とする樹脂からなっており、例えば発泡倍率約３倍の単
一の発泡層のみで構成された単層発泡シートからなって
いる。この単一の発泡層のみからなる樹脂シート２の発
泡倍率は１．５〜９倍が好ましい。すなわち、一部前述
したように、樹脂シート２の発泡倍率が１．５倍未満で
あると、剛性の割に目付量が大きくなる。また、発泡倍
率が９倍を超えると、剛性が小さく、箱形状の保持が難
しいとともに、耐衝撃性能が不足する。

【００６０】また、本実施の形態において、樹脂シート
２としては、単一の発泡層のみで構成された単層発泡シ
ートのみならず、図８（ａ）〜（ｄ）に示すように、二
以上の発泡層で構成された多層発泡シートや、少なくと
も一層の発泡層と少なくとも一層の非発泡層とで構成さ
れた多層発泡シートも好ましく適用することができる。
多層発泡シートが二以上の発泡層を有する場合には、各
発泡層の素材、発泡倍率などは同一であってもよく、ま
た、異なってもよい。

【００６１】上記の樹脂シート２が、発泡層と非発泡層
とを併せ有する発泡シートである箱１は、軽量性と強度
とが両立するので好ましい。具体的には、例えば、非発
泡層と発泡倍率が１．５〜９倍の発泡層とからなる発泡
シートは、軽量かつ高剛性を達成し易いので好ましい。
発泡層と非発泡層の厚さの比率は、所望の軽量性と強度
を勘案して適宜決定することができる。

【００６２】ここで、本実施の形態において、発泡層と
は発泡倍率１．５以上の層を意味し、例えば２〜４０倍
程度をいう。一方、非発泡層は、発泡倍率１の完全非発
泡のみならず、発泡倍率に１．５未満の微発泡体も含む
ものとする。

【００６３】具体的には、例えば、上記図８（ａ）に示
すものは、発泡倍率１．５〜９倍であって厚さ２〜１０
ｍｍの発泡層を、表面および裏面にて膜厚１００〜１０
００μｍからなる発泡倍率１．５未満の非発泡層を挟持
したものからなっている。なお、同図（ａ）において
は、いずれか一方の非発泡層を省略したものでもよい。
また、例えば、図８（ｂ）に示すように、下層から順
に、発泡倍率１．５未満の非発泡層、発泡倍率１．５〜
９倍の発泡層、発泡倍率１．５未満の非発泡層、発泡倍
率２０〜４０倍の発泡層を積層したものであってもよ
い。なお、同図の小円は空隙を表す。さらに、図８
（ｃ）に示すように、下層から順に、発泡倍率１．５未
満の非発泡層、発泡倍率１．５〜９倍の発泡層、発泡倍
率３０倍程度の発泡層を積層したものであってもよい。
一方、図８（ｄ）に示すように、下層から順に、発泡倍
率１．５〜９倍の発泡層、発泡倍率１．５未満の非発泡
層、発泡倍率１．５未満の非発泡層、発泡倍率１．５〜
９倍の発泡層というように、芯材として発泡倍率１．５
未満の非発泡層を用いるものも可能である。

【００６４】前記の単層の発泡シートは、常圧加熱法、
押出発泡法、加圧発泡法、射出発泡法などにより製造す
ることができる。一方、多層発泡シートは、多層押出発
泡法により製造することができ、また、予め製造したそ
れぞれの層を接着や融着などの手段により積層すること
により製造することもできる。

【００６５】また、本実施の形態の箱１を構成する樹脂
シート２の素材は特に限定されないが、プロピレン系樹
脂を主成分とする樹脂が好ましい。これは、プロピレン
系樹脂（特に、ポリプロピレン）が、一体成形性に加え
て、熱融着性、耐熱性、耐水性、耐油性、耐薬品性等の
各種性能において優れているためである。プロピレン系
樹脂は、その特長が著しく損なわない限り、エチレン系
樹脂、エラストマーなどを含有してよい。

【００６６】また、本実施の形態の箱１を構成する樹脂
シート２は、必要に応じて、シリカ、マイカ、タルク等
の無機充填材、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、
超高分子量ポリエチレン繊維等の補強材、熱安定剤、紫
外線吸収剤、着色剤等の各種添加剤が含有してもよい。

