JP2003100965A - 回路基板の信頼性評価方法及び回路基板 - Google Patents

回路基板の信頼性評価方法及び回路基板

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Yoshitaka Taniguchi
佳孝 谷口
Takeshi Iwamoto
豪 岩元
Yoshihiko Tsujimura
好彦 辻村
Nobuyuki Yoshino
信行 吉野
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】セラミックス基板に発生する最大熱応力を低減
でき、極めて信頼性の高い回路基板とその評価方法を提
供する。 【解決手段】窒化アルミニウム基板又は窒化ケイ素基板
の一方の面に回路、他方の面に放熱板が接合されてな
り、回路及び放熱板がCu製(含むCu合金製)又はA
l製(含むAl合金製)である回路基板の評価方法であ
って、回路の沿面距離(L1)と放熱板の沿面距離(L
2)の絶対差をXとした場合に、回路コーナー部の曲率
半径(R)がX/2以上を有しているかどうかによって
その信頼性を評価することを特徴とする、Xが1mm以
上、L2が0〜5mmである回路基板の信頼性評価方
法。この評価方法によって求められた回路コーナー部の
曲率半径(R)がX/2以上であり、しかもXが1mm
以上、L2が0〜5mmであることを特徴とする回路基
板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パワーモジュール
等に使用される回路基板の信頼性評価方法及び回路基板
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、パワーモジュール等に利用される
半導体装置においては、アルミナ、ベリリア、窒化ケイ
素、窒化アルミニウム等のセラミックス基板の表裏面
に、Cu、Al、それらの金属を成分とする合金等の回
路と放熱板とがそれぞれ形成されてなる回路基板が用い
られている。このような回路基板は、樹脂基板と金属基
板との複合基板ないしは樹脂基板よりも、高絶縁性が安
定して得られることが特長である。
【0003】回路及び放熱板の材質としては、Cu(C
u又はCu合金)、Al(Al又はAl合金)を用いる
のが一般的である。Cuは、熱伝導性や電気伝導性に優
れる反面、セラミックス基板との熱膨張差に起因する熱
応力の発生が避けられないので、長期的な信頼性が不十
分であるのに対し、Alは、熱伝導性や電気伝導性では
ややCuよりも劣るが、熱応力を受けても容易に塑性変
形するので、応力が緩和され、信頼性が飛躍的に向上す
る。したがって、回路及び放熱板の材質については、必
要とされる信頼性及び特性によって適宜選択される。
【0004】このような、セラミックス基板に、ICチ
ップやダイオードなどの素子、及びベース板が半田付け
され、モジュールが作られるが、ヒートサイクルなどの
熱負荷時において、セラミックス基板とベース板との熱
膨張差により、セラミックス基板に熱応力がかかる。こ
の熱応力が大きくなるとセラミックス基板にクラックが
発生し、絶縁破壊に達する。そのため、高い信頼性を必
要とする用途では、熱膨張率の大きな金属ベース板では
なく、Al/SiCに代表されるような、セラミックス
基板と同程度の熱膨張率を有するベース板を使用する場
合がある。しかしながら、このようなベース板は、一般
的な金属ベース板と比較して高価であるため、最近で
は、モジュールのコストダウンを目的に、高信頼性用途
においても、CuやAlといった比較的安価な金属ベー
ス板を使用するようになってきている。ベース板の熱膨
張率が大きくなるにしたがって、セラミックス基板にか
かる熱応力は、増大する方向に向かっている。さらに、
モジュールのコストを抑えるために、Al/SiCやC
uのようなベース板を使用しない構造(ベースレス構
造)を有するセラミックス回路基板も開発されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】熱膨張率の大きな金属
ベース板を使用する場合に、高い信頼性を確保するため
には、セラミックス基板の厚みを厚くすることや、熱応
力のかかるセラミックス基板自体の強度を向上させるな
どの必要がある。しかしながら、セラミックス基板の厚
みを厚くすると熱抵抗が大きくなるというデメリットが
ある。さらに、セラミックス基板の強度を向上させる場
合においても、セラミックス基板の強度と熱伝導率を両
立しなければならず、技術的なハードルが高い。また、
