JP2003096380A - フッ素樹脂粉体塗料組成物および塗装物品 - Google Patents

フッ素樹脂粉体塗料組成物および塗装物品

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JP2003096380A
JP2003096380A JP2001293146A JP2001293146A JP2003096380A JP 2003096380 A JP2003096380 A JP 2003096380A JP 2001293146 A JP2001293146 A JP 2001293146A JP 2001293146 A JP2001293146 A JP 2001293146A JP 2003096380 A JP2003096380 A JP 2003096380A
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Hideyuki Takahashi
秀幸 高橋
Masaru Yamauchi
優 山内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電防止性、塗装作業性に優れ、かつ耐汚染
性、耐埃付着性、耐候性、光沢度などに優れた塗膜を形
成するフッ素樹脂粉体塗料組成物の提供。 【解決手段】 本発明は、フッ素含有樹脂(A)と、S
P値が22.6(J/m 31/2×10-3より大きく、水
酸基を含有する有機系親水性化合物からなる帯電防止剤
(B)とを含むことを特徴とするフッ素樹脂粉体塗料組
成物を提供する。本発明のフッ素樹脂粉体塗料組成物に
おいて、フッ素含有樹脂(A)は、フルオロオレフィン
単位と架橋性反応基を有する反応性含フッ素共重合体
と、該反応性含フッ素共重合体が有する架橋性反応基と
反応して架橋を形成しうる硬化剤とを含むものが望まし
い。また本発明は、前記フッ素樹脂粉体塗料組成物を用
いて形成された塗膜を有することを特徴とする塗装物品
を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、帯電防止性、塗装
作業性に優れ、かつ耐汚染性、耐埃付着性、耐候性、光
沢度などに優れた塗膜を形成するフッ素樹脂粉体塗料組
成物および塗装物品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、フッ素樹脂の優れた耐候性を利用
したフッ素樹脂塗料として、溶剤可溶型フッ素樹脂を溶
剤に溶解、乳化又は分散させた液状フッ素樹脂塗料が知
られている。液状フッ素樹脂塗料としては、例えば特開
平6−248222号公報に、含フッ素共重合体100
質量部に対し0.1〜70質量部のエチレングリコール
系化合物またはポリエチレンオキシド系化合物から選ば
れた1種以上を配合した防汚性フッ素樹脂塗料が開示さ
れている。同じく特開平7−76667号公報には、フ
ッ素系共重合体100質量部に対し0.1〜100質量
部の(メタ)アクリル酸エステル共重合体を混合したフ
ッ素樹脂塗料用組成物が開示されている。さらに特開2
001−72928号公報には、(a)有機合成樹脂の
エマルション、(b)カップリング剤、および(c)前
記有機合成樹脂(a)以外でかつ前記カップリング剤
(b)と反応し得る基を有する親水化用有機化合物から
なる低汚染型水性塗料用樹脂組成物が開示されている。
【0003】また、上述した液状フッ素樹脂塗料とは異
なる形態のものとして、粉体塗装が可能なフッ素樹脂粉
体塗料が知られている。粉体塗装は無公害、省資源、省
力化といった点における長所から金属表面への塗装全般
に広く使用されており、特に、耐候性の重要な橋梁、高
欄、門扉、フェンス、家庭用サイディング剤などの道路
建築資材や自動車の車体及び部品、家電製品等にも広く
利用されている。このフッ素樹脂粉体塗料としては、例
えば特開昭61−181567号公報、特開昭61−1
81571号公報、特開昭61−181572号公報に
開示されているようなエチレン−テトラフルオロエチレ
ン共重合体などの熱可塑性フッ素樹脂を用いた粉体塗
料、および特公平6−104792号公報に開示されて
いる熱硬化性フッ素樹脂粉体塗料が知られている。特公
平6−104792号公報に開示される熱硬化性フッ素
樹脂粉体塗料は、フルオロオレフィン単位を含有し、フ
ッ素含有量が10質量%以上であり、テトラヒドロフラ
ン中30℃で測定される固有粘度が0.05〜2dl/
gの範囲にあり、ガラス転移温度が30〜120℃であ
り、かつ、架橋性反応基を有する含フッ素共重合体
(A)と、該含フッ素共重合体が有する架橋性反応基と
反応して架橋を形成しうる硬化剤[ただし、ケイ素原子
に直接結合したイソシアナート基を含有する多官能性有
機ケイ素化合物を除いたもの](B)とを、(A)/
(B)が質量比で40/60〜98/2になるように配
合したものであって、該含フッ素共重合体の加熱減量が
105℃において3時間の条件下で5質量%以下である
ことを特徴としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たフッ素樹脂粉体塗料を用いて静電塗装を実施する場
合、静電塗装用スプレーガンからフッ素樹脂粉体塗料を
吐出すると、フッ素樹脂粉体同士がこすれて帯電し、ガ
ン先端部等に帯電したフッ素樹脂粉体が付着してくるた
めに頻繁に付着粒子を除去しなければならず、そのため
に作業効率が悪くなる問題があった。また、ガン先端部
に一旦付着したフッ素樹脂粉体の塊が被塗装物表面に付
着する結果、塗装面の表面平滑度が悪化する問題があっ
た。
【0005】なお、上述した塗装時の帯電によって樹脂
粉体がガン先端部等に付着する現象は、フッ素樹脂粉体
塗料において特に顕著なものであり、特開平2−178
361号公報に記載されたアクリル樹脂、ポリエステル
樹脂、エポキシ樹脂等を主体とする樹脂粉体塗料では実
用上問題となっていなかった。特開平2−178361
号公報には、粉体塗料において貯蔵時の耐ブロッキング
性と、塗装後焼付けた際のフロー性を改善するために、
各粉体粒子の少なくとも表面上に、ガラス転移温度が8
0〜150℃、SP値が20.5、20.9、21.