【００６７】上記熱安定剤としては、例えば、スミライ
ザーＢＰ１０１（商品名、住友化学工業製）、ウルトラ
ノックス６２６（商品名、住友化学工業製）等が挙げら
れる。また、紫外線吸収剤としては、例えば、スミソー
ブＳ５７７（商品名、住友化学工業製）が挙げられる。

【００６８】さらに、本実施の形態の箱１は、通い箱と
しての使用では、汚れ難いことが望まれる。一般に、樹
脂製の箱は帯電し易く、ごみ等を吸着して汚れ易い。そ
こで、箱１には、帯電防止性能が付与されていることが
好ましい。樹脂シート２ヘの帯電防止性能の付与は、帯
電防止剤の使用により達成することができる。

【００６９】適用できる帯電防止剤としては、例えば、
ステアリルエタノールアミン、ステアリルジエタノール
アミン、ラウリルアミン、ラウリルジエタノールアミン
等のアミン化合物、アマイド化合物、ステアリルジエタ
ノールモノステアレート、グリセリン脂肪酸エステル等
のエステル化合物、第４級アンモニウム化合物、ピリジ
ン誘導体、カルボン酸誘導体等が挙げられる。

【００７０】上記の帯電防止剤は、単一の化合物であっ
てもよく、二種類以上の化合物の混合物でもよい。ま
た、上に例示した低分子型帯電防止剤のみならず、例え
ば、ポリエーテル系樹脂およびポリアミド系樹脂などの
ポリマー型帯電防止剤を使用することもできる。

【００７１】また、上記ポリマー型帯電防止剤の中で
も、下記一般式ＨＯ−［（ＯＣ−Ｒ¹−ＮＨ）_x−（ＯＣ−（Ｒ²Ｏ）
_z−）_y］_n−Ｈ（式中、ｎ、ｘ、ｙおよびｚは、それぞれ独立した整数
であり、Ｒ¹およびＲ²はそれぞれ独立したアルキル
基、環状脂肪族基または芳香族基である）で表されるポ
リエーテルエステルアミド樹脂が好ましい。

【００７２】ところで、箱１が汚れた場合には、その汚
れを拭き取ったり、洗い流すことがある。上に例示した
低分子型帯電防止剤はいずれも水との親和性に優れるた
めに、水洗したとき、これらの帯電防止剤は水とともに
流れてしまい、その結果、箱１の帯電防止性能は失われ
てしまう。そこで、この問題は、上記ポリマー型帯電防
止剤を帯電防止剤として使用することにより解決するこ
とができる。

【００７３】樹脂シート２ヘの具体的な帯電防止性付与
の形態としては、樹脂のシートヘの成形前に予め樹脂に
帯電防止剤を練り込む形態、樹脂シート２表面に帯電防
止剤を塗布する形態、および予め作製した帯電防止性能
を有するフィルムを樹脂シート２の表面に貼着する形態
等が挙げられる。

【００７４】上記練り込みの場合、帯電防止剤は樹脂シ
ート２の全体に配合されていてもよいが、少量の帯電防
止剤で効率的に帯電防止性能を発揮することができるよ
うに、少なくとも２層で構成した樹脂シート２の帯電防
止性を発揮させたい表面を有する層のみに帯電防止剤を
配合しておくことが好ましい。例えば、樹脂シート２の
片面のみに帯電防止性が求められる場合には、樹脂シー
ト２を少なくとも２層で構成し、帯電防止性が求められ
る表面を有する層のみに帯電防止剤を配合することによ
り、効率的に所望の帯電防止性を達成することができ
る。また、樹脂シート２の両面に帯電防止性が求められ
る場合には、少なくとも３層で構成した樹脂シート２の
両最外層に帯電防止剤を配合することにより、効率的に
所望の帯電防止性を達成することができる。