ベース板を使用しないベースレス構造の場合において
は、セラミックス回路基板を冷却装置に固定する領域を
確保するために、回路側の沿面距離を大きく取る場合が
ある。この際には、回路と放熱板の面積差によりセラミ
ックス基板に大きな熱応力を生じる。
【0006】本発明者は、上記に鑑み、セラミックス基
板へのクラック抑制について種々の検討を行った。その
結果、熱応力によってセラミックス基板に生じたクラッ
クは、回路コーナー部の凸部の中央部を起点に発生して
おり、クラックの発生の有無はこの凸部の中央部の曲率
半径(R)の大きさ、及び回路と放熱板との沿面距離の
絶対差に大きく依存していることを見いだした。すなわ
ち、回路基板の回路と放熱板の沿面距離の絶対差に対し
て、回路コーナー部の曲率半径(R)が適正値を有して
いる場合に、熱負荷時にセラミックス基板にかかる熱応
力を低減させ、セラミックス基板の耐クラック性を大き
く向上でき、もって高信頼性回路基板となることを見い
だし、本発明を完成させたものである。
【0007】本発明の目的は、セラミックス基板にかか
る熱応力を低減させ、セラミックス基板へのクラックの
発生を抑制した高信頼性の回路基板を提供することであ
る。また、本発明の他の目的は、回路コーナー部の曲率
半径(R)の大きさと、回路と放熱板の沿面距離の絶対
差との関連を求めることによって、回路基板の信頼性を
容易に評価できる方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、窒
化アルミニウム基板又は窒化ケイ素基板の一方の面に回
路、他方の面に放熱板が接合されてなり、回路及び放熱
板がCu製(含むCu合金製)又はAl製(含むAl合
金製)である回路基板の評価方法であって、回路の沿面
距離(L1)と放熱板の沿面距離(L2)の絶対差をX
とした場合に、回路コーナー部の曲率半径(R)がX/
2以上を有しているかどうかによってその信頼性を評価
することを特徴とする、Xが1mm以上、L2が0〜5
mmである回路基板の評価方法である。また、本発明
は、この評価方法によって求められた回路コーナー部の
曲率半径(R)がX/2以上であり、しかもXが1mm
以上、L2が0〜5mmであることを特徴とする回路基
板である。
【0009】
【発明の実施.の形態】以下、更に詳しく本発明につい
て説明する。
【0010】本発明の根底は、回路と放熱板の沿面距離
の絶対差(X)に対して回路コーナー部の曲率半径
(R)を適性化すると、セラミックス基板にかかる応力
が低減され、高信頼性回路基板となることを見いだした
ことにある。
【0011】従来、熱応力によりセラミックス基板にか
かる応力を低減し、セラミックス基板のクラックを抑制
するため、回路および放熱板端部の形状規定(特開平9
−283703号公報)、回路周囲に溝加工を施す(特開
平8−274423号公報)などの提案があるが、十分
な解決法ではなかった。また、回路及び放熱板のコーナ
ー部(凸部)におけるコーナー入り口、中央部の曲率半
径及び回路の沿面距離を規定する提案(特開平10−2
14915号公報)もある。しかしながら、セラミック
ス基板にかかる熱応力は、回路と放熱板の沿面距離の絶
対差と半田付けされるベース板の特性に影響を受けるの
で、回路と放熱板の沿面距離の絶対差が大きな回路基板
や、熱膨張率の大きな金属ベース板を使用するモジュー
ルにおいては、セラミックス基板にかかる熱応力を十分
に低減できないため、セラミックス基板へのクラックを
十分に抑制することができず、更なる改善が必要となっ
た。
【0012】一方、従来の回路基板においては、セラミ
ックス基板の厚みは0.635mmが標準的であり、回
路の沿面距離(L1)と放熱板の沿面距離(L2)の差
(X)が1mm未満、L2が1mm未満、回路コーナー
部の曲率半径(R)は0.25〜1.0mm程度であっ
た。しかしながら、この曲率半径(R)は、信頼性の観
点にたってその大きさが調整されたものではなく、セラ
ミックス基板の大きさや回路パターンの複雑さによって
自ずと定まったものであった。そのため、最近のコスト
ダウンを目的としたベース板の大型化や、回路基板の熱
抵抗低減を目的としたセラミックス基板の薄板化、回路
及び放熱板の厚板化等の検討、更には部品点数削減を目
的にベース板を使用しないベースレス構造の回路基板の
検討に伴う、セラミックス基板への応力の増加に対して
は、対応できていないのが現状である。したがって、セ
ラミックス基板の設計にあたっては、実際に使用される
モジュールの構成等、特にセラミックス基板にかかる熱
応力を考慮することが肝要となる。