5、22.5(J/m31/2×10-3である樹脂微粒子
を含有する粉体塗料用樹脂成分が具体例として用いられ
ている。しかし、前記の樹脂微粒子では、フッ素樹脂粉
体を塗装する際の帯電防止効果は十分ではなく、さらに
耐汚染性、特に耐雨筋汚染性についても十分ではなかっ
た。
【0006】本発明は上記事情に鑑みてなされたもの
で、帯電防止性、塗装作業性に優れ、かつ耐汚染性、耐
埃付着性、耐候性、光沢度などに優れた塗膜を形成する
フッ素樹脂粉体塗料組成物の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、フッ素含有樹
脂(A)に、SP値が22.6(J/m31/2×10-3
より大きく、水酸基を含有する有機系親水性化合物から
なる帯電防止剤(B)を配合することにより、樹脂
(A)の耐候性を損なうことなく帯電防止性を付与する
ことができ、塗装作業性に優れるとともに、焼付け後の
塗膜の耐汚染性、光沢度を向上できることを見出し、本
発明を完成させた。
【0008】すなわち、本発明に係るフッ素樹脂粉体塗
料組成物は、フッ素含有樹脂(A)と、SP値が22.
6(J/m31/2×10-3より大きく、水酸基を含有す
る有機系親水性化合物からなる帯電防止剤(B)とを含
むことを特徴とする。本発明に係るフッ素樹脂粉体塗料
組成物において、フッ素含有樹脂(A)が、フルオロオ
レフィン単位と架橋性反応基を有する反応性含フッ素共
重合体と、該反応性含フッ素共重合体が有する架橋性反
応基と反応して架橋を形成しうる硬化剤とを含む熱硬化
性樹脂組成物であることが望ましい。また、本発明は、
前記フッ素樹脂粉体塗料組成物を用いて形成された塗膜
を有することを特徴とする塗装物品を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に係るフッ素樹脂粉体塗料
組成物は、主体となるフッ素含有樹脂(A)と、帯電防
止剤(B)とを含むことを特徴とする。フッ素含有樹脂
(A)は、熱可塑性フッ素含有樹脂と熱硬化性フッ素含
有樹脂のいずれを用いてもよく、好ましくはフルオロオ
レフィン単位と架橋性反応基を含有する反応性含フッ素
共重合体と硬化剤とを含み、粉体塗料組成物を被塗装物
表面に塗装した後、焼付ける際に、反応性含フッ素共重
合体の架橋性反応基と硬化剤とが架橋反応を生じ得る熱
硬化性フッ素含有樹脂が用いられる。以下の説明は、フ
ッ素含有樹脂(A)として、反応性含フッ素共重合体
(以下符号(A)を付す。)と硬化剤との組み合わせを
含む熱硬化性フッ素含有樹脂を用いた場合を例示してい
る。
【0010】かかる反応性含フッ素共重合体(A)のフ
ルオロオレフィン単位の原料としては、例えば、テトラ
フルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリ
フルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロ
プロピレン、ペンタフルオロプロピレンなどのようなも
のが使用でき、塗膜に要求される性状、共重合体成分又
は硬化剤との組み合わせに応じ適宜選択することができ
る。また、これらのフルオロオレフィンは、1種又は2
種以上を使用することができる。
【0011】本発明に用いる反応性含フッ素共重合体
(A)の架橋性反応基としては、水酸基、カルボキシル
基、アミド基、アミノ基、メルカプト基、グリシジル
基、臭素、ヨウ素などの活性ハロゲン、イソシアネート
基、カルボニル基、オキサゾリン基などが挙げられる。
かかる硬化反応部位の共重合体への導入方法は、架橋性
反応基を有する単量体を共重合せしめる方法、共重合体
の一部を分解せしめる方法及び共重合体の官能基に架橋
性反応基を与える化合物を反応せしめる方法などの手段
が挙げられる。
【0012】本発明に用いる好適な架橋性反応基として
は、水酸基を有するか、又は水酸基に変換され得る基を
有する単量体であって、フルオロオレフィンと共重合可
能な二重結合を有するものを使用することができ、例え
ば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロ
ピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテ
ル、ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、ヒドロキシ
シクロヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキル
ビニルエーテル類、ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシ
プロピオン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキ
シ吉草酸ビニル、ヒドロキシイソ酪酸ビニル、ヒドロキ
シシクロヘキサンカルボン酸ビニル等のヒドロキシアル
キルカルボン酸とビニルアルコールとのエステル類、ヒ
ドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシプロピルア
リルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテル、ヒド
ロキシイソブチルアリルエーテル、ヒドロキシシクロヘ
キシルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエ
ーテル類、ヒドロキシエチルアリルエステル、ヒドロキ
シプロピルアリルエステル、ヒドロキシブチルアリルエ
ステル、ヒドロキシイソブチルアリルエステル、ヒドロ
キシシクロヘキシルアリルエステル等のヒドロキシアリ
ルエステル類、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒ
ドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等
のアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシアルキル
エステル類などや、また、これらの部分的にフッ素置換
された化合物などが挙げられる。
【0013】水酸基含有単位の原料としては、これらの
うちの1種又は2種以上を選択して使用することができ
る。また、フルオロオレフィンとの共重合性から、ビニ
ル系あるいはアリル系化合物を採用することが望まし
い。
【0014】また、本発明に用いるカルボキシル基を有
する前記単量体としては、例えば、(メタ)アクリル
酸、カルボキシルアルキルアリルエーテルなどが挙げら
れる。また、グリシジル基を有する単量体としては、例
えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビ
ニルエーテル、グリシジルアリルエーテルなどが挙げら
れる。アミノ基を有する単量体としては、例えば、アミ
ノアルキルビニルエーテル、アミノアルキルアリルエー
テルなどが挙げられる。アミド基を有する単量体として
は、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロールア
クリルアミドなどが挙げられる。ニトリル基を有する単
量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリルなど
が挙げられる。イソシアネート基を有する単量体として
は、例えば、ビニルイソシアネート、イソシアネートエ
チルアクリレートなどが挙げられる。活性ハロゲン基を
有する単量体としては、例えば、塩化ビニル、塩化ビニ
リデンなどが挙げられる。
【0015】また、共重合体の一部を分解せしめる方法
としては、重合後加水分解可能なエステル基を有する有
する単量体を共重合せしめた後、共重合体を加水分解す
ることにより、共重合体中にカルボキシル基を生成せし
める方法が例示される。また、このようにエステル加水
分解を行わずに直接硬化反応において、エステル交換反
応で架橋結合を形成させることもできる。共重合体に架
橋性反応基を与える化合物を反応せしめる方法として
は、水酸基含有共重合体に無水コハク酸などの二価カル
ボン酸無水物を反応させることによりカルボキシル基を
導入する方法などを好適に採用し得る。
【0016】また、上記架橋性反応部位を与える単量体
としては、フルオロオレフィンとの共重合性から特に、
ビニル系あるいはアリル系の化合物を採用することが好
ましい。
【0017】また、本発明に用いる反応性含フッ素共重
合体(A)は、上記二種の単位の他に反応性含フッ素共
重合体の融点またはガラス転移温度を下げ、塗装作業性
をさらに向上させるとともに、塗膜に適当な硬度、可撓
性、光沢等の物性を付与するなどの目的に応じ、上記二
種の成分と共重合可能な共単量体を共重合することがで
きる。
【0018】かかる共単量体としては、フルオロオレフ
ィンと共重合可能な程度に活性な不飽和基を有し、塗膜
の耐候性を著しく損なわないものが採用され、通常エチ
レン性不飽和化合物、例えばエチルビニルエーテル、プ
ロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブ
チルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等
のアルキルビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニ
ル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル等のアルキルカル
ボン酸とビニルアルコールとのエステル類、エチルアリ
ルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエ
ーテル、イソブチルアリルエーテル、シクロヘキシルア
リルエーテル等のアルキルアリルエーテル類、エチルア
リルエステル、プロピルアリルエステル、ブチルアリル
エステル、イソブチルアリルエステル、シクロヘキシル
アリルエステル等のアルキルアリルエステル類、エチレ
ン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のアルケン
類、アクリル酸、メタクリル酸又はエチルアクリレー
ト、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソ
ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、
ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2
−エチルヘキシルメタクリレートなどのアクリル酸又は
メタクリル酸のエステル類など、またこれらの部分的に
フッ素置換された化合物などが挙げられる。かかる単量
体は、1種又は2種以上を選択して使用してもよい。こ
れらの共単量体としては、フルオロオレフィンとの共重
合性の優れるビニル系、アリル系化合物またはアルケン
類が好ましく採用される。
【0019】また、ビニル系、アリル系のアルキルエス
テルあるいはアルキルエーテルを採用する場合、アルキ
ル基は炭素数2〜10程度の直鎖状、分岐状または脂環
状のアルキル基を好適に使用することができる。
【0020】本発明に用いる反応性含フッ素共重合体
(A)は、フッ素含有量が10質量%以上であることが
好ましい。通常は、このフッ素含有量は反応性含フッ素
共重合体(A)中のフルオロオレフィン単位の構成割合
に関係する。しかし、一旦、該共重合体(A)を製造し
てからポリマー反応によりこの含有量を増減させること
もできる。
【0021】本発明に用いる反応性含フッ素共重合体
(A)中のフッ素含量が10質量%未満の場合には、十
分な耐候性を有する塗膜を得ることができない。そして
該共重合体(A)中のフッ素含有量は、15〜72質量
%であることが塗膜の耐候性および塗装作業性等の総合
的性能バランスからみて特に望ましい。また、本発明に
用いる反応性含フッ素共重合体(A)は、フッ素含有量
が10質量%以上であって、その上にフルオロオレフィ
ン単位を70〜30モル%の範囲で含有するものを特に
好ましく使用することができる。すなわち、フルオロオ
レフィン単位が30モル%以上になると耐候性がさらに
顕著に向上し、また、フルオロオレフィン単位が70モ
ル%以下においては、含フッ素共重合体が非結晶性にな
りやすく、すなわち含フッ素共重合体が結晶になり難い
ため、密着性がよく、均一で平滑な表面を有する塗膜を
形成しやすくなる上、塗料の焼付時に高温が不要な点で
特に好ましい。
【0022】本発明に用いる反応性含フッ素共重合体
(A)は、架橋性反応基を有しており、硬化剤との反応
により強靱で密着性の優れた塗膜が得られるが、反応性
含フッ素共重合体(A)分子に存在する架橋性反応基1
個当たりの該共重合体連鎖の平均分子量は250〜25
000とすることが望ましい。該平均分子量が2500
0以下であれば、架橋が十分となり、耐溶剤性等の物性
を良好に保つことができ、また250以上とすること
で、架橋密度が高すぎることがなくなり、塗膜の可撓性
が良好になる。反応性含フッ素共重合体(A)分子に存
在する架橋性反応基1個当たりの該共重合体連鎖の平均
分子量は:[含フッ素共重合体分子量/一分子中の架橋
性反応基数]で表される。具体的には、この平均分子量
は、反応性含フッ素共重合体(A)の水酸基価、酸価又
はエポキシ基価などの架橋性反応基価(mgKOH/
g)をIRスペクトル、NMRスペクトル、滴定などの