【００７５】このような帯電防止性を有する積層シート
は、例えば共押出成形法により製造することができる。
ポリマー型帯電防止剤を樹脂への練り込みに適用する場
合、その配合量は樹脂の５重量％以上が好ましく、１０
重量％以上、かつ２０重量％以下がより好ましい。５重
量％未満では、十分な帯電防止性を発現し難いためであ
る。

【００７６】このように、本実施の形態の箱１は、耐久
性にも優れ、通い箱として好適に使用することができ
る。

【００７７】また、本実施の形態の箱１では、折り曲げ
部３の反発が少なく、箱１の組み立て時や箱１内へ物品
の収容時の作業性に優れ、しかも、内部歪みに起因する
破損が生じ難い箱１が提供される。

【００７８】〔実施の形態２〕本発明の他の実施の形態
について図９ないし図１１に基づいて説明すれば、以下
の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態
１の図面に示した部材と同一の機能を有する部材につい
ては、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、
前記実施の形態１で述べた各種の特徴点については、本
実施の形態についても組み合わせて適用し得るものとす
る。

【００７９】本実施の形態の箱２０は、図９に示す樹脂
シート２１を２枚接合して形成されるものとなってい
る。すなわち、樹脂シート２１は各蓋部８および底部１
０を含む正面背面構成材２１ａと側面構成材２１ｂと接
合部２２とからなっている。したがって、一枚のシート
で箱２０の直方体の４側面を形成するものではない点
で、製造装置の小型化および金型の簡易化等が図れるも
のとなっている。

【００８０】一方、本実施の形態では、各一つの折り曲
げ部３には、互いに平行な２本の薄肉部７・７が形成さ
れているとともに、この折り曲げ部３においては２本の
薄肉部７・７を外側にして折り曲げるようになってい
る。また、この２本の薄肉部７・７は、いずれも前記実
施の形態１で述べたと同様に、薄肉部７・７の薄肉長さ
Ｌ１は当該薄肉部７・７が形成されている折り曲げ部３
の折り曲げ長さＬ２よりも短くなっている。したがっ
て、薄肉長さＬ１の薄肉部７・７の両端は、薄肉ではな
いものとなっている。これよって、この箱２０が繰り返
し折曲されて使用される場合においても、折り曲げ部３
での破断を防止することができる。なお、本実施の形態
では、薄肉長さＬ１の薄肉部７・７の両端に薄肉ではな
い部分を形成しているが、必ずしもこれに限らず、例え
ば、薄肉部７・７の中央の任意の位置に薄肉ではない部
分を１個または複数個形成することが可能である。

【００８１】また、上記２本の薄肉部７・７は、本実施
の形態では、図１０に示すように、樹脂シート２１の厚
さをｔとしたとき、各薄肉部７・７の外側表面開口長さ
つまり溝幅Ｄの和２Ｄが、１．４ｔ≦２Ｄ≦１．７ｔ …………（式１）を満たすように設定されている。

【００８２】すなわち、樹脂シート２１を折り曲げ部３
にて折り曲げるに際して、外側表面にできるだけ引張り
応力がかからないようにするには、外側表面の長さが内
側表面の長さよりも短いことが理想である。いま、内側
表面の曲率半径をＸとすると、折り曲げ部３における外
側表面の長さと内側表面との長さとの差Δは、 Δ＝２π（Ｘ＋ｔ）／４−２πＸ／４＝πｔ／２＝１．５７ｔとなる。したがって、理想的には、１．５７ｔ≦２Ｄと
するのが好ましいが、実用的には、上述したように、
１．４ｔ≦２Ｄ≦１．７ｔであれば、可撓性のない樹脂
シート２１を折曲する場合において、蓋部８・８の立ち
上がりは小さいことが分かった。また、２Ｄ≦１．７ｔ
としたのは、各薄肉部７・７の溝幅Ｄの和２Ｄが大きす
ぎると、繰り返し使用する場合に、折り曲げ部３での引
裂破断が発生するおそれがあるためである。なお、上記
の薄肉部７・７は、折り曲げ部３である回転角π／４の
間にあることが好ましい。