【0013】セラミックス基板にかかる熱応力は、回路
コーナー部において最も大きくなる。とくに、回路基板
をCuやAlのような熱膨張率が大きいベース板に半田
付けして用いる場合には、熱応力が更に増大する。した
がって、回路コーナー部の曲率半径(R)が小さい場合
には、応力が集中し基板破壊に至る。この熱応力を低減
するためには、回路コーナー部の曲率半径(R)を大き
くすることが効果的であるが、あまり大きすぎるとIC
チップ、ダイオード、電極を半田付けする領域や、ワイ
ヤーボンディング領域が確保できなくなるため、必然的
にセラミックス基板のサイズが大きくなり、コスト高の
要因となる。
【0014】さらに、回路コーナー部における応力は、
回路と放熱板の沿面距離の絶対差が大きくなるほど増加
する。したがって、セラミックス基板へのクラックを低
減するためには、回路コーナー部における応力を低減
(分散)させる必要がある。
【0015】本発明において、セラミックス基板として
は、熱伝導率および強度特性に優れた窒化アルミニウム
基板又は窒化ケイ素基板が用いられる。セラミックス基
板の厚みは0.635mmが一般的であるが、特に限定
されるものではなく、熱抵抗を低減する際には、基板の
厚みを薄くし、基板の強度(耐加重)向上または、高電
圧使用においては基板の厚みを厚くする。
【0016】金属板の材質としては、活性金属法とメタ
ライズ法の場合には、Cu、Al、W、Mo等である
が、Cu、Al又はそれらの合金が一般的である。通
常、金属板は、セラミックス基板の一方の面に接合さ
れ、他方の面には金属放熱板が接合される。
【0017】金属回路としてCuを用いる場合、活性金
属法におけるろう材の金属成分は、AgとCuを主成分
とし、溶融時のセラミックス基板との濡れ性を確保する
ために活性金属を副成分とする。この活性金属成分の具
体例をあげれば、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、V及
びこれらを成分とする化合物、合金である。これらの金
属成分の割合、Ag69〜75部(質量部、以下同じ)
とCu25〜31部の合計量100部あたり活性金属3
〜35部である。
【0018】活性金属法又はメタライズ法で使用される
ろう材は、通常、ペーストとして用いられ、それはろう
材の金属成分に有機溶剤及び必要に応じて有機結合剤を
加え、ロール、ニーダ、バンバリミキサー、万能混合
機、らいかい機等で混合することによって調製すること
ができる。有機溶剤としては、メチルセルソルブ、エチ
ルセルソルブ、テレピネオール、イソホロン、トルエン
等、また有機結合剤としては、メチルセルロース、エチ
ルセルロース、ポリメチルメタクリレート等が使用され
る。
【0019】活性金属法又はメタライズ法の場合には、
ろう材ペーストは、スクリーン印刷、ロールコーター
法、刷毛塗り等によってセラミックス基板の表裏両面に
塗布され、次いでその一方の面に金属板が、また他方の
面には金属放熱板が通常は積層される。
【0020】接合時の加熱処理条件は、活性金属法又は
メタライズ法によるユニットの積層体の場合には、1×
10-5Torrの高真空下、温度800〜950℃、
0.1〜1時間である。
【0021】つぎに、金属回路がAl又はAl合金であ
る場合は、Al−Cu系合金、Al−Si系合金、Al
−Si−Mg系、Al−Ge系、Al−Si−Ge系等
の接合材を用いて接合されるが、Al−Cu系合金を使
用することが望ましい。その理由は次のとおりである。
【0022】その1は、Al−Cu系合金は、Al−S
i系、Al−Ge系、あるいはこれらにMgを加えた系
に比べて、高力Al合金や耐熱Al合金として広く普及
しており、箔化も容易であることからコスト的にも有利
であることである。
【0023】その2は、Al−Cu系合金は、SiやG
eに比べてCuがAl中に均一に拡散し易いため、局部
的な溶融が生じたり、余分なろう材が押し出されてハミ
ダシが生じ難く、比較的短時間で安定した接合が可能と
なるからである。
【0024】Al−Cu系合金は、Al、Cuの二成分
合金はもとより、それ以外の成分を含んでいてもよい。
例えば、Al、Cu以外に、Mg、Zn、In、Mn、
Cr、Ti、Bi等の成分を合計で5%程度以下を含ん
でいてもよい。
【0025】また、Al−Cu系合金のCuの割合は、
1〜6%であることが好ましい。1%未満では接合温度
が高くなってAlの融点に近くなってしまい、また6%
超では接合後のろう材の拡散部が特に硬くなって回路基
板の熱履歴に対して不利となる。好ましくは1.5〜5
%である。