方法により測定し、次式により算出することができる。 (56.1/架橋性反応基価)×103 [式中、5
6.1はKOHの分子量である。] また、架橋性反応基がエポキシ基のときは、エポキシ当
量がこの値に相当する。
【0023】架橋性反応基として水酸基を有する反応性
含フッ素共重合体(A)の水酸基価は、1〜200mg
KOH/g、特に好ましくは、20〜140mgKOH
/gであることが望ましい。水酸基価が1mgKOH/
g以上であれば、架橋が十分となり、塗膜の物性が良好
となる。また水酸基を200mgKOH/g未満とする
ことで架橋密度が高くなりすぎることがなく、良好な可
撓性が得られる。
【0024】また本発明に用いる反応性含フッ素共重合
体(A)のテトラヒドロフラン中30℃で測定される固
有粘度は0.05〜2dl/gであることが望ましい。
固有粘度が0.05以上であれば固体となって粉体塗料
組成物として使用できる。また固有粘度を2以下とする
ことで、軟化点が高くなり過ぎることが無く、塗膜のフ
ロー性が良好となる。
【0025】また本発明に用いる反応性含フッ素共重合
体(A)のガラス転移温度は30〜120℃、好ましく
は35〜100℃とすることが望ましい。ガラス転移温
度が30℃以上であれば固体となって粉体塗料組成物と
して使用し易くなる。またガラス転移温度を120℃以
下とすることによって軟化点が高くなり過ぎることな
く、フロー性を良好に保ち得る。
【0026】また反応性含フッ素共重合体(A)とし
て、結晶性の重合体を用いる場合には焼付時に高温が必
要となる。結晶性重合体を採用する場合、融点が200
℃以下のものが好ましい。
【0027】本発明に用いられる反応性含フッ素共重合
体(A)は、従来公知の方法により合成することができ
る。触媒の存在下あるいは非存在下に所定割合のモノマ
ー混合物に重合開始剤を作用せしめることにより重合す
ることができる。また溶液重合、乳化重合、懸濁重合の
いずれの方法によっても製造することができる。
【0028】また本発明において反応性含フッ素共重合
体(A)は粉末化して使用する。このような粉末状含フ
ッ素共重合体を得る方法は、重合形式に応じて適切な方
法で実施できる。乳化重合や懸濁重合によって該共重合
体を得た場合は、重合液から分散媒を、減圧度0.01
3MPa以下、50〜100℃で蒸発除去した後、ウイ
レー型、振動ミル型、衝撃式ハンマーミル型などの粉砕
機により粉砕して製造できる。また溶液重合により得た
場合には、重合液の溶媒を除去するか、重合体を溶解し
ない溶液中に投入して含フッ素共重合体を析出させ、溶
媒を除去した後粉砕して製造できる。
【0029】本発明に用いられる反応性含フッ素共重合
体(A)は粉末化して使用されるが、かかる粉末は、溶
媒(以下、分散媒を含む意味で使用する。)の残存量
(加熱減量)が5質量%以下であることが好ましい。該
共重合体中の溶媒残存量を5質量%以下とすることによ
って、粉体塗料の貯蔵安定性が良好となり、また粉体塗
料の焼付け、硬化後、塗膜に発泡、ふくれ、ピンホール
等が生じることがない。特に、溶媒残存量が2質量%以
下であることが好ましい。
【0030】前記反応性含フッ素共重合体(A)の架橋
性反応基と反応可能な硬化剤としては、ブロックイソシ
アネート化合物、例えば、イソホロンジイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシア
ネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのポリイソシ
アネート化合物や、これらの二量体、三量体やトリメチ
ロールプロパンなどの多価アルコールで変性したポリイ
ソシアネート化合物などのイソシアネート化合物のイソ
シアネート基をε−カプロラクタム、フェノール、ベン
ジルアルコール、メチルエチルケトキシムなどのブロッ
ク化剤でブロックした化合物が挙げられる。かかるブロ
ックイソシアネート化合物は室温で固体である化合物を
好適に使用することができる。
【0031】また、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、
アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族
二塩基酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピ
ロメリット酸などの酸無水物、酸価10〜300mgK
OH/g、ガラス転移温度が30〜120℃であり、数
平均分子量が1000〜15000のポリエステル樹
脂、またはアクリル樹脂、ジシアンジアミド及びジシア
ンジアミド誘導体、イミダゾールおよびイミダゾール誘
導体、ポリヒドラジド化合物、ジアミノフェニルメタ
ン、環状アミジン化合物などのアミン化合物、メラミン
樹脂、テレフタル酸ジグリシジルエステル、パラオキシ
安息香酸ジグリシジルエステル、トリグリシジルイソシ
アネート、スピログリコールジグリシジルエーテル、ヒ
ダントイン化合物、脂環式エポキシ樹脂などのグリシジ
ル化合物、1,4−ビス2’−ヒドロキシエトキシベン
ゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、スチレン
・アリルアルコール共重合体、スピログリコール、トリ
ス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、水酸価10
〜300mgKOH/g、ガラス転移温度が30〜12
0℃であり、数平均分子量が1000〜15000のポ
リエステル樹脂、またはアクリル樹脂などの水酸基化合
物、ポリメルカプタン化合物、ポリアジリジン化合物、
ポリオキサゾリン化合物などが挙げられる。かかる硬化
剤は室温で固体である化合物を好適に使用することがで
きる。
【0032】硬化剤の配合量は、反応性含フッ素共重合
体(A)100質量部に対して1〜1000質量部、好
ましくは5〜200質量部とされる。硬化剤の配合量を
共重合体(A)100質量部に対して5〜200質量部
の範囲とすることによって、表面光沢度、耐汚染性、耐
衝撃性、耐候性などの物性に優れた塗膜を形成すること
ができる。
【0033】本発明に係るフッ素樹脂粉体塗料に配合す
る帯電防止剤(B)は、SP値が22.6(J/m3
1/2×10-3より大きく、水酸基を含有する有機系親水
性化合物からなる。SP値(溶解性パラメータ)は、凝
集エネルギー密度、すなわち1分子の単位体積当たりの
蒸発エネルギーを1/2乗したもので、単位体積当たり
の極性の大きさを示す数値である。SP値はFedro
s法により算出することができる(文献:R.F.Fe
dros,Polym.Eng.Sci.,14[2]
147(1974)を参照)。
【0034】SP値が22.6(J/m31/2×10-3