【００８３】上記のことから、上記折り曲げ部３の薄肉
部７・７は、必ずしも２本に限らず、例えば、図１１
（ａ）に示すように、外側に３本以上の溝を形成するこ
とが可能である。また、図１１（ｂ）に示すように、上
記（式１）の関係を満たして、外側表面に２本の薄肉部
７・７を形成するとともに、内側表面にも例えば１本の
薄肉部７を形成することができる。これによって、箱２
０を組み立てたときの蓋部８・８の立ち上がりがさらに
小さくなる。

【００８４】なお、その他の構成、例えば、蓋部８・８
に関する一組の折り曲げ部３・３には前記スリット１６
・１６等が設けられていること、蓋部８・８に関する折
り曲げ部３・３の薄肉部７・７の長さが折り曲げ部３・
３の長さよりも短いこと、蓋部８・８に関する薄肉部７
・７が外側になるように形成されていること、蓋部８・
８には突き出し片１５・１５が設けられていること、薄
肉部７・７はシート厚さの１／１０以上、２／３以下で
あること、樹脂シート２は、少なくとも一層の発泡倍率
が１．５〜９倍の発泡層と少なくとも一層の非発泡層と
を有する多層樹脂シートであること、少なくとも一層の
発泡倍率が１．５〜９倍の発泡層を有する単層樹脂シー
トまたは多層樹脂シートからなり、その少なくとも最外
層には帯電防止剤が配合されているとすることができる
こと、樹脂がプロピレン系樹脂であること等について
は、実施の形態１と同様であるため、説明を省略する。

【００８５】このように、本実施の形態の箱２０では、
蓋部８・８における一つの折り曲げ部３には、平行な２
本以上の薄肉部７・７が長手方向に形成されているの
で、１本の薄肉部７が形成された折り曲げ部３…よりも
折り曲げ部３…における引張り応力が小さくなる。この
ため、蓋部８・８の立ち上がりを抑えることができる。

【００８６】また、本実施の形態の箱２０は、蓋部８・
８に関する薄肉部７・７の長さが折り曲げ部３・３の長
さよりも短いので、折り曲げ部３・３の全てを薄肉部７
・７にした場合よりも、折り曲げの耐久性が向上し、容
易に折り曲げ部３・３にて切断されるということがな
い。

【００８７】また、本実施の形態の箱２０では、蓋部８
・８に関する薄肉部７・７が外側になるように形成され
ているので、折り曲げ部３・３における外側表面に作用
する張力が低減される。特に、２本以上の薄肉部７・７
が外側表面に形成されている場合には、１本の薄肉部７
が形成されているよりも、繰り返しの折り曲げに対して
耐久性に優れたものとなる。すなわち、１本の薄肉部７
を繰り返し折り曲げると、局所部分の損傷が大きく破損
し易いが、２本以上の薄肉部７・７が外側表面に形成さ
れている場合には、折り曲げが湾曲状に行なわれるの
で、折り曲げ部３・３における損傷が１本の薄肉部７に
対して小さい。したがって、繰り返しの折り曲げによる
破損を防止することができ、通い箱として使用するのに
好ましい箱２０を提供することができる。

【００８８】また、本実施の形態の箱２０では、蓋部８
・８に関する折り曲げ部３・３における２本以上の薄肉
部７・７は、薄肉部７・７の溝幅Ｄの和２Ｄがシート厚
さの１．４〜１．７倍となるように形成されている。

【００８９】したがって、この値は理論的に、折り曲げ
部３の外側表面に作用する張力を低減する値であるの
で、確実に、折り曲げ部３の外側表面に作用する張力を
低減して、折り曲げ部３の反発を低減し、蓋部８・８の
立ち上がりを低減することができる。

【００９０】

【発明の効果】本発明の樹脂製箱は、以上のように、熱
可塑性樹脂シートは、発泡倍率が１．５〜９倍の発泡層
からなる単層樹脂シート、または少なくとも一層の発泡
倍率が１．５〜９倍の発泡層と少なくとも一層の非発泡
層とを含む多層樹脂シートである一方、上記相対向する
２組の蓋部の内、少なくとも一組の各蓋部の折り曲げ部
には、スリットまたは複数の貫通孔が部分的に形成され
ているものである。