【0026】Al−Cu系合金は、箔又は粉末として使
用することができるが、箔が好ましく、特に回路の厚み
に対し1/3〜1/30の厚みであることが好ましい。
1/30未満では十分な接合が難しくなり、また1/3
超では回路が硬くなり回路基板の熱履歴に対して不利と
なる。
【0027】Al−Cu系合金を接合材として用いた場
合の接合温度は、540〜640℃であるが、接合材の
組成によって適正範囲は異なる。Zn、In等の比較的
低融点成分が添加されていたり、CuやMg等の含有量
が比較的多い場合には、600℃以下でも十分に接合で
きる。接合温度が640℃をこえると、接合不良が生じ
易くなるので、好ましくない。
【0028】接合材(ろう材)を用いる場合は、セラミ
ックス基板側、金属板側、更には金属板から形成された
回路パターン側ないしは放熱板パターン側のいずれに配
置してもよい。また、合金箔は、あらかじめ金属板と積
層しても良く、更には回路パターンないしは放熱板パタ
ーンに積層化しておいてもよい。
【0029】本発明の大きな特徴は、回路コーナー部の
曲率半径(R)を回路の沿面距離(L1)と放熱板の沿
面距離(L2)の絶対差との関連で規定して、回路基板
にかかる最大熱応力を低減させたことである。この熱応
力は、回路及び放熱板の沿面距離の絶対差に大きく影響
され、沿面距離の絶対差が大きくなるほど増大する。さ
らに、回路のコーナー部に発生する熱応力は、半田付け
されるベース板の熱膨張率が大きくなると、更に増大す
る。本発明においては、回路の沿面距離(L1)と放熱
板の沿面距離(L2)の絶対差をXとした場合に、Xが
1mm以上、L2が0〜5mmであり、回路コーナー部
の曲率半径(R)をX/2以上とする必要がある。曲率
半径(R)がX/2未満であると、回路コーナー部に発
生する熱応力を低減できず、セラミックス基板へのクラ
ックが発生する。とくに、コーナー中央部における曲率
半径が重要であり、形状は滑らかな曲線であることが望
ましい。Xが1mm未満である場合には、セラミックス
基板にかかる熱応力はそれほど大きくならないため、回
路コーナー部の曲率半径(R)が最低0.25mm以上
であれば、絶縁破壊につながるような大きなクラックは
発生しない。また、L2が5mmをこえると、セラミッ
クス基板の面積が必要以上に大きくなりすぎるため、生
産性及びコスト面で不利である。さらには、L2はL1
よりも小さいことが望ましい。L2がL1よりも大きい
と、回路の面積に対して放熱板の面積が減少するため、
熱抵抗が高くなり、モジュールとしての機能が低下する
恐れがある。
【0030】回路コーナー部の曲率半径(R)を制御す
る方法としては、2つあげられる。その1つは、セラミ
ックス基板に金属板を接合した後、回路形成を行うため
にエッチングを行うが、その際に非エッチング部に、エ
ッチングレジストインクを印刷しマスキングを行う。そ
のマスキング形状の変更によって曲率半径(R)の大き
さを変化させることが可能であるため、曲率半径(R)
を制御できる。その2つは、あらかじめ回路パターンを
打ち抜いた金属回路を接合する場合において、回路パタ
ーンを打ち抜く金型の形状を変更して回路コーナー部の
曲率半径(R)を制御する。
【0031】
【実施例】以下、実施例と比較例をあげて更に具体的に
説明する。
【0032】実施例1〜5 比較例1〜5 70mm×30mmのセラミックス基板の表裏両面に、
銀粉末72部、銅粉末28部、ジルコニウム粉末25
部、テレピネオール15部及び有機結合剤としてエチル
セルロースのトルエン溶液を固形分で1部混合して得ら
れたろう材ペーストを7mg/cm2 (乾燥後)塗布し
乾燥後、70mm×30mmのCu板を表裏両面に積層
した。用いたセラミックス基板の厚み、Cu板の厚みを
表1に示す。この積層体を加圧しながら、高真空中、9
00℃、30分加熱して接合体を製造した。
【0033】得られた接合体のCu板上に紫外線硬化型
のエッチングレジストをスクリーン印刷にて回路パター
ンに塗布後、塩化第2銅溶液を用いてエッチング処理を
行って銅箔不要部分を溶解除去し、Cu回路を形成し
た。スクリーン印刷する際に、回路コーナー部が滑らか
な曲線形状の所望曲率半径(R)となるように、スクリ
ーン版の変更を行った。さらに、Cu回路間に残留した
不要ろう材及び活性金属成分とセラミックス基板の反応
物を60℃の10%フッ化アンモニウム溶液に10分間
浸漬して除去した後、エッチングレジストを剥離し、C
u回路を有する回路基板を製造した。回路の沿面距離
(L1)、回路コーナー部の曲率半径(R)、放熱板の
沿面距離(L2)を表1に示す。