より大きく、水酸基を含有する有機系親水性化合物とし
ては、極性化合物、特に重合体、共重合体の中から適宜
選択して使用することができる。本発明において好適な
帯電防止剤(B)としては、22.6(J/m31/2×
10-3より大きなSP値を有するとともに、分子内に水
酸基を含有するものが比較的容易に得られることから、
グリセリンモノメタクリレート、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート、CH2=CHCOO(C24O)p
(pは約10、日本油脂社製、商品名「AE−40
0」)、N−メチロールアクリルアミドのような水酸基
を含むモノマーと、アクリルアミド、N−ビニルアセト
アミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリド
ン、N−アクリロイルモルホリン、2−ビニルピリジ
ン、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン
酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸
n−ブチルなどのような水酸基を持たないモノマーとを
共重合して得られた親水性共重合体が挙げられる。この
ような共重合体を製造するには、例えば、溶媒に溶かし
た2種類以上のモノマー、2,2’−アゾビスイソブチ
ロニトリルのような重合開始剤およびn−ドデシルメル
カプタンのような連鎖反応剤を反応器中で加熱重合し、
溶媒を留去する方法によって製造することができ、また
は懸濁重合、乳化重合などの方法を用いて製造すること
もできる。
【0035】帯電防止剤(B)のSP値が22.6(J
/m31/2×10-3より大きいと、フッ素樹脂粉体塗料
組成物中にこの帯電防止剤(B)を配合することによっ
て、十分な帯電防止性を付与することができる。また、
耐電防止剤(B)が水酸基を含有していることによっ
て、フッ素樹脂粉体塗料組成物の焼付け時に、反応性含
フッ素共重合体(A)とこの耐電防止剤(B)とが上記
硬化剤と共架橋させることができ、耐電防止剤(B)が
塗膜に残存し、その帯電防止性によって塗膜の耐汚染性
持続性が向上する。この帯電防止剤(B)の配合比率
は、反応性含フッ素共重合体(A)100質量部に対し
て0.1〜100質量部、好ましくは0.5〜50質量
部とされる。帯電防止剤(B)の配合量を共重合体
(A)100質量部に対して0.5〜50質量部の範囲
とすることによって、塗装焼付け後の塗膜の耐汚染性、
耐候性、光沢度、耐衝撃性を損なうことなく、十分な帯
電防止性を付与することができ、塗装工程においてスプ
レーガンに付着する粉体量が減じられ、ガン清掃回数を
減少できることから、フッ素樹脂を主体とする粉体塗料
を用いた塗装作業の効率を高めることができる。
【0036】本発明のフッ素樹脂粉体塗料組成物におい
て、帯電防止剤(B)は、反応性含フッ素共重合体
(A)粉体(フッ素含有樹脂)の少なくとも表面に存在
していればよい。すなわち、帯電防止剤(B)は反応性
含フッ素共重合体(A)中に少なくとも一部が相溶した
状態で混合粉体となっていてもよいし、帯電防止剤
(B)が反応性含フッ素共重合体(A)と相溶せずに両
者が別個の粉体として存在し、帯電防止剤(B)粉体が
反応性含フッ素共重合体(A)粉体表面に付着していて
もよい。さらに、反応性含フッ素共重合体(A)と硬化
剤は、フッ素樹脂粉体塗料組成物を被塗装物表面に塗装
して焼付けした際に、架橋反応を生じることができれば
よく、焼付け前のフッ素樹脂粉体塗料組成物において、
反応性含フッ素共重合体(A)と硬化剤は少なくとも一
部が相溶した混合粉体として存在してもよいし、両者が
相溶せず別個の粉体として存在してもよい。
【0037】本発明のフッ素樹脂粉体塗料組成物には、
通常塗料組成物に使用される添加物を第三成分として配
合することができる。すなわち、着色顔料(例えば、二
酸化チタン、ベンガラ、黄色酸化鉄、カーボンブラック
などの無機顔料やフタロシアニンブルー、フタロシアニ
ングリーン、キナクリドン系赤色顔料、イソインドリノ
ン系黄色顔料などの有機顔料)、タルク、シリカ、炭酸
カルシウムなどの体質顔料、アルミ粉、ステンレス粉な
どの金属粉、マイカ粉やレベリング剤、紫外線吸収剤、
熱劣化防止剤、発泡防止剤などの添加剤を所望により1
種又は2種以上を配合することができる。本発明におい
ては、所望により配合する上記第三成分を本発明組成物
の(A)と(B)成分の少なくとも一方に前もって配合
しておくこともできる。本発明の組成物の調合は公知の
熱硬化性粉体塗料製造法と同様にして実施することがで
きる。
【0038】以上のようにして製造されたフッ素樹脂粉
体塗料組成物は400μm以下の粒径を有し、鉄、アル
ミニウム、銅、亜鉛またはそれらの混合物、例えば不銹
鋼、真ちゅうなどの金属に、例えば市販の静電粉体塗装
機、流動浸漬装置等によって均一に塗装したのち、熱風
炉、赤外炉、誘電加熱炉などで焼付けして良好な塗膜を
形成することができる。
【0039】
【実施例】[反応性含フッ素共重合体(A)(フッ素含
有樹脂)の合成] (合成例A−1)内容量300mlのステンレス製撹拌
機付き耐圧反応器に、t−ブタノール157g、シクロ
ヘキシルビニルエーテル(CHVE)16g、イソブチ
ルビニルエーテル(iBVE)9g、ヒドロキシブチル
ビニルエーテル(HBVE)25g、炭酸カリウム1
g、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIB
N)0.07gを仕込み、液体窒素による固化脱気によ
り溶存酸素を除去する。その後、クロロトリフルオロエ
チレン(CTFE)50gを導入し、徐々に昇温する。
温度を65℃に維持しながら、撹拌下で反応を続け、1
0時間後に反応器を水冷して反応を停止する。室温まで
冷却した後、未反応モノマーをパージして反応器を開放
する。珪藻土でろ過を行った後、減圧下で溶媒を除去
し、反応性含フッ素共重合体(以下、樹脂と略記す
る。)(A−1)を得た。
【0040】(合成例A−2〜A−6)表1に示す組成
割合のモノマー混合物を、合成例1と同様の方法で重合
した。ただしt−ブタノールとAIBNの量は適宜変更
することにより、表1記載の樹脂A−2〜A−6を得
た。
【0041】
【表1】
【0042】[帯電防止剤(B)の合成]表2に示すモ
ノマー、開始剤、連鎖移動剤を用いて、親水性共重合体
からなる帯電防止剤B−1〜B−15を得た。
【0043】
【表2】
【0044】(合成例B−1)撹拌機を備えた内容量1
Lのオートクレーブに、メタノールの512.0g、G
LMの120.0g、AAmの120.0g、連鎖移動
剤DSHの16.2gおよび重合開始剤AIBNの2.
4gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、60℃で
18時間重合させ、固形分30質量%の帯電防止剤B−
1の溶液を得た。次いでロータリーエバポレータで該溶
液からメタノールを留去し、B−1を得た。該帯電防止
剤B−1の重量平均分子量は約3000であった。
【0045】(合成例B−2)撹拌機を備えた内容量1
Lのオートクレーブに、メタノールの512.0g、H
EMAの120.0g、AAmの120.0g、連鎖移
動剤DSHの16.2gおよび重合開始剤AIBNの
2.4gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、60
℃で18時間重合させ、固形分30質量%の帯電防止剤
B−2の溶液を得た。次いでロータリーエバポレータで
該溶液からメタノールを留去し、B−2を得た。該帯電
防止剤B−2の重量平均分子量は約3000であった。
【0046】(合成例B−3)撹拌機を備えた内容量1
Lのオートクレーブに、メタノールの512.0g、N
−MAAの48.0g、AAmの192.0g、連鎖移
動剤DSHの16.2gおよび重合開始剤AIBNの
2.4gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、60
℃で18時間重合させ、固形分30質量%の帯電防止剤
B−3の溶液を得た。次いでロータリーエバポレータで
該溶液からメタノールを留去し、B−3を得た。該帯電
防止剤B−3の重量平均分子量は約3000であった。
【0047】(合成例B−4)撹拌機を備えた内容量1
Lのオートクレーブに、メタノールの512.0g、G
LMの120.0g、AEの120.0g、連鎖移動剤
DSHの16.2gおよび重合開始剤AIBNの2.4
gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、60℃で1
8時間重合させ、固形分30質量%の帯電防止剤B−4
の溶液を得た。次いでロータリーエバポレータで該溶液
からメタノールを留去し、B−4を得た。該帯電防止剤
B−4の重量平均分子量は約3000であった。
【0048】(合成例B−5)撹拌機を備えた内容量1
Lのオートクレーブに、メタノールの512.0g、H
EMAの48.0g、NVAの192.0g、連鎖移動
剤DSHの16.2gおよび重合開始剤AIBNの2.
4gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、60℃で
18時間重合させ、固形分30質量%の帯電防止剤B−
5の溶液を得た。次いでロータリーエバポレータで該溶
液からメタノールを留去し、B−5を得た。該帯電防止
剤B−5の重量平均分子量は約3000であった。
【0049】(合成例B−6)撹拌機を備えた内容量1
Lのオートクレーブに、メタノールの512.0g、H
EMAの48.0g、NVFの192.0g、連鎖移動
剤DSHの16.2gおよび重合開始剤AIBNの2.
4gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、60℃で
18時間重合させ、固形分30質量%の帯電防止剤B−
6の溶液を得た。次いでロータリーエバポレータで該溶
液からメタノールを留去し、B−6を得た。該帯電防止
剤B−6の重量平均分子量は約3000であった。
【0050】(合成例B−7)撹拌機を備えた内容量1
Lのオートクレーブに、メタノールの512.0g、H
EMAの48.0g、NVPの192.0g、連鎖移動
剤DSHの16.2gおよび重合開始剤AIBNの2.
4gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、60℃で
18時間重合させ、固形分30質量%の帯電防止剤B−
7の溶液を得た。次いでロータリーエバポレータで該溶
液からメタノールを留去し、B−7を得た。該帯電防止
剤B−7の重量平均分子量は約3000であった。
【0051】(合成例B−8)撹拌機を備えた内容量1
Lのオートクレーブに、メタノールの512.0g、H
EMAの48.0g、AMOの192.0g、連鎖移動
剤DSHの16.2gおよび重合開始剤AIBNの2.
4gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、60℃で
18時間重合させ、固形分30質量%の帯電防止剤B−
8の溶液を得た。次いでロータリーエバポレータで該溶
液からメタノールを留去し、B−8を得た。該帯電防止
剤B−8の重量平均分子量は約3000であった。
【0052】(合成例B−9)撹拌機を備えた内容量1
Lのオートクレーブに、メタノールの512.0g、H
EMAの48.0g、VPの192.0g、連鎖移動剤
DSHの16.2gおよび重合開始剤AIBNの2.4
gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、60℃で1
8時間重合させ、固形分30質量%の帯電防止剤B−9
の溶液を得た。次いでロータリーエバポレータで該溶液
からメタノールを留去し、B−9を得た。該帯電防止剤
B−9の重量平均分子量は約3000であった。
【0053】(合成例B−10)撹拌機を備えた内容量
1Lのオートクレーブに、メタノールの512.0g、
HEMAの48.0g、AMPSの192.0g、連鎖
移動剤DSHの16.2gおよび重合開始剤AIBNの
2.4gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、60
℃で18時間重合させ、固形分30質量%の帯電防止剤
B−10の溶液を得た。次いでロータリーエバポレータ
で該溶液からメタノールを留去し、B−10を得た。該
帯電防止剤B−10の重量平均分子量は約3000であ
った。
【0054】(合成例B−11)撹拌機を備えた内容量
1Lのオートクレーブに、メタノールの512.0g、
HEMAの48.0g、MAAの192.0g、連鎖移
動剤DSHの16.2gおよび重合開始剤AIBNの
2.4gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、60
℃で18時間重合させ、固形分30質量%の帯電防止剤
B−11の溶液を得た。次いでロータリーエバポレータ
で該溶液からメタノールを留去し、B−11を得た。該
帯電防止剤B−11の重量平均分子量は約3000であ
った。
【0055】(合成例B−12)撹拌機を備えた内容量
1Lのオートクレーブに、メタノールの512.0g、
GLMの120.0g、MMAの120.0g、連鎖移
動剤DSHの16.2gおよび重合開始剤AIBNの
2.4gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、60
℃で18時間重合させ、固形分30質量%の帯電防止剤
B−12の溶液を得た。次いでロータリーエバポレータ
で該溶液からメタノールを留去し、B−12を得た。該
帯電防止剤B−12の重量平均分子量は約3000であ
った。
【0056】(合成例B−13)撹拌機を備えた内容量
1Lのオートクレーブに、メタノールの512.0g、