【００９１】それゆえ、少なくとも一層は発泡層からな
っているので、加工後の端面が鋭利な形状になることが
なく、安全であるだけでなく、端面からの異物の侵入も
起こらず、極めて衛生的である。すなわち、段ボール形
態の熱可塑性樹脂シートでは、端面からの異物の侵入が
起こるが、発泡層にて厚みを持たした熱可塑性樹脂シー
トとすることによって、端面からの異物の侵入は回避さ
れる。

【００９２】また、特に、少なくとも一層の非発泡層を
積層した多層樹脂シートでは、非発泡層は発泡層に比べ
て高強度であることから、軽量性等と強度とが両立する
ので好ましい。さらに、多層樹脂シートでは、例えば、
発泡倍率の異なる複数の発泡層を積層することによっ
て、軽量性および耐衝撃性を高めることができる点で好
ましい。

【００９３】また、本発明では、相対向する２組の蓋部
の内、少なくとも一組の各蓋部の折り曲げ部には、スリ
ットまたは複数の貫通孔が部分的に形成されている。し
たがって、折り曲げ部に部分的に形成されたスリットま
たは複数の貫通孔によって、折り曲げ部の全体長さに対
する表面の引張り応力が低減される。この結果、蓋部の
立ち上がりが抑えられる。

【００９４】したがって、施蓋を確実に行ない得る樹脂
製箱を提供することができるという効果を奏する。な
お、これによって、ひいては、収容物を収容した状態の
樹脂製箱の積み重ねも容易に行なうことが可能となると
いう効果を奏する。

【００９５】また、本発明の樹脂製箱は、上記記載の樹
脂製箱において、一つの折り曲げ部には、平行な２本以
上の薄肉部が形成されているものである。

【００９６】それゆえ、一つの折り曲げ部には平行な２
本以上の薄肉部が長手方向に形成されているので、１本
の薄肉部が形成された折り曲げ部よりも折り曲げ部にお
ける引張り応力が小さくなる。このため、蓋部の立ち上
がりを抑えることができるという効果を奏する。

【００９７】また、本発明の樹脂製箱は、上記記載の樹
脂製箱において、薄肉部の長さが折り曲げ部の長さより
も短いものである。

【００９８】それゆえ、薄肉部の長さが折り曲げ部の長
さよりも短いので、折り曲げ部の全てを薄肉部にした場
合よりも、折り曲げの耐久性が向上し、容易に折り曲げ
部にて切断されるということがないという効果を奏す
る。

【００９９】また、本発明の樹脂製箱は、上記記載の樹
脂製箱において、薄肉部が外側になるように形成されて
いるものである。

【０１００】それゆえ、薄肉部が外側になるように形成
されているので、折り曲げ部における外側表面に作用す
る張力が低減される。特に、２本以上の薄肉部が外側表
面に形成されている場合には、１本の薄肉部が形成され
ているよりも、繰り返しの折り曲げに対して耐久性に優
れたものとなる。すなわち、１本の薄肉部を繰り返し折
り曲げると、局所部分の損傷が大きく破損し易いが、２
本以上の薄肉部が外側表面に形成されている場合には、
折り曲げが湾曲状に行なわれるので、折り曲げ部におけ
る損傷が１本の薄肉部に対して小さい。したがって、繰
り返しの折り曲げによる破損を防止することができ、通
い箱として使用するのに好ましい樹脂製箱を提供するこ
とができるという効果を奏する。

【０１０１】また、本発明の樹脂製箱は、上記記載の樹
脂製箱において、折り曲げ部における２本以上の薄肉部
は、薄肉部の溝幅の和がシート厚さの１．４〜１．７倍
となるように形成されているものである。

【０１０２】それゆえ、薄肉部の溝幅の和がシート厚さ
の１．４〜１．７倍となるように形成されているという
その値は、理論的に、折り曲げ部の外側表面に作用する
張力を低減する値であるので、折り曲げ部の外側表面に
作用する張力を低減して、折り曲げ部の反発を低減し、
蓋部の立ち上がりを低減することができるという効果を
奏する。