【0034】実施例6〜8 比較例6〜8 70mm×30mmの窒化アルミニウム基板の表裏両面
に、接合ろう材として、Al−4%Cu合金箔を積層
し、次いで70×30mmのAl板を表裏両面に積層し
た。この積層体を加圧しながら、真空中、630℃、2
0分加熱して接合体を製造した。用いた窒化アルミニウ
ム基板の厚み、Al板の厚みを表1に示す。
【0035】得られた接合体のAl板上に紫外線硬化型
のエッチングレジストをスクリーン印刷にて回路パター
ンに塗布後、FeCl3を用いてエッチング処理を行って
Al箔不要部分を溶解除去し、Al回路を有する回路基
板を製造した。スクリーン印刷する際に、回路コーナー
部が滑らかな曲線形状の所望曲率半径(R)となるよう
に、スクリーン版の変更を行った。回路の沿面距離(L
1)、回路コーナー部の曲率半径(R)、放熱板の沿面
距離(L2)を表1に示す。
【0036】実施例1〜8及び比較例1〜8で得られた
回路基板に無電解Ni−Pメッキを1〜2μm施してか
ら表1に示すベース板(100×100×3mm)に半
田付けし、ヒートサイクル試験を行った。使用した半田
は大きさ70×30×0.3mmのSn−Pb系(Sn
/Pb=50/50)板半田を用い、220℃に加熱し
たホットプレート上で半田付けした。ヒートサイクル試
験は、−40℃×30分→室温×10分→125℃×3
0分→室温×10分を1サイクルとして500サイクル
実施した。ヒートサイクル試験後、回路を溶解し、セラ
ミックス基板へのクラックの発生状況を確認した。クラ
ック長さ0.2mm未満を「○」、0.20〜1.0m
mを「△」、1.0mm超を「×」とした。それらの結
果を表2に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】表1、表2の実施例1〜8と比較例1〜8
の対比から、次のことがわかる。回路の沿面距離(L
1)と放熱板の沿面距離(L2)の絶対差(X)に対し
て、回路コーナー部の曲率半径(R)がX/2未満であ
ると、ヒートサイクル500回後において、セラミック
ス基板にクラックが発生した。これに対し、回路コーナ
ー部の曲率半径(R)がX/2以上で、Xが1mm以
上、L2が0〜5mmである回路基板は、回路基板単体
及びベース板付け回路基板のいずれにおいても、セラミ
ックス基板にクラックは発生しなかった。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、セラミックス基板に発
生する最大熱応力を低減でき、極めて信頼性の高い回路
基板とその評価方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】回路の沿面距離(L1)と放熱板の沿面距離
(L2)を測定するための説明図。
【符号の説明】
1 セラミックス基板 2 回路 3 放熱板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉野 信行 福岡県大牟田市新開町1 電気化学工業株 式会社大牟田工場内 Fターム(参考) 5E338 AA01 AA18 BB71 CC01 CD12 EE02 EE28 5F036 AA01 BB08 BD01 BD14

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化アルミニウム基板又は窒化ケイ素基
    板の一方の面に回路、他方の面に放熱板が接合されてな
    り、回路及び放熱板がCu製(含むCu合金製)又はA
    l製(含むAl合金製)である回路基板の評価方法であ
    って、回路の沿面距離(L1)と放熱板の沿面距離(L
    2)の絶対差をXとした場合に、回路コーナー部の曲率
    半径(R)がX/2以上を有しているかどうかによって
    その信頼性を評価することを特徴とする、Xが1mm以
    上、L2が0〜5mmである回路基板の信頼性評価方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法によって求められた
    回路コーナー部の曲率半径(R)がX/2以上であり、
    しかもXが1mm以上、L2が0〜5mmであることを
    特徴とする回路基板。
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Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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