GLMの120.0g、BuMAの120.0g、連鎖
移動剤DSHの16.2gおよび重合開始剤AIBNの
2.4gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、60
℃で18時間重合させ、固形分30質量%の帯電防止剤
B−13の溶液を得た。次いでロータリーエバポレータ
で該溶液からメタノールを留去し、B−13を得た。該
帯電防止剤B−13の重量平均分子量は約3000であ
った。
【0057】(合成例B−14)撹拌機を備えた内容量
1Lのオートクレーブに、アセトンの512.0g、H
EMAの48.0g、BuMAの192.0g、連鎖移
動剤DSHの16.2gおよび重合開始剤AIBNの
2.4gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、60
℃で18時間重合させ、固形分30質量%の帯電防止剤
B−14の溶液を得た。次いでロータリーエバポレータ
で該溶液からアセトンを留去し、B−14を得た。該帯
電防止剤B−14の重量平均分子量は約3000であっ
た。
【0058】(合成例B−15)撹拌機を備えた内容量
1Lのオートクレーブに、メタノールの512.0g、
AAmの192.0g、MMAの120.0g、連鎖移
動剤DSHの16.2gおよび重合開始剤AIBNの
2.4gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、60
℃で18時間重合させ、固形分30質量%の帯電防止剤
B−15の溶液を得た。次いでロータリーエバポレータ
で該溶液からメタノールを留去し、B−15を得た。該
帯電防止剤B−15の重量平均分子量は約3000であ
った。
【0059】得られた帯電防止剤B−1〜B−15のS
P値を表3に示す。なお、SP値はFedros法によ
り算出した。
【0060】
【表3】
【0061】[例1〜26]表4〜7に示す割合で、樹
脂(A)、帯電防止剤(B)、硬化剤、添加剤及び顔料
を配合した(表4〜7中、「配合部数」とあるのは全て
質量部を示す。)。ドライブレンダー(三井化工機社
製、商品名「ヘンシェルミキサー」)により1分間均一
に混合した後、80〜100℃の温度条件で押出混練機
(ブス社製、商品名「ブスコニーダー」)で溶融混練
し、冷却後、ハンマーミルを用いて微粉砕した。続いて
150メッシュの金網でろ過し、粉体塗料を得た。得ら
れた粉体塗料を厚さ0.8mmのリン酸亜鉛処理を施し
た鉄板上に、静電粉体塗装ガン(小野田セメント社製、
商品名「GX−501」)を用いて、電圧70kV、粉
体吐出量100g/分、温度20℃、湿度60%の条件
にて4分間静電塗装を行った。さらに、190℃で20
分間焼付けて、約40ミクロンの厚みの硬化塗膜を得
た。例1〜26の各粉体塗料の帯電防止性、塗装板の各
種評価結果を表4〜7に示す。これらの表中に記載した
各評価項目は、以下の方法に従って測定した。
【0062】<帯電防止性>各粉末塗料を帯電防止性に
ついて、前述した通り各粉末塗料を静電塗装ガンを用い
て表面処理鉄板上に静電塗装する際に、ガン先端部の粉
体塗料の付着具合を目視により観察した。例1〜例1
9、例21及び例22に関しては、(B)を配合しなか
った粉体塗料(例20)に比べ、ガン先端部に付着した
粉体量が減少し、ガンの掃除回数が減少したもの、すな
わち(B)の配合による帯電防止改善効果が見られたと
判断したものを○と表記した。一方、(B)を配合しな
かった粉体塗料に比べて、ガン先端部に付着した粉体量
が同程度で、ガンの掃除回数が同程度だったもの、すな
わち(B)の配合による帯電防止改善効果が見られない
と判断したものを×と表記した。また樹脂A−1〜A−
5のフッ素含有量に比べてより低いフッ素含有量(9.
8%)を有する樹脂A−6を用いた例23と24に関し
て、例24の帯電防止性は、この樹脂A−6を用い帯電
防止剤を配合していない例23と比べた場合の上記帯電
防止改善効果の判定基準を表記した。また樹脂として、
本発明での含フッ素樹脂とは異なるポリエステル樹脂を
用いた例25と26に関して、例26の帯電防止性は、
このポリエステル樹脂を用い帯電防止剤を配合していな
い例25と比べた場合の上記帯電防止改善効果の判定基
準を表記した。
【0063】<光沢>JIS Z8741に準じて、6
0度の鏡面光沢度を測定した。数値が大きいほど光沢が
優れることを示す。
【0064】<オクタン脱離仕事>オクタン脱離仕事
は、水中における塗膜面上に存在する油性物質(オクタ
ン)の接触角を測定し、該接触角から算出される。この
オクタン脱離仕事(WA’)は、以下の式1で表すこと
ができる。 WA’=γsw+γwo−γso (式1) (ただし、γswは被膜表面と水との界面張力(J/m
2)、γwoは水とオクタンとの界面張力(J/m2)、
γsoは被膜表面とオクタンとの界面張力(J/m2
を表す。) ヤングの式 γsw=γso+γwo=cosθ (式2) (ただし、θは水中においてオクタンが塗膜となす接触
角である。)を前記式1に代入し、拡張Fowkes式
を用いて、水とオクタンの表面張力の分散成分が等しい
ことに注目すると、以下の式が導き出せる。 WA’=C(1+cosθ) (式3) (ただし、Cは水の表面張力の極性成分であり、C=
0.051(J/m2)である。) θは0〜180°で変化し得るので、WA’は0〜1
0.2×10-2(J/m2)の範囲で変化する。WA’が
小さい程、水中においてオクタンを皮膜表面から引き離
すエネルギーが少なくて済むことを意味している。一方
で、汚れの原因物質中には油性物質が多く含まれてお
り、オクタン等の油性物質が水中において容易に引き離
される被膜表面は、雨等により油性物質が容易に洗い流
される被膜表面であり、耐汚染性が良好である被膜表面
であることが推定される。耐汚染性を発揮するには、水
中におけるオクタンの脱離仕事は3.0×10-2J/m
2未満であることが好ましい。さらに、2.0×10-2
J/m2未満であることが好ましい。
【0065】<3ヶ月/1年耐斜面汚染性>塗装板(大
きさ:200×95×8mm)を100mmの部分で折
り曲げ、上部が水平面から30度の角度になり、下部が
鉛直になるように塗装面を外にして、神奈川県川崎市に
おいて屋外曝露試験に供した。この塗装板の曝露3ヶ月
後及び1年後の30度傾斜面のL*値を測定した。試験
前後のL*値の差ΔL*を算出し、絶対値で記載した。
なお、L*値は、SQ2000(日本電色工業社製)を
用いて、JIS Z8730に従い測定した。この数値
が小さいほど耐斜面汚染性に優れることを示す。
【0066】<3ヶ月/1年耐雨筋汚染性>斜面汚染に
ついて評価した屋外曝露板について、垂直面の雨筋汚染
の様子を評価した。雨筋汚れが目立たないものを○、多
少目立つものを△、目立つものを×として表記した。
【0067】<汚れ拭き取り性>カーボンブラック5%
水溶液を調製し、塗膜にスプレーにて塗装した。40℃
にて2時間乾燥した後、水で湿らせたガーゼにて軽く表
面を拭いた。カーボンブラックがよく拭き取れたものを
○、カーボンブラックがあまり拭き取れなかったものを
×と表記した。
【0068】<促進耐候性>JIS K5400 9.