【０１０３】また、本発明の樹脂製箱は、上記記載の樹
脂製箱において、熱可塑性樹脂シートを構成する樹脂が
プロピレン系樹脂であるものである。

【０１０４】それゆえ、熱可塑性樹脂シートを構成する
樹脂がプロピレン系樹脂からなっているので、一体成形
性に加えて、熱融着性、耐熱性、耐水性、耐油性および
耐薬品性等の各種性能において優れた樹脂製箱を提供す
ることができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明における樹脂製箱の実施の一形態を示す
斜視図である。

【図２】基本形の樹脂製箱を組み立てた状態を示す斜視
図である。

【図３】（ａ）（ｂ）は上記樹脂製箱における樹脂シー
トを示す展開図である。

【図４】（ａ）（ｂ）（ｃ）は上記樹脂製箱の折り曲げ
部に形成された各薄肉部の形状を示す断面図である。

【図５】上記樹脂製箱の折り曲げ部に形成された薄肉部
を示す斜視図である。

【図６】上記樹脂製箱の蓋部に形成された突き出し片を
示す断面図である。

【図７】上記樹脂製箱の蓋部に形成された突き出し片を
隣接する蓋部から切り取る状態を示す要部展開図であ
る。

【図８】（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）は上記樹脂製箱の樹
脂シートの構成を示す断面図である。

【図９】本発明における樹脂製箱の他の実施の形態を示
す展開図である。

【図１０】上記樹脂製箱の折り曲げ部の構成を示す端面
図である。

【図１１】（ａ）（ｂ）は上記樹脂製箱の折り曲げ部の
他の構成を示す端面図である。

【符号の説明】

１箱（樹脂製箱）２樹脂シート（熱可塑性樹脂シート）３折り曲げ部５接合部６一般部７薄肉部８蓋部９側面部１０底部１６スリット２０箱（樹脂製箱）２１樹脂シート（熱可塑性樹脂シート）Ｄ溝幅Ｌ１薄肉長さＬ２折り曲げ長さｔシート厚さ θ 鋭角

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ｂ６５Ｄ 85/50 Ｂ６５Ｄ 5/42 Ｚ (72)発明者山蔦浩治大阪府高槻市塚原２丁目10番１号住化プラステック株式会社内 (72)発明者大村吉典大阪府高槻市塚原２丁目10番１号住化プラステック株式会社内Ｆターム(参考） 3E035 AA05 AA11 BA01 BC02 3E060 AA03 AB05 BA08 BC01 BC04 BC06 DA13 EA06 EA12 4F100 AK01A AK01B AK04 AK07 AL09 BA02 DA01 DJ01A GB23 JL01 JL04 YY00A

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】開閉自在の蓋部および底部がそれぞれ折り
曲げ部を介してつながっている側面部を４面隣接して構
成された熱可塑性樹脂シートを折り曲げて直方体に形成
した樹脂製箱において、上記熱可塑性樹脂シートは、発泡倍率が１．５〜９倍の
発泡層からなる単層樹脂シート、または少なくとも一層
の発泡倍率が１．５〜９倍の発泡層と少なくとも一層の
非発泡層とを含む多層樹脂シートである一方、上記相対向する２組の蓋部の内、少なくとも一組の各蓋
部の折り曲げ部には、スリットまたは複数の貫通孔が部
分的に形成されていることを特徴とする樹脂製箱。
【請求項２】一つの折り曲げ部には、平行な２本以上の
薄肉部が形成されていることを特徴とする請求項１記載
の樹脂製箱。
【請求項３】薄肉部の長さが折り曲げ部の長さよりも短
いことを特徴とする請求項２記載の樹脂製箱。
【請求項４】薄肉部が外側になるように形成されている
ことを特徴とする請求項２または３記載の樹脂製箱。
【請求項５】折り曲げ部における２本以上の薄肉部は、
薄肉部の溝幅の和がシート厚さに対して１．４〜１．７
倍の間に収まるように形成されていることを特徴とする
請求項２、３または４記載の樹脂製箱。
【請求項６】熱可塑性樹脂シートを構成する樹脂がプロ
ピレン系樹脂であることを特徴とする請求項１〜５のい
ずれか１項に記載の樹脂製箱。