8.1に記載されるカーボンアーク灯式促進耐候性試験
4000時間後の光沢保持率を測定した。光沢保持率8
0%以上を○、光沢保持率80%未満を×として表記し
た。
【0069】
【表4】
【0070】
【表5】
【0071】
【表6】
【0072】
【表7】
【0073】表4〜7の評価結果より、本発明に従う例
1〜例19の粉体塗料は、帯電防止剤(B)を配合して
いない例20の粉体塗料と比べ、帯電防止性、オクタン
脱離仕事、3ヶ月耐斜面汚染性、1年耐斜面汚染性、3
ヶ月耐雨筋汚染性、1年耐雨筋汚染性及び汚れ拭き取り
性の各項目で性能向上が認められた。また本発明に従う
例1〜例19の粉体塗料と比べ、SP値が低い帯電防止
剤B−14を配合した例21は、帯電防止性、オクタン
脱離仕事、3ヶ月耐斜面汚染性、1年耐斜面汚染性、3
ヶ月耐雨筋汚染性、1年耐雨筋汚染性及び汚れ拭き取り
性の各項目で劣っていた。さらに、SP値は高いが水酸
基を含有していない帯電防止剤B−15を配合した例2
2は、1年耐斜面汚染性および1年耐雨筋汚染性の項目
で劣っていた。換言すると、本発明に従う例1〜例19
の粉体塗料は、水酸基を含有する帯電防止剤を配合した
ことによって、塗膜の耐汚染性及び耐埃付着性の持続性
が改善された。また、樹脂としてフッ素含有量の低い樹
脂A−6(フッ素含有量9.8%)を用いた例23と2
4の粉体塗料は、例1〜例19の粉体塗料に比べて汚れ
拭き取り性、促進耐候性が劣っていた。また、樹脂とし
てフッ素を含有していないポリエステル樹脂を用い、か
つ帯電防止剤を配合していない例25と、同じポリエス
テル樹脂を用いて帯電防止剤B−1を配合した例26の
各々の粉体塗料を比較した結果、ポリエステル樹脂を主
体とする粉体塗料においては、帯電防止剤の添加による
粉体塗料の帯電防止性の向上は認められなかった。さら
に例25と26の粉体塗料は、本発明に従う例1〜例1
9の粉体塗料と比べ、汚れ拭き取り性及び促進耐候性が
劣っていた。
【0074】
【発明の効果】本発明のフッ素樹脂粉体塗料組成物は、
フッ素含有樹脂(A)に有機系親水性化合物からなる帯
電防止剤(B)を配合したことによって、静電塗装時に
ガン先端部等に帯電したフッ素樹脂粉体が付着して作業
効率が悪くなる問題、ガン先端部に一旦付着したフッ素
樹脂粉体の塊が付着して被塗装物の表面平滑度が悪化す
る問題を解消でき、帯電防止性、塗装作業性に優れ、か
つ耐汚染性、耐埃付着性、耐候性、光沢度などに優れた
塗膜を形成するフッ素樹脂粉体塗料組成物を提供するこ
とができる。また、帯電防止剤(B)としてSP値が2
2.6(J/m31/2×10-3より大きく、かつ水酸基
を含有する有機系親水性化合物を用いたことによって、
帯電防止剤が硬化剤と共架橋され、塗膜中に帯電防止剤
が残存し、長期にわたり塗膜の耐汚染性、耐埃付着性を
良好に維持することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 CD091 CD111 CD121 CD131 CG142 CG172 CH122 GA02 GA03 GA06 GA07 GA08 GA09 GA11 GA12 GA13 KA03 KA12 MA16 NA01 NA03 NA05 NA20 NA23 PA02 PB05 PB07 PB09 PC02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フッ素含有樹脂(A)と、SP値が2
    2.6(J/m31/2×10-3より大きく、水酸基を含
    有する有機系親水性化合物からなる帯電防止剤(B)と
    を含むことを特徴とするフッ素樹脂粉体塗料組成物。
  2. 【請求項2】 フッ素含有樹脂(A)が、フルオロオレ
    フィン単位と架橋性反応基を有する反応性含フッ素共重
    合体と、該反応性含フッ素共重合体が有する架橋性反応
    基と反応して架橋を形成しうる硬化剤とを含む請求項1
    に記載のフッ素樹脂粉体塗料組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のフッ素樹脂粉
    体塗料組成物を用いて形成された塗膜を有することを特
    徴とする塗装物品。